体組成計
【課題】細胞外液の移動の影響を考慮した精度の高い体組成計を提供する。
【解決手段】インピーダンス計測部101は定電流発生回路41Aで発生させる交流電流の周波数を順次指定し、電圧用電極11〜14より得られる電圧値と交流電流の電流値とに基づいて、周波数ごとに全身インピーダンスおよび少なくとも1つの身体部位の部位別インピーダンスを計測する。部位別インピーダンス補正部102は周波数ごとの全身インピーダンスの値に基づき全身の第1の細胞外液と第1の細胞内液の抵抗成分とを算出し、周波数ごとの部位別インピーダンスの値に基づき、身体部位の第2の細胞外液と第2の細胞内液の抵抗成分とを算出し、第1の細胞外液と第1の細胞内液の抵抗成分との対応関係に基づいて第2の細胞外液の抵抗成分を修正する。第2の細胞内液の抵抗成分と修正後の第2の細胞外液の抵抗成分とに基づいて体組成演算用の部位別インピーダンス、体組成を計算する。
【解決手段】インピーダンス計測部101は定電流発生回路41Aで発生させる交流電流の周波数を順次指定し、電圧用電極11〜14より得られる電圧値と交流電流の電流値とに基づいて、周波数ごとに全身インピーダンスおよび少なくとも1つの身体部位の部位別インピーダンスを計測する。部位別インピーダンス補正部102は周波数ごとの全身インピーダンスの値に基づき全身の第1の細胞外液と第1の細胞内液の抵抗成分とを算出し、周波数ごとの部位別インピーダンスの値に基づき、身体部位の第2の細胞外液と第2の細胞内液の抵抗成分とを算出し、第1の細胞外液と第1の細胞内液の抵抗成分との対応関係に基づいて第2の細胞外液の抵抗成分を修正する。第2の細胞内液の抵抗成分と修正後の第2の細胞外液の抵抗成分とに基づいて体組成演算用の部位別インピーダンス、体組成を計算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体電気インピーダンスを計測するインピーダンス計測装置に関し、特に、生体電気インピーダンスを計測することにより被験者の体組成を測定することのできる体組成計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生体電気インピーダンス(以下、単に「インピーダンス」という)を計測することにより被験者の体組成を測定する体組成計は、被験者の健康管理に用いられている。また、被験者の身体を複数の部位に分割して、部位別のインピーダンスを計測して、体組成を計算できるものがある(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】国際公開第2002/043586号パンフレット
【特許文献2】特開2003−290166号公報
【特許文献3】特表平10−510455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1〜3によると、身体部位ごとに1つのインピーダンスを計測することができるため、より詳細な体組成を測定することができる。
【0004】
しかしながら、部位別のインピーダンスは、測定する時刻によって、特にリンパ液等の細胞外液の移動による影響を大きく受けるが、特許文献1〜3では、このような細胞外液の移動による日内変動の影響が考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、細胞外液の移動の影響を考慮した精度の高い体組成計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に従う体組成計は、複数の異なる周波数ごとに、全身の生体電気インピーダンスを計測する第1の計測手段と、複数の異なる周波数ごとに、左腕、右腕、左脚、右脚、体幹のうち少なくともいずれか1つの身体部位の生体電気インピーダンスを計測する第2の計測手段と、第1の計測手段により計測される複数の全身の生体電気インピーダンスから、該全身の生体電気インピーダンスを構成する複数の第1の成分を算出する第1の算出手段と、第2の計測手段により計測される複数の身体部位の生体電気インピーダンスから、該身体部位の生体電気インピーダンスを構成する複数の第2の成分を算出する第2の算出手段と、複数の第1の成分と、複数の第2の成分のうちの少なくとも1つの構成成分を用いて、複数の第2の成分のうちの残りの構成成分を修正するための修正手段とを備える。
【0007】
好ましくは、上記第2の計測手段は、複数の異なる身体部位の生体電気インピーダンスを計測する。
【0008】
好ましくは、複数の第1の成分に含まれる構成成分、および、複数の第2の成分に含まれる構成成分は、各々、少なくとも、細胞外液の抵抗成分、細胞内液の抵抗成分、のいずれかに対応する成分である。
【0009】
好ましくは、少なくとも修正手段で修正された修正後の構成成分を含む複数の成分から、身体部位の体組成算出用の生体電気インピーダンスを算出するインピーダンス算出手段と、インピーダンス算出手段により算出された体組成算出用の生体電気インピーダンスから、身体部位の体組成を算出する体組成算出手段とをさらに備える。
【0010】
好ましくは、身体部位の体組成は、少なくとも、体脂肪量、体脂肪率、除脂肪量、除脂肪率、骨量、筋肉量、筋肉率のいずれかを含む。
【0011】
好ましくは、上記体組成算出手段は、インピーダンス算出手段により算出された体組成算出用の生体電気インピーダンスと、年齢、性別、身長、体重などの身体特定情報とから、身体部位の体組成を算出する。
【0012】
好ましくは、身体特定情報に含まれる体重を計測するための体重計測手段をさらに備える。
【0013】
好ましくは、体組成算出手段により算出された身体部位の体組成を、身体部位に対応付けて表示する表示手段をさらに備える。
【0014】
好ましくは、身体の複数の部位に接触させるための複数の電極と、交流電流を流すための1対の電流用電極と電圧を測定するための1対の電圧用電極とを各々選択するために、複数の電極を切り替えるための切替手段とをさらに備える。
【0015】
好ましくは、上記修正手段は、第1の比率である、複数の第1の成分に含まれる細胞内液の抵抗成分に対応する構成成分に対する細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分の比と、第2の比率である、複数の第2の成分に含まれる細胞内液の抵抗成分に対応する構成成分に対する細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分の比とが一致するか否かを判断するための判断手段を含み、判断手段により、第1の比率と第2の比率とが一致していないと判断された場合に、第1の比率と第2の比率が一致するように、複数の第2の成分に含まれる細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分を修正する。
【0016】
好ましくは、被験者の身体の複数の所定の部位に対応付けて接触させるための複数の電極と、交流電流を流すための1対の電流用電極と電圧を測定するための1対の電圧用電極とを各々選択するために、複数の電極を切り替えるための切替手段と、指示に応じて、複数の異なる周波数の交流電流を発生するための発生手段と、発生手段で発生させる交流電流の周波数を順次指定するための指定手段と、電圧用電極より得られる電圧値と交流電流の電流値とに基づいて、周波数ごとに、全身インピーダンスおよび少なくとも1つの身体部位の第1の部位別インピーダンスを計測するための計測手段と、計測手段により計測された周波数ごとの全身インピーダンスおよび第1の部位別インピーダンスに基づいて、第1の部位別インピーダンスを補正するための補正手段とを備える。このような補正手段は、計測手段で計測された周波数ごとの全身インピーダンスの値に基づき、全身における第1の細胞外液の抵抗成分と第1の細胞内液の抵抗成分とを算出するための第1の算出手段と、計測手段で計測された周波数ごとの部位別インピーダンスの値に基づき、身体部位における第2の細胞外液の抵抗成分と第2の細胞内液の抵抗成分とを算出するための第2の算出手段と、第1の算出手段により算出された第1の細胞外液の抵抗成分と第1の細胞内液の抵抗成分との対応関係に基づいて、第2の算出手段で算出された第2の細胞外液の抵抗成分を修正するための修正手段と、第2の算出手段で算出された第2の細胞内液の抵抗成分と修正手段による修正後の第2の細胞外液の抵抗成分とに基づいて、体組成算出用の部位別インピーダンスを算出するための第3の算出手段とを含む。さらに、第3の算出手段により算出された体組成算出用の部位別インピーダンスと、被験者の身体特定情報とに基づいて、身体部位の部位別体組成を計算するための第1の計算手段を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、身体部位における細胞外液の抵抗成分を修正することによって、細胞外液の移動の影響による部位別インピーダンスの日内変動を補正することができる。これにより、精度の高い体組成を計算することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
<本発明の実施の形態における体組成計の外観および構成>
図1は、本発明の実施の形態における体組成計100の外観斜視図である。
【0020】
図1を参照して、体組成計100は、第1の筐体1および第2の筐体2により構成される。第1の筐体1および第2の筐体2は、ケーブル3により接続される。体組成計100には、被験者の身体の複数の所定の部位に対応付けて接触させるための複数の電極11〜18が設けられる。
【0021】
第1の筐体1には、被験者の左足を載置するための載置部1.1と、被験者の右足を載置するための載置部1.2と、第2の筐体2とケーブル3とを収納するための収納部4とが設けられる。なお、第1の筐体1の内部には、被験者の体重を計測するための体重計測部32(図3参照)、たとえば体重センサが設けられているものとする。
【0022】
載置部1.1および1.2には、それぞれ被験者の足裏に接触させるための電極が2つずつ備えられる。左足用の載置部1.1には、左足の指側に電流印加用の電極17が設けられ、左足の踵側に電圧測定用の電極13が設けられる。また同様に、右足用の載置部1.2には、右足の指側に電流印加用の電極18が設けられ、左足の踵側に電圧測定用の電極14が設けられる。
【0023】
また、載置部1.1および1.2は、被験者が両足を載置すると上記電極13,14,17,18と接触するように、ほぼ足の外形をなすように形成されている。これにより、両足裏が左右方向に載置部1.1および1.2からずれたとしても、電流印加用の電極17,18および電圧測定用の電極13,14からはずれにくいので、接触部位および接触面積の変動による誤差の発生を防止することができる。また、大腿部における接触状態の変動による影響も防止することができる。したがって、信頼性の高い測定が可能となる。
【0024】
第2の筐体2は、本体部2.1と、被験者が左手で握るための左手用のグリップ部2.2と、被験者が右手で握るための右手用のグリップ部2.3とにより構成される。
【0025】
本体部2.1の前面には、測定結果や各種情報を表示するための表示部20、および、被験者により操作されて、被験者からの指示や各種情報の入力を受付けるための操作部30が設けられる。なお、第2の筐体2の本体部2.1に設けられた表示部20および操作部30については、後に、図4を用いて詳細に説明する。
【0026】
なお、本実施の形態においては、操作部30に含まれる電源スイッチ301は、たとえば第1の筐体1の前面中央に設けられる。
【0027】
第2の筐体2のグリップ部2.2および2.3には、それぞれ被験者の手の内側に接触させるための電極が2つずつ設けられる。左手用のグリップ部2.2には、左手の親指側に電流印加用の電極15が設けられ、左手の小指側に電圧測定用の電極11が設けられる。同様に、右手用のグリップ部2.3には、右手の親指側に電流印加用の電極16が設けられ、右手の小指側に電圧測定用の電極12が設けられる。
【0028】
このように、本発明の実施の形態における体組成計100は、左手、右手、左足、右足の4つの部位にそれぞれ電流印加用および電圧測定用の電極を接触させる構成とされる。なお、このような構成に限られず、たとえば、さらに他の部位用の電流印加用および電圧測定用の電極を備えることとしてもよい。
【0029】
図2は、被験者が本発明の実施の形態における体組成計100を用いて、体組成を測定する際の測定姿勢を示す図である。
【0030】
図2を参照して、被験者200は、直立した姿勢で、左足203および右足204をそれぞれ第1の筐体1の載置部1.1および1.2に配置する。また、左手201で第2の筐体のグリップ部2.2を握り、右手202でグリップ部2.3を握る。この際、両腕205および206の肘を伸ばし、第2の筐体2が身体前方に対向するようにほぼ肩の高さに保持し、腕205,206と胴207とが略直角をなすようにする。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態における体組成計100のブロック図である。図3を参照して、体組成計100は、上記した複数の電極11〜18、表示部20、操作部30、および体重計測部32に加え、体組成計100全体の制御や各種演算等の処理を行なうためのマイコン(マイクロコンピュータの略)10と、複数の異なる周波数の交流定電流を発生するための定電流発生回路41Aと、電流印加用の電極15〜18を切り替えるための電流印加用電極切替回路42と、電圧測定用の電極11〜14を切り替えるための電圧測定用電極切替回路43と、電圧測定用電極切替回路43より得られる電圧情報および体重計測部32より得られる体重情報のいずれか一方に入力を切り替えるため入力切替回路44と、入力切替回路44より得られる電圧情報および体重情報をアナログ信号からデジタル信号に変換するためのA(analog)/D(digital)変換回路45と、操作部30に含まれる電源スイッチ301が操作されることによりマイコン10に電力を供給するための電源部31と、測定結果などの情報を記憶するための外部メモリ33とを備える。また、マイコン10には、各種制御プログラムなどを記憶するための内部メモリ133が含まれる。
【0032】
なお、本実施の形態において、外部メモリ33は、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を含んでおり、後に詳述する被験者の身体特定情報や、体組成などの測定結果は、このEEPROMに格納される。
【0033】
ここで、「身体特定情報」とは、本発明の実施の形態において、被験者の全身および部位別の体組成を計算する際に必要となる被験者の身体情報である。
【0034】
全身の体組成を計算する場合に必要となる「身体特定情報」は、少なくとも身長および体重の情報であり、より好ましくは、身長および体重に加え、年齢および性別などを含む情報である。また、部位別の体組成を計算する場合に必要となる「身体特定情報」は、少なくとも身長あるいは各身体部位の軸方向の長さおよび体重の情報であり、より好ましくは、身長あるいは各身体部位の軸方向の長さおよび体重に加え、年齢および性別などを含む情報である。
【0035】
ここでの説明においては、全身および部位別の体組成を計算するために必要となる「身体特定情報」として、身長,体重,年齢および性別の4つの身体情報をいうものとする。
【0036】
体組成計100では、身体特定情報のうちの体重については、体重計測部32において測定することができる。したがって、体組成測定の際、本実施の形態では、被験者により予め他の3つの身体情報(身長,年齢,性別)が操作部30を用いて入力される。
【0037】
なお、体組成計100に、体重計測部32を設けない構成であってもよく、この場合、予め、上記4つの身体情報(身長,体重,年齢,性別)が操作部30により入力されるものとする。
【0038】
