説明

体脂肪率低減剤およびそれを含む食品

【課題】 肥満の抑制もしくは防止、肥満体質の改善に有効な体脂肪率低減剤およびそれを含む健康食品を提供する。
【解決手段】 緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微細化したヒトエグサ微細化物を有効成分とする、体脂肪率低減剤。緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微粉末の形態にしたヒトエグサ微粉末を有効成分とする、上記の体脂肪率低減剤。
上記の体脂肪率低減剤を含む、体脂肪率低減食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康維持のために有用な体脂肪率低減剤およびそれを含む食品に関し、さらに具体的には、本発明は、緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属に属するヒトエグサを微細化したヒトエグサ微細化物を有効成分とする体脂肪率低減剤およびそれを含む体脂肪率低減食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
過剰な体脂肪の蓄積は、美容上好ましくないばかりか、動脈硬化等の様々な疾病の原因となるといわれ、医療費の増大をももたらしている。このような現状に対して、体脂肪率を低下させる様々な研究がなされている。
【0003】
特開2002−275078号公報「脂肪分解促進剤」(特許文献1)には、ハトムギやオオムギ等の抽出エキスが脂肪細胞に働きかけて脂肪分解を促進することが開示されている。しかしながら、この公報においては、抽出エキスが腸管を確実に通過して同様の活性を示すかどうかは不明であること、また、一度分解した遊離脂肪酸は、エネルギーとして利用されない場合に肝臓に戻って再度脂肪に合成されることから、その生体内作用に関して十分な検証がなされていない。
【0004】
吉岡ら、J. Nutr. Sci. Vitaminol (1990) 36 (2) 173-178(非特許文献1)には、カフェインが褐色脂肪細胞に働きかけて発熱をもたらすことが開示されている。しかしながら、この公報においては、実際の使用レベルにおいてヒトを対象とした効果に関して十分な検証がなされていない。
【特許文献1】特開2002−275078号公報
【非特許文献1】J. Nutr. Sci. Vitaminol 36 (2) 173-178 (1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような問題点に鑑み、本発明は、肥満の抑制もしくは防止、あるいは肥満体質の改善に有効な体脂肪率低減剤およびそれを含む食品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記のような問題点を解決すべく鋭意検討した結果、日本国内で長期にわたって食材として利用されている緑藻類のヒトエグサを微細化した形態のものが、ヒトにおいて実際に顕著な体脂肪率低下作用を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の構成を要旨とする体脂肪率低減剤、ヒトエグサ微細化物および体脂肪率低減食品に関するものである。
(1)緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微細化したヒトエグサ微細化物を有効成分とする、体脂肪率低減剤。
(2)緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微粉末の形態にしたヒトエグサ微粉末を有効成分とする、上記(1)に記載の体脂肪率低減剤。
(3)緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを平均粒径80μm以下、または粒径80μm以下70%以上に微粉末化したヒトエグサを微粉末を有効成分とする、上記(2)に記載の体脂肪率低減剤。より好ましい態様において、緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを平均粒径50μm以下、または粒径50μm以下70%以上に微粉末化したヒトエグサ微粉末を有効成分とする、上記の体脂肪率低減剤。さらに好ましい態様において、緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを平均粒径30μm以下、または粒径30μm以下70%以上に微粉末化したヒトエグサ微粉末を有効成分とする、上記の体脂肪率低減剤。
