作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置
【課題】ロボットの動作制限を解消しつつ実施する作業種類の制約を抑制できる作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置を提供する。
【解決手段】ツールスタンド3に待機保持され且つロボット4の手首に選択的に着脱される作業ツールTと作業ツール用制御盤5とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体としてのケーブルガイド7の配索装置である。前記ツールスタンド3に回転可能に配置され前記作業ツールTに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラム8を備える。そして、前記回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールTの移動に伴い回転ドラム8の前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する付勢手段としてのスプリングバランサ12を備える。
【解決手段】ツールスタンド3に待機保持され且つロボット4の手首に選択的に着脱される作業ツールTと作業ツール用制御盤5とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体としてのケーブルガイド7の配索装置である。前記ツールスタンド3に回転可能に配置され前記作業ツールTに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラム8を備える。そして、前記回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールTの移動に伴い回転ドラム8の前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する付勢手段としてのスプリングバランサ12を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットやマニピュレータにより選択的に使用される作業ツールに付随する配線及び/又は配管を含む作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からロボットやマニピュレータ(以下では、ロボットと総称する)により選択的に使用される作業ツールに付随する配線・配管を含む線条体はロボットのアーム内に内蔵されたりアームに沿わせたりして配索されている。しかしながら、このような配索方法においては、スペース的に配索する線条体の種類・数量が限定されるため、ロボットにより選択させる作業ツールの種類・数量を最小限度に限定する必要があり、多種類の作業を、ロボットを介して実行させるための制約となっている。
【0003】
この課題を解決する方法として、作業ツールの動力源を二次電池として作業ツールと一体化させて作業ツールへの電源ケーブルの配索を廃止するものが提案されている(特許文献1参照)。これは、作業ツールに付属する二次電池の蓄電量が低下された場合には取外して固定側の充電器に装着させると共に新たに充電済みの二次電池を作業ツールに取付ける自動交換機構を備えて、作業を継続可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−175487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例では、作業ツールへの線条体の配索によるロボットの動作制限が解消できるものの、電力を使用する作業ツールに限定されるため、作業資材をツールに供給しつつなされる作業等には適用できず、実施する作業種類が限定される課題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ロボットの動作制限を解消しつつ実施する作業種類の制約を抑制できる作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ツールスタンドに待機保持され且つロボットの手首に選択的に着脱される作業ツールと作業ツール用制御盤とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体の配索装置である。前記ツールスタンドに回転可能に配置され前記作業ツールに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラムを備える。そして、前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールの移動に伴い回転ドラムの前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する付勢手段を備える。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明では、回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールの移動に伴い回転ドラムの前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する。このため、ロボットの動作に伴い、線条体が回転ドラムにガイドされながら引き出されたり引き戻されたりする際、回転ドラムとロボットとの間の線条体のたるみがなくなる。結果として、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることを防止するようにロボットの動作に制限を与えたりすることがなく、また、線条体の配索により作業ツールにより実施する作業種類の制約を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置により組立てる電気自動車用インバータの構成を示す概略図。
【図2】本実施形態の作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置の平面図。
【図3】作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置の正面図。
【図4】作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置の左側面図。
【図5】作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置の右側面図。
【図6】作業ツール用線条体の配索装置の側面図。
【図7】作業ツール用線条体の配索装置の背面図。
【図8】作業ツール用線条体の配索装置に使用する回転ドラムの側面図(A)及び背面図(B)。
【図9】ロボットの手首を示す側面図。
【図10】ハンドの側面図。
【図11】ツールの代表例としてのグリス塗布ツールの側面図。
【図12】ハンド及びツールに使用されるプレートの正面図。
【図13】グリス塗布ツール及びプレートの正面図。
【図14】ツールスタンドの要部を示す背面図。
【図15】ツールスタンドに設けられる上下受け駒の側面図。
【図16】上部受け駒の平面図。
【図17】下部受け駒の平面図。
【図18】上下受け駒に保持されたプレートを示す背面図。
【図19】上下受け駒に保持されたプレートを示す側面図。
【図20】上部受け駒に保持されたプレートを示す平面図。
【図21】下部受け駒に保持されたプレートを示す平面図。
【図22】上下受け駒に保持されたプレートが抜き差し可能位置に上昇された状態を示す背面図。
【図23】上下受け駒に保持されたプレートが抜き差し可能位置に上昇された状態を示す側面図。
【図24】ロボットの手首をツールスタンドに保持させたツールに向けて移動させた状態を示す側面図。
【図25】ロボットの手首とツールスタンドに保持させたツールとを連結させた状態を示す側面図。
【図26】ロボットによりツールスタンドに保持させたツールを抜き出した状態を示す側面図。
【図27】図26の拡大側面図。
【図28】ロボットによりツールをワーク上部に引出した状態を示す側面図。
【図29】ロボットによりツールをワーク上部に引出した状態を示す平面図。
【図30】ロボットによりツールをワーク上部に引出した状態を示すツールスタンドの背面図。
【図31】ケーブルガイドの付勢手段の別の実施例を示す説明図。
【図32】ケーブルガイドの付勢手段の更に別の実施例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置を一実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1は本実施形態の作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置により組立てる電気自動車用インバータの構成を示す概略図である。前記電気自動車用インバータは、冷却液を循環して流通させるウォータジャケット組立体W1(WJ_ASSY)上に、インバータ部品を階層状に組上げて構成される。
【0012】
即ち、ウォータジャケット組立体W1の上面に下から、放熱グリスW2(塗布)、絶縁シートW3(積層)、放熱グリスW4(塗布)、パワーモジュールW5(ねじ締め固定)が、この順番に積層・固定される。次いで、ドライバー基板W6(ねじ締め固定、半田付け)が、この順番に積層・固定される。次いで、バスバーW7(取付け)、平滑コンデンサW8(取付け)、モジュールコントロール基板W9(取付け)が、この順番に積層・固定される。以下では、ドライバー基板を「DR基板」と表現し、モジュールコントロール基板を「MC基板」と表現する。
【0013】
図2〜図5は、本実施形態の作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置1を示し、図2は平面図、図3は正面図、図4は左側面図、図5は右側面図である。
【0014】
組立装置1には、パレット搬送用コンベア2により、ワークとしてのウォータジャケット組立体W1、及び、ウォータジャケット組立体W1上に組付ける上記した部品が、前工程から搬送される。パレット搬送用コンベア2には、ワークとしてのウォータジャケット組立体W1が積載固定されるワークパレット2Aと、ウォータジャケット組立体W1上に組付ける部品を積載するキットパレット2Bを、装備している。パレット搬送用コンベア2は、当該組立装置1に対して所定位置で停止され、キットパレット2B上の部品が順次ワークとしてのウォータジャケット組立体W1へ組付けられた後に、これらを次工程に搬送する。
【0015】
この組立装置1は、順次ワークとしてのウォータジャケット組立体W1へ各部品を組付けるための各作業ツールT及びハンドHを保持したツールスタンド3と、作業ツールTおよびハンドHのいずれかを手首先端に着脱して組立作業を実行するロボット4と、を備える。
【0016】
前記ツールスタンド3は、コンベア2を跨って搬送方向上流側に配置された上流側ツールスタンド3Aと、搬送方向下流側に配置された下流側ツールスタンド3Bと、を備える。以下では、個別の上流側及び下流側ツールスタンドを示す場合にはその符号を3A,3Bとし、両者を総称する場合には符号を単に3とする。