なお「部位別」とは、全身を分割した身体部位ごとであることを表わす。また、本実施の形態においては、全身を左腕、右腕、左脚、右脚、体幹の5つの身体部位に分割するものとする。したがって、部位別の体組成として、左腕、右腕、左脚、右脚、体幹の5つの身体部位の体組成を計測する。ここで、「左腕」、「右腕」とは、たとえば各腕の手首から肩口までを表わす身体部位であり、「左脚」、「右脚」とは、たとえば各脚の足首から脚の付け根までを表わす身体部位であり、「体幹」とは、胴体を表わす身体部位であるものとする。
【0039】
また、本実施の形態において、「全身の体組成」とは、少なくとも全身の除脂肪量および体脂肪率のいずれかであり、より好ましくは、全身の除脂肪量および体脂肪率に加え、全身の筋肉量、筋肉率、内臓脂肪レベルなどを含む生体情報である。
【0040】
また、「部位別の体組成」とは、少なくとも身体部位ごとの除脂肪量および体脂肪率のいずれかであり、より好ましくは、身体部位ごとの除脂肪量および体脂肪率に加え、身体部位ごとの筋肉量および筋肉率などを含む生体情報である。
【0041】
以下、体組成測定の対象とされる、全身および上記5つの身体部位を、総称して「被測定部位」というものとする。
【0042】
マイコン10は、インピーダンス計測部101と、部位別インピーダンス補正部102と、体組成計算部103とを含み、内部メモリ133に格納されたプログラムに従い、インピーダンスの計測、部位別インピーダンスの補正、および体組成の計算を行なう。また、部位別インピーダンス補正部102は、構成成分算出部1021、構成成分修正部1022およびインピーダンス算出部1022を含む。マイコン10が実行するこれらの処理については、後に詳述する。
【0043】
また、マイコン10は、A/D変換回路45を介して取得される体重計測部32、たとえば体重センサからの信号に基づいて、公知の手法により体重を測定する。また、後述する体組成計算部103での測定結果などを、表示部20に表示するための信号を生成する。また、外部メモリ33への書き込みおよび読み出しを行なう。
【0044】
定電流発生回路41Aは、マイコン10からの指示に応じて、複数の異なる周波数の交流電流を出力することができる。定電流発生回路41Aは、たとえば、マイコン10からの指示に応じて発生させる周波数を可変とできるものであってもよいし、所定の周波数を発生可能な複数の回路を含んでいてもよい。
【0045】
次に、本発明の実施の形態における体組成計100の表示部20および操作部30の具体例を図4に示す。図4は、第2の筐体2の正面図である。
【0046】
図4を参照して、第2の筐体2の本体部2.1の表示部20は、第1の表示領域20.1と第2の表示領域20.2とを含む。第1の表示領域20.1および第2の表示領域20.2は、たとえば液晶等により構成される。
【0047】
第1の表示領域20.1には、被験者の身体特定情報や測定結果などを示す数値や文字、図形等が表示される。また、第2の表示領域20.2には、たとえば、身体を複数の身体部位に分けた図形(以下「人体図」という)が表示される。そして、第1の表示領域20.1に測定結果が表示される場合には、人体図のうち、表示中の被測定部位の部分が点灯表示される。これにより、第1の表示領域20.1に表示されている被測定部位の情報を被験者に知らせることができる。
【0048】
なお、表示部20はこのような構成に限られず、表示中の被測定部位の情報が被験者に知らせることができるものであればよい。
【0049】
操作部30は、複数の操作スイッチを含む。たとえば、全身の体組成などの測定結果を表示するための全身スイッチ302と、体幹部の体組成などの測定結果を表示するための体幹スイッチ303と、左脚および右脚を含む脚部の体組成などの測定結果を表示するための脚スイッチ304と、左腕および右腕を含む腕部の体組成などの測定結果を表示するための腕スイッチ305と、各種設定や表示切替を行なうための設定/表示切替スイッチ306と、外部メモリ33に記憶された測定結果を表示するためのメモリスイッチ307と、部位情報の設定の際などに数値の増減を行なうための上下スイッチ308と、被験者の情報を特定するための個人番号スイッチ309とを含む。なお、全身スイッチ302、体幹スイッチ303、脚スイッチ304、腕スイッチ305を総称して「部位別スイッチ」と称する。
【0050】
個人番号スイッチ309は、少なくとも1つ設けられる。図4においては、2つ設けられ、この個人番号スイッチ309で指定される番号(1,2)ごとに、被験者の身体特定情報および測定結果などが外部メモリ33に記憶される。
【0051】
なお、操作部30にたとえばゲストスイッチ310を設けて、測定の度に被験者の身体特定情報を入力し、体組成の測定を行なうこととしてもよい。
【0052】
また、操作部30は、上記のような操作スイッチにより構成されているものでなくてもよい。たとえば、タッチパネルなどにより各種情報や指示の入力がされるものであってもよい。
【0053】
<部位別インピーダンスの日内変動について>
図5は、各身体部位のインピーダンス成分を示す模式図である。また、図6は、全身のインピーダンス成分を示す模式図である。図5および図6は、被験者の身体の各身体部位および全身を抵抗とコンデンサとからなる等価回路で近似して示したものである。
【0054】
ここで、各インピーダンスの成分は、細胞内液による抵抗(以下「細胞内液の抵抗成分」という)Ri,細胞外液による抵抗(以下「細胞外液の抵抗成分」という)Ro,細胞膜による容量(以下「細胞膜の容量成分」という)Ciにより表わされる。このとき、各インピーダンスは、細胞膜の容量成分Ciおよび細胞内液の抵抗成分Riと、細胞外液の抵抗成分Roとが並列に接続された等価回路で表わされる。
【0055】
なお、図5を参照して、左腕のインピーダンスを「Zlh」、右腕のインピーダンスを「Zrh」、体幹部のインピーダンスを「Zt」、左脚のインピーダンスを「Zlf」、右脚のインピーダンス「Zrh」と表わす。また、図6を参照して、全身のインピーダンスを「Zw」と表わす。また、以下の説明において、左腕のインピーダンスZlhと右腕のインピーダンスZrhとを含む腕部のインピーダンスを「Zh」、左脚のインピーダンスZlfと右脚のインピーダンスZrfとを含む脚部のインピーダンスを「Zf」と記す。
【0056】
図5を参照して、左腕のインピーダンスZlhは、細胞膜の容量成分Ci_lhおよび細胞内液の抵抗成分Ri_lhと、細胞外液の抵抗成分Ro_lhとの等価回路で表わされる。右腕のインピーダンスZrhは、細胞膜の容量成分Ci_rhおよび細胞内液の抵抗成分Ri_rhと、細胞外液の抵抗成分Ro_rhとの等価回路で表わされる。体幹のインピーダンスZtは、細胞膜の容量成分Ci_tおよび細胞内液の抵抗成分Ri_tと、細胞外液の抵抗成分Ro_tとの等価回路で表わされる。また、左脚のインピーダンスZlfは、細胞膜の容量成分Ci_lfおよび細胞内液の抵抗成分Ri_lfと、細胞外液の抵抗成分Ro_lfとの等価回路で表わされる。右脚のインピーダンスZrfは、細胞膜の容量成分Ci_rfおよび細胞内液の抵抗成分Ri_rfと、細胞外液の抵抗成分Ro_rfとの等価回路で表わされる。
【0057】
また、図6を参照して、全身のインピーダンスZwは、細胞膜の容量成分Ci_wおよび細胞内液の抵抗成分Ri_wと、細胞外液の抵抗成分Ro_wとの等価回路で表わされる。
【0058】
上記インピーダンス成分のうち、細胞外液の抵抗成分Roに該当するリンパ液等の体水分は、一般的に、1日の中で朝から夕方にかけて下半身に移動する。このような、体水分の移動の影響による部位別インピーダンスの日内変動について、図9を用いて説明する。
【0059】
図9は、部位別インピーダンスの日内変動について説明するための図である。図9において、横軸を時間、縦軸をインピーダンス値(Ω)とする。なお、図9では、朝8時に起床し、24時に就寝した場合の一例を示すものとする。また、ここで示される各インピーダンスは、一般的に用いられる所定の周波数(たとえば50kHz)で計測されたインピーダンスであるものとする。
【0060】
図9に示すように、全身インピーダンスZwは、体水分の移動の影響による日内変動は受けず一定(たとえば300Ω)である。これは、図8に示したように、全身を各部に分けず1つの抵抗とみなして全身インピーダンスZwを求めるため、体水分の分布が変化しても全体のインピーダンスは変動しないことによる。
【0061】
一方、腕部(上肢)のインピーダンスZhは、8時から24時までの間、時間が経つにつれて次第に高くなる。図9において、8時では350Ωが計測され、24時では370Ωが計測されている。これは、時間が経つにつれて体水分が減り、抵抗が大きくなるためである。
【0062】
また、逆に、脚部(下肢)のインピーダンスZfは、8時から24時までの間、時間が経つにつれて次第に低くなる。図9において、8時では330Ωが計測され、24時では310Ωが計測されている。これは、時間が経つにつれて体水分が増え、抵抗が小さくなるためである。
【0063】
このように全身のインピーダンスZwは、サウナで多量の汗を流すなどの特別なイベントがない限り、体水分の移動による影響による日内変動は起こらないといえる。しかし、図9に示されるように、部位別のインピーダンスは、体水分の移動による影響を受け、日内変動が起こる。
【0064】
このため、計測された部位別のインピーダンスをそのまま用いて部位別の体組成を計算すると、部位別の体組成も、1日の中で測定する時間によって変動してしまうことになる。たとえば腕部(上肢)や脚部(下肢)の体脂肪率では、測定時刻によって1〜2%程度変動してしまうことになる。そうすると、適切な部位別の体組成を被験者に提示することができない。
【0065】
そこで、本発明の実施の形態における体組成計100では、このような体水分の移動による日内変動の移動を補正して、精度の高い部位別の体組成を測定する。
【0066】
<本発明の実施の形態におけるインピーダンスの計測>
インピーダンス計測部101は、全身および少なくとも1つの身体部位の部位別インピーダンスを計測する。本実施の形態においては、部位別のインピーダンスとして、上記した左腕、右腕、左脚、右脚、体幹の5つの身体部位のインピーダンスを計測する。なお、このような5つの身体部位のうち、たとえば、左腕および左脚など2つの身体部位のインピーダンスを計測することとしてもよいし、他の組み合わせによる複数の身体部位のインピーダンスを計測することとしてもよい。
【0067】
また、本実施の形態において、インピーダンス計測部101は、まず、左腕のインピーダンスZlhと右腕のインピーダンスZrhとを計測する。そして、たとえば、左腕のインピーダンスZlhと右腕のインピーダンスZrhとを合成することにより、腕部のインピーダンスZhを求める。
【0068】
また、左脚のインピーダンスZlfと右脚のインピーダンスZrfとを計測する。そして、たとえば、左脚のインピーダンスZlfと右脚のインピーダンスZrfとを合成することにより、脚部のインピーダンスZfを求める。
【0069】
なお、以下の説明において、インピーダンス計測の対象となる全身および5つの身体部位(左腕,右腕,左脚,右脚,体幹)を総称して、「被計測部位」という。
【0070】
ところで、図5および図6に示したように、被計測部位のインピーダンスは、細胞外液の抵抗成分Ro,細胞内液の抵抗成分Ri,細胞膜の容量成分Ciの合成成分である。
【0071】
上記したように、全身における細胞外液の抵抗成分Roは、一般的に1日を通してほぼ変動しない。これに対し、身体部位における細胞外液の抵抗成分Roは、同じ1日の中でもたとえば朝と夕方とでは変動してしまう。また、短期的には、全身および身体部位のいずれにおいても、細胞膜の容量成分Ciおよび細胞内液の抵抗成分Riはほぼ変動しない。したがって、たとえば1日の中で朝と夕方とで体組成を測定した場合、全身の体組成はほぼ変動しないが、部位別の体組成のみ変動してしまうということが生じる。
【0072】
このようなことから、精度良く部位別の体組成を測定するためには、部位別の細胞外液の抵抗成分Roを修正する必要があることが分かる。
【0073】
本実施の形態におけるインピーダンス計測部101は、複数の異なる周波数を発生可能な定電流発生回路41Aにおいて発生させる交流電流の周波数を指定する。「複数の異なる周波数」とは、少なくとも3つの異なる周波数である。このような、少なくとも3つの異なる周波数は、計測されるインピーダンスから上記したインピーダンス成分(細胞外液の抵抗成分Ro,細胞内液の抵抗成分Ri,細胞膜の容量成分Ci)を分離して算出可能とするための周波数である。
【0074】
本実施の形態では、周波数Fa,Fb,Fcの3種類の周波数を定電流発生回路41Aに発生させる。すなわち、インピーダンス計測部101は、定電流発生回路41Aで発生させる周波数を上記3種類の周波数の中から順次指定し、指定した周波数ごとに、全身および部位別のインピーダンスを計測する。なお、周波数Faをたとえば50kHz、周波数Fbをたとえば100kHz、周波数Fcをたとえば10kHzとすることができる。また、本実施の形態では、複数の異なる周波数として上記3種類の周波数を用いることとしたが、少なくとも細胞外液の抵抗成分Roおよび細胞内液の抵抗成分Riが抽出できればよい。したがって、2種類の周波数であってもよいし、3種類より多くてもよい。
【0075】
次に、具体的なインピーダンス計測方法について説明する。
【0076】
インピーダンス計測部101は、電流印加用電極切替回路42および電圧測定用電極切替回路43を制御し、電流印加用の1対の電極15〜18および電圧測定用の1対の電極11〜14を各々順次切り替えて、全身および部位別のインピーダンス(Zw,Zlh,Zrh,Zt,Zlf,Zrh)を計測する。より具体的には、定電流発生回路41Aより流した電流値と、A/D変換回路45を介して取得される2極間の電位差とに基づいて、各インピーダンスを計測する。
【0077】
たとえば左腕のインピーダンスZlhは、図7に示すように、左手・左足間に交流電流を流し、両手間の電位差を測ることにより計測される。より詳細には、インピーダンス計測部101は、電流印加用の電極15,17間に各周波数Fa,Fb,Fcの交流電流を流し、電圧測定用の電極11,12間の電位差を測定することによって、3種類の左腕のインピーダンスZlhを計測する。
【0078】
また、全身のインピーダンスZwを計測するためには、図8に示すように、両手・両足間に交流電流を流し、両手・両足間の電位差を測ることにより計測される。より詳細には、インピーダンス計測部101は、両手の電流印加用の電極15,16間および、両足の電流印加用の電極17,18間をそれぞれ接続し、また、両手の電圧測定用の電極11,12間および、両足の電圧測定用の電極13,14間をそれぞれ接続して、電流印加用の電極15〜18に各周波数Fa,Fb,Fcの交流電流を1方向に流し、電圧測定用の電極11〜14を用いて電位差を測ることによって、3種類の全身のインピーダンスZwを計測する。
【0079】
なお、本実施の形態においては、上述のように、被計測部位のインピーダンスを構成する構成成分としては、細胞膜の容量成分Ci、細胞内液の抵抗成分Ri、および細胞外液の抵抗成分Roの3つであることとしたが、他の成分により構成されることとしてもよい。
【0080】
<部位別インピーダンスの補正>
部位別インピーダンス補正部102は、周波数ごとにインピーダンス計測部101で計測された全身インピーダンスと部位別インピーダンスとに基づいて、部位別インピーダンスの補正を行なう。なお、以下の説明において、部位別インピーダンス補正部102のうちインピーダンス算出部1023において算出される体組成演算用の部位別インピーダンスを、「演算用部位別インピーダンス」という。
【0081】
ここでまず、部位別インピーダンス補正部102の構成成分算出部1021が実行するインピーダンス成分の算出方法の一例について説明する。