(4)緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微細化したことを特徴とする、ヒトエグサ微細化物。
(5)緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微粉末の形態にしたことを特徴とする、上記(4)に記載のヒトエグサ微細化物。
(6)緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを平均粒径80μm以下、または粒径80μm以下70%以上に微粉末化したことを特徴とする、上記(5)に記載のヒトエグサ微細化物。より好ましい態様において、緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを平均粒径50μm以下、または粒径50μm以下70%以上に微粉末化したことを特徴とする、上記のヒトエグサ微細化物。さらに好ましい態様において、緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを平均粒径30μm以下、または粒径30μm以下70%以上に微粉末化したことを特徴とする、上記のヒトエグサ微細化物。
(7)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の体脂肪率低減剤または上記(4)〜(6)のいずれかに記載のヒトエグサ微細化物を含む、体脂肪率低減食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、緑藻類のヒトエグサを微細化することにより、ヒトにおいてこれを摂取したとき、実際に体脂肪率を低下させることができ、従って、脂肪組織を減少させ、肥満の抑制または防止、あるいは肥満体質の改善に有効な体脂肪低減剤および体脂肪低減食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下は、本発明のヒトエグサ微細化物、体脂肪率低減剤および体脂肪率低減食品について詳細に説明するものである。本発明による体脂肪率低減剤は、緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微細化したヒトエグサ微細化物を有効成分とするものであり、また、本発明による食品は、上記の体脂肪率低減剤を含むものであることは前記したところである。
【0010】
本発明において使用されるヒトエグサ(Monostroma nitidum)は、緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属の一種であり、日本国内では古来より海苔佃煮やふりかけ用として長い間親しまれてきたものである。ヒトエグサの由来は特に限定されず、通常は、福島以南の沿海域にて冬期間栽培されたものが冷凍や風乾されて使用されるが、一般にヒトエグサは市販されており、実用的にはそれらを本発明におけるヒトエグサ原料として使用することができる。
【0011】
上記のようなヒトエグサ原料は、最終的に微細化された形態(本発明のヒトエグサ微細化物)に調製して、本発明の体脂肪率低減剤として使用される。本発明において、ヒトエグサの微細化物には、乾燥形態に微細化したものと、湿潤形態に微細化したものが基本的にありうる。具体的には、微細化したヒトエグサ(ヒトエグサ微細化物)は好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下の大きさの微粉末形態のもの、あるいは、これらの大きさに相当する微細片に切断もしくは破砕可能な微細化手段で微細化した湿潤形態のものが基本形態である。実用的には、上記粉末粒子の大きさは、通常全粒子の平均粒径が80μm以下(好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下)、あるいは、粒径80μm以下(好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下)のものが70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上)のヒトエグサ微細化物とすることが好ましい。本発明においてヒトエグサの微細化物は、一つの特定粒径範囲のもののみを使用してもよいし、種々の粒径範囲のものが混じった混合物の形態で使用しても構わない。
【0012】
本発明において、ヒトエグサの微粉末化のためには、乾燥したヒトエグサを粉砕して微粉末化する方法を使用するのが一般的である。乾燥したヒトエグサは、水分を含む湿潤形態のヒトエグサ原料を適当な乾燥手段を用いて乾燥させてもよいが、乾燥されたものが一般に市販されており、それを使用することができる。
