説明

作業補助装置

【課題】オペレータが自分の意図する箇所に対象物を位置決めし且つこの位置決めした位置に保持する。
【解決手段】歯科治療用椅子のシートバック101の背面に固設された第1支柱103と;第1支柱103の軸線方向に移動可能に取り付けられて前方に延出する第2支柱104とを有し、第2支柱104は第1支柱103の軸線方向に移動可能である。第2支柱104の軸線方向に移動可能に取り付けられた多関節アーム111,112は第2支柱104の軸線方向に移動可能である。多関節アーム111,112に含まれる複数の可動部分には、夫々、ロック機構130が設けられ、また、多関節アーム111,112の先端には、ロック機構130を備えた自在継手121を介してホルダ120が取り付けられ、このホルダ120にデンタルミラー125が装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療、動物や人間に対する手術などの処置や作業を補助するための適用される作業補助装置に関し、典型的には歯科治療用の作業補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療では、高速回転する切削チップを患者の口腔内に差し入れて歯を切削する等、細心の注意が必要である。治療中の患者の口腔は、切削の際に注水する水や歯の削り屑、或いは唾液などが溜まるため、これを吸引するために、口腔内にバキュームチップを差し入れることが行われている。また、歯科医師の治療が円滑に実行できるように患者の口腔内にデンタルミラーを入れ、また、このデンタルミラーを使って患者の口を開いた状態に保持する必要がある。このようなバキュームチップやデンタルミラーなどは、これを差し入れる箇所が患者や治療箇所によって異なるため、歯科医師は歯科助手の協力を得ながら治療を行っている。
【0003】
このように歯科治療では歯科助手の手を借りる必要があることから、例えば休日に緊急に治療を求められたときには歯科医師が一人で治療をせざるを得ず、思うような治療ができないという問題がある。これに類する問題として、医療の分野でも同様である。例えば、開腹手術を行うときには、切開した箇所を開いておくために執刀医以外の医師が手にした器具を使って開腹箇所を開いた状態に固定しておく必要があるが、手術時間が長引くときには大変な重労働となる。
【0004】
歯科助手の手に委ねることなくバキュームチップを患者の口腔内にセットした状態を保持することを企図して特許文献1は、患者の口腔内にバキュームチップを位置決めし且つこの状態を維持することのできる保持装置を提案している。具体的には、特許文献1に開示のバキュームチップ保持装置は、患者が着座する歯科治療用椅子の脇に立設した支柱の上端に取り付けられたアームを有し、このアームの先端にバキュームチップが固定される。アームは、水平軸継手、垂直軸継手、自在継手を含む多関節アームで構成され、この多関節アームはバネによって水平状態を維持するようになっている。各継手部分にはブレーキ装置からなるロック手段が付設されており、このブレーキ装置は、サーボモータ又はソレノイドによって駆動されるようになっているが、歯科医師がバキュームチップを患者の口腔内に位置決めした後にスイッチ操作によってサーボモータ又はソレノイドが動作してロック状態が形成される。
【特許文献1】特開平9−201386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のバキュームチップ保持装置では、バキューチップを手にして患者の口腔内の所望の位置に位置決めする過程でアームの自在な動きを伴うことから、このアームを移動させるための力及び上述したバネ力に抗した力でバキュームチップを操作することが必要となる。
【0006】
ところで、歯科治療用の椅子は、シートバックがリクライニング可能であり、治療目的及び/又は治療箇所に応じてシートバックを様々な角度に調整しながら歯科治療の処置が行われる。このような歯科治療の実状に対して、特許文献1に開示の保持装置は、診療室の床に立設した支柱の高さ寸法を上下に調整可能になっており、また、支柱に対するアームの取り付け位置を水平方向に調整可能になっている。
【0007】
しかしながら、シートバックのリクライニング角度を変更することに伴って支柱に対する患者の口腔の相対位置が大きく変化することになるため、例えば起立したシートバックを大きく倒した場合には、支柱の高さ寸法を大きく短縮させる必要がある。また、支柱と口腔の相対位置の大きな変化に対応できるように、アームの全長を大きく設定し且つアームの可動領域を大きく設定する必要があり、このことから、上記のバキュームチップ保持装置(特許文献1)では、アームの関節として水平軸継手、垂直軸継手、自在継手の組み合わせを採用している。
【0008】
しかしながら、アームの全長を長くしたり継手及びこれに付設したブレーキ装置の数が増えるとアームの重量が増加することになり、上述したように、バネ力によって水平状態に維持されているバキュームチップを患者の口腔内に位置決めするまでの過程で重量物のアームの動きを伴うことからバキュームチップの操作に比較的大きな力が必要となり、これに伴って操作性の悪化を招く虞がある。
