作業機
【課題】作業機の作業部をケース体に容易に収納できる作業機を提供する。
【解決手段】作業機10は、左右の支持延出部63,64の左右の水平延出部67,69を接地させることで作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立可能なスタンド手段24と、スタンド手段に取り付けられて耕耘爪15を収納可能なケース体26とを備える。ケース体26のうち左右の支持延出部63,64に対応する部位に左右の嵌合溝部83,84が設けられている。左右の嵌合溝部83,84が左右の支持延出部63,64に嵌合されることによりケース体26が左右の支持延出部63,64に載置される。
【解決手段】作業機10は、左右の支持延出部63,64の左右の水平延出部67,69を接地させることで作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立可能なスタンド手段24と、スタンド手段に取り付けられて耕耘爪15を収納可能なケース体26とを備える。ケース体26のうち左右の支持延出部63,64に対応する部位に左右の嵌合溝部83,84が設けられている。左右の嵌合溝部83,84が左右の支持延出部63,64に嵌合されることによりケース体26が左右の支持延出部63,64に載置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の下方に耕耘爪などの作業部を備え、作業部を覆うケース体を着脱可能に備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機を車両に積載して運搬する際に、作業部に付着した土砂が車両の床部に落下することを防ぐために、作業部を収納するキャリングケース(以下、「ケース体」という)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−212160号公報
【0003】
特許文献1のケース体は、上方が開口された上方開口部を備えるとともに箱状に形成されている。このケース体に作業部を収納する際には、作業機を持ち上げて作業部をケース体の上方に配置し、ケース体の上方開口部から作業部をケース体内に収納する。
このように、ケース体に作業部を収納した状態で、作業機を車両の床部に積載することで、作業部に付着した土砂が車両の床部に落下することを防ぐことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の作業機は、ケース体に作業部を収納する際に、作業機をケース体の上方まで持ち上げて作業部をケース体に収納する必要がある。
このように、作業機をケース体の上方まで持ち上げるため、ケース体に作業部を収納する場合に作業者に負担がかかり、この観点から改良の余地が残されていた。
【0005】
本発明は、作業機の作業部をケース体に容易に収納できる作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、機体の下方に作業部が設けられた作業機において、前記機体の下方に支持延出部が設けられ、前記支持延出部の水平延出部を接地させることで作業機を運搬姿勢や保管姿勢に自立可能なスタンド手段と、前記スタンド手段に取り付けられて前記作業部を収納可能な箱状のケース体と、を備え、前記ケース体のうち前記支持延出部に対応する部位に、前記支持延出部を前記ケース体の外方から嵌合可能な嵌合溝部が設けられ、前記嵌合溝部が前記支持延出部に嵌合されることにより前記ケース体が前記支持延出部に載置されることを特徴とする。
【0007】
請求項2は、前記嵌合溝部は、前記ケース体の底部から後壁部まで、または前記ケース体の底部から前壁部まで前記支持延出部に沿わせて延長され、前記ケース体を前記支持延出部に沿わせて回転させながら前記作業部および前記支持延出部間に差し込むことで、前記嵌合溝部を前記支持延出部に嵌合させることを特徴とする。
【0008】
請求項3は、前記スタンド手段に移動用の車輪を備え、前記車輪および前記水平延出部を接地させた状態で前記作業部を浮かすことを特徴とする。
【0009】
請求項4は、前記ケース体は、左右の側壁部のうち前部に、前記ケース体を前記支持延出部に着脱する際に把持可能にそれぞれ張り出された把持部と、前記左右の側壁部のうち後部に、前記把持部に対して前記ケース体の幅方向中心側にそれぞれ凹ませた干渉防止用の凹部と、が備えられたことを特徴とする。
【0010】
請求項5は、前記請求項1〜4のいずれか1項記載の作業機は耕耘機であって、前記耕耘機に抵抗棒を着脱自在に取付可能な抵抗棒取付孔を備え、前記抵抗棒取付孔に前記スタンド手段を着脱自在に取付可能としたことを特徴とする。
【0011】
請求項6は、前記ケース体の後壁部または前壁部のうち所定高さ位置に前記ケース体の水を排水可能な水抜孔が備えられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、スタンド手段および箱状のケース体を備えた。このスタンド手段の支持延出部を機体の下方に設け、この支持延出部を嵌合可能な嵌合溝部をケース体に設けた。
そして、ケース体の嵌合溝部を支持延出部に嵌合させることにより、ケース体を支持延出部に載置するようにした。
【0013】
よって、作業機を持ち上げることなく、支持延出部にケース体を載置することや、載置したケース体を支持延出部から取り外すことができる。
これにより、従来技術のように、作業機を持ち上げてケース体に収納する必要がないので、作業部をケース体に容易に収納することができ、作業部をケース体から容易に取り外すことができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、嵌合溝部を支持延出部に沿わせて、ケース体の底部から後壁部まで、またはケース体の底部から前壁部まで延長した。
そして、ケース体を支持延出部に沿わせて回転させながら作業部および支持延出部間に差し込むことで、嵌合溝部を支持延出部に嵌合させるようにした。
これにより、作業部をケース体に一層容易に収納することができ、作業部をケース体から一層容易に取り外すことができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、スタンド手段に移動用の車輪を備えた。
これにより、車輪を利用して作業機を容易に移動することが可能になり、使い勝手の向上を図ることができる。
【0016】
さらに、車輪および水平延出部を接地させた状態で作業部を浮かすようにした。
これにより、支持延出部にケース体を載置する作業や、載置したケース体を支持延出部から取り外す作業を一層容易におこなうことができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、左右の側壁部のうち前部から把持部を張り出した。把持部を把持することで、ケース体を支持延出部に容易に着脱することができる。
さらに、左右の側壁部のうち後部に干渉防止用の凹部をそれぞれ備えた。干渉防止用の凹部を備えることで、作業機を持ち上げる際に、作業者がケース体に干渉することを防ぐことができる。
【0018】
請求項5に係る発明では、作業機として耕耘機を採用し、耕耘機に備えた抵抗棒取付孔にスタンド手段を着脱自在に取付可能とした。
これにより、スタンド手段を取り付ける取付孔を、耕耘機に備える必要がなく部品数を抑えて構成の簡素化を図ることができる。
【0019】
請求項6に係る発明では、ケース体の後壁部のうち所定高さ位置に排水用の水抜孔を備えた。
水抜孔を所定高さ位置に備えることで、ケース体の内部空間において水抜孔より高い内部空間に水が溜まることを防止できる。
【0020】
さらに、水抜孔を後壁部の所定高さ位置に備えたので、水抜孔はケース体の底部より上方に位置する。よって、例えば、作業部から水滴がケース体の底部に滴下した場合に、滴下した水をケース体の内部に蓄えておくことができる。
これにより、作業部から滴下した水滴が、ケース体の内部から車両の床部に排水されることを阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
ここで、本実施の形態では作業機として歩行型耕耘機を例示するが、作業機は歩行型耕耘機に限定するものではない。
【0022】
図1は本発明に係る作業機に抵抗棒を取り付けた状態を示す側面図、図2は本発明に係る作業機にスタンド手段を取り付けた状態を示す側面図、図3は本発明に係る作業機にケース体を取り付けた状態を示す側面図である。
作業機10は、作業機本体(機体)11の上端部に搭載されたエンジン12と、エンジン12の下方に設けられた耕耘軸13と、耕耘軸13に設けられた複数の耕耘爪(作業部)15と、作業機本体11の支持ブラケット16から後上方へ向けて延出されたハンドルコラム18と、ハンドルコラム18の前端部18aに設けられた抵抗棒取付部20と、抵抗棒取付部20に着脱自在に取り付け可能な抵抗棒22およびスタンド手段24と、スタンド手段24に取り付けられたケース体26と、ハンドルコラム18の略中央に設けられた運搬用のキャリーハンドル28と、ハンドルコラム18の上端部に設けられた操作ハンドル29とを備えた歩行型耕耘機である。
【0023】
