体積ホログラム転写箔および体積ホログラム積層体
【課題】本発明は、偽造防止機能の高い体積ホログラム積層体を作製することが可能な、体積ホログラム転写箔を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基材と、上記基材上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有することを特徴とする体積ホログラム転写箔を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【解決手段】本発明は、基材と、上記基材上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有することを特徴とする体積ホログラム転写箔を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体積ホログラム層を被転写体に転写して体積ホログラム積層体を作製するために用いられる体積ホログラム転写箔、および、体積ホログラム積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホログラムは、波長の等しい二つの光(物体光と参照光)を干渉させることによって、物体光の波面が干渉縞として感光材料に記録されたものであり、干渉縞記録時の参照光と同一波長の光が当てられると干渉縞によって回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できるものである。ホログラムは、外観が美しく、複製が比較的困難である等の利点を有することからセキュリティ用途等に多く使用されている。なかでもクレジットカードや、キャッシュカード等に代表されるプラスチックカードにおいては、主として複製防止および意匠性付与の観点からホログラム付カードが広く用いられるに至っている。
【0003】
このようなホログラムは、干渉縞の記録形態によっていくつかの種類に分類することができるが、代表的には表面レリーフ型ホログラムと体積型ホログラムとに分けることができる。ここで、上記表面レリーフ型ホログラムは、ホログラム層の表面に微細な凹凸パターンが賦型されることによりホログラムが記録されたものである。一方、上記体積型ホログラムは光の干渉によって生じる干渉縞が、屈折率の異なる縞として厚み方向に三次元的に描画されることによってホログラムが記録されたものである。なかでも、上記体積型ホログラムは材料の屈折率差によってホログラム像が記録されたものであるため、上記レリーフ型ホログラムに比べて複製することが困難であるという利点を有することから、有価証券やカード類の偽造防止手段としての用途が期待されている。
【0004】
また、意匠性の付与や偽造防止手段等としてホログラムを用いる場合において、ホログラムを有価証券やカード等に付与する方法としては、例えば、スリット状のホログラムを編み込む方法や、ホログラムを外部から視認可能なように媒体中に埋め込む方法が知られているが、一般的にはホログラムを所定の位置に貼付する方法が用いられている。なかでも簡便な方法として、任意の基材上にホログラムが形成されたホログラム転写箔から、ホログラムを転写することによってホログラムを所定の位置に貼付する方法が広く用いられるに至っている。
【0005】
ここで、上記ホログラム転写箔は、基材上にホログラムが記録されたホログラム層、および、熱接着性を有するヒートシール層とがこの順で積層された構成を有するものであり、上記ヒートシール層を介して被転写体上にホログラム層を転写させる機能を有するものである。このようなホログラム転写箔については、例えば、特許文献1、2に開示されている。
【0006】
ところで、従来、上記ホログラムは複製することが困難であったことから、偽造防止手段として各種用途に用いられてきたが、近年においてはホログラムを簡易的に複製する技術が普及し始めており、一般的なホログラムを用いるのみでは偽造防止手段としては不十分であることが指摘されている。このため、上記ホログラム転写箔についても、より偽造防止機能が高く、セキュリティ性に優れたホログラムを転写可能なものが求められるようになっている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−316239号公報
【特許文献2】特開2005−3809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能な、体積ホログラム転写箔を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、基材と、上記基材上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有することを特徴とする、体積ホログラム転写箔を提供する。
【0010】
本発明によれば、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが紫外線によって再生されるものであることにより、室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下においては体積ホログラムが視認されることがないため、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下で使用する限りは、その体積ホログラム層の存在自体を外部から容易に認識できないようにすることができる。このため、本発明の体積ホログラム転写箔によれば偽造防止手段として体積ホログラムが用いられていることを外部から容易に知りえない体積ホログラム積層体を作製することができる。
このようなことから、本発明によれば偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能な体積ホログラム転写箔を得ることができる。
【0011】
本発明においては、上記体積ホログラム層と、上記ヒートシール層との間に、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層が形成されていることが好ましい。このような蛍光発光層が形成されていることにより、本発明の体積ホログラム転写箔を、より偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能なものにできるからである。
また、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムを再生する紫外線の波長と、上記蛍光材料の蛍光を発光させる紫外線の波長とを一致させることにより、上記体積ホログラムが記録された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発しないようにすることができるため、たとえば上記体積ホログラムをパターン状に記録することにより、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することも可能になるからである。
【0012】
また、本発明においては上記基材と上記体積ホログラム層との間に、上記蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する、紫外線吸収層がパターン状に形成されていることが好ましい。これにより、上記紫外線吸収層が形成された領域については、上記蛍光材料から蛍光が発しないようにすることができるため、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能になるからである。
【0013】
さらに本発明においては、上記体積ホログラム層と上記基材との間に剥離性保護層が形成されていることが好ましい。上記剥離性保護層が形成されていることにより、上記基材と上記体積ホログラム層との密着性を調整することができる結果、本発明の体積ホログラム転写箔から体積ホログラム層を転写させて体積ホログラム積層体を作製する際に、体積ホログラム層の剥離性を向上させることができるからである。また、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を作製する際に、上記剥離性保護層が体積ホログラム層と共に転写されることになるため、転写された体積ホログラム層を剥離性保護層によって保護することができるからである。
【0014】
本発明は、被転写体と、上記被転写体上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、上記ヒートシール層上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、を有することを特徴とする、体積ホログラム積層体を提供する。
【0015】
本発明によれば、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが紫外線によって再生されるものであることにより、室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下においては体積ホログラムが視認されることがないため、本発明の体積ホログラム積層体を室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下で使用する限りは、その体積ホログラム層の存在自体を外部から容易に認識することができないようにすることができる。このため、本発明によれば偽造防止手段として体積ホログラムが用いられていることを外部から容易に知りえない体積ホログラム積層体を作製することができる。
このようなことから、本発明によれば偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、偽造防止機能の高い体積ホログラム積層体を作製することが可能な、体積ホログラム転写箔を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、体積ホログラム転写箔および体積ホログラム積層体に関するものである。
以下、本発明の体積ホログラム転写箔および体積ホログラム積層体について順に説明する。
【0018】
A.体積ホログラム転写箔
まず、本発明の体積ホログラム転写箔について説明する。本発明の体積ホログラム転写箔は、基材と、上記基材上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有することを特徴とするものである。
【0019】
このような本発明の体積ホログラム転写箔について図を参照しながら説明する。図1は本発明の体積ホログラム転写箔の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本発明の体積ホログラム転写箔10は、基材1と、上記基材1上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層2と、上記体積ホログラム層2上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層3とを有することを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが紫外線によって再生されるものであることにより、室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下においては体積ホログラムが視認されることがないため、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下で使用する限りは、その体積ホログラム層の存在自体を外部から容易に認識できないようにすることができる。このため、本発明の体積ホログラム転写箔によれば偽造防止手段として体積ホログラムが用いられていることを外部から容易に知りえない体積ホログラム積層体を作製することができる。
このようなことから、本発明によれば偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能な体積ホログラム転写箔を得ることができる。
【0021】
本発明の体積ホログラム転写箔は、少なくとも基材と、体積ホログラム層と、ヒートシール層とを有するものであり、必要に応じて他の任意の構成が用いられてもよいものである。
以下、本発明の体積ホログラム転写箔に用いられる各構成について順に説明する。
【0022】
1.体積ホログラム層
最初に、本発明に用いられる体積ホログラム層について説明する。本発明に用いられる体積ホログラム層は、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録されたものであり、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、被転写体へ転写されるものである。
以下、このような体積ホログラム層について詳細に説明する。
【0023】
(1)体積ホログラム
本発明に用いられる体積ホログラム層に記録された体積ホログラムは、紫外線によって再生することが可能なものである。ここで、体積ホログラムは光の干渉によって生じる干渉縞が、屈折率の異なる縞として厚み方向に三次元的に描画されることによって記録されるものであるため、体積ホログラムが紫外線によって再生することが可能であるとは、体積ホログラム層に記録される干渉縞の間隔が紫外線の波長領域に一致することを意味するものである。本発明における体積ホログラムが再生される波長としては、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて作製される体積ホログラム積層体の用途等に応じて適宜決定することができるものであるが、なかでも100nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、200nm〜400nmの範囲内であることがより好ましい。
【0024】
なお、本発明の体積ホログラム転写箔に後述する蛍光発光層が用いられる場合、本発明における体積ホログラムが再生される波長は、当該蛍光発光層に照射されることによって蛍光を発光させる紫外線の波長と、同一であってもよく、または、異なっていてもよい。これらの波長が同一である場合は、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて作製される体積ホログラム積層体において、上記体積ホログラムが記録された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発しないようにすることができるため、たとえば上記体積ホログラムをパターン状に記録することにより、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することも可能になるという利点を有する。
【0025】
(2)構成材料
本発明に用いられる体積ホログラム層を構成する材料としては、紫外線によって再生可能な体積ホログラムを記録することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に体積ホログラムに用いられる材料を任意に用いることができる。このような材料としては、例えば、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の体積ホログラム記録材料が挙げることできるが、なかでも本発明においては、(i)バインダー樹脂、光重合可能な化合物、および光重合開始剤を含有する第1の感光材料、または、(ii)カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系および光カチオン重合開始剤系を含有するからなる第2の感光材料を好適に用いることができる。
以下、このような第1の感光材料および第2の感光材料について順に説明する。
【0026】
(i)第1の感光材料
まず、上記第1の感光材料について説明する。上述したように第1の感光材料はバインダー樹脂、光重合可能な化合物、および光重合開始剤を含有するものである。
【0027】
(バインダー樹脂)