【0009】
本発明の目的は、オペレータが自分の意図する箇所に対象物を位置決めし且つこの位置決めした位置に対象物を保持するのに要する操作力を低減することのできる作業補助装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、歯科助手の手に委ねることなく歯科用ツールを患者の口腔内に位置決めし且つこれを保持するのに好都合な歯科治療用の作業補助装置を提供することにある。
【0011】
本発明の更なる目的は、歯科用ツールを患者の口腔内の所望の位置に位置決め操作するのに要する力を低減することのできる歯科治療用の作業補助装置を提供することにある。
【0012】
本発明の更なる目的は、作業補助装置を使用しないときに、歯科医師の治療行為の邪魔にならない格納姿勢をとることのできる歯科治療用の作業補助装置を提供することにある。
【0013】
本発明の更なる目的は、患者の口腔内に位置決め且つ位置固定した歯科用ツールの歯科治療中での安全性を確保することのできる歯科治療用の作業補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の技術的課題は、本発明の一つの観点によれば、
ロック機構を備えた多関節アームの先端にホルダが取り付けられ、該ホルダに対象物を脱着可能に装着した状態で、該対象物を所望の位置に位置決めした後に前記ロック機構を作動させて前記多関節アームをロックすることにより、前記対象物を前記所望の位置に保持するための作業補助装置であって、
前記多関節アームと前記ホルダとの間に設けられた自在継手及び該自在継手をロックするロック機構と、
前記多関節アームを駆動するための駆動手段とを有することを特徴とする作業補助装置を提供することにより達成される。
【0015】
すなわち、この第1の観点による発明によれば、多関節アームを駆動する動作させてホルダに装着した対象物を所望の位置の近傍に仮位置決めし、次いで、多関節アームの先端とホルダとの間の自在継手の動きによって対象物を所望の位置に位置決めすることができる。これにより、オペレータは、対象物を所望の位置に最終的に位置決めする操作では、多関節アームとホルダとの間の自在継手の動きによる限定的な範囲で操作することで対象物を所望の位置に位置決めすることができる。この最終的な位置決め操作では、実質的に、多関節アームの動きを実質的に伴わないないため、指先の僅かな力で対象物を所望の位置に位置決めすることができる。この位置決めが完了したら、ロック機構を作動させた多関節アーム及びホルダをロック状態にすることで、対象物を所望の位置に保持することができる。ロック機構のロック状態は、例えば歯科治療で多用されているエアを使うのであれば、エアをロック機構に供給遮断することによりロック状態を生成し、エアをロック機構に供給することによりロック解除状態を生成するのが安全対策上好ましい。
【0016】
第1の観点の発明の好ましい実施の形態では、多関節アームの動きを伴う仮位置決めの動作を、オペレータが対象物を手にして所望の位置に位置決めする操作に追従させる制御を行われる。これにより、オペレータは対象物を手にして、これを所望の位置に位置決めする全ての操作過程で必要とされる操作力を低減することができる。
【0017】
本発明の作業補助装置は、典型的には、歯科治療での歯科ツール、例えばデンタルミラーやバキュームチップなどの位置決め及び保持に適用される。
【0018】
上記の技術的課題は、歯科治療用に適用した本発明の第2の観点によれば、歯科治療用椅子のリクライニング可能なシートバックの背面に固設される歯科治療用の作業補助装置であって、
ロック機構を備えた多関節アームと、
該多関節アームの先端に、ロック機構付き自在継手を介して取り付けられ、歯科用ツールを脱着可能に装着することのできるホルダと、
前記多関節アームの前記シートバックに対する相対位置を調整するための、駆動機構を備えた調整手段とを有することを特徴とする歯科治療用の作業補助装置を提供することにより達成される。
【0019】
第2の観点の発明によれば、上述した第1の観点の作用効果に加えて、シートバックのリクライニング角度を変更したとしても、多関節アームがシートバックの動きに応じて変位することから患者とホルダ(歯科ツール)との相対的な位置関係を維持することができる。
【0020】
上記の技術的課題は、歯科治療用に適用した本発明の第3の観点によれば、
歯科治療用椅子のリクライニング可能なシートバックの背面に固設される歯科治療用の作業補助装置であって、
前記シートバックの背面に設けられたベース部分と、
該ベース部分に片持ち状態で支持された多関節アームと、
前記多関節アームの複数の可動部分に設置された複数のロック機構と、
前記多関節アームの先端に、ロック機構によってロック可能な自在継手を介して取り付けられ且つ歯科ツールを脱着可能に装着するためのホルダと、
全ての前記ロック機構をロック及びロック解除させるための操作手段とを有することを特徴とする歯科治療用の作業補助装置を提供することにより達成される。
【0021】
