説明

作業機械の燃料タンク

【課題】作業機の燃料タンクの燃料補給において、確実に燃料を満タンにしつつ、確実に燃料補給を自動停止できるようにする。
【解決手段】作業機側面に設けられた燃料タンク8に内部の燃料の液面が見えるように透明の油量確認ゲージ8を設け、油量確認ゲージ8の脇に補充必要量表示板22を設ける。油量確認ゲージ8の液面の高さと補充必要量表示板22からどれだけの量を補充することが必要かの補充必要量がわかる。燃料補給の際は、燃料補給装置の供給量設定機能により補充必要量を設定して燃料補給を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機の燃料を貯めておく燃料タンク装置に関し、特に大型ダンプトラック等の大型の作業機に用いるのに好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機における燃料タンクへの燃料補給は、例えば特許文献1に記載のように、燃料タンクに接続して設けられたカプラに給油用のホースを接続し、ホースを介して燃料補給装置により燃料を燃料タンクに圧送する方法が採用されている。
【0003】
このような燃料の補給作業において、燃料を燃料タンクの容量以上に過剰に供給すればエアブリーザから燃料が燃料タンクの外部へ漏れ出すので、燃料の補給開始後に燃料が満タンになった時点で補給を確実に停止する必要がある。
【0004】
この燃料補給装置を手動で停止するための方法としては、特許文献1に記載のように、燃料タンクの燃料液面を検知する液面センサにより、液面高さを把握し、液面が十分高くなったところでホーンを鳴動させて警告し、手動による停止を促す方法がある。また、他の方法として、特許文献2のように、燃料タンク上部に目視用の窓を設けて作業者が目視により満タンであると判断したら手動で燃料補給を止める方法がある。
【0005】
また、燃料タンクの燃料が最大量充填されたときに自動停止する手段としては、燃料タンクが最大量充填された際に燃料の圧送圧力が上昇するので、燃料補給装置側で圧力が上昇したことを検知して燃料の圧送を自動停止する手段が一般的に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−264078号公報
【特許文献2】特開2006−15845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載のように、手動により燃料補給装置を停止させる方法においては、作業者は燃料補給を開始した後、いつ燃料が満タンになるのか明確にわからない状態で、満タンになったと分かるまで補給作業を監視し続けなければならない。
【0008】
ところが、大型の作業機の場合には燃料が満タン状態になるまでの時間は、例えば4キロリットルを補給するのに20分〜30分と長時間であり、その長時間にわたり、作業者が付きっ切りで燃料補給作業を監視しなければならず、その間作業者は他の作業ができず、補給作業に要する拘束時間が長くなる。
【0009】
また、タンク上面に窓を設けた構成では、大型作業機の燃料タンクの場合は、燃料タンクの上面が非常に高いところにあるため、目視による確認が困難である。
【0010】
一方、圧送圧力の上昇を検知して燃料補給装置を自動停止させる方式の場合、作業現場においては、一つの燃料補給装置で現場に存在する複数機種の作業機の燃料タンクの燃料補給を行うため、燃料補給装置側の自動停止する圧力の設定が一定であると、その各燃料タンクは満タンになったときの上昇圧力が異なることから、相性によっては自動停止しない場合もある。そのため燃料補給装置が自動停止しない場合には作業者が手動で停止させるように、作業者が補給作業の間に付きっ切りで補給を監視しなくてはならず、やはり補給作業に要する拘束時間が長くなる。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、作業機の燃料タンクの燃料補給作業において、作業者が付きっ切りで監視することを不要としつつ、簡易な構成で安全に燃料を補給することが可能となる燃料タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の作業機の燃料タンクは、
作業機の燃料タンクの側面に、タンク内部の液面レベルが外部から目視により確認できる油量確認ゲージを設けるとともに、前記油量確認ゲージと一体又は別体に、前記液面レベルに対応する補充必要量を数値で示した表示手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の作業機の燃料タンクは、請求項1に記載の作業機の燃料タンクにおいて、