【0013】
湿潤状態のヒトエグサ原料を乾燥させる方法もしくは工程は特に限定されないが、具体的には、例えば自然乾燥法(常温もしくは室温(例えば15〜25℃程度)等)、加熱法(例えば40〜100℃程度)、凍結乾燥法等を使用することができ、この際、同時に送風することにより乾燥効率を高めることができる。また、低温(例えば0〜4℃程度)で、必要に応じて送風しながら乾燥させることにより、細菌の増殖を抑制しながら乾燥を行うことができる。適切な微細化のためには、通常ヒトエグサの水分含量を10重量%程度以下、好ましくは5重量%程度以下にまで乾燥させることが望ましい。
【0014】
ヒトエグサを粉砕して上記のような大きさに微粉末化する方法としては、合目的的な任意の方法があり得るが、通常、衝撃粉砕機、ボールミル、ピンミル、ジェットミル等の微粉砕機を用いる方法、凍結粉砕機を用いる方法等を使用し、前述したような大きさの微細化物になるような条件で、あるいは通常細胞壁の少なくとも一部を破壊するような条件で粉砕することにより微粉末化することができる。ヒトエグサを微粉末化したものは、適当な篩(例えば、粒径80μm以下の場合には200メッシュ、粒径20μm以下の場合には800メッシュ等)を用いて粒径範囲を確認あるいは所望の粒径範囲を選択することができる。
【0015】
湿潤形態に微細化したヒトエグサは、乾燥前のヒトエグサ原料を適当な微細化手段を使用して調製することができる。このような微細化手段を用いる方法としては、合目的的な任意の方法があり得るが、通常、コロイドミルを用いる方法、ひき臼型粉砕機を用いる方法等の細片機を使用することができる。このような微細化手段を用いてその稼働条件を調整することにより、例えば、ひき臼型粉砕機であれば、臼の間隙や回転速度の条件等を適宜調整することにより、ヒトエグサを微細化(通常全粒子の平均粒径が80μm以下(好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下)、あるいは、粒径80μm以下(好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下)のものが70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上)の大きさに相当する細片化))することができる。上記のような湿潤形態の微細化粒子の大きさは、レーザー粒径測定器等を用いて確認することができる。
【0016】
後記実施例に示されるように、微細化したヒトエグサは、擬似的腸内環境下でのリパーゼ活性に対する粒径の影響を調べるインビトロ試験、およびヒト介入によるインビボ摂取試験において体脂肪率、体重、BMI(Body Mass Index)が摂取前後で有意に低下し、体脂肪率を低下させる作用を有することが確認された。微細化したヒトエグサのこのような効果は、上記のような微細状に細片化することにより、これを摂取後、腸管における物理的、化学的な作用が、微細化されていない未処理のヒトエグサと比較して変化してリパーゼ作用および腸管吸収を抑制し、体脂肪率を低下させることによるものであると考えた。ヒトエグサを微細化した形態のものが、上記のような顕著な効果を示したことは思いがけなかったことと解される。上記のことから、本発明における微細化されたヒトエグサは、体脂肪率低減剤として有用である。
【0017】
本発明において、上記のように微細化された基本形態のヒトエグサは、そのままあるいは食事等の際に、食品用体脂肪率低減剤あるいは医薬用体脂肪率低減剤として使用(摂取)することができる。微粉末形態あるいは湿潤形態の本発明ヒトエグサ微細化物は、その基本形態の他に、錠剤(例えばサプリメントもしくは栄養補助剤)等の固形状形態(糖類等の通常の賦形剤あるいは結合剤を使用してもよい)、顆粒状形態(デキストリン等を使用してもよい)、ゼリー等の半流動状形態(ゼラチン、寒天等を使用)、あるいは水等の液体に懸濁もしくは溶解させた液状あるいは半流動形態等の種々の形態の本発明ヒトエグサ微細化物とすることができる。上記のようなヒトエグサ微細化物は、これら種々の形態で本発明の体脂肪率低減剤として使用することができる。従って、上記種々の形態の本発明ヒトエグサ微細化物は、それ自体本発明の体脂肪率低減剤であると共に、本発明の体脂肪率低減食品でもありうる。また本発明において、上記のようなヒトエグサ微細化物(もしくは体脂肪率低減剤)は、種々の食品(飲料を含む)に配合して、体脂肪率低減作用もしくは効果を有する健康食品とすることができる。上記体脂肪率低減剤を配合する食品は特に限定されないが、例えば、固形食品としてはお菓子、ケーキ、ふりかけ類、麺類等、半流動食品としては、粥類(青海苔粥等)、ゼリー類、豆腐等、飲料としては、青汁、お茶、スープ類等があげられる。本発明による体脂肪率低減食品は、肥満あるいは肥満体質等に対して穏やかに作用して体脂肪率を低減しこれらを改善することができる。また、本発明の食品は、製品形態として上記のような肥満、肥満体質あるいは体脂肪率の改善のために用いられる旨の表示を付した飲食品(特定保健用食品等)とすることができる。