上記ベース部分は、前記シートバックの高さ方向及び前記シートバックの背面から背もたれ面に向けて前記シートバックを横断する方向に変位可能であるのが好ましい。この変位は、駆動手段によるものであってもよいし、手動によるものであってもよい。
【0022】
また、ベース部分と多関節アームとを軸又は自在継手を介して連結することにより、この軸又は自在継手を中心に多関節アームをシートバックの背面側に変位させた格納状態を作ることができる。このことは、本発明の作業補助装置を使用しないで歯科治療を行うときに、作業補助装置が邪魔になるのを防止することができる。
【0023】
本発明の典型的な好ましい実施の形態では、
歯科治療用椅子のリクライニング可能なシートバックの背面に固設される歯科治療用の作業補助装置であって、
前記シートバックの背面の一側に固設され、該シートバックの高さ方向に延びて該シートバックの頂部から上方に延出する第1支柱と、
該第1支柱の軸線方向に移動可能に取り付けられ、前記シートバックの背面側から前方に延出する第2支柱と、
該第2支柱を前記第1支柱の軸線方向に移動させる第1駆動手段と、
前記第2支柱の軸線方向に移動可能に取り付けられた多関節アームと、
該多関節アームを前記第2支柱の軸線方向に移動させる第2駆動手段と、
前記多関節アームの複数の可動部分に設置された複数のロック機構と、
前記多関節アームの先端に、ロック機構によってロック可能な自在継手を介して取り付けられ且つ歯科ツールを脱着可能に装着するためのホルダと、
前記第1、第2駆動手段を動作させるためのコントローラと、
全ての前記ロック機構をロック及びロック解除させるための操作手段とを有することを特徴とする歯科治療用の作業補助装置が提供される。
【0024】
本発明の上述した目的及び他の目的並びに作用効果は、添付の図面を参照した本発明の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0026】
第1実施例(図1〜図3)
図1〜図3は第1実施例を示す。第1実施例の作業補助装置1は、支柱2の端に連結された少なくとも第1〜第3の3本のアーム3〜5を含む直列のアーム列6を有する。作業補助装置1は、好ましくは、支柱2から最も離れた第3アーム5の先端に自在継手7(典型的には球面継手)を介して取り付けられたホルダ8を含み、このホルダ8には、作業補助装置1を歯科治療に適用するときには、例えば歯科用バキュームチップや舌圧子チューブ、デンタルミラーなどの歯科用ツール9が脱着可能に取り付けられる。
【0027】
この実施の形態の作業補助装置1は、これを歯科治療に適用したときには、歯科治療用椅子に着座している患者の側方で待機状態にあるツール9を歯科医師が掴んで、これを患者の口腔内に仮位置決めするまでの動きに従動又は追従する形式で揺動する第1〜第3のアーム3〜5の動きが主体であり、ツール9を口腔内の好ましい位置に最終的な位置決めを行うときには、第3アーム5に対して自在継手(球面継手)7を介して連結されたホルダ8の動きが主体となる。
【0028】
このような動作を実現するために、支柱2に対して第1アーム3が第1関節10を介して連結され、第1アーム3に対して第2アーム4が第2関節11を介して連結され、第2アーム4に対して第3アーム5が第3関節12を介して連結されている。なお、支柱2は、電気スタンドのように診療室の床に設置したベースプレートから起立したポールであってもよいし、この支柱2がベースプレートに対して揺動可能なアームで構成されていてもよい。
【0029】
第1〜第3の関節10〜12は、例えば球面継手を使うことによって、360°の可動域を備えていてもよいが、典型的には、一方のアームに対して他方のアームが一つの軸線(水平軸や垂直軸)を中心に回動可能の連結する軸形式の関節が設定される。後者の形式の関節、特に水平軸の継手を採用したときには、第1アーム3又は第2アーム4は、当該アームの軸線を中心とした軸回転が可能であるのが好ましい。図1に図示の実施例では、第2アーム4が、その軸線回りに回転可能であり、この第2アーム4にマニュアル式のロック手段13が付設されている。マニュアル式のロック手段13のハンドル13aを操作することにより第2アーム4の軸線を中心とした軸回転を許容し、また、第2アーム4の軸回転をロックすることができる。
【0030】
作業補助装置1は、第1アーム3を揺動させるための第1の電動モータ15と、第2アーム4を揺動させるための第2のモータ16を更に含んでいる。第1、第2のモータ15、16として、好ましくはサーボモータが採用される。
【0031】
第3アーム5は、典型的には直列に配置した第1、第2の2本の分割アーム5a、5bで構成され、図2に示すように、第1、第2の分割アーム5a、5bが互いに対面するいずれか一方の端にはフランジ17が設けられ、他方の端には、このフランジを収容する筒体18が設けられる。そして、フランジ17は、これを挟む一対のスプリング19、20によってニュートラル位置に維持されるようになっている(図2)。
【0032】
