説明

余長ケーブル把持システム

【課題】架空での余長ケーブル収納の取り扱い作業に手数と時間が掛からず、作業者による巻付け寸法や配線工事の均一化を図り、電柱間のどの架空位置でも余長ケーブルを収めて取り付けられ、ケーブルの引っ張り強度の保証をも確実化して信号伝送特性を充分維持するほか、ケーブル線条の地上高さの確保を図って配線工事の安全簡便化とケーブル接続配線の信頼性を高める。
【解決手段】ケーブルの接続に必要なケーブルCの余長部分Cを円形状または楕円状に巻き丸めて取って配線し、該ケーブルCの余長部分Cを弾性把持部を介して繰り出し自在に挿通受支させる余長ケーブル把持具1をハンガー3により、ケーブルの支持線Aまたは吊り線或いは電柱に設けた支持部材Bに固定すると共に、ケーブルC余長部分Cを余長ケーブル把持具1に回動自在に設けたケーブル収納フック8により抱持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市街地などにおける一般住宅の家屋、オフィス、工場、その他の建物などの屋外に配線される情報通信などの通信回路での光ケーブル或いはメタルケーブルのケーブル余長を配線点になる予定の架空に予め取っておく余長ケーブル把持システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、市街地などにおけるケーブルによる架空ネットワークは、ケーブルの多重架渉ができるように、電柱間に鋼撚り線を張りスパイラルハンガーを通すことにより、ケーブルリングを使用しないでスパイラルハンガーの中にケーブルを何条も敷設できる工法になっている。(例えば、特許文献1参照)
この工法では、ケーブル余長は取らずに架空クロージャ内の心線余長を利用した後分岐しかできなかった。
このように架空配線システムでは、ケーブルの余長を取らずに布設しているため、支障移転発生時には回線借用やケーブル割り入れ等張り替え工事が必要となり接続作業に長時間(期間)に及んでしかも多くの作業要員がいりコスト高となるし、施工場所が道路だと長時間の交通規制を要するし、工事日の規制や交通渋滞の発生も予想され問題であり、また、接続点・配線点での後分岐やドロップなどの接続点では、下部心線余長が取れないし、下部戻しや本線戻しができないので、下部心線の再生が難しく光心線稼働率の低下を招くこととなり、しかも布設の際に生ずる破尺ケーブルは産業廃棄物処理が必要となって、その処理のための梱包、運送、解体、処分などの費用は膨大となることが想定される。
特に、最近のように市街地に架空ネットワークが、多重架渉されてくると従来の工法では、電柱の支障移転時にケーブルの張り替えが必要になることや、後分岐による心線余長が足りないことなどを解消するためにケーブルの余長を前もって用意することが必要になって問題があった。
このようにCP柱更新や支障移転工事に伴うケーブル張り替え工事が数多く発生していて、この対応策に架空での心線余長を充分取った場合、接続ケーブル余長収納にケーブルを巻き付けることで行われるが、特許文献1のように電柱際にしばり紐でケーブル余長を回巻収納したり、また特許文献2のように放射状に設けた支持部材からなる余長ケーブル把持具にケーブル余長を回巻収納したりしてケーブル移架を可能にする工法が知られている。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【特許文献1】特開2002−345116号公報
【特許文献2】実開昭62−33004号公報
【0004】
ところが余長ケーブル把持具からケーブル移架必要長と余長ケーブル収納長との関係では、余長ケーブル把持具からケーブル移架必要長さを送りだした長さより移架作業後再度ケーブル収納する時に、余長ケーブル把持具に納まりきれない余長ケーブルが発生するとその処理に困るし、回巻収納する線条の地上高さが歩道や車道等の道路上では異なるために地上高さ不足にならないように巻き半径を考慮しなければならない不便もあり、特に接続ケーブル余長収納にケーブルを巻き付けにケーブルの円周の一点をしばり紐で電柱間の支持線に固定すると共に、もう一点をしばり紐で電柱に取り付けるのに、自在バンドで電柱に取付つけた支持部材を用いて電柱に固定する工法、例えば、特許文献1参照であると、ケーブルの引っ張り強度の保証や架空に設置することから紫外線など環境による劣化など寿命や信頼性に問題があり、しかも取付け取り扱い作業にも手数と時間がかかるほか、作業者による巻き付けケーブルを収める寸法に差異が生じたり作業員の組立て相違で、配線工事にバラツキが生じやすいので、均一性がなく信頼性の上で満足したものにならなく、その取付も電柱間のどの位置でもよいというわけではなく電柱近辺に限られ、電柱から外れた位置では組立てができない制約が生じて不便であるなどの欠点もあった。
また、支持部材からなる余長ケーブル把持具にケーブル余長を回巻収納した場合、ケーブルの把持力を一定にして把持することができないし、取付具でケーブル及び心線に損傷が生じ引っ張り強度の保証がえられないで信号伝送特性を充分安全に維持できない虞れがあるし、取り扱いが煩雑でありケーブルの余長部分の端数を余長収納具に調整収納することができず、ケーブルの線条の地上高さを調整して収納できないなどの不便があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これら従来の諸欠点を排除しようとするもので、架空ケーブルの余長を電柱近傍に予め取っておくことで、いろいろなケースで発生する支障移転においてケーブル割り入れや回線借用をすることなく簡単確実に、しかも短時間で移転工事を実現でき、さらに後分岐施工においてもケーブル余長を少しクロージャ内に引き込むことで、上部側や下部側の心線余長を従来より長く確保でき接続作業の向上や下部延ばしも期待でき、心線稼働率の向上に寄与できる。
また、設備設計上で想定される引き上げ点と接続点(配線点)間及び接続点(配線点)間の中間電柱際に設定されることで、支障移転が発生してもケーブル割り入れを行うことなくあらかじめ設定されている余長ケーブル把持具により、必要に応じケーブルを引き出すだけでなく、ケーブル長余りが発生した場合は巻き取ることで余長ケーブルの収納も行できて、ケーブル切断なしに支障移転が行えケーブルの接続作業や接続確認等のチェックも不要となり施工時間も大幅に短縮でき誤接続を解消して簡単に支障移転工事ができ、顧客より回線借用なしで済むし、作業時間の制約も受けずに交通渋滞の解消にも貢献するほか、支障移転などによるケーブル長不足やケーブル余りが生じても何時でも必要に合わせてケーブル余長を送り出すことや余りケーブルの収納ができので、柔軟な配線を実現できライフタイムコストの削減が可能である。