この作業機10は、エンジン12の動力を耕耘軸13に伝達し、耕耘軸13を回転することにより、複数の耕耘爪15で土壌を耕耘しながら走行する歩行型耕耘機である。
【0024】
図4は本発明に係る作業機に抵抗棒を取り付けた状態を示す斜視図、図5は図4の5矢視図である。
抵抗棒取付部20は、ハンドルコラム18の前端部18aに設けられた取付パイプ部31と、取付パイプ部31に取り付けられた着脱操作手段32とを備えている。
【0025】
取付パイプ部31は、抵抗棒取付孔33が同軸上に貫通された筒状体である。
この取付パイプ部31は、ハンドルコラム18の前端部18aに貫通した状態でハンドルコラム18に対して交差するように設けられ、鉛直線35に対して角度θ(図1も参照)で傾斜するように配置されることで車体後方に向けて下り勾配に配置されている。
この取付パイプ部31は、ハンドルコラム18の前端部18a上方に一対の係止孔31aが同軸上に形成されている。
【0026】
着脱操作手段32は、取付パイプ部31の上端部31bおよびハンドルコラム18の前端部18aに溶接されたブラケット37と、ブラケット37の上下の端部37a,37bに設けられたストッパ片38と、ブラケット37の折曲部39に貫通された筒状のカラー41と、カラー41に貫通されるとともに取付パイプ部31の係止孔31a,31aに差込可能な操作ロッド42と、ストッパ片38および折曲部39間に介在された圧縮ばね43とを備えている。
【0027】
ブラケット37は、上片44の端部37aが取付パイプ部31の上端部31bに溶接され、下辺45の端部37bがハンドルコラム18の前端部18aに溶接され、上片44および下辺45が折曲部39で連結されている。
このブラケット37は、上片44、下辺45および折曲部39で略U字状に形成されている。
【0028】
ストッパ片38は、上片44の端部37a近傍および下辺45の端部37b近傍に設けられ、略中央に貫通孔38aが形成されている。
カラー41は、貫通孔38aと同軸上に配置された状態で、折曲部39に貫通されるとともに固定されている。
【0029】
操作ロッド42は、カラー41、ストッパ片38の貫通孔38a、取付パイプ部31の係止孔31a,31aおよび抵抗棒22の取付孔22aに貫通された直線状のロッド本体42aと、ロッド本体42aに設けられてストッパ片38に当接可能なフランジ42bと、カラー41から外側に突出したロッド本体42aの基端部に設けられた取手部42cとを備えている。
【0030】
圧縮ばね43は、ブラケット37の折曲部39および操作ロッド42のフランジ42b間に配置されるとともに、操作ロッド42およびカラー41に嵌合されている。
【0031】
着脱操作手段32によれば、圧縮ばね43のばね力でフランジ42bを押圧してフランジ42bをストッパ片38に当接させることで、ロッド本体42aを取付パイプ部31の係止孔31a,31aおよび抵抗棒22の取付孔22aに差し込んだ状態に保持することができる。
これにより、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33に抵抗棒22を取り付けることができる。
抵抗棒取付孔33に抵抗棒22を取り付けることで、作業機(歩行型耕耘機)10で土壌を耕耘する際に、耕耘時の姿勢を抵抗棒で保持することができる。
【0032】
一方、取手部42cを矢印の如く右方向に引っ張ることで、フランジ42bが矢印方向に移動し、フランジ42bで圧縮ばね43を圧縮する。圧縮ばね43を圧縮することで、ロッド本体42aを取付パイプ部31の係止孔31a,31aおよび抵抗棒22の取付孔22aから抜き出すことができる。
これにより、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33から抵抗棒22を手間をかけないで簡単に取り付けることや外すことができる。
【0033】
図6は本発明に係る作業機にスタンド手段およびケース体を取り付けた状態を示す斜視図、図7は本発明に係る作業機からスタンド手段およびケース体を外した状態を示す斜視図である。
スタンド手段24は、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33に着脱自在に取付可能なポール部51と、ポール部51の下端部51aに設けられた取付ブラケット52と、取付ブラケット52の上端部52aに設けられたスタンド部材53と、スタンド部材53に取り付けられた抵抗棒保持部54と、取付ブラケット52の下端部52bに設けられた車輪55とを備えている。
【0034】
ポール部51は、抵抗棒取付孔33に下方から差込可能に形成された棒部材で、上端部51bに取付孔51cが設けられている。
取付孔51cは、操作ロッド42のロッド本体42aが貫通可能に形成されている。
抵抗棒取付孔33にポール部51を取り付けることで、取付パイプ部31にスタンド手段24を取り付けることができる。
【0035】
このように、図1に示すように、作業機10を耕耘機とすることで、耕耘機に備えた抵抗棒取付孔33を利用してスタンド手段24を着脱自在に取り付けることができる。
これにより、スタンド手段24を取り付けるために、専用の取付ブラケット(取付孔)を作業機(耕耘機)10に備える必要がなく部品数を抑えて簡素化を図ることができる。
【0036】
取付ブラケット52は、ポール部51の下端部51aに設けられた頂部57と、頂部57の左右端から下方に折り曲げられた左右の脚部58とを備えている。
左右の脚部58の上端部に受入凹部59,59が形成され、受入凹部59,59にスタンド部材53が設けられている。
また、左右の脚部58間に車輪55が配置され、車輪55が左右の脚部58の下端部に支持軸を介して回転自在に取り付けられている。
【0037】
図8は本発明に係るスタンド手段を示す斜視図である。
スタンド部材53は、ロッドを折り曲げて形成された部材である。
このスタンド部材53は、幅方向に略水平に延びた水平ロッド部62と、水平ロッド部62の左端部から前方に向けて延びた左支持延出部(支持延出部)63と、水平ロッド部62の右端部から前方に向けて下り勾配に延びた右支持延出部(支持延出部)64とを備えている。
このスタンド部材53は、平面視で略コ字状に形成されている。
【0038】
左支持延出部63は、水平ロッド部62の左端部から前方に向けて下り勾配に延びた左傾斜延出部66と、左傾斜延出部66の下端部から前方に向けて水平に延びた左水平延出部(水平延出部)67とを備えている。
右支持延出部64は、水平ロッド部62の右端部から前方に向けて下り勾配に延びた右傾斜延出部68と、右傾斜延出部68の下端部から前方に向けて水平に延びた右水平延出部(水平延出部)69とを備えている。
【0039】
左右の水平延出部67,69は、図2に示す作業機本体11の下方に設けられた耕耘爪15の下方に(回り込むように)延出されている。
回り込んだ左右の水平延出部67,69は、耕耘爪15の下端15aに対して距離H1(図2参照)だけ下方に配置されている。
よって、図2に示すように、左右の水平延出部67,69を接地させた状態で、耕耘爪15を浮かせた状態に保持することができる。
【0040】
抵抗棒保持部54は、抵抗棒22を保持するパイプ(筒状部材)で、スタンド部材53の左傾斜延出部66に設けられるとともに下端部54aが凹状に潰されている。
下端部54aを凹状に潰すことで、抵抗棒22の上端部22bが抵抗棒保持部54に差し込まれた状態に保持される。
これにより、抵抗棒保持部54で抵抗棒22を保持することができる。
【0041】
スタンド手段24によれば、抵抗棒取付孔33から抵抗棒22を外した状態で、ポール部51を抵抗棒取付孔33に取り付けることで、図2に示すように左右の水平延出部67,69および車輪55を接地させることができる。
スタンド手段24単独で作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立させた状態に保つことができる。
【0042】
ここで、前述したように、左右の水平延出部67,69は、耕耘爪15の下端15aに対して距離H1(図2参照)だけ下方に配置されている。
よって、図2に示すように、左右の水平延出部67,69を接地させた状態において、耕耘爪15を浮かせた状態で作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立させた状態に保つことができる。
これにより、耕耘爪15の交換作業や耕耘爪15の修理・洗浄作業などを手間をかけないでおこなうことが可能になり、作業性の向上を図ることができる。
【0043】
また、スタンド手段24によれば、スタンド手段24に移動用の車輪55を備えた。
これにより、車輪55を利用して作業機10を容易に移動することが可能になり、使い勝手の向上を図ることができる。
【0044】
さらに、移動用の車輪55を用いて作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立させた状態に保つことができる。
このように、移動用の車輪55を、作業機10を自立状態に保持する部材として兼用することで、スタンド手段24の簡素化を図ることができる。
【0045】
図6、図7に戻って、ケース体26は、スタンド手段24のスタンド部材53(具体的には、左右の支持延出部63,64)に取り付けられ、図1に示す耕耘爪15を収納可能なケースである。