すなわち、2本の分割アーム5a、5bで構成される第3アーム5は軸線方向に伸縮可能であり、ホルダ8側の第2の分割アーム5bに、これを引っ張る方向に力が加わると、フランジ17が図2において右方向に移動して第3アーム5の実質的な長さ寸法が大きくなり、逆に、圧縮する方向に力が加わると、フランジ17が左方向に移動して第3アーム5の実質的な長さ寸法が小さくなる。そして、第3アーム5に何も力が加わっていないときには、フランジ17は第1、第2のスプリング19、20の付勢力がバランスするニュートラル位置に保持され、この状態の第3アーム5の長さ寸法が基準長さになる。
【0033】
第3関節12には、第3アーム5の位置を固定するための第1ロック手段22が設けられている。また、第3アーム5の先端に設けられた自在継手7には、ホルダ17の位置を固定するための第2ロック手段23が設けられている。第1、第2ロック手段22、23のアクチュエータは電動式であってもよいが、歯科用に適用するのであれば、切削チップを駆動するために設置されているエア源24を使って圧縮エアによって動作するシリンダ(図示せず)と摩擦要素22a、23aとの組み合わせを採用するのが好ましい。具体的にはエア源24と第1、第2ロック手段22、23との間には電動開閉弁25が介装され、この電磁開閉弁25を開いてエア源17から第1、第2ロック手段22、23にエアを供給したときに摩擦係合によるロック動作を行うようにしてもよいが、その逆であるのが、安全対策上、好ましい。すなわち、電磁開閉弁25を開いてエア源17から第1、第2ロック手段22、23にエアを供給したときに摩擦要素22a、23aの摩擦係合を解除するようにするのが好ましい。この点については後に説明する。
【0034】
第1、第2ロック手段22、23のロック動作によって第3アーム5の位置及びホルダ17の位置が共に固定される。なお、摩擦要素22a、23aを含む第1、第2ロック手段22、23を採用したときには、第1、第2ロック手段22、23により第3アーム5の位置及びホルダ17の位置を固定しているときであっても、所定値以上の外力が加わったときには第3アーム5、ホルダ17が摩擦力に抗して変位可能となる。したがって、ツール9を口腔内の所望の位置に保持している最中つまり歯科医師が治療中に患者が不意に頭を動かすなどの行動をとったときに、ツール9を介して伝達される力によってホルダ17及び/又は第3アーム5が変位することができるため、安全対策のための一つの手段となる。
【0035】
作業補助装置1はコントロールユニット30を含み、コントロールユニット30は、第2アーム4と第3アーム5との間の挟み角θを検出する角度センサ31から検出信号が入力され、また、第3アーム5に付設された変位センサ32から検出信号が入力される。変位センサ32は、フランジ17がニュートラル位置にあるときをゼロ点としたフランジ17の変位を検出するものである。
【0036】
作業補助装置1を使用してツール9を患者の口腔内にセットする過程では、歯科医師は操作スイッチ33をONにする。この状態では電動開閉弁25が開弁して第1、第2ロック手段22、23にエアが供給され、これにより第1、第2ロック手段22、23はロック解除状態になり、第3アーム5及びホルダ9はフリーの状態となる。つまり、電動開閉弁25が開弁すると第1、第2ロック手段22、23へのエア供給路が外気開放状態となり、これにより第1、第2ロック手段22、23がロック解除の状態なって第3アーム5及びホルダ8を自由に動かすことができる。
【0037】
この状態で、歯科医師がツール9を手にして、これを患者の口腔まで移動させると、第3関節12の角度変化を伴いながら第3アーム5が伸び又は短縮し、この角度変化及び第3アーム5の伸長又は短縮は、角度センサ及び変位センサ31、32によって検出され、この検出信号がコントロールユニット30に入力される。
【0038】
コントロールユニット30では、角度センサ31の角度変化信号を受けて第2モータ16に対する制御信号を生成し、また、変位センサ32の変位信号を受けて第1モータ15に対する制御信号を生成する。そして、これにより第1、第2モータ15、16が動作して、角度変化がゼロになる方向に第2アーム6を揺動させ、また、第3アーム5の長さ寸法がフランジ17がニュートラル状態のときの基準長さとなる方向に第1アーム3を揺動させる。これにより、歯科医師がツール9を手にして患者の口腔まで移動させる動作に追従する形式で第1、第2アーム3、4が第1、第2モータ15、16によって駆動される。
【0039】
角度センサ31は、例えば、第2アーム4と第3アーム5との間の所定の挟み角θからのプラス・マイナスの変化を検出するのが好ましい。また、第1、第2モータ15、16は歯科医師がツール9を移動させる速度に応じた回転速度で回転するのが好ましい。つまり、歯科医師がツール9をゆっくりと移動させたときは、第1、第2モータ15、16が比較的ゆっくりと回転し、逆に、歯科医師がツール9を素早く移動させたときは、第1、第2モータ15、16が比較的高速で回転するようにするのが好ましい。
【0040】