【0082】
構成成分算出部1021は、被計測部位ごとに、周波数の値と周波数ごとのインピーダンスの値とに基づいて、少なくとも、細胞外液の抵抗成分Roと細胞内液の抵抗成分Riとを算出する。
【0083】
具体的には、たとえば以下のような式を用いて計算することができる。なお、以下の式において、|Z|は周波数ごとに計測されたインピーダンス値であり、fは交流電流の周波数を示す。
【0084】
【数1】
【0085】
Zr=[Ro{Ri(Ro+Ri)+Xc2}]/{(Ro+Ri)2+Xc2}
…(5)
Zi=(Ro2×Xc)/{(Ro+Ri)2+Xc2} …(6)
Xc=1/(j×2π×f×Ci) …(7)
上記(4)〜(7)の式を用いて、被計測部位ごとの細胞外液の抵抗成分Roおよび細胞内液の抵抗成分Riを算出することができる。
【0086】
このように、被計測部位ごとの細胞外液の抵抗成分Roおよび細胞内液の抵抗成分Riが算出されると、部位別インピーダンス補正部102の構成成分修正部1022は、身体部位における細胞内液の抵抗成分Ri_bに対する細胞外液の抵抗成分Ro_bの比率が、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率と一致するように、身体部位における細胞外液の抵抗成分Ro_bの値を修正する。
【0087】
なお、上記「細胞外液の抵抗成分Ro_b」とは、身体部位ごとの細胞外液の抵抗成分(たとえばRo_lhなど)を総称するものであり、「細胞内液の抵抗成分Ri_b」とは、身体部位ごとの細胞内液の抵抗成分(たとえばRi_lhなど)を総称するものである。
【0088】
このように、本発明の実施の形態において、構成成分修正部1022は、全身のインピーダンスを構成する細胞内液の抵抗成分Ri_wおよび細胞外液の抵抗成分Ro_wと、身体部位のインピーダンスを構成する細胞内液の抵抗成分Ri_bとを用いて、細胞外液の抵抗成分Ro_bを修正する。なお、被計測部位のインピーダンスを構成する構成成分が、細胞膜の容量成分Ci、細胞内液の抵抗成分Ri、および細胞外液の抵抗成分Roとは異なる成分である場合には、全身のインピーダンスを構成する複数の成分と、身体部位のインピーダンスを構成する少なくとも1つの構成成分とを用いて、身体部位のインピーダンスを構成する残りの構成成分を修正するものとする。この、「残りの構成成分」とは、好ましくは、細胞外液の抵抗成分Ro_bに相当する成分である。
【0089】
構成成分修正部1022によって、細胞外液の抵抗成分Ro_bの値が修正されると、部位別インピーダンス補正部102のインピーダンス算出部1023は、演算用部位別インピーダンスを算出する。
【0090】
なお、この部位別インピーダンス補正部102が実行する具体的な処理については、図13のフローチャートを用いて後述する。
【0091】
<体組成の計算>
体組成計算部103は、インピーダンス計測部101で計測された部位別インピーダンス、あるいは、インピーダンス算出部1023において算出された演算用部位別インピーダンスの情報に基づいて、被験者の部位別の体組成を計算する。また、体組成計算部103は、インピーダンス計測部101においてたとえば周波数Faで計測された全身のインピーダンスの情報に基づいて、被験者の全身の体組成を計算する。
【0092】
ここで、体組成計算部103において計算される全身および部位別の体組成のうち、除脂肪量および体脂肪率の計算方法について説明する。
【0093】
(除脂肪量の計算)
はじめに、除脂肪量の計算式は、除脂肪量をFFM、インピーダンスをZ、身長をH、体重をW、年齢をAgとすると、次式(1)で表わされる。なお、ここでのインピーダンス「Z」は、インピーダンス算出部1023で演算用部位別インピーダンスが算出された場合は、その算出された値である。
【0094】
FFM=a・H2/Z+b・W+c・Ag+d …(1)
上記式(1)において、a〜dはそれぞれ所定の定数であり、性別や被測定部位ごとに異なるものとする。したがって、除脂肪量(FFM)を算出する場合、式(1)のインピーダンス「Z」の値は、被測定部位が全身であれば「Zw」、被測定部位が体幹部であれば「Zt」の値となる。
【0095】
このような、性別や被測定部位ごとの除脂肪量の計算式に用いる所定の定数a〜dは、予め外部メモリ33に記憶される。なお、除脂肪量(FFM)の算出式は、式(1)のような1次関数に限られず、2次関数などであってもよい。
【0096】
(体脂肪率の計算)
全身の体脂肪率の計算式は次式(2)で表わされる。
【0097】
体脂肪率(%)={体脂肪量(kg)÷体重(kg)}×100 …(2)
上記体脂肪量の計算式は次式(3)で表わされる。
【0098】
体脂肪量(kg)=体重(kg)−除脂肪量(kg) …(3)
このように、全身の体脂肪率は、上記(1)式で計算された全身の除脂肪量(FFM)に基づいて計算される。
【0099】
また、部位別の体脂肪率は、計測された部位別のインピーダンスと身体特定情報との情報から、予めDEXA(Dual energy X-ray absorptiometry)などで測定されたリファレンスとの相関に基づき計算される。
【0100】
なお、体組成計算部103は、部位別の体組成として、上記左腕、右腕、左足、右脚、体幹の5つの身体部位の体組成を計算するものとしたが、たとえば、両腕、両脚、体幹の3つの身体部位の体組成を計算するものであってもよい。
【0101】
また、体組成のうち除脂肪量および体脂肪率以外の生体情報については、たとえば公知の手法などを用いて計算することができる。
【0102】
<本発明の実施の形態における体組成計の動作>
図10および図11は、本発明の実施の形態における体組成計100の測定処理の流れを示すフローチャートである。なお、この処理が開示される時点で、予め外部メモリ33には、被験者の個人番号に対応付けて、被験者の身体特定情報が記憶されているものとして説明する。
【0103】
図10を参照して、初めに、電源スイッチ301が操作されると電源部31によりマイコン10に電力が供給される(ステップS10)。続いて、マイコン10は、体重計測部32における体重計を初期化する(ステップS12)。
【0104】
そして、マイコン10は、体重計測部32からのセンサ信号の出力が安定したか否かを判断する(ステップS14)。センサ信号の出力が安定していないと判断すると(ステップS14においてNO)、ステップS12に処理を戻す。一方、センサ信号の出力が安定したと判断した場合(ステップS14においてYES)、マイコン10は、体重測定の準備が完了したことを検知する(ステップS16)。
【0105】
続いて、マイコン10は、個人番号の選択があったか否かを判断する(ステップS18)。個人番号の選択がなかったと判断した場合(ステップS18においてNO)、体重のみの測定モードであると判断する(ステップS20)。
【0106】
続いて、マイコン10は、所定時間内に体重値が安定したか否かを判断する(ステップS22)。所定時間内に体重値が安定しなければ(ステップS22においてNO)、エラーであると判定する(ステップS24)。このとき、エラーである旨の表示を表示部20の第1の表示領域20.1に表示させてもよい。なお、後のステップにおいても、エラーと判定されると、同様の表示をさせてもよい。
【0107】
ステップS24の処理が終了すると、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0108】
ステップS22において所定時間内に体重値が安定したと判断した場合(ステップS22においてYES)、体重値を確定する(ステップS26)。そして、マイコン10は、表示部20にステップS26において確定した体重値を表示する(ステップS28)。ステップS28の処理が終了すると、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0109】
一方、ステップS18において、個人番号が選択されたと判断した場合(ステップS18においてYES)、続いて、メモリスイッチ307が押されたか否かを判断する(ステップS30)。メモリスイッチ307が押されたと判断した場合(ステップS30においてYES)、外部メモリ33に記憶された過去の測定結果を示すメモリ値を表示する(ステップS32)。なお、初めて体組成を測定する場合など過去のメモリ値が外部メモリ33に記憶されていない場合には、たとえば、エラー表示を行なって、ステップS34の処理へ進むこととしてもよい。
【0110】
ステップS32の処理が終了すると、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0111】
一方、ステップS30においてメモリスイッチ307が押されなかったと判断した場合(ステップS30においてNO)、マイコン10は、体重および体組成測定モードであると判断する(ステップS34)。そして、マイコン10は、所定時間内に体重値が安定したか否かを判断する(ステップS36)。所定時間内に体重値が安定しなかった場合(ステップS36においてNO)、マイコン10はエラーであると判定する(ステップS38)。そして、ステップS38の処理が終了すると、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0112】
ステップS36において所定時間内に体重値が安定したと判断した場合(ステップS36においてYES)、マイコン10は体重値を確定する(ステップS40)。確定した体重値は、たとえば外部メモリ33の所定の領域に一時的に記憶される。
【0113】
ステップS40の処理が終了すると、マイコン10は、入力切替回路44に制御信号を送信し、入力を電圧測定用電極11〜14からの電圧情報に切り替えて、図11に示すステップS42に処理を進める。
【0114】
図11を参照して、ステップS42において、マイコン10のインピーダンス計測部101は、インピーダンス計測処理を行なう。このステップS42におけるインピーダンス計測処理については、図12に示す。
【0115】
図12は、本発明の実施の形態におけるインピーダンス計測処理の流れを示す図である。
【0116】
図12を参照して、はじめに、インピーダンス計測部101は、定電流発生回路41Aにおいて発生させる周波数として周波数Faを指定する(ステップS102)。
【0117】
次に、インピーダンス計測部101は、指定した周波数で、全身インピーダンスを計測する(ステップS104)。続いて、インピーダンス計測部101は、指定した周波数で、身体部位ごとのインピーダンスを計測する(ステップS106)。なお、ステップS104およびステップS106で計測された各インピーダンスは、たとえば外部メモリ33の所定の領域に一時的に記憶される。
【0118】
ステップS106の処理が終わると、インピーダンス計測部101は、周波数Fbでのインピーダンスを計測済みか否かを判断する(ステップS108)。
【0119】
周波数Fbでのインピーダンスを計測していないと判断した場合(ステップS108においてNO)、定電流発生回路41Aにおいて発生させる周波数を周波数Fbに変更する(ステップS110)。そして、ステップS110の処理が終了すると、ステップS104の処理に戻る。
【0120】
一方、周波数Fbでのインピーダンスを計測済みであると判断した場合(ステップS108においてYES)、インピーダンス計測部101は、周波数Fcでのインピーダンスを計測済みか否かを判断する(ステップS112)。
【0121】
ステップS112において、周波数Fcでのインピーダンスを計測していないと判断した場合(ステップS112においてNO)、定電流発生回路41Aにおいて発生させる周波数を周波数Fcに変更する(ステップS114)。そして、ステップS114の処理が終了すると、ステップS104の処理に戻る。
【0122】
一方、周波数Fcでのインピーダンスを計測済みであると判断した場合(ステップS112においてYES)、インピーダンス計測処理を終了する。
【0123】
なお、周波数の指定順序は、上記のような順序に限らない。また、たとえば、はじめに周波数Fa,Fb,Fcごとの全身インピーダンスを求めた後に、周波数Fa,Fb,Fcごとの身体部位ごとの部位別インピーダンスを求めることとしてもよい。
【0124】
また、各インピーダンスの計測は、次のようにして行なわれてもよい。まず、交流電流を流した後、所定時間内にインピーダンス値が所定範囲内であるか否かを判断する。所定時間内にインピーダンス値が所定範囲内にならなければ、エラーであると判定する。一方、所定時間内にインピーダンス値が所定範囲内にあると判断した場合、続いて、所定時間内にインピーダンス値が安定したか否かを判断する。所定時間内にインピーダンス値が安定しなければ、エラーであると判定する。所定時間内にインピーダンス値が安定したと判断した場合に、その値をインピーダンスの計測値とする。
【0125】
図11に再び戻って、ステップS42におけるインピーダンス計測処理が終了すると、マイコン10内の部位別インピーダンス補正部102は、部位別インピーダンス補正処理を行なう。このステップS50における部位別インピーダンス補正処理については、図13に示す。
【0126】
図13は、本発明の実施の形態における部位別インピーダンス補正処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下に示す処理は、部位別インピーダンス補正部102の構成成分算出部1021、構成成分修正部1022およびインピーダンス算出部1023のいずれかにより実行される処理であるが、ここでは全て部位別インピーダンス補正部102によって実行されるものとして説明する。
【0127】
図13を参照して、はじめに、部位別インピーダンス補正部102は、たとえば上記(4)〜(7)の式を用いて、全身の細胞外液の抵抗成分Ro_wおよび細胞内液の抵抗成分Ri_wを算出する(ステップS202)。次に、部位別インピーダンス補正部102は、たとえば上記(4)〜(7)の式を用いて、身体部位ごとの細胞外液の抵抗成分Ro_bおよび細胞内液の抵抗成分Ri_bを算出する(ステップS204)。
【0128】
次に、部位別インピーダンス補正部102は、インピーダンス計測部101で計測された複数の身体部位のうち1つの身体部位を選択する(ステップS206)。そして、選択した身体部位ごとに、D=(Ro_b/Ri_b)/(Ro_w/Ri_w)を算出する(ステップS208)。すなわち、身体部位における細胞内液の抵抗成分Ri_bに対する細胞外液の抵抗成分Ro_bの比率に対する、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率の比較値「D」を算出する。
【0129】
続いて、部位別インピーダンス補正部102は、選択した身体部位の上記比較値D=1であるかを判断する(ステップS210)。すなわち、選択した身体部位の細胞内液の抵抗成分Ri_bに対する細胞外液の抵抗成分Ro_bの比率と、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率とが一致しているか否かを判断する。
【0130】
ステップS210において、比較値D=1であると判断した場合(ステップS210においてYES)、ステップS214に進む。
【0131】
一方、ステップS210において、比較値D=1でないと判断した場合、選択した身体部位の細胞外液の抵抗成分Ro_bを修正する(ステップS212)。具体的には、次のようにして、修正される。
【0132】
Ro’_b=Ro_b/D
上記式において、「Ro’_b」は、修正後の細胞外液の抵抗成分である。
【0133】
これにより、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率と一致するように、選択された身体部位の細胞外液の抵抗成分Ro_bが修正される。