上記バインダー樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、またはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、アクリル酸、アクリル酸エステル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体、またはそれらの混合物や、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物等を挙げることができる。ここで、体積ホログラム層を形成する際には、記録された体積ホログラムを安定化するために、加熱してモノマーを移動させる工程が実施される場合がある。このため、本発明に用いられるバインダー樹脂はガラス転移温度が比較的低く、モノマー移動が容易に移動できるものであることが好ましい。
【0028】
(光重合可能な化合物)
上記光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマーおよびそれらの混合物を用いることができる。具体例としては、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド化合物等を挙げることができる。
【0029】
ここで、上記不飽和カルボン酸のモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等を挙げることができる。また上記脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート等を挙げることができる。
【0030】
上記メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等を挙げることができる。また、上記イタコン酸エステルとしてはエチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート等を挙げることができる。また、上記クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等を挙げることができる。さらに上記イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等を挙げることができる。さらにまた、上記マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート、ペンタエリスリトールジマレエート、ソルビトールテトラマレエート等を挙げることができる。
【0031】
上記ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
また、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド等を挙げることができる。
【0032】
(光重合開始剤)
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えば、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等を挙げることができる。なかでも本発明に用いられる光重合開始剤は、記録された体積ホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるものが好ましい。例えば有機過酸化物系にあっては紫外線照射することにより容易に分解されるので好ましい。
【0033】
(ii)第2の感光材料
次に、本発明に用いられる第2の感光材料について説明する。上述したように第2の感光材料は、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、および、カチオン重合開始剤系を含有するものである。
【0034】
ここで、このような第2感光材料が用いられる場合、体積ホログラム層に体積ホログラムを記録する方法としては、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで、光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光とは別の波長の光を照射する方法が用いられることになる。
【0035】
(カチオン重合性化合物)
上記カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、室温で液状のものが好適に用いられる。このようなカチオン重合性化合物としては、例えば、ジグリセロールジエーテル、ペンタエリスリトールポリジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0036】
(ラジカル重合性化合物)
上記ラジカル重合性化合物としては、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、本発明に用いられるラジカル重合性化合物の平均屈折率は、上記カチオン重合性化合物の平均屈折率より大きいことが好ましく、なかでも0.02以上大きいことが好ましい。これは、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物との屈折率の差によって、体積ホログラムが形成されることによるものである。したがって、平均屈折率の差が上記値以下である場合には、屈折率変調が不十分となるからである。本発明に用いられるラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等を挙げることができる。
【0037】
(光ラジカル重合開始剤系)
本発明に用いられる光ラジカル重合開始剤系としては、体積ホログラムを記録する際に、第1露光によって活性ラジカルを生成し、該活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させることができるものであれば特に限定されるものではない。
【0038】
(光カチオン重合開始剤系)
本発明に用いられる光カチオン重合開始剤系としは、体積ホログラムが記録される際の第1露光に対しては低感光性で、第1露光と異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが用いられることが特に好ましい。
【0039】
(その他)
第2の感光材料には、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色料等を併用してもよい。バインダー樹脂は、ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物と相溶性のよいものであればよく、例えば塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖又は主鎖にカチオン重合性基等の反応性を有していてもよい。
【0040】
(屈折率の測定方法)
ここで、上記カチオン重合性化合物に光カチオン重合開始剤を加えることによって得られる樹脂の屈折率は次のようにして測定することができる。すなわち、表面離型処理PETフィルム(例えば、商品名「SP−PET」50μm、トーセロ(株)製)へ上記カチオン重合性化合物に光カチオン重合開始剤を加えることによって得られる樹脂を、アプリケータを用いて20μm程度塗工し、熱乾燥させた後、紫外線照射をして硬化させる。次に、カチオン重合性化合物+光カチオン重合開始剤/表面離型処理PETフィルムの層から表面離型処理PETフィルムを剥離して、カチオン重合性化合物+光カチオン重合開始剤の単層を作製する。上記のように作製したカチオン重合性化合物+光カチオン重合開始剤の単層を、屈折率測定装置(アタゴ社製、多波長アッベ屈折計DR-M4)を用い、屈折率補償液としてモノブロモナフタレンを使用して、測定波長589nmにおける屈折率を測定する。
なお、ラジカル重合性化合物に光ラジカル重合開始剤を加えることによって得られる樹脂についても、上記と同様の方法により屈折率を測定することができる。
【0041】
(3)その他
本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、所定の体積ホログラムを記録することができる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上述した構成材料の種類に応じて適宜調整することができる。なかでも本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
【0042】
2.ヒートシール層
次に本発明に用いられるヒートシール層について説明する。本発明に用いられるヒートシール層は熱可塑性樹脂を含有するものであり、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、体積ホログラム層と被転写体とを接着させる機能を有するものである。
以下、本発明に用いられるヒートシール層について詳細に説明する。
【0043】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、本発明の体積ホログラム転写箔から体積ホログラム層が転写される被転写体の種類に応じて、体積ホログラム層と被転写体とを接着できるものであれば特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、マレイン酸変性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの熱可塑性樹脂であっても好適に用いることができる。
【0044】
なお、本発明に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、あるいは、2種類以上であってもよい。
【0045】
本発明に用いられるヒートシール層には、上記熱可塑性樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。本発明に用いられる添加剤としては、例えば、分散剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
【0046】
本発明に用いられるヒートシール層の厚みは特に限定されるものではなく、体積ホログラム層箔の種類や、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム層が転写される被転写体の種類等によって適宜選択されるものであるが、通常、0.3μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。厚みが上記範囲よりも薄いと被転写体との接着性が不十分になってしまう可能性があるからである。また上記範囲よりも厚いと、本発明の体積ホログラム転写箔から体積ホログラム層を転写する際に、ヒートシール層を加熱する温度が高くなりすぎてしまい、基材等に損傷が生じてしまう可能性があるからである。
【0047】
3.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、上述した体積ホログラム層およびヒートシール層を支持する機能を有するものである。
【0048】
本発明に用いられる基材としては、上記体積ホログラム層およびヒートシール層を支持できるものであれば特に限定されるものではない。このような基材の具体例としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフッ化エチレン系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルム等を挙げることができる。
【0049】
また、本発明に用いられる基材の厚みは、本発明によって製造される体積ホログラム積層体の用途や種類等に応じて適宜選択されるものであるが、通常2μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmの範囲内とされる。
【0050】
4.任意の構成
本発明の体積ホログラム転写箔は少なくとも上記基材、体積ホログラム層、および、ヒートシール層を有するものであるが、必要に応じてこれら以外の他の任意の構成を用いることができる。本発明に用いられる任意の構成は特に限定されるものではなく、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて製造する体積ホログラム積層体の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に好適に用いられる任意の構成としては、上記ヒートシール層と上記体積ホログラム層との間に形成され、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層、上記基材と上記体積ホログラム層との間に形成される剥離性保護層等を挙げることができる。また、上記蛍光発光層が用いられる場合には、上記他の構成としてさらに上記基材と上記体積ホログラム層との間にパターン状に形成され、上記蛍光発光層に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する、紫外線吸収層を挙げることができる。
以下、これらの各構成について順に説明する。
【0051】
(1)剥離性保護層
まず、上記剥離性保護層について説明する。上記剥離性保護層は、上記基材と上記体積ホログラム層との間に形成されるものである。
【0052】
本発明の体積ホログラム転写箔に剥離性保護層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図2は本発明の体積ホログラム転写箔に剥離性保護層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、本発明の体積ホログラム転写箔10’には、基材1と、体積ホログラム層2との間に剥離性保護層4が形成されていてもよい。
【0053】
本発明の体積ホログラム転写箔に剥離性保護層が用いられることにより、次の2つの点において有利な効果が得られる。
まず第1に、上記剥離性保護層が用いられることにより、基材と体積ホログラム層との接着力を任意の範囲に調整することができるため、本発明の体積ホログラム転写箔から体積ホログラム層を転写させる際に、体積ホログラム層の基材からの剥離性を向上させることができる。
第2に、上記剥離性保護層が用いられることにより、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて被転写体に体積ホログラム層を転写した際に、体積ホログラム層の表面を剥離性保護層によって覆うことができるため、転写された体積ホログラム層を剥離性保護層によって保護することができる。
【0054】
本発明に用いられる剥離性保護層に用いられる材料としては、例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の1種または2種以上混合したもの等を挙げることができる。
【0055】
(2)蛍光発光層
次に、本発明に用いられる蛍光発光層について説明する。本発明に用いられる蛍光発光層は、上記体積ホログラム層と上記ヒートシール層との間に形成され、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有するものである。
【0056】
本発明の体積ホログラム転写箔に蛍光発光層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図3は本発明の体積ホログラム転写箔に蛍光発光層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図3に例示するように、本発明の体積ホログラム転写箔10’’は、体積ホログラム層2とヒートシール層3との間に紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層5が形成されていてもよい。
【0057】
