説明

体液から細胞を分離するシステム及び方法

容器内に生物材料を含み、容器内の材料に凝集剤を加えて、材料を2種以上の異なる成分材料に分離せしめ、容器から成分材料の1種以上を抽出し、容器に残った成分材料を濾過装置に自動的に輸送し、得られた目標保持液を目標保持液受け器に回収する、生物材料を処理するための方法及びシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、複雑な生物材料を処理して亜成分にするためのシステム、方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
全血からの赤血球(RBC)の分離は、一般に、白血球又は幹細胞など、あまり多量にない細胞の分析又は治療に使用する前に必要とされる。多数の従来の血球単離技術では、予め赤血球を除いておくこと及び試料体積を減少させることが必要である。これらは、一般に、貯蔵の制約及び/又は直接移植に必要とされる、体積が小さいことを求める要件により、小さい体積で希少な細胞の収率が最大であることが望ましい長期細胞バンク及び再生医療の応用分野にとって必要な処理段階である。今日、血球を含む試料(例えば臍帯血、骨髄、末梢血)を処理するための最も一般的な技術は、分離を改善するための密度勾配媒体を使用して又は使用せずに、遠心分離法を使用する密度勾配沈降を必要とする。ハイスループット試料処理に対する高まり続ける必要を満たすために、最近、臍帯血及び骨髄の試料を閉鎖系で処理するための自動遠心システムが開発された。遠心分離法に基づく装置は、手動による技術に比べてスループットを著しく改善するが、遠心バケットの重量が重く物理的寸法が固定されていることにより、柔軟性及び可搬性が制限されている。
【0003】
濾過技術は、いくつかの血球分離の適用例でも使用される。例えば、深層濾過は、(例えば輸血の適用例のために)全血から白血球を除去するために使用されることがあった。しかし、これらのフィルタは、(フィルタ内で細胞を捕捉することにより)白血球の枯渇を最大にすることを目的として設計されており、濾過段階の後で高い細胞回収率を達成することを目的として設計されたものではなかった。さらに、膜に基づいた血漿交換療法は、全血から血漿を除去及び処理するための一般的な技術である。しかし、これらの技術は、濾過の前に全血から赤血球(RBC)を予め枯渇させることを必要とせず、血球バンク適用例で必要とされる種類の体積減少を達成しない。
【0004】
血液の様々な成分を分離するための重力又は遠心分離による沈降方法が、当技術分野で知られている。全血からのRBCの沈降を容易にするための1つの方法は、RBCの公知の凝集剤である、デキストラン、ヘタスターチ又はゼラチンなどのポリマー巨大分子を使用することである。凝集剤の組成及び血中での化学量論比に応じて、RBC沈降処理の速度及び効率は大きく変化し得る。シュウ酸カリウム及びマロン酸カリウムなどの、沈降促進剤のいくつかが知られている。これらの沈降促進剤の有効性は、主に血液試料に対する沈降促進剤の濃度によって決定される。シュウ酸カリウム及びマロン酸カリウムは、有効なRBC沈降促進剤であることが以前に示されているが、これらの薬剤の臨床的有用性は、カリウム塩に関連する潜在的な心血管系毒性によって制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0134416号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、後の細胞療法適用例のために標的細胞(幹細胞など)の高い回収率及び生存率を達成しながら、全血などの生物材料を処理するための、機能的に閉鎖系であるハイスループットシステム及び方法の必要性に対処するようになされている。濾過は、血液透析及び血漿交換療法を含む血液処理の適用例に一般に使用される技術であるが、これまで、赤血球及び過剰な血漿を除去し白血球(WBC)試料の濃縮を達成するために全血など生物材料を処理することが必要である血球バンクの適用例では使用されていなかった。これは、多量の赤血球を、同様のサイズの、それより少ない白血球及びさらに少ない幹細胞から分離することに伴う難題に起因する。システム及び方法の実施形態の1つは、大量の赤血球除去を目的とする初期RBC凝集及び重力沈降段階と、その後に続く細胞濃縮及び過剰血漿の除去を目的とした濾過段階とを含む2段階の処理を含む。
【0007】
生物材料を処理するための閉鎖系の一実施形態は、生物材料を収容して2種以上の異なる成分材料に分離させることのできる容器と、この容器から成分材料の1種以上を除去する抽出装置と、濾過装置と、容器と濾過装置の間で1種以上の成分材料を輸送する導管と、この導管を介して容器と濾過装置の間で成分材料の1種以上を少なくとも輸送するための制御装置とを備える。システムは、1種以上の濾液を少なくとも一時的に貯蔵するための1つ以上の受け器をさらに備えることができ、受け器の1つ以上が廃濾液受け器であり、受け器の1つ以上が目標保持液受け器である。システムは、目標保持液受け器に目標保持液を選択的に誘導するための、導管に沿った弁と、導管を通って少なくとも部分的に廃濾液を選択的に再循環させるための、導管に沿った弁とをさらに備えることができる。容器と濾過装置の間での1種以上の成分材料の輸送を容易にするための、導管と流体連通するポンプもシステムに組み込むこともできる。
【0008】
システムの容器は、2種以上の成分材料の相対的重量に少なくとも部分的に基づいて、材料を成分材料に分離するように適合させることができる。成分材料は沈降層に分離することができ、抽出装置は、沈降層のうち1つ以上を排出する(draw off)するか又はこれを抽出するように適合される。一実施形態では、抽出装置は、容器の最下層を排出するように適合され、別の実施形態では、抽出装置は、別法として又はこれに加えて、容器内の最上層又は最下層と最上層の間の1つ以上の層を排出することができる。
【0009】
システムは、所定の量の薬剤を薬剤受け器から選択的に除去し、この所定の量の薬剤を容器に導入するための、薬剤受け器と流体連通する弁をさらに備えることができる。この例の抽出装置は、材料と薬剤の混合を容易にするために、所定の量の材料を、以前に薬剤を導入した容器から抽出装置に吸引し、次いで吸引された材料を容器に戻すようにさらに適合させることができる。システムは、容器内の成分材料の1種以上の位置又はレベルを判断するための検知装置をさらに備えることができる。