歯科医師は、ツール9を患者の口腔内の好ましい箇所に位置決めしたら操作スイッチ33をOFFにする。これにより、電動開閉弁18が閉弁され、エア源17から第1、第2ロック手段22、23に対するエアの供給が停止された状態になる。この状態では第1、第2ロック手段22、23に含まれる摩擦要素22a、23aが第1ロック手段22、23に含まれるバネ(図示せず)の力によって第3関節12及び自在継手7と機械的に係合してロック状態となる。
【0041】
また、操作スイッチ33をOFFにすると、第1、第2モータ15、16への駆動電源の供給が遮断される。この第1、第2モータ15、16と第1、第2関節10、11との動力伝達経路にロック機構を設けるのが好ましい。好都合なことに、ハーモニックドライブ・ギヤドライブ機構は、モータの回転を停止したときにロックする性質を有し、また、大きな減速比で動力を伝達し、更に、精密な制御が可能であることから、このハーモニックドライブ・ギヤドライブ機構を第1、第2関節10、11に組み込むのがよい。
【0042】
以上の説明から理解できるように、歯科医師がツール9を患者の口腔内に位置決めした後に操作スイッチ33をOFFにすると、アーム列6及びホルダ8が全てロック状態となり、歯科医師が位置決めした状態でツール9が作業補助装置1によって位置固定した状態で保持される。ホルダ8の自在継手7をロックする第2ロック手段23は自在継手7と摩擦係合するブレーキ要素を含んでいるため、ツール9を位置決めした後に更なる微調整が必要であれば、ツール9に比較的大きな力を加えることで位置の微調整が可能である。
【0043】
歯科医師は、歯科助手の代わりに作業補助装置1にツール9を委ねた状態で治療を行うことができる。治療中に、患者が大きく動いた等の非常状態が発生したら、非常用スイッチ34(例えばフットスイッチ)を踏んで、これをONにすると、電動開閉弁25が開弁して第1、第2ロック手段22、23にエアが供給され、これにより第1、第2ロック手段22、23は、これに含まれるバネの力に抗してロック解除状態に変化して、第3アーム5及びホルダ9はフリーの状態となる。これにより患者の動きに応じてツール9の退避動作が可能になる。
【0044】
叙上の説明から分かるように、歯科医師がツール9を患者の口腔内に位置決めする途中でツール9から手を離したとしても、当該手を離した所で作業補助装置1の動作が停止した状態なる。また、歯科医師がツール9を患者の口腔内まで移動させる過程では、第1〜第3アーム3〜5が歯科医師の動作に追従した動作を行うことから、第1〜第3アーム3〜5が歯科医師の意図しない動作を行うことはない。更に、歯科医師がツール9を患者の口腔内の所望の位置に最終的に位置決めする過程では、自在継手7を介したホルダ8の揺動が主体となるため、比較的小さな力でツール9を所望の位置に位置決めすることができる。このことは、歯科助手や歯科医師が作業補助装置1無しにツール9を操作するときの指先の微妙な力加減と実質的に同じ状態でツール9の最終的な位置決め操作を行うことができることを意味する。
【0045】
そして、ツール9の位置決めが完了して操作スイッチ33をOFFにすることでアーム列6及びホルダ8がロック状態となるが、このときには、第1、第2モータ15、16の駆動電源の供給が遮断されるため、歯科医師が治療中に何らかの原因で第1、第2モータ15、16が起動してアーム列6が不用意に動作してしまう事故の発生を防止できるため高度の安全性を確保することができる。
【0046】
また、第1、第2ロック手段22、23へのエアの供給を遮断した状態で第3アーム5及びホルダ8のロック状態を作るように設計してあるため、歯科医師が治療中に何らかの原因で第3アーム5及びホルダ8がロック解除されてしまう事故の発生を防止できるため高度の安全性を確保することができる。換言すれば、エアを供給することで第1、第2ロック手段22、23のロック状態を作るように設計した場合、歯科医師が治療中に何らかの原因で第1、第2ロック手段22、23へのエアの供給が遮断され、これにより第1、第2ロック手段22、23が不用意にロック解除状態となってしまう事故を防止することができる。
【0047】
図3は、作業補助装置1を使用しないときの状態を示す。この状態は、例えば図1に示すように格納スイッチ35を増設し、この格納スイッチ35をONすることにより、図3に示すように、第1モータ15及び第2モータ16を起動して第1、第2アーム3、4が起立した状態にすると共に、第1、第2ロック手段22、23をロック解除の状態にすることで、第3アーム5を折り畳んだ状態になるようにするのが好ましい。そして、この状態を作った後に、マニュアル式のロック手段13のハンドル13aを操作して第2アーム4の軸回転させて第3アーム5を旋回させることで歯科治療用椅子から離れた格納状態を作ることができる。これにより、歯科助手の協力を得ながら治療を行う場合に作業補助装置1の存在が邪魔になるのを防止することができる。
【0048】
第2実施例(図4)
図4は、第2実施例の作業補助装置50を示す。この第2実施例の作業補助装置50は歯科治療用椅子のシートバックの背面に固定するためのブラケット51を有し、このブラケット51を使ってシートバックの一側部に例えばボルト止めされる。なお、この第2実施例の作業補助装置50の説明において、上述した第1実施例の作業補助装置1と共通の要素には同一の参照符号を付すことによりその説明を省略し、以下に第2実施例の作業補助装置50の特徴部分を説明する。
