説明

作業機械のガイド装置

【課題】ケーブル等の絡みつきを防止できるガイド装置を提供する。
【解決手段】ケーブルガイド装置50は、クレーン1の上部旋回体13と下部走行体11の間に延在するケーブル51,52を保持する。ケーブルガイド装置50は、一端が上部旋回体13に接続され、他端が下部走行体11に接続されて、上部旋回体13の旋回動作に追従して移動するリンク機構として構成され、ケーブル51,52を保持しながら上部旋回体13の旋回動作に追従して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル等を保持する作業機械のガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動式油圧ショベルにおいて、上部旋回体に配設された集電装置に給電ケーブルを接続し、センタフレームの後部側に設けられたケーブルサポートによって給電ケーブルを保持するものが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の装置においては、ケーブルサポートの先端側を車体後方に伸長させ給電ケーブルを適当な地上高に保持することにより、給電ケーブル等がスプロケットに巻き込まれたり履帯に踏まれたりして破損することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−144060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の装置は、給電ケーブルが下部走行体の後方から地上に垂下げられているため、上部旋回体が旋回するたびに給電ケーブルが絡まらないように作業員が給電ケーブルを移動したり保護したりする必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1の発明によるガイド装置は、作業機械の上部旋回体と下部走行体の間に延在するケーブルおよび/またはホースを保持する保持装置を備え、保持装置は、一端が上部旋回体に接続され、他端が下部走行体に接続されて、上部旋回体の旋回動作に追従して移動するリンク機構として構成され、ケーブルおよび/またはホースを保持しながら上部旋回体の旋回動作に追従して移動することを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のガイド装置において、保持装置は、互いに回動可能に連結された3つ以上のリンク部を備えることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載のガイド装置において、3つ以上のリンク部は、少なくとも第1のリンク部、第2のリンク部および第3のリンク部を有し、第1のリンク部の一端は、上部旋回体に固定されたアッパブラケットに回動可能に連結され、第3のリンク部の一端は、下部走行体に固定されたロワーブラケットに回動可能に連結され、第2のリンク部は、第1のリンク部と第3のリンク部の間に連結されることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載のガイド装置において、各リンク部は、内部にケーブルおよび/またはホースを通すケーブルガイドパイプと、ケーブルガイドパイプの両端にそれぞれ設けられたジョイント部材とを備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項2または請求項3に記載のガイド装置において、各リンク部は、ケーブルおよび/またはホースを各リンク部の外側で保持するケーブル保持部材を備えることを特徴とする。
(6)請求項6の発明による作業機械は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガイド装置を備えることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6に記載の作業機械において、ケーブルは通信信号ケーブルを含み、作業機械から離れて設置され、通信信号ケーブルを介して作業機械に搭載されたアクチュエータの操作信号を送信する遠隔操作装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、ケーブル等の絡みつきや傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態によるケーブルガイド装置を備えるクレーンの側面図。
【図2】図1に示すクレーンの制御回路図
【図3】遠隔操作装置の概要を示す図。
【図4】ケーブルガイド装置を、正面を向いた状態の上部旋回体の後方斜め下から見た図
【図5】(a)〜(d)ケーブルガイド装置の構成を示す図。