耕耘爪15をケース体26で収納することで、耕耘爪15から落ちた土砂をケース体26内に蓄えることができる。
これにより、作業機10を車両で運搬する際に、車両の床部を耕耘爪15から落ちた土砂で汚すことを防止できる。
【0046】
このケース体26は、略矩形状に形成された底部71と、底部71の前辺から上方に立ち上げられた前壁部72と、底部71の後辺から上方に立ち上げられた後壁部73と、底部71の左辺から上方に立ち上げられた左側壁部74と、底部71の右辺から上方に立ち上げられた右側壁部75とを備えている。
このケース体26は、底部71、前壁部72、後壁部73、左側壁部74および右側壁部75で箱状に形成されている。
【0047】
底部71は、略矩状に形成された水平の部位である。
前壁部72は、底部71の前辺から前方に向けて上り勾配で傾斜された壁部である。
後壁部73は、底部71の後辺から後方に向けて上り勾配で傾斜された壁部である。
【0048】
左側壁部74は、底部71の左辺から略鉛直に立ち上げられた側壁である。
左側壁部74の上辺77は、後方に向けて上り勾配に形成された上前辺77aと、上前辺77aの上端から後方に向けて略水平に形成された上中央辺77b、上中央辺77bの後端から後方に向けて下り勾配に形成された上後辺77cとを有する。
すなわち、上辺77は、上中央辺77bを略水平、上前辺77aおよび上後辺77cを傾斜状とすることで略富士山型に形成されている。
【0049】
この左側壁部74は、上前辺(左側壁部のうち前部)77aから外側に張り出された把持部78と、上中央辺77bおよび上後辺(左側壁部のうち後部)77cから外側に張り出されたフランジ部79とを有している。
把持部78は、作業者が把持可能に張出幅W1で比較的大きく外側に張り出されている。
【0050】
図9は本発明に係る作業機にケース体を取り付けた状態を示す平面図である。
フランジ部79は、把持部78の張出幅W1に対して幅寸法が小さい張出幅W2で張り出されている。
よって、上中央辺77bおよび上後辺77cに、把持部78に対してケース体26の幅方向中心側に凹ませた干渉防止用の凹部81が形成されている。
【0051】
右側壁部75は、底部71の右辺から略鉛直に立ち上げられた側壁である。
右側壁部75は、左側壁部74と左右対称の側壁部なので、右側壁部75の各構成部位に左側壁部74と同じ符号を付して説明を省略する。
【0052】
左右の側壁部74,75の上前辺77aに左右の把持部78を備えることで、左右の把持部78を作業者が把持してケース体26を容易に持ち上げることができる。
さらに、左右の側壁部74,75の上中央辺77bおよび上後辺77cに干渉防止用の左右の凹部81を備えることで、作業機10を持ち上げる際に、作業者がケース体26に干渉することを防ぐことができる。
【0053】
図10は本発明に係るケース体を示す斜視図、図11は本発明に係る作業機を示す背面図である。
ケース体26は、底部71および後壁部73において、左右の支持延出部63,64に対応する部位に、左右の支持延出部63,64をケース体26の外方から嵌合可能な左右の嵌合溝部(嵌合溝部)83,84が設けられている。
【0054】
左嵌合溝部83は、底部71の左側辺近傍から後壁部73の左側辺近傍に亘って左側壁部74(すなわち、左支持延出部63)に沿って延出するように側面視略く字状に形成されている。
左嵌合溝部83には、左支持延出部63がケース体26の外方から嵌合可能に凹状に形成されている。
【0055】
右嵌合溝部84は、底部71の右側辺近傍から後壁部73の右側辺近傍に亘って右側壁部75(すなわち、右支持延出部64)に沿って延出するように側面視略く字状に形成されている。
右嵌合溝部84には、右支持延出部64がケース体26の外方から嵌合可能に凹状に形成されている。
【0056】
左嵌合溝部83が左支持延出部63に嵌合されるとともに、右嵌合溝部84が右支持延出部64に嵌合されることにより、ケース体26が左右の支持延出部63,64に上方から載置される。
【0057】
よって、作業機10を持ち上げることなく、左右の支持延出部63,64にケース体26を載置することや、載置したケース体26を左右の支持延出部63,64から取り外すことができる。
これにより、作業機10を持ち上げてケース体26に収納する必要がないので、耕耘爪15をケース体26に容易に収納することができ、耕耘爪15をケース体26から容易に取り外すことができる。
【0058】
さらに、スタンド手段24は、左右の水平延出部67,69を接地させた状態において、耕耘爪15を浮かせた状態で作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立させた状態に保つことができる。
よって、ケース体26を左右の支持延出部63,64に沿わせて回転させながら耕耘爪15および左右の支持延出部63,64間に差し込むことで、左嵌合溝部83が左支持延出部63に嵌合されるとともに、右嵌合溝部84が右支持延出部64に嵌合される。
これにより、耕耘爪15をケース体26に一層容易に収納することができ、耕耘爪15をケース体26から一層容易に取り外すことができる。
【0059】
加えて、前述したように、左右の側壁部74,75の上前辺77aに左右の把持部78を備えている。これにより、左右の把持部78を作業者が把持して、ケース体26をスタンド部材53(左右の支持延出部63,64(図7参照))に一層容易に着脱することができる。
【0060】
後壁部73は、底部71から所定高さ位置H2の部位に一対の水抜孔86が備えられている。
一対の水抜孔86は、左右の補強リブ87間に一定の間隔をおいて水平に配置され、ケース体26の内部空間88の水を排水可能な孔である。
これにより、一対の水抜孔86を所定高さ位置H2に備えることで、ケース体26の内部空間88において一対の水抜孔86より高い空間に水が溜まることを防止できる。
【0061】
さらに、一対の水抜孔86を後壁部73の所定高さ位置H2に備えたので、一対の水抜孔86はケース体26の底部71より上方に位置する。
よって、例えば、作業機10から水滴がケース体26の底部71に滴下した場合に、滴下した水をケース体26の底部71に蓄えておくことができる。
これにより、耕耘爪15から滴下した水滴が、ケース体26の内部空間88から車両の床部に排水されることを阻止することができる。
【0062】
ところで、ケース体26は、スタンド手段24の車輪55を軸にして作業機10(図1参照)を後傾させることで、一対の水抜孔86を最下位置に容易に配置できる。
よって、ケース体26の内部空間88において一対の水抜孔86より低い空間に水が溜まった場合、作業機10を後傾させて一対の水抜孔86を最下位置に配置することで、ケース体26の水を容易に排水することができる。
【0063】
図9に戻って、キャリーハンドル28は、図1に示すようにハンドルコラム18の略中央に設けられ、作業機10を運ぶために握る(把持する)左右のグリップ部46,47および中央グリップ部48が設けられている。
作業機10を運ぶために、例えば、作業機10の左右側(ケース体26の左右側)に各作業者が立ち、各作業者が左グリップ部46および右グリップ部47をそれぞれ把持し、左右のグリップ部46,47を持ち上げて作業機10を運ぶ。
または、作業機10の左右側(ケース体26の左右側)の一方に1人の作業者が立ち、中央グリップ部48を把持し、中央グリップ部48を持ち上げて作業機10を運ぶ。
【0064】
このため、作業機10を運ぶ際に、作業者がケース体26の左右側、または一側に立つことになる。このため、左右の側壁部74,75の上中央辺77bおよび上後辺77cからフランジを大きく張り出すと、フランジに作業者が干渉することが考えられる。
そこで、前述したように、左右の側壁部74,75の上中央辺77bおよび上後辺77cに干渉防止用の左右の凹部81を備えた。
これにより、作業機10を持ち上げる際に、作業者がケース体26に干渉することを防ぐことができる。
【0065】
ここで、前述したように、ケース体26の水抜孔86は後壁部73に備えられている。
一方、作業機10を運ぶ際に、作業者はケース体26の左右側に位置する。
これにより、作業機10を運ぶ際に、水抜孔86から排水された水が作業者にかからないようにできる。
【0066】
つぎに、作業機10から抵抗棒22を外してスタンド手段24を取り付ける手順を図12〜図14に基づいて説明する。
図12(a),(b)は本発明に係る作業機から抵抗棒を外す手順を説明する図である。
(a)において、作業機10を耕耘軸13を軸にして矢印Aの如く前側に倒すことによりガード部材27を接地させる。ガード部材27および耕耘爪15が接地することで、作業機10が前傾した状態に保持される。
作業機10が前傾することで、取付パイプ部31の下端部31cが後方を向いて配置され、抵抗棒22が横向きに浮いた状態に保たれる。
【0067】
(b)において、図5に示す着脱操作手段32の操作ロッド42(具体的には、取手部42c)を操作することで、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33(図5参照)から抵抗棒22を矢印Bの如く外す。
【0068】