そして、上流側ツールスタンド3Aのコンベア2を跨ぐ後方側(図2の上方側、図4の左側)には、パワーモジュールねじ締めツールT2、DR基板ねじ締めツールT3、DR基板組付けハンドH3が脱着可能に装備されている。また、上流側ツールスタンド3Aの同じくコンベア2を跨ぐ前方側(図2の下方側、図4の右側)には、パワーモジュール組付けハンドH2が脱着可能に装備されている。
【0017】
また、下流側ツールスタンド3Bには、図5に示すように、グリス塗布ツールT1、絶縁シート組付けハンドH1、はんだ付けツールT4、が脱着可能に装備されている。以下では、個別のツールを示す場合には符号をT1〜T4とし、ツール全般を示す場合には符号を単にTとする。また、個別のハンドを示す場合には符号をH1〜H3とし、ハンド全般を示す場合には符号を単にHとする。
【0018】
図4,5に示すように、各ツールTには、ツールTを制御する制御盤5と、制御盤5とツールTとを接続する線条体としてのツールケーブル6と、ツールケーブル6のツールT側部分を内蔵して保護するケーブルガイド7と、を備える。ケーブルガイド7は、一端がツールTに連結され、他端がツールスタンド3に連結される。
【0019】
ケーブルガイド7は、図6,7に示すように、ツールスタンド3の上端に配置された回転ドラム8にその中途部が巻掛けられている。そして、ケーブルガイド7の巻掛けられた前方部分の先端部がツールTに固定の取付金具9に連結され、巻掛けられた後方部分が下方に垂らされた後に再び上方に引上げられて、その上端において取付金具10によりツールスタンド3の上端に固定されている。制御盤5から取出されたケーブル6は、ツールスタンド3を構成するフレームに沿って配線され、取付金具10に固定された端部からケーブルガイド7内に挿入され、ツールTに取付金具9で固定されたケーブルガイド7の他端から外に取出され、ツールTへと接続されている。
【0020】
回転ドラム8に巻掛けられたケーブルガイド7の後方部分の下方へU字状に垂らされた下端近傍には中間金具11が固定されており、ツールスタンド3の上下方向中途部に固定して配置されたスプリングバランサ12より引出されたロープ12Aの先端が連結されている。ケーブルガイド7内には、線条体として、上記したケーブル6を挿入するものであるが、圧搾空気や作業資材をツールTに供給する配管を挿入するものであってもよい。
【0021】
スプリングバランサ12は、内蔵する図示しないスプリングにより設定した巻取り力によりロープ12Aを巻取ることでロープを所定の牽引力で引込むよう作動する。そして、ケーブルガイド7の下方へU字状に垂らされた下端近傍の中間金具11を下方へ設定した牽引力により牽引する。
【0022】
中間金具11は、図7に示すように、U字状部分からツールスタンド3上端に向かって折り返された部位に配置されている。このため、ツールTがツールスタンド3に保持されている状態及びロボット4によりツールスタンド3から若干引出された状態においては、回転ドラム8に巻掛けされたケーブルガイド7には牽引力が作用しない状態となっている。このため、ツールTがツールスタンド3から外れることなく、ツールスタンド3に確実に保持される。
【0023】
そして、ツールTがツールスタンド3からある程度引き離されてから、中間金具11がケーブルガイド7により引上げられ、その時点からケーブルガイド7は回転ドラム8の巻掛けた状態で後方側からスプリングバランサ12により緊張される。この緊張により、先端のツールTとの間において引き延ばされた状態となり、その弛みや振れ回りが抑制される。
【0024】
ツールTが組立作業のためにロボット4により引出されるに連れて巻掛けしたケーブルガイド7も引出されるが、スプリングバランサ12により牽引力が付与された状態で引出されることにより、回転ドラム8から引出された領域においても、その弛みや振れ回りが抑制される。
【0025】
前記回転ドラム8は、図8に示すように、ツールスタンド3の上端フレームにベースプレート15を介して取付けられる。ベースプレート15には軸受けユニット16を介して、鉛直方向の軸回りに旋回可能に縦板17が固定され、この縦板17には軸受けユニット18を介して、横方向の軸回りに回転可能に回転ドラム8が固定される。回転ドラム8は、外周に巻掛けられるケーブルガイド7を収容する溝を外周に備え、鉛直方向の軸回りに旋回可能であると共に横方向の軸回りに回転可能に、ツールスタンド3に支持されている。前記鉛直方向の軸受けユニット16の軸心と横方向の軸受けユニット18の軸心とは、図8(A)に示すように、横方向平面内でオフセットしている。なお、19はケーブルガイド7が回転ドラム8の収容溝から脱落しないように規制するガイドローラである。
【0026】
このため、ケーブルガイド7が回転ドラム8に巻き掛けされて、ツールTの移動によりツールT側に引き出されたり、スプリングバランサ12により引き戻されたりする際には、回転ドラム8が横方向の軸受けユニット18回りに回転してケーブルガイド7を案内する。また、ツールTがツールスタンド3から取り出されて空間上を移動する際には、その移動方向に合わせて、鉛直方向の軸受けユニット16回りに回転ドラム8の向きを変えて旋回するので、ケーブルガイド7がスムーズに引き込まれたり引き出されたりするのを助ける。その際、前記鉛直方向の軸受けユニット16の軸心と横方向の軸受けユニット18の軸心とは、横方向平面内でオフセットしているため、上記した回転ドラム8の旋回は、ツールTの水平面内の移動に対して円滑に追随する。
【0027】
ロボット4の手首先端には、図9に示すように、オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20を装備している。そして、ハンドH側(図10参照)及びツールT側(図11参照)には、前記ロボット4の手首先端の本体側アダプタ20に脱着可能な、ハンド側アダプタ21及びツール側アダプタ22が夫々装備されている。図10には、ハンドH側の代表として絶縁シート組付けハンドH1を示している。また、図11には、ツールT側の代表としてグリス塗布ツールT1を示している。
【0028】
ハンド側アダプタ21及びツール側アダプタ22は、ロボット4の手首先端の本体側アダプタ20への脱着部の構造は、全く同じである。このため、ロボット4はオートハンドチェンジャの本体側アダプタ20に、アダプタ20を介してハンドHを装着して部品を把持して組付けることができると共に、アダプタ20を介してツールTを装着してワークに対してツールTを使用して作業を実施することもできる。
【0029】
オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20には、周知のように、図示しないエア供給源からのエア配管と図示しない全体制御盤からの電気配線とが接続されて、夫々導入されている。また、ハンドH側のアダプタ21には、部品把持エアアクチュエータ23への配管及び把持確認センサ24への配線が施してある。このため、オートハンドチェンジャの両アダプタ20,21を結合させることにより、配管及び配線同士が夫々接続されて、ハンドH側へのエア供給及び信号のやり取りをすることができる。結果として、ハンドH側から直接その外側へのエア配管や信号ケーブルを引き伸ばす必要がない。
【0030】
図10に示すハンドH側(代表として絶縁シート組付けハンドH1)には、先端のプレート25に固定して絶縁シートW3を吸着把持する複数の吸着ノズル23Aが配置されている。また、ツール側(代表としてグリス塗布ツールT1)アダプタ22にも、図11に示すように、前記ハンド側アダプタ21に設けたプレート25と同様のプレート25を装備し、そのプレート25を挟んで先端側に作業ツールTを固定して装備している。
【0031】
ハンド側アダプタ21及びツール側アダプタ22に設けたプレート25は、図12及び図13に示すように、四角形をした板材であり、対向する縦2辺に切欠き26を形成した構造となっている。
【0032】
一方、ツールスタンド3には、図14に示すように、各ツールT及びハンドHに設けたプレート25を保持することにより、待機状態でツールT及びハンドHを保持するための一対の上部受け駒27及び一対の下部受け駒28が設けられている。これらの一対の上部受け駒27及び一対の下部受け駒28は、上下方向同一高さにおいて、夫々ツールスタンド3に固定されている。
図14は下流側ツールスタンド3Bを示し、図中の左上には半田付け用ツールT4のための上下受け駒27,28、図中の右上にはグリス塗布ツールT1のための上下受け駒27,28、図中の左下には絶縁シート組付けハンドH1のための上下受け駒27,28、を夫々示す。
【0033】
図15及び図17に示すように、一対の下部受け駒28は、ツールスタンド3から突出した部分において、両者の上面に同じ方向(互いに同軸)に延びる受け溝28Aを備える。また、一対の上部受け駒27は、図15及び図16に示すように、ツールスタンド3から突出した部分において、対向する表面に上下方向に延びる受け溝27Aを備える。
【0034】
そして、図18〜図21に示すように、これらの下部受け駒28の受け溝28Aにプレート25の下端隅部を導入してプレート25を下方から支持すると共にプレート25をその面に直角方向から支持させる。同時に、上部受け駒27の受け溝27A内に、切欠き26から上に続くプレート25の対向する縦辺を導入することによりプレート25をその面に直角方向から支持することにより、ツールT及びハンドHをツールスタンド3に保持させて待機状態とすることができる。
【0035】
このため、ツールスタンド3で待機保持されているツールT又はハンドHを作業のために下記の要領により、ロボット4により離脱させることができる。即ち、ロボット4の手首先端の本体側アダプタ20にハンド側アダプタ21又はツール側アダプタ22を連結させて、ロボット4によりツールスタンド3から上昇させ、プレート25の下端隅部を一対の下部受け駒28の受け溝28Aから離脱させる。同時に、プレート25の上昇により、プレート25の切欠き26から上に続くプレート25の対向する縦辺が上部受け駒27の受け溝27A内から抜け出て、一対の上部受け駒27はプレート25の一対の切欠き26内に位置している。
【0036】
図22〜図23は、ツールスタンド3からロボット4により上昇されたツールT又はハンドHのプレート25と上下受け駒27,28との関係位置を示している。この状態では、ツールT又はハンドHのプレート25と上下受け駒27,28との係合は解かれて、抜き差し可能位置となっており、ツールT又はハンドHはロボット4によりツールスタンド3から離脱させて移動させることができる。
【0037】
また、ツールスタンド3から離脱させたツールT又はハンドHをツールスタンド3へ戻すためには、ロボット4により下記の要領により戻すことができる。まず、ロボット4によりツールT又はハンドHのプレート25をツールスタンド3の上記した抜き差し可能位置(図22〜図23参照)に移動させる。次いで、ロボット4により、その位置でツールT又はハンドHを下降させて、プレート25の下端隅部を一対の下部受け駒28の受け溝28Aに係合させると同時に、プレート25の切欠き26から上に続くプレート25の対向する縦辺を上部受け駒27の受け溝27Aへ係合させる(図18〜図21参照)。次いで、本体側アダプタ20とハンドH側若しくはツール側のアダプタ21,22との連結を解除することにより、これらツールT又はハンドHをツールスタンド3に保持させて待機状態とできる。