【0134】
ステップS212において、細胞外液の抵抗成分Ro’_bが算出されると、ステップS214に進む。
【0135】
ステップS214において、部位別インピーダンス補正部102は、演算用部位別インピーダンスを算出する。ステップS212において細胞外液の抵抗成分Ro_bが修正された場合は、修正後の細胞外液の抵抗成分Ro’_bを用いて演算用部位別インピーダンスが算出される。具体的には、たとえば上記(4)〜(7)の式にあてはめることにより、演算用部位別インピーダンス(「|Z’|」と記す)が算出される。
【0136】
また、ステップS212の処理を経ていない場合は、ステップS204で算出された細胞外液の抵抗成分Ro_bを用いて演算用部位別インピーダンスが算出される。あるいは、周波数Faで算出された部位別インピーダンスを演算用部位別インピーダンスとしてもよい。
【0137】
ステップS214の処理が終わると、ステップS216に進む。
【0138】
ステップS216において、部位別インピーダンス補正部102は、全ての身体部位を選択済みか否かを判断する。全ての身体部位を選択済みでないと判断した場合(ステップS216においてNO)、ステップS206へ戻り上述の処理を繰り返す。一方、全ての身体部位を選択済みであると判断した場合(ステップS216においてYES)、部位別インピーダンス補正処理を終了する。
【0139】
なお、ステップS210において、比較値Dが1であるか否かを判断したが、所定の許容範囲を設けて、身体部位における細胞内液の抵抗成分Ri_bに対する細胞外液の抵抗成分Ro_bの比率と、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率との一致度が許容範囲内か否かを判断してもよい。
【0140】
また、本実施の形態においては、全ての身体部位(左腕,右腕,体幹部,左脚,右脚)を、部位別インピーダンス補正処理の対象としたが、所定の身体部位のみを対象としてもよい。
【0141】
再び図11に戻って、ステップS50の部位別インピーダンス補正処理が終わると、体組成演算のためのインピーダンスが確定される(ステップS52)。ステップS52では、インピーダンス計測部101で計測した周波数Faにおける全身インピーダンスZw、および、部位別インピーダンス補正部102で算出された演算用部位別インピーダンス(|Z’|)が、体組成演算のためのインピーダンス値として確定される。
【0142】
なお、本実施の形態においては、ステップS52で確定されるインピーダンス値は、全身および3つの身体部位(腕部,体幹部,脚部)のインピーダンス値である。すなわち、左腕および右腕のインピーダンス値を合成して腕部のインピーダンス値とし、左脚および右脚のインピーダンス値を合成して脚部のインピーダンス値とする。
【0143】
ステップS52において体組成演算のためのインピーダンス値が確定すると、体組成計算部103は、体組成の計算処理を行なう(ステップS54)。ステップS54において、体組成計算部103は、上述のように、全身の体組成および部位別の体組成を計算する。なお、体組成の計算は、たとえば公知の手法により行なうことができる。
【0144】
ステップS54の処理が終了すると、マイコン10は、ステップS40において確定した体重値およびステップS54において計算した体組成の数値を、外部メモリ33に測定結果として記憶する(ステップS56)。
【0145】
この測定結果は、被験者の個人番号ごとに、図示しない計時部より得られる日付および測定時刻の情報とともに、たとえば所定数記憶される。所定数を超えると、古いメモリ値に上書きされるなど、最新の測定結果が記憶される。なお、ステップS56においては、体組成数値のみが記憶されることとしてもよい。また、ステップS54で計算した体組成の数値のうち所定の情報のみを記憶することとしてもよい。
【0146】
次に、マイコン10は、計算した体組成数値を表示部20に表示する(ステップS58)。ここでは、全身の体組成および他の情報が表示される。全身の体組成として、たとえば、体脂肪率、筋肉率、内臓脂肪レベルなどが表示される。また、たとえば、ステップS40で確定した体重値、BMI(体格指数)、基礎代謝、および、計算した基礎代謝が何歳に相当するかを表わす指標(以下「年齢指標」という)などもあわせて表示される。これらの情報は、表示部20の第1の表示領域20.1に表示され、第2の表示領域20.2では、人体図の全て(全身)が点灯される。
【0147】
また、表示部20の第1の表示領域20.1が小さい場合などには、これらの情報を順に表示することとしてもよい。たとえば、図14に示すように、はじめに、体重および基礎代謝を表示し(図14(a)参照)、その後、設定/表示切替スイッチ306が操作される度に、順に、筋肉率および体脂肪率の表示(図14(b)参照)、BMIおよび内臓脂肪レベルの表示(図14(c)参照)、年齢指標の表示(図14(d)参照)と切り替え、これらが繰り返し表示されることとしてもよい。なお、図14では、個人番号1の被験者の測定結果が表示されているものとする。
【0148】
たとえば図14(a)では、第1の表示領域20.1に、体重52.3kg、基礎代謝1182kcalと表示される。図14(b)では、第1の表示領域20.1に、筋肉率28.8%、体脂肪率23.0%と表示される。図14(c)では、第1の表示領域20.1に、BMI20.4、内臓脂肪レベル3と表示される。図14(d)では、第1の表示領域20.1に、年齢指標27才と表示される。また、図14(a)〜(d)において、第2の表示領域20.2には、人体図の全て(全身)が点灯される。
【0149】
ステップS58の処理が終了すると、ステップS60に進み、マイコン10は、メモリスイッチ307が押されたか否かを判断する。メモリスイッチ307が押されなかったと判断した場合(ステップS60においてNO)、続いて部位別スイッチ302〜305が押されたか否かを判断する(ステップS64)。
【0150】
ステップS64で部位別スイッチ302〜305が押されなかったと判断した場合(ステップS64にてNO)、マイコン10は、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0151】
一方、ステップS64において部位別スイッチ302〜305のいずれかが押されたと判断した場合(ステップS64においてYES)、マイコン10は、ステップS64において押されたスイッチの種類に対応する被測定部位の体組成の測定値を表示部20に表示させる(ステップS66)。この場合、表示部20の第1の表示領域20.1には、指定された被測定部位の体組成が表示される。また、第2の表示領域20.2では、指定された被測定部位が点灯表示される。
【0152】
ここで、ステップS64で、部位別スイッチ302〜305のうち、体幹スイッチ303,脚スイッチ304,腕スイッチ305のいずれかが押圧された場合の表示例を、図15に示す。
【0153】
図15(a)は、体幹スイッチ303が押された場合の体幹部の体組成の表示例である。たとえば、筋肉率32.1%、体脂肪率25.3%が表示される。また、第2の表示領域20.2には、人体図のうち体幹部の部分が点灯表示される。
【0154】
図15(b)は、脚スイッチ304が押された場合の脚部の体組成の表示例である。たとえば、筋肉率50.0%、体脂肪率33.8%が表示される。また。第2の表示領域20.2には、人体図のうち脚部の部分が点灯表示される。
【0155】
図15(c)は、腕スイッチ305が押された場合の腕部の体組成の表示例である。たとえば、筋肉率45.0%、体脂肪率36.4%が表示される。また、第2の表示領域20.2には、人体図のうち腕部の部分が点灯表示される。
【0156】
なお、全身スイッチ302が押された場合には、図14(b)に示した表示に戻る。
【0157】
ステップS66の処理が終了すると、再びステップS60に戻る。
【0158】
ステップS60において、メモリスイッチ307が押されたと判断した場合(ステップS60においてYES)、マイコン10は、外部メモリ33に記憶された過去の測定結果であるメモリ値を、表示部20の第1の表示領域20.1に表示する(ステップS62)。
【0159】
この場合、直前に表示されていた被測定部位に対応したメモリ値を読み出して表示する。たとえば、直前に、脚部の体組成が表示されていた場合、メモリスイッチ307が押されると、脚部の体組成の過去の測定結果が読み出されて表示される。
【0160】
また、ステップS60において、メモリスイッチ307が押される度に、たとえば1週間前、2週間前というように、遡って対応する被測定部位の過去の測定結果が表示される。これにより、過去の測定値と比較した体組成の変化を把握することができる。
【0161】
ステップS62の処理が終了すると、再びステップS60に処理を戻す。
【0162】
なお、ここでは、ステップS52で確定されるインピーダンス値を、全身および3つの身体部位(腕部、体幹部、脚部)のインピーダンス値としたが、ステップS52で確定されるインピーダンス値を、全身および5つの身体部位(左腕、右腕、左脚、右脚、体幹)のインピーダンス値としてもよい。この場合、全身および5つの身体部位ごとの体組成を計算し、計算した体組成数値を、全身および5つの身体部位ごとに記憶、および表示するようにしてもよい。
【0163】
上述のように、本発明の実施の形態における体組成計100によると、体水分の移動の影響による部位別のインピーダンスの日内変動を補正することができる。したがって、全身および部位別の体組成を精度良く測定することができる。
【0164】
また、本発明の体組成計が行なう、インピーダンス計測方法、部位別インピーダンス補正方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc-ROM)などの光学媒体や、メモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0165】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0166】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の実施の形態における体組成計の外観斜視図である。
【図2】被験者が本発明の実施の形態における体組成計を用いて、体組成を測定する際の測定姿勢を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における体組成計のブロック図である。
【図4】体組成計の第2の筐体2の正面図である。
【図5】各身体部位のインピーダンス成分を示す模式図である。
【図6】全身のインピーダンス成分を示す模式図である。
【図7】左腕のインピーダンスの計測方法を説明するための図である。
【図8】全身のインピーダンスの計測方法を説明するための図である。
【図9】部位別インピーダンスの日内変動について説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態における体組成計の測定処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態における体組成計の測定処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態におけるインピーダンス計測処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態における部位別インピーダンス補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】全身の測定結果の表示例を示す図である。
【図15】部位別の測定結果の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0168】
1 第1の筐体、1.1,1.2 載置部、2 第2の筐体、2.1 本体部、2.2,2.3 グリップ部、3 ケーブル、4 収納部、10 マイコン、11〜18 電極、20 表示部、20.1 第1の表示領域、20.2 第2の表示領域、30 操作部、31 電源部、32 体重計測部、33 外部メモリ、41A 定電流発生回路、42 電流印加用電極切替回路、43 電圧測定用電極切替回路、44 入力切替回路、45 A/D変換回路、100 体組成計、101 インピーダンス計測部、102 部位別インピーダンス補正部、103 体組成計算部、133 内部メモリ、301 電源スイッチ、302 全身スイッチ、303 体幹スイッチ、304 脚スイッチ、305 腕スイッチ、306 設定/表示切替スイッチ、307 メモリスイッチ、308 上下スイッチ、309 個人番号スイッチ、310 ゲストスイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体電気インピーダンスを計測するインピーダンス計測装置に関し、特に、生体電気インピーダンスを計測することにより被験者の体組成を測定することのできる体組成計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生体電気インピーダンス(以下、単に「インピーダンス」という)を計測することにより被験者の体組成を測定する体組成計は、被験者の健康管理に用いられている。また、被験者の身体を複数の部位に分割して、部位別のインピーダンスを計測して、体組成を計算できるものがある(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】国際公開第2002/043586号パンフレット
【特許文献2】特開2003−290166号公報
【特許文献3】特表平10−510455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1〜3によると、身体部位ごとに1つのインピーダンスを計測することができるため、より詳細な体組成を測定することができる。
【0004】
しかしながら、部位別のインピーダンスは、測定する時刻によって、特にリンパ液等の細胞外液の移動による影響を大きく受けるが、特許文献1〜3では、このような細胞外液の移動による日内変動の影響が考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、細胞外液の移動の影響を考慮した精度の高い体組成計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に従う体組成計は、複数の異なる周波数ごとに、全身の生体電気インピーダンスを計測する第1の計測手段と、複数の異なる周波数ごとに、左腕、右腕、左脚、右脚、体幹のうち少なくともいずれか1つの身体部位の生体電気インピーダンスを計測する第2の計測手段と、第1の計測手段により計測される複数の全身の生体電気インピーダンスから、該全身の生体電気インピーダンスを構成する複数の第1の成分を算出する第1の算出手段と、第2の計測手段により計測される複数の身体部位の生体電気インピーダンスから、該身体部位の生体電気インピーダンスを構成する複数の第2の成分を算出する第2の算出手段と、複数の第1の成分と、複数の第2の成分のうちの少なくとも1つの構成成分を用いて、複数の第2の成分のうちの残りの構成成分を修正するための修正手段とを備える。
【0007】
好ましくは、上記第2の計測手段は、複数の異なる身体部位の生体電気インピーダンスを計測する。
【0008】
好ましくは、複数の第1の成分に含まれる構成成分、および、複数の第2の成分に含まれる構成成分は、各々、少なくとも、細胞外液の抵抗成分、細胞内液の抵抗成分、のいずれかに対応する成分である。
【0009】