このような蛍光発光層が形成されていることにより、本発明の体積ホログラム転写箔を、より偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能なものにできる。また、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムを再生する紫外線と、上記蛍光材料の蛍光を発光させる紫外線の波長を一致させることにより、上記体積ホログラムが記録された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発しないようにすることができるため、たとえば上記体積ホログラムをパターン状に記録することにより、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することも可能になる。
【0058】
本発明に用いられる蛍光発光層は、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有するものであるが、本発明に用いられる蛍光材料としては、所網の波長範囲の紫外線を吸収することにより蛍光を発光することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる蛍光材料は、蛍光を発光する紫外線の波長が100nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、200nm〜400nmの範囲内であることがより好ましい。
【0059】
本発明に用いられる蛍光材料は少なくとも1種類が用いられるものであるが、本発明においては発光する蛍光の波長が異なる複数の蛍光材料が用いられることが好ましく、特に赤、緑、青の各色を発色する蛍光材料が用いられることが好ましい。これにより本発明に用いられる蛍光発光層を蛍光でフルカラーの画像を形成する可能なものにできるからである。
【0060】
本発明に用いられる蛍光材料としては、本発明に用いられる蛍光材料としては、例えば、有機蛍光色素および無機蛍光色素を挙げることができる。
上記有機蛍光色素としては、例えば、有機蛍光色素としては、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロン等の誘導体、フルオレセイン、エオシン等の色素、アントラセン等のベンゼン環を持つ化合物などが挙げられる。具体的には可視光で無色の蛍光染料としては、EB−501(三井化学(株)製、発光色:青色)、EG−302(三井化学(株)製、発光色:黄緑色)、EG−307(三井化学(株)製、発光色:緑色)、ER−120(三井化学(株)製、発光色:赤色)、ER−122(三井化学(株)製、発光色:赤色)、蛍光増白剤と呼ばれるユビテックスOB(チバスペシャリティケミカルズ社製、発光色:青色)、ユーロピウム−テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ(株)、赤橙色)等を挙げることができる。
また、上記無機蛍光色素としては、無機蛍光色素としては、Ca、Ba、Mg、Sr、などの酸化物、硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩のなどの結晶を主成分とし、Eu、Mn、Pb、Fe、Mn、Zn、Ag、Cuなどの金属元素または希土類元素をドープ剤として添加した顔料を用いることができる。具体的には可視光下では無色から白色のG−300シリーズ(SrAl2O4:Eu,Dy 根本特殊化学製 発光色:緑)やV−300シリーズ(CaAl2O4:Eu,Nd 根本特殊化学製 発光色:紫)等を挙げることができる。
【0061】
また、本発明に用いられる蛍光材料としては、たとえば、チオフェン系蛍光色素、β−キノフタロン系蛍光色素、クマリン系蛍光色素、ビススチリルベンゼン系蛍光色素、オキサゾール系蛍光色素、およびユーロピウム錯体系蛍光色素等を挙げることができる。これらの蛍光色素の具体例としては、例えば特開2004−122690号公報に記載されたものを例示することができる。
【0062】
なお、本発明に用いられる蛍光発光層には上記蛍光材料以外に、通常、バインダー樹脂が含まれることが好ましい。本発明に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、これらの樹脂の混合物等が挙げられる。本発明においてはこれらのいずれの樹脂であっても好適に用いることができる。
【0063】
(3)紫外線吸収層
次に、本発明に用いられる紫外線吸収層について説明する。本発明に用いられる紫外線吸収層は、上記蛍光発光層が用いられる際に併用されるものであり、上記蛍光発光層に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収するものである。
【0064】
本発明の体積ホログラム転写箔に、このような紫外線吸収層が形成されている場合について図を参照しながら説明する。図4は本発明の体積ホログラム転写箔に紫外線吸収層が形成されている場合の一例を示す概略図である。図4に例示するように本発明の体積ホログラム転写箔10’’’に、蛍光発光層5が用いられている場合においては、基材1と体積ホログラム層2との間にパターン状に形成され、上記蛍光発光層5に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する紫外線吸収層6が用いられていることが好ましい。
【0065】
このような紫外線吸収層が用いられていることにより、当該紫外線吸収層が形成された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発しないようにすることができるため、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することも可能になる。
【0066】
ここで、本発明の体積ホログラム転写箔に上述した剥離性保護層が用いられている場合、上記紫外線吸収層は上記剥離性保護層と上記体積ホログラム層との間に形成されることになる。
【0067】
本発明に用いられる紫外線吸収層に用いられる材料としては、上記蛍光発光層に含まれる蛍光材料の種類に応じて、当該蛍光材料が蛍光を発光する際に吸収する紫外線の波長と、同一波長の紫外線を吸収することができる紫外線吸収材料であれば特に限定されるものではない。このような紫外線吸収材料としては、例えば、有機系紫外線吸収剤、反応性紫外線吸収剤、および無機系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0068】
上記有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、べンゾフェノン系、べンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系、フェニルトリアジン系、シュウ酸アニリド系、マロン酸エステル系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0069】
上記反応性紫外線吸収剤としては、上記有機系紫外線吸収剤に、たとえばビニル基やアクリロイル基、メタクロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを樹脂バインダーに反応固定して使用する。反応固定する方法として従来公知のモノマー、オリゴマー、または反応性重合体の樹脂成分と上記のような付加重合性二重結合を有する反応性紫外線吸収剤とをラジカル重合することにより共重合体とすることができる。また、反応性紫外線吸収剤が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エボキシ基、イソシアネート基を有する場合には、上記の反応性基と反応性を有する熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用いて、熱等によって反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定することができる。
【0070】
また、上記無機系紫外線吸収剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄の微粒子が挙げられ、適時バインダーに分散して使用することができる。
【0071】
(4)その他
上記以外に、本発明に用いられる任意の構成としては、例えば、体積ホログラム層とヒートシール層との接着性、あるいは、体積ホログラム層と、上記剥離性保護層との接着性を向上させるために用いられるプライマー層を挙げることができる。このようなプライマー層としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニルあるいはアクリル酸等との共重合体、エポキシ樹脂等が用いられたものを挙げることができる。
【0072】
また本発明においては上記任意の構成として、上記体積ホログラム層とヒートシール層との間にバリア層が形成されてもよい。体積ホログラム層に用いられる感光材料やヒートシール層に用いられる熱可塑樹脂の組み合わせによっては、経時的に体積ホログラム層から他の層への低分子量成分の移行が起こり、これに起因して体積ホログラム層に記録された体積ホログラムの再生波長が青側(短波長側)に移行してしまう場合があるが、バリア層を設けることによって、このような問題を解消することができるからである。
【0073】
バリア層に用いられる材料としては、所望のバリア性を発現できる材料であれば特に限定されるものではないが、通常、透明性有機樹脂材料が用いられる。本発明に用いられる透明性有機樹脂材料としては、例えば、無溶剤系の3官能以上、好ましくは6官能以上の、紫外線や電子線等の電離放射線に反応する電離放射線硬化性エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0074】
5.体積ホログラム転写箔の製造方法
本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法としては、例えば基材上に体積ホログラム層およびヒートシール層を順次積層する方法を用いることができる。このような方法としては、一般的に体積ホログラム転写箔を製造する方法として公知の方法と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
【0075】
B.体積ホログラム積層体
次に、本発明の体積ホログラム積層体について説明する。本発明の体積ホログラム積層体は、被転写体と、上記被転写体上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、上記ヒートシール層上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、を有することを特徴とするものである。
【0076】
このようなこのような本発明の体積ホログラム積層体について図を参照しながら説明する。図5は本発明の体積ホログラム積層体の一例を示す概略断面図である。図5に例示するように、本発明の体積ホログラム積層体20は、被転写体21と、上記被転写体21上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層3と、上記ヒートシール層3上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層2とを有するものである。
【0077】
本発明によれば、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが紫外線によって再生されるものであることにより、室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下においては体積ホログラムが視認されることがないため、本発明の体積ホログラム積層体を室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下で使用する限りは、その体積ホログラム層の存在自体を外部から容易に認識することができないようにすることができる。このため、本発明によれば偽造防止手段として体積ホログラムが用いられていることを外部から容易に知りえない体積ホログラム積層体を作製することができる。
このようなことから、本発明によれば偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を得ることができる。
【0078】
本発明の体積ホログラム積層体は、少なくとも上記被転写体、ヒートシール層、および体積ホログラム層を有するものであり、必要に応じて他の任意の構成が用いられてもよいものである。
以下、本発明の体積ホログラム積層体に用いられる各構成について順に説明する。
【0079】
なお、本発明に用いられるヒートシール層および体積ホログラム層については、上記「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0080】
1.被転写体
まず、本発明に用いられる被転写体について説明する。本発明に用いられる被転写体としては、上記ヒートシール層を介して体積ホログラム層と接着させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、本発明の体積ホログラム積層体の用途等に応じて任意に選択して用いることができる。このような被転写体としては、例えば、パスポート、冊子や商品券などに使われる紙やIDカードなどの各種カード、フィルム、布、金属、ガラス等を挙げることができる。
【0081】
2.任意の構成
本発明の体積ホログラム積層体は少なくとも上記被転写体、体積ホログラム層およびヒートシール層を有するものであるが、本発明には必要に応じてこれら以外の他の任意の構成を用いることができる。本発明に用いられる任意の構成は特に限定されるものではなく、本発明の体積ホログラム積層体の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に好適に用いられる任意の構成としては、上記ヒートシール層と上記体積ホログラム層との間に形成され、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層、上記体積ホログラム層上に形成される剥離性保護層を挙げることができる。また、上記蛍光発光層が用いられている場合には、上記他の構成としてさらに上記体積ホログラム層上にパターン状に形成され、上記蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する、紫外線吸収層を挙げることができる。
以下、これらの各構成について順に説明する。
【0082】
(1)剥離性保護層
まず、上記剥離性保護層について説明する。上記剥離性保護層は、体積ホログラム層上に形成されるものである。
【0083】
本発明の体積ホログラム積層体に剥離性保護層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図6は本発明の体積ホログラム積層体に剥離性保護層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図6に例示するように、本発明の体積ホログラム積層体20’は、体積ホログラム層2上に剥離性保護層4が形成されていてもよい。
【0084】
なお、本発明に用いられる剥離性保護層の詳細については、上記「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0085】
(2)蛍光発光層
次に、本発明に用いられる蛍光発光層について説明する。本発明に用いられる蛍光発光層は、上記体積ホログラム層と上記ヒートシール層との間に形成され、紫外線が照射されることにより蛍光を発光する蛍光材料を含有するものである。
【0086】