【0038】
なお、上流側ツールスタンド3Aのパワーモジュール組付けハンドH2、DR基板組付けハンドH3、パワーモジュールねじ締めツールT2、DR基板ねじ締めツールT3の上下受け駒27,28も、上記と同様の構造に形成されている。
【0039】
以上の構成の作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置の動作について以下に説明する。本組立装置1では、前述したように、パレット搬送用コンベア2により前工程から搬送されたワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1に対し、キットパレット2Bに積載された部品を順次組付けて電気自動車用インバータを組立てる作業が実施される。組立作業にあたっては、下記の要領にて、ロボット4によりハンドH及びツールTを使用して組立作業が実施される。即ち、放熱グリスW2塗布→絶縁シートW3組付け→放熱グリスW4塗布→パワーモジュールW5組付け→パワーモジュールW5ねじ締めが実施される。次いで、DR基板W6組付け→DR基板W6ねじ締め→パワーモジュールW5とDR基板W6はんだ付けまでが、この組立装置1により実施される。
【0040】
次に、ワークパレット2Aとキットパレット2Bがパレット搬送用コンベア2により、本組立装置1から搬出され、次工程の組立装置に搬入される。そして、キットパレット2B内の残りの部品である、PNバスバーW7、平滑コンデンサW8、MC基板W9、等が、同様のロボット作業により組立てられていく。
【0041】
以下、本組立装置1による組立作業を順を追って説明する。先ず、ワークパレット2Aとキットパレット2Bが、パレット搬送用コンベア2により搬送され、本組立装置1の所定の位置で停止する。ワークパレット2A上にはワークとしてのウォータジャケット組立体W1が固定されており、キットパレット2B上には、組付けるべき部品が積載されている。
【0042】
ロボット4が、図24に示すように、下流側ツールスタンド3Bのグリス塗布ツールT1が待機している位置へロボット手首を移動させる。そして、図25に示すように、オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20とグリス塗布ツールT1のツール側アダプタ22とを結合させる。
【0043】
次いで、グリス塗布ツールT1を待機位置から上昇させて、プレート25を下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28から離脱させて抜き差し可能位置に移動させ、その後に、図26に示すように、グリス塗布ツールT1を抜き取り出す。図27はロボット4の手首先端のオートハンドチェンジャの本体側アダプタ20とグリス塗布ツールT1のツール側アダプタ22との結合状態を説明するものである。回転ドラム8より先に延びているケーブルガイド7は、その先端側が、グリス塗布ツールT1の移動に連れて引出される。
【0044】
ロボット4が、図28及び図29に示すように、グリス塗布ツールT1をワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1の塗布所定位置まで、回転ドラム8を回転させつつケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。
【0045】
ツールT1がロボット4により、ツールスタンド3Bから取り出されて空間上を移動する際には、グリス塗布ツールT1の移動方向に合わせて、鉛直方向の軸受けユニット16回りに回転ドラム8の向きを変えて旋回するので、ケーブルガイド7がスムーズに引き込まれたり引き出されたりするのを助ける。その際、前記鉛直方向の軸受けユニット16の軸心と横方向の軸受けユニット18の軸心とは、横方向平面内でオフセットしているため、上記した回転ドラム8の旋回は、グリス塗布ツールT1の水平面内の移動に対して円滑に追随する。
【0046】
その状態では、図28及び図29に示すように、ケーブルガイド7の中間金具11が回転ドラム8の近くまで引き上げられ、回転ドラム8からグリス塗布ツールT1までケーブルガイド7が長く引出された状態となる。回転ドラム8の後ろ側(制御盤5側)のケーブルガイド7は、図30に示すように、中間金具11を及びロープ12Aを介してスプリングバランサ12の巻きばね力により、下方へ引張り力が作用している。このため、ロボット4が位置を変えながら、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1に対してグリス塗布作業をしている間も、その長く引出された部分はたるむことがない。このため、ケーブルガイド7が絡んだり緩んだりして、近接する部材等に引っ掛けてケーブルを切断させる、という不具合を生ずることなく、グリス塗布作業を行なうことができる。
【0047】
グリス塗布作業が完了すると、ロボット4はグリス塗布ツールT1をツールスタンド3Bのグリス塗布ツールT1を抜き差し可能位置へロボット手首を移動させる。その動作中も、スプリングバランサ12の巻きばね力が、回転ドラム8の後ろ側(制御盤5側)のケーブルガイド7を、下方へ引張り力を発生させ続けている。このため、ケーブルガイド7の引き戻し中においても、ケーブルガイド7が途中でたるんだり、絡んだりすることなくスムーズに引き戻すことができる。
【0048】
また、回転ドラム8は、軸受けユニット16を介して鉛直方向の軸回りに旋回可能な構造により、ロボット4の移動方向に合わせて回転ドラム8が向きを変える。このため、ケーブルガイド7の引き戻し中においても、ケーブルガイド7が途中で折れ曲ったり、絡んだりすることなくスムーズに引き戻すことができる。
【0049】
次いで、グリス塗布ツールT1を抜き差し可能位置から下降させて、そのプレート25をツールスタンド3Bの上下受け駒27,28の各受け溝27A,28Aに係合させて戻す。そして、ロボット4は結合しているオートハンドチェンジャの本体側アダプタ20とグリス塗布ツールT1のツール側アダプタ22とを離脱させ、ロボット原位置まで戻る。
【0050】
なお、以下に説明するツールT類の動作においては、この放熱グリスW2塗布作業におけるケーブルガイド7の動作と同様であるため、簡略化して説明する。
【0051】
次に、ロボット4は下流側ツールスタンド3Bの絶縁シート組付けハンドH1が待機している位置へロボット手首を移動させ、オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20と絶縁シート組付けハンドH1のハンド側アダプタ21とを結合させる。そして、下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28から絶縁シート組付けハンドH1を上昇させて抜き差し可能位置へ移動させ、次いで、絶縁シート組付けハンドH1を抜き取り出す。
【0052】
この絶縁シート組付けハンドH1は、前述の通り、ハンドH1からその外側へのエア配管や信号ケーブルの配索がない。このため、下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28からの取出し時のみならず、絶縁シート組付け作業中や下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28への戻し動作時も、ケーブルのたるみや絡みを気にすることなく、その動作を行なうことができる。
【0053】
ロボット4は絶縁シート組付けハンドH1を取り出すと、それをキットパレット2B上の絶縁シートW3の上まで移動させ、絶縁シートW3を把持し持ち上げて、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1の所定位置へ移動する。そして、絶縁シートW3を位置決めして置き離して、組付け作業を終える。
【0054】
その後、ロボット4は絶縁シート組付けハンドH1を、ツールスタンド3Bの抜き差し可能位置に移動させ、下降させて、上下受け駒27,28まで戻す。次いで、結合しているオートハンドチェンジャの本体側アダプタ20と絶縁シート組付けハンドH1のハンド側アダプタ21とを解離させ、ロボット原位置まで戻る。なお、以下に説明するハンドH類の動作においては、この絶縁シート組付けハンドH1の組付け作業における動作と同様であるため、簡略化して説明する。
【0055】
次に、ロボット4は、再度、ツールスタンド3Bのグリス塗布ツールT1をツールスタンド3Bの受け駒27,28から抜き取り出し、今度はワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けた絶縁シートW3上のグリス塗布所定位置まで、ケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。そして、グリス塗布作業をした後、ケーブルガイド7を引き戻しながらツールスタンド3Bの受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20とグリス塗布ツールT1のツール側アダプタ22とを解離させ、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した放熱グリスW2塗布作業と同様である。
【0056】
次に、ロボット4は、上流側ツールスタンド3Aのパワーモジュール組付けハンドH2をツールスタンド3Aの受け駒から抜き取り出し、キットパレット2B上のパワーモジュールW5の上まで移動させる。そして、パワーモジュール組付けハンドH2によりパワーモジュールW5を把持し持ち上げて、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど絶縁グリスを塗布した絶縁シートW3上の所定の位置まで移動させ、位置決めして組付ける。その後、パワーモジュール組付けハンドH2を上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した絶縁シートW3組付け作業と同様である。
【0057】
次に、ロボット4は、ツールスタンド3のパワーモジュールねじ締めツールT2を上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28から抜き取り出す。次いで、パワーモジュールねじ締めツールT2をワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けたパワーモジュールW5上の所定のねじ締め位置まで、ケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。そして、パワーモジュールねじ締めツールT2によりねじ締め作業をした後、ケーブルガイド7を引き戻しながら上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した放熱グリスW2塗布作業と同様である。
【0058】