好ましくは、少なくとも修正手段で修正された修正後の構成成分を含む複数の成分から、身体部位の体組成算出用の生体電気インピーダンスを算出するインピーダンス算出手段と、インピーダンス算出手段により算出された体組成算出用の生体電気インピーダンスから、身体部位の体組成を算出する体組成算出手段とをさらに備える。
【0010】
好ましくは、身体部位の体組成は、少なくとも、体脂肪量、体脂肪率、除脂肪量、除脂肪率、骨量、筋肉量、筋肉率のいずれかを含む。
【0011】
好ましくは、上記体組成算出手段は、インピーダンス算出手段により算出された体組成算出用の生体電気インピーダンスと、年齢、性別、身長、体重などの身体特定情報とから、身体部位の体組成を算出する。
【0012】
好ましくは、身体特定情報に含まれる体重を計測するための体重計測手段をさらに備える。
【0013】
好ましくは、体組成算出手段により算出された身体部位の体組成を、身体部位に対応付けて表示する表示手段をさらに備える。
【0014】
好ましくは、身体の複数の部位に接触させるための複数の電極と、交流電流を流すための1対の電流用電極と電圧を測定するための1対の電圧用電極とを各々選択するために、複数の電極を切り替えるための切替手段とをさらに備える。
【0015】
好ましくは、上記修正手段は、第1の比率である、複数の第1の成分に含まれる細胞内液の抵抗成分に対応する構成成分に対する細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分の比と、第2の比率である、複数の第2の成分に含まれる細胞内液の抵抗成分に対応する構成成分に対する細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分の比とが一致するか否かを判断するための判断手段を含み、判断手段により、第1の比率と第2の比率とが一致していないと判断された場合に、第1の比率と第2の比率が一致するように、複数の第2の成分に含まれる細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分を修正する。
【0016】
好ましくは、被験者の身体の複数の所定の部位に対応付けて接触させるための複数の電極と、交流電流を流すための1対の電流用電極と電圧を測定するための1対の電圧用電極とを各々選択するために、複数の電極を切り替えるための切替手段と、指示に応じて、複数の異なる周波数の交流電流を発生するための発生手段と、発生手段で発生させる交流電流の周波数を順次指定するための指定手段と、電圧用電極より得られる電圧値と交流電流の電流値とに基づいて、周波数ごとに、全身インピーダンスおよび少なくとも1つの身体部位の第1の部位別インピーダンスを計測するための計測手段と、計測手段により計測された周波数ごとの全身インピーダンスおよび第1の部位別インピーダンスに基づいて、第1の部位別インピーダンスを補正するための補正手段とを備える。このような補正手段は、計測手段で計測された周波数ごとの全身インピーダンスの値に基づき、全身における第1の細胞外液の抵抗成分と第1の細胞内液の抵抗成分とを算出するための第1の算出手段と、計測手段で計測された周波数ごとの部位別インピーダンスの値に基づき、身体部位における第2の細胞外液の抵抗成分と第2の細胞内液の抵抗成分とを算出するための第2の算出手段と、第1の算出手段により算出された第1の細胞外液の抵抗成分と第1の細胞内液の抵抗成分との対応関係に基づいて、第2の算出手段で算出された第2の細胞外液の抵抗成分を修正するための修正手段と、第2の算出手段で算出された第2の細胞内液の抵抗成分と修正手段による修正後の第2の細胞外液の抵抗成分とに基づいて、体組成算出用の部位別インピーダンスを算出するための第3の算出手段とを含む。さらに、第3の算出手段により算出された体組成算出用の部位別インピーダンスと、被験者の身体特定情報とに基づいて、身体部位の部位別体組成を計算するための第1の計算手段を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、身体部位における細胞外液の抵抗成分を修正することによって、細胞外液の移動の影響による部位別インピーダンスの日内変動を補正することができる。これにより、精度の高い体組成を計算することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
<本発明の実施の形態における体組成計の外観および構成>
図1は、本発明の実施の形態における体組成計100の外観斜視図である。
【0020】
図1を参照して、体組成計100は、第1の筐体1および第2の筐体2により構成される。第1の筐体1および第2の筐体2は、ケーブル3により接続される。体組成計100には、被験者の身体の複数の所定の部位に対応付けて接触させるための複数の電極11〜18が設けられる。
【0021】
第1の筐体1には、被験者の左足を載置するための載置部1.1と、被験者の右足を載置するための載置部1.2と、第2の筐体2とケーブル3とを収納するための収納部4とが設けられる。なお、第1の筐体1の内部には、被験者の体重を計測するための体重計測部32(図3参照)、たとえば体重センサが設けられているものとする。
【0022】
載置部1.1および1.2には、それぞれ被験者の足裏に接触させるための電極が2つずつ備えられる。左足用の載置部1.1には、左足の指側に電流印加用の電極17が設けられ、左足の踵側に電圧測定用の電極13が設けられる。また同様に、右足用の載置部1.2には、右足の指側に電流印加用の電極18が設けられ、左足の踵側に電圧測定用の電極14が設けられる。
【0023】
また、載置部1.1および1.2は、被験者が両足を載置すると上記電極13,14,17,18と接触するように、ほぼ足の外形をなすように形成されている。これにより、両足裏が左右方向に載置部1.1および1.2からずれたとしても、電流印加用の電極17,18および電圧測定用の電極13,14からはずれにくいので、接触部位および接触面積の変動による誤差の発生を防止することができる。また、大腿部における接触状態の変動による影響も防止することができる。したがって、信頼性の高い測定が可能となる。
【0024】
第2の筐体2は、本体部2.1と、被験者が左手で握るための左手用のグリップ部2.2と、被験者が右手で握るための右手用のグリップ部2.3とにより構成される。
【0025】
本体部2.1の前面には、測定結果や各種情報を表示するための表示部20、および、被験者により操作されて、被験者からの指示や各種情報の入力を受付けるための操作部30が設けられる。なお、第2の筐体2の本体部2.1に設けられた表示部20および操作部30については、後に、図4を用いて詳細に説明する。
【0026】
なお、本実施の形態においては、操作部30に含まれる電源スイッチ301は、たとえば第1の筐体1の前面中央に設けられる。
【0027】
第2の筐体2のグリップ部2.2および2.3には、それぞれ被験者の手の内側に接触させるための電極が2つずつ設けられる。左手用のグリップ部2.2には、左手の親指側に電流印加用の電極15が設けられ、左手の小指側に電圧測定用の電極11が設けられる。同様に、右手用のグリップ部2.3には、右手の親指側に電流印加用の電極16が設けられ、右手の小指側に電圧測定用の電極12が設けられる。
【0028】
このように、本発明の実施の形態における体組成計100は、左手、右手、左足、右足の4つの部位にそれぞれ電流印加用および電圧測定用の電極を接触させる構成とされる。なお、このような構成に限られず、たとえば、さらに他の部位用の電流印加用および電圧測定用の電極を備えることとしてもよい。
【0029】
図2は、被験者が本発明の実施の形態における体組成計100を用いて、体組成を測定する際の測定姿勢を示す図である。
【0030】
図2を参照して、被験者200は、直立した姿勢で、左足203および右足204をそれぞれ第1の筐体1の載置部1.1および1.2に配置する。また、左手201で第2の筐体のグリップ部2.2を握り、右手202でグリップ部2.3を握る。この際、両腕205および206の肘を伸ばし、第2の筐体2が身体前方に対向するようにほぼ肩の高さに保持し、腕205,206と胴207とが略直角をなすようにする。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態における体組成計100のブロック図である。図3を参照して、体組成計100は、上記した複数の電極11〜18、表示部20、操作部30、および体重計測部32に加え、体組成計100全体の制御や各種演算等の処理を行なうためのマイコン(マイクロコンピュータの略)10と、複数の異なる周波数の交流定電流を発生するための定電流発生回路41Aと、電流印加用の電極15〜18を切り替えるための電流印加用電極切替回路42と、電圧測定用の電極11〜14を切り替えるための電圧測定用電極切替回路43と、電圧測定用電極切替回路43より得られる電圧情報および体重計測部32より得られる体重情報のいずれか一方に入力を切り替えるため入力切替回路44と、入力切替回路44より得られる電圧情報および体重情報をアナログ信号からデジタル信号に変換するためのA(analog)/D(digital)変換回路45と、操作部30に含まれる電源スイッチ301が操作されることによりマイコン10に電力を供給するための電源部31と、測定結果などの情報を記憶するための外部メモリ33とを備える。また、マイコン10には、各種制御プログラムなどを記憶するための内部メモリ133が含まれる。
【0032】
なお、本実施の形態において、外部メモリ33は、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を含んでおり、後に詳述する被験者の身体特定情報や、体組成などの測定結果は、このEEPROMに格納される。
【0033】
ここで、「身体特定情報」とは、本発明の実施の形態において、被験者の全身および部位別の体組成を計算する際に必要となる被験者の身体情報である。
【0034】
全身の体組成を計算する場合に必要となる「身体特定情報」は、少なくとも身長および体重の情報であり、より好ましくは、身長および体重に加え、年齢および性別などを含む情報である。また、部位別の体組成を計算する場合に必要となる「身体特定情報」は、少なくとも身長あるいは各身体部位の軸方向の長さおよび体重の情報であり、より好ましくは、身長あるいは各身体部位の軸方向の長さおよび体重に加え、年齢および性別などを含む情報である。
【0035】
ここでの説明においては、全身および部位別の体組成を計算するために必要となる「身体特定情報」として、身長,体重,年齢および性別の4つの身体情報をいうものとする。
【0036】
体組成計100では、身体特定情報のうちの体重については、体重計測部32において測定することができる。したがって、体組成測定の際、本実施の形態では、被験者により予め他の3つの身体情報(身長,年齢,性別)が操作部30を用いて入力される。
【0037】
なお、体組成計100に、体重計測部32を設けない構成であってもよく、この場合、予め、上記4つの身体情報(身長,体重,年齢,性別)が操作部30により入力されるものとする。
【0038】
なお「部位別」とは、全身を分割した身体部位ごとであることを表わす。また、本実施の形態においては、全身を左腕、右腕、左脚、右脚、体幹の5つの身体部位に分割するものとする。したがって、部位別の体組成として、左腕、右腕、左脚、右脚、体幹の5つの身体部位の体組成を計測する。ここで、「左腕」、「右腕」とは、たとえば各腕の手首から肩口までを表わす身体部位であり、「左脚」、「右脚」とは、たとえば各脚の足首から脚の付け根までを表わす身体部位であり、「体幹」とは、胴体を表わす身体部位であるものとする。
【0039】
また、本実施の形態において、「全身の体組成」とは、少なくとも全身の除脂肪量および体脂肪率のいずれかであり、より好ましくは、全身の除脂肪量および体脂肪率に加え、全身の筋肉量、筋肉率、内臓脂肪レベルなどを含む生体情報である。
【0040】
また、「部位別の体組成」とは、少なくとも身体部位ごとの除脂肪量および体脂肪率のいずれかであり、より好ましくは、身体部位ごとの除脂肪量および体脂肪率に加え、身体部位ごとの筋肉量および筋肉率などを含む生体情報である。
【0041】
以下、体組成測定の対象とされる、全身および上記5つの身体部位を、総称して「被測定部位」というものとする。
【0042】
マイコン10は、インピーダンス計測部101と、部位別インピーダンス補正部102と、体組成計算部103とを含み、内部メモリ133に格納されたプログラムに従い、インピーダンスの計測、部位別インピーダンスの補正、および体組成の計算を行なう。また、部位別インピーダンス補正部102は、構成成分算出部1021、構成成分修正部1022およびインピーダンス算出部1022を含む。マイコン10が実行するこれらの処理については、後に詳述する。
【0043】
また、マイコン10は、A/D変換回路45を介して取得される体重計測部32、たとえば体重センサからの信号に基づいて、公知の手法により体重を測定する。また、後述する体組成計算部103での測定結果などを、表示部20に表示するための信号を生成する。また、外部メモリ33への書き込みおよび読み出しを行なう。
【0044】
定電流発生回路41Aは、マイコン10からの指示に応じて、複数の異なる周波数の交流電流を出力することができる。定電流発生回路41Aは、たとえば、マイコン10からの指示に応じて発生させる周波数を可変とできるものであってもよいし、所定の周波数を発生可能な複数の回路を含んでいてもよい。
【0045】
次に、本発明の実施の形態における体組成計100の表示部20および操作部30の具体例を図4に示す。図4は、第2の筐体2の正面図である。
【0046】
図4を参照して、第2の筐体2の本体部2.1の表示部20は、第1の表示領域20.1と第2の表示領域20.2とを含む。第1の表示領域20.1および第2の表示領域20.2は、たとえば液晶等により構成される。
【0047】
第1の表示領域20.1には、被験者の身体特定情報や測定結果などを示す数値や文字、図形等が表示される。また、第2の表示領域20.2には、たとえば、身体を複数の身体部位に分けた図形(以下「人体図」という)が表示される。そして、第1の表示領域20.1に測定結果が表示される場合には、人体図のうち、表示中の被測定部位の部分が点灯表示される。これにより、第1の表示領域20.1に表示されている被測定部位の情報を被験者に知らせることができる。
【0048】
なお、表示部20はこのような構成に限られず、表示中の被測定部位の情報が被験者に知らせることができるものであればよい。
【0049】
操作部30は、複数の操作スイッチを含む。たとえば、全身の体組成などの測定結果を表示するための全身スイッチ302と、体幹部の体組成などの測定結果を表示するための体幹スイッチ303と、左脚および右脚を含む脚部の体組成などの測定結果を表示するための脚スイッチ304と、左腕および右腕を含む腕部の体組成などの測定結果を表示するための腕スイッチ305と、各種設定や表示切替を行なうための設定/表示切替スイッチ306と、外部メモリ33に記憶された測定結果を表示するためのメモリスイッチ307と、部位情報の設定の際などに数値の増減を行なうための上下スイッチ308と、被験者の情報を特定するための個人番号スイッチ309とを含む。なお、全身スイッチ302、体幹スイッチ303、脚スイッチ304、腕スイッチ305を総称して「部位別スイッチ」と称する。
【0050】
個人番号スイッチ309は、少なくとも1つ設けられる。図4においては、2つ設けられ、この個人番号スイッチ309で指定される番号(1,2)ごとに、被験者の身体特定情報および測定結果などが外部メモリ33に記憶される。
【0051】
なお、操作部30にたとえばゲストスイッチ310を設けて、測定の度に被験者の身体特定情報を入力し、体組成の測定を行なうこととしてもよい。
【0052】
また、操作部30は、上記のような操作スイッチにより構成されているものでなくてもよい。たとえば、タッチパネルなどにより各種情報や指示の入力がされるものであってもよい。
