説明

体液分析用手持ち式装置のテープ・カートリッジおよび手持ち式装置

【課題】テープのたるみによる機能不全を防止したテープ・カートリッジを提供すること。
【解決手段】テスト・テープ(104)と、未使用のテスト・テープのためのリール本体(102)と、使用済みのテスト・テープのためのリール本体(103)とを有しており、テスト・テープ(30)を前進させるために少なくとも1つのリール本体(103)が駆動される体液分析用のテープ・カートリッジ(100)であって、
テープ駆動装置として手動操作の搬送機構(107、108)が設けられていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液検査用手持ち式装置のテープ・カートリッジであって、テスト・テープと、未使用のテスト・テープのための保管ユニットと、使用済みのテスト・テープのための廃棄ユニットとを有し、廃棄ユニットがテスト・テープを前進方向へと巻くべく駆動されるテープ・カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなテープ・カートリッジにおいては、テスト・テープの未使用の部分が、供給リールから引き出されて受け入れ装置を越えて案内され、受け入れ装置において体液のサンプルを吸収する。その後、今や使用済みとなったテスト・テープのこの部分が、廃棄リールへと巻き取られる。サンプルの測定を行なって測定結果を評価用の装置へと伝達する検出装置が、受け入れユニットに取り付けられている。
【0003】
このようなテープ・カートリッジは、血糖値の継続的な監視を前提とする糖尿病患者のための血糖値の測定器具において、好ましく使用されている。テスト・テープは、たとえば指パッドからの毛細管血液を適用した後に、器具の内部で血糖値の検査を実行できるようにする。この目的のため、複数のテスト部またはテスト場が、テスト・テープ上に連続的に配置されている。テープの未使用の部分が、テープを前進させることによって使用位置へと動かされる。次いで、毛細管血液が適用されて分析される。きわめて少量の血液を簡単に投与するとともに、テスト・テープを検出装置に対して可能な限り正確に位置させるため、テスト・テープは、器具内の偏向ヘッドを乗り越えるように案内される。このプロセスにおいて、テスト・テープが偏向ヘッドから滑って外れた場合、誤った測定の恐れが存在する。測定が成功するためには、テスト・テープは、よく規定された位置を保つとともに、検出ユニットに対して所定の間隔を維持しつつ、偏向ヘッドに均一に当接して位置しなければならない。これは、少なくとも測定が完了するまでのあいだ必要である。他の課題は、テスト・テープが汚染の影響をきわめて受けやすい点にある。したがって、テスト・テープの未使用の領域は、使用済みの領域から空間的に分離されているべきであり、さらにテスト・テープの機能を劣化させうる外部の影響からも、遮蔽されているべきである。このような理由で、保管ユニットと廃棄ユニットとのあいだの直接駆動接続は、きわめて困難である。
【0004】
さらに、従来技術の手持ち式装置は、継続的な使用のために設計されており、テープ・カートリッジが交換される。したがって、それらの手持ち式装置は比較的大型であり、とくには器具に係る技術が複雑化するため、製造にかなりの手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、テープのたるみによる機能不全を防止したテープ・カートリッジを提供することにある。
【0006】
他の目的は、小型であって製造に好都合な設計を有している手持ち式装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、独立請求項のそれぞれに記載の特徴の組み合わせが、提案される。本発明の好都合な実施の形態およびさらなる発展が、従属請求項から導き出される。
【0008】
すなわち、テスト・テープを引っ張り下に保持するブレーキ手段を、テープ・カートリッジに一体化させることが提案される。これにより、廃棄ユニットの駆動装置が、この引っ張りに逆らってテスト・テープを搬送するため、必要とされる最小限のテープの引っ張りを維持することができ、したがってテスト・テープが保管ユニットから引き出されすぎることがなく、あるいは意図せず巻き戻されることがない。これにより、テスト・テープを、検出ユニットに対してよく規定された位置で偏向させることができる。このプロセスにおいて、最小限のテープの引っ張りが、意図せぬ横方向の変位をも防止する。テープの駆動力は、いずれの場合も、ブレーキ手段の作用に打ち勝つための充分な大きさでなければならない。