次に、ロボット4は、上流側ツールスタンド3AのDR基板組付けハンドH3をツールスタンド3の上下受け駒27,28から抜き取り出し、キットパレット2B上のDR基板W6の上まで移動させる。そして、DR基板組付けハンドH3によりDR基板W6を把持し持ち上げて、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けたパワーモジュールW5上の所定の位置まで移動させる。そして、DR基板W6を位置決めして組付けた後、DR基板組付けハンドH3を上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した絶縁シートW3組付け作業と同様である。
【0059】
次に、ロボット4は、上流側ツールスタンド3AのDR基板ねじ締めツールT3を上下受け駒27,28から抜き取り出す。そして、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けたDR基板W6上の所定のねじ締め位置まで、ケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。DR基板ねじ締めツールT3により、ねじ締め作業をした後、ケーブルガイド7を引き戻しながら上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した放熱グリスW2塗布作業と同様である。
【0060】
最後に、ロボット4は、下流側ツールスタンド3Bのはんだ付けツールT4をツールスタンド3の受け駒27,28から抜き取り出す。そして、はんだ付けツールT4をワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けたパワーモジュールW5とDR基板W6の所定のはんだ付け位置まで、ケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。はんだ付けツールT4によりはんだ付け作業をした後、ケーブルガイド7を引き戻しながら下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻って、本組立装置1での全作業を完了させる。これらの動作は、前述した放熱グリスW2塗布作業と同様である。
【0061】
次に、ワークパレット2Aとキットパレット2Bがコンベア2により、本組立装置1から搬出され、次工程の組立装置に搬入され、キットパレット2B内の残りの部品である、PNバスバーW7、平滑コンデンサW8、MC基板W9、等が、これまで述べたと同様のロボット作業により組立てられていく。
【0062】
図31は回転ドラム8に巻掛けられたケーブルガイド7の後方部分の下方へU字状に垂らされた下端近傍に、スプリングバランサ12に代えて、錘30を吊下げた実施例を示す。
【0063】
このように、単に錘30を吊下げるのみでも、ロボット4の動作に伴ない、線条体としてのケーブルガイド7が回転ドラム8にガイドされながら引き出されたり引き戻されたりする際、回転ドラム8とロボット4との間の線条体のたるみを無くすることができる。結果として、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることを防止するようにロボット4の動作に制限を与えたりすることがなく、また、線条体の配索により作業ツールTにより実施する作業種類の制約を抑制できる。
【0064】
図32は回転ドラム8に巻掛けられたケーブルガイド7の後方部分の下方へU字状に垂らされた下端近傍に、スプリングバランサ12に代えて、予め設定された重量を備えて前記折返し近傍のケーブルガイド7に巻掛け保持される昇降ドラム31を設けたものである。
【0065】
このように、昇降ドラム31を設けるものでも、ロボット4の動作に伴い、線条体としてのケーブルガイド7が回転ドラム8にガイドされながら引き出されたり引き戻されたりする際、回転ドラム8とロボット4との間の線条体のたるみを無くすることができる。結果として、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることを防止するようにロボット4の動作に制限を与えたりすることがなく、また、線条体の配索により作業ツールTにより実施する作業種類の制約を抑制できる。また、追従移動する昇降ドラム31の移動量を半減でき、ツールスタンド3後方のスペースを有効利用できる一方、作業ツールT及び線条体の引出し量を大きくできる。
【0066】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0067】
(ア)ツールスタンド3に待機保持され且つロボット4の手首に選択的に着脱される作業ツールTと作業ツール用制御盤5とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体としてのケーブルガイド7の配索装置である。前記ツールスタンド3に回転可能に配置され前記作業ツールTに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラム8を備える。そして、前記回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールTの移動に伴い回転ドラム8の前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する付勢手段としてのスプリングバランサ12を備える。このため、ロボット4の動作に伴い、線条体が回転ドラム8にガイドされながら引き出されたり引き戻されたりする際、回転ドラム8とロボット4との間の線条体のたるみがなくなる。結果として、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることを防止するようにロボット4の動作に制限を与えたりすることがなく、また、線条体の配索により作業ツールTにより実施する作業種類の制約を抑制できる。
【0068】
(イ)回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側は、下方に垂らした後、上方に折り返してその後端部をツールスタンド3に固定しており、前記付勢手段としてのスプリングバランサ12は、前記折返し近傍の線条体に対して下方への牽引力を付与する。このため、ツールスタンド3の後方に後端側の線条体をまとまりよく配置できる。
【0069】
(ウ)図7に示す付勢手段は、前記回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側に連結した牽引ロープを内蔵するばねにより巻取るスプリングバランサ12である。このため、スプリングバランサ12といった安価な機器の追加でよく、設備投資を小さく抑えることができる。また、必要なスペースを小さくでき、設備スペースの増加も小さくすることができる。
【0070】
(エ)図31に示す付勢手段は、前記回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側に連結した錘30で構成される。このため、錘30といった安価な装置の追加でよく、設備投資を小さく抑えることができる。
【0071】
(オ)図32に示す付勢手段は、予め設定された重量を備えて前記折返し近傍の線条体に巻掛け保持される昇降ドラム31である。このため、付勢手段としての昇降ドラム31の追従移動する移動量を半減でき、ツールスタンド3後方のスペースを有効利用できる一方、作業ツールT及び線条体の引出し量を大きくできる。
【0072】
(カ)回転ドラム8はツールスタンド3の上端に配置され、前記作業ツールTは前記回転ドラム8の下方においてツールスタンド3に待機保持され、ツールスタンド3の前方からロボット4の手首に選択的に着脱されて引出されるよう配置されている。また、前記付勢手段はツールスタンド3の後方側に配置されている。このため、引出された線条体は作業ツールTと回転ドラム8との間において上方に架線されることとなり、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることをより一層防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置は、電気自動車用インバータの組立装置1に適用したものについて説明したが、これに限らず、例えば、電気自動車用モータ、内燃機関、トランスミッション、等の組立装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 組立装置
2 パレット搬送用コンベア
3 ツールスタンド
4 ロボット
5 制御盤
6 ツールケーブル
7 線条体としてのケーブルガイド
8 回転ドラム
11 中間金具
12 スプリングバランサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットやマニピュレータにより選択的に使用される作業ツールに付随する配線及び/又は配管を含む作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からロボットやマニピュレータ(以下では、ロボットと総称する)により選択的に使用される作業ツールに付随する配線・配管を含む線条体はロボットのアーム内に内蔵されたりアームに沿わせたりして配索されている。しかしながら、このような配索方法においては、スペース的に配索する線条体の種類・数量が限定されるため、ロボットにより選択させる作業ツールの種類・数量を最小限度に限定する必要があり、多種類の作業を、ロボットを介して実行させるための制約となっている。
【0003】
この課題を解決する方法として、作業ツールの動力源を二次電池として作業ツールと一体化させて作業ツールへの電源ケーブルの配索を廃止するものが提案されている(特許文献1参照)。これは、作業ツールに付属する二次電池の蓄電量が低下された場合には取外して固定側の充電器に装着させると共に新たに充電済みの二次電池を作業ツールに取付ける自動交換機構を備えて、作業を継続可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−175487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例では、作業ツールへの線条体の配索によるロボットの動作制限が解消できるものの、電力を使用する作業ツールに限定されるため、作業資材をツールに供給しつつなされる作業等には適用できず、実施する作業種類が限定される課題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ロボットの動作制限を解消しつつ実施する作業種類の制約を抑制できる作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ツールスタンドに待機保持され且つロボットの手首に選択的に着脱される作業ツールと作業ツール用制御盤とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体の配索装置である。前記ツールスタンドに回転可能に配置され前記作業ツールに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラムを備える。そして、前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールの移動に伴い回転ドラムの前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する付勢手段を備える。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明では、回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールの移動に伴い回転ドラムの前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する。このため、ロボットの動作に伴い、線条体が回転ドラムにガイドされながら引き出されたり引き戻されたりする際、回転ドラムとロボットとの間の線条体のたるみがなくなる。結果として、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることを防止するようにロボットの動作に制限を与えたりすることがなく、また、線条体の配索により作業ツールにより実施する作業種類の制約を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置により組立てる電気自動車用インバータの構成を示す概略図。