本発明の体積ホログラム積層体にこのような蛍光発光層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図7は本発明の体積ホログラム積層体に蛍光発光層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図7に例示するように、本発明の体積ホログラム積層体20’’は、体積ホログラム層2とヒートシール層3との間に紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層5が形成されていてもよい。
【0087】
このような蛍光発光層が形成されていることにより、本発明の体積ホログラム積層体を、より偽造防止機能に優れたものにできる。また、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムを再生する紫外線と、上記蛍光材料の蛍光を発光させる紫外線の波長を一致させることにより、上記体積ホログラムが記録された領域については、上記蛍光材料から蛍光が発しないようにすることができるため、たとえば上記体積ホログラムをパターン状に記録することにより、本発明の体積ホログラム積層体を意匠性に優れたものにすることも可能である。
【0088】
なお、本発明に用いられる蛍光発光層の詳細については、上記「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0089】
(3)紫外線吸収層
次に、本発明に用いられる紫外線吸収層について説明する。本発明に用いられる紫外線吸収層は、上記蛍光発光層が用いられる際に併用されるものであり、上記蛍光発光層に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収するものである。
【0090】
本発明の体積ホログラム積層体に、このような紫外線吸収層が形成されている場合について図を参照しながら説明する。図8は本発明の体積ホログラム積層体に紫外線吸収層が形成されている場合の一例を示す概略図である。図8に例示するように本発明の体積ホログラム積層体20’’’に、蛍光発光層5が用いられている場合においては、体積ホログラム層上2にパターン状に形成され、上記蛍光発光層5に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する紫外線吸収層6が用いられていることが好ましい。
【0091】
このような紫外線吸収層が用いられていることにより、当該紫外線吸収層が形成された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発光しないようにすることができるため、本発明の体積ホログラム積層体をより意匠性に優れたものにすることができる。
【0092】
ここで、本発明の体積ホログラム積層体に上述した剥離性保護層が用いられている場合、上記紫外線吸収層は上記剥離性保護層と上記体積ホログラム層との間に形成されることになる。
【0093】
なお、本発明に用いられる蛍光発光層の詳細については、上記「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0094】
(4)その他
また、本発明に用いられる任意の構成としては、上記以外にも「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したプライマー層やバリア層なども用いることができる。
【0095】
3.体積ホログラム積層体
本発明の体積ホログラム積層体は、上記被転写体、ヒートシール層、体積ホログラム層を有するものであることから、上記被転写体に予め記録されていた諸情報に加え、体積ホログラムに基づく画像等の情報がさらに追加されたものになる。
このような本発明の体積ホログラム積層体について、図を参照しながら具体的に説明する。図10は本発明の体積ホログラム積層体および本発明に用いられる被転写体の具体例を示す概略図である。図10(a)に例示するように、本発明に用いられる被転写体としては、予め顔画像情報、文字情報、および図画情報等のあらゆる情報が記録されたものを用いることができる。そして、図10(b)に例示するように本発明の体積ホログラム積層体は、上記図10(a)に例示した被転写体に、体積ホログラム転写箔が転写されることによってさらに情報が記録されたものになる。
また、図11は、本発明の体積ホログラム積層体に紫外線吸収層が用いられている場合の一例を示す概略図である。図11に例示するように本発明の体積ホログラム積層体に紫外線吸収層が用いられる場合は、蛍光発光層の画像上に紫外線吸収層が重ならないように紫外線吸収層が形成されることになる。
【0096】
4.体積ホログラム積層体の製造方法
本発明の体積ホログラム積層体は、一般的に公知の方法によって製造することができる。本発明の体積ホログラム積層体の製造方法の具体例としては、例えば、上記本発明に係る体積ホログラム転写箔を用い、上記体積ホログラム転写箔のヒートシール層上に被転写体を接着させる被転写体接着工程と、上記体積ホログラム転写箔の基材を剥離する基材剥離工程と、からなる方法を挙げることができる。
【0097】
このような体積ホログラム積層体の製造方法について図を参照しながら説明する。図9は本発明の体積ホログラム積層体の製造方法について、その一例を示す概略図である。図9に例示するように、本態様の体積ホログラム積層体の製造方法は、上記本発明に係る体積ホログラム転写箔10を用い(図9(a))、上記体積ホログラム転写箔10のヒートシール層3上に被転写体21を接着させる被転写体接着工程(図9(b))と、上記体積ホログラム転写箔10の基材1を剥離する基材剥離工程と(図9(c))、を有することを特徴とするものである。
【0098】
上記被転写体接着工程において、上記ヒートシール層上に被転写体を接着する方法としては、被転写体の所定の位置にヒートシール層を接着できる方法であれば特に限定されるものではないが、通常はヒートシール層を加熱することにより上記被転写体を接着する方法が用いられる。本工程においてヒートシール層を加熱する手段としては、所望の領域のみを所定の温度に過熱できる方法であれば特に限定されるものではない。このようは方法としては、加熱ローラーを用いる方法や、熱プレス、ホットスタンプ等を挙げることができる。本工程においてはこれらのいずれの加熱手段であっても好適に用いることができる。
【0099】
また、上記基材剥離工程において基材を剥離する方法としては、上記被転写体と接着された領域のみの基材を剥離することができる方法であれば特に限定されるものではない。通常は、体積ホログラム転写箔を被転写体から物理的に引き離すことによって剥離する方法が用いられる。
【0100】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0101】
1.実施例1
(第1積層体)
第1のフィルムとしてPETフィルム(商品名 ルミラーT60(50μm):東レ(株)製)を準備し、ホログラム形成材料として、下記組成からなる体積ホログラム記録材料を、乾燥膜厚10μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面に表面離型処理PETフィルム(商品名 SP−PET(50μm)、トーセロ(株)製)をラミネートし、第1積層体を作製した。
【0102】
<体積ホログラム記録材料の組成>
・バインダー樹脂(メチルメタクリレート共重合体) 35重量部
・バインダー樹脂(ポリ酢酸ビニル樹脂) 20重量部
・ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体 6重量部
・2−フェノキシエチルアクリレート 37重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/メタノール=1/1) 200重量部
【0103】
(体積ホログラムの記録)
第1のフィルム/体積ホログラム記録用材料の層/表面離型処理PETフィルムの積層体に波長;363.8nmのレーザー光(コヒレント社製InnovaSaberを使用)を用いて体積型ホログラムを撮影し記録した。記録後、この積層体を100℃の雰囲気中で50分間加熱した。
【0104】
(ヒートシール層の塗工)
上記で作製した第1のフィルム/体積ホログラム層/表面離型処理PETフィルムから、表面離型処理PETフィルムを剥離して露出させた体積ホログラムの層上に下記組成からなる材料を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面に表面離形処理PETフィルム(商品名 SP-PET(50μm)、トーセロ(株)製)をラミネートし、転写箔の作製を行った。
【0105】
<ヒートシール層形成用材料の組成>
・ポリエステル樹脂(商品名 バイロン550 TOYOBO製 Tg:−15℃ 分子量28000) 20重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)) 80重量部
【0106】
2.実施例2
(蛍光発光層の形成)
体積ホログラムの記録までは実施例1と同様に作製した。次に、第1のフィルム/体積ホログラム層/表面離型処理PETフィルムから、表面離型処理PETフィルムを剥離して露出させた体積ホログラムの層上に下記組成からなる材料を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
【0107】
<蛍光発光層形成用材料の組成>
・有機系ブルー蛍光剤(商品名 ユビテックスOB、チバスペシャルティケミカルズ製): 1重量部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂溶液(#1000AKT、電気化学工業(株)製): 100重量部
【0108】
上記で作製したフィルムの蛍光発光層上に実施例1のヒートシール層形成用材料を実施例1と同様に形成し、転写箔の作製を行った。
【0109】
3.実施例3
(基材/剥離性保護層/紫外線吸収層の第2積層体)
第2のフィルムとしてPETフィルム(商品名 ルミラーT60(50μm):東レ(株)製)を準備し、下記組成の剥離性保護層を乾燥膜厚1μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、その上に紫外線吸収層をパターン状に乾燥膜厚1μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
【0110】
<剥離性保護層形成用材料の組成>
・ポリメチルメタクリレート樹脂(分子量;1000,000) 97重量部
・ポリエチレンワックス(分子量;10000、平均粒径;5μm) 3重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)) 400重量部
<紫外線吸収層形成用材料の組成>
・ポリメチルメタクリレート樹脂(分子量;1000,000) 97重量部
・ポリエチレンワックス(分子量;10000、平均粒径;5μm) 3重量部
・ベンゾフェノン変性ポリメチルメタクリレート 15重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)) 400重量部
【0111】
また、体積ホログラムの記録までは実施例1と同様に作製した。次に表面離型処理済PETフィルムを剥離して露出させた体積ホログラム記録用材料の層に、第2のフィルム/剥離性保護層/紫外線吸収層の紫外線吸収層面側が接するようにして重ね、ニップした80℃の熱ローラー対の間を通過させて、第1のフィルム/体積ホログラム層/紫外線吸収層/剥離性保護層/第2のフィルムの積層体を得た。記録後、この積層体を100℃の雰囲気中で50分間加熱した。
【0112】
(蛍光発光層の形成)
第1のフィルム/体積ホログラム層/紫外線吸収層/剥離性保護層/第2のフィルムから、第1のフィルムを剥離して露出させた体積ホログラムの層上に実施例2記載の蛍光発光層形成用材料を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
【0113】
(ヒートシール層の塗工)
上記で作製した蛍光発光層/体積ホログラム層/紫外線吸収層/剥離性保護層/第2のフィルムの蛍光発光層上に実施例1に記載のヒートシール層形成用材料を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面に表面離形処理PETフィルム(商品名 SP-PET(50μm) トーセロ(株)製)をラミネートし、転写箔の作製を行った。
【0114】
4.実施例4
実施例1〜3の体積ホログラム積層体を商品券にナビタス(株)製ホットスタンプ機を用いて転写温度150℃、圧力0.8Mpaで転写を行ない、第1のフィルムを剥離して体積ホログラム積層体を得た。
【0115】
5.実施例5
実施例1〜3の体積ホログラム積層体を予め昇華転写で顔情報及び文字情報が転写されたポリ塩化ビニルカード上にナビタス(株)製ホットスタンプ機を用いて転写温度150℃、圧力0.8Mpaで転写を行ない、第1のフィルムを剥離して体積ホログラム積層体を得た。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の体積ホログラム転写箔の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の体積ホログラム積層体の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の体積ホログラム積層体の他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の体積ホログラム積層体の他の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の体積ホログラム積層体の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の体積ホログラム積層体の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図10】本発明に用いられる被転写体および本発明の体積ホログラム積層体の具体例を示す概略図である。
【図11】本発明の体積ホログラム積層体の具体例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0117】
1 … 基材
2 … 体積ホログラム層
3 … ヒートシール層
4 … 剥離性保護層
5 … 蛍光発光層
6 … 紫外線吸収層
10,10’,10’’,10’’’ … 体積ホログラム転写箔
20,20’,20’’,20’’’ … 体積ホログラム積層体
21 … 被転写体
【技術分野】
【0001】
本発明は体積ホログラム層を被転写体に転写して体積ホログラム積層体を作製するために用いられる体積ホログラム転写箔、および、体積ホログラム積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホログラムは、波長の等しい二つの光(物体光と参照光)を干渉させることによって、物体光の波面が干渉縞として感光材料に記録されたものであり、干渉縞記録時の参照光と同一波長の光が当てられると干渉縞によって回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できるものである。ホログラムは、外観が美しく、複製が比較的困難である等の利点を有することからセキュリティ用途等に多く使用されている。なかでもクレジットカードや、キャッシュカード等に代表されるプラスチックカードにおいては、主として複製防止および意匠性付与の観点からホログラム付カードが広く用いられるに至っている。
【0003】
このようなホログラムは、干渉縞の記録形態によっていくつかの種類に分類することができるが、代表的には表面レリーフ型ホログラムと体積型ホログラムとに分けることができる。ここで、上記表面レリーフ型ホログラムは、ホログラム層の表面に微細な凹凸パターンが賦型されることによりホログラムが記録されたものである。一方、上記体積型ホログラムは光の干渉によって生じる干渉縞が、屈折率の異なる縞として厚み方向に三次元的に描画されることによってホログラムが記録されたものである。なかでも、上記体積型ホログラムは材料の屈折率差によってホログラム像が記録されたものであるため、上記レリーフ型ホログラムに比べて複製することが困難であるという利点を有することから、有価証券やカード類の偽造防止手段としての用途が期待されている。