【0010】
システム全体又は容器と濾過装置の間の成分材料の1種以上の輸送などの、システムの一部分を自動化することができる。
【0011】
生物材料を処理する方法の一例は、一般に、容器内に生物材料を用意し、この容器内の材料に凝集剤を加えて材料を2種以上の異なる成分材料に分離せしめ、容器から成分材料の1種以上を抽出し、容器に残った成分材料の1種以上を導管を介して濾過装置に自動的に輸送し、得られた目標保持液を目標保持液受け器に誘導することを含む。
【0012】
方法の一例は、以降の凍結保存及び/又は直接治療の適用例のために、例えば試料体積を減少させ、有核細胞の高い回収率及び生存率を達成し、出発試料中に存在する大多数の赤血球を除去するために、血液試料を処理することを含む。
【0013】
方法の一例では、全臍帯血、骨髄又は末梢血(GCSFにより刺激された末梢血を含む)から、多能性幹細胞を含む白血球(WBC)分画を単離することができる。本発明の方法の例の1つ以上は、濾過時間の調整及び使用するフィルタカートリッジに基づく広範囲の出発体積及び試料種類を扱う際の柔軟性を提供しながら、高い白血球回収率(>80%)、>95%のCD34回収率及び高い白血球細胞生存率(>95%)を達成することが可能である。
【0014】
現在の方法とは異なり、本発明の方法及びシステムによって、使用者が別個の遠心分離機を購入して使用することを必要とせずに、生物学的複合流体の自動処理が可能になる。本発明の方法及びシステムはまた、ある範囲の出発体積を処理し、使用者が指定した最終体積に試料を濃縮し、多重化された処理(例えば、処理する試料数/実行回数の増加/減少)で使用するように容易に適合可能である。
【0015】
一般に、本発明の方法及びキットは、血液分離方法及びシステムの効率を著しく増加させ、それによって総有核細胞数(TNC)の回収率を増加させる、生体適合性沈降促進剤を用意する。指定の濃度範囲では、これらの沈降促進剤は、無毒性で、生体内での使用に安全であると見なされる。
【0016】
血球を含む試料中の細胞を沈降させる方法の1つ以上の例は、凝集剤と、約10mM〜約100mMの範囲の最終濃度を有する無毒性促進剤とを加えることを含む。
【0017】
血球を含む試料中にある細胞を沈降させる方法の例のいくつかは、凝集剤と、クエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せを含む無毒性促進剤とを加えることを含む。
【0018】
細胞を沈降させるキットのいくつかの実施形態では、キットは、凝集剤と、クエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せを含む無毒性促進剤とを含む。
【0019】
細胞を沈降させるキットのいくつかの実施形態では、キットは、デキストラン、ヘタスターチ又はゼラチンからなる群から選択される凝集剤と、クエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せを含む無毒性促進剤とを含む。
【0020】
細胞を沈降させる方法のいくつかの実施形態では、得られる赤血球を含む試料から回収される総有核細胞数のパーセンテージを改善し、この方法は、凝集剤を加える段階と、無毒性促進剤を加える段階と、試料をインキュベートして複数のRBCを凝集させる段階と、総有核細胞数を回収する段階とを含む。
【0021】
本発明の上記及びその他の特徴、態様及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めばより良く理解できるであろう。全図面を通して類似の参照番号は類似の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】生物学的試料及びRBC凝集剤(促進剤の有無は問わない)がそれぞれ混合容器及び薬剤受け器内にある状態を示す、本発明のシステムの一実施形態の略図である。
【図2】凝集剤(促進剤の有無は問わない)が抽出装置に引き込まれた状態を示す、図1に示す実施形態の略図である。
【図3】凝集剤(促進剤の有無は問わない)が容器内の生物学的試料に混合された状態を示す、図2に示す実施形態の略図である。
【図4】薬剤/試料混合物の一部分が抽出装置に引き込まれた状態を示す、図3に示す実施形態の略図である。
【図5】引き込まれた部分が容器に戻された状態を示す、図4に示す実施形態の略図である。
【図6】混合物が沈殿の状況にある状態を示す、図5に示す実施形態の略図である。
【図7】沈殿した混合物の最下層が抽出装置に引き込まれた状態を示す、図6に示す実施形態の略図である。
【図8】抽出装置と容器の間のシリンジ弁が閉位置にある状態を示す、図7に示す実施形態の略図である。
【図9】容器とポンプの間のポンプ弁が開位置にあり、システムを流れる混合物が容器から導管を通過して濾過装置に至る状態を示す、図8に示す実施形態の略図である。
【図10】濾過廃液が濾過廃液受け器に回収され、試料がシステムを通って再循環することを示す、図9に示す実施形態の略図である。
【図11】ポンプ入口弁が容器に対して閉位置にあって、濾過廃液受け器に対して開位置にあり、廃濾液が導管及び濾過装置を通って再循環する状態を示す、図10に示す実施形態の略図である。
【図12】廃濾液が、流体経路に捕捉された目標保持液に代わるまで、システムを通ってポンプ注入される廃濾液を示す、図11に示す実施形態の略図である。
【図13】ポンプ入口弁が廃濾液受け器に対して閉位置にあって、容器に対して開位置にあり、ポンプと目標保持液受け器の間のポンプ出口弁が開位置にある状態を示す、図12に示す実施形態の略図である。
【図14】目標保持液が目標保持液受け器に回収される状態を示す、図13に示す実施形態の略図である。
【図15】容器の底部にある目標保持液の残量が目標保持液受け器に輸送される状態を示す、図14に示す実施形態の略図である。
【図16】ある量の目標保持液が容器の区域(vessel land)と目標保持液受け器の間の導管内に残存する状態を示す、図15に示す実施形態の略図である。
【図17】ポンプ入口弁が廃濾液受け器に対して開位置にある状態を示す、図16に示す実施形態の略図である。