【図6】上部旋回体に対するケーブルガイド装置の位置関係を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜6を参照して、本発明による作業機械のガイド装置を、ケーブルを保持するケーブルガイド装置として構成した場合の一実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態によるケーブルガイド装置が適用される移動式クレーンの側面図である。この移動式クレーン1は、下部走行体11と、下部走行体11上に旋回可能に搭載される上部旋回体13と、上部旋回体13の先端部に回動可能に軸支されたブーム14およびロングマスト(リヤマスト)15と、上部旋回体13の後端部に取り付けられたカウンタウエイト16と、ライブマスト19とを有する。
【0009】
ブーム14の先端にはジブ31が回動可能に軸支されている。また、ブーム14の先端部には2本のジブマスト32a,32bが回動可能に軸支されている。ジブマスト32aの先端とジブ31の先端とは第1のペンダントロープ33で連結され、ジブマスト32bの先端とブーム14の下方部とは第2のペンダントロープ34で連結されている。ジブマスト32a,32bの先端はジブ起伏ロープ35によって支持され、ジブ起伏ロープ35はジブマスト32a,32b間で複数回掛け回され、ブーム14の基端近傍に設けられたジブ起伏ウインチ36に巻装されている。ジブ起伏ロープ35がジブ起伏ウインチ36の駆動により巻き取りまたは繰り出されることにより、ジブ31が起伏する。
【0010】
ジブ31の先端には主フック21aおよび補フック21bが吊り下げられ、フックロープがブーム14の基端近傍に設けられた主フック用ウインチ17a,補フック用ウインチ17bへ巻装されている。
【0011】
また、ブーム14の先端後部にはブームペンダントロープ22の一端が繋着されており、該ブームペンダントロープ22の他端がブライドルユニット30に接続されている。ブライドルユニット30とリヤマスト15の先端に取り付けられたベイルユニット40との間にはブーム起伏ロープ23が掛け回されている。ブーム起伏ロープ23はリヤマスト15の先端近傍に設けられたガイドシーブ151cを経由してリヤマスト15の基端近傍に設けられたブーム起伏ウインチ18へ巻装されている。ブーム起伏ロープ23はブーム起伏ウインチ18の駆動により巻き取りまたは繰り出され、これによりブライドルユニット30とベイルユニット40との間の距離が変化するので、ブームペンダントロープ22を介してブーム14が起伏する。
【0012】
リヤマスト15の支持ペンダント24は、一端がリヤマスト15の先端に接続され、他端がライブマスト19に接続されている。ライブマスト19の先端部と上部旋回体13の後端部にはそれぞれシーブ25、26が設けられ、各シーブ25,26間に起伏ロープ27が掛け回されている。起伏ロープ27はマスト起伏ドラム28の駆動により巻き取りまたは繰り出される。
【0013】
下部走行体11と上部旋回体13の間には、下部走行体11と上部旋回体13との間に延在する通信信号ケーブルや電力供給のための給電ケーブル等を保持するケーブルガイド装置50が設けられている。ケーブルガイド装置50については後述する。
【0014】
図2に、図1に示す移動式クレーン1の制御回路図を示す。図2に示すように、移動式クレーン1には、主フック用ウインチ17aを駆動する油圧モータ3a,補フック用ウインチ17bを駆動する油圧モータ3b、マスト起伏ドラム28を駆動する油圧モータ3c、ブーム起伏ウインチ18を駆動する油圧モータ3d、ジブ起伏ウインチ36を駆動する油圧モータ3e、上部旋回体13を旋回させる旋回装置の旋回モータ3f、および下部走行体11を駆動する左右一対の走行モータ3g,3h等が設けられている。油圧モータ3a〜3hにはそれぞれ電磁式流量制御弁5a〜5hを介して油圧ポンプ2からの駆動圧油が供給される。なお、油圧ポンプ2の最高圧はリリーフ弁6により規制される。
【0015】
電磁式流量制御弁5a〜5hは、制御ユニット9からの制御信号によって駆動される。制御ユニット9からの制御信号が各流量制御弁のソレノイドに入力されることにより流量制御弁が切り換わり、油圧モータ3a〜3hへの圧油の流れが制御され、油圧モータ3a〜3hが駆動される。制御ユニット9には、ブーム14の角度を検出するブーム角度検出器8a,ジブ31の角度を検出するジブ角度検出器8b、および上部旋回体13の旋回角を検出する旋回角検出器8cが接続されている。
【0016】
本実施形態による移動式クレーン1は、クレーン1に設けられた各アクチュエータを、上部旋回体13に設けられた運転室からだけでなく、クレーン1から離れた場所からも操作することができるように構成されている。そこで、図2に示すように制御ユニット9には、例えばシリアル信号を伝送する通信信号ケーブル51により中継ボックス53を介して遠隔操作装置60が接続される。さらに、制御ユニット9には給電ケーブル52により中継ボックス53を介して通信用電源を供給するための外部電源が接続される。なお、図2において、運転室に設けられたアクチュエータ操作レバー等の図示は省略する。