【図2】本実施形態の作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置の平面図。
【図3】作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置の正面図。
【図4】作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置の左側面図。
【図5】作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置の右側面図。
【図6】作業ツール用線条体の配索装置の側面図。
【図7】作業ツール用線条体の配索装置の背面図。
【図8】作業ツール用線条体の配索装置に使用する回転ドラムの側面図(A)及び背面図(B)。
【図9】ロボットの手首を示す側面図。
【図10】ハンドの側面図。
【図11】ツールの代表例としてのグリス塗布ツールの側面図。
【図12】ハンド及びツールに使用されるプレートの正面図。
【図13】グリス塗布ツール及びプレートの正面図。
【図14】ツールスタンドの要部を示す背面図。
【図15】ツールスタンドに設けられる上下受け駒の側面図。
【図16】上部受け駒の平面図。
【図17】下部受け駒の平面図。
【図18】上下受け駒に保持されたプレートを示す背面図。
【図19】上下受け駒に保持されたプレートを示す側面図。
【図20】上部受け駒に保持されたプレートを示す平面図。
【図21】下部受け駒に保持されたプレートを示す平面図。
【図22】上下受け駒に保持されたプレートが抜き差し可能位置に上昇された状態を示す背面図。
【図23】上下受け駒に保持されたプレートが抜き差し可能位置に上昇された状態を示す側面図。
【図24】ロボットの手首をツールスタンドに保持させたツールに向けて移動させた状態を示す側面図。
【図25】ロボットの手首とツールスタンドに保持させたツールとを連結させた状態を示す側面図。
【図26】ロボットによりツールスタンドに保持させたツールを抜き出した状態を示す側面図。
【図27】図26の拡大側面図。
【図28】ロボットによりツールをワーク上部に引出した状態を示す側面図。
【図29】ロボットによりツールをワーク上部に引出した状態を示す平面図。
【図30】ロボットによりツールをワーク上部に引出した状態を示すツールスタンドの背面図。
【図31】ケーブルガイドの付勢手段の別の実施例を示す説明図。
【図32】ケーブルガイドの付勢手段の更に別の実施例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置を一実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1は本実施形態の作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置により組立てる電気自動車用インバータの構成を示す概略図である。前記電気自動車用インバータは、冷却液を循環して流通させるウォータジャケット組立体W1(WJ_ASSY)上に、インバータ部品を階層状に組上げて構成される。
【0012】
即ち、ウォータジャケット組立体W1の上面に下から、放熱グリスW2(塗布)、絶縁シートW3(積層)、放熱グリスW4(塗布)、パワーモジュールW5(ねじ締め固定)が、この順番に積層・固定される。次いで、ドライバー基板W6(ねじ締め固定、半田付け)が、この順番に積層・固定される。次いで、バスバーW7(取付け)、平滑コンデンサW8(取付け)、モジュールコントロール基板W9(取付け)が、この順番に積層・固定される。以下では、ドライバー基板を「DR基板」と表現し、モジュールコントロール基板を「MC基板」と表現する。
【0013】
図2〜図5は、本実施形態の作業ツール用線条体の配索装置を適用した組立装置1を示し、図2は平面図、図3は正面図、図4は左側面図、図5は右側面図である。
【0014】
組立装置1には、パレット搬送用コンベア2により、ワークとしてのウォータジャケット組立体W1、及び、ウォータジャケット組立体W1上に組付ける上記した部品が、前工程から搬送される。パレット搬送用コンベア2には、ワークとしてのウォータジャケット組立体W1が積載固定されるワークパレット2Aと、ウォータジャケット組立体W1上に組付ける部品を積載するキットパレット2Bを、装備している。パレット搬送用コンベア2は、当該組立装置1に対して所定位置で停止され、キットパレット2B上の部品が順次ワークとしてのウォータジャケット組立体W1へ組付けられた後に、これらを次工程に搬送する。
【0015】
この組立装置1は、順次ワークとしてのウォータジャケット組立体W1へ各部品を組付けるための各作業ツールT及びハンドHを保持したツールスタンド3と、作業ツールTおよびハンドHのいずれかを手首先端に着脱して組立作業を実行するロボット4と、を備える。
【0016】
前記ツールスタンド3は、コンベア2を跨って搬送方向上流側に配置された上流側ツールスタンド3Aと、搬送方向下流側に配置された下流側ツールスタンド3Bと、を備える。以下では、個別の上流側及び下流側ツールスタンドを示す場合にはその符号を3A,3Bとし、両者を総称する場合には符号を単に3とする。
そして、上流側ツールスタンド3Aのコンベア2を跨ぐ後方側(図2の上方側、図4の左側)には、パワーモジュールねじ締めツールT2、DR基板ねじ締めツールT3、DR基板組付けハンドH3が脱着可能に装備されている。また、上流側ツールスタンド3Aの同じくコンベア2を跨ぐ前方側(図2の下方側、図4の右側)には、パワーモジュール組付けハンドH2が脱着可能に装備されている。
【0017】
また、下流側ツールスタンド3Bには、図5に示すように、グリス塗布ツールT1、絶縁シート組付けハンドH1、はんだ付けツールT4、が脱着可能に装備されている。以下では、個別のツールを示す場合には符号をT1〜T4とし、ツール全般を示す場合には符号を単にTとする。また、個別のハンドを示す場合には符号をH1〜H3とし、ハンド全般を示す場合には符号を単にHとする。
【0018】
図4,5に示すように、各ツールTには、ツールTを制御する制御盤5と、制御盤5とツールTとを接続する線条体としてのツールケーブル6と、ツールケーブル6のツールT側部分を内蔵して保護するケーブルガイド7と、を備える。ケーブルガイド7は、一端がツールTに連結され、他端がツールスタンド3に連結される。
【0019】
ケーブルガイド7は、図6,7に示すように、ツールスタンド3の上端に配置された回転ドラム8にその中途部が巻掛けられている。そして、ケーブルガイド7の巻掛けられた前方部分の先端部がツールTに固定の取付金具9に連結され、巻掛けられた後方部分が下方に垂らされた後に再び上方に引上げられて、その上端において取付金具10によりツールスタンド3の上端に固定されている。制御盤5から取出されたケーブル6は、ツールスタンド3を構成するフレームに沿って配線され、取付金具10に固定された端部からケーブルガイド7内に挿入され、ツールTに取付金具9で固定されたケーブルガイド7の他端から外に取出され、ツールTへと接続されている。
【0020】
回転ドラム8に巻掛けられたケーブルガイド7の後方部分の下方へU字状に垂らされた下端近傍には中間金具11が固定されており、ツールスタンド3の上下方向中途部に固定して配置されたスプリングバランサ12より引出されたロープ12Aの先端が連結されている。ケーブルガイド7内には、線条体として、上記したケーブル6を挿入するものであるが、圧搾空気や作業資材をツールTに供給する配管を挿入するものであってもよい。
【0021】
スプリングバランサ12は、内蔵する図示しないスプリングにより設定した巻取り力によりロープ12Aを巻取ることでロープを所定の牽引力で引込むよう作動する。そして、ケーブルガイド7の下方へU字状に垂らされた下端近傍の中間金具11を下方へ設定した牽引力により牽引する。
【0022】
中間金具11は、図7に示すように、U字状部分からツールスタンド3上端に向かって折り返された部位に配置されている。このため、ツールTがツールスタンド3に保持されている状態及びロボット4によりツールスタンド3から若干引出された状態においては、回転ドラム8に巻掛けされたケーブルガイド7には牽引力が作用しない状態となっている。このため、ツールTがツールスタンド3から外れることなく、ツールスタンド3に確実に保持される。
【0023】
そして、ツールTがツールスタンド3からある程度引き離されてから、中間金具11がケーブルガイド7により引上げられ、その時点からケーブルガイド7は回転ドラム8の巻掛けた状態で後方側からスプリングバランサ12により緊張される。この緊張により、先端のツールTとの間において引き延ばされた状態となり、その弛みや振れ回りが抑制される。
【0024】
ツールTが組立作業のためにロボット4により引出されるに連れて巻掛けしたケーブルガイド7も引出されるが、スプリングバランサ12により牽引力が付与された状態で引出されることにより、回転ドラム8から引出された領域においても、その弛みや振れ回りが抑制される。
【0025】
前記回転ドラム8は、図8に示すように、ツールスタンド3の上端フレームにベースプレート15を介して取付けられる。ベースプレート15には軸受けユニット16を介して、鉛直方向の軸回りに旋回可能に縦板17が固定され、この縦板17には軸受けユニット18を介して、横方向の軸回りに回転可能に回転ドラム8が固定される。回転ドラム8は、外周に巻掛けられるケーブルガイド7を収容する溝を外周に備え、鉛直方向の軸回りに旋回可能であると共に横方向の軸回りに回転可能に、ツールスタンド3に支持されている。前記鉛直方向の軸受けユニット16の軸心と横方向の軸受けユニット18の軸心とは、図8(A)に示すように、横方向平面内でオフセットしている。なお、19はケーブルガイド7が回転ドラム8の収容溝から脱落しないように規制するガイドローラである。
【0026】