【0053】
<部位別インピーダンスの日内変動について>
図5は、各身体部位のインピーダンス成分を示す模式図である。また、図6は、全身のインピーダンス成分を示す模式図である。図5および図6は、被験者の身体の各身体部位および全身を抵抗とコンデンサとからなる等価回路で近似して示したものである。
【0054】
ここで、各インピーダンスの成分は、細胞内液による抵抗(以下「細胞内液の抵抗成分」という)Ri,細胞外液による抵抗(以下「細胞外液の抵抗成分」という)Ro,細胞膜による容量(以下「細胞膜の容量成分」という)Ciにより表わされる。このとき、各インピーダンスは、細胞膜の容量成分Ciおよび細胞内液の抵抗成分Riと、細胞外液の抵抗成分Roとが並列に接続された等価回路で表わされる。
【0055】
なお、図5を参照して、左腕のインピーダンスを「Zlh」、右腕のインピーダンスを「Zrh」、体幹部のインピーダンスを「Zt」、左脚のインピーダンスを「Zlf」、右脚のインピーダンス「Zrh」と表わす。また、図6を参照して、全身のインピーダンスを「Zw」と表わす。また、以下の説明において、左腕のインピーダンスZlhと右腕のインピーダンスZrhとを含む腕部のインピーダンスを「Zh」、左脚のインピーダンスZlfと右脚のインピーダンスZrfとを含む脚部のインピーダンスを「Zf」と記す。
【0056】
図5を参照して、左腕のインピーダンスZlhは、細胞膜の容量成分Ci_lhおよび細胞内液の抵抗成分Ri_lhと、細胞外液の抵抗成分Ro_lhとの等価回路で表わされる。右腕のインピーダンスZrhは、細胞膜の容量成分Ci_rhおよび細胞内液の抵抗成分Ri_rhと、細胞外液の抵抗成分Ro_rhとの等価回路で表わされる。体幹のインピーダンスZtは、細胞膜の容量成分Ci_tおよび細胞内液の抵抗成分Ri_tと、細胞外液の抵抗成分Ro_tとの等価回路で表わされる。また、左脚のインピーダンスZlfは、細胞膜の容量成分Ci_lfおよび細胞内液の抵抗成分Ri_lfと、細胞外液の抵抗成分Ro_lfとの等価回路で表わされる。右脚のインピーダンスZrfは、細胞膜の容量成分Ci_rfおよび細胞内液の抵抗成分Ri_rfと、細胞外液の抵抗成分Ro_rfとの等価回路で表わされる。
【0057】
また、図6を参照して、全身のインピーダンスZwは、細胞膜の容量成分Ci_wおよび細胞内液の抵抗成分Ri_wと、細胞外液の抵抗成分Ro_wとの等価回路で表わされる。
【0058】
上記インピーダンス成分のうち、細胞外液の抵抗成分Roに該当するリンパ液等の体水分は、一般的に、1日の中で朝から夕方にかけて下半身に移動する。このような、体水分の移動の影響による部位別インピーダンスの日内変動について、図9を用いて説明する。
【0059】
図9は、部位別インピーダンスの日内変動について説明するための図である。図9において、横軸を時間、縦軸をインピーダンス値(Ω)とする。なお、図9では、朝8時に起床し、24時に就寝した場合の一例を示すものとする。また、ここで示される各インピーダンスは、一般的に用いられる所定の周波数(たとえば50kHz)で計測されたインピーダンスであるものとする。
【0060】
図9に示すように、全身インピーダンスZwは、体水分の移動の影響による日内変動は受けず一定(たとえば300Ω)である。これは、図8に示したように、全身を各部に分けず1つの抵抗とみなして全身インピーダンスZwを求めるため、体水分の分布が変化しても全体のインピーダンスは変動しないことによる。
【0061】
一方、腕部(上肢)のインピーダンスZhは、8時から24時までの間、時間が経つにつれて次第に高くなる。図9において、8時では350Ωが計測され、24時では370Ωが計測されている。これは、時間が経つにつれて体水分が減り、抵抗が大きくなるためである。
【0062】
また、逆に、脚部(下肢)のインピーダンスZfは、8時から24時までの間、時間が経つにつれて次第に低くなる。図9において、8時では330Ωが計測され、24時では310Ωが計測されている。これは、時間が経つにつれて体水分が増え、抵抗が小さくなるためである。
【0063】
このように全身のインピーダンスZwは、サウナで多量の汗を流すなどの特別なイベントがない限り、体水分の移動による影響による日内変動は起こらないといえる。しかし、図9に示されるように、部位別のインピーダンスは、体水分の移動による影響を受け、日内変動が起こる。
【0064】
このため、計測された部位別のインピーダンスをそのまま用いて部位別の体組成を計算すると、部位別の体組成も、1日の中で測定する時間によって変動してしまうことになる。たとえば腕部(上肢)や脚部(下肢)の体脂肪率では、測定時刻によって1〜2%程度変動してしまうことになる。そうすると、適切な部位別の体組成を被験者に提示することができない。
【0065】
そこで、本発明の実施の形態における体組成計100では、このような体水分の移動による日内変動の移動を補正して、精度の高い部位別の体組成を測定する。
【0066】
<本発明の実施の形態におけるインピーダンスの計測>
インピーダンス計測部101は、全身および少なくとも1つの身体部位の部位別インピーダンスを計測する。本実施の形態においては、部位別のインピーダンスとして、上記した左腕、右腕、左脚、右脚、体幹の5つの身体部位のインピーダンスを計測する。なお、このような5つの身体部位のうち、たとえば、左腕および左脚など2つの身体部位のインピーダンスを計測することとしてもよいし、他の組み合わせによる複数の身体部位のインピーダンスを計測することとしてもよい。
【0067】
また、本実施の形態において、インピーダンス計測部101は、まず、左腕のインピーダンスZlhと右腕のインピーダンスZrhとを計測する。そして、たとえば、左腕のインピーダンスZlhと右腕のインピーダンスZrhとを合成することにより、腕部のインピーダンスZhを求める。
【0068】
また、左脚のインピーダンスZlfと右脚のインピーダンスZrfとを計測する。そして、たとえば、左脚のインピーダンスZlfと右脚のインピーダンスZrfとを合成することにより、脚部のインピーダンスZfを求める。
【0069】
なお、以下の説明において、インピーダンス計測の対象となる全身および5つの身体部位(左腕,右腕,左脚,右脚,体幹)を総称して、「被計測部位」という。
【0070】
ところで、図5および図6に示したように、被計測部位のインピーダンスは、細胞外液の抵抗成分Ro,細胞内液の抵抗成分Ri,細胞膜の容量成分Ciの合成成分である。
【0071】
上記したように、全身における細胞外液の抵抗成分Roは、一般的に1日を通してほぼ変動しない。これに対し、身体部位における細胞外液の抵抗成分Roは、同じ1日の中でもたとえば朝と夕方とでは変動してしまう。また、短期的には、全身および身体部位のいずれにおいても、細胞膜の容量成分Ciおよび細胞内液の抵抗成分Riはほぼ変動しない。したがって、たとえば1日の中で朝と夕方とで体組成を測定した場合、全身の体組成はほぼ変動しないが、部位別の体組成のみ変動してしまうということが生じる。
【0072】
このようなことから、精度良く部位別の体組成を測定するためには、部位別の細胞外液の抵抗成分Roを修正する必要があることが分かる。
【0073】
本実施の形態におけるインピーダンス計測部101は、複数の異なる周波数を発生可能な定電流発生回路41Aにおいて発生させる交流電流の周波数を指定する。「複数の異なる周波数」とは、少なくとも3つの異なる周波数である。このような、少なくとも3つの異なる周波数は、計測されるインピーダンスから上記したインピーダンス成分(細胞外液の抵抗成分Ro,細胞内液の抵抗成分Ri,細胞膜の容量成分Ci)を分離して算出可能とするための周波数である。
【0074】
本実施の形態では、周波数Fa,Fb,Fcの3種類の周波数を定電流発生回路41Aに発生させる。すなわち、インピーダンス計測部101は、定電流発生回路41Aで発生させる周波数を上記3種類の周波数の中から順次指定し、指定した周波数ごとに、全身および部位別のインピーダンスを計測する。なお、周波数Faをたとえば50kHz、周波数Fbをたとえば100kHz、周波数Fcをたとえば10kHzとすることができる。また、本実施の形態では、複数の異なる周波数として上記3種類の周波数を用いることとしたが、少なくとも細胞外液の抵抗成分Roおよび細胞内液の抵抗成分Riが抽出できればよい。したがって、2種類の周波数であってもよいし、3種類より多くてもよい。
【0075】
次に、具体的なインピーダンス計測方法について説明する。
【0076】
インピーダンス計測部101は、電流印加用電極切替回路42および電圧測定用電極切替回路43を制御し、電流印加用の1対の電極15〜18および電圧測定用の1対の電極11〜14を各々順次切り替えて、全身および部位別のインピーダンス(Zw,Zlh,Zrh,Zt,Zlf,Zrh)を計測する。より具体的には、定電流発生回路41Aより流した電流値と、A/D変換回路45を介して取得される2極間の電位差とに基づいて、各インピーダンスを計測する。
【0077】
たとえば左腕のインピーダンスZlhは、図7に示すように、左手・左足間に交流電流を流し、両手間の電位差を測ることにより計測される。より詳細には、インピーダンス計測部101は、電流印加用の電極15,17間に各周波数Fa,Fb,Fcの交流電流を流し、電圧測定用の電極11,12間の電位差を測定することによって、3種類の左腕のインピーダンスZlhを計測する。
【0078】
また、全身のインピーダンスZwを計測するためには、図8に示すように、両手・両足間に交流電流を流し、両手・両足間の電位差を測ることにより計測される。より詳細には、インピーダンス計測部101は、両手の電流印加用の電極15,16間および、両足の電流印加用の電極17,18間をそれぞれ接続し、また、両手の電圧測定用の電極11,12間および、両足の電圧測定用の電極13,14間をそれぞれ接続して、電流印加用の電極15〜18に各周波数Fa,Fb,Fcの交流電流を1方向に流し、電圧測定用の電極11〜14を用いて電位差を測ることによって、3種類の全身のインピーダンスZwを計測する。
【0079】
なお、本実施の形態においては、上述のように、被計測部位のインピーダンスを構成する構成成分としては、細胞膜の容量成分Ci、細胞内液の抵抗成分Ri、および細胞外液の抵抗成分Roの3つであることとしたが、他の成分により構成されることとしてもよい。
【0080】
<部位別インピーダンスの補正>
部位別インピーダンス補正部102は、周波数ごとにインピーダンス計測部101で計測された全身インピーダンスと部位別インピーダンスとに基づいて、部位別インピーダンスの補正を行なう。なお、以下の説明において、部位別インピーダンス補正部102のうちインピーダンス算出部1023において算出される体組成演算用の部位別インピーダンスを、「演算用部位別インピーダンス」という。
【0081】
ここでまず、部位別インピーダンス補正部102の構成成分算出部1021が実行するインピーダンス成分の算出方法の一例について説明する。
【0082】
構成成分算出部1021は、被計測部位ごとに、周波数の値と周波数ごとのインピーダンスの値とに基づいて、少なくとも、細胞外液の抵抗成分Roと細胞内液の抵抗成分Riとを算出する。
【0083】
具体的には、たとえば以下のような式を用いて計算することができる。なお、以下の式において、|Z|は周波数ごとに計測されたインピーダンス値であり、fは交流電流の周波数を示す。
【0084】
【数1】
【0085】
Zr=[Ro{Ri(Ro+Ri)+Xc2}]/{(Ro+Ri)2+Xc2}
…(5)
Zi=(Ro2×Xc)/{(Ro+Ri)2+Xc2} …(6)
Xc=1/(j×2π×f×Ci) …(7)
上記(4)〜(7)の式を用いて、被計測部位ごとの細胞外液の抵抗成分Roおよび細胞内液の抵抗成分Riを算出することができる。
【0086】
このように、被計測部位ごとの細胞外液の抵抗成分Roおよび細胞内液の抵抗成分Riが算出されると、部位別インピーダンス補正部102の構成成分修正部1022は、身体部位における細胞内液の抵抗成分Ri_bに対する細胞外液の抵抗成分Ro_bの比率が、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率と一致するように、身体部位における細胞外液の抵抗成分Ro_bの値を修正する。
【0087】
なお、上記「細胞外液の抵抗成分Ro_b」とは、身体部位ごとの細胞外液の抵抗成分(たとえばRo_lhなど)を総称するものであり、「細胞内液の抵抗成分Ri_b」とは、身体部位ごとの細胞内液の抵抗成分(たとえばRi_lhなど)を総称するものである。
【0088】
このように、本発明の実施の形態において、構成成分修正部1022は、全身のインピーダンスを構成する細胞内液の抵抗成分Ri_wおよび細胞外液の抵抗成分Ro_wと、身体部位のインピーダンスを構成する細胞内液の抵抗成分Ri_bとを用いて、細胞外液の抵抗成分Ro_bを修正する。なお、被計測部位のインピーダンスを構成する構成成分が、細胞膜の容量成分Ci、細胞内液の抵抗成分Ri、および細胞外液の抵抗成分Roとは異なる成分である場合には、全身のインピーダンスを構成する複数の成分と、身体部位のインピーダンスを構成する少なくとも1つの構成成分とを用いて、身体部位のインピーダンスを構成する残りの構成成分を修正するものとする。この、「残りの構成成分」とは、好ましくは、細胞外液の抵抗成分Ro_bに相当する成分である。
【0089】
構成成分修正部1022によって、細胞外液の抵抗成分Ro_bの値が修正されると、部位別インピーダンス補正部102のインピーダンス算出部1023は、演算用部位別インピーダンスを算出する。
【0090】
なお、この部位別インピーダンス補正部102が実行する具体的な処理については、図13のフローチャートを用いて後述する。
【0091】
<体組成の計算>
体組成計算部103は、インピーダンス計測部101で計測された部位別インピーダンス、あるいは、インピーダンス算出部1023において算出された演算用部位別インピーダンスの情報に基づいて、被験者の部位別の体組成を計算する。また、体組成計算部103は、インピーダンス計測部101においてたとえば周波数Faで計測された全身のインピーダンスの情報に基づいて、被験者の全身の体組成を計算する。
【0092】
ここで、体組成計算部103において計算される全身および部位別の体組成のうち、除脂肪量および体脂肪率の計算方法について説明する。
【0093】
(除脂肪量の計算)
はじめに、除脂肪量の計算式は、除脂肪量をFFM、インピーダンスをZ、身長をH、体重をW、年齢をAgとすると、次式(1)で表わされる。なお、ここでのインピーダンス「Z」は、インピーダンス算出部1023で演算用部位別インピーダンスが算出された場合は、その算出された値である。
【0094】
FFM=a・H2/Z+b・W+c・Ag+d …(1)
上記式(1)において、a〜dはそれぞれ所定の定数であり、性別や被測定部位ごとに異なるものとする。したがって、除脂肪量(FFM)を算出する場合、式(1)のインピーダンス「Z」の値は、被測定部位が全身であれば「Zw」、被測定部位が体幹部であれば「Zt」の値となる。
【0095】
このような、性別や被測定部位ごとの除脂肪量の計算式に用いる所定の定数a〜dは、予め外部メモリ33に記憶される。なお、除脂肪量(FFM)の算出式は、式(1)のような1次関数に限られず、2次関数などであってもよい。
【0096】
(体脂肪率の計算)
全身の体脂肪率の計算式は次式(2)で表わされる。
【0097】
体脂肪率(%)={体脂肪量(kg)÷体重(kg)}×100 …(2)
上記体脂肪量の計算式は次式(3)で表わされる。
【0098】
体脂肪量(kg)=体重(kg)−除脂肪量(kg) …(3)
このように、全身の体脂肪率は、上記(1)式で計算された全身の除脂肪量(FFM)に基づいて計算される。