さらに、本発明では、架空でのケーブル余長の巻き付けケーブルを収めるのに、ケーブルの把持力を一定にして把持することができ、ケーブルの引っ張り力が一定範囲を越えた際に滑って繰り出しケーブル及び心線に損傷を与えず、引っ張り強度の保証を確実化して信号伝送特性を充分維持できるほか、接続余長の取り扱い並びに配線工事の安全簡便化をはかり、ケーブル接続余長の信頼性を高めることができるし、ケーブルの線条の地上高さを調整して収納でき配線工事の処理を容易に行え作業性の向上と、使用性の向上とに寄与できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明は、ケーブルの接続を地上で行う際に、接続に必要なケーブルの余長を取って配線し、該ケーブルの余長部分を挿通受支させて係離自在に係止しうる余長ケーブル把持具により、ケーブルの余長部分を支持線または吊り線或いは電柱に設けた支持部材に固定する架空配線システムにおいて、前記ケーブルの余長部分を余長ケーブル把持具のケーブル把持部によって巻回支持して、該ケーブル把持部に設けた弾性把持部を介してケーブルを繰り出し自在に支持すると共に、ケーブル収納フックによって円形状または楕円形状に巻き付けた巻回ケーブルを保持し、該巻回ケーブル及び心線に損傷を与えず、引っ張り強度の保証を確実化して信号伝送特性を充分維持できるほか、接続余長の取り扱いを敏速で確実にし配線工事の安全簡便化をはかるようにした。
【0007】
また、本発明では、前記光ケーブルに沿った余長ケーブル把持具のケーブル支持プレートに、配線ケーブル支持用の支持線或いは電柱支持部材に固定するハンガーと、ケーブルの二点を把持するケーブル把持部とを設け、該ケーブル把持部に弾性把持部材を取付片によって挟圧配備して、前記配線ケーブルを圧接保持する余長ケーブル把持具によって固定することで、ケーブル支持アーム内にケーブル余長を巻き付けておさめると、所定の曲率半径寸法が容易に確保でき、組立て時にいずれの作業員が施工しても均一で信頼性が得られると共に、前記余長ケーブル把持具が、光ケーブルの余長部分の端数を余長収納具に調整収納できる。
【0008】
さらに、本発明のケーブル把持部では、前記光ケーブルを余長ケーブル把持具に挿通してケーブルの余長部分を旋回して巻き付けて余長ケーブル把持具に支持し、該余長ケーブル把持具を電柱バンドに水平に設けた支持部材に摺動自在に備えてケーブルの余長部分を余長収納具に調整収納することで、ケーブル心線の曲げ劣化をなくし、規定されている最小曲率半径300mm以上が容易に維持でき、ケーブル余長収納の管理保安が容易であるし、組立て作業も簡便に行なうことができる。
【0009】
また、本発明はケーブルの余長部分を支持線または吊り線或いは電柱に設けた支持部材に固定する架空配線システムにおいて、前記ケーブルを余長ケーブル把持具に挿通してケーブルの余長部分を円形または楕円形状に旋回して巻き付けて余長ケーブル把持具が、ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに所定のケーブル外径を確保するケーブル支持アームを回動自在に設けると共に、ケーブル収納フックを回動自在に配備し、さらにフック部で連結する吊上ガイドによってケーブル余長部分を支持収納することで、ケーブルの線条の地上高さを調整でき、片側または両側のケーブル余長止めを緩め、ケーブルを外すだけで一巻長ごと延ばすことができると共に、光ケーブル心線の曲げ劣化をなくし規定されている最小曲率半径が維持でき、しかもケーブルの把持力を一定にして把持することができ、ケーブルの引っ張り力が一定範囲を越えた際に弾性把持部材の摩擦抵抗に抗しきれずに滑って繰り出して、ケーブル及び心線に損傷を与えず、ケーブルの引っ張り作用に安全に対応できて引っ張り強度の保証を確実化する。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記弾性把持部材が、前記配線ケーブルの外周面に接触する挿通孔を有する円筒形合成ゴムのスペーサからなり、配線ケーブルを挿入する切れ目を挿通孔に連通して設け、取付片からなる前記ケーブル把持部に着脱自在に嵌挿したこと、前記取付片は湾曲部の両端に折り曲げ支片を備え、一方の支片を前記ケーブル把持具のケーブル支持プレートに形成した挿入孔に嵌入支持し、他方の支片をケーブル支持プレートに固定ネジによって取り外し自在に固着したことで、スパイラルハンガー内の他のケーブルに損傷をあたえない構造により、接続余長の取り扱い並びに配線工事の安全簡便化がはかられるし、ケーブル余長の巻き付けケーブルを収めるのに、ケーブルの把持力を一定にして把持することができるようにした。
【0011】
なお、本発明のケーブル把持具では、ケーブルの余長部分を支持線または吊り線或いは電柱に設けた支持部材に固定するものであって、前記ケーブルを余長ケーブル把持具に挿通してケーブルの余長部分を円形状または楕円形状に旋回して巻き付けて余長ケーブル把持具に支持し、該余長ケーブル把持具またはケーブルに沿ったケーブル支持プレート或いはハンガーに設けた支持線取付具が、先端部に支持線を受ける抱持片と締め付けネジとからなる固着部を備え、該固着部によって前記支持線に係脱自在に吊下げ保持されて余長ケーブル部分を収納することにより、余長ケーブル部分の架空保持が容易で、保管維持の確実が図れる。
【0012】
さらに、このケーブル余長把持システムにおいて、ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに設けた一対のフック係止片フックをそれぞれ回動自在に備えて、該フックに巻き丸めたケーブルを抱持し、吊上ガイドによってケーブル巻きの円周を整理して収納することで、ケーブルの線条の地上高さを調整が楽にできケーブル余長収納の管理保安が容易であるし、配線工事の処理をも容易に行え作業性の向上と、使用性の向上とに寄与できる。
【0013】