このため、ケーブルガイド7が回転ドラム8に巻き掛けされて、ツールTの移動によりツールT側に引き出されたり、スプリングバランサ12により引き戻されたりする際には、回転ドラム8が横方向の軸受けユニット18回りに回転してケーブルガイド7を案内する。また、ツールTがツールスタンド3から取り出されて空間上を移動する際には、その移動方向に合わせて、鉛直方向の軸受けユニット16回りに回転ドラム8の向きを変えて旋回するので、ケーブルガイド7がスムーズに引き込まれたり引き出されたりするのを助ける。その際、前記鉛直方向の軸受けユニット16の軸心と横方向の軸受けユニット18の軸心とは、横方向平面内でオフセットしているため、上記した回転ドラム8の旋回は、ツールTの水平面内の移動に対して円滑に追随する。
【0027】
ロボット4の手首先端には、図9に示すように、オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20を装備している。そして、ハンドH側(図10参照)及びツールT側(図11参照)には、前記ロボット4の手首先端の本体側アダプタ20に脱着可能な、ハンド側アダプタ21及びツール側アダプタ22が夫々装備されている。図10には、ハンドH側の代表として絶縁シート組付けハンドH1を示している。また、図11には、ツールT側の代表としてグリス塗布ツールT1を示している。
【0028】
ハンド側アダプタ21及びツール側アダプタ22は、ロボット4の手首先端の本体側アダプタ20への脱着部の構造は、全く同じである。このため、ロボット4はオートハンドチェンジャの本体側アダプタ20に、アダプタ20を介してハンドHを装着して部品を把持して組付けることができると共に、アダプタ20を介してツールTを装着してワークに対してツールTを使用して作業を実施することもできる。
【0029】
オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20には、周知のように、図示しないエア供給源からのエア配管と図示しない全体制御盤からの電気配線とが接続されて、夫々導入されている。また、ハンドH側のアダプタ21には、部品把持エアアクチュエータ23への配管及び把持確認センサ24への配線が施してある。このため、オートハンドチェンジャの両アダプタ20,21を結合させることにより、配管及び配線同士が夫々接続されて、ハンドH側へのエア供給及び信号のやり取りをすることができる。結果として、ハンドH側から直接その外側へのエア配管や信号ケーブルを引き伸ばす必要がない。
【0030】
図10に示すハンドH側(代表として絶縁シート組付けハンドH1)には、先端のプレート25に固定して絶縁シートW3を吸着把持する複数の吸着ノズル23Aが配置されている。また、ツール側(代表としてグリス塗布ツールT1)アダプタ22にも、図11に示すように、前記ハンド側アダプタ21に設けたプレート25と同様のプレート25を装備し、そのプレート25を挟んで先端側に作業ツールTを固定して装備している。
【0031】
ハンド側アダプタ21及びツール側アダプタ22に設けたプレート25は、図12及び図13に示すように、四角形をした板材であり、対向する縦2辺に切欠き26を形成した構造となっている。
【0032】
一方、ツールスタンド3には、図14に示すように、各ツールT及びハンドHに設けたプレート25を保持することにより、待機状態でツールT及びハンドHを保持するための一対の上部受け駒27及び一対の下部受け駒28が設けられている。これらの一対の上部受け駒27及び一対の下部受け駒28は、上下方向同一高さにおいて、夫々ツールスタンド3に固定されている。
図14は下流側ツールスタンド3Bを示し、図中の左上には半田付け用ツールT4のための上下受け駒27,28、図中の右上にはグリス塗布ツールT1のための上下受け駒27,28、図中の左下には絶縁シート組付けハンドH1のための上下受け駒27,28、を夫々示す。
【0033】
図15及び図17に示すように、一対の下部受け駒28は、ツールスタンド3から突出した部分において、両者の上面に同じ方向(互いに同軸)に延びる受け溝28Aを備える。また、一対の上部受け駒27は、図15及び図16に示すように、ツールスタンド3から突出した部分において、対向する表面に上下方向に延びる受け溝27Aを備える。
【0034】
そして、図18〜図21に示すように、これらの下部受け駒28の受け溝28Aにプレート25の下端隅部を導入してプレート25を下方から支持すると共にプレート25をその面に直角方向から支持させる。同時に、上部受け駒27の受け溝27A内に、切欠き26から上に続くプレート25の対向する縦辺を導入することによりプレート25をその面に直角方向から支持することにより、ツールT及びハンドHをツールスタンド3に保持させて待機状態とすることができる。
【0035】
このため、ツールスタンド3で待機保持されているツールT又はハンドHを作業のために下記の要領により、ロボット4により離脱させることができる。即ち、ロボット4の手首先端の本体側アダプタ20にハンド側アダプタ21又はツール側アダプタ22を連結させて、ロボット4によりツールスタンド3から上昇させ、プレート25の下端隅部を一対の下部受け駒28の受け溝28Aから離脱させる。同時に、プレート25の上昇により、プレート25の切欠き26から上に続くプレート25の対向する縦辺が上部受け駒27の受け溝27A内から抜け出て、一対の上部受け駒27はプレート25の一対の切欠き26内に位置している。
【0036】
図22〜図23は、ツールスタンド3からロボット4により上昇されたツールT又はハンドHのプレート25と上下受け駒27,28との関係位置を示している。この状態では、ツールT又はハンドHのプレート25と上下受け駒27,28との係合は解かれて、抜き差し可能位置となっており、ツールT又はハンドHはロボット4によりツールスタンド3から離脱させて移動させることができる。
【0037】
また、ツールスタンド3から離脱させたツールT又はハンドHをツールスタンド3へ戻すためには、ロボット4により下記の要領により戻すことができる。まず、ロボット4によりツールT又はハンドHのプレート25をツールスタンド3の上記した抜き差し可能位置(図22〜図23参照)に移動させる。次いで、ロボット4により、その位置でツールT又はハンドHを下降させて、プレート25の下端隅部を一対の下部受け駒28の受け溝28Aに係合させると同時に、プレート25の切欠き26から上に続くプレート25の対向する縦辺を上部受け駒27の受け溝27Aへ係合させる(図18〜図21参照)。次いで、本体側アダプタ20とハンドH側若しくはツール側のアダプタ21,22との連結を解除することにより、これらツールT又はハンドHをツールスタンド3に保持させて待機状態とできる。
【0038】
なお、上流側ツールスタンド3Aのパワーモジュール組付けハンドH2、DR基板組付けハンドH3、パワーモジュールねじ締めツールT2、DR基板ねじ締めツールT3の上下受け駒27,28も、上記と同様の構造に形成されている。
【0039】
以上の構成の作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置の動作について以下に説明する。本組立装置1では、前述したように、パレット搬送用コンベア2により前工程から搬送されたワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1に対し、キットパレット2Bに積載された部品を順次組付けて電気自動車用インバータを組立てる作業が実施される。組立作業にあたっては、下記の要領にて、ロボット4によりハンドH及びツールTを使用して組立作業が実施される。即ち、放熱グリスW2塗布→絶縁シートW3組付け→放熱グリスW4塗布→パワーモジュールW5組付け→パワーモジュールW5ねじ締めが実施される。次いで、DR基板W6組付け→DR基板W6ねじ締め→パワーモジュールW5とDR基板W6はんだ付けまでが、この組立装置1により実施される。
【0040】
次に、ワークパレット2Aとキットパレット2Bがパレット搬送用コンベア2により、本組立装置1から搬出され、次工程の組立装置に搬入される。そして、キットパレット2B内の残りの部品である、PNバスバーW7、平滑コンデンサW8、MC基板W9、等が、同様のロボット作業により組立てられていく。
【0041】
以下、本組立装置1による組立作業を順を追って説明する。先ず、ワークパレット2Aとキットパレット2Bが、パレット搬送用コンベア2により搬送され、本組立装置1の所定の位置で停止する。ワークパレット2A上にはワークとしてのウォータジャケット組立体W1が固定されており、キットパレット2B上には、組付けるべき部品が積載されている。
【0042】
ロボット4が、図24に示すように、下流側ツールスタンド3Bのグリス塗布ツールT1が待機している位置へロボット手首を移動させる。そして、図25に示すように、オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20とグリス塗布ツールT1のツール側アダプタ22とを結合させる。
【0043】
次いで、グリス塗布ツールT1を待機位置から上昇させて、プレート25を下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28から離脱させて抜き差し可能位置に移動させ、その後に、図26に示すように、グリス塗布ツールT1を抜き取り出す。図27はロボット4の手首先端のオートハンドチェンジャの本体側アダプタ20とグリス塗布ツールT1のツール側アダプタ22との結合状態を説明するものである。回転ドラム8より先に延びているケーブルガイド7は、その先端側が、グリス塗布ツールT1の移動に連れて引出される。
【0044】
ロボット4が、図28及び図29に示すように、グリス塗布ツールT1をワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1の塗布所定位置まで、回転ドラム8を回転させつつケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。
【0045】
ツールT1がロボット4により、ツールスタンド3Bから取り出されて空間上を移動する際には、グリス塗布ツールT1の移動方向に合わせて、鉛直方向の軸受けユニット16回りに回転ドラム8の向きを変えて旋回するので、ケーブルガイド7がスムーズに引き込まれたり引き出されたりするのを助ける。その際、前記鉛直方向の軸受けユニット16の軸心と横方向の軸受けユニット18の軸心とは、横方向平面内でオフセットしているため、上記した回転ドラム8の旋回は、グリス塗布ツールT1の水平面内の移動に対して円滑に追随する。
【0046】
その状態では、図28及び図29に示すように、ケーブルガイド7の中間金具11が回転ドラム8の近くまで引き上げられ、回転ドラム8からグリス塗布ツールT1までケーブルガイド7が長く引出された状態となる。回転ドラム8の後ろ側(制御盤5側)のケーブルガイド7は、図30に示すように、中間金具11を及びロープ12Aを介してスプリングバランサ12の巻きばね力により、下方へ引張り力が作用している。このため、ロボット4が位置を変えながら、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1に対してグリス塗布作業をしている間も、その長く引出された部分はたるむことがない。このため、ケーブルガイド7が絡んだり緩んだりして、近接する部材等に引っ掛けてケーブルを切断させる、という不具合を生ずることなく、グリス塗布作業を行なうことができる。