図13(a),(b)は本発明に係る作業機にスタンド手段を取り付ける手順を説明する図である。
(a)において、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33(図5参照)にスタンド手段24のポール部51を矢印Cの如く差し込む。ポール部51を差し込んだ状態で、図5に示す操作ロッド42(取手部42c)を操作して取付パイプ部31にポール部51を取り付ける。
【0069】
(b)において、作業機10を矢印Dの如く運搬姿勢や保管姿勢に自立させる位置に戻すことにより、スタンド手段24に備えた左右の水平延出部67,69および車輪55を接地させる。左右の水平延出部67,69および車輪55を接地させることで、スタンド手段24で作業機10が運搬姿勢や保管姿勢で自立状態に保たれる。
取付パイプ部31から外した抵抗棒22を抵抗棒保持部54に矢印Eの如く取り付ける。
【0070】
図14は本発明に係る作業機をスタンド手段で自立させた状態を示す図である。
左右の水平延出部67,69は、耕耘爪15の下端15aに対して距離H1だけ下方に配置されている。よって、左右の水平延出部67,69および車輪55を接地させることで、耕耘爪15を浮かせた状態に保つことができる。
【0071】
つぎに、スタンド手段24にケース体26を取り付ける手順を図15に基づいて説明する。
図15(a),(b)は本発明に係る作業機にケース体を取り付ける手順を説明する図である。
(a)において、ケース体26の左右の把持部78(図6も参照)を掴んで、ケース体26を矢印Fの如く後傾させて後壁部73を水平に配置する。この状態で、ケース体26を矢印Gの如く移動させて、後壁部73を左右の水平延出部67,69と耕耘爪15との間に差し込む。
ケース体26の左右の把持部78を掴むことで、ケース体26を差し込む作業を手間をかけないで容易におこなうことができる。
ケース体26を差し込むことで、左水平延出部67に左嵌合溝部83が嵌合するとともに、右水平延出部69に右嵌合溝部84が嵌合する。
【0072】
ケース体26の後壁部73を、左右の傾斜延出部66,68と耕耘爪15との間に差し込む。
左傾斜延出部66に左嵌合溝部83が嵌合するとともに、右傾斜延出部68に右嵌合溝部84が嵌合する。
【0073】
(b)において、ケース体26の後壁部73(図15(a)参照)を、左右の水平延出部67,69に沿って移動し、その後、左右の傾斜延出部66,68に沿って移動することで、ケース体26が矢印Iの如く回転する。
ケース体26が矢印Iの如く回転することで、左支持延出部63に左嵌合溝部83が嵌合するとともに、右支持延出部64に右嵌合溝部84が嵌合する。
【0074】
ケース体26が矢印Iの如く回転することで、ケース体26の底部71が水平に配置されて接地する。
この状態で、ケース体26がスタンド部材53(具体的には、左右の支持延出部63,64)に載置された状態で取り付けられる。
【0075】
なお、本発明に係る作業機は、前述した実施の形態に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施の形態では、作業機として歩行型耕耘機を例示したが、作業機はこれに限定するものではなく、芝刈機などの他の作業機に適用することも可能である。
【0076】
また、前記実施の形態では、作業機10をスタンド手段24で自立状態に保持した際に耕耘爪15を浮かせる例について説明したが、これに限らないで、耕耘爪15を浮かせないように構成することも可能である。
【0077】
さらに、前記実施の形態では、スタンド部材53に左右の支持延出部63,64を備えた例について説明したが、支持延出部の本数は2本に限定するものではない。
例えば、スタンド部材53に一本の支持延出部を備え、一本の支持延出部を略T字状に形成することも可能である。
【0078】
また、前記実施の形態では、左右の嵌合溝部83,84をケース体26の底部71から後壁部73まで延ばした例について説明したが、これに限らないで、左右の嵌合溝部83,84をケース体26の底部71から前壁部72まで延ばすことも可能である。
【0079】
さらに、前記実施の形態では、ケース体26の後壁部73に水抜孔86を備えた例について説明したが、これに限らないで、ケース体26の前壁部72に水抜孔を備えることも可能である。
【0080】
また、前記実施の形態で示した作業機本体11、耕耘爪15、抵抗棒22、スタンド手段24、ケース体26、取付パイプ部31、抵抗棒取付孔33、車輪55、左右の支持延出部63,64、左右の水平延出部67,69、底部71、前壁部72、後壁部73、左右の側壁部74,75、左右の把持部78、左右の凹部81、左右の嵌合溝部83,84および水抜孔86などは例示した形状に限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、機体の下方に耕耘爪などの作業部を備え、作業部を覆うケース体を着脱可能に備えた作業機への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る作業機に抵抗棒を取り付けた状態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る作業機にスタンド手段を取り付けた状態を示す側面図である。
【図3】本発明に係る作業機にケース体を取り付けた状態を示す側面図である。
【図4】本発明に係る作業機に抵抗棒を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図4の5矢視図である。
【図6】本発明に係る作業機にスタンド手段およびケース体を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る作業機からスタンド手段およびケース体を外した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るスタンド手段を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る作業機にケース体を取り付けた状態を示す平面図である。
【図10】本発明に係るケース体を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る作業機を示す背面図である。
【図12】本発明に係る作業機から抵抗棒を外す手順を説明する図である。
【図13】本発明に係る作業機にスタンド手段を取り付ける手順を説明する図である。
【図14】本発明に係る作業機をスタンド手段で自立させた状態を示す図である。
【図15】本発明に係る作業機にケース体を取り付ける手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0083】
10…作業機、11…作業機本体(機体)、15…耕耘爪(作業部)、22…抵抗棒、24…スタンド手段、26…ケース体、31…取付パイプ部、33…抵抗棒取付孔、55…車輪、63,64…左右の支持延出部(支持延出部)、67,69…左右の水平延出部(水平延出部)、71…底部、72…前壁部、73…後壁部、74,75…左右の側壁部、77a…上前辺(左側壁部のうち前部)、77c…上後辺(左側壁部のうち後部)、78…左右の把持部(把持部)、81…左右の凹部(凹部)、83,84…左右の嵌合溝部(嵌合溝部)、86…水抜孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の下方に耕耘爪などの作業部を備え、作業部を覆うケース体を着脱可能に備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機を車両に積載して運搬する際に、作業部に付着した土砂が車両の床部に落下することを防ぐために、作業部を収納するキャリングケース(以下、「ケース体」という)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−212160号公報
【0003】
特許文献1のケース体は、上方が開口された上方開口部を備えるとともに箱状に形成されている。このケース体に作業部を収納する際には、作業機を持ち上げて作業部をケース体の上方に配置し、ケース体の上方開口部から作業部をケース体内に収納する。
このように、ケース体に作業部を収納した状態で、作業機を車両の床部に積載することで、作業部に付着した土砂が車両の床部に落下することを防ぐことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の作業機は、ケース体に作業部を収納する際に、作業機をケース体の上方まで持ち上げて作業部をケース体に収納する必要がある。
このように、作業機をケース体の上方まで持ち上げるため、ケース体に作業部を収納する場合に作業者に負担がかかり、この観点から改良の余地が残されていた。
【0005】
本発明は、作業機の作業部をケース体に容易に収納できる作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、機体の下方に作業部が設けられた作業機において、前記機体の下方に支持延出部が設けられ、前記支持延出部の水平延出部を接地させることで作業機を運搬姿勢や保管姿勢に自立可能なスタンド手段と、前記スタンド手段に取り付けられて前記作業部を収納可能な箱状のケース体と、を備え、前記ケース体のうち前記支持延出部に対応する部位に、前記支持延出部を前記ケース体の外方から嵌合可能な嵌合溝部が設けられ、前記嵌合溝部が前記支持延出部に嵌合されることにより前記ケース体が前記支持延出部に載置されることを特徴とする。