【図18】廃濾液が導管内の残留する目標保持液を目標保持液受け器に押し出すまで、廃濾液が導管を通って輸送される状態を示す、図17に示す実施形態の略図である。
【図19】ポンプ出口弁が目標保持液受け器に対して閉位置にあり、廃濾液が容器に輸送される状態を示す、図18に示す実施形態の略図である。
【図20】廃濾液及びシステム内に残った目標保持液が補助濾液受け器に回収される状態を示す、図19に示す実施形態の略図である。
【図21】デキストラン単独、デキストランとクエン酸ナトリウムの併用及びデキストランとコハク酸ナトリウムの併用の場合に回収されたTNCの体積の例を示すグラフ及び表である。
【図22】クエン酸ナトリウムの沈降効率の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
特許請求の範囲に記載されている発明の主題を明確かつ簡潔に説明し示すために、以下の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語に関して以下の定義を記載する。明細書の全体を通じて、特定の用語の例示は非限定的な例として見なされるべきである。
【0024】
本明細書では、「容器」という用語は、少なくとも一時的な期間にわたってその領域内に液体を含有することが可能な、1つ以上のポートを有する任意の物体を指す。
【0025】
本明細書では、「生物材料」という用語は、2種以上の成分材料に凝集可能な、ある生物学的性質を持つ任意の材料を指す。生物材料の非限定的な例は、有核細胞を血漿溶液に残しながらRBCの凝集及び沈降/除去により分離できる、全血、臍帯血及び骨髄である。有核細胞には、WBC及び希少な幹細胞がある。
【0026】
有核細胞を処理するための方法の一実施形態は、一般に、細胞試料からの有核細胞の分離及び濃縮を含む。有核細胞としては希少な幹細胞などがあるがこれに限定されず、細胞試料としては血液及び骨髄があるがこれらに限定されない。濾過に基づく実施形態は、2つの一般的な段階を含む。第1の段階は、促進剤(例えばクエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム)を加えるかどうかにかかわらず、赤血球凝集剤(例えばデキストラン)などの沈殿液と細胞試料を接触させることを含む。この例の実施形態の促進剤は、RBC沈降速度を促進し及び/又は沈降後の最終集密RBC体積を減少させるために加える。その後、凝集されたRBCは、ドレナージ、排出又は他の適切な移動手段によって、血漿及び有核細胞を含有する上部分画から除去される。第2の段階は、RBCが枯渇した試料の濾過による体積減少及び有核細胞の濃縮を含む。濾過の一例では、中空糸濾過カートリッジ(General Electric Healthcare社(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ))を使用する。この実施形態は、高い細胞回収率(例えば、最小の細胞捕捉)、最小の細胞損傷及び短い処理時間を実現する。方法のこの例は、自動閉鎖系システムでの使用に適合可能である。方法及びシステムは複雑な生物材料の滅菌処理に適合可能であり、複雑な生物材料としては臍帯血及び他の細胞試料材料があるがこれらに限定されない。
【0027】

2段階からなる自動化方法の例は、単なる濾過、遠心分離法又は磁気分離単独ではなく、分離に続いて濾過を組合せるものであり、遠心分離機の試料ホルダの物理的寸法が固定されていることにより、遠心分離法に比べて、(1)総有核細胞数(TNC)回収率の増加、(2)RBC除去の増加及び(3)ある範囲の試料体積(例えば50〜300mLの血液)を扱う際の柔軟性の向上を実現する。サイズの固定された遠心分離機とは異なり、システム及び方法で使用されるフィルタは、試料体積に従って拡大縮小することができる。
【0028】
出発材料の体積を(例えば重量、目視検査によって)決定する。所望の化学量論比(典型的には血液:デキストランが1:1又は1:2)に基づいてRBC凝集試薬の必要量を計算する。
【0029】
細胞試料の出発材料を処理容器に移動する。RBC凝集試薬(複数可)も処理容器に移動する。次に、試料と試薬を混合し、RBC凝集及び重力沈降のために約20分間インキュベートする。
【0030】
次に、凝集されたRBC分画を容器の上部の白血球(WBC)/血漿分画から(例えばポンプ注入、ピペット操作又はドレナージによって)抽出する。次いで、適切な穴のサイズ(例えば約0.65μmの穴)を有する濾過装置(例えば中空糸カートリッジ)に、残ったWBC/血漿分画を(例えばポンプ注入、陽圧又は陰圧によって)移動する。過剰な血漿は濾過装置を通過し、廃濾液受け器に回収されるが、WBCは保持される。
【0031】
分画試料は、試料体積が所望の最終体積(例えば5〜20ml)に濃縮されるまで、濾過装置を通って再循環される。試料は、典型的には長期凍結保存のために、目標保持液受け器に移動される。次いで、フィルタ及び管類は、この「デッドボリューム」に存在する細胞を、典型的には血漿及び/又は空気を使用して回収するために清掃(purge)される。次に、この材料を濃縮試料に加える。高い総有核細胞数回収率(>85%)及び生存率(>95%)が達成される。
【0032】
図1は、生物学的試料及び促進剤がそれぞれ混合容器及び薬剤受け器内にある状態を示す、システムの一実施形態の略図である。図1に図示され、全体的にシステム10と呼ばれるシステムの実施形態は、生物材料を収容して2種以上の異なる成分材料に分離させることのできる容器12と、この容器から成分材料の1種以上を除去する抽出装置16と、濾過装置20と、容器と濾過装置の間で1種以上の成分材料を輸送する導管18と、少なくとも容器と濾過装置の間での導管を介した成分材料の1種以上の輸送を制御するための制御装置30とを備える。この実施形態は、システムの構成の一例に過ぎない。構成要素の数及び種類は、所与の設定の必要に応じて変えることができ、システムを通過する材料の順序及び流れも必要に応じて変えてもよい。例えば、材料は、種々の構成及び構成要素を使用して、抽出、貯蔵、洗浄及び混合を行ってもよい。
【0033】
図1に示す実施形態では、容器12は開口を上部に有し、この開口を通して、この例では弁34と流体連通するシリンジである抽出装置が、処理中の様々なときに薬剤を導入して容器12から材料及び成分材料を取り出す。