前記油量確認ゲージと一体または別体に、前記液面レベルに対応する燃料タンク内残油量を数値で示した表示手段をさらに設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の作業機の燃料タンクは、請求項1又は請求項2に記載の作業機の燃料タンクにおいて、
前記油量確認ゲージと補充必要量を示す表示手段をタンクの下部に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、目視によりあらかじめ燃料タンクを満タンに補充するために必要な補充必要量が分かるため、燃料補給の際に、燃料補給装置に補充必要量をあらかじめセットし、セットした補充必要量に達したら補給を中止するように設定することができる。即ち、燃料補給装置の持つ補給量設定機能を利用し、燃料が設定量に達して満タンになったところで確実に補給を停止させることが可能である。
【0016】
そのため、燃料補給の際に安全性が向上するとともに、補給作業者が燃料補給の開始から完了までの全ての時間に付きっ切りで監視する必要がなくなる。これらにより、補給作業者は、補給開始から補給の完了の時間まで拘束されることがなく、他の作業を行うことができ、作業効率が向上する。
【0017】
請求項2の発明によれば、油量確認ゲージにより目視によって残油量が分かるため、目視にて燃料補充が緊急に必要な状態か否かを判別することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、燃料タンクの上部が高所となる大型の作業機であっても、油量確認ゲージと補充必要量を示す表示手段を燃料タンクの下部に設けることで、補給作業者が補充必要量を目視によって容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の燃料タンクを適用する作業機の一例を示す側面図である。
【図2】本発明による燃料タンクの一実施の形態を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態の燃料タンクの油量表示部を示す図2の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明に係る燃料タンクを適用する作業機の一例であるダンプトラックの側面図である。図1のダンプトラックは、車体1のフレームに前輪2と後輪3が取付けられ、前部に運転室4が搭載される。また、車体1には、ホイストシリンダ6によりベッセル7が俯仰可能に取付けられる。車体1の一方の側面に燃料タンク8が取付けられる。
【0021】
本実施の形態のダンプトラックは大型のものであり、運転室4に梯子9を用いて昇降する必要があるものである。
【0022】
図2は本発明による燃料タンク8の一実施の形態を示す斜視図である。図2の燃料タンク8は略直方体をなし、燃料タンクの上面に燃料タンク内の圧力を維持するためのエアブリーザ12を備える。また、燃料タンクの外面の下部に燃料ホース(図示せず)を取付けるためのカプラ11を備えると共に、油量表示部20を有する。
【0023】
図3は油量表示部20の詳細を示す燃料タンクの部分拡大図である。油量表示部20は、油量確認ゲージ21と、補充必要量表示手段である補充必要量表示板22と、残油量表示手段である残油量表示板23とを備える。図3において、24は、補充必要量表示板22で示す数値27が補充必要量であることを示すプレートである。25は、残油量表示板23で示す数値28がタンク内に残っている燃料の残油量であることを示すプレートである。
【0024】
油量確認ゲージ21は、燃料タンク内部の液面レベルが外部から目視により確認できるように、透明アクリルなどの透明な部材により構成され、燃料タンク8に設けた開口部に取付け金具31により取付けられている。このため、油量確認ゲージ21の範囲内の高さに燃料の液面30がある場合には、目視にてその液面30の高さを視認することができる。油量確認ゲージ21のどの位置に液面30があるかによって満タン(燃料タンクに燃料が最大量充填された状態)にするために必要な燃料補充量を判断することができる。
【0025】
図3に示すように、補充必要量表示板22は、油量確認ゲージ21に隣接して設けられ、油量確認ゲージ21から目視できる燃料液面30の高さに対応した補給すべき燃料量を表す数値27が記してある。ここで、この数値27は、燃料液面30と対応する量の燃料を補充すると、燃料タンク8が満タンになる値であり、Lはリットルを意味する。
【0026】