【0047】
グリス塗布作業が完了すると、ロボット4はグリス塗布ツールT1をツールスタンド3Bのグリス塗布ツールT1を抜き差し可能位置へロボット手首を移動させる。その動作中も、スプリングバランサ12の巻きばね力が、回転ドラム8の後ろ側(制御盤5側)のケーブルガイド7を、下方へ引張り力を発生させ続けている。このため、ケーブルガイド7の引き戻し中においても、ケーブルガイド7が途中でたるんだり、絡んだりすることなくスムーズに引き戻すことができる。
【0048】
また、回転ドラム8は、軸受けユニット16を介して鉛直方向の軸回りに旋回可能な構造により、ロボット4の移動方向に合わせて回転ドラム8が向きを変える。このため、ケーブルガイド7の引き戻し中においても、ケーブルガイド7が途中で折れ曲ったり、絡んだりすることなくスムーズに引き戻すことができる。
【0049】
次いで、グリス塗布ツールT1を抜き差し可能位置から下降させて、そのプレート25をツールスタンド3Bの上下受け駒27,28の各受け溝27A,28Aに係合させて戻す。そして、ロボット4は結合しているオートハンドチェンジャの本体側アダプタ20とグリス塗布ツールT1のツール側アダプタ22とを離脱させ、ロボット原位置まで戻る。
【0050】
なお、以下に説明するツールT類の動作においては、この放熱グリスW2塗布作業におけるケーブルガイド7の動作と同様であるため、簡略化して説明する。
【0051】
次に、ロボット4は下流側ツールスタンド3Bの絶縁シート組付けハンドH1が待機している位置へロボット手首を移動させ、オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20と絶縁シート組付けハンドH1のハンド側アダプタ21とを結合させる。そして、下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28から絶縁シート組付けハンドH1を上昇させて抜き差し可能位置へ移動させ、次いで、絶縁シート組付けハンドH1を抜き取り出す。
【0052】
この絶縁シート組付けハンドH1は、前述の通り、ハンドH1からその外側へのエア配管や信号ケーブルの配索がない。このため、下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28からの取出し時のみならず、絶縁シート組付け作業中や下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28への戻し動作時も、ケーブルのたるみや絡みを気にすることなく、その動作を行なうことができる。
【0053】
ロボット4は絶縁シート組付けハンドH1を取り出すと、それをキットパレット2B上の絶縁シートW3の上まで移動させ、絶縁シートW3を把持し持ち上げて、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1の所定位置へ移動する。そして、絶縁シートW3を位置決めして置き離して、組付け作業を終える。
【0054】
その後、ロボット4は絶縁シート組付けハンドH1を、ツールスタンド3Bの抜き差し可能位置に移動させ、下降させて、上下受け駒27,28まで戻す。次いで、結合しているオートハンドチェンジャの本体側アダプタ20と絶縁シート組付けハンドH1のハンド側アダプタ21とを解離させ、ロボット原位置まで戻る。なお、以下に説明するハンドH類の動作においては、この絶縁シート組付けハンドH1の組付け作業における動作と同様であるため、簡略化して説明する。
【0055】
次に、ロボット4は、再度、ツールスタンド3Bのグリス塗布ツールT1をツールスタンド3Bの受け駒27,28から抜き取り出し、今度はワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けた絶縁シートW3上のグリス塗布所定位置まで、ケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。そして、グリス塗布作業をした後、ケーブルガイド7を引き戻しながらツールスタンド3Bの受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャの本体側アダプタ20とグリス塗布ツールT1のツール側アダプタ22とを解離させ、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した放熱グリスW2塗布作業と同様である。
【0056】
次に、ロボット4は、上流側ツールスタンド3Aのパワーモジュール組付けハンドH2をツールスタンド3Aの受け駒から抜き取り出し、キットパレット2B上のパワーモジュールW5の上まで移動させる。そして、パワーモジュール組付けハンドH2によりパワーモジュールW5を把持し持ち上げて、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど絶縁グリスを塗布した絶縁シートW3上の所定の位置まで移動させ、位置決めして組付ける。その後、パワーモジュール組付けハンドH2を上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した絶縁シートW3組付け作業と同様である。
【0057】
次に、ロボット4は、ツールスタンド3のパワーモジュールねじ締めツールT2を上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28から抜き取り出す。次いで、パワーモジュールねじ締めツールT2をワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けたパワーモジュールW5上の所定のねじ締め位置まで、ケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。そして、パワーモジュールねじ締めツールT2によりねじ締め作業をした後、ケーブルガイド7を引き戻しながら上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した放熱グリスW2塗布作業と同様である。
【0058】
次に、ロボット4は、上流側ツールスタンド3AのDR基板組付けハンドH3をツールスタンド3の上下受け駒27,28から抜き取り出し、キットパレット2B上のDR基板W6の上まで移動させる。そして、DR基板組付けハンドH3によりDR基板W6を把持し持ち上げて、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けたパワーモジュールW5上の所定の位置まで移動させる。そして、DR基板W6を位置決めして組付けた後、DR基板組付けハンドH3を上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した絶縁シートW3組付け作業と同様である。
【0059】
次に、ロボット4は、上流側ツールスタンド3AのDR基板ねじ締めツールT3を上下受け駒27,28から抜き取り出す。そして、ワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けたDR基板W6上の所定のねじ締め位置まで、ケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。DR基板ねじ締めツールT3により、ねじ締め作業をした後、ケーブルガイド7を引き戻しながら上流側ツールスタンド3Aの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻る。これらの動作は、前述した放熱グリスW2塗布作業と同様である。
【0060】
最後に、ロボット4は、下流側ツールスタンド3Bのはんだ付けツールT4をツールスタンド3の受け駒27,28から抜き取り出す。そして、はんだ付けツールT4をワークパレット2A上のウォータジャケット組立体W1上の、先ほど組付けたパワーモジュールW5とDR基板W6の所定のはんだ付け位置まで、ケーブルガイド7を引き出しながら移動させる。はんだ付けツールT4によりはんだ付け作業をした後、ケーブルガイド7を引き戻しながら下流側ツールスタンド3Bの上下受け駒27,28へ戻し、オートハンドチェンジャを解離させて、ロボット原位置まで戻って、本組立装置1での全作業を完了させる。これらの動作は、前述した放熱グリスW2塗布作業と同様である。
【0061】
次に、ワークパレット2Aとキットパレット2Bがコンベア2により、本組立装置1から搬出され、次工程の組立装置に搬入され、キットパレット2B内の残りの部品である、PNバスバーW7、平滑コンデンサW8、MC基板W9、等が、これまで述べたと同様のロボット作業により組立てられていく。
【0062】
図31は回転ドラム8に巻掛けられたケーブルガイド7の後方部分の下方へU字状に垂らされた下端近傍に、スプリングバランサ12に代えて、錘30を吊下げた実施例を示す。
【0063】
このように、単に錘30を吊下げるのみでも、ロボット4の動作に伴ない、線条体としてのケーブルガイド7が回転ドラム8にガイドされながら引き出されたり引き戻されたりする際、回転ドラム8とロボット4との間の線条体のたるみを無くすることができる。結果として、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることを防止するようにロボット4の動作に制限を与えたりすることがなく、また、線条体の配索により作業ツールTにより実施する作業種類の制約を抑制できる。
【0064】
図32は回転ドラム8に巻掛けられたケーブルガイド7の後方部分の下方へU字状に垂らされた下端近傍に、スプリングバランサ12に代えて、予め設定された重量を備えて前記折返し近傍のケーブルガイド7に巻掛け保持される昇降ドラム31を設けたものである。
【0065】
このように、昇降ドラム31を設けるものでも、ロボット4の動作に伴い、線条体としてのケーブルガイド7が回転ドラム8にガイドされながら引き出されたり引き戻されたりする際、回転ドラム8とロボット4との間の線条体のたるみを無くすることができる。結果として、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることを防止するようにロボット4の動作に制限を与えたりすることがなく、また、線条体の配索により作業ツールTにより実施する作業種類の制約を抑制できる。また、追従移動する昇降ドラム31の移動量を半減でき、ツールスタンド3後方のスペースを有効利用できる一方、作業ツールT及び線条体の引出し量を大きくできる。
【0066】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0067】