【0049】
この第2実施例の作業補助装置50では、支柱2がベースプレート51に対して軸線方向に摺動可能であり、この支柱2を軸線方向に駆動するための第3モータ52を備えている。より詳しくは、支柱2は治療用椅子のシートバックの上下方向に沿って配設され、例えば図4において支柱2の左方動はシートバックの頂部から上方に突出する方向の動作となり、これによりシートバックの肩部から前方に延びる第2アーム3が、患者の頭部の側方に位置するように位置決めすることができる。なお、第3モータ52は、第1、第2モータ15、16と同様に、サーボモータで構成するのが好ましい。
【0050】
また、支柱2から最も離れた第3アーム5とホルダ8との間には、第1、第2の2つの自在継手(典型的には球面継手)7a、7bが設けられており、これによりホルダ8は比較的大きな可動領域で動くことができるように設計されている。また、第2アーム4はシートバックの背もたれ面から鉛直に起立した状態がニュートラル状態とされ、第2アーム4と第3アーム5との挟み角θは90°がニュートラル状態となるように設計されている。
【0051】
第2実施例の作業補助装置50では、患者が治療用椅子に着座したときの患者の頭の高さ位置に応じて支柱2を上下させることで、患者の頭の位置に適したアーム列6の位置決めを行うことができる。例えば、身長の高い患者の場合には支柱2を図4で左方動させることで、支柱2の上端をシートバックの頂部から上方に変位させることができる。この支柱2の高さ調整は、初期位置セットスイッチ54をON操作して第3モータ52を動作させることにより行われる。この第3モータ52についても、初期位置セットスイッチ54をOFF操作したときには第3モータ52への駆動電源の供給を遮断するのが好ましい。
【0052】
第2実施例の作業補助装置50の動作は、基本的には、第1実施例の作業補助装置1と同じであるが、シートバックの背もたれ面から鉛直方向に起立した状態が第2アーム4のニュートラル状態であり、また、第2アーム4と第3アーム5との間の挟み角θはθ=90°がニュートラル状態となるように設計されていることから、歯科医師がツール9を手にして患者の口腔内まで移動させる過程で、第2アーム4が傾いた状態になったときには、第2アーム4と第3アーム5との間の挟み角θが90°を維持するように第2モータ16が動作し、これと同時に、第3アーム5がニュートラル状態から伸長又は短縮したときには、第2アーム4がシートバックの背もたれ面に対して鉛直状態を維持するように第1モータ15が動作しつつ第3アーム5がニュートラルな長さ寸法を維持するようにアーム列6が動作しながらツール9の移動に追従することになる。
【0053】
第2実施例の作業補助装置50では、治療用椅子のシートバックの背面に設置して、アーム列6がシートバックの一側の近傍に位置するようにしてあることから、歯科医師の治療の邪魔になることはない。また、シートバックに設置したことから、シートバックのリクライニング角度を変えたとしても患者の頭との相対位置が変わらないという利点がある。また、ロボット50のホルダ8にデンタルミラー、舌圧子、バキュームチップの少なくとも一つ、好ましくはデンタルミラーとバキュームチップを固定することで、歯科助手無しで治療を行うことができる。このことは、例えば休日に緊急治療を求められた時に歯科医師だけで円滑に治療できる。
【0054】
この第2実施例においても、上述した第1実施例(図3)と同様に、格納スイッチ35を操作することにより第3アーム5を折り畳んだ状態を作ることができ、また、マニュアル式のロック手段13のハンドル13aを操作して第2アーム4の軸回転させて第3アーム5を旋回させることで歯科治療用椅子から離れた格納状態を作ることができる。これにより、歯科助手の協力を得ながら治療を行う場合に作業補助装置1の存在が邪魔になるのを防止することができる。
【0055】
上記の第1、第2実施例の作業補助装置1、50は人体や動物の手術にも適用することができる。また、第1、第2実施例の作業補助装置1、50は、ワークに対して作業を施すときに、ワークの位置決めや固定にも適用することができる。
【0056】
第3実施例(図5〜図8)
図5〜図7は第3実施例を示す。この第3実施例の作業補助装置100は歯科助手に代わって歯科用ツールを操作するのに好適となるように設計されている。第3実施例の作業補助装置100は、第2実施例と同様に、歯科治療用椅子のシートバック101の背面の一側にボルト止めされたブラケット102を介して設置される。なお、図5、図6では、水平状態にしたシートバック101を図示してある。
【0057】