【0007】
請求項2は、前記嵌合溝部は、前記ケース体の底部から後壁部まで、または前記ケース体の底部から前壁部まで前記支持延出部に沿わせて延長され、前記ケース体を前記支持延出部に沿わせて回転させながら前記作業部および前記支持延出部間に差し込むことで、前記嵌合溝部を前記支持延出部に嵌合させることを特徴とする。
【0008】
請求項3は、前記スタンド手段に移動用の車輪を備え、前記車輪および前記水平延出部を接地させた状態で前記作業部を浮かすことを特徴とする。
【0009】
請求項4は、前記ケース体は、左右の側壁部のうち前部に、前記ケース体を前記支持延出部に着脱する際に把持可能にそれぞれ張り出された把持部と、前記左右の側壁部のうち後部に、前記把持部に対して前記ケース体の幅方向中心側にそれぞれ凹ませた干渉防止用の凹部と、が備えられたことを特徴とする。
【0010】
請求項5は、前記請求項1〜4のいずれか1項記載の作業機は耕耘機であって、前記耕耘機に抵抗棒を着脱自在に取付可能な抵抗棒取付孔を備え、前記抵抗棒取付孔に前記スタンド手段を着脱自在に取付可能としたことを特徴とする。
【0011】
請求項6は、前記ケース体の後壁部または前壁部のうち所定高さ位置に前記ケース体の水を排水可能な水抜孔が備えられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、スタンド手段および箱状のケース体を備えた。このスタンド手段の支持延出部を機体の下方に設け、この支持延出部を嵌合可能な嵌合溝部をケース体に設けた。
そして、ケース体の嵌合溝部を支持延出部に嵌合させることにより、ケース体を支持延出部に載置するようにした。
【0013】
よって、作業機を持ち上げることなく、支持延出部にケース体を載置することや、載置したケース体を支持延出部から取り外すことができる。
これにより、従来技術のように、作業機を持ち上げてケース体に収納する必要がないので、作業部をケース体に容易に収納することができ、作業部をケース体から容易に取り外すことができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、嵌合溝部を支持延出部に沿わせて、ケース体の底部から後壁部まで、またはケース体の底部から前壁部まで延長した。
そして、ケース体を支持延出部に沿わせて回転させながら作業部および支持延出部間に差し込むことで、嵌合溝部を支持延出部に嵌合させるようにした。
これにより、作業部をケース体に一層容易に収納することができ、作業部をケース体から一層容易に取り外すことができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、スタンド手段に移動用の車輪を備えた。
これにより、車輪を利用して作業機を容易に移動することが可能になり、使い勝手の向上を図ることができる。
【0016】
さらに、車輪および水平延出部を接地させた状態で作業部を浮かすようにした。
これにより、支持延出部にケース体を載置する作業や、載置したケース体を支持延出部から取り外す作業を一層容易におこなうことができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、左右の側壁部のうち前部から把持部を張り出した。把持部を把持することで、ケース体を支持延出部に容易に着脱することができる。
さらに、左右の側壁部のうち後部に干渉防止用の凹部をそれぞれ備えた。干渉防止用の凹部を備えることで、作業機を持ち上げる際に、作業者がケース体に干渉することを防ぐことができる。
【0018】
請求項5に係る発明では、作業機として耕耘機を採用し、耕耘機に備えた抵抗棒取付孔にスタンド手段を着脱自在に取付可能とした。
これにより、スタンド手段を取り付ける取付孔を、耕耘機に備える必要がなく部品数を抑えて構成の簡素化を図ることができる。
【0019】
請求項6に係る発明では、ケース体の後壁部のうち所定高さ位置に排水用の水抜孔を備えた。
水抜孔を所定高さ位置に備えることで、ケース体の内部空間において水抜孔より高い内部空間に水が溜まることを防止できる。
【0020】
さらに、水抜孔を後壁部の所定高さ位置に備えたので、水抜孔はケース体の底部より上方に位置する。よって、例えば、作業部から水滴がケース体の底部に滴下した場合に、滴下した水をケース体の内部に蓄えておくことができる。
これにより、作業部から滴下した水滴が、ケース体の内部から車両の床部に排水されることを阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
ここで、本実施の形態では作業機として歩行型耕耘機を例示するが、作業機は歩行型耕耘機に限定するものではない。
【0022】
図1は本発明に係る作業機に抵抗棒を取り付けた状態を示す側面図、図2は本発明に係る作業機にスタンド手段を取り付けた状態を示す側面図、図3は本発明に係る作業機にケース体を取り付けた状態を示す側面図である。
作業機10は、作業機本体(機体)11の上端部に搭載されたエンジン12と、エンジン12の下方に設けられた耕耘軸13と、耕耘軸13に設けられた複数の耕耘爪(作業部)15と、作業機本体11の支持ブラケット16から後上方へ向けて延出されたハンドルコラム18と、ハンドルコラム18の前端部18aに設けられた抵抗棒取付部20と、抵抗棒取付部20に着脱自在に取り付け可能な抵抗棒22およびスタンド手段24と、スタンド手段24に取り付けられたケース体26と、ハンドルコラム18の略中央に設けられた運搬用のキャリーハンドル28と、ハンドルコラム18の上端部に設けられた操作ハンドル29とを備えた歩行型耕耘機である。
【0023】
この作業機10は、エンジン12の動力を耕耘軸13に伝達し、耕耘軸13を回転することにより、複数の耕耘爪15で土壌を耕耘しながら走行する歩行型耕耘機である。
【0024】
図4は本発明に係る作業機に抵抗棒を取り付けた状態を示す斜視図、図5は図4の5矢視図である。
抵抗棒取付部20は、ハンドルコラム18の前端部18aに設けられた取付パイプ部31と、取付パイプ部31に取り付けられた着脱操作手段32とを備えている。
【0025】
取付パイプ部31は、抵抗棒取付孔33が同軸上に貫通された筒状体である。
この取付パイプ部31は、ハンドルコラム18の前端部18aに貫通した状態でハンドルコラム18に対して交差するように設けられ、鉛直線35に対して角度θ(図1も参照)で傾斜するように配置されることで車体後方に向けて下り勾配に配置されている。
この取付パイプ部31は、ハンドルコラム18の前端部18a上方に一対の係止孔31aが同軸上に形成されている。
【0026】
着脱操作手段32は、取付パイプ部31の上端部31bおよびハンドルコラム18の前端部18aに溶接されたブラケット37と、ブラケット37の上下の端部37a,37bに設けられたストッパ片38と、ブラケット37の折曲部39に貫通された筒状のカラー41と、カラー41に貫通されるとともに取付パイプ部31の係止孔31a,31aに差込可能な操作ロッド42と、ストッパ片38および折曲部39間に介在された圧縮ばね43とを備えている。
【0027】
ブラケット37は、上片44の端部37aが取付パイプ部31の上端部31bに溶接され、下辺45の端部37bがハンドルコラム18の前端部18aに溶接され、上片44および下辺45が折曲部39で連結されている。
このブラケット37は、上片44、下辺45および折曲部39で略U字状に形成されている。
【0028】
ストッパ片38は、上片44の端部37a近傍および下辺45の端部37b近傍に設けられ、略中央に貫通孔38aが形成されている。
カラー41は、貫通孔38aと同軸上に配置された状態で、折曲部39に貫通されるとともに固定されている。
【0029】
操作ロッド42は、カラー41、ストッパ片38の貫通孔38a、取付パイプ部31の係止孔31a,31aおよび抵抗棒22の取付孔22aに貫通された直線状のロッド本体42aと、ロッド本体42aに設けられてストッパ片38に当接可能なフランジ42bと、カラー41から外側に突出したロッド本体42aの基端部に設けられた取手部42cとを備えている。
【0030】
圧縮ばね43は、ブラケット37の折曲部39および操作ロッド42のフランジ42b間に配置されるとともに、操作ロッド42およびカラー41に嵌合されている。
【0031】
着脱操作手段32によれば、圧縮ばね43のばね力でフランジ42bを押圧してフランジ42bをストッパ片38に当接させることで、ロッド本体42aを取付パイプ部31の係止孔31a,31aおよび抵抗棒22の取付孔22aに差し込んだ状態に保持することができる。
これにより、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33に抵抗棒22を取り付けることができる。
抵抗棒取付孔33に抵抗棒22を取り付けることで、作業機(歩行型耕耘機)10で土壌を耕耘する際に、耕耘時の姿勢を抵抗棒で保持することができる。
【0032】