なお、前記ハンガーは、先端部に支持線を受ける抱持片と締め付けネジとからなる固着部を備え、前記支持線に係脱自在にぶら下げ保持されることにより、電柱間どこの位置でも組立てが可能で、組立て時にいずれの作業員が施工しても均一で信頼性が得られると共に、バケット車上等での一人作業に適し、配線工事作業も容易であって信頼性を大幅に高めることができ、取り扱いも簡便で安全な形態でケーブル余長の収納ができるようにするのがよい。
また、本発明は、前記ケーブル把持部の前記取付片が、両端に折り曲げ支片を備え、一方の支片をケーブル支持プレートに形成した挿入孔に嵌入支持され、他方の支片をケーブル支持プレートに固定ネジによって取り外し自在に固着してスペーサを介して余長ケーブル部分を収納することと、ケーブルの支持を確実にするために、ベースの中央部にフック係止片を一対間隔をあけて設け、各フック係止片にフックを回動自在に夫々備えて、巻き丸めたケーブルをフックに抱持して、ケーブル巻きの円周を整理して止めることできるし、また左右に振り分けたケーブル接続余長を支えて、ケーブル巻き取りの最小曲率半径の外径を確保しやすくし、ケーブルの繰り出しの際に案内をも兼ねケーブルに損傷を与えずに安全性を高めるのが好ましい。
【0014】
本発明は、配線ケーブルに沿った余長ケーブル把持具のケーブル支持プレートに、配線ケーブル支持用の支持線に固定され、ケーブルの二点を把持するケーブル把持部を設け、該ケーブル把持部に、前記配線ケーブルに圧接する合成ゴムからなる弾性把持部材を取付片によって挟圧配備すると共に、前記配線ケーブルを圧接保持する余長ケーブル把持具によってケーブルの余長部分を固定することで、ケーブルの引っ張り力が一定範囲を越えた際に滑って繰り出してケーブル及び心線に損傷を与えず、引っ張り強度の保証を確実化して信号伝送特性を充分維持でき、接続余長の取り扱い並びに配線工事の安全簡便化できるようにした。
【0015】
特に、本発明では、ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに設けた支持線取付具が、先端部に支持線を受ける抱持片と締め付けネジとからなる固着部を備え、前記支持線に係脱自在に吊下げ保持され、余長ケーブル部分を収納することと、該余長ケーブル把持具において、ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに設けた一対のフック係止片にフックをそれぞれ回動自在に備えて、該フックに巻き丸めたケーブルを抱持し、ケーブル巻きの円周を整理して収納するようにするのがよい。
【0016】
前記ハンガーを外しケーブル把持部においてケーブル把持スペーサの弾性把持部材の内側にケーブル取付位置があり、弾性把持部材を嵌めたケーブルを取付片で締め付け固定することができ、取扱い作業が簡便化できるし、同じエリアを通過する余長ケーブル把持具により、光ケーブルや屋外線のほかドロップケーブルを離して配線処理し、作業性を良好にすることが好ましい。
【0017】
この場合、合成ゴムからなる前記弾性把持部材を取付片によって挟圧配備する際に、前記取付片が、湾曲部の両端に折り曲げ支片を備え、一方の支片を前記ケーブル支持プレートに形成した挿入孔に嵌入保持され、或いは開閉自在に連結されて脱落防止構造として、他方の支片をケーブル支持プレートに固定ネジによって取り外し自在に固着することで、ケーブル支持用のケーブル支持プレートへの取付け部品が弾性把持部材を除いて脱落しないで取り扱われ、作業での安全性を高める配慮がされている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、架空でのケーブル余長の巻き付けケーブルを収めるのに、ケーブルの余長部分を余長ケーブル把持具のケーブル把持部によって巻回支持して、該ケーブル把持部に設けた弾性把持部を介してケーブルを繰り出し自在に支持すると共に、円形状または楕円形状に巻き丸めた余長ケーブルの巻回ケーブルをケーブル収納フックによって抱持して所定の地上高さを保って架空に保持させたことにより、ケーブルの把持力を一定にして把持することができケーブル及び心線に損傷を与えず、引っ張り強度の保証を確実化して信号伝送特性を充分維持できるほか、接続余長の取り扱い並びに配線工事の安全簡便化をはかれ、ケーブルの引っ張り力が一定範囲を越えた際に、滑って繰り出すことができてケーブル及び心線に損傷が生じないし、引っ張り強度の保証を確実化して信号伝送特性を充分維持できるほか、接続余長の取り扱い並びに配線工事の安全簡便化をはかり、ケーブル接続余長の信頼性を高めることができる。
また、本発明では、ケーブルの余長部分の端数をケーブル余長収納具に調整収納できるので、ケーブル余長収納の管理保安が容易であるし、組立て作業も簡便に行なうことができ、安全なケーブル把持具を構成簡単で、製造コストも安価な形態で提供できる。
【0019】
さらに本発明のケーブル余長把持システムでのケーブル把持具では、前記ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに所定のケーブル外径を確保するケーブル支持アームを回動自在に設けると共に、ケーブル収納フックを回動自在に配備するか、或いは支持線取付具または電柱支持部材に固定する取付部材を着脱自在に設けられ、巻回余長部分を結束バンド等によって固定する支持フックを備えてケーブル余長部分を収納することにより、接続余長の取り扱い並びに配線工事の安全簡便化がはかられる。
【0020】
本発明は、前記ケーブル把持部が、弾性把持部材を圧接する取付片を前記余長ケーブル把持具のケーブル支持プレートに着脱自在に備えられ、固定ネジによって取り外し自在に固着したことにより、片側または両側のケーブル余長止めを緩め、ケーブルを外すだけで一巻長ごと延ばすことやケーブル収納ができ、スパイラルハンガー内の他のケーブルに損傷を与えず取り扱いが簡便で、ケーブル余長の巻き付けケーブルを収めるのに、ケーブルの把持力を一定にして把持することができるため、引っ張り強度の保証を確実化するし、接続余長の取り扱い並びに配線工事の安全簡便化がはかられ作業性を大幅に向上できる。
【0021】
しかも、本発明の余長ケーブル把持具では、電柱間のどの位置でも組立てが可能で、組立て時にいずれの作業員が施工しても均一で信頼性が得られると共に、配線工事作業も容易であって信頼性を大幅に高めることができ、取り扱いも簡便で安全な形態でケーブル余長の収納ができるケーブル余長把持システムとすることができる。
【0022】