【0004】
また、意匠性の付与や偽造防止手段等としてホログラムを用いる場合において、ホログラムを有価証券やカード等に付与する方法としては、例えば、スリット状のホログラムを編み込む方法や、ホログラムを外部から視認可能なように媒体中に埋め込む方法が知られているが、一般的にはホログラムを所定の位置に貼付する方法が用いられている。なかでも簡便な方法として、任意の基材上にホログラムが形成されたホログラム転写箔から、ホログラムを転写することによってホログラムを所定の位置に貼付する方法が広く用いられるに至っている。
【0005】
ここで、上記ホログラム転写箔は、基材上にホログラムが記録されたホログラム層、および、熱接着性を有するヒートシール層とがこの順で積層された構成を有するものであり、上記ヒートシール層を介して被転写体上にホログラム層を転写させる機能を有するものである。このようなホログラム転写箔については、例えば、特許文献1、2に開示されている。
【0006】
ところで、従来、上記ホログラムは複製することが困難であったことから、偽造防止手段として各種用途に用いられてきたが、近年においてはホログラムを簡易的に複製する技術が普及し始めており、一般的なホログラムを用いるのみでは偽造防止手段としては不十分であることが指摘されている。このため、上記ホログラム転写箔についても、より偽造防止機能が高く、セキュリティ性に優れたホログラムを転写可能なものが求められるようになっている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−316239号公報
【特許文献2】特開2005−3809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能な、体積ホログラム転写箔を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、基材と、上記基材上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有することを特徴とする、体積ホログラム転写箔を提供する。
【0010】
本発明によれば、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが紫外線によって再生されるものであることにより、室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下においては体積ホログラムが視認されることがないため、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下で使用する限りは、その体積ホログラム層の存在自体を外部から容易に認識できないようにすることができる。このため、本発明の体積ホログラム転写箔によれば偽造防止手段として体積ホログラムが用いられていることを外部から容易に知りえない体積ホログラム積層体を作製することができる。
このようなことから、本発明によれば偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能な体積ホログラム転写箔を得ることができる。
【0011】
本発明においては、上記体積ホログラム層と、上記ヒートシール層との間に、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層が形成されていることが好ましい。このような蛍光発光層が形成されていることにより、本発明の体積ホログラム転写箔を、より偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能なものにできるからである。
また、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムを再生する紫外線の波長と、上記蛍光材料の蛍光を発光させる紫外線の波長とを一致させることにより、上記体積ホログラムが記録された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発しないようにすることができるため、たとえば上記体積ホログラムをパターン状に記録することにより、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することも可能になるからである。
【0012】
また、本発明においては上記基材と上記体積ホログラム層との間に、上記蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する、紫外線吸収層がパターン状に形成されていることが好ましい。これにより、上記紫外線吸収層が形成された領域については、上記蛍光材料から蛍光が発しないようにすることができるため、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能になるからである。
【0013】
さらに本発明においては、上記体積ホログラム層と上記基材との間に剥離性保護層が形成されていることが好ましい。上記剥離性保護層が形成されていることにより、上記基材と上記体積ホログラム層との密着性を調整することができる結果、本発明の体積ホログラム転写箔から体積ホログラム層を転写させて体積ホログラム積層体を作製する際に、体積ホログラム層の剥離性を向上させることができるからである。また、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を作製する際に、上記剥離性保護層が体積ホログラム層と共に転写されることになるため、転写された体積ホログラム層を剥離性保護層によって保護することができるからである。
【0014】
本発明は、被転写体と、上記被転写体上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、上記ヒートシール層上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、を有することを特徴とする、体積ホログラム積層体を提供する。
【0015】
本発明によれば、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが紫外線によって再生されるものであることにより、室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下においては体積ホログラムが視認されることがないため、本発明の体積ホログラム積層体を室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下で使用する限りは、その体積ホログラム層の存在自体を外部から容易に認識することができないようにすることができる。このため、本発明によれば偽造防止手段として体積ホログラムが用いられていることを外部から容易に知りえない体積ホログラム積層体を作製することができる。
このようなことから、本発明によれば偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、偽造防止機能の高い体積ホログラム積層体を作製することが可能な、体積ホログラム転写箔を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、体積ホログラム転写箔および体積ホログラム積層体に関するものである。
以下、本発明の体積ホログラム転写箔および体積ホログラム積層体について順に説明する。
【0018】
A.体積ホログラム転写箔
まず、本発明の体積ホログラム転写箔について説明する。本発明の体積ホログラム転写箔は、基材と、上記基材上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有することを特徴とするものである。
【0019】
このような本発明の体積ホログラム転写箔について図を参照しながら説明する。図1は本発明の体積ホログラム転写箔の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本発明の体積ホログラム転写箔10は、基材1と、上記基材1上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層2と、上記体積ホログラム層2上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層3とを有することを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが紫外線によって再生されるものであることにより、室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下においては体積ホログラムが視認されることがないため、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下で使用する限りは、その体積ホログラム層の存在自体を外部から容易に認識できないようにすることができる。このため、本発明の体積ホログラム転写箔によれば偽造防止手段として体積ホログラムが用いられていることを外部から容易に知りえない体積ホログラム積層体を作製することができる。
このようなことから、本発明によれば偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能な体積ホログラム転写箔を得ることができる。
【0021】
本発明の体積ホログラム転写箔は、少なくとも基材と、体積ホログラム層と、ヒートシール層とを有するものであり、必要に応じて他の任意の構成が用いられてもよいものである。
以下、本発明の体積ホログラム転写箔に用いられる各構成について順に説明する。
【0022】
1.体積ホログラム層
最初に、本発明に用いられる体積ホログラム層について説明する。本発明に用いられる体積ホログラム層は、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録されたものであり、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、被転写体へ転写されるものである。
以下、このような体積ホログラム層について詳細に説明する。
【0023】
(1)体積ホログラム
本発明に用いられる体積ホログラム層に記録された体積ホログラムは、紫外線によって再生することが可能なものである。ここで、体積ホログラムは光の干渉によって生じる干渉縞が、屈折率の異なる縞として厚み方向に三次元的に描画されることによって記録されるものであるため、体積ホログラムが紫外線によって再生することが可能であるとは、体積ホログラム層に記録される干渉縞の間隔が紫外線の波長領域に一致することを意味するものである。本発明における体積ホログラムが再生される波長としては、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて作製される体積ホログラム積層体の用途等に応じて適宜決定することができるものであるが、なかでも100nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、200nm〜400nmの範囲内であることがより好ましい。
【0024】
なお、本発明の体積ホログラム転写箔に後述する蛍光発光層が用いられる場合、本発明における体積ホログラムが再生される波長は、当該蛍光発光層に照射されることによって蛍光を発光させる紫外線の波長と、同一であってもよく、または、異なっていてもよい。これらの波長が同一である場合は、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて作製される体積ホログラム積層体において、上記体積ホログラムが記録された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発しないようにすることができるため、たとえば上記体積ホログラムをパターン状に記録することにより、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することも可能になるという利点を有する。
【0025】
(2)構成材料
本発明に用いられる体積ホログラム層を構成する材料としては、紫外線によって再生可能な体積ホログラムを記録することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に体積ホログラムに用いられる材料を任意に用いることができる。このような材料としては、例えば、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の体積ホログラム記録材料が挙げることできるが、なかでも本発明においては、(i)バインダー樹脂、光重合可能な化合物、および光重合開始剤を含有する第1の感光材料、または、(ii)カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系および光カチオン重合開始剤系を含有するからなる第2の感光材料を好適に用いることができる。
以下、このような第1の感光材料および第2の感光材料について順に説明する。
【0026】
(i)第1の感光材料
まず、上記第1の感光材料について説明する。上述したように第1の感光材料はバインダー樹脂、光重合可能な化合物、および光重合開始剤を含有するものである。
【0027】
(バインダー樹脂)
上記バインダー樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、またはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、アクリル酸、アクリル酸エステル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体、またはそれらの混合物や、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物等を挙げることができる。ここで、体積ホログラム層を形成する際には、記録された体積ホログラムを安定化するために、加熱してモノマーを移動させる工程が実施される場合がある。このため、本発明に用いられるバインダー樹脂はガラス転移温度が比較的低く、モノマー移動が容易に移動できるものであることが好ましい。
【0028】
(光重合可能な化合物)
上記光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマーおよびそれらの混合物を用いることができる。具体例としては、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド化合物等を挙げることができる。
【0029】
ここで、上記不飽和カルボン酸のモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等を挙げることができる。また上記脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート等を挙げることができる。
【0030】
上記メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等を挙げることができる。また、上記イタコン酸エステルとしてはエチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート等を挙げることができる。また、上記クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等を挙げることができる。さらに上記イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等を挙げることができる。さらにまた、上記マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート、ペンタエリスリトールジマレエート、ソルビトールテトラマレエート等を挙げることができる。