一方、取手部42cを矢印の如く右方向に引っ張ることで、フランジ42bが矢印方向に移動し、フランジ42bで圧縮ばね43を圧縮する。圧縮ばね43を圧縮することで、ロッド本体42aを取付パイプ部31の係止孔31a,31aおよび抵抗棒22の取付孔22aから抜き出すことができる。
これにより、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33から抵抗棒22を手間をかけないで簡単に取り付けることや外すことができる。
【0033】
図6は本発明に係る作業機にスタンド手段およびケース体を取り付けた状態を示す斜視図、図7は本発明に係る作業機からスタンド手段およびケース体を外した状態を示す斜視図である。
スタンド手段24は、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33に着脱自在に取付可能なポール部51と、ポール部51の下端部51aに設けられた取付ブラケット52と、取付ブラケット52の上端部52aに設けられたスタンド部材53と、スタンド部材53に取り付けられた抵抗棒保持部54と、取付ブラケット52の下端部52bに設けられた車輪55とを備えている。
【0034】
ポール部51は、抵抗棒取付孔33に下方から差込可能に形成された棒部材で、上端部51bに取付孔51cが設けられている。
取付孔51cは、操作ロッド42のロッド本体42aが貫通可能に形成されている。
抵抗棒取付孔33にポール部51を取り付けることで、取付パイプ部31にスタンド手段24を取り付けることができる。
【0035】
このように、図1に示すように、作業機10を耕耘機とすることで、耕耘機に備えた抵抗棒取付孔33を利用してスタンド手段24を着脱自在に取り付けることができる。
これにより、スタンド手段24を取り付けるために、専用の取付ブラケット(取付孔)を作業機(耕耘機)10に備える必要がなく部品数を抑えて簡素化を図ることができる。
【0036】
取付ブラケット52は、ポール部51の下端部51aに設けられた頂部57と、頂部57の左右端から下方に折り曲げられた左右の脚部58とを備えている。
左右の脚部58の上端部に受入凹部59,59が形成され、受入凹部59,59にスタンド部材53が設けられている。
また、左右の脚部58間に車輪55が配置され、車輪55が左右の脚部58の下端部に支持軸を介して回転自在に取り付けられている。
【0037】
図8は本発明に係るスタンド手段を示す斜視図である。
スタンド部材53は、ロッドを折り曲げて形成された部材である。
このスタンド部材53は、幅方向に略水平に延びた水平ロッド部62と、水平ロッド部62の左端部から前方に向けて延びた左支持延出部(支持延出部)63と、水平ロッド部62の右端部から前方に向けて下り勾配に延びた右支持延出部(支持延出部)64とを備えている。
このスタンド部材53は、平面視で略コ字状に形成されている。
【0038】
左支持延出部63は、水平ロッド部62の左端部から前方に向けて下り勾配に延びた左傾斜延出部66と、左傾斜延出部66の下端部から前方に向けて水平に延びた左水平延出部(水平延出部)67とを備えている。
右支持延出部64は、水平ロッド部62の右端部から前方に向けて下り勾配に延びた右傾斜延出部68と、右傾斜延出部68の下端部から前方に向けて水平に延びた右水平延出部(水平延出部)69とを備えている。
【0039】
左右の水平延出部67,69は、図2に示す作業機本体11の下方に設けられた耕耘爪15の下方に(回り込むように)延出されている。
回り込んだ左右の水平延出部67,69は、耕耘爪15の下端15aに対して距離H1(図2参照)だけ下方に配置されている。
よって、図2に示すように、左右の水平延出部67,69を接地させた状態で、耕耘爪15を浮かせた状態に保持することができる。
【0040】
抵抗棒保持部54は、抵抗棒22を保持するパイプ(筒状部材)で、スタンド部材53の左傾斜延出部66に設けられるとともに下端部54aが凹状に潰されている。
下端部54aを凹状に潰すことで、抵抗棒22の上端部22bが抵抗棒保持部54に差し込まれた状態に保持される。
これにより、抵抗棒保持部54で抵抗棒22を保持することができる。
【0041】
スタンド手段24によれば、抵抗棒取付孔33から抵抗棒22を外した状態で、ポール部51を抵抗棒取付孔33に取り付けることで、図2に示すように左右の水平延出部67,69および車輪55を接地させることができる。
スタンド手段24単独で作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立させた状態に保つことができる。
【0042】
ここで、前述したように、左右の水平延出部67,69は、耕耘爪15の下端15aに対して距離H1(図2参照)だけ下方に配置されている。
よって、図2に示すように、左右の水平延出部67,69を接地させた状態において、耕耘爪15を浮かせた状態で作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立させた状態に保つことができる。
これにより、耕耘爪15の交換作業や耕耘爪15の修理・洗浄作業などを手間をかけないでおこなうことが可能になり、作業性の向上を図ることができる。
【0043】
また、スタンド手段24によれば、スタンド手段24に移動用の車輪55を備えた。
これにより、車輪55を利用して作業機10を容易に移動することが可能になり、使い勝手の向上を図ることができる。
【0044】
さらに、移動用の車輪55を用いて作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立させた状態に保つことができる。
このように、移動用の車輪55を、作業機10を自立状態に保持する部材として兼用することで、スタンド手段24の簡素化を図ることができる。
【0045】
図6、図7に戻って、ケース体26は、スタンド手段24のスタンド部材53(具体的には、左右の支持延出部63,64)に取り付けられ、図1に示す耕耘爪15を収納可能なケースである。
耕耘爪15をケース体26で収納することで、耕耘爪15から落ちた土砂をケース体26内に蓄えることができる。
これにより、作業機10を車両で運搬する際に、車両の床部を耕耘爪15から落ちた土砂で汚すことを防止できる。
【0046】
このケース体26は、略矩形状に形成された底部71と、底部71の前辺から上方に立ち上げられた前壁部72と、底部71の後辺から上方に立ち上げられた後壁部73と、底部71の左辺から上方に立ち上げられた左側壁部74と、底部71の右辺から上方に立ち上げられた右側壁部75とを備えている。
このケース体26は、底部71、前壁部72、後壁部73、左側壁部74および右側壁部75で箱状に形成されている。
【0047】
底部71は、略矩状に形成された水平の部位である。
前壁部72は、底部71の前辺から前方に向けて上り勾配で傾斜された壁部である。
後壁部73は、底部71の後辺から後方に向けて上り勾配で傾斜された壁部である。
【0048】
左側壁部74は、底部71の左辺から略鉛直に立ち上げられた側壁である。
左側壁部74の上辺77は、後方に向けて上り勾配に形成された上前辺77aと、上前辺77aの上端から後方に向けて略水平に形成された上中央辺77b、上中央辺77bの後端から後方に向けて下り勾配に形成された上後辺77cとを有する。
すなわち、上辺77は、上中央辺77bを略水平、上前辺77aおよび上後辺77cを傾斜状とすることで略富士山型に形成されている。
【0049】
この左側壁部74は、上前辺(左側壁部のうち前部)77aから外側に張り出された把持部78と、上中央辺77bおよび上後辺(左側壁部のうち後部)77cから外側に張り出されたフランジ部79とを有している。
把持部78は、作業者が把持可能に張出幅W1で比較的大きく外側に張り出されている。
【0050】
図9は本発明に係る作業機にケース体を取り付けた状態を示す平面図である。
フランジ部79は、把持部78の張出幅W1に対して幅寸法が小さい張出幅W2で張り出されている。
よって、上中央辺77bおよび上後辺77cに、把持部78に対してケース体26の幅方向中心側に凹ませた干渉防止用の凹部81が形成されている。
【0051】
右側壁部75は、底部71の右辺から略鉛直に立ち上げられた側壁である。
右側壁部75は、左側壁部74と左右対称の側壁部なので、右側壁部75の各構成部位に左側壁部74と同じ符号を付して説明を省略する。
【0052】
左右の側壁部74,75の上前辺77aに左右の把持部78を備えることで、左右の把持部78を作業者が把持してケース体26を容易に持ち上げることができる。
さらに、左右の側壁部74,75の上中央辺77bおよび上後辺77cに干渉防止用の左右の凹部81を備えることで、作業機10を持ち上げる際に、作業者がケース体26に干渉することを防ぐことができる。
【0053】
図10は本発明に係るケース体を示す斜視図、図11は本発明に係る作業機を示す背面図である。
ケース体26は、底部71および後壁部73において、左右の支持延出部63,64に対応する部位に、左右の支持延出部63,64をケース体26の外方から嵌合可能な左右の嵌合溝部(嵌合溝部)83,84が設けられている。
【0054】