また、本発明はケーブルを余長ケーブル把持具に挿通してケーブルの余長部分を円形または楕円形状に巻き付けて余長ケーブル把持具に支持し、該余長ケーブル把持具または余長ケーブル把持具の吊線固定具に設けた支持部材に結束バンドによって固定してケーブルの線条の地上高さを調整して収納することが容易にできるし、両側のケーブル余長止めを緩め、ケーブルを外すだけで一巻長ごと延ばすことやケーブル収納ができると共に、ケーブル心線の曲げ劣化をなくし規定されている最小曲率半径が維持でき、しかもケーブルの把持力を一定にして把持することができ、ケーブルの引っ張り力が一定範囲を越えた際に滑って繰り出して、ケーブル及び心線に損傷を与えず、ケーブルの引っ張り作用に安全に対応できて引っ張り強度の保証をも確実化すると共に、余長ケーブル把持具の配置をも移動でき電柱との取付けが自在となって取扱い簡便化できて作業性を大幅に向上できるほか、ケーブル余長の巻き付けケーブルを安全に保持できる。
【0023】
特に、本発明では、ケーブルの接続を地上で行う際に、接続に必要なケーブルの余長を取って配線し、該ケーブルの余長部分を弾性把持部を介して繰り出し自在に挿通受支させる余長ケーブル把持具により、ケーブルの余長部分を支持線または吊り線或いは電柱に設けた支持部材に取付具を介して固定ネジによって固定してケーブルの余長部分の端数を余長収納具に調整収納することで、固定ネジを弛め締めつければ設定位置の変更が簡単にでき、しかも電柱支持部材も電柱固定アームを介してステンレスバンド等の電柱固定バンドで電柱取付けも容易にできるようになり、これら電柱支持部材によって電柱に巻き付け余長ケーブルを取付ければ、横触れがなく確実で安全に架空に保持できる。
【0024】
さらに、本発明では、前記ケーブル把持部のベースとなるケーブル支持プレートとしても、配線ケーブル支持用の支持線に固定するハンガーを締め付けネジによって着脱自在に備えられると共に、余長ケーブル把持具、ケーブルや屋外線のほかドロップケーブルを分離通過させるためにケーブル支持アームを余長ケーブル把持具のベースに備えると、SSWケーブル(自己支持型ケーブル)に取り付ける場合に、弾性把持部材を嵌めたケーブルを取付片で締め付け固定することができ、取扱い作業が簡便化できるし、同じエリアを通過する余長ケーブル把持具により光ケーブルや屋外線のほかドロップケーブルを離して配線処理でき、作業性をも良好にすることができる。
【0025】
また、本発明の光ケーブル余長把持システムにおいて、余長ケーブル把持具が、前記ケーブル支持プレートに支持線取付具または電柱支持部材に固定する取付部材を着脱自在に設けたものからなり、鉤部で連結する吊上ガイドによってケーブル余長部分を収納保持することと、余長ケーブル把持具が、ケーブルを入れ込む挿入口のある略コ字状に形成されたハンガーを用い、該ハンガーに設けた長溝にケーブル支持プレートを摺動自在に備えて前記ケーブル挿入口を拡縮するものであって、前記ケーブル支持プレートに備えた余長ケーブル把持具に挿通したケーブルの余長部分を円形状または楕円形状に旋回して巻き付けた余長ケーブルの地上高さを調節することができ、巻き丸めたケーブルを抱持してケーブル巻きの円周を整理して収納が容易であり、しかも電柱固定アームの取扱いを簡便化して作業性の向上を図ることができて、余長ケーブルの安全性確保が容易にできる。
【0026】
本発明の余長ケーブル把持具でのケーブル把持部では、前記弾性把持部材を取付片によって挟圧配備する際に、前記取付片が、湾曲部の両端に折り曲げ支片を備え、一方の支片を前記ケーブル支持プレートに形成した挿入孔に嵌入保持され、或いは開閉自在に連結されていて、他方の支片をケーブル支持プレートに固定ネジによって取り外し自在に固着することで、前記余長ケーブル把持具の取付け部品が弾性把持部材を除いて脱落防止構造なっているので、部品脱落の虞れがなく取扱作業での安全性を容易に高めることができる。
また、ケーブル支持プレートに設けた一対のフック止め片にフックをそれぞれ回動自在に備えて、該フックに巻き丸めたケーブルを抱持し、吊上ガイドによってケーブル巻きの円周を整理して収納することが容易であり、ケーブルの線条の地上高さの調整が楽にできケーブル余長収納の管理保安が容易であるし、配線工事の処理をも容易に行え作業性の向上と、使用性の向上とに寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
この発明に係るケーブルの余長部分を把持するシステムにおいて、第1実施例を図1〜図7の例を用いて説明すると、配線されるケーブルCの余長部分Cを挿通受支させて係離自在に係止しうる余長ケーブル把持具1により、ケーブルCの余長部分Cを配線ケーブル支持用の鋼撚り線からなる支持線Aに支持するか(図1)或いは電柱Dに電柱固定バンドBで電柱固定アームBを介して設けた電柱支持部材Bに固定する(図7)。
この余長ケーブル把持具1は、前記ケーブルCに沿ったケーブル支持プレート2に、配線ケーブル支持用の支持線Aまたは電柱支持部材Bに固定するハンガー3と、ケーブルの余長部分を弾性把持部5を介して繰り出し自在に挿通受支させるケーブル把持部4とを備え、該ケーブル把持部4によってケーブルCの余長部分Cを巻回支持すると共に、円形状または楕円形状に巻き丸めた余長ケーブルの巻回ケーブルをケーブル収納フック8によって抱持して所定の地上高さを保って架空に保持させる。
【0028】
前記ケーブル把持部4は、ケーブル支持プレート2の両端にケーブルの二点を把持するケーブル把持部として設けられ、該ケーブル把持部4にケーブルCに圧接するように把持力50〜90kg好ましくは60〜80kgを持つ合成ゴムからなるゴムスペーサの弾性把持部材5を取付片6によって挟圧配備して、前記ケーブルCを圧接保持して円形状または楕円形状に巻き丸めた余長ケーブル支持する。例えば、前記ケーブル支持プレート2の両端にケーブル把持部4を設けて、ケーブル接続余長の巻き取りが最小曲率半径300mm以上で所定のケーブル外径を確保するようにケーブルCの把持力を一定にして把持することができるようにし、ケーブルの引っ張り力が一定範囲を越えた際に滑って繰り出すことで、ケーブル及び心線に損傷を与えずに、引っ張り強度の保証を確実化するようにすることもでき、そのケーブル取付位置は、支持線A或いは電柱Dの取付など立地条件に応じて選んで設置できる。
【0029】