【0099】
また、部位別の体脂肪率は、計測された部位別のインピーダンスと身体特定情報との情報から、予めDEXA(Dual energy X-ray absorptiometry)などで測定されたリファレンスとの相関に基づき計算される。
【0100】
なお、体組成計算部103は、部位別の体組成として、上記左腕、右腕、左足、右脚、体幹の5つの身体部位の体組成を計算するものとしたが、たとえば、両腕、両脚、体幹の3つの身体部位の体組成を計算するものであってもよい。
【0101】
また、体組成のうち除脂肪量および体脂肪率以外の生体情報については、たとえば公知の手法などを用いて計算することができる。
【0102】
<本発明の実施の形態における体組成計の動作>
図10および図11は、本発明の実施の形態における体組成計100の測定処理の流れを示すフローチャートである。なお、この処理が開示される時点で、予め外部メモリ33には、被験者の個人番号に対応付けて、被験者の身体特定情報が記憶されているものとして説明する。
【0103】
図10を参照して、初めに、電源スイッチ301が操作されると電源部31によりマイコン10に電力が供給される(ステップS10)。続いて、マイコン10は、体重計測部32における体重計を初期化する(ステップS12)。
【0104】
そして、マイコン10は、体重計測部32からのセンサ信号の出力が安定したか否かを判断する(ステップS14)。センサ信号の出力が安定していないと判断すると(ステップS14においてNO)、ステップS12に処理を戻す。一方、センサ信号の出力が安定したと判断した場合(ステップS14においてYES)、マイコン10は、体重測定の準備が完了したことを検知する(ステップS16)。
【0105】
続いて、マイコン10は、個人番号の選択があったか否かを判断する(ステップS18)。個人番号の選択がなかったと判断した場合(ステップS18においてNO)、体重のみの測定モードであると判断する(ステップS20)。
【0106】
続いて、マイコン10は、所定時間内に体重値が安定したか否かを判断する(ステップS22)。所定時間内に体重値が安定しなければ(ステップS22においてNO)、エラーであると判定する(ステップS24)。このとき、エラーである旨の表示を表示部20の第1の表示領域20.1に表示させてもよい。なお、後のステップにおいても、エラーと判定されると、同様の表示をさせてもよい。
【0107】
ステップS24の処理が終了すると、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0108】
ステップS22において所定時間内に体重値が安定したと判断した場合(ステップS22においてYES)、体重値を確定する(ステップS26)。そして、マイコン10は、表示部20にステップS26において確定した体重値を表示する(ステップS28)。ステップS28の処理が終了すると、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0109】
一方、ステップS18において、個人番号が選択されたと判断した場合(ステップS18においてYES)、続いて、メモリスイッチ307が押されたか否かを判断する(ステップS30)。メモリスイッチ307が押されたと判断した場合(ステップS30においてYES)、外部メモリ33に記憶された過去の測定結果を示すメモリ値を表示する(ステップS32)。なお、初めて体組成を測定する場合など過去のメモリ値が外部メモリ33に記憶されていない場合には、たとえば、エラー表示を行なって、ステップS34の処理へ進むこととしてもよい。
【0110】
ステップS32の処理が終了すると、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0111】
一方、ステップS30においてメモリスイッチ307が押されなかったと判断した場合(ステップS30においてNO)、マイコン10は、体重および体組成測定モードであると判断する(ステップS34)。そして、マイコン10は、所定時間内に体重値が安定したか否かを判断する(ステップS36)。所定時間内に体重値が安定しなかった場合(ステップS36においてNO)、マイコン10はエラーであると判定する(ステップS38)。そして、ステップS38の処理が終了すると、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0112】
ステップS36において所定時間内に体重値が安定したと判断した場合(ステップS36においてYES)、マイコン10は体重値を確定する(ステップS40)。確定した体重値は、たとえば外部メモリ33の所定の領域に一時的に記憶される。
【0113】
ステップS40の処理が終了すると、マイコン10は、入力切替回路44に制御信号を送信し、入力を電圧測定用電極11〜14からの電圧情報に切り替えて、図11に示すステップS42に処理を進める。
【0114】
図11を参照して、ステップS42において、マイコン10のインピーダンス計測部101は、インピーダンス計測処理を行なう。このステップS42におけるインピーダンス計測処理については、図12に示す。
【0115】
図12は、本発明の実施の形態におけるインピーダンス計測処理の流れを示す図である。
【0116】
図12を参照して、はじめに、インピーダンス計測部101は、定電流発生回路41Aにおいて発生させる周波数として周波数Faを指定する(ステップS102)。
【0117】
次に、インピーダンス計測部101は、指定した周波数で、全身インピーダンスを計測する(ステップS104)。続いて、インピーダンス計測部101は、指定した周波数で、身体部位ごとのインピーダンスを計測する(ステップS106)。なお、ステップS104およびステップS106で計測された各インピーダンスは、たとえば外部メモリ33の所定の領域に一時的に記憶される。
【0118】
ステップS106の処理が終わると、インピーダンス計測部101は、周波数Fbでのインピーダンスを計測済みか否かを判断する(ステップS108)。
【0119】
周波数Fbでのインピーダンスを計測していないと判断した場合(ステップS108においてNO)、定電流発生回路41Aにおいて発生させる周波数を周波数Fbに変更する(ステップS110)。そして、ステップS110の処理が終了すると、ステップS104の処理に戻る。
【0120】
一方、周波数Fbでのインピーダンスを計測済みであると判断した場合(ステップS108においてYES)、インピーダンス計測部101は、周波数Fcでのインピーダンスを計測済みか否かを判断する(ステップS112)。
【0121】
ステップS112において、周波数Fcでのインピーダンスを計測していないと判断した場合(ステップS112においてNO)、定電流発生回路41Aにおいて発生させる周波数を周波数Fcに変更する(ステップS114)。そして、ステップS114の処理が終了すると、ステップS104の処理に戻る。
【0122】
一方、周波数Fcでのインピーダンスを計測済みであると判断した場合(ステップS112においてYES)、インピーダンス計測処理を終了する。
【0123】
なお、周波数の指定順序は、上記のような順序に限らない。また、たとえば、はじめに周波数Fa,Fb,Fcごとの全身インピーダンスを求めた後に、周波数Fa,Fb,Fcごとの身体部位ごとの部位別インピーダンスを求めることとしてもよい。
【0124】
また、各インピーダンスの計測は、次のようにして行なわれてもよい。まず、交流電流を流した後、所定時間内にインピーダンス値が所定範囲内であるか否かを判断する。所定時間内にインピーダンス値が所定範囲内にならなければ、エラーであると判定する。一方、所定時間内にインピーダンス値が所定範囲内にあると判断した場合、続いて、所定時間内にインピーダンス値が安定したか否かを判断する。所定時間内にインピーダンス値が安定しなければ、エラーであると判定する。所定時間内にインピーダンス値が安定したと判断した場合に、その値をインピーダンスの計測値とする。
【0125】
図11に再び戻って、ステップS42におけるインピーダンス計測処理が終了すると、マイコン10内の部位別インピーダンス補正部102は、部位別インピーダンス補正処理を行なう。このステップS50における部位別インピーダンス補正処理については、図13に示す。
【0126】
図13は、本発明の実施の形態における部位別インピーダンス補正処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下に示す処理は、部位別インピーダンス補正部102の構成成分算出部1021、構成成分修正部1022およびインピーダンス算出部1023のいずれかにより実行される処理であるが、ここでは全て部位別インピーダンス補正部102によって実行されるものとして説明する。
【0127】
図13を参照して、はじめに、部位別インピーダンス補正部102は、たとえば上記(4)〜(7)の式を用いて、全身の細胞外液の抵抗成分Ro_wおよび細胞内液の抵抗成分Ri_wを算出する(ステップS202)。次に、部位別インピーダンス補正部102は、たとえば上記(4)〜(7)の式を用いて、身体部位ごとの細胞外液の抵抗成分Ro_bおよび細胞内液の抵抗成分Ri_bを算出する(ステップS204)。
【0128】
次に、部位別インピーダンス補正部102は、インピーダンス計測部101で計測された複数の身体部位のうち1つの身体部位を選択する(ステップS206)。そして、選択した身体部位ごとに、D=(Ro_b/Ri_b)/(Ro_w/Ri_w)を算出する(ステップS208)。すなわち、身体部位における細胞内液の抵抗成分Ri_bに対する細胞外液の抵抗成分Ro_bの比率に対する、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率の比較値「D」を算出する。
【0129】
続いて、部位別インピーダンス補正部102は、選択した身体部位の上記比較値D=1であるかを判断する(ステップS210)。すなわち、選択した身体部位の細胞内液の抵抗成分Ri_bに対する細胞外液の抵抗成分Ro_bの比率と、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率とが一致しているか否かを判断する。
【0130】
ステップS210において、比較値D=1であると判断した場合(ステップS210においてYES)、ステップS214に進む。
【0131】
一方、ステップS210において、比較値D=1でないと判断した場合、選択した身体部位の細胞外液の抵抗成分Ro_bを修正する(ステップS212)。具体的には、次のようにして、修正される。
【0132】
Ro’_b=Ro_b/D
上記式において、「Ro’_b」は、修正後の細胞外液の抵抗成分である。
【0133】
これにより、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率と一致するように、選択された身体部位の細胞外液の抵抗成分Ro_bが修正される。
【0134】
ステップS212において、細胞外液の抵抗成分Ro’_bが算出されると、ステップS214に進む。
【0135】
ステップS214において、部位別インピーダンス補正部102は、演算用部位別インピーダンスを算出する。ステップS212において細胞外液の抵抗成分Ro_bが修正された場合は、修正後の細胞外液の抵抗成分Ro’_bを用いて演算用部位別インピーダンスが算出される。具体的には、たとえば上記(4)〜(7)の式にあてはめることにより、演算用部位別インピーダンス(「|Z’|」と記す)が算出される。
【0136】
また、ステップS212の処理を経ていない場合は、ステップS204で算出された細胞外液の抵抗成分Ro_bを用いて演算用部位別インピーダンスが算出される。あるいは、周波数Faで算出された部位別インピーダンスを演算用部位別インピーダンスとしてもよい。
【0137】
ステップS214の処理が終わると、ステップS216に進む。
【0138】
ステップS216において、部位別インピーダンス補正部102は、全ての身体部位を選択済みか否かを判断する。全ての身体部位を選択済みでないと判断した場合(ステップS216においてNO)、ステップS206へ戻り上述の処理を繰り返す。一方、全ての身体部位を選択済みであると判断した場合(ステップS216においてYES)、部位別インピーダンス補正処理を終了する。
【0139】
なお、ステップS210において、比較値Dが1であるか否かを判断したが、所定の許容範囲を設けて、身体部位における細胞内液の抵抗成分Ri_bに対する細胞外液の抵抗成分Ro_bの比率と、全身における細胞内液の抵抗成分Ri_wに対する細胞外液の抵抗成分Ro_wの比率との一致度が許容範囲内か否かを判断してもよい。
【0140】
また、本実施の形態においては、全ての身体部位(左腕,右腕,体幹部,左脚,右脚)を、部位別インピーダンス補正処理の対象としたが、所定の身体部位のみを対象としてもよい。
【0141】
再び図11に戻って、ステップS50の部位別インピーダンス補正処理が終わると、体組成演算のためのインピーダンスが確定される(ステップS52)。ステップS52では、インピーダンス計測部101で計測した周波数Faにおける全身インピーダンスZw、および、部位別インピーダンス補正部102で算出された演算用部位別インピーダンス(|Z’|)が、体組成演算のためのインピーダンス値として確定される。
【0142】
なお、本実施の形態においては、ステップS52で確定されるインピーダンス値は、全身および3つの身体部位(腕部,体幹部,脚部)のインピーダンス値である。すなわち、左腕および右腕のインピーダンス値を合成して腕部のインピーダンス値とし、左脚および右脚のインピーダンス値を合成して脚部のインピーダンス値とする。
【0143】
ステップS52において体組成演算のためのインピーダンス値が確定すると、体組成計算部103は、体組成の計算処理を行なう(ステップS54)。ステップS54において、体組成計算部103は、上述のように、全身の体組成および部位別の体組成を計算する。なお、体組成の計算は、たとえば公知の手法により行なうことができる。
【0144】
ステップS54の処理が終了すると、マイコン10は、ステップS40において確定した体重値およびステップS54において計算した体組成の数値を、外部メモリ33に測定結果として記憶する(ステップS56)。
【0145】
この測定結果は、被験者の個人番号ごとに、図示しない計時部より得られる日付および測定時刻の情報とともに、たとえば所定数記憶される。所定数を超えると、古いメモリ値に上書きされるなど、最新の測定結果が記憶される。なお、ステップS56においては、体組成数値のみが記憶されることとしてもよい。また、ステップS54で計算した体組成の数値のうち所定の情報のみを記憶することとしてもよい。
【0146】
次に、マイコン10は、計算した体組成数値を表示部20に表示する(ステップS58)。ここでは、全身の体組成および他の情報が表示される。全身の体組成として、たとえば、体脂肪率、筋肉率、内臓脂肪レベルなどが表示される。また、たとえば、ステップS40で確定した体重値、BMI(体格指数)、基礎代謝、および、計算した基礎代謝が何歳に相当するかを表わす指標(以下「年齢指標」という)などもあわせて表示される。これらの情報は、表示部20の第1の表示領域20.1に表示され、第2の表示領域20.2では、人体図の全て(全身)が点灯される。
【0147】
また、表示部20の第1の表示領域20.1が小さい場合などには、これらの情報を順に表示することとしてもよい。たとえば、図14に示すように、はじめに、体重および基礎代謝を表示し(図14(a)参照)、その後、設定/表示切替スイッチ306が操作される度に、順に、筋肉率および体脂肪率の表示(図14(b)参照)、BMIおよび内臓脂肪レベルの表示(図14(c)参照)、年齢指標の表示(図14(d)参照)と切り替え、これらが繰り返し表示されることとしてもよい。なお、図14では、個人番号1の被験者の測定結果が表示されているものとする。