【0034】
システム10は、1種以上の濾液を少なくとも一時的に貯蔵するための受け器も備える。この実施形態の受け器の1つは、濾液受け器22及び目標保持液受け器24である。システム10は、目標保持液受け器に目標保持液を選択的に誘導するための、導管に沿った弁30と、導管を通って少なくとも部分的に廃濾液を選択的に再循環させるための、導管に沿った弁28と、選択的に1種以上の薬剤を容器12に導入し、薬剤を試料と混合するために容器12から材料を抽出し、成分材料の凝集後に容器12から成分材料の1種以上を抽出するための弁34とをさらに備える。
【0035】
システム10は、センサ32などの1つ以上のセンサも備えることができる。センサ32は容器12内の材料の1つ以上のパラメータを検知するために使用することができ、このパラメータとしては、容器内の所与の位置における成分材料の存在、容器内の環境条件及び生物材料又は成分材料の品質又は特性があるが、これらに限定されない。容器内の環境条件は、温度、pH、湿度、圧力などであるが、これらに限定されない。センサは、光センサ、超音波センサ、圧電センサ、運動センサ、RFIDセンサ、電磁センサ及び荷重センサとすることができるが、これらに限定されない。
【0036】
システム10は、ポンプ26、抽出装置16、並びに弁28、34及び30を自動化し協調させるための制御サブシステム30(本明細書ではコントローラとも呼ばれる)も備える。制御サブシステム30はまた、システムの使用者から入力を受け取り、システムを使用して処理するために容器12に導入された材料の量及び種類に基づいて容器12に加えるべき薬剤の量及び/又は種類を決定するように構成されてもよい。システムは、所与のシステムの構成に応じて、制御サブシステムによって完全に又は部分的に自動化されてもよい。薬剤は、必要に応じて、処理するべき材料及び成分材料の種類又は量に応じてシステムのポートに挿入された着脱可能なカセット内に含まれてもよい。
【0037】
システム10は、システムの種々の構成要素間での1種以上の成分材料の輸送を容易にするための、導管と流体連通する、ポンプ26をさらに備える。この実施形態のポンプ26は蠕動ポンプであるが、システムの構成に適した任意の種類のポンプを備えてもよい。
【0038】
システムの容器12は、2種以上の成分材料の相対的重量に少なくとも部分的に基づいて材料を、凝集された成分材料に分離するように適合させることができる。成分材料は沈降層に分離し、この実施形態の抽出装置は、沈降層の1つ以上を排出又は抽出するように適合される。図1に示す実施形態では、抽出装置16は、成分材料がそれぞれの沈降層に分離したら容器内の最下層を排出するために容器12の底部に向かって位置する末端を有する収集ラインを備える。別法として又はこれに加えて、抽出装置は、容器に対する抽出装置の構成に応じて、容器内の最上層又は最下層と最上層の間の1つ以上の層を排出することができる。
【0039】
シリンジ16と弁34は、薬剤受け器14と流体連通し、図2及び図3に示すように、所定の量の薬剤を薬剤受け器から選択的に除去し、所定の量の薬剤を容器12に導入する。この例の抽出装置は、図4及び図5に示すように、材料と薬剤の混合を容易にするために、所定の量の材料を、以前に薬剤を導入した容器から抽出装置に吸引し、次いで、この吸引された材料を容器に戻すようにさらに適合されることができる。混合段階を実施するため、弁34は、受け器14に対して閉じ、容器12に対して開いて、シリンジ16と容器12の間の流体連通を開く。凝集剤が容器12の材料(例えば全血)と混合されると、典型的には、その混合物が沈殿してその種々の沈降層を形成するための時間が必要である。全血又は臍帯血を例えばデキストラン及びクエン酸ナトリウムと混合した場合、図6に示すような沈殿は20分以内に発生するはずである。
【0040】
センサ32などの検知装置は、容器内での成分材料の1つ以上の位置又はレベルを判断することによって、いつ成分材料が凝集してそれぞれの層に分離したかを決定するために使用することができる。
【0041】
全血を処理するこの例で使用するための、考えられる薬剤の非限定的な例は、デキストラン(凝集促進剤)及びクエン酸ナトリウム及びコハク酸ナトリウムであり、いずれも凝集を促進する。これら3つの薬剤の例は、生物学的試料中のWBC及びRBCなどの、異なる種類の成分材料の凝集及び沈降を開始及び加速するための凝集剤及び/又は凝集促進剤として作用することによって、方法及びシステムを強化する。
【0042】
図7は、沈殿した混合物の最下層がシリンジ16に引き込まれた状態を示す、図6に示す実施形態の略図である。システムは、図7に示すRBCなどの層のうち1つ以上が所定の設定値に達するまで、層のうち1つ以上を抽出するように構成されることができる。センサ32は、いつ設定値に達したかを判断するために使用することができる。RBCがシリンジ16に戻されると、シリンジ16と容器12の間の弁34が閉じ、RBCが漏出して容器に戻ることを防ぐ。図8は、抽出装置と容器の間の弁34が閉位置にある状態を示す、図7に示す実施形態の略図である。
【0043】
図9は、容器とポンプ26の間のポンプ弁28が開位置にあり、システムを流れる混合物が容器12から導管18を通過して濾過装置20に至る状態を示す、図8に示す実施形態の略図である。混合物が濾過装置20によって濾過されるとき、図10に示すように、この例では血漿である濾過廃液が濾過廃液受け器22に回収される。システムは、容器12を通過して再循環する試料の体積が所定のレベルに達するまで、濾過装置20を通過する試料の再循環を継続するように構成されることができる。例えば、センサは、容器12中の総有核細胞数(TNC)の濃度レベルを光学的に監視するために使用することができる。
【0044】
濾過装置16を掃除するために、ポンプ入口弁28は、容器に対して閉じ、濾過廃液受け器22に対して開いて、廃濾液(この例では、血漿)が導管18及び濾過装置20を通過して再循環できるようにする(図11)。図12は、廃濾液が、流体経路に捕捉された目標保持液(例えばTNC)に代わるまで、システムを通ってポンプ注入される廃濾液を示す、図11に示すシステム10の略図である。
【0045】