【0018】
微細化されたヒトエグサの配合量は、上記摂取形態もしくは食品の種類等にもより異なりうるが、乾燥形態での含量として、固形状形態の剤もしくは固形食品の全量に対して通常5〜100重量%程度であり、半流動状形態の剤もしくは半流動食品の全量に対して通常0.5〜5重量%程度であり、液状形態の剤もしくは飲料の全量に対して通常0.5〜2重量%程度である。また必要に応じて、栄養補助等を目的としてビタミン類、ミネラル類等の添加物を適量配合することもできる。ビタミンCあるいはE等を添加した場合には、長期保存時の劣化(退色、酸化等)を防止することができる。
【0019】
本発明による体脂肪率低減剤の使用量は、微細化ヒトエグサの量として、経口摂取で一般に毎食事あたり170〜1700mg程度、あるいは1日あたり500〜5000mg程度が適当である。
【0020】
上記のような本発明による体脂肪率低減剤および体脂肪率低減食品は、緑藻類のヒトエグサを微細化することにより、ヒトにおいて実際に体脂肪率を低下させることができ、従って、脂肪組織を減少させ、肥満の抑制または防止、あるいは肥満体質の改善に有効である。
【0021】
本発明もしくは明細書において、特に断りのない限り%表示は重量%を意味するものである。
【実施例】
【0022】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。以下の実施例において、擬似的腸内環境下でのリパーゼ活性に対するヒトエグサ微細化物の影響を調べるインビトロ試験、およびヒト介入によるインビボ摂取試験を行った。
【0023】
[実施例1]
(ヒトエグサの微細化)
市販の風乾ヒトエグサ(伊勢湾産)を粉砕するために、加熱送風乾燥機(IT−3型通気式海苔熱風乾燥機:近沢鉄工所社製)中、70℃で50分間送風乾燥し、ハンマーミル(アトマイザー:セイシン企業社製)で粒径3mm以下に粗粉砕した。次いで、異物を目視選別し、あるいは金属性異物を除去した後、衝撃粉砕機(ACMパルメライザー:ホソカワミクロン社製)で微粉砕処理を行ったところ、全粒子の平均粒径が18.5μmであり、そのうち30μm以下70%、50μm以下90%を含む微粉末が得られた。粒度分布は図1に示されている。
【0024】
[実施例2]
(膵リパーゼ活性測定法)
試験用の各粒度のヒトエグサ粉末サンプルとして、0.075mm以下までは卓上ミル(ミキサーFM−33:サン社製)にて粉砕後、30、100、200メッシュの篩を通過したもの、すなわち、1mm以上5mm以下、1mm以下、0.15mm以下の粉末、および0.075mm以下、平均粒径18.5μm(実施例1で得られた50μm以下90%を含有)の微粉末の5段階を用意した(図2参照)。それぞれ試験管に10mg計り取り、0.1MのTES緩衝液(N-Tris (hydroxymethyl) methyl-2-aminoethanesulfonic acid)和光純薬工業:pH7.0)100μlで膨潤させ、サンプルとした。基質溶液の調製には、80mgオリーブオイル(局方)、10mgレシチン(卵由来)および5mgタウロコール酸ナトリウムを9mlのTES緩衝液中で混合し、エマルジョン化したものを用いた。酵素溶液として、ブタ膵臓由来リパーゼを最終濃度100mg/mlにTES緩衝液で調製したものを用いた。リパーゼ活性の測定は、サンプルに酵素溶液100μlおよび基質溶液200μlを加え、37℃で20分間振とう反応させた後、遊離する脂肪酸量を以下の方法で定量した。対照として酵素の代わりにTES緩衝液を添加したものを同様に反応させた。
【0025】
(遊離脂肪酸量測定法)
反応後、遊離した脂肪酸を市販のキット(NEFA−Cテストワコー(和光純薬))により測定した。反応液を3000r.p.m.で遠心分離(アーム長15cm、1500g)し、その上清50μlを別の試験管に入れ、アシルCo−Aシンセターゼ溶液1mlを添加後、37℃で10分間反応させた。その後、発色試薬入りのアシルCo−Aオキシダーゼ溶液2mlを添加し、37℃で10分間反応させ、550nmの吸光度を測定して遊離脂肪酸量を定量した。
【0026】
(結果)