【0009】
とくには、テスト・テープを引っ張り下に保つブレーキ力を、保管ユニットに加えると好都合である。これは、とくに、使用済みのテスト・テープが適用場所に向かって意図せず巻き戻されることがないようにする。また、テスト・テープのすでに血液で汚染された領域が、テープ・カートリッジから再び引き出されることがないようにもしており、これは衛生上の重要な利点である。
【0010】
ブレーキ手段は、ブレーキ力をテスト・テープへと直接加えることができる。あるいは、ブレーキ手段が、テスト・テープのリール本体へと作用して、テスト・テープに間接的にブレーキを加えてもよい。後者の場合には、テープ・スプールの直径の変化に対する許容を設ける必要がない。さらに、後者によれば、テスト・テープに追加の機械的応力が加わることがない。
【0011】
簡潔な実施の形態は、ブレーキ手段が保管ユニットに一定のブレーキ力を作用させることを特徴とする。これは、ブレーキ手段を摩擦要素として設計することによって達成でき、とくには、摩擦要素として板ばねを有している。ブレーキ手段が、テスト・テープの通路において保管ユニットを封じるシールによって形成される場合には、さらなる利点がもたらされる。
【0012】
さらに幾分か複雑な実施の形態においては、ブレーキ手段が、可変のブレーキ力にて保管ユニットに作用する。これにより、供給スプールの直径が減少するとき、テスト・テープを引き出すために必要な力が増加するが、その増加の程度を、上記の簡潔な実施の形態に比べて小さくすることができる。この点に関し、供給スプールが駆動装置によって打ち勝たなければならない或る特定の軸受け摩擦を有していることを、考慮すべきである。したがって、廃棄スプールのモーメント半径と加えられる力とからもたらされるトルクを、供給スプールからテープを繰り出すために加える必要がある。すなわち、供給スプールの半径が時間とともに減少すると、この力を増加させなければならない。ブレーキ力が、テープ張力の関数として減少するならば、力の増加を全体としてより小さく保つことが可能である。
【0013】
好都合な実施の形態は、ブレーキ手段が偏向レバーを有し、好ましくはブレーキ力がばねを介して偏向レバーに加えられ、偏向レバーが好ましくはローラ上でテープを偏向させること特徴とする。テープの張力が減少すると、偏向レバーの荷重が除かれる。偏向レバーには、たとえばブレーキ力を作用させるべく板ばねまたは圧縮ばねにて荷重を加えることができ、好ましくは偏向レバーが、テスト・テープのスプール・ハウジングにブレーキとして作用する。
【0014】
さらなる改善は、テープの張力がほぼ一定に保たれるよう、ブレーキ力をテープの張力によって調節するだけでなく、さらに補償機構の助けを借りて、現在のスプールの直径によっても調節することを考えている。
【0015】
この目的は、ばねによって付勢されてテープ・スプールの円周に触れているロッカー・アームを有しており、このばね付勢がテープ・スプールの直径が減少するにつれて小さくなり、対応してブレーキ力が小さくなる補償機構によって達成される。このようにして、テープの張力が一定に保たれる。
【0016】
他の好都合な実施の形態においては、形態一致または摩擦の様相で作用する巻き戻し係止装置または巻き戻しブレーキを、廃棄ユニットに設けることができる。係止機構として巻き戻し係止装置が使用される場合には、テスト・テープを前進させるための駆動装置が、保管ユニットの摩擦にのみ打ち勝つだけでよく、とくに駆動装置の電池が節約される。この巻き戻し防護は、テープ・カートリッジが手持ち式装置から取り外されるときでも有効であって、使用済みのテープが意図せず繰り出されてしまうことがないようにするため、好都合には、テープ駆動装置に作用させるべきではない。巻き戻し係止装置は、逆方向において形状が嵌まり合って廃棄ユニットの逆回転を防止するようなやり方で、たとえば廃棄ユニットのスプール・ハウジングの歯車歯と係合する安全キャッチとして、公知のやり方で設計できる。このようにして、廃棄ユニットが、「巻き付け」方向の回転に限定される。しかしながら、摩擦による係止機構を設けてもよい。この目的のため、たとえばラップ・スプリング・ロックまたはクランプ・ローラー・フリー・ホイールなど、種々の機構を思い描くことができる。
【0017】