目標保持液は、生物材料から分離され、目標保持液受け器24に回収されることを意図する成分材料の1種以上を含む。この例では、目標保持液はTNCを含む。目標保持液受け器は、種々の血液成分用の回収袋など、所与の目的に適している任意の受け器であってよい。処理される材料に応じて、複数の排水及び目標保持液受け器があってもよい。複数の受け器の代わりに又はこれらに加えて、排水及び目標保持液受け器は、処理ごとに、さらに、回収が望ましい複数の成分材料があるときは単一の処理期間中にすら、交換可能とすることができる。システムはまた、所与の出発材料内の様々な種類の成分材料を捕らえて分類するために、一連の濾過装置と、排水及び目標保持液受け器とを備えてもよい。
【0046】
図13は、図12に示す段階の後のシステム10を示し、ポンプ入口弁28は廃濾液受け器に対して閉位置にあって、容器に対して開位置にあり、ポンプと目標保持液受け器の間にあるポンプ出口弁30は、図14に示すように目標保持液を目標保持液受け器に回収するために開位置にある状態を示す。
【0047】
図15に示すように、容器の底部に残った少量の目標保持液ですら、目標保持液受け器に輸送することができる。しかし、図16に示すように、ある残存量の目標保持液が、容器と目標保持液受け器の間の導管内に残留してもよい。この導管内に残存する目標保持液を洗浄及び回収するために、廃濾液が導管内に残存する目標保持液を目標保持液受け器に押し込む(図18)まで、ポンプ入口弁28を廃濾液受け器に対して開いて(図17)、導管18を通して廃濾液をポンプ注入する。
【0048】
システムの最終洗浄として、廃濾液(例えば血漿)がシステムを通って洗浄してもよい。図19に示すように、ポンプ出口弁は目標保持液受け器に対して閉じ、廃濾液がシステムを通ってポンプ注入され、システム全体を洗浄して、に残った成分材料を容器内に回収する。次に、この容器内の成分材料の回収物は、交換可能な補助濾液受け器に回収してもよいし又はこれに加えて、目標保持液受け器24にも回収してもよい(図20)。
【0049】
図1に示すシステムの濾過装置は、末梢血、臍帯血及び/又は骨髄などの生物学的複合流体から細胞分画を単離することが可能である。システム10の濾過装置を作製する方法の一例を以下に記載する。
【0050】
システム10は、システムによって処理可能な種々の材料、成分材料及び薬剤に関する情報及びデータ並びにシステムが適合可能な機械変数及び環境変数に関する情報を保存するためのメモリ記憶装置などの、他の補助構成要素を備えてもよい。システムは、システムのセンサによって収集された情報及びデータに応じて機械及び所与の処理の条件を直観的に調整するようにプログラムされてもよい。メモリ記憶装置は、CPU(中央処理装置)のROM(読み出し専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、若しくはDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)などのプロセッサに関連する任意の適切なハードドライブメモリ又はDVD若しくはCDなどの任意の適切なディスクドライブメモリ装置又はzipドライブ若しくはメモリカード若しくはメモリスティックを備えてもよい。メモリ記憶装置は、システムから遠隔にありながら、それでも、ハードワイヤードであろうとワイヤレスであろうと、任意の適切な接続装置又は通信ネットワークを介してアクセスされてもよい。通信ネットワークとしては、ローカルエリアネットワーク、ケーブルネットワーク、衛星ネットワーク及びインターネットがあるがこれらに限定されない。プロセッサ又はCPUは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ及びデジタル信号プロセッサ(DSP)を含むことができる。
【0051】
システムは、使用者がシステムに情報を入力し、所与の処理の1回又は複数回の実行に関する情報及びデータにアクセス及び表示し、情報及びデータを編集し、並びに/又はレポートを生成できるための入力装置及び表示装置をさらに備えることができる。表示装置は、デジタル画像を表示可能な任意の適切な装置を含んでもよく、これらの装置はLCD又はCRTを組み込んだ装置などであるが、これらに限定されない。
【0052】
特に明記しない限り、冠詞「a」は、冠詞「a」によって修飾される単語の1つ以上を指す。特に明記しない限り、明細書及び請求項で使用される成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す数字はすべて、あらゆる例で「約」という用語によって修飾されることを理解されたい。従って、特にそれとは反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明により獲得しようと努められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲の等価物の原則の適用例を限定しようとすることなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効な桁数を考慮して、通常の丸め技法を適用することによって解釈するべきである。
【0053】
「凝集剤」は、本明細書において、血球の凝集を容易にするのに役立つ分子と見なされる。凝集剤の例としては、フィブリノーゲン又はガンマグロブリンのようなある種のタンパク質などの高分子量ポリマー分子、ゼラチン、並びにデキストラン、ヘタスターチ、ペンタスターチ及びポリエチレングリコール(PEG)のようなある種の多糖類があるが、これらに限定されない。
【0054】
「キット」は、本明細書において、所与のアッセイ又は試験に必要な1種以上の反応物、キットに存在する反応物を使用するための一連の指示及び反応条件を維持するために必要な任意の緩衝液及びスピンカラム又はエッペンドルフチューブなどの他の任意選択の材料と見なされる。
【0055】
血球を沈降させるための本発明の方法及びキットは、一般に、RBCの沈降を促進するためにクエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウムなどの1種以上の無毒性促進剤を加えることを含む。医療行為ではクエン酸ナトリウム及びコハク酸ナトリウムは既に非経口的に投与されているので、これらの方法及びキットの無毒性促進剤は生体内の適用例でヒトにとって安全であり、RBCの沈降後に回収された細胞を治療目的で使用してもよい。