酵素を添加していない対照となるサンプル由来の遊離脂肪酸量を差し引いて、対照の活性を100とした時のサンプルの酵素活性を図2にグラフ化して示した。図2において、ヒトエグサ未添加のコントロールに対して、0.15mm以下粉末を最大とする亢進活性が見られたが、0.075mm以下の微粉末および0.02mm(平均粒径18.5μm)微粉末サンプルでは明らかな抑制活性が見られた。本発明が、膵臓リパーゼ活性を抑制し、腸管における食物中のトリグリセライドの分解阻害し、小腸よりの脂肪吸収量を低下させることで脂肪組織を減少させ、肥満の抑制または防止、肥満体質の改善に有効である予想される。
【0027】
[実施例3]
(ヒトエグサ微粉末の摂取試験)
20.7±1.2歳の普通体重の健康女子14名に、0.5gのヒトエグサ微粉末(平均粒径18.5μm)を3週間、毎朝食時、水やお湯と同時に摂取させた。計測前日は21時までに夕食を終了し、その後、採血までは水以外の飲食を禁止し、上腕部静脈より採血した。同時に、血圧はデジタル自動血圧計HEM−77OA(オムロン(株))により、また体重・体脂肪率は体重体組成HBF−354(オムロン(株))により測定した。
【0028】
(結果)
体脂肪率、体重、BMI(Body Mass Index)がヒトエグサ微粉末摂取前後で有意(p<0.05)に低下し、14名中10名で体脂肪率が低下した。これらの結果は図3〜5に示されている。一方、血液検査結果は摂取前後でほぼ基準内であり、摂取期間中に問題となる所見はみられなかった。
【0029】
[実施例4]本発明食品の配合例
・固形食品(錠剤形態)
ヒトエグサ微粉末: 98.0g
ビタミンC: 0.5g
ビタミンE: 0.5g
デキストリン: 1.0g
・半流動食品(ゼリー)
ヒトエグサ微粉末: 4.0g
ビタミンC: 0.5g
抹茶フレーバー: 0.1g
砂糖: 30.0g
寒天: 1.5g
水: 63.9g
・半流動食品(青海苔粥)
白粥 98.6g
ヒトエグサ微粉末: 0.6g
きざみ黒海苔: 0.3g
ビタミンC: 0.5g
・液状食品(飲料)
ヒトエグサ微粉末: 1.0g
ビタミンC: 0.5g
ビタミンE: 0.5g
水: 98.0g
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、体脂肪低率減剤およびそれを含む食品、さらに具体的には、緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微細化したヒトエグサ微細化物を有効成分とする体脂肪率低減剤およびそれを含む体脂肪率低減作用を有する健康食品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の微細化ヒトエグサ(実施例1)の粒度分布を示すグラフ。
【図2】擬似的腸内環境下でのリパーゼ活性に対するヒトエグサ粒径の影響を調べるインビトロ試験結果を示すグラフ。
【図3】ヒト介入による微細化ヒトエグサのインビボ摂取試験において体重の変化を示すグラフ。
【図4】ヒト介入による微細化ヒトエグサのインビボ摂取試験において体脂肪率の変化を示すグラフ。
【図5】ヒト介入による微細化ヒトエグサのインビボ摂取試験においてBMIの変化を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微細化したヒトエグサ微細化物を有効成分とする、体脂肪率低減剤。
【請求項2】
緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微粉末の形態にしたヒトエグサ微粉末を有効成分とする、請求項1に記載の体脂肪率低減剤。
【請求項3】
緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを平均粒径80μm以下、または粒径80μm以下70%以上に微粉末化したヒトエグサ微粉末を有効成分とする、請求項2に記載の体脂肪率低減剤。
【請求項4】
緑藻類ヒトエグサ科ヒトエグサ属ヒトエグサを微細化したことを特徴とする、ヒトエグサ微細化物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の体脂肪率低減剤または請求項4に記載のヒトエグサ微細化物を含む、体脂肪率低減食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−225279(P2006−225279A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38107(P2005−38107)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(591104848)株式会社桃屋 (17)
【Fターム(参考)】