左嵌合溝部83は、底部71の左側辺近傍から後壁部73の左側辺近傍に亘って左側壁部74(すなわち、左支持延出部63)に沿って延出するように側面視略く字状に形成されている。
左嵌合溝部83には、左支持延出部63がケース体26の外方から嵌合可能に凹状に形成されている。
【0055】
右嵌合溝部84は、底部71の右側辺近傍から後壁部73の右側辺近傍に亘って右側壁部75(すなわち、右支持延出部64)に沿って延出するように側面視略く字状に形成されている。
右嵌合溝部84には、右支持延出部64がケース体26の外方から嵌合可能に凹状に形成されている。
【0056】
左嵌合溝部83が左支持延出部63に嵌合されるとともに、右嵌合溝部84が右支持延出部64に嵌合されることにより、ケース体26が左右の支持延出部63,64に上方から載置される。
【0057】
よって、作業機10を持ち上げることなく、左右の支持延出部63,64にケース体26を載置することや、載置したケース体26を左右の支持延出部63,64から取り外すことができる。
これにより、作業機10を持ち上げてケース体26に収納する必要がないので、耕耘爪15をケース体26に容易に収納することができ、耕耘爪15をケース体26から容易に取り外すことができる。
【0058】
さらに、スタンド手段24は、左右の水平延出部67,69を接地させた状態において、耕耘爪15を浮かせた状態で作業機10を運搬姿勢や保管姿勢に自立させた状態に保つことができる。
よって、ケース体26を左右の支持延出部63,64に沿わせて回転させながら耕耘爪15および左右の支持延出部63,64間に差し込むことで、左嵌合溝部83が左支持延出部63に嵌合されるとともに、右嵌合溝部84が右支持延出部64に嵌合される。
これにより、耕耘爪15をケース体26に一層容易に収納することができ、耕耘爪15をケース体26から一層容易に取り外すことができる。
【0059】
加えて、前述したように、左右の側壁部74,75の上前辺77aに左右の把持部78を備えている。これにより、左右の把持部78を作業者が把持して、ケース体26をスタンド部材53(左右の支持延出部63,64(図7参照))に一層容易に着脱することができる。
【0060】
後壁部73は、底部71から所定高さ位置H2の部位に一対の水抜孔86が備えられている。
一対の水抜孔86は、左右の補強リブ87間に一定の間隔をおいて水平に配置され、ケース体26の内部空間88の水を排水可能な孔である。
これにより、一対の水抜孔86を所定高さ位置H2に備えることで、ケース体26の内部空間88において一対の水抜孔86より高い空間に水が溜まることを防止できる。
【0061】
さらに、一対の水抜孔86を後壁部73の所定高さ位置H2に備えたので、一対の水抜孔86はケース体26の底部71より上方に位置する。
よって、例えば、作業機10から水滴がケース体26の底部71に滴下した場合に、滴下した水をケース体26の底部71に蓄えておくことができる。
これにより、耕耘爪15から滴下した水滴が、ケース体26の内部空間88から車両の床部に排水されることを阻止することができる。
【0062】
ところで、ケース体26は、スタンド手段24の車輪55を軸にして作業機10(図1参照)を後傾させることで、一対の水抜孔86を最下位置に容易に配置できる。
よって、ケース体26の内部空間88において一対の水抜孔86より低い空間に水が溜まった場合、作業機10を後傾させて一対の水抜孔86を最下位置に配置することで、ケース体26の水を容易に排水することができる。
【0063】
図9に戻って、キャリーハンドル28は、図1に示すようにハンドルコラム18の略中央に設けられ、作業機10を運ぶために握る(把持する)左右のグリップ部46,47および中央グリップ部48が設けられている。
作業機10を運ぶために、例えば、作業機10の左右側(ケース体26の左右側)に各作業者が立ち、各作業者が左グリップ部46および右グリップ部47をそれぞれ把持し、左右のグリップ部46,47を持ち上げて作業機10を運ぶ。
または、作業機10の左右側(ケース体26の左右側)の一方に1人の作業者が立ち、中央グリップ部48を把持し、中央グリップ部48を持ち上げて作業機10を運ぶ。
【0064】
このため、作業機10を運ぶ際に、作業者がケース体26の左右側、または一側に立つことになる。このため、左右の側壁部74,75の上中央辺77bおよび上後辺77cからフランジを大きく張り出すと、フランジに作業者が干渉することが考えられる。
そこで、前述したように、左右の側壁部74,75の上中央辺77bおよび上後辺77cに干渉防止用の左右の凹部81を備えた。
これにより、作業機10を持ち上げる際に、作業者がケース体26に干渉することを防ぐことができる。
【0065】
ここで、前述したように、ケース体26の水抜孔86は後壁部73に備えられている。
一方、作業機10を運ぶ際に、作業者はケース体26の左右側に位置する。
これにより、作業機10を運ぶ際に、水抜孔86から排水された水が作業者にかからないようにできる。
【0066】
つぎに、作業機10から抵抗棒22を外してスタンド手段24を取り付ける手順を図12〜図14に基づいて説明する。
図12(a),(b)は本発明に係る作業機から抵抗棒を外す手順を説明する図である。
(a)において、作業機10を耕耘軸13を軸にして矢印Aの如く前側に倒すことによりガード部材27を接地させる。ガード部材27および耕耘爪15が接地することで、作業機10が前傾した状態に保持される。
作業機10が前傾することで、取付パイプ部31の下端部31cが後方を向いて配置され、抵抗棒22が横向きに浮いた状態に保たれる。
【0067】
(b)において、図5に示す着脱操作手段32の操作ロッド42(具体的には、取手部42c)を操作することで、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33(図5参照)から抵抗棒22を矢印Bの如く外す。
【0068】
図13(a),(b)は本発明に係る作業機にスタンド手段を取り付ける手順を説明する図である。
(a)において、取付パイプ部31の抵抗棒取付孔33(図5参照)にスタンド手段24のポール部51を矢印Cの如く差し込む。ポール部51を差し込んだ状態で、図5に示す操作ロッド42(取手部42c)を操作して取付パイプ部31にポール部51を取り付ける。
【0069】
(b)において、作業機10を矢印Dの如く運搬姿勢や保管姿勢に自立させる位置に戻すことにより、スタンド手段24に備えた左右の水平延出部67,69および車輪55を接地させる。左右の水平延出部67,69および車輪55を接地させることで、スタンド手段24で作業機10が運搬姿勢や保管姿勢で自立状態に保たれる。
取付パイプ部31から外した抵抗棒22を抵抗棒保持部54に矢印Eの如く取り付ける。
【0070】
図14は本発明に係る作業機をスタンド手段で自立させた状態を示す図である。
左右の水平延出部67,69は、耕耘爪15の下端15aに対して距離H1だけ下方に配置されている。よって、左右の水平延出部67,69および車輪55を接地させることで、耕耘爪15を浮かせた状態に保つことができる。
【0071】
つぎに、スタンド手段24にケース体26を取り付ける手順を図15に基づいて説明する。
図15(a),(b)は本発明に係る作業機にケース体を取り付ける手順を説明する図である。
(a)において、ケース体26の左右の把持部78(図6も参照)を掴んで、ケース体26を矢印Fの如く後傾させて後壁部73を水平に配置する。この状態で、ケース体26を矢印Gの如く移動させて、後壁部73を左右の水平延出部67,69と耕耘爪15との間に差し込む。
ケース体26の左右の把持部78を掴むことで、ケース体26を差し込む作業を手間をかけないで容易におこなうことができる。
ケース体26を差し込むことで、左水平延出部67に左嵌合溝部83が嵌合するとともに、右水平延出部69に右嵌合溝部84が嵌合する。
【0072】
ケース体26の後壁部73を、左右の傾斜延出部66,68と耕耘爪15との間に差し込む。
左傾斜延出部66に左嵌合溝部83が嵌合するとともに、右傾斜延出部68に右嵌合溝部84が嵌合する。
【0073】
(b)において、ケース体26の後壁部73(図15(a)参照)を、左右の水平延出部67,69に沿って移動し、その後、左右の傾斜延出部66,68に沿って移動することで、ケース体26が矢印Iの如く回転する。
ケース体26が矢印Iの如く回転することで、左支持延出部63に左嵌合溝部83が嵌合するとともに、右支持延出部64に右嵌合溝部84が嵌合する。
【0074】
ケース体26が矢印Iの如く回転することで、ケース体26の底部71が水平に配置されて接地する。
この状態で、ケース体26がスタンド部材53(具体的には、左右の支持延出部63,64)に載置された状態で取り付けられる。
【0075】
なお、本発明に係る作業機は、前述した実施の形態に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施の形態では、作業機として歩行型耕耘機を例示したが、作業機はこれに限定するものではなく、芝刈機などの他の作業機に適用することも可能である。
【0076】
また、前記実施の形態では、作業機10をスタンド手段24で自立状態に保持した際に耕耘爪15を浮かせる例について説明したが、これに限らないで、耕耘爪15を浮かせないように構成することも可能である。