作業補助装置100は、ブラケット102に固設された第1支柱103と、この第1支柱103の軸線方向に移動可能な第2支柱104を有する。第1支柱103は、シートバック101の高さ方向(図6のX方向)に延びてシートバック101のヘッドレスト部分101aから上方に突出して位置している。第1支柱103には軸線方向に延びるガイドレール103aが設けられ、このガイドレール103aに案内されて第2支柱104がX方向にスライド移動可能であり、この第2支柱104は、第1支柱の基端(図6では右端)に設けられた第1サーボモータ105によって回転駆動されるネジ棒(図示せず)によって駆動されてスライド移動する。第2支柱104は、第1支柱103に対して直交して配置され、シートバック101(ヘッドレスト部101a)の背面側から前方に突出して位置している。
【0058】
第2支柱104には、第1アーム111の一端部が、第2支柱104の軸線方向に移動可能に取り付けられていると共に、この第1アーム111は、第2支柱104の平行に延びる第1軸113及びシートバック101の背もたれ面101bと平行且つシートバックbの高さ方向に延びる第2軸114を介して回動可能に取り付けられている(図6)。
【0059】
第1アーム111の自由端には、第2アーム112の一端が、上記の第2軸114と平行な第3軸115を介して回動可能に取り付けられている。すなわち、第3軸115は、図6から最も良く分かるように、第2軸114と同様に、シートバック101の背もたれ面101bと平行且つシートバック101の高さ方向に延びている。なお、第1アーム111及び第2アーム112はアルミニウム製の板状部材で構成され、共にアーチ状に湾曲した形状を有している。図5、図7に見られる参照符号116は軽量穴である。
【0060】
第2アーム112の自由端にはホルダ120が球面継手121及び第4軸122を介して取り付けられており、このホルダ120に、歯科用ツールの一例としてデンタルミラー125が脱着可能に保持されている。デンタルミラー125は、ネジ126を操作することによりホルダ120から取り外すことができ、また、回転スリーブ127を操作することによりデンタルミラー125の保持位置を調整して、ホルダ120とミラー部分125aとの間の距離を調整することできる。なお、デンタルミラー125の代わりに、バキュームチップであってもよいし、舌圧子チューブであってもよい。また、第4軸122は、前述した第2、第3軸114、115と直交する方向の延びているが、第2、第3軸114、115と平行に延びていてもよい。
【0061】
前述したように、第1アーム111は、その基端が、第2支柱104に対して該第2支柱104の軸線方向(図5、図6のZ方向)に移動可能に取り付けられているが、第1アーム111のZ軸方向のスライド移動は、第2支柱104の基端に設けた第2サーボモータ106によって回転駆動されるネジ棒(図示せず)によって行われる。
【0062】
すなわち、第1、第2アーム111、112は多関節アームを構成し、この多関節アームは、これを片持ち状態で支持するベース部分である第1、第2支柱103、104によってシートバック101の高さ方向及びシートバック101の背面から背もたれ面に向けてシートバック101を横断する方向に変位可能であり、この2方向への変位機構は、上述した第1、第2サーボモータ105、106に依存しないで手動で行うようにしてもよい。
【0063】
前述したアームの関節を構成する第1〜第4軸113〜115、122及び球面継手121は、共に摩擦要素を備えたロック手段130によってロック可能である。なお、球面継手121と第4軸122は、第2アーム112の先端部に設けられた共通のロック手段130によってロックされるようになっており、これにより多関節アームの先端よりも先の機構の軽量化が企図されている。
【0064】
ロック手段130は、第1実施例及び第2実施例と同様にエアによって駆動され、エアをロック手段130に供給したときにロック、供給を停止したときにロック解除するようにしてもよいが、好ましくは、前述したのと同様に、ロック手段130にエアを供給したときにロック解除し、エアの供給を停止したときにロックするように設定するのがよい。ロック手段130に対するエアの供給又は供給停止は、第2アーム112に設けた、例えばプッシュプッシュ式のスイッチ131によって行うことができ、プッシュプッシュ式のスイッチ131を第1段階プッシュすることによりロック手段130をロック状態にし、更にスイッチ131をプッシュすることによりロック解除することができる。
【0065】
第1支柱101の基端に設けた第1サーボモータ105及び第2支柱104の基端に設けた第2サーボモータ106は、例えば、第2支柱104の他端面(図6に図示の例では上端面)に設置したスティック型コントローラ132のレバー132aを操作することにより制御される。すなわち、レバー132aを第1支柱103の長手方向に倒すことにより、第1サーボモータ105が正転又は逆転動作して、第2アーム104をヘッドレスト部101aに沿って移動させることができる。また、レバー132aを第1支柱103の長手方向と直交する方向に倒すことにより、第2サーボモータ106が正転又は逆転動作して、第1アーム111をヘッドレスト部101aに接近又は離間する方向に移動させることができる。
【0066】