【0017】
遠隔操作装置60はクレーン1から離れた遠隔操作室に設置され、作業員によって操作される。図3に、遠隔操作装置60の概要を示す。図3に示すように、遠隔操作装置60には、ブーム14の起伏および上部旋回体13の旋回のために操作されるジョイスティックレバー61,主フック21aを昇降させるために操作されるレバー62,ジブ31を起伏させるために操作されるレバー63、旋回装置を制動するための旋回ブレーキスイッチ64、クレーン1の緊急停止スイッチ65、および表示部66が設けられている。レバー61〜63は、それぞれ操作量に応じた操作信号を発生する。なお、本実施の形態においては、主フック用ウインチ17aの油圧モータ3a,ブーム起伏ウインチ18の油圧モータ3d、ジブ起伏ウインチ36の油圧モータ3e、および旋回モータ3fが遠隔操作可能に構成されている。
【0018】
遠隔操作装置60のレバー61,62,63が操作されると、通信信号ケーブル51を介して制御ユニット9に操作信号が入力される。制御ユニット9は操作信号に応じた制御信号を、対応する流量制御弁5a,5d,5e,5fのソレノイドに出力する。これにより、油圧ポンプ2からの圧油の流れが制御され、レバー61,62,63の操作量に応じて油圧モータ3a,3d,3e,3fが駆動される。
【0019】
旋回ブレーキスイッチ64が操作されると、通信信号ケーブル51を介して制御ユニット9に旋回ブレーキ信号が入力される。制御ユニット9は旋回ブレーキ信号に応じて不図示の制動装置を駆動して旋回装置を制動させる。また、緊急停止スイッチ65が操作されると、通信信号ケーブル51を介して制御ユニット9に緊急停止信号が入力される。制御ユニット9は緊急停止信号に応じてエンジン(不図示)を停止させる。
【0020】
遠隔操作装置60の表示部66には、クレーン1の状態を表す情報等が表示される。クレーン1の状態を表す情報としては、例えばブーム角度検出器8a、ジブ角度検出器8b、および旋回角検出器8cで検出され、通信信号ケーブル51を介して提供されたブーム角度、ジブ角度、および旋回角等を含む。オペレータは、表示部66に表示された情報を確認しながら遠隔操作装置60を用いてクレーン1の操作を行うことができる。
【0021】
つぎに、通信信号ケーブル51および給電ケーブル52を保持するケーブルガイド装置50について説明する。本実施の形態によるクレーン1は遠隔操作可能に構成されており、遠隔操作装置60からの操作信号等が入力される制御ユニット9は上部旋回体13に設置されている。制御ユニット9に接続された通信信号ケーブル51および給電ケーブル52を単純に上部旋回体から地上に垂下げるように構成した場合、上部旋回体13が旋回した際にケーブルが絡まったりケーブルが傷つくといった不具合が生じる可能性がある。
【0022】
そこで、本実施の形態においては、ケーブルガイド装置50によって通信信号ケーブル51および給電ケーブル52を保持し、保護している。
【0023】
図4に、クレーン1に設置されたケーブルガイド装置50を、正面を向いた状態の上部旋回体13の後方斜め下から見た図を示し、図5(a)〜(d)にケーブルガイド装置50の構成を示す。図5(a)(b)は、ケーブルガイド装置50を一直線に伸ばした場合の側面図および上面図であり、図5(c)(d)は、図5(a)に示すケーブルガイド装置50の端部をそれぞれ図面の左側および右側から見た図である。なお、図1に示す状態をクレーン1、とくに下部走行体11に対して上部旋回体13が、正面を向いた状態とする。
【0024】
図5(a)〜(d)に示すように、ケーブルガイド装置50は、第1のリンク部510、第2のリンク部520、および第3のリンク部530を有するリンク機構として構成されており、下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回動作に伴って移動する。第1のリンク部510は、第1のケーブルガイドパイプ511と、第1のケーブルガイドパイプ511の一端および他端にそれぞれ接続された第1のジョイント部材512,513とを有する。第2のリンク部520は、第2のケーブルガイドパイプ521と、第2のケーブルガイドパイプ521の一端および他端にそれぞれ接続された第2のジョイント部材522,523とを有する。第3のリンク部530は、第3のケーブルガイドパイプ531と、第3のケーブルガイドパイプ531の一端および他端にそれぞれ接続された第3のジョイント部材532,533とを有する。
【0025】