【0031】
上記ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
また、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド等を挙げることができる。
【0032】
(光重合開始剤)
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えば、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等を挙げることができる。なかでも本発明に用いられる光重合開始剤は、記録された体積ホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるものが好ましい。例えば有機過酸化物系にあっては紫外線照射することにより容易に分解されるので好ましい。
【0033】
(ii)第2の感光材料
次に、本発明に用いられる第2の感光材料について説明する。上述したように第2の感光材料は、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、および、カチオン重合開始剤系を含有するものである。
【0034】
ここで、このような第2感光材料が用いられる場合、体積ホログラム層に体積ホログラムを記録する方法としては、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで、光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光とは別の波長の光を照射する方法が用いられることになる。
【0035】
(カチオン重合性化合物)
上記カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、室温で液状のものが好適に用いられる。このようなカチオン重合性化合物としては、例えば、ジグリセロールジエーテル、ペンタエリスリトールポリジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0036】
(ラジカル重合性化合物)
上記ラジカル重合性化合物としては、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、本発明に用いられるラジカル重合性化合物の平均屈折率は、上記カチオン重合性化合物の平均屈折率より大きいことが好ましく、なかでも0.02以上大きいことが好ましい。これは、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物との屈折率の差によって、体積ホログラムが形成されることによるものである。したがって、平均屈折率の差が上記値以下である場合には、屈折率変調が不十分となるからである。本発明に用いられるラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等を挙げることができる。
【0037】
(光ラジカル重合開始剤系)
本発明に用いられる光ラジカル重合開始剤系としては、体積ホログラムを記録する際に、第1露光によって活性ラジカルを生成し、該活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させることができるものであれば特に限定されるものではない。
【0038】
(光カチオン重合開始剤系)
本発明に用いられる光カチオン重合開始剤系としは、体積ホログラムが記録される際の第1露光に対しては低感光性で、第1露光と異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが用いられることが特に好ましい。
【0039】
(その他)
第2の感光材料には、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色料等を併用してもよい。バインダー樹脂は、ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物と相溶性のよいものであればよく、例えば塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖又は主鎖にカチオン重合性基等の反応性を有していてもよい。
【0040】
(屈折率の測定方法)
ここで、上記カチオン重合性化合物に光カチオン重合開始剤を加えることによって得られる樹脂の屈折率は次のようにして測定することができる。すなわち、表面離型処理PETフィルム(例えば、商品名「SP−PET」50μm、トーセロ(株)製)へ上記カチオン重合性化合物に光カチオン重合開始剤を加えることによって得られる樹脂を、アプリケータを用いて20μm程度塗工し、熱乾燥させた後、紫外線照射をして硬化させる。次に、カチオン重合性化合物+光カチオン重合開始剤/表面離型処理PETフィルムの層から表面離型処理PETフィルムを剥離して、カチオン重合性化合物+光カチオン重合開始剤の単層を作製する。上記のように作製したカチオン重合性化合物+光カチオン重合開始剤の単層を、屈折率測定装置(アタゴ社製、多波長アッベ屈折計DR-M4)を用い、屈折率補償液としてモノブロモナフタレンを使用して、測定波長589nmにおける屈折率を測定する。
なお、ラジカル重合性化合物に光ラジカル重合開始剤を加えることによって得られる樹脂についても、上記と同様の方法により屈折率を測定することができる。
【0041】
(3)その他
本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、所定の体積ホログラムを記録することができる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上述した構成材料の種類に応じて適宜調整することができる。なかでも本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
【0042】
2.ヒートシール層
次に本発明に用いられるヒートシール層について説明する。本発明に用いられるヒートシール層は熱可塑性樹脂を含有するものであり、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム積層体を製造する際に、体積ホログラム層と被転写体とを接着させる機能を有するものである。
以下、本発明に用いられるヒートシール層について詳細に説明する。
【0043】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、本発明の体積ホログラム転写箔から体積ホログラム層が転写される被転写体の種類に応じて、体積ホログラム層と被転写体とを接着できるものであれば特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、マレイン酸変性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル系樹脂、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの熱可塑性樹脂であっても好適に用いることができる。
【0044】
なお、本発明に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、あるいは、2種類以上であってもよい。
【0045】
本発明に用いられるヒートシール層には、上記熱可塑性樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。本発明に用いられる添加剤としては、例えば、分散剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
【0046】
本発明に用いられるヒートシール層の厚みは特に限定されるものではなく、体積ホログラム層箔の種類や、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて体積ホログラム層が転写される被転写体の種類等によって適宜選択されるものであるが、通常、0.3μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。厚みが上記範囲よりも薄いと被転写体との接着性が不十分になってしまう可能性があるからである。また上記範囲よりも厚いと、本発明の体積ホログラム転写箔から体積ホログラム層を転写する際に、ヒートシール層を加熱する温度が高くなりすぎてしまい、基材等に損傷が生じてしまう可能性があるからである。
【0047】
3.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、上述した体積ホログラム層およびヒートシール層を支持する機能を有するものである。
【0048】
本発明に用いられる基材としては、上記体積ホログラム層およびヒートシール層を支持できるものであれば特に限定されるものではない。このような基材の具体例としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフッ化エチレン系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルム等を挙げることができる。
【0049】
また、本発明に用いられる基材の厚みは、本発明によって製造される体積ホログラム積層体の用途や種類等に応じて適宜選択されるものであるが、通常2μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmの範囲内とされる。
【0050】
4.任意の構成
本発明の体積ホログラム転写箔は少なくとも上記基材、体積ホログラム層、および、ヒートシール層を有するものであるが、必要に応じてこれら以外の他の任意の構成を用いることができる。本発明に用いられる任意の構成は特に限定されるものではなく、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて製造する体積ホログラム積層体の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に好適に用いられる任意の構成としては、上記ヒートシール層と上記体積ホログラム層との間に形成され、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層、上記基材と上記体積ホログラム層との間に形成される剥離性保護層等を挙げることができる。また、上記蛍光発光層が用いられる場合には、上記他の構成としてさらに上記基材と上記体積ホログラム層との間にパターン状に形成され、上記蛍光発光層に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する、紫外線吸収層を挙げることができる。
以下、これらの各構成について順に説明する。
【0051】
(1)剥離性保護層
まず、上記剥離性保護層について説明する。上記剥離性保護層は、上記基材と上記体積ホログラム層との間に形成されるものである。
【0052】
本発明の体積ホログラム転写箔に剥離性保護層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図2は本発明の体積ホログラム転写箔に剥離性保護層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、本発明の体積ホログラム転写箔10’には、基材1と、体積ホログラム層2との間に剥離性保護層4が形成されていてもよい。
【0053】
本発明の体積ホログラム転写箔に剥離性保護層が用いられることにより、次の2つの点において有利な効果が得られる。
まず第1に、上記剥離性保護層が用いられることにより、基材と体積ホログラム層との接着力を任意の範囲に調整することができるため、本発明の体積ホログラム転写箔から体積ホログラム層を転写させる際に、体積ホログラム層の基材からの剥離性を向上させることができる。
第2に、上記剥離性保護層が用いられることにより、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて被転写体に体積ホログラム層を転写した際に、体積ホログラム層の表面を剥離性保護層によって覆うことができるため、転写された体積ホログラム層を剥離性保護層によって保護することができる。
【0054】
本発明に用いられる剥離性保護層に用いられる材料としては、例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系およびメタアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の1種または2種以上混合したもの等を挙げることができる。
【0055】
(2)蛍光発光層
次に、本発明に用いられる蛍光発光層について説明する。本発明に用いられる蛍光発光層は、上記体積ホログラム層と上記ヒートシール層との間に形成され、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有するものである。
【0056】
本発明の体積ホログラム転写箔に蛍光発光層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図3は本発明の体積ホログラム転写箔に蛍光発光層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図3に例示するように、本発明の体積ホログラム転写箔10’’は、体積ホログラム層2とヒートシール層3との間に紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層5が形成されていてもよい。
【0057】
このような蛍光発光層が形成されていることにより、本発明の体積ホログラム転写箔を、より偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を作製することが可能なものにできる。また、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムを再生する紫外線と、上記蛍光材料の蛍光を発光させる紫外線の波長を一致させることにより、上記体積ホログラムが記録された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発しないようにすることができるため、たとえば上記体積ホログラムをパターン状に記録することにより、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することも可能になる。
【0058】
本発明に用いられる蛍光発光層は、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有するものであるが、本発明に用いられる蛍光材料としては、所網の波長範囲の紫外線を吸収することにより蛍光を発光することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる蛍光材料は、蛍光を発光する紫外線の波長が100nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、200nm〜400nmの範囲内であることがより好ましい。
【0059】
本発明に用いられる蛍光材料は少なくとも1種類が用いられるものであるが、本発明においては発光する蛍光の波長が異なる複数の蛍光材料が用いられることが好ましく、特に赤、緑、青の各色を発色する蛍光材料が用いられることが好ましい。これにより本発明に用いられる蛍光発光層を蛍光でフルカラーの画像を形成する可能なものにできるからである。
【0060】
本発明に用いられる蛍光材料としては、本発明に用いられる蛍光材料としては、例えば、有機蛍光色素および無機蛍光色素を挙げることができる。