【0056】
赤血球の沈降を促進するための方法の1つ以上の例では、種々の治療適用例に望ましい高い細胞生存率を有するTNCなどの純度が高い細胞の回収率が増加する。
【0057】
方法のうち1つ以上で使用される無毒性促進剤は、沈降の速度を増加させる。方法のうち1つ以上で使用される無毒性促進剤の非限定的な例は、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム及びそれらの組合せである。
【0058】
いくつかの例では、細胞を沈降させる方法は、種々の濃度範囲の凝集剤及び無毒性促進剤を加えることによって処理される血球を含む試料を用意することを含む。適切な濃度範囲の例としては、10mM〜100mM、12.5mM〜75mM、25mM〜75mM及び50mM〜75mMがあるが、これらに限定されない。
【0059】
いくつかの例では、試料中の細胞を沈降させる方法は、約12.5mM〜約100mMの最終濃度範囲を有する凝集剤及び無毒性促進剤を加えることによって処理される血球を用意することを含み、この無毒性促進剤は、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム又はそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、凝集剤はデキストランを含み、無毒性促進剤はクエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム又はそれらの組合せを含む。
【0060】
細胞を沈降させるためのキットの実施形態のうち1つ以上は、凝集剤と無毒性促進剤とを含む。細胞を凝集させるためのキットの実施形態のうち1つ以上は、凝集剤と、クエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せを含む無毒性促進剤とを含む。細胞を凝集させるためのキットの実施形態のうち1つ以上は、デキストランである凝集剤と、無毒性促進剤とを含む。
【0061】
高い純度及び生存率で細胞を回収する方法は、一般に、凝集剤と、沈降させるための無毒性促進剤を組合せて使用する。例えば、例の1つでは、赤血球を含む試料は、凝集剤及び無毒性促進剤を加え、続いて試料のインキュベーションとTNCの最後の回収を行うことによって、処理される。
【0062】
赤血球を含む試料からTNCの所定の割合を回収する方法のうち1つ以上は、凝集剤及び無毒性促進剤を所定の濃度で加える段階、続いて試料のインキュベーションを行う段階、総有核細胞数を最後に回収する段階を含む。特定の実施形態では、促進剤は、クエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せである。
【実施例】
【0063】
本発明の実施は、以下の例からより良く理解されるであろう。これらの例は、説明のために本明細書に記載されているに過ぎず、決して本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0064】
実施例1
材料:ヒトの末梢血を実験に使用した。この例で使用したデキストランT500は、Pharmacosmos社(デンマーク)から入手した。クエン酸ナトリウム二水和物はJ T Baker社から入手した。コハク酸ナトリウムはSigma社(米国ミズーリ州セントルイス)から入手した。
【0065】
赤血球凝集の程度は、様々な生体適合性促進剤の存在下で生体外にて測定した。凝集促進剤のない対照試料は、血液試料2.4mlと3%デキストランT500含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS)2.4mlを混合することによって調製し、次いでインキュベートした(デキストランの最終濃度は1.5%であった)。2つの試験試料も調製した。第1の試験試料は、血液試料2.4mlと3%デキストランT500及び100mMクエン酸ナトリウム含有PBS2.4mlを混合することによって調製し、次いでインキュベートした(デキストランの最終濃度は1.5%、クエン酸ナトリウムの最終濃度は50mMであった)。第2の試験試料は、血液試料2.4mlと3%デキストランT500及び100mMコハク酸ナトリウム含有PBS2.4mlを混合することによって調製し、次いでインキュベートした(デキストランの最終濃度は1.5%、コハク酸ナトリウムの最終濃度は50mMであった)。対照試料及び試験試料のインキュベーション時間は約20分であり、室温で行った。
【0066】
赤血球が沈降した後、上澄み液を回収した。次に、回収した上澄み液の量を測定した。各実験を3回繰り返し(n=3)、各セットの標準偏差を計算した。最終データを図21の棒グラフに示す。対照(デキストランのみ)の方が標準偏差の値が高いことは、おそらく圧縮が小さく、上澄み液の回収率が少ないことに起因する。
【0067】
図21は、クエン酸ナトリウム及びコハク酸ナトリウムが赤血球凝集に及ぼす影響の一例である。デキストランの存在下で回収された上澄み液の体積を対照とし、これと、クエン酸ナトリウム及びデキストランの存在下又はコハク酸ナトリウム及びデキストランの存在下で回収された上澄み液の体積と比較する。凝集の程度は、回収された上澄み液の体積を反映する。圧縮を増加させると、凝集の程度が向上し、上澄み液の回収率が改善する。実験は室温で行い、この例において凝集させるためのインキュベーション時間は約20分であった。
【0068】
実施例2
赤血球凝集の効率を、様々な濃度の無毒性促進剤の存在下で生体外にて測定した。1.5%デキストランT500と共に、促進剤を加えずにインキュベートした血液試料を対照とする。対照試料は、血液試料2.0mlと3%デキストランT500含有PBS2.0mlを混合することによって調製した。1.5%デキストランT500並びに促進剤として12.5mM、25mM、50mM、75mM及び100mMのクエン酸ナトリウムを含有する血液試料を試験試料とした。この試験試料は、血液試料2.0mlと、3.0%デキストランT500並びに25mM、50mM、100mM及び150mMのクエン酸ナトリウムをそれぞれ含有するPBS2.0mlを混合することによって調製し、各試験試料のデキストランの最終濃度は1.5%になり、それぞれの試験試料のクエン酸ナトリウムの最終濃度は12.5mM、25mM、50mM及び75mMとなった。対照及び試験セット用の試料を室温で20分インキュベートした。