第1のリンク部510の一端に設けられた第1のジョイント部材512は、一対のジョイント板512a,512bを連結板512cで連結することによって形成されている。連結板512cの中央部には穴が設けられており、この穴に第1のケーブルガイドパイプ511の一端を挿入して固定することにより、第1のジョイント部材512と第1のケーブルガイドパイプ511が接続されている。その他のジョイント部材513,522,523,532,533も第1のジョイント部材512と同様に形成されている。
【0026】
第1のジョイント部材512は、上部旋回体13に固定されたアッパブラケット541にピン551を介して回動可能に接続されている。ここで、アッパブラケット541は、上部旋回体13の下面であって、カウンタウエイト16に対応する位置に設置されている。アッパブラケット541は、一対のブラケット板541a,541bを備えており、ジョイント板512aとブラケット板541a,ジョイント板512bとブラケット板541bが、ピン551によってそれぞれ連結される。これにより、第1のジョイント部材512がアッパブラケット541に対してピン551を中心として水平方向(横方向)に回動することができる。
【0027】
同様にして、第1のリンク部510の他端に設けられた第1のジョイント部材513と、第2のリンク部520の一端に設けられた第2のジョイント部材522とは、ピン552を介して相対的に回動可能に接続されている。さらに、第2のリンク部520の他端に設けられた第2のジョイント部材523と、第3のリンク部530の一端に設けられた第3のジョイント部材532とは、ピン553を介して相対的に回動可能に接続されている。また、第1のジョイント部材512とアッパブラケット541との接続と同様に、第3のリンク部530の他端に設けられた第3のジョイント部材533は、下部走行体11に固定されたロワーブラケット542にピン554を介して回動可能に接続されている。ここで、ロワーブラケット542は、下部走行体11の上面の旋回輪付近に設置されている。
【0028】
通信信号ケーブル51および給電ケーブル52は、第1のリンク部510、第2のリンク部520、および第3のリンク部530に保持されて延在する。具体的には、上部旋回体13の制御ユニット9から延びる通信信号ケーブル51および給電ケーブル52は、図5(c)に示すアッパブラケット541のケーブルガイド穴543に挿入され、第1のジョイント部材512を介して第1のケーブルガイドパイプ511内に挿入される。上述したようにアッパブラケット541と第1のジョイント部材512とを連結するピン551は一対のブラケット板541a,541bおよび一対のジョイント板512a,512bの間に延在していないので、アッパブラケット541から第1のケーブルガイドパイプ511へと延びる通信信号ケーブル51および給電ケーブル52の障害となることはない。
【0029】
第1のケーブルガイドパイプ511から引き出された通信信号ケーブル51および給電ケーブル52は、第1のジョイント部材513および第2のジョイント部材522を介して第2のケーブルガイドパイプ521内に挿入され、さらに第2のジョイント部材523および第3のジョイント部材532を介して第3のケーブルガイドパイプ531内に挿入される。そして、通信信号ケーブル51および給電ケーブル52は、第3のジョイント部材533を介してロワーブラケット542まで延び、図5(d)に示すロワーブラケット542のケーブルガイド板544を介して、下部走行体11に設置された中継ボックス53まで導かれる。中継ボックス53のコネクタに、クレーン1から離れた場所に設置された遠隔操作装置60および外部電源から延びるケーブルを接続することにより、制御ユニット9と遠隔操作装置60および外部電源とが接続される。
【0030】
図6(a)〜(e)に、旋回する上部旋回体13に対するケーブルガイド装置50の位置関係を模式的に示す。図6(a)は、上部旋回体13が下部走行体11に対して正面を向いた状態、すなわち図1に示す状態におけるケーブルガイド装置50の状態を示す。この状態において、第1のリンク部510,第2のリンク部520、および第3のリンク部530は各リンク部に対して屈曲し、ケーブルガイド装置50は全体としてコの字状を形成している。アッパブラケット541とロワーブラケット542は、旋回装置の旋回輪の中心から径方向に延びる直線状に配置されている。
【0031】
図6(b)は下部走行体11に対して上部旋回体13が右方向に45度回転した状態を示す。上部旋回体13の旋回動作に追従して、第1のリンク部510、第2のリンク部520および第3のリンク部530が相対的に回動しながら移動する。上部旋回体13がさらに右方向に回転して上部旋回体13の下部走行体11に対する旋回角が右約110度となった状態を、図6(c)に示す。上部旋回体13は、ケーブルガイド装置50が旋回装置の旋回輪に接触する手前まで、さらに右方向に旋回することが可能である。
【0032】