【0077】
さらに、前記実施の形態では、スタンド部材53に左右の支持延出部63,64を備えた例について説明したが、支持延出部の本数は2本に限定するものではない。
例えば、スタンド部材53に一本の支持延出部を備え、一本の支持延出部を略T字状に形成することも可能である。
【0078】
また、前記実施の形態では、左右の嵌合溝部83,84をケース体26の底部71から後壁部73まで延ばした例について説明したが、これに限らないで、左右の嵌合溝部83,84をケース体26の底部71から前壁部72まで延ばすことも可能である。
【0079】
さらに、前記実施の形態では、ケース体26の後壁部73に水抜孔86を備えた例について説明したが、これに限らないで、ケース体26の前壁部72に水抜孔を備えることも可能である。
【0080】
また、前記実施の形態で示した作業機本体11、耕耘爪15、抵抗棒22、スタンド手段24、ケース体26、取付パイプ部31、抵抗棒取付孔33、車輪55、左右の支持延出部63,64、左右の水平延出部67,69、底部71、前壁部72、後壁部73、左右の側壁部74,75、左右の把持部78、左右の凹部81、左右の嵌合溝部83,84および水抜孔86などは例示した形状に限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、機体の下方に耕耘爪などの作業部を備え、作業部を覆うケース体を着脱可能に備えた作業機への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る作業機に抵抗棒を取り付けた状態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る作業機にスタンド手段を取り付けた状態を示す側面図である。
【図3】本発明に係る作業機にケース体を取り付けた状態を示す側面図である。
【図4】本発明に係る作業機に抵抗棒を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図4の5矢視図である。
【図6】本発明に係る作業機にスタンド手段およびケース体を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る作業機からスタンド手段およびケース体を外した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るスタンド手段を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る作業機にケース体を取り付けた状態を示す平面図である。
【図10】本発明に係るケース体を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る作業機を示す背面図である。
【図12】本発明に係る作業機から抵抗棒を外す手順を説明する図である。
【図13】本発明に係る作業機にスタンド手段を取り付ける手順を説明する図である。
【図14】本発明に係る作業機をスタンド手段で自立させた状態を示す図である。
【図15】本発明に係る作業機にケース体を取り付ける手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0083】
10…作業機、11…作業機本体(機体)、15…耕耘爪(作業部)、22…抵抗棒、24…スタンド手段、26…ケース体、31…取付パイプ部、33…抵抗棒取付孔、55…車輪、63,64…左右の支持延出部(支持延出部)、67,69…左右の水平延出部(水平延出部)、71…底部、72…前壁部、73…後壁部、74,75…左右の側壁部、77a…上前辺(左側壁部のうち前部)、77c…上後辺(左側壁部のうち後部)、78…左右の把持部(把持部)、81…左右の凹部(凹部)、83,84…左右の嵌合溝部(嵌合溝部)、86…水抜孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の下方に作業部が設けられた作業機において、
前記機体の下方に支持延出部が設けられ、前記支持延出部の水平延出部を接地させることで作業機を運搬姿勢や保管姿勢に自立可能なスタンド手段と、
前記スタンド手段に取り付けられて前記作業部を収納可能な箱状のケース体と、
を備え、
前記ケース体のうち前記支持延出部に対応する部位に、前記支持延出部を前記ケース体の外方から嵌合可能な嵌合溝部が設けられ、
前記嵌合溝部が前記支持延出部に嵌合されることにより前記ケース体が前記支持延出部に載置されることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記嵌合溝部は、前記ケース体の底部から後壁部まで、または前記ケース体の底部から前壁部まで前記支持延出部に沿わせて延長され、
前記ケース体を前記支持延出部に沿わせて回転させながら前記作業部および前記支持延出部間に差し込むことで、前記嵌合溝部を前記支持延出部に嵌合させることを特徴とする請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記スタンド手段に移動用の車輪を備え、
前記車輪および前記水平延出部を接地させた状態で前記作業部を浮かすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の作業機。
【請求項4】
前記ケース体は、
左右の側壁部のうち前部に、前記ケース体を前記支持延出部に着脱する際に把持可能にそれぞれ張り出された把持部と、
前記左右の側壁部のうち後部に、前記把持部に対して前記ケース体の幅方向中心側にそれぞれ凹ませた干渉防止用の凹部と、
が備えられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の作業機。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか1項記載の作業機は耕耘機であって、
前記耕耘機に抵抗棒を着脱自在に取付可能な抵抗棒取付孔を備え、
前記抵抗棒取付孔に前記スタンド手段を着脱自在に取付可能としたことを特徴とする。
【請求項6】
前記ケース体の後壁部または前壁部のうち所定高さ位置に前記ケース体の水を排水可能な水抜孔が備えられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の作業機。
【請求項1】
機体の下方に作業部が設けられた作業機において、
前記機体の下方に支持延出部が設けられ、前記支持延出部の水平延出部を接地させることで作業機を運搬姿勢や保管姿勢に自立可能なスタンド手段と、
前記スタンド手段に取り付けられて前記作業部を収納可能な箱状のケース体と、
を備え、
前記ケース体のうち前記支持延出部に対応する部位に、前記支持延出部を前記ケース体の外方から嵌合可能な嵌合溝部が設けられ、
前記嵌合溝部が前記支持延出部に嵌合されることにより前記ケース体が前記支持延出部に載置されることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記嵌合溝部は、前記ケース体の底部から後壁部まで、または前記ケース体の底部から前壁部まで前記支持延出部に沿わせて延長され、
前記ケース体を前記支持延出部に沿わせて回転させながら前記作業部および前記支持延出部間に差し込むことで、前記嵌合溝部を前記支持延出部に嵌合させることを特徴とする請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記スタンド手段に移動用の車輪を備え、
前記車輪および前記水平延出部を接地させた状態で前記作業部を浮かすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の作業機。
【請求項4】
前記ケース体は、
左右の側壁部のうち前部に、前記ケース体を前記支持延出部に着脱する際に把持可能にそれぞれ張り出された把持部と、
前記左右の側壁部のうち後部に、前記把持部に対して前記ケース体の幅方向中心側にそれぞれ凹ませた干渉防止用の凹部と、
が備えられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の作業機。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか1項記載の作業機は耕耘機であって、
前記耕耘機に抵抗棒を着脱自在に取付可能な抵抗棒取付孔を備え、
前記抵抗棒取付孔に前記スタンド手段を着脱自在に取付可能としたことを特徴とする。
【請求項6】
前記ケース体の後壁部または前壁部のうち所定高さ位置に前記ケース体の水を排水可能な水抜孔が備えられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−124733(P2010−124733A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301383(P2008−301383)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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