【0069】
赤血球が沈降した後、流体を回収した。次に、回収した上澄み液の体積を測定した。各実験を3回繰り返し(n=3)、各セットの標準偏差を計算した。最終データを図22の棒グラフに示す。
【0070】
本明細書では本発明のいくつかの特徴のみについて例示し説明して来たが、当業者には多くの修正や変更が明らかであろう。従って、特許請求の範囲はかかる修正や変更のすべてを本発明の真の範囲内に入るものとして包含するものと了解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物材料を処理するためのシステムであって、
生物材料を収容して2種以上の異なる成分材料に分離させることのできる容器と、
前記容器から前記成分材料の1種以上を除去する抽出装置と、
濾過装置と、
前記容器と前記濾過装置の間で1種以上の成分材料を輸送する導管と、
前記容器と前記濾過装置の間で前記導管を介して前記成分材料の1種以上を少なくとも輸送するための制御装置と
を備えるシステム。
【請求項2】
1種以上の濾液を少なくとも一時的に貯蔵するための1つ以上の受け器をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記受け器の1つが廃濾液受け器である、請求項2又は請求項3記載のシステム。
【請求項4】
前記受け器の1つが目標保持液受け器である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のシステム。
【請求項5】
前記容器と前記濾過装置の間で1種以上の成分材料を輸送するための、前記導管と流体連通するポンプをさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記目標保持液受け器に目標保持液を選択的に誘導するための弁を前記導管に沿ってさらに備える、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
前記導管を通って少なくとも部分的に前記廃濾液を選択的に再循環させるための弁を前記導管に沿ってさらに備える、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
前記容器が、2種以上の成分材料の相対的重量に少なくとも部分的に基づいて前記材料を成分材料に分離するのに適合している、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
前記容器が、前記成分材料を沈降層に分離するのに適合している、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
前記抽出装置が、前記沈降層のうち1つ以上を排出するのに適合している、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記抽出装置が、前記容器内の最下層を排出するのに適合している、請求項9又は請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記抽出装置が、前記容器内の最上層を排出するのに適合している、請求項9乃至請求項11のいずれか1項記載のシステム。
【請求項13】
所定の量の薬剤を前記薬剤受け器から選択的に除去し、前記所定の量の薬剤を前記容器に導入するための、薬剤受け器と流体連通する弁をさらに備える、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載のシステム。
【請求項14】
前記抽出装置が、さらに、前記材料と前記薬剤の混合を容易にするために、所定の量の材料を、前記薬剤が前もって導入されている前記容器から吸引し、次いで前記吸引された材料を前記容器に戻すのに適合している、請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載のシステム。
【請求項15】
前記容器内における前記成分材料の1種以上の位置又はレベルを判断するための検知装置をさらに備える、請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載のシステム。
【請求項16】
前記容器と前記濾過装置の間の前記成分材料の1種以上の輸送が自動化されている、請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載のシステム。
【請求項17】
前記容器内の前記成分材料の1種以上の存在を判断するセンサをさらに備える、請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載のシステム。
【請求項18】
生物材料を処理するための方法であって、
容器内に生物材料を用意し、
前記容器内の前記材料に凝集剤を加えて、前記材料を2種以上の異なる成分材料に分離せしめ、
前記容器から前記成分材料の1種以上を抽出し、
前記容器に残った前記成分材料の1種以上を濾過装置に自動的に輸送し、
得られた目標保持液を目標保持液受け器に回収する
ことを含む方法。
【請求項19】
前記容器に残った前記成分材料が導管を介して前記濾過装置に輸送される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記容器内の前記成分材料の1種以上の存在を検知することをさらに含む、請求項18又は請求項19記載の方法。
【請求項21】
設定値に達するまで、前記成分材料の1種以上が抽出される、請求項18乃至請求項20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