テープ・カートリッジは、好ましくはテスト・テープ、保管ユニット、および廃棄ユニットを取り囲むハウジングを有している。保管ユニットは、テスト・テープを劣化させうる影響から遮蔽された保管空間に収容されるべきである。これは、たとえば、保管空間の壁によってハウジングの壁との重複領域を形成し、この重複領域に沿ってテスト・テープの通路を形成することによって、達成できる。この通路には、好都合には、テスト・テープを外部の影響から保護するため、少なくとも1つのシール物あるいはシール手段が設けられるべきである。
【0018】
さらに本発明は、テープ駆動装置として手動操作の搬送機構が設けられているテスト・テープ用テープ・カートリッジに関する。この目的のため、好ましくは駆動レバーが設けられ、テスト・テープを機械的に動かすことができるやり方で、送り部材とくにはツメを介して前進要素(たとえば、キャプスタンまたは位置決めホイール)と係合する。これにより、電池による動力供給は不要である。実際の測定プロセスにおいて必要とされるエネルギーは、手動操作によって、とくには誘導発電機によって生成でき、あるいは圧電的に生成することができ、たとえばコンデンサまたは高性能コンデンサ(スーパーキャパシタ)に一時的に保存することができる。さらに、テープ・カートリッジが、好ましくは、いわゆる使い捨ての1回限り使用の物品であることを意図する手持ち式装置を形成し、コストを抑えた構成であるため、テスト・テープが使用されたのちに廃棄することができる。
【0019】
送り機構は、たとえば、保管ユニットおよび/または廃棄ユニットに形成された段差と係合するラチェットによって構成できる。このような構成は頑丈であり、操作が容易である。
【0020】
テスト・テープの送りは、好都合には、レバーが少なくとも1回駆動されたときにテスト要素が測定準備可能になるようなやり方で、好ましくは穴によって同期され、測定をきわめて高い信頼性かつ高精度で行なうことができる。送りの制度をさらに向上させるため、基準となる場所をテープ上に設けてもよい。
【0021】
最後に、本発明は、好ましくはテープ機構によって直接形成され、計測用電子機器を有しており、とくには高分子電子工学にもとづくセンサ・ユニット、評価ユニット、および表示ユニットを有している手持ち式装置に関する。そのような手持ち式装置は、小型かつ軽量に構成することができ、コストを抑えて製造することができ、使い捨てユニットとして使用することができる。
【0022】
とくに、テープ・カートリッジおよび手持ち式装置について開示したすべての実施の形態を、互いに組み合わせることができる。これは、高分子電子工学にもとづく電子部品をテスト・テープの機械式駆動装置に組み合わせて備える手持ち式装置にとくに当てはまる。
【0023】
以下で、本発明を、図面に概略的に示した実施の形態の例にもとづいて、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるテープ・カートリッジの第1の実施の形態の例を示す断面である。
【図2】本発明によるテープ・カートリッジの第2の実施の形態の例を示す部分断面図である。
【図3】本発明によるテープ・カートリッジの第3の実施の形態の例を示す部分断面図である。
【図4】機械式操作のテープ装置の実施の形態の例を示すハウジングの一部を開いた斜視図である。
【図5】図4の装置がハウジングを閉じた状態で示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜3は、本発明によるテープ・カートリッジの種々の実施の形態の例を示しており、テスト・テープが、引っ張り歪みのもとで保持されている。図1は、ハウジング11を備えるテープ・カートリッジ10を示している。ハウジング11は、保管ユニット20のための第1のホルダ12と、廃棄ユニット24のための第2のホルダ13とに分割されている。ホルダ12、13は、保管ユニット20が廃棄ユニット24から引き離されるよう、分割壁14によって互いに分離されている。ホルダ12、13のそれぞれの一方の側壁12a、13aは、領域19において重なり合って開口16を形成しており、開口16にシール17が設けられている。もう1つの開口15が、廃棄ユニット24用のホルダ13に設けられている。テスト・テープ30のための偏向ヘッド18が、ハウジング10へと一体化されている。
【0026】