【0148】
たとえば図14(a)では、第1の表示領域20.1に、体重52.3kg、基礎代謝1182kcalと表示される。図14(b)では、第1の表示領域20.1に、筋肉率28.8%、体脂肪率23.0%と表示される。図14(c)では、第1の表示領域20.1に、BMI20.4、内臓脂肪レベル3と表示される。図14(d)では、第1の表示領域20.1に、年齢指標27才と表示される。また、図14(a)〜(d)において、第2の表示領域20.2には、人体図の全て(全身)が点灯される。
【0149】
ステップS58の処理が終了すると、ステップS60に進み、マイコン10は、メモリスイッチ307が押されたか否かを判断する。メモリスイッチ307が押されなかったと判断した場合(ステップS60においてNO)、続いて部位別スイッチ302〜305が押されたか否かを判断する(ステップS64)。
【0150】
ステップS64で部位別スイッチ302〜305が押されなかったと判断した場合(ステップS64にてNO)、マイコン10は、体組成計100の電源を切ってこの測定処理を終了する(ステップS68)。
【0151】
一方、ステップS64において部位別スイッチ302〜305のいずれかが押されたと判断した場合(ステップS64においてYES)、マイコン10は、ステップS64において押されたスイッチの種類に対応する被測定部位の体組成の測定値を表示部20に表示させる(ステップS66)。この場合、表示部20の第1の表示領域20.1には、指定された被測定部位の体組成が表示される。また、第2の表示領域20.2では、指定された被測定部位が点灯表示される。
【0152】
ここで、ステップS64で、部位別スイッチ302〜305のうち、体幹スイッチ303,脚スイッチ304,腕スイッチ305のいずれかが押圧された場合の表示例を、図15に示す。
【0153】
図15(a)は、体幹スイッチ303が押された場合の体幹部の体組成の表示例である。たとえば、筋肉率32.1%、体脂肪率25.3%が表示される。また、第2の表示領域20.2には、人体図のうち体幹部の部分が点灯表示される。
【0154】
図15(b)は、脚スイッチ304が押された場合の脚部の体組成の表示例である。たとえば、筋肉率50.0%、体脂肪率33.8%が表示される。また。第2の表示領域20.2には、人体図のうち脚部の部分が点灯表示される。
【0155】
図15(c)は、腕スイッチ305が押された場合の腕部の体組成の表示例である。たとえば、筋肉率45.0%、体脂肪率36.4%が表示される。また、第2の表示領域20.2には、人体図のうち腕部の部分が点灯表示される。
【0156】
なお、全身スイッチ302が押された場合には、図14(b)に示した表示に戻る。
【0157】
ステップS66の処理が終了すると、再びステップS60に戻る。
【0158】
ステップS60において、メモリスイッチ307が押されたと判断した場合(ステップS60においてYES)、マイコン10は、外部メモリ33に記憶された過去の測定結果であるメモリ値を、表示部20の第1の表示領域20.1に表示する(ステップS62)。
【0159】
この場合、直前に表示されていた被測定部位に対応したメモリ値を読み出して表示する。たとえば、直前に、脚部の体組成が表示されていた場合、メモリスイッチ307が押されると、脚部の体組成の過去の測定結果が読み出されて表示される。
【0160】
また、ステップS60において、メモリスイッチ307が押される度に、たとえば1週間前、2週間前というように、遡って対応する被測定部位の過去の測定結果が表示される。これにより、過去の測定値と比較した体組成の変化を把握することができる。
【0161】
ステップS62の処理が終了すると、再びステップS60に処理を戻す。
【0162】
なお、ここでは、ステップS52で確定されるインピーダンス値を、全身および3つの身体部位(腕部、体幹部、脚部)のインピーダンス値としたが、ステップS52で確定されるインピーダンス値を、全身および5つの身体部位(左腕、右腕、左脚、右脚、体幹)のインピーダンス値としてもよい。この場合、全身および5つの身体部位ごとの体組成を計算し、計算した体組成数値を、全身および5つの身体部位ごとに記憶、および表示するようにしてもよい。
【0163】
上述のように、本発明の実施の形態における体組成計100によると、体水分の移動の影響による部位別のインピーダンスの日内変動を補正することができる。したがって、全身および部位別の体組成を精度良く測定することができる。
【0164】
また、本発明の体組成計が行なう、インピーダンス計測方法、部位別インピーダンス補正方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc-ROM)などの光学媒体や、メモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0165】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0166】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の実施の形態における体組成計の外観斜視図である。
【図2】被験者が本発明の実施の形態における体組成計を用いて、体組成を測定する際の測定姿勢を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における体組成計のブロック図である。
【図4】体組成計の第2の筐体2の正面図である。
【図5】各身体部位のインピーダンス成分を示す模式図である。
【図6】全身のインピーダンス成分を示す模式図である。
【図7】左腕のインピーダンスの計測方法を説明するための図である。
【図8】全身のインピーダンスの計測方法を説明するための図である。
【図9】部位別インピーダンスの日内変動について説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態における体組成計の測定処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態における体組成計の測定処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態におけるインピーダンス計測処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態における部位別インピーダンス補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】全身の測定結果の表示例を示す図である。
【図15】部位別の測定結果の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0168】
1 第1の筐体、1.1,1.2 載置部、2 第2の筐体、2.1 本体部、2.2,2.3 グリップ部、3 ケーブル、4 収納部、10 マイコン、11〜18 電極、20 表示部、20.1 第1の表示領域、20.2 第2の表示領域、30 操作部、31 電源部、32 体重計測部、33 外部メモリ、41A 定電流発生回路、42 電流印加用電極切替回路、43 電圧測定用電極切替回路、44 入力切替回路、45 A/D変換回路、100 体組成計、101 インピーダンス計測部、102 部位別インピーダンス補正部、103 体組成計算部、133 内部メモリ、301 電源スイッチ、302 全身スイッチ、303 体幹スイッチ、304 脚スイッチ、305 腕スイッチ、306 設定/表示切替スイッチ、307 メモリスイッチ、308 上下スイッチ、309 個人番号スイッチ、310 ゲストスイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる周波数ごとに、全身の生体電気インピーダンスを計測する第1の計測手段と、
前記複数の異なる周波数ごとに、左腕、右腕、左脚、右脚、体幹のうち少なくともいずれか1つの身体部位の生体電気インピーダンスを計測する第2の計測手段と、
前記第1の計測手段により計測される複数の前記全身の生体電気インピーダンスから、該全身の生体電気インピーダンスを構成する複数の第1の成分を算出する第1の算出手段と、
前記第2の計測手段により計測される複数の前記身体部位の生体電気インピーダンスから、該身体部位の生体電気インピーダンスを構成する複数の第2の成分を算出する第2の算出手段と、
前記複数の第1の成分と、前記複数の第2の成分のうちの少なくとも1つの構成成分とを用いて、前記複数の第2の成分のうちの残りの構成成分を修正するための修正手段とを備える、体組成計。
【請求項2】
前記第2の計測手段は、複数の異なる身体部位の生体電気インピーダンスを計測する、請求項1に記載の体組成計。
【請求項3】
前記複数の第1の成分に含まれる構成成分、および、前記複数の第2の成分に含まれる構成成分は、各々、少なくとも、細胞外液の抵抗成分、細胞内液の抵抗成分、のいずれかに対応する成分である、請求項1に記載の体組成計。
【請求項4】
少なくとも前記修正手段で修正された修正後の構成成分を含む複数の成分から、前記身体部位の体組成算出用の生体電気インピーダンスを算出するインピーダンス算出手段と、
前記インピーダンス算出手段により算出された前記体組成算出用の生体電気インピーダンスから、前記身体部位の体組成を算出する体組成算出手段とをさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の体組成計。
【請求項5】
前記身体部位の体組成は、少なくとも、体脂肪量、体脂肪率、除脂肪量、除脂肪率、骨量、筋肉量、筋肉率のいずれかを含む、請求項4に記載の体組成計。
【請求項6】
前記体組成算出手段は、前記インピーダンス算出手段により算出された前記体組成算出用の生体電気インピーダンスと、年齢、性別、身長、体重などの身体特定情報とから、前記身体部位の体組成を算出する、請求項4に記載の体組成計。
【請求項7】
前記身体特定情報に含まれる体重を計測するための体重計測手段をさらに備える、請求項6に記載の体組成計。
【請求項8】
前記体組成算出手段により算出された前記身体部位の体組成を、前記身体部位に対応付けて表示する表示手段をさらに備える、請求項4に記載の体組成計。
【請求項9】
身体の複数の部位に接触させるための複数の電極と、
交流電流を流すための1対の電流用電極と電圧を測定するための1対の電圧用電極とを各々選択するために、前記複数の電極を切り替えるための切替手段とをさらに備える、請求項1に記載の体組成計。
【請求項10】
前記修正手段は、
第1の比率である、前記複数の第1の成分に含まれる前記細胞内液の抵抗成分に対応する構成成分に対する前記細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分の比と、第2の比率である、前記複数の第2の成分に含まれる前記細胞内液の抵抗成分に対応する構成成分に対する前記細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分の比とが一致するか否かを判断するための判断手段を含み、
前記判断手段により、前記第1の比率と前記第2の比率とが一致していないと判断された場合に、前記第1の比率と前記第2の比率が一致するように、前記複数の第2の成分に含まれる前記細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分を修正する、請求項3に記載の体組成計。
【請求項1】
複数の異なる周波数ごとに、全身の生体電気インピーダンスを計測する第1の計測手段と、
前記複数の異なる周波数ごとに、左腕、右腕、左脚、右脚、体幹のうち少なくともいずれか1つの身体部位の生体電気インピーダンスを計測する第2の計測手段と、
前記第1の計測手段により計測される複数の前記全身の生体電気インピーダンスから、該全身の生体電気インピーダンスを構成する複数の第1の成分を算出する第1の算出手段と、
前記第2の計測手段により計測される複数の前記身体部位の生体電気インピーダンスから、該身体部位の生体電気インピーダンスを構成する複数の第2の成分を算出する第2の算出手段と、
前記複数の第1の成分と、前記複数の第2の成分のうちの少なくとも1つの構成成分とを用いて、前記複数の第2の成分のうちの残りの構成成分を修正するための修正手段とを備える、体組成計。
【請求項2】
前記第2の計測手段は、複数の異なる身体部位の生体電気インピーダンスを計測する、請求項1に記載の体組成計。
【請求項3】
前記複数の第1の成分に含まれる構成成分、および、前記複数の第2の成分に含まれる構成成分は、各々、少なくとも、細胞外液の抵抗成分、細胞内液の抵抗成分、のいずれかに対応する成分である、請求項1に記載の体組成計。
【請求項4】
少なくとも前記修正手段で修正された修正後の構成成分を含む複数の成分から、前記身体部位の体組成算出用の生体電気インピーダンスを算出するインピーダンス算出手段と、
前記インピーダンス算出手段により算出された前記体組成算出用の生体電気インピーダンスから、前記身体部位の体組成を算出する体組成算出手段とをさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の体組成計。
【請求項5】
前記身体部位の体組成は、少なくとも、体脂肪量、体脂肪率、除脂肪量、除脂肪率、骨量、筋肉量、筋肉率のいずれかを含む、請求項4に記載の体組成計。
【請求項6】
前記体組成算出手段は、前記インピーダンス算出手段により算出された前記体組成算出用の生体電気インピーダンスと、年齢、性別、身長、体重などの身体特定情報とから、前記身体部位の体組成を算出する、請求項4に記載の体組成計。
【請求項7】
前記身体特定情報に含まれる体重を計測するための体重計測手段をさらに備える、請求項6に記載の体組成計。
【請求項8】
前記体組成算出手段により算出された前記身体部位の体組成を、前記身体部位に対応付けて表示する表示手段をさらに備える、請求項4に記載の体組成計。
【請求項9】
身体の複数の部位に接触させるための複数の電極と、
交流電流を流すための1対の電流用電極と電圧を測定するための1対の電圧用電極とを各々選択するために、前記複数の電極を切り替えるための切替手段とをさらに備える、請求項1に記載の体組成計。
【請求項10】
前記修正手段は、
第1の比率である、前記複数の第1の成分に含まれる前記細胞内液の抵抗成分に対応する構成成分に対する前記細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分の比と、第2の比率である、前記複数の第2の成分に含まれる前記細胞内液の抵抗成分に対応する構成成分に対する前記細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分の比とが一致するか否かを判断するための判断手段を含み、
前記判断手段により、前記第1の比率と前記第2の比率とが一致していないと判断された場合に、前記第1の比率と前記第2の比率が一致するように、前記複数の第2の成分に含まれる前記細胞外液の抵抗成分に対応する構成成分を修正する、請求項3に記載の体組成計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−239229(P2006−239229A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60761(P2005−60761)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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