説明

体重測定システム

【課題】動物の各脚の体重測定、あるいは体重割合を測定することができる機能を備えた体重計測システムを提供することを目的とするものである。
【解決手段】、縦2列、横2列に縦列配置された前脚体重センサ部3A,3B及び4後脚体重センサ部4A、4Bと、これらの前脚体重センサ部3A,3B及び4後脚体重センサ部4A、4Bによる測定値を表示する表示部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体重測定システムに関する。詳しくは、動物の各脚に掛かる体重を測定して体重バランスを計測する体重測定システムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動物の体重測定器として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。具体的には、図5に示すように、荷重センサ102と、その上部に水平に取付けられた対象動物に応じ所定の大きさを有する計測台103と、計測台左右端に略垂直に配設される対象動物に応じ所定の高さと奥行きを有する側面フェンス104と、測定台前端側に設置され且つ側面フェンスより高さが低い前端フェンス105とで構成され、側面フェンス間の後端が開口している構造の体重測定機101が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−114145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、犬の場合には、一般に前脚と後脚に掛かる体重の割合が7:3程度であり、前脚と後脚に掛かる体重の割合が異なる場合には、何らかの障害を患っていることが多い。そのため、前脚と後脚との体重の掛かる割合を測定することにより動物の健康状態を知ることができる。
【0005】
また、手術後のリハビリの進行状況を把握するには前脚と後脚に掛かる体重の割合を測定することが重要となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1のように動物の体重を測定することができるシステムは多々開発されているが、犬の前脚と後脚に掛かる体重や各脚に掛かる体重を測定する機能を備えた測定システムが開発されていないのが現状である。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、各脚に掛かる体重の測定や各脚に掛かる体重の割合を測定することができる機能を備えた体重計測システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る体重測定システムは、縦2列、横2列に縦列配置された4つの体重測定部と、各体重測定部の測定値を表示する表示部とを備える。
【0009】
ここで、縦2列、横2列に縦列配置された4つの体重測定部を配置することによって、動物の左右前脚および左右後脚に掛かる体重を測定することができ、各脚に支障がないかどうかを知ることが可能となる。
【0010】
また、表示部が、一方の列に属する2つの体重測定部の測定値の合計と、他方の列に属する2つの体重測定部の測定値の合計を表示可能に構成されることによって、動物の前脚に掛かる体重と、後脚に掛かる体重を測定することができ、そのことで動物の健康状態を知ることが可能となる。
【0011】
更に、表示部が、4つの体重測定部の測定値の合計に対する一方の列に属する2つの体重測定部の測定値の合計の割合と、4つの体重測定部の測定値の合計に対する他方の列に属する2つの体重測定部の測定値の合計の割合を表示可能に構成されことによって、全体の体重に対する前脚に掛かる体重の割合、あるいは後脚に掛かる体重の割合を算定表示することができ、そのことで動物の回復状態の推移を把握することが可能となる。
【0012】
また、表示部が、4つの体重測定部の測定値の合計に対する各体重測定部の測定値の割合を表示可能に構成されることによって、全体の体重に対する各脚に掛かる体重の割合を算定表示することができ、そのことで動物の各脚のバランス状態を把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の体重測定システムによれば、縦2列、横2列に縦列配置された4つの体重測定部によって各脚に掛かる体重を測定することができ、そのことで動物の健康状態を把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した体重測定システムの体重測定台の一例を説明するための模式図である。
【図2】本発明を適用した体重測定システムの体重センサ部の一例を説明するための模式図である。
【図3】本発明を適用した体重測定システムのブロック回路説明図である。
【図4】本発明を適用した体重測定システムの表示部の一例を説明するための模式図である。
【図5】従来の動物の体重測定装置の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明を適用した体重測定システムの体重測定台の一例を説明するための模式図、図2(図2(イ)は体重センサ部の平面図を示し、図2(ロ)は体重センサ部の正面図を示し、図2(ハ)は体重センサ部の側面図を示す。)は本発明を適用した体重測定システムの体重センサ部の説明するための模式図、図3は本発明を適用した体重測定システムのブロック回路説明図である。
【0016】
ここで示す動物用計測装置1は、下部にキャスター2が取付けられた平板状の基台14と、この基台14上に縦2列及び横2列で配置された体重センサ部(前脚体重センサ部3A、3B、後脚体重センサ部4A、4B)と、これらの体重センサ部からの測定データが入力される表示部5とを有して構成されている。なお、体重センサ部は体重測定部の一例である。
【0017】
ここで、体重センサ部は、図2に示すように、基板6上に起歪体7が支承部8によって架設され、この起歪体7に歪みゲージ9が貼られており、所謂ロードセルセンサ機構とされている。
【0018】
ここでのロードセルセンサ機構(図示せず。)は、アルミニウム合金からなる弾性体である起歪体に歪みゲージを貼り付けた構造であり、歪みゲージにはブリッジ回路が設けられている。