保管ユニット20は、スプール・ハウジングまたはリール・ハウジング21を有しており、このスプール・ハウジングまたはリール・ハウジング21が、供給スプール23を形成すべくスプール22の周囲に巻き付けられた未使用のテスト・テープ30を保持している。廃棄ユニット24も、同様にスプール・ハウジング25を備えており、このスプール・ハウジング25が、スプール26へと巻き付けられて廃棄スプール27を形成する使用済みのテスト・テープを保持している。スプール26が、駆動装置(図示されていない)によって駆動される。テスト・テープ30は、連続する複数のテスト領域に分割されている。駆動装置が駆動されると、新たなテスト・テープ30が供給スプール23から繰り出され、ホルダ12から開口16を通って偏向ヘッド18へと案内され、この偏向ヘッド18において、1つのテスト領域が外部に対して露出されて位置するに至り、血液の滴などテスト液体を受け取ることができる。テスト液体は、検出ユニット(図示されていない)によって測定される。駆動装置が再び駆動されると、テスト・テープ30がさらに搬送される。使用済みのテスト・テープ30が、ホルダ13内へと開口15を通過し、廃棄スプール27へと巻き取られる。
【0027】
スプール・ハウジング21の接触点29に対して作用する板ばね28が、保管ユニット20のホルダ12の内壁に設けられている。板ばね28には、一定のばね力Fspringであらかじめ張力が与えられている。したがって、テスト・テープ30は、対応するブレーキ・トルクに逆らって或る特定のテープ張力Ftapeで引き出されなければならない。このテープ張力は、供給スプール23の半径が小さくなるとともに増加する。
【0028】
図2および3は、本発明によるテープ・カートリッジ40、50のさらに2つの実施の形態の例を示しており、ブレーキ手段の設計に関してのみ前記したテープ・カートリッジ10と相違している。したがって、同一の構成備品には、同じ参照番号が付されている。
【0029】
やはり図2に示されているテープ・カートリッジ40も、分割壁14の下方のホルダ12の内壁に、一定のばね力Fspringであらかじめ張力が与えられた板ばね41を有している。さらに、揺動レバー43が、ホルダ12の内壁の或る軸44を中心として、ヒンジ付けされている。揺動レバー43の自由端には、回転偏向ローラが取り付けられており、テスト・テープ30が、この回転偏向ローラを越えて案内される。揺動レバー43は、板ばね41とスプール・ハウジング21とのあいだに配置され、スプール・ハウジング21に正接して延びている。揺動レバー43は、接触点42において板ばね41に接し、接触点45においてスプール・ハウジング21に接している。一定のばね力Fspringが、板ばね41によって揺動レバー43へと加えられる。したがって、対応する力が、揺動レバー43によってスプール・ハウジング21にも加えられる。
【0030】
テスト・テープ30の駆動装置が駆動されるとき、テスト・テープ30は、スプール・ハウジング21に作用するブレーキ・トルクに逆らって、或る特定のテープ張力Ftapeで引き出されなければならない。このテープ張力は、偏向ローラ46を介して揺動レバー43の長いレバー・アームに作用し、接触点45がテープ張力に応じて和らげられる。したがって、供給スプール23の直径が小さくなるとき、テスト・テープを繰り出すために加えなければならないテープ張力が、図1に示した実施の形態の例の場合よりも小さくなる。
【0031】
テープ・カートリッジ50の図3に示した実施の形態の例も、分割壁14の下方のホルダ12の内壁に揺動レバー51を有しており、この揺動レバー51が、軸52を中心として内壁にヒンジ付けされている。やはり、揺動レバー43の自由端には、回転偏向ローラ53が設けられており、テスト・テープ30が、この回転偏向ローラ53を越えて案内される。揺動レバー51は、やはりスプール・ハウジング21に正接して延びており、図では見ることができないが、接触点においてスプール・ハウジング21に接している。
【0032】
軸55を中心として回転可能なロッカー・アーム54が、揺動レバー51上に枢支されている。ロッカー・アーム54の自由端には、フォロワ・ローラ56が設けられ、接触点58において供給スプール23の円周に接して位置している。或る特定のばね力Fspringであらかじめ張力が与えられた加圧ばね57が、このばね力がロッカー・アーム54へと加えられるよう、分割壁14およびロッカー・アーム54に対して突っ張るように配置されている。
【0033】