上記有機蛍光色素としては、例えば、有機蛍光色素としては、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロン等の誘導体、フルオレセイン、エオシン等の色素、アントラセン等のベンゼン環を持つ化合物などが挙げられる。具体的には可視光で無色の蛍光染料としては、EB−501(三井化学(株)製、発光色:青色)、EG−302(三井化学(株)製、発光色:黄緑色)、EG−307(三井化学(株)製、発光色:緑色)、ER−120(三井化学(株)製、発光色:赤色)、ER−122(三井化学(株)製、発光色:赤色)、蛍光増白剤と呼ばれるユビテックスOB(チバスペシャリティケミカルズ社製、発光色:青色)、ユーロピウム−テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ(株)、赤橙色)等を挙げることができる。
また、上記無機蛍光色素としては、無機蛍光色素としては、Ca、Ba、Mg、Sr、などの酸化物、硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩のなどの結晶を主成分とし、Eu、Mn、Pb、Fe、Mn、Zn、Ag、Cuなどの金属元素または希土類元素をドープ剤として添加した顔料を用いることができる。具体的には可視光下では無色から白色のG−300シリーズ(SrAl2O4:Eu,Dy 根本特殊化学製 発光色:緑)やV−300シリーズ(CaAl2O4:Eu,Nd 根本特殊化学製 発光色:紫)等を挙げることができる。
【0061】
また、本発明に用いられる蛍光材料としては、たとえば、チオフェン系蛍光色素、β−キノフタロン系蛍光色素、クマリン系蛍光色素、ビススチリルベンゼン系蛍光色素、オキサゾール系蛍光色素、およびユーロピウム錯体系蛍光色素等を挙げることができる。これらの蛍光色素の具体例としては、例えば特開2004−122690号公報に記載されたものを例示することができる。
【0062】
なお、本発明に用いられる蛍光発光層には上記蛍光材料以外に、通常、バインダー樹脂が含まれることが好ましい。本発明に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、これらの樹脂の混合物等が挙げられる。本発明においてはこれらのいずれの樹脂であっても好適に用いることができる。
【0063】
(3)紫外線吸収層
次に、本発明に用いられる紫外線吸収層について説明する。本発明に用いられる紫外線吸収層は、上記蛍光発光層が用いられる際に併用されるものであり、上記蛍光発光層に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収するものである。
【0064】
本発明の体積ホログラム転写箔に、このような紫外線吸収層が形成されている場合について図を参照しながら説明する。図4は本発明の体積ホログラム転写箔に紫外線吸収層が形成されている場合の一例を示す概略図である。図4に例示するように本発明の体積ホログラム転写箔10’’’に、蛍光発光層5が用いられている場合においては、基材1と体積ホログラム層2との間にパターン状に形成され、上記蛍光発光層5に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する紫外線吸収層6が用いられていることが好ましい。
【0065】
このような紫外線吸収層が用いられていることにより、当該紫外線吸収層が形成された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発しないようにすることができるため、本発明の体積ホログラム転写箔を用いて意匠性に優れた体積ホログラム積層体を作製することも可能になる。
【0066】
ここで、本発明の体積ホログラム転写箔に上述した剥離性保護層が用いられている場合、上記紫外線吸収層は上記剥離性保護層と上記体積ホログラム層との間に形成されることになる。
【0067】
本発明に用いられる紫外線吸収層に用いられる材料としては、上記蛍光発光層に含まれる蛍光材料の種類に応じて、当該蛍光材料が蛍光を発光する際に吸収する紫外線の波長と、同一波長の紫外線を吸収することができる紫外線吸収材料であれば特に限定されるものではない。このような紫外線吸収材料としては、例えば、有機系紫外線吸収剤、反応性紫外線吸収剤、および無機系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0068】
上記有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、べンゾフェノン系、べンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系、フェニルトリアジン系、シュウ酸アニリド系、マロン酸エステル系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0069】
上記反応性紫外線吸収剤としては、上記有機系紫外線吸収剤に、たとえばビニル基やアクリロイル基、メタクロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを樹脂バインダーに反応固定して使用する。反応固定する方法として従来公知のモノマー、オリゴマー、または反応性重合体の樹脂成分と上記のような付加重合性二重結合を有する反応性紫外線吸収剤とをラジカル重合することにより共重合体とすることができる。また、反応性紫外線吸収剤が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エボキシ基、イソシアネート基を有する場合には、上記の反応性基と反応性を有する熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用いて、熱等によって反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定することができる。
【0070】
また、上記無機系紫外線吸収剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄の微粒子が挙げられ、適時バインダーに分散して使用することができる。
【0071】
(4)その他
上記以外に、本発明に用いられる任意の構成としては、例えば、体積ホログラム層とヒートシール層との接着性、あるいは、体積ホログラム層と、上記剥離性保護層との接着性を向上させるために用いられるプライマー層を挙げることができる。このようなプライマー層としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニルあるいはアクリル酸等との共重合体、エポキシ樹脂等が用いられたものを挙げることができる。
【0072】
また本発明においては上記任意の構成として、上記体積ホログラム層とヒートシール層との間にバリア層が形成されてもよい。体積ホログラム層に用いられる感光材料やヒートシール層に用いられる熱可塑樹脂の組み合わせによっては、経時的に体積ホログラム層から他の層への低分子量成分の移行が起こり、これに起因して体積ホログラム層に記録された体積ホログラムの再生波長が青側(短波長側)に移行してしまう場合があるが、バリア層を設けることによって、このような問題を解消することができるからである。
【0073】
バリア層に用いられる材料としては、所望のバリア性を発現できる材料であれば特に限定されるものではないが、通常、透明性有機樹脂材料が用いられる。本発明に用いられる透明性有機樹脂材料としては、例えば、無溶剤系の3官能以上、好ましくは6官能以上の、紫外線や電子線等の電離放射線に反応する電離放射線硬化性エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0074】
5.体積ホログラム転写箔の製造方法
本発明の体積ホログラム転写箔の製造方法としては、例えば基材上に体積ホログラム層およびヒートシール層を順次積層する方法を用いることができる。このような方法としては、一般的に体積ホログラム転写箔を製造する方法として公知の方法と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
【0075】
B.体積ホログラム積層体
次に、本発明の体積ホログラム積層体について説明する。本発明の体積ホログラム積層体は、被転写体と、上記被転写体上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、上記ヒートシール層上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、を有することを特徴とするものである。
【0076】
このようなこのような本発明の体積ホログラム積層体について図を参照しながら説明する。図5は本発明の体積ホログラム積層体の一例を示す概略断面図である。図5に例示するように、本発明の体積ホログラム積層体20は、被転写体21と、上記被転写体21上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層3と、上記ヒートシール層3上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層2とを有するものである。
【0077】
本発明によれば、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムが紫外線によって再生されるものであることにより、室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下においては体積ホログラムが視認されることがないため、本発明の体積ホログラム積層体を室内の蛍光灯下など通常の可視光の条件下で使用する限りは、その体積ホログラム層の存在自体を外部から容易に認識することができないようにすることができる。このため、本発明によれば偽造防止手段として体積ホログラムが用いられていることを外部から容易に知りえない体積ホログラム積層体を作製することができる。
このようなことから、本発明によれば偽造防止機能に優れた体積ホログラム積層体を得ることができる。
【0078】
本発明の体積ホログラム積層体は、少なくとも上記被転写体、ヒートシール層、および体積ホログラム層を有するものであり、必要に応じて他の任意の構成が用いられてもよいものである。
以下、本発明の体積ホログラム積層体に用いられる各構成について順に説明する。
【0079】
なお、本発明に用いられるヒートシール層および体積ホログラム層については、上記「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0080】
1.被転写体
まず、本発明に用いられる被転写体について説明する。本発明に用いられる被転写体としては、上記ヒートシール層を介して体積ホログラム層と接着させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、本発明の体積ホログラム積層体の用途等に応じて任意に選択して用いることができる。このような被転写体としては、例えば、パスポート、冊子や商品券などに使われる紙やIDカードなどの各種カード、フィルム、布、金属、ガラス等を挙げることができる。
【0081】
2.任意の構成
本発明の体積ホログラム積層体は少なくとも上記被転写体、体積ホログラム層およびヒートシール層を有するものであるが、本発明には必要に応じてこれら以外の他の任意の構成を用いることができる。本発明に用いられる任意の構成は特に限定されるものではなく、本発明の体積ホログラム積層体の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に好適に用いられる任意の構成としては、上記ヒートシール層と上記体積ホログラム層との間に形成され、紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層、上記体積ホログラム層上に形成される剥離性保護層を挙げることができる。また、上記蛍光発光層が用いられている場合には、上記他の構成としてさらに上記体積ホログラム層上にパターン状に形成され、上記蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する、紫外線吸収層を挙げることができる。
以下、これらの各構成について順に説明する。
【0082】
(1)剥離性保護層
まず、上記剥離性保護層について説明する。上記剥離性保護層は、体積ホログラム層上に形成されるものである。
【0083】
本発明の体積ホログラム積層体に剥離性保護層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図6は本発明の体積ホログラム積層体に剥離性保護層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図6に例示するように、本発明の体積ホログラム積層体20’は、体積ホログラム層2上に剥離性保護層4が形成されていてもよい。
【0084】
なお、本発明に用いられる剥離性保護層の詳細については、上記「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0085】
(2)蛍光発光層
次に、本発明に用いられる蛍光発光層について説明する。本発明に用いられる蛍光発光層は、上記体積ホログラム層と上記ヒートシール層との間に形成され、紫外線が照射されることにより蛍光を発光する蛍光材料を含有するものである。
【0086】
本発明の体積ホログラム積層体にこのような蛍光発光層が用いられる場合について図を参照しながら説明する。図7は本発明の体積ホログラム積層体に蛍光発光層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図7に例示するように、本発明の体積ホログラム積層体20’’は、体積ホログラム層2とヒートシール層3との間に紫外線が照射されることにより蛍光を発する蛍光材料を含有する蛍光発光層5が形成されていてもよい。
【0087】
このような蛍光発光層が形成されていることにより、本発明の体積ホログラム積層体を、より偽造防止機能に優れたものにできる。また、上記体積ホログラム層に記録された体積ホログラムを再生する紫外線と、上記蛍光材料の蛍光を発光させる紫外線の波長を一致させることにより、上記体積ホログラムが記録された領域については、上記蛍光材料から蛍光が発しないようにすることができるため、たとえば上記体積ホログラムをパターン状に記録することにより、本発明の体積ホログラム積層体を意匠性に優れたものにすることも可能である。
【0088】
なお、本発明に用いられる蛍光発光層の詳細については、上記「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0089】
(3)紫外線吸収層
次に、本発明に用いられる紫外線吸収層について説明する。本発明に用いられる紫外線吸収層は、上記蛍光発光層が用いられる際に併用されるものであり、上記蛍光発光層に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収するものである。
【0090】
本発明の体積ホログラム積層体に、このような紫外線吸収層が形成されている場合について図を参照しながら説明する。図8は本発明の体積ホログラム積層体に紫外線吸収層が形成されている場合の一例を示す概略図である。図8に例示するように本発明の体積ホログラム積層体20’’’に、蛍光発光層5が用いられている場合においては、体積ホログラム層上2にパターン状に形成され、上記蛍光発光層5に含まれる蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する紫外線吸収層6が用いられていることが好ましい。
【0091】
このような紫外線吸収層が用いられていることにより、当該紫外線吸収層が形成された領域については、上記蛍光発光層から蛍光が発光しないようにすることができるため、本発明の体積ホログラム積層体をより意匠性に優れたものにすることができる。