【0019】
なお、起歪体は体重が掛かると変形して歪みが生起し、起歪体に貼り付けられた歪みゲージは、体重が掛かることによって生じた歪みを電気抵抗の変化に置き換え、更にこの電気抵抗の変化をブリッジ回路によって電圧変化に置き換えることで体重を数値化し、体重を示す値としての電気信号(電圧値)が出力されることとなる。
【0020】
また、ロードセルセンサ機構により体重センサ部から出力される電気信号は、計測モジュール(デジタル変換器)によってデジタル信号に変換され、パーソナルコンピューターに入力される。そして、表示部5によって体重センサ部(前脚体重センサ部3A、3B及び後脚体重センサ部4A、4B)による体重測定値が表示される構成とされている。
【0021】
ここで、パーソナルコンピューターのディスプレ表示の一例を図4に示す。
ここで示す表示部5は、縦軸が体重、横軸が時間とされたグラフ表示画面10によって一定時間における各脚の体重の変化の推移が表示されると共に、グラフ表示画面10の右側に、前脚左A、前脚右B、後脚左C及び後脚右Dに掛かる体重と、この前脚左A、前脚右B、後脚左C及び後脚右Dに掛かる全体重の合計の数値Tが時間の経過に応じて表示される構成とされている。
【0022】
更に、グラフ表示画面10の下側には、前脚左Aの平均値の体重表示部11、前脚右Bの平均値の体重表示部11、左右前脚全体の平均値の体重表示部11及び後脚左Cの平均値の体重表示部11、後脚右Dの平均値の体重表示部11、左右後脚全体の体重表示部12が設けられた構成とされている。
【0023】
また、前脚左Aの平均値の体重表示部11、前脚右Bの平均値の体重表示部11、左右前脚全体の平均値の体重表示部11及び後脚左Cの平均値の体重表示部11、後脚右Dの平均値の体重表示部11、左右後脚全体の体重表示部12下側には、それぞれ全重量に対するぞれぞれの割合を%で表示する体重割合表示部13が設けられた構成とされている。
【0024】
なお、本実施例では体重測定部としてロードセルセンサ機構による体重センサ部を詳述するものであるが、必ずしもロードセルセンサとする必要性は無く、他の体重測定センサ、あるいはバネ式の体重測定部であっても構わない。
【0025】
以上の構成よりなる本発明の体重測定システムを用いて、例えば犬(図示せず。)の体重測定を行う場合には、犬の左右の前脚及び左右の後脚を前脚体重センサ部3A、3B及び後脚体重センサ部4A、4Bに載せた状態で立たせる。
【0026】
ここで、前脚体重センサ部3A、3B及び後脚体重センサ部4A、4Bによって測定された犬の各脚に掛かる体重が表示部5によって表示されると共に、その合計値が全体重として表示される。
【0027】
そのために、測定される犬の大きさに対する全体重によって健全な体重であるか、あるいは肥満であるかを判断することが可能となる。
【0028】
また、全体重に対する前脚と後脚との体重割合を表示することにより、例えば、手術後の犬の場合では前脚と後脚とに掛かる体重比率が8:2、あるいは9:1と健康な状態に比べて比率が大きくなることが多く、こうした表示により回復力の度合いを把握することが可能となる。
【0029】
なお、老齢犬の場合では、後脚である腰部が弱ってくるために歳をとるとともに前脚に掛かる体重の割合が増え、前脚に掛かる体重と後脚に掛かる体重の割合が変化するために、リハビリをする必要性が生ずるのであるが、年齢に応じて前脚に掛かる体重と後脚に掛かる体重の割合を把握することによって、リハビリの有無を判断する指標とすることが可能となる。
【0030】
また、前脚体重センサ部3A、3B及び後脚体重センサ部4A、4Bによって犬の左右前脚及び左右後脚の各脚に掛かる体重測定値、あるいは全体重に対する体重割合が表示されることによって、例えば左右前脚および左右後脚のいずれかの脚に支障がある場合には、その支障のある脚の体重割合が著しく小さくなり、これにより、怪我などの支障を負っていることを把握することが可能となる。
【0031】
また、全体重に対する前脚と後脚との体重割合、あるいは全体重に対する個別の脚の体重割合が表示されることにより、病気や怪我の回復具合の推移を確認することが可能となる。
【0032】
なお、本発明の体重測定システムでは、前脚体重センサ部及び後脚体重センサ部を水平状において動物の体重測定を行うことを基本とするものであるが、動物を載せた状態で全方向へ傾斜させることにより動物の各脚に掛かる体重が変化することとなるが、これは、傾斜することにより脚を踏ん張ることにより傾斜側の脚に体重が掛かるためであり、この傾斜を利用してどの程度の体重に耐えるかの確認とリハビリを通じての回復状態の推移を把握することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 動物用計測装置
2 キャスター
3A、3B 前脚体重センサ部
4A、4B 後脚体重センサ部
5 表示部
6 基板
7 起歪体
8 支承部
9 歪みゲージ
10 グラフ表示画面
11、12 体重表示部
13 体重割合表示部
14 基台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦2列、横2列に縦列配置された4つの体重測定部と、
各体重測定部の測定値を表示する表示部とを備える
体重測定システム。
【請求項2】
前記表示部は、一方の列に属する2つの体重測定部の測定値の合計と、他方の列に属する2つの体重測定部の測定値の合計を表示可能に構成された
請求項1に記載の体重測定システム。
【請求項3】
前記表示部は、4つの体重測定部の測定値の合計に対する一方の列に属する2つの体重測定部の測定値の合計の割合と、4つの体重測定部の測定値の合計に対する他方の列に属する2つの体重測定部の測定値の合計の割合を表示可能に構成された
請求項1または請求項2に記載の体重測定システム。
【請求項4】
前記表示部は、4つの体重測定部の測定値の合計に対する各体重測定部の測定値の割合を表示可能に構成された
請求項1、請求項2または請求項3に記載の体重測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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