テスト・テープ30の駆動装置が駆動されるとき、テスト・テープ30は、スプール・ハウジング21に作用するブレーキ・トルクに逆らって、或る特定のテープ張力Ftapeで引き出されなければならない。このテープ張力が、揺動レバー43の長いレバー・アームに作用し、揺動レバー51とスプール・ハウジング21とのあいだの接触点がテープ張力に応じて和らげられる。同時に、ロッカー・アーム54のフォロワ・ローラ56が、供給スプール23の円周上を走行する。供給スプール23の半径が減少するにつれて、フォロワ・ローラ56がスプール22に向かって移動し、したがって供給スプール23の半径が減少するにつれて、加圧ばね57が緩められる。このようにして、揺動レバー51とスプール・ハウジング21とのあいだの接触点が、供給スプール23の半径の関数として和らげられる。結果として、供給スプール23の半径が小さくなるとき、駆動装置によって加えなければならないテープ張力Ftapeが、一定に保たれる。
【0034】
図4および5は、手持ち式装置の高分子ベースの電子部品およびテスト・テープの機械式駆動装置との組み合わせを示している。
【0035】
手持ち式装置100は、いわゆる使い捨ての1回使用の装置である。手持ち式装置100は、内部に2つのリール本体102、103が位置するプラスチック製のハウジング101を有している。連続する複数のテスト場を備えるテスト・テープ104が、リール本体102、103に巻き付けられている。さらに、光視覚センサ105が、測定場所106に空間的に近接してハウジング101に設けられている。血糖測定のための血液など、サンプル液を採取するため、測定場所106において外部からテスト・テープ104にアクセスすることができる。センサの発振器および受信器とテスト・テープとのあいだの領域を、光学経路または光ガイドによって橋絡することができる。センサ105によって記録された測定値が、評価ユニット109へと伝達される。ここで、血糖含有量などの表示値が計算される。
【0036】
光視覚センサは、好ましくはOLEDであるが適切な波長の少なくとも1つのLEDを、1つ以上の有機フォトダイオードに組み合わせて構成される(マルチフォトメータの原理)。複数の波長のLEDも、考えることができる。
【0037】
評価ユニット109は、たとえば増幅器、AD変換器、計算器、制御機構、データ保存装置、エネルギー供給源、およびインターフェイスを有しており、割り出された表示値を表示装置上に表示する表示ユニット110へと接続されている。表示ユニットは、たとえばいわゆる「電子インク」を使用することによって、エネルギーの供給がなくても表示を次の測定プロセスまで維持することができるように、公知のやり方で設計することができる。
【0038】
評価ユニット内のデータ保存装置は、ROMまたはEEPROMで構成することが可能である。データ保存装置には、当該使い捨て品の製造の際に決定されて当該使い捨て品へと預託されるバッチ特有のデータの保存が、主として求められる。データの伝達は、接触式のインターフェイスまたはRF−IDトランスポンダによって行なわれる。電子式のテスト場カウンタも、EEPROMを使用して実現可能である。
【0039】
この手持ち式器具の電子部品は、公知の高分子電子部品である。そのような部品は、国際公開第2004/0044571号パンフレットに記載されており、この国際公開パンフレットの内容は、ここでの言及によって本件特許出願の開示に組み込まれたものとする。このような部品を使用することによって、得られるテープ・カートリッジが、完全に機能しかつきわめて便利である1回使用の手持ち式装置を構成するよう、必要な電子部品のすべてをカートリッジのハウジングに一体化させることができる。そのような1回使用の手持ち式装置は、小型かつ軽量であって、費用対効果に優れ、かつ操作が容易である。そのような1回使用の手持ち式装置は、テープ・カートリッジを交換する必要がない。そのような1回使用の手持ち式装置は、可搬式の手持ち式装置のさらなる小型化の余地を残している。また、そのような1回使用の手持ち式装置は、テープ・カートリッジと手持ち式装置とのあいだのインターフェイスについて、複雑な構成を不要にしている。
【0040】
高分子ベースの電子部品のすべてを、手持ち式器具100のハウジング101の適切な成形体へと、公知のやり方で印刷することができる。
【0041】
エネルギーは、たとえば太陽電池に組み合わされた高性能なコンデンサ(スーパーキャパシタ)によって供給される。達成可能なエネルギー密度が低いため、前記の使い捨て手持ち式装置のスプール本体102、103を手動で駆動することが推奨される。
【0042】