【0092】
ここで、本発明の体積ホログラム積層体に上述した剥離性保護層が用いられている場合、上記紫外線吸収層は上記剥離性保護層と上記体積ホログラム層との間に形成されることになる。
【0093】
なお、本発明に用いられる蛍光発光層の詳細については、上記「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0094】
(4)その他
また、本発明に用いられる任意の構成としては、上記以外にも「A.体積ホログラム転写箔」の項において説明したプライマー層やバリア層なども用いることができる。
【0095】
3.体積ホログラム積層体
本発明の体積ホログラム積層体は、上記被転写体、ヒートシール層、体積ホログラム層を有するものであることから、上記被転写体に予め記録されていた諸情報に加え、体積ホログラムに基づく画像等の情報がさらに追加されたものになる。
このような本発明の体積ホログラム積層体について、図を参照しながら具体的に説明する。図10は本発明の体積ホログラム積層体および本発明に用いられる被転写体の具体例を示す概略図である。図10(a)に例示するように、本発明に用いられる被転写体としては、予め顔画像情報、文字情報、および図画情報等のあらゆる情報が記録されたものを用いることができる。そして、図10(b)に例示するように本発明の体積ホログラム積層体は、上記図10(a)に例示した被転写体に、体積ホログラム転写箔が転写されることによってさらに情報が記録されたものになる。
また、図11は、本発明の体積ホログラム積層体に紫外線吸収層が用いられている場合の一例を示す概略図である。図11に例示するように本発明の体積ホログラム積層体に紫外線吸収層が用いられる場合は、蛍光発光層の画像上に紫外線吸収層が重ならないように紫外線吸収層が形成されることになる。
【0096】
4.体積ホログラム積層体の製造方法
本発明の体積ホログラム積層体は、一般的に公知の方法によって製造することができる。本発明の体積ホログラム積層体の製造方法の具体例としては、例えば、上記本発明に係る体積ホログラム転写箔を用い、上記体積ホログラム転写箔のヒートシール層上に被転写体を接着させる被転写体接着工程と、上記体積ホログラム転写箔の基材を剥離する基材剥離工程と、からなる方法を挙げることができる。
【0097】
このような体積ホログラム積層体の製造方法について図を参照しながら説明する。図9は本発明の体積ホログラム積層体の製造方法について、その一例を示す概略図である。図9に例示するように、本態様の体積ホログラム積層体の製造方法は、上記本発明に係る体積ホログラム転写箔10を用い(図9(a))、上記体積ホログラム転写箔10のヒートシール層3上に被転写体21を接着させる被転写体接着工程(図9(b))と、上記体積ホログラム転写箔10の基材1を剥離する基材剥離工程と(図9(c))、を有することを特徴とするものである。
【0098】
上記被転写体接着工程において、上記ヒートシール層上に被転写体を接着する方法としては、被転写体の所定の位置にヒートシール層を接着できる方法であれば特に限定されるものではないが、通常はヒートシール層を加熱することにより上記被転写体を接着する方法が用いられる。本工程においてヒートシール層を加熱する手段としては、所望の領域のみを所定の温度に過熱できる方法であれば特に限定されるものではない。このようは方法としては、加熱ローラーを用いる方法や、熱プレス、ホットスタンプ等を挙げることができる。本工程においてはこれらのいずれの加熱手段であっても好適に用いることができる。
【0099】
また、上記基材剥離工程において基材を剥離する方法としては、上記被転写体と接着された領域のみの基材を剥離することができる方法であれば特に限定されるものではない。通常は、体積ホログラム転写箔を被転写体から物理的に引き離すことによって剥離する方法が用いられる。
【0100】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0101】
1.実施例1
(第1積層体)
第1のフィルムとしてPETフィルム(商品名 ルミラーT60(50μm):東レ(株)製)を準備し、ホログラム形成材料として、下記組成からなる体積ホログラム記録材料を、乾燥膜厚10μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面に表面離型処理PETフィルム(商品名 SP−PET(50μm)、トーセロ(株)製)をラミネートし、第1積層体を作製した。
【0102】
<体積ホログラム記録材料の組成>
・バインダー樹脂(メチルメタクリレート共重合体) 35重量部
・バインダー樹脂(ポリ酢酸ビニル樹脂) 20重量部
・ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体 6重量部
・2−フェノキシエチルアクリレート 37重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/メタノール=1/1) 200重量部
【0103】
(体積ホログラムの記録)
第1のフィルム/体積ホログラム記録用材料の層/表面離型処理PETフィルムの積層体に波長;363.8nmのレーザー光(コヒレント社製InnovaSaberを使用)を用いて体積型ホログラムを撮影し記録した。記録後、この積層体を100℃の雰囲気中で50分間加熱した。
【0104】
(ヒートシール層の塗工)
上記で作製した第1のフィルム/体積ホログラム層/表面離型処理PETフィルムから、表面離型処理PETフィルムを剥離して露出させた体積ホログラムの層上に下記組成からなる材料を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面に表面離形処理PETフィルム(商品名 SP-PET(50μm)、トーセロ(株)製)をラミネートし、転写箔の作製を行った。
【0105】
<ヒートシール層形成用材料の組成>
・ポリエステル樹脂(商品名 バイロン550 TOYOBO製 Tg:−15℃ 分子量28000) 20重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)) 80重量部
【0106】
2.実施例2
(蛍光発光層の形成)
体積ホログラムの記録までは実施例1と同様に作製した。次に、第1のフィルム/体積ホログラム層/表面離型処理PETフィルムから、表面離型処理PETフィルムを剥離して露出させた体積ホログラムの層上に下記組成からなる材料を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
【0107】
<蛍光発光層形成用材料の組成>
・有機系ブルー蛍光剤(商品名 ユビテックスOB、チバスペシャルティケミカルズ製): 1重量部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂溶液(#1000AKT、電気化学工業(株)製): 100重量部
【0108】
上記で作製したフィルムの蛍光発光層上に実施例1のヒートシール層形成用材料を実施例1と同様に形成し、転写箔の作製を行った。
【0109】
3.実施例3
(基材/剥離性保護層/紫外線吸収層の第2積層体)
第2のフィルムとしてPETフィルム(商品名 ルミラーT60(50μm):東レ(株)製)を準備し、下記組成の剥離性保護層を乾燥膜厚1μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、その上に紫外線吸収層をパターン状に乾燥膜厚1μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
【0110】
<剥離性保護層形成用材料の組成>
・ポリメチルメタクリレート樹脂(分子量;1000,000) 97重量部
・ポリエチレンワックス(分子量;10000、平均粒径;5μm) 3重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)) 400重量部
<紫外線吸収層形成用材料の組成>
・ポリメチルメタクリレート樹脂(分子量;1000,000) 97重量部
・ポリエチレンワックス(分子量;10000、平均粒径;5μm) 3重量部
・ベンゾフェノン変性ポリメチルメタクリレート 15重量部
・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)) 400重量部
【0111】
また、体積ホログラムの記録までは実施例1と同様に作製した。次に表面離型処理済PETフィルムを剥離して露出させた体積ホログラム記録用材料の層に、第2のフィルム/剥離性保護層/紫外線吸収層の紫外線吸収層面側が接するようにして重ね、ニップした80℃の熱ローラー対の間を通過させて、第1のフィルム/体積ホログラム層/紫外線吸収層/剥離性保護層/第2のフィルムの積層体を得た。記録後、この積層体を100℃の雰囲気中で50分間加熱した。
【0112】
(蛍光発光層の形成)
第1のフィルム/体積ホログラム層/紫外線吸収層/剥離性保護層/第2のフィルムから、第1のフィルムを剥離して露出させた体積ホログラムの層上に実施例2記載の蛍光発光層形成用材料を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
【0113】
(ヒートシール層の塗工)
上記で作製した蛍光発光層/体積ホログラム層/紫外線吸収層/剥離性保護層/第2のフィルムの蛍光発光層上に実施例1に記載のヒートシール層形成用材料を、乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面に表面離形処理PETフィルム(商品名 SP-PET(50μm) トーセロ(株)製)をラミネートし、転写箔の作製を行った。
【0114】
4.実施例4
実施例1〜3の体積ホログラム積層体を商品券にナビタス(株)製ホットスタンプ機を用いて転写温度150℃、圧力0.8Mpaで転写を行ない、第1のフィルムを剥離して体積ホログラム積層体を得た。
【0115】
5.実施例5
実施例1〜3の体積ホログラム積層体を予め昇華転写で顔情報及び文字情報が転写されたポリ塩化ビニルカード上にナビタス(株)製ホットスタンプ機を用いて転写温度150℃、圧力0.8Mpaで転写を行ない、第1のフィルムを剥離して体積ホログラム積層体を得た。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の体積ホログラム転写箔の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の体積ホログラム積層体の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の体積ホログラム積層体の他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の体積ホログラム積層体の他の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の体積ホログラム積層体の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の体積ホログラム積層体の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図10】本発明に用いられる被転写体および本発明の体積ホログラム積層体の具体例を示す概略図である。
【図11】本発明の体積ホログラム積層体の具体例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0117】
1 … 基材
2 … 体積ホログラム層
3 … ヒートシール層
4 … 剥離性保護層
5 … 蛍光発光層
6 … 紫外線吸収層
10,10’,10’’,10’’’ … 体積ホログラム転写箔
20,20’,20’’,20’’’ … 体積ホログラム積層体
21 … 被転写体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、前記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有することを特徴とする、体積ホログラム転写箔。
【請求項2】
前記体積ホログラム層と、前記ヒートシール層との間に、紫外線が照射されることにより蛍光を発光する蛍光材料を含有する蛍光発光層が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の体積ホログラム転写箔。
【請求項3】
前記基材と前記体積ホログラム層との間に、前記蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する、紫外線吸収層がパターン状に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の体積ホログラム転写箔。
【請求項4】
前記体積ホログラム層と前記基材との間に剥離性保護層が形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の体積ホログラム転写箔。
【請求項5】
前記紫外線吸収層と前記基材との間に剥離性保護層が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の体積ホログラム転写箔。
【請求項6】
被転写体と、前記被転写体上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、前記ヒートシール層上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、を有することを特徴とする、体積ホログラム積層体。
【請求項1】
基材と、前記基材上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、前記体積ホログラム層上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層とを有することを特徴とする、体積ホログラム転写箔。
【請求項2】
前記体積ホログラム層と、前記ヒートシール層との間に、紫外線が照射されることにより蛍光を発光する蛍光材料を含有する蛍光発光層が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の体積ホログラム転写箔。
【請求項3】
前記基材と前記体積ホログラム層との間に、前記蛍光材料の蛍光を発光させることが可能な紫外線を吸収する、紫外線吸収層がパターン状に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の体積ホログラム転写箔。
【請求項4】
前記体積ホログラム層と前記基材との間に剥離性保護層が形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の体積ホログラム転写箔。
【請求項5】
前記紫外線吸収層と前記基材との間に剥離性保護層が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の体積ホログラム転写箔。
【請求項6】
被転写体と、前記被転写体上に形成され、熱可塑性樹脂を含有するヒートシール層と、前記ヒートシール層上に形成され、紫外線によって再生される体積ホログラムが記録された体積ホログラム層と、を有することを特徴とする、体積ホログラム積層体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−3195(P2009−3195A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164326(P2007−164326)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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