この場合、前記ハンガー3は図2に示すようにコ字状部3が形成されるようにコ字状に折り曲げた支持板から構成し、ケーブルCを支承するスパイラルハンガーに入っている他のケーブルをコ字状部3に入れて抱持できるようにしてあり、このコ字状部3に入れる口を開らくようにケーブル支持プレート2が配備されていて、ハンガー3の先端には固定部材31をボルト32とナット33との取付部材によって連結配備し、該固定部材31を介して支持線Aまたは電柱支持部材Bの電柱固定アームBに固着され、またハンガー3に形成された長溝30に前記ケーブル支持プレート2に突設されたボルト21を挿通させてナット22で締めつけ固定するのがよく、このボルト21のナット22を弛めてケーブル支持プレート2を上下方向に移動して固定でき高さ方向の調節ができるようにしてある。(図4)
なお、前記ハンガー3は、電柱支持部材Bの電柱固定アームBに向きを換えて連結固定できるようにしてあるが、電柱支持部材Bを必要としない場合には支持線Aに直接固定する形態のものを選んで着脱自在に設けてあり、いずれも前記ケーブル支持プレート2上部中央位置にボルトナットの固定部材で連結して用いられる。
【0030】
また、図2および図3例のごとく前記ケーブルCの支持を確実にするために、前記ケーブル支持プレート2には中央部下方にフック取付片8を一対間隔をあけて設け、各フック取付片8に下方から上方に延長したフック片からなるケーブル収納フック8を回動自在に夫々備えて、さらにケーブル支持プレート2の中央部上方にフック止め片7をボルト24とナット25の取付部材によって連結して、該フック止め片7の両端に形成した係止凹部7にケーブル収納フック8の先端を係止するようになっている。
このケーブル収納フック8は、下から上に展開して巻き丸めたケーブルをケーブル収納フック8に乗せて収納したのち、ケーブル支持プレート2に回動自在に設けたケーブル支持アーム9によって、巻き付け余長部分Cの所定の外径を有するケーブル巻きの円周を把手部9に整理して止めることができ、左右に振り分けたケーブル接続余長を支えて、ケーブル巻き取りの最小曲率半径の外径を確保しやすくし、ケーブルの繰り出しの際に案内をも兼ねケーブルが損傷を生じないようにするのがよい。
【0031】
なお、前記ケーブル支持アーム9としては、金属などの支持線を用いその先端に引っ掛け鉤状またはスパイラル状の把手部9を備え、前記ケーブル支持プレート2に突出形成した位置決めストッパ10に保持されていて、巻き付け余長部分Cの円周の二点を支持するようにするのがよい。
さらに、このケーブル支持アーム9は、前記ケーブル支持プレート2の両端に形成した挿入孔11から装着し回動自在に枢支して、内側に変位して前記ケーブル支持プレート2に沿わせることができ、折り畳まれて梱包が楽にできるようになっていて、外側に展開位置すると、位置決めストッパ10に当たって巻き付け余長部分Cの最小曲率半径を保持できるようになっている。〔図1および図3〕
【0032】
さらに、前記ケーブル把持部4では、ゴムスペーサとなる円筒形の弾性把持部材5を圧接する取付片6を前記ケーブル支持プレート2に形成した挿入孔12或いは切り溝に挿脱自在に備え、取付ネジ6によって取り外し自在に固着して、弾性把持部材5を挟圧してケーブルの外周を圧着し、把持力50〜90kgを持つて、ケーブル止めとするのがよい。
この場合、前記取付片6は図5に示すように弾性把持部材5を挿入する湾曲部を持ち、前記ケーブル支持プレート2に形成した前記挿入孔12への差し込み片6を下端に備え、前記取付ネジ6の挿入孔6と折り曲げ補強凸部6とを形成したものを用いるのが取扱簡便でよい。
さらに、前記弾性把持部材5としては、弾性に優れた加硫ゴムなどの合成ゴムや、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、オレフィン系のエチレン−プロピレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどの高性能特殊ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)が選んで用いられる。
特に、この弾性把持部材5は、引張強度50〜300kgf/cmで、(ショアー硬度20〜90)を用いるが、好ましくは引張応力の大きい硬質ゴム(ショアー硬度40〜70)を用い、即ち引張応力100%・50〜90kgf/cm好ましくは60〜70kgf/cmの熱可塑性ゴム組成物、例えば石油系軟化材を含むEEPM、EPDM、シリコーンゴム、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴム或いはフッソゴムなどの硬度(Hs)のもの、さらに詳しくは比重1.0〜1.05、引張強度60.0kgf/cmで、圧縮永久歪(70℃×22H)は、50%以下例えば45.0%のものを用いケーブルの外周の摩擦抵抗によって所定の引っ張り強度に耐え、弾性変形してケーブルを密着して把持力50〜90kgを持つて把持性を確保できるようにするのがよい。
【0033】
なお、この弾性把持部材5は、前記ケーブルCの外周面に接触する挿通孔5を貫通して有する円筒形合成ゴムからなり、ケーブルCを挿入する切れ目5を挿通孔5に連通して設け、前記ケーブル把持部4に着脱自在に嵌挿してケーブルCの挿通把持が容易にできるようにしてある。
このように、前記ケーブル把持部4は、硬度20〜90の合成ゴムから構成された弾性把持部材5を備えたものであって、ケーブルを貫通させる挿通孔5のある円筒体が二つ割りの切れ目5を外周から前記挿通孔5まで形成しケーブルを挿入しやすくしてあるが、このケーブル挿通路としては、ケーブルを密着して把持力50〜90kg好ましくは60〜80kgを持って把持できるように、見かけの接触面積の大小並びに、垂直荷重の大小を適宜配慮して構成される。
【0034】
さらに前記ハンガー3は、先端部に支持線Aを受ける抱持片35と、ボルト32、ナット33とからなる固着部によって固定部材31を備え、前記支持線Aに係脱自在に吊り下げ保持される固定構成からなるもので、前記ベース2を配線されるケーブルCに沿って位置するようにすることもできる。
この実施例の余長ケーブル把持具1では、接続に必要なケーブルの余長を取って配線する際に、第1実施例の図4乃至図7の具体例のように夫々のハンガー3の取付部材形態を用いて電柱D或いは支持線Aに沿って着脱自在にセットされ、電柱間のどの位置でも組立てが可能で、組立て時にいずれの作業員が施工しても均一で信頼性が得られる。