この目的のため、リール本体102、103は、歯または段差を有している。ここではわずかに示されている送りツメ107が、これらの歯または段差と係合している。送りツメ107は、ハウジングの外部に設けられたレバー108に接続されている。このレバーを操作することによって、テスト・テープ104が送られる。これにより、ちょうどテスト・テープ104の新しいテスト場が測定場所106において外側からアクセス可能になるまで、リール本体102、103が動かされる。リール本体102、103およびテスト・テープ104の動きを同期させるため、後者に穴が設けられ、リール本体102、103に配置された歯(図示されていない)が、この穴に係合する。テスト場を、レバー108の第1の操作によって新しいテスト場が測定場所106においてアクセス可能になるようなやり方で、テスト・テープ上において離間させてもよい。レバー108の第2の操作によって、今や使用済みとなったテスト場が、新たなテスト場をすぐに出現させることなく測定場所106から運び去られる。新たなテスト場の出現は、レバー108が再び操作されたときに生じる。
【0043】
さらに、レバー108の操作によって、測定に必要とされる数ミリワットのエネルギーを公知のやり方で生み出すことができ、たとえばコンデンサまたはスーパーキャパシタに一時的に蓄えることができる。発電機によってエネルギーを得、あるいは圧電的にエネルギーを得るため、一時的な機械式保存装置をばねの形態で設けることができ、種々の時定数への適合を可能にすることができる。
【0044】
電気化学的なエネルギーの保存を止めることによって、きわめて環境に優しい装置の設計が実現可能になる。
【符号の説明】
【0045】
10、40、50 取り替え可能なテープカートリッジ
12 ハウジング部材
16 通路
17、28、43、51 ブレーキ手段
19 重複領域
20 保管ユニット
21 リール本体
23 テープスプール
24 廃棄ユニット
28 板ばね
30 テストテープ
41 ばね
54 補償機構
100 テープマガジン
101 ハウジング
102、103 リール本体
104 テストテープ
107、108 搬送機構
105 電子機器(センサユニット)
109 電子機器(評価ユニット)
110 電子機器(表示ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト・テープ(104)と、未使用のテスト・テープのためのリール本体(102)と、使用済みのテスト・テープのためのリール本体(103)とを有しており、テスト・テープ(30)を前進させるために少なくとも1つのリール本体(103)が駆動される体液分析用のテープ・カートリッジ(100)であって、
テープ駆動装置として手動操作の搬送機構(107、108)が設けられていることを特徴とするテープ・カートリッジ。
【請求項2】
前記搬送機構(107、108)が、少なくとも一方のリール本体(102、103)に接続された手動操作のための操作レバー(108)を有していることを特徴とする請求項1記載のテープ・カートリッジ。
【請求項3】
テスト・テープの送り(104)が、前記搬送機構(107、108)が少なくとも1回駆動されたときにテスト要素が測定準備可能になるようなやり方で、好ましくは穴によって同期されていることを特徴とする請求項1または2記載のテープ・カートリッジ。
【請求項4】
前記搬送機構(107、108)が、装置の電子機器にエネルギーを供給するため、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するためのエネルギー変換器を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテープ・カートリッジ。
【請求項5】
さらに1回限り使用の物品として設計された手持ち式装置を形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のテープ・カートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−5443(P2010−5443A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235544(P2009−235544)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【分割の表示】特願2006−70624(P2006−70624)の分割
【原出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】