得られる廃濾液を廃濾液受け器に誘導することをさらに含む、請求項18乃至請求項21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記目標保持液を前記目標保持液受け器に回収した後で前記濾過装置を前記廃濾液で洗浄することをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記生物材料が全血、臍帯血又は骨髄を含む、請求項18乃至請求項23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記目標保持液が有核細胞を含む、請求項18乃至請求項24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記有核細胞が幹細胞を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記容器内の前記材料に凝集促進剤を加えることをさらに含む、請求項18乃至請求項25のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記促進剤がクエン酸、コハク酸、その塩又はそれらの組合せを含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
血球を含む試料中の細胞を沈降させる方法であって、
凝集剤を加える段階と、
約10mM〜約100mMの最終濃度範囲を有する無毒性促進剤を加える段階と
を含む方法。
【請求項30】
前記無毒性促進剤がクエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記無毒性促進剤の濃度が約12.5mM〜約75mMの範囲である、請求項29又は請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記無毒性促進剤の濃度が約25mM〜約75mMの範囲である、請求項29又は請求項30記載の方法。
【請求項33】
前記無毒性促進剤の濃度が約50mM〜約75mMの範囲である、請求項29又は請求項30記載の方法。
【請求項34】
前記凝集剤がデキストラン、ヘタスターチ又はゼラチンからなる群から選択され、前記無毒性促進剤がクエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せを含む、請求項29乃至請求項33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
血球を含む試料中の細胞を沈降させる方法であって、
凝集剤を加える段階と、
クエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せを加える段階と
を含む方法。
【請求項36】
前記無毒性促進剤の濃度が約10mM〜約100mMの範囲である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記無毒性促進剤の濃度が約12.5mM〜約75mMの範囲である、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記無毒性促進剤の濃度が約25mM〜約75mMの範囲である、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記無毒性促進剤の濃度が約50mM〜約75mMの範囲である、請求項35記載の方法。
【請求項40】
前記凝集剤がデキストラン、ヘタスターチ又はゼラチンからなる群から選択され、前記無毒性促進剤がクエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せを含む、請求項35乃至請求項39のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
血球を含む試料中の細胞を沈降させるキットであって、
凝集剤と、
無毒性促進剤と
を含むキット。
【請求項42】
前記無毒性促進剤がクエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せである、請求項41記載のキット。
【請求項43】
前記凝集剤がデキストランである、請求項41又は請求項42記載のキット。
【請求項44】
血球を含む試料中の細胞を沈降させるキットであって、
凝集剤と、
クエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せである無毒性促進剤と
を含む、キット。
【請求項45】
血球を含む試料中の細胞を沈降させるためのキットであって、
デキストラン、ヘタスターチ又はゼラチンからなる群から選択される凝集剤と、
無毒性促進剤と
を含む、キット。
【請求項46】
赤血球を含む試料から総有核細胞数の所定の割合を回収する方法であって、
凝集剤及び無毒性促進剤を加える段階と、
前記試料をインキュベートして、複数の赤血球を凝集させる段階と、
前記総有核細胞数を回収する段階と
を含む方法。
【請求項47】
前記無毒性促進剤がクエン酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム又はそれらの組合せである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記無毒性促進剤が約10mM〜約100mMの範囲の最終濃度を有する、請求項46又は請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記無毒性促進剤が約12.5mM〜約75mMの範囲の最終濃度を有する、請求項46又は請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記無毒性促進剤が約25mM〜約75mMの範囲の最終濃度を有する、請求項46又は請求項47記載の方法。
【請求項51】
前記無毒性促進剤が約50mM〜約75mMの範囲の最終濃度を有する、請求項46又は請求項47記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2012−510271(P2012−510271A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538586(P2011−538586)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051327
【国際公開番号】WO2010/064973
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】