また、第2実施例のようにハンガー3を介して支持線A或いは電柱支持部材Bに固着したり(図8)、第3実施例のようにケーブルCの余長部分Cの地上高さを上げるのに支持線Aに巻き付けたスパイラル吊り線Aにて配線したケーブルCより上方に上方に余長部分を弛ませて余長ケーブル把持具1を位置したり(図9)、第4実施例のようにケーブルCを支持線Aに沿わせて配線したケーブルCより上方に余長ケーブル把持具1を位置した例)や電柱Dの前方に余長部分を弛ませて余長ケーブル把持具1を位置した例(図10)或いは第5実施例のように支持線Aに巻き付けたスパイラル吊り線Aにて配線した光ケーブルCの余長ケーブル把持具1をハンガー3を支持線Aに固定した例(図11)で、余長ケーブル把持具の配置をも移動でき電柱との取付けが自在となっている。この場合、第6実施例のように前記ケーブルCの余長部分Cの地上高さを上げるのにケーブルCの余長部分Cを上方に上げ支持線Aに結束バンド(図示せず)で固定してもよい。(図12)
この余長ケーブル把持具1は、前記ハンガー3によって支持線Aに定着できるので、該支持線A又は支持線Aに備えたスパイラル支持線A内の他の光ケーブルCに損傷を与えないで安全に用いられ、しかも電柱D間のどこの位置でも組立てが可能で、バケット車上での作業で一人作業も簡便にできる。
【0035】
さらに、ケーブルCの余長部分Cの地上高さを上げるのに、余長部分Cの巻き上げを楕円形状にして必要な余長の長さを確保して、該余長部分Cの長巾を配線方向に沿わせて余長部分Cの下方部分を余長ケーブル把持具1のケーブル支持プレート2に設けたボルトに回動自在に係合した吊上ガイド13によって支持して、必要に応じ結束バンド(図示せず)で固定するのもよい。
この吊上ガイド13としては、金属などの支持線を用い先端にある鉤部或いはフック部で着脱自在に連結し、ケーブルを収納できるスパイラル部14を備え、前記ケーブル支持プレート2の取付孔23に固着したボルトに回動自在に係合するのがよい。
また、ケーブルCの余長部分Cを楕円形状に旋回して巻き付けて余長ケーブル把持具1に支持するに際して、余長ケーブル把持具1に設けた吊上ガイド13によって楕円形にした余長部分Cの短巾を配線方向に沿わせて長巾を支持線Aの上方に持ち上げて支持してケーブルCの余長部分Cの地上高さを上げることもできる。(図1)
いずれにしても、前記ケーブルCを余長ケーブル把持具1に挿通してケーブルCの余長部分Cを円形または楕円形状に旋回して巻き付けて余長ケーブル把持具1に支持し、該余長ケーブル把持具1または余長ケーブル把持具1の吊線固定具に設けた支持部材によって固定してケーブルCの余長部分Cの地上高さを調整して収納する。
【0036】
第2実施例乃至第6実施例では、余長ケーブル把持具1としては、前記ケーブルCに沿ったケーブル支持プレート2に、配線ケーブル支持用の支持線Aまたは電柱支持部材Bに固定するハンガー3と、ケーブルの余長部分を弾性把持部5を介して繰り出し自在に挿通受支させるケーブル把持部4とを備え、該ケーブル把持部4によってケーブルCの余長部分Cを巻回支持すると共に、円形状または楕円形状に巻き丸めた余長ケーブルの巻回ケーブルをケーブル収納フック8によって抱持して所定の地上高さを保って架空に保持させる。
なお、前記ケーブルCの接続余長処理手順の一例としては、配線点となる予定の電柱Dに支持線固定具Eで配線されている支持線A或いは電柱Dに固定された電柱固定部材Bに余長ケーブル把持具1のケーブル支持プレート2をハンガー3によって取付け、該支持線Aにつり下げられている配線ケーブルCの外周に弾性把持部材5を二箇所挿入して、該弾性把持部材5,5をそれぞれケーブル把持部4において取付片6によって緩めた状態で仮止めしたのち、ケーブル把持部4間のケーブルの位置で所定量のケーブル接続余長を湾曲させた余長部分Cとするか、或いは巻き取りを半径300mm以上で、かつケーブル外径を確保しながら、略8の字を描くように巻き込んで巻き付けケーブルCとして、この弛ませた湾曲ケーブルの余長部分C或いは巻き付けケーブルCの円周の二点をケーブル把持部4で、前記取付片6を締めつけ配線ケーブルCを前記弾性把持部材5内に挟持固定する。〔図8および図9〕
【0037】
この弾性把持部材5は、把持力50〜90kgまでは把持し、それ以上超えた時にケーブル余長は滑りケーブル及び心線に損傷を与えることなく安全に用いられる。また、配線作業において片側或いは両側のケーブル余長止めの前記ケーブル把持部4の取付片6を緩めれば、余長ケーブルを必要長伸ばすことができる。
また、前記余長ケーブル把持具1にケーブル支持アーム9を設けて、余長部分Cを巻き付けた場合には、この巻き付けケーブルCは、最小曲率半径の300mmの寸法が容易に確保できて、光ケーブル心線の曲げ劣化をなくすことができるし、組立て時にどの作業員が組み立てても同じ形態に施工でき信頼性が得られる。
【0038】
前記余長ケーブル把持具1のケーブル支持プレート2では、単一部材でケーブル把持部4を折り曲げ構成し、該ケーブル把持部4に弾性把持部材5を組み込み別部材の取付片6を着脱自在に備えたもので、さらにプレート上部にハンガー3と、必要に応じベース両側にケーブル支持アーム9とを備え、ケーブルCを弾性把持部材5に挿通して挟圧保持するようにしてある。
この場合、前記取付片6はケーブル支持プレート2とは別部材で、弾性把持部材5を嵌入しうる湾曲部の両端に折り曲げ支片をそれぞれ備え、その一方の支片を前記ケーブル支持プレート2に形成した挿入孔に嵌入支持し、他方の支片をケーブル支持プレート2に固定子によって取り外し自在に固着し、前記弾性把持部材5を確実に挟み込んでケーブルCを圧着するようにしてある。
また、第2実施例ではケーブル支持プレート2の中央部下方にブラケットのフック係止片7を一対間隔をあけて設け、各フック係止片7に下方から上方に延長したケーブル収納フック8を回動自在に夫々備えて、該フック8を下から上に展開して巻き丸めたケーブルをフック8に抱え込んで、ケーブル巻きの円周を整理して止めることができ、左右に振り分けたケーブル接続余長を支えて、ケーブル巻き取りの最小曲率半径の外径を確保しやすくし、ケーブルの繰り出しの際に案内をも兼ねケーブルの損傷が生じないようにするのがよい。(図8)
【0039】