このため、油量確認ゲージ21の液面30と補充必要表示板22の数値27を目視することで、補給すべき燃料の量を明確に知ることができる。
【0027】
図3に示すように、残油量表示板23は、油量確認ゲージ21に隣接して設けられ、油量確認ゲージ21から確認できる燃料液面30の高さに対応した残油量を表す数値28を記したものである。この数値28は、燃料液面30がその数値28と同じ高さであった場合、その数値28と同じ量の燃料がタンク内に残っていることを示す。
【0028】
このため、油量確認ゲージ21の燃料液面30とそれに対応する残油量表示板23上の数値28を参照することにより、燃料タンク8の燃料の残油量が目視にて分かるため、燃料補充が緊急に必要な状態か否かを判別することができる。
【0029】
この実施の形態の燃料タンクを用いる場合は、燃料補給装置にあらかじめ備わっている計量機能及び自動停止機能を利用する。すなわち、燃料補給装置には、燃料供給の際にそれまでに補給した燃料の量をカウントする機能及びあらかじめ燃料補給量を設定しておくと、補給した燃料が設定した量に達した際に補給を停止する機能がある。
【0030】
そこで、作業者が目視により油量確認ゲージ21の液面30に対応する補充必要量表示板22の数値27を参照することで、補充必要量を判断する。そして、燃料タンクへの補給に先立ち、判明した燃料補充量を燃料補給装置に設定したあと、補給を開始させる。
【0031】
これにより、燃料の補給量が設定した補充必要量に達したときに、燃料タンクの燃料が満タンになるとともに、燃料補給装置による給油が自動停止する。
【0032】
このように、この実施の形態によれば、補給作業において、確実に燃料を満タンにすることができると同時に、燃料補給を停止させることができるので、作業者は付きっ切りで補給作業を監視する必要がない。そのため、作業者は、補給作業中に拘束されず、他の作業を行うことが可能なので作業効率が向上する。しかも、必ずしも液面レベルセンサなどのセンサを燃料タンクに設けなくともよいため、簡易かつ安価で構成することが可能である。
【0033】
油量確認ゲージ21や補充必要量表示板22は燃料タンクの下部から上部にわたって一連あるいは分割して設けてもよいが、本実施の形態のように、燃料タンクの下部に設ければ、大型の作業機において燃料タンクが高所にある場合でも、作業者が目視により補充必要量を容易に知ることができる。また、油量確認ゲージ21を下部にのみ設けてゲージの長さを短くした場合、ゲージの強度が強くなり、タンクの内圧などがかかっても歪みにくくなる。
【0034】
また、本発明を実施する場合、補充必要量表示手段である補充必要量表示板22及び残油量表示手段としての残油量表示板23は、必ずしも油量確認ゲージ21と別体でなくともよく、また、燃料タンクに数値27,28を書き込んでもよい。また、本発明はダンプトラック以外に油圧ショベル等の他の作業機に適用することができる。
【0035】
その他、本発明を実施する場合、上記発明の実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1:車体、2:前輪、3:後輪、4:キャビン、6:ホイストシリンダ、7:ベッセル、8:燃料タンク、11:カプラ、12:エアブリーザ、20:油量表示部、21:油量確認ゲージ、22:補充必要量表示板、23:残油量表示板、24,25:文字板、28:残油表示用の数字、27:補充必要量表示用の数字、30:液面、31:取付け具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の燃料タンクの側面に、タンク内部の液面レベルが外部から目視により確認できる油量確認ゲージを設けるとともに、前記油量確認ゲージと一体又は別体に、前記液面レベルに対応する補充必要量を数値で示した表示手段を設けたことを特徴とする作業機の燃料タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機の燃料タンクにおいて、
前記油量確認ゲージと一体または別体に、前記液面レベルに対応するタンク内残油量を数値で示した表示手段をさらに設けたことを特徴とする作業機の燃料タンク。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の作業機の燃料タンクにおいて、
前記油量確認ゲージと補充必要量を示す表示手段をタンクの下部に配置したことを特徴とする作業機の燃料タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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