(ア)ツールスタンド3に待機保持され且つロボット4の手首に選択的に着脱される作業ツールTと作業ツール用制御盤5とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体としてのケーブルガイド7の配索装置である。前記ツールスタンド3に回転可能に配置され前記作業ツールTに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラム8を備える。そして、前記回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールTの移動に伴い回転ドラム8の前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する付勢手段としてのスプリングバランサ12を備える。このため、ロボット4の動作に伴い、線条体が回転ドラム8にガイドされながら引き出されたり引き戻されたりする際、回転ドラム8とロボット4との間の線条体のたるみがなくなる。結果として、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることを防止するようにロボット4の動作に制限を与えたりすることがなく、また、線条体の配索により作業ツールTにより実施する作業種類の制約を抑制できる。
【0068】
(イ)回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側は、下方に垂らした後、上方に折り返してその後端部をツールスタンド3に固定しており、前記付勢手段としてのスプリングバランサ12は、前記折返し近傍の線条体に対して下方への牽引力を付与する。このため、ツールスタンド3の後方に後端側の線条体をまとまりよく配置できる。
【0069】
(ウ)図7に示す付勢手段は、前記回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側に連結した牽引ロープを内蔵するばねにより巻取るスプリングバランサ12である。このため、スプリングバランサ12といった安価な機器の追加でよく、設備投資を小さく抑えることができる。また、必要なスペースを小さくでき、設備スペースの増加も小さくすることができる。
【0070】
(エ)図31に示す付勢手段は、前記回転ドラム8に巻掛けた線条体の後端側に連結した錘30で構成される。このため、錘30といった安価な装置の追加でよく、設備投資を小さく抑えることができる。
【0071】
(オ)図32に示す付勢手段は、予め設定された重量を備えて前記折返し近傍の線条体に巻掛け保持される昇降ドラム31である。このため、付勢手段としての昇降ドラム31の追従移動する移動量を半減でき、ツールスタンド3後方のスペースを有効利用できる一方、作業ツールT及び線条体の引出し量を大きくできる。
【0072】
(カ)回転ドラム8はツールスタンド3の上端に配置され、前記作業ツールTは前記回転ドラム8の下方においてツールスタンド3に待機保持され、ツールスタンド3の前方からロボット4の手首に選択的に着脱されて引出されるよう配置されている。また、前記付勢手段はツールスタンド3の後方側に配置されている。このため、引出された線条体は作業ツールTと回転ドラム8との間において上方に架線されることとなり、線条体をどこかに引っ掛けて切断したりすることをより一層防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の作業ツール用線条体の配索方法及び配索装置は、電気自動車用インバータの組立装置1に適用したものについて説明したが、これに限らず、例えば、電気自動車用モータ、内燃機関、トランスミッション、等の組立装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 組立装置
2 パレット搬送用コンベア
3 ツールスタンド
4 ロボット
5 制御盤
6 ツールケーブル
7 線条体としてのケーブルガイド
8 回転ドラム
11 中間金具
12 スプリングバランサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールスタンドに待機保持され且つロボットの手首に選択的に着脱される作業ツールと作業ツール用制御盤とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体の配索装置であり
前記ツールスタンドに回転可能に配置され前記作業ツールに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラムと、
前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールの移動に伴い回転ドラムの前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する付勢手段と、を備えることを特徴とする作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項2】
前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側は、下方に垂らした後、上方に折り返してその後端部をツールスタンドに固定しており、
前記付勢手段は、前記折返し近傍の線条体に対して下方への牽引力を付与することを特徴とする請求項1に記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に連結した牽引ロープを内蔵するばねにより巻取るスプリングバランサであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に連結した錘で構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、予め設定された重量を備えて前記折返し近傍の線条体に巻掛け保持される昇降ドラムであることを特徴とする請求項2に記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項6】
前記回転ドラムはツールスタンドの上端に配置され、
前記作業ツールは前記回転ドラムの下方においてツールスタンドに待機保持され、ツールスタンドの前方からロボットの手首に選択的に着脱されて引出されるよう配置され、
前記付勢手段はツールスタンドの後方側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項7】
ツールスタンドに待機保持され且つロボットの手首に選択的に着脱される作業ツールと作業ツール用制御盤とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体の配索方法であり
前記ツールスタンドに回転可能に配置され前記作業ツールに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラムを備え、
前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールの移動に伴い回転ドラムの前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与することを特徴とする作業ツール用線条体の配索方法。
【請求項8】
前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側は、下方に垂らした後、上方に折り返してその後端部をツールスタンドに固定しており、
前記折返し近傍の線条体に対して下方への牽引力を付与することを特徴とする請求項7に記載の作業ツール用線条体の配索方法。
【請求項1】
ツールスタンドに待機保持され且つロボットの手首に選択的に着脱される作業ツールと作業ツール用制御盤とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体の配索装置であり
前記ツールスタンドに回転可能に配置され前記作業ツールに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラムと、
前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールの移動に伴い回転ドラムの前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与する付勢手段と、を備えることを特徴とする作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項2】
前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側は、下方に垂らした後、上方に折り返してその後端部をツールスタンドに固定しており、
前記付勢手段は、前記折返し近傍の線条体に対して下方への牽引力を付与することを特徴とする請求項1に記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に連結した牽引ロープを内蔵するばねにより巻取るスプリングバランサであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に連結した錘で構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、予め設定された重量を備えて前記折返し近傍の線条体に巻掛け保持される昇降ドラムであることを特徴とする請求項2に記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項6】
前記回転ドラムはツールスタンドの上端に配置され、
前記作業ツールは前記回転ドラムの下方においてツールスタンドに待機保持され、ツールスタンドの前方からロボットの手首に選択的に着脱されて引出されるよう配置され、
前記付勢手段はツールスタンドの後方側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の作業ツール用線条体の配索装置。
【請求項7】
ツールスタンドに待機保持され且つロボットの手首に選択的に着脱される作業ツールと作業ツール用制御盤とを接続する配線及び配管の少なくとも一方を含む線条体の配索方法であり
前記ツールスタンドに回転可能に配置され前記作業ツールに先端を接続した線条体の中途部を巻掛け保持する回転ドラムを備え、
前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側に対して下方へ牽引力を付与して、前記作業ツールの移動に伴い回転ドラムの前方に引出される線条体に対して予め設定した引張り力を付与することを特徴とする作業ツール用線条体の配索方法。
【請求項8】
前記回転ドラムに巻掛けた線条体の後端側は、下方に垂らした後、上方に折り返してその後端部をツールスタンドに固定しており、
前記折返し近傍の線条体に対して下方への牽引力を付与することを特徴とする請求項7に記載の作業ツール用線条体の配索方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2012−44759(P2012−44759A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182837(P2010−182837)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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