その他の構成は、第1実施例と同様で前記弾性把持部材5により把持力50〜90kgまでは把持し、それ以上超えた時にケーブル余長は滑りケーブル及び心線に損傷を与えることなく安全に用いられる構成としてある。
さらに、前記ケーブル支持アーム9は、その先端に引っ掛け鉤状の把手部9を備え、接続余長の巻き取りが最小曲率半径300mm以上の所定の曲率半径寸法が容易に確保できるように、ケーブル支持プレート2内にケーブル余長を巻き付けて納めることができるようにしてあり、組立て時にいずれの作業員が施工しても均一で信頼性が得られるようになっている。
【0040】
図に示す各実施例の余長ケーブル把持具1では、ゴムスペーサとなる弾性把持部材5を除いて前記ケーブル支持プレート2への取付け部品が、脱落防止構造となっていて、ケーブル支持プレート2が電柱支持部材Bに沿って摺動自在で且つ、回動自在に付設することもでき、作業者の昇降時に電柱固定金具などが邪魔にならないようにケーブル留め具本体から電柱Dまでの距離を最低確保したり、余長ケーブル把持具1の配置を移動できて電柱Dとの取付けが自在となって取扱い簡便化できるようにして作業性を大幅に向上させるほか、ケーブル余長の巻き付けケーブルCを安全に支持線Aに保持できるように構成することもできる。
【0041】
特に、前記電柱固定支持部材Bが、長溝を有し或いは断面略U字形のアームからなり、そのガイドレールにスライダを嵌挿して余長ケーブル把持具1を摺動自在で、かつ回動自在に配備したことで、固定ネジを緩めることにより、余長ケーブル把持具1を左右に取り替えて移動できるし、ガイドレールに沿ってスライドでき、位置決めしてから固定ネジを締めつければ電柱Dまでの距離の調整も簡単にでき、しかも電柱固定支持部材Bの一端はステンレスバンド等の自在バンドの電柱固定バンドBで電柱取付けも容易にできるようにしてもよい。
【0042】
また、前記電柱固定部材Bにあるボルトのナットを緩めることにより、余長ケーブル把持具1をスライドさせたり、ボルトを中心に180度回転すれば余長ケーブル把持具1を変位させたり、必要に応じて固定ネジを外して取り替え使用することもできる。
さらに電柱Dまでの距離の調整も、固定ネジを緩めスライドして位置調節したのちに、緩めた固定ネジを締めつければ簡単に所定位置に固定でき、しかもアームの先端は折曲片として折り曲げてあるのでステンレスバンド等で電柱取付けも容易にできるようになり、支持線Aに余長部分Cを取付ければ、風が吹いても横触れがなく確実で安全に架空に保持できる。
【0043】
さらに、図8〜12に示す各実施例の余長ケーブル把持具1では、前記ケーブル支持プレート2としても、電柱固定部材B或いは配線ケーブル支持用の支持線Aに固定するハンガー3を取付けネジ37によって着脱自在に備えられているので、余長ケーブル把持具1を取り付ける場合に、ハンガー3を外して各種の配線形態に応じたタイプに容易にすることができ、取扱い作業が簡便化できるし、同じエリアを通過する余長ケーブル把持具、ケーブルや屋外線のほかドロップケーブルを離して配線処理できて作業性を良好にすることができる。
【0044】
また、この余長ケーブル把持具1において、前記ケーブル支持プレート2のケーブル把持部4に取り付けられる前記取付片6としては、前例と同様に湾曲部の両端に折り曲げ支片を備え、一方の支片を前記ケーブル支持プレート2に形成した挿入孔に嵌入保持され或いは開閉自在に連結させて脱落防止構造にして、他方の支片を固定ネジによって取り外し自在に固着し、該固定ネジによってスペーサとなる前記弾性把持部材5を挟圧するのが、取付け部品が弾性把持部材を除いて脱落しないで取り扱われそれらの作業での安全性を高められる。
【0045】
なお、これらの実施例で用いられる前記ケーブルCに沿ったケーブル支持プレート2に設けた支持線取付具としてのハンガー3としては、先端部に支持線Aを受ける抱持片35と締め付けネジ36とからなる固着部を備え、前記支持線Aに係脱自在に吊下げ保持されて余長部分Cを収納するのがよく、他端にケーブル支持プレート2に固定する取付ネジ37を挿脱する取付部を設けのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施例を示す余長ケーブル把持具の一使用状態の側面図である。
【図2】図1のX−X線における拡大縦断面図である。
【図3】図2の例で用いられるケーブル支持プレートを示し、(a)はその平面図、(b)はその側面図、(c)はその底面図である。
【図4】図2の例で用いられるハンガーを示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図5】図2の例で用いられる取付片を示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図6】図2の例で用いられるフック係止片を示し、(a)はその平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図である。
【図7】図2の例で用いられる余長ケーブル把持具を電柱に支持するための固定支持部材を示す各部材分離状態の斜面図である。
【図8】本発明の第2実施例を示す余長ケーブル把持具の使用状態の一部分離斜視図である。
【図9】本発明の第3実施例を示す余長ケーブル把持具の使用状態で、ケーブルの余長部分の地上高さを上げた一例を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4実施例を示す余長ケーブル把持具の使用状態で、ケーブルの余長部分の配置例を示す斜視図である。
【図11】本発明の第5実施例を示す余長ケーブル把持具の使用状態の斜視図である。
【図12】本発明の第6実施例を示す余長ケーブル把持具の使用状態で、ケーブルの余長部分の地上高さを上げた一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
A 支持線
スパイラル吊り線
B 電柱支持部材
電柱固定アーム
電柱固定バンド
C 光ケーブル
余長部分
D 電柱
E 支持線固定具
1 余長ケーブル把持具
2 ケーブル支持プレート
3 ハンガー
係止片
係止孔
コ字状部
取付片
4 ケーブル把持部
5 弾性把持部材
挿通孔
切れ目
6 取付片
差し込み片
係止孔
コ字状部
取付ネジ
7 フック止め片
8 フック
フック止め片
9 ケーブル支持アーム
把手部
10 位置決めストッパ
11 アーム取付孔