図6(d)は下部走行体11に対して上部旋回体13が左方向に45度回転した状態を示す。上部旋回体13の旋回動作に追従して、第1のリンク部510、第2のリンク部520および第3のリンク部530が相対的に回動しながら移動する。上部旋回体13がさらに左方向に回転して上部旋回体13の下部走行体11に対する旋回角が左約135度となった状態を、図6(e)に示す。上部旋回体13は、ケーブルガイド装置50が旋回装置の旋回輪に接触する手前まで、さらに左方向に旋回することが可能である。
【0033】
なお、ケーブルガイド装置50を構成するリンク部の数、および各リンク部の長さ等は、上部旋回体13の右旋回の限界角度および左旋回の限界角度を考慮して設定されている。
【0034】
以上説明した本発明の一実施の形態によるケーブルガイド装置によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)ケーブルガイド装置50は、クレーン1の上部旋回体13と下部走行体11の間に延在するケーブル51,52を保持する保持装置を備える。保持装置、すなわちケーブルガイド装置50は、一端が上部旋回体13に接続され、他端が下部走行体11に接続されて、上部旋回体13の旋回動作に追従して移動するリンク機構として構成され、ケーブル51,52を保持しながら上部旋回体13の旋回動作に追従して移動する。このように、ケーブルガイド装置50が上部旋回体13の旋回動作に追従して自由に動くことにより、ケーブルガイド装置50に保持されているケーブル51,52も一緒に動くので、上部旋回体13の旋回動作によってケーブル51,52が絡みついたり傷ついたりすることを防止できる。また、ケーブル51,52の絡みつきを防止するために作業員が手でケーブル51,52を移動させる必要もない。さらに、リンク機構を採用することによって、上部旋回体13の旋回角を大きく設定することができ、作業性を向上させることが可能となる。
(2)ケーブルガイド装置50は、互いに回動可能に連結された3つ以上のリンク部510,520,530を備える。これにより、上部旋回体13の旋回動作に追従してケーブルガイド装置50をスムーズに動かすことができるとともに、上部旋回体13の旋回角を大きく設定することが可能となる。
(3)ケーブルガイド装置50は、少なくとも第1のリンク部510、第2のリンク部520および第3のリンク部530を有し、第1のリンク部510の一端は、上部旋回体13に固定されたアッパブラケット541に回動可能に連結され、第3のリンク部530の一端は、下部走行体11に固定されたロワーブラケット542に回動可能に連結され、第2のリンク部520は、第1のリンク部510と第3のリンク部530の間に連結される。これにより、上部旋回体13の旋回動作に追従してケーブルガイド装置50をスムーズに動かすことができるとともに、上部旋回体13の旋回角を大きく設定することが可能となる。
(4)各リンク部510,520,530は、内部にケーブル51,52を通すケーブルガイドパイプ511,521,531と、ケーブルガイドパイプ511,521,531の両端にそれぞれ設けられたジョイント部材512,513、522,523、532,533とを備える。ケーブル51,52をケーブルガイドパイプ内に通すことによりケーブル51,52を保護することができる。
(5)クレーン1は、クレーン1から離れて設置され、通信信号ケーブル51を介してクレーン1に搭載されたアクチュエータの操作信号を送信する遠隔操作装置60を備える。これにより、クレーン1から離れた場所からクレーン1の操作を行うことができる。
【0035】
−−変形例−−
上述した一実施の形態においては、第1のケーブルガイドパイプ511、第2のケーブルガイドパイプ521および第3のケーブルガイドパイプ531の中に通信信号ケーブル51および給電ケーブル52を通すように構成した。ただし、これには限定されず、パイプを用いた閉鎖型の構造ではなく、開放型の構造とすることもできる。例えば、第1のジョイント部材512と513を延長して互いに接続して第1のリンク部510を形成することにより、第1のケーブルガイドパイプ511を省略することができる。同様に第2および第3のケーブルガイドパイプ521および531を省略した第2および第3のリンク部520および530を形成し、第1〜第3のリンク部510,520,530を連結することによって、リンク機構を構成することができる。この場合、各リンク部の内部にケーブルを通す。
【0036】
また、ケーブルガイド装置50の内部でケーブルを保持する構成の代わりに、ケーブルガイド装置50の外側でケーブルを保持するように構成してもよい。すなわち、ケーブルガイド装置50のリンク機構は上述した実施の形態または変形例と同様に構成し、各リンク部に設けたフック等のケーブル保持部材によってケーブルを吊り下げるようにして保持することもできる。これにより、ケーブルガイド装置50を簡単な構成とすることができる。
【0037】