12 挿入孔
13 吊下ガイド
14 スパイラル部
20 フック
21 結束バンド
22 支片
23 結束バンド
24 ボルト
25 ナット
26 ボルト孔
27 取付孔
30 長溝
31 回転止め部材
32 ボルト
33 ナット
34 スライダ
35 抱持片
36 締め付けネジ
37 取付ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの接続を地上で行う際に、接続に必要なケーブルの余長を取って配線し、該ケーブルの余長部分を挿通受支させて係離自在に係止しうる余長ケーブル把持具により、ケーブルの余長部分を支持線または吊り線或いは電柱に設けた支持部材に固定する架空配線システムにおいて、前記ケーブルの余長部分を余長ケーブル把持具のケーブル把持部によって巻回支持して、該ケーブル把持部に設けた弾性把持部を介してケーブルを繰り出し自在に支持すると共に、円形状または楕円形状に巻き丸めた余長ケーブルの巻回ケーブルをケーブル収納フックによって抱持して所定の地上高さを保って架空に保持させたことを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項2】
請求項1記載のケーブル余長把持システムにおいて、前記ケーブルに沿った余長ケーブル把持具のケーブル支持プレートに、配線ケーブル支持用の支持線に固定するハンガーと、ケーブルの二点を把持するケーブル把持部とを設け、該ケーブル把持部にゴムスペーサの弾性把持部材を取付片によって挟圧配備して、前記配線ケーブルを圧接保持する余長ケーブル把持具によってケーブルの余長部分を固定することを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のケーブル余長把持システムにおいて、ケーブルの接続を地上で行う際に、接続に必要なケーブルの余長を取って配線し、該ケーブルの余長部分を弾性把持部を介して繰り出し自在に挿通受支させる余長ケーブル把持具により、ケーブルの余長部分を支持線または吊り線或いは電柱に設けた支持部材に取付具を介して固定してケーブルの余長部分の端数を余長収納具に調整収納することを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項4】
請求項3記載のケーブル余長把持システムにおいて、前記余長ケーブル把持具が前記ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに所定のケーブル外径を確保するケーブル支持アームを回動自在に設けると共に、ケーブル収納フックを回動自在に配備してケーブル余長部分を収納保持することを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載のケーブル余長把持システムにおいて、余長ケーブル把持具が、前記ケーブル支持プレートに支持線取付具または電柱支持部材に固定する取付部材を着脱自在に設けたものからなり、鉤部で連結する吊上ガイドによってケーブル余長部分を収納保持することを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項6】
請求項3または請求項4記載のケーブル余長把持システムにおいて、余長ケーブル把持具が、ケーブルを入れ込む挿入口のある略コ字状に形成されたハンガーを用い、該ハンガーに設けた長溝にケーブル支持プレートを摺動自在に備えて前記ケーブル挿入口を拡縮するものであって、前記ケーブル支持プレートに備えた余長ケーブル把持具に挿通したケーブルの余長部分を円形状または楕円形状に旋回して巻き付けた余長ケーブルの地上高さを調節することを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項7】
請求項6記載のケーブル余長把持システムにおいて、ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに所定のケーブル外径を確保するケーブル支持アームを回動自在に備え、該ケーブル支持アームの先端にスパイラル状または引っ掛け鉤状の把手部を備え、前記ケーブル支持プレートに形成した位置決めストッパに保持されて、巻き付けた余長ケーブルの円周の一点を支持し、ケーブルの線条の地上高さを調整して収納することを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項8】
請求項6または請求項7記載のケーブル余長把持システムにおいて、前記ケーブル把持部が、ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに円筒形の弾性把持部材を圧接するフランジ付き取付片を備え、該取付片を介して固定ネジによって弾性把持部材のスペーサを圧接固着しケーブルの線条の地上高さを調整して収納することを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項9】
請求項8記載のケーブル余長把持システムにおいて、前記ケーブル把持部の前記取付片が、両側に折り曲げ支片を備え、一方の支片をケーブル支持プレートに形成した挿入孔に嵌入支持され、他方の支片をケーブル支持プレートに固定ネジによって取り外し自在に固着してスペーサを介して余長ケーブル部分を収納することを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項10】
請求項8または請求項9記載のケーブル余長把持システムにおいて、ケーブルに沿ったケーブル支持プレート或いはハンガーに設けた支持線取付具が、先端部に支持線を受ける抱持片と締め付けネジとからなる固着部を備え、前記支持線に係脱自在に吊下げ保持され、余長ケーブル部分を収納することを特徴とするケーブル余長把持システム。
【請求項11】
請求項10記載のケーブル余長把持システムにおいて、ケーブルに沿ったケーブル支持プレートに設けた一対のフック止め片にフックをそれぞれ回動自在に備えて、該フック片に巻き丸めたケーブルを抱持し、吊上ガイドによってケーブル巻きの円周を整理して収納することを特徴とするケーブル余長把持システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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