上述した実施の形態および変形例では、ケーブルガイド装置50のリンク機構を3つのリンク部から構成したが、これには限定されず、例えば4つ以上のリンク部からリンク機構を構成してもよい。また、ケーブルガイド装置50によって保持されるケーブルとして、通信信号ケーブル51と給電ケーブル52を例に説明した。しかし、これには限定されず、通信信号ケーブル51と給電ケーブル52のいずれか一方を保持したり、これらのケーブルに加えて、またはこれらのケーブルに代えて、例えば圧油等の流体を通すホース等を保持するように構成してもよい。
【0038】
また、上記実施の形態では、本発明によるガイド装置を適用する作業機械として移動式クレーンを例に挙げて説明したが、これには限定されず、油圧ショベル等の他の作業機械に本発明を適用することも可能である。また、作業機械に搭載されるアクチュエータを電動式として、ケーブルガイド装置50によって保持されるケーブルによって電動式アクチュエータへの給電を行うように構成することも可能である。主フック用ウインチ17aの油圧モータ3a,ブーム起伏ウインチ18の油圧モータ3d、ジブ起伏ウインチ36の油圧モータ3e、および旋回モータ3f以外のアクチュエータを、遠隔操作可能に構成することも可能である。
【0039】
さらに、クレーン1に、下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回角度を制限する手段を設けてもよい。旋回角制限手段は、例えば、上部旋回体13が旋回輪に接する手前の右旋回の限界角度(位置)および左旋回の限界角度(位置)に達したことを検知すると、旋回装置を停止するように構成することができる。
【0040】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1:クレーン、11:下部走行体、13:上部旋回体、50:ケーブルガイド装置、51:通信信号ケーブル、52:給電ケーブル、60:遠隔操作装置、510,520,530:第1〜第3のリンク部、511,521,531:第1〜第3のケーブルガイドパイプ、512,513:第1のジョイント部材、522,523:第2のジョイント部材、532,533:第3のジョイント部材、541:アッパブラケット、542:ロワーブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の上部旋回体と下部走行体の間に延在するケーブルおよび/またはホースを保持する保持装置を備え、
前記保持装置は、一端が前記上部旋回体に接続され、他端が前記下部走行体に接続されて、前記上部旋回体の旋回動作に追従して移動するリンク機構として構成され、前記ケーブルおよび/またはホースを保持しながら前記上部旋回体の旋回動作に追従して移動することを特徴とするガイド装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガイド装置において、
前記保持装置は、互いに回動可能に連結された3つ以上のリンク部を備えることを特徴とするガイド装置。
【請求項3】
請求項2に記載のガイド装置において、
前記3つ以上のリンク部は、少なくとも第1のリンク部、第2のリンク部および第3のリンク部を有し、前記第1のリンク部の一端は、前記上部旋回体に固定されたアッパブラケットに回動可能に連結され、前記第3のリンク部の一端は、前記下部走行体に固定されたロワーブラケットに回動可能に連結され、前記第2のリンク部は、前記第1のリンク部と前記第3のリンク部の間に連結されることを特徴とするガイド装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のガイド装置において、
各リンク部は、内部に前記ケーブルおよび/またはホースを通すケーブルガイドパイプと、前記ケーブルガイドパイプの両端にそれぞれ設けられたジョイント部材とを備えることを特徴とするガイド装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載のガイド装置において、
各リンク部は、前記ケーブルおよび/またはホースを各リンク部の外側で保持するケーブル保持部材を備えることを特徴とするガイド装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガイド装置を備えることを特徴とする作業機械。
【請求項7】
請求項6に記載の作業機械において、
前記ケーブルは通信信号ケーブルを含み、
前記作業機械から離れて設置され、前記通信信号ケーブルを介して前記作業機械に搭載されたアクチュエータの操作信号を送信する遠隔操作装置を備えることを特徴とする作業機械。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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