なお、任意であるが、例えば、第1アーム111に沿って配置した引っ張りスプリングSによって図5に示す状態がニュートラル状態となるように設定するのが好ましい。このニュートラル状態では、図5から最も良く理解できるように、第1、第2アーム111、112は、患者Pの頭部Hの側方に位置し且つ頭部Hに向けて開放したアーチ形状となり、この第1、第2アーム111、112の位置は、第1、第2サーボモータ105、106を動作させることにより変位させることができる。
【0067】
この第3実施例の作業補助装置100を使って歯科用ツール(デンタルミラー)125を患者Pの口腔M内に位置決めし、そしてこれを保持する操作を以下に説明する。
【0068】
歯科医師が行う操作は、第1段階の操作である仮位置決め操作と、第2段階の操作である本位置決め操作を含む。第1段階の仮位置決めは、スティック型コントローラ132のレバー132aを操作して、第1、第2サーボモータ105、106を動作させて第2支柱104をX方向に移動させ、また、第1アーム111をZ方向に移動させることにより、デンタルミラー125のミラー部分125aを、患者Pの口腔Mの真上近傍に位置決めする。
【0069】
この仮位置決めの操作が完了したら、歯科医師はデンタルミラー125又はホルダ120を手にして、ミラー部分125aが患者Pの口腔M内の所望の位置に位置決めする。この本位置決め作業では、ロック機構130をロック解除した状態で行われる。したがって、第1アーム111、第2アーム112、ホルダ120は、第1〜第3軸113〜115、122及び球面継手121によって回動又は旋回可能な状態にあり、歯科医師の手の動きに追従して動作する。上述した仮位置決め後の本位置決めの操作は、極めて限られた小さな領域での操作で足りることから、主にホルダ120の動き、つまり自在継手121及び第4軸122の動きで足りることから、歯科医師が作業補助装置100無しにデンタルミラー125を操作するのと実質的に同じ、比較的小さな指先だけの力で本位置決めの操作を行うことができる。
【0070】
ミラー部分125aを口腔M内の所望の位置に位置決めしたら、第2アーム112の自由端側に設置したスイッチ131を、空いている手で操作する。これにより、ロック手段130がロック状態となり、デンタルミラー125は歯科医師が位置決めした位置で保持される。
【0071】
ロック手段130のロック及びロック解除の駆動源として、歯科治療機器の駆動源として多用されてるエアを使うのであれば、ロック手段130へのエアの供給を遮断した状態でロック状態となり、ロック手段130にエアを供給することでロック解除するように設定するのが、安全対策上、好ましい。換言すれば、エアの供給によってロック状態となるように設定した場合には、歯科医師が治療中に何らかの原因でロック手段130へのエアの供給が遮断されたときには、これによりロック手段130が不用意にロック解除状態となってしまう虞がある。
【0072】
また、ロック手段130を摩擦要素で構成して摩擦力によってロックする機構を採用したときには、作業補助装置100によってデンタルミラー125を口腔内の所望の位置に保持している最中つまり歯科医師が治療中に患者が不意に頭を動かすなどの行動をとったときに、デンタルミラー125を介して伝達される力によってホルダ120及び/又は第1、第2アーム111、112が退避動作するため安全である。
【0073】
また、第3実施例の作業補助装置100にあっては、これを使用しないときには、第1アーム111を大きく回動させて、図8に示すように、第1、第2アーム111、112がヘッドレスト部101aよりも後方に位置する格納姿勢をとらせることができる。第1実施例や第2実施例でも説明したように、格納スイッチ(図示せず)を設け、この格納スイッチを操作することで、全てのロック手段130をロック解除すると共に、第1アーム111を第2支柱104の基端側に移動させ且つ第2支柱104をヘッドレスト部101aの上方まで変位させる動作を自動的に行うようにしてもよい。
【0074】
このように第3実施例の作業補助装置100にあっては、これを格納状態にしたときには、第1、第2アーム111、112がヘッドレスト部101aの後方に隠れた状態になるため、歯科助手の協力を得た通常の治療行為に対して作業補助装置100が邪魔になってしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1実施例の全体構成図である。
【図2】第1実施例の伸縮可能な第3アームの構成の説明図である
【図3】第1実施例の格納状態を説明するための図である。
【図4】第2実施例の全体構成図である。
【図5】第3実施例の正面図である。
【図6】第3実施例の側面図である。
【図7】第3実施例の多関節アームの先端に自在継手及び軸を介して取り付けたホルダ部分の要部拡大図である。
【図8】第3実施例の格納状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
100 第3実施例の作業補助装置
101 シートバック(歯科治療用椅子)
101a シートバックのヘッドレスト部
101b シートバックの背もたれ面
102 ブラケット
103 第1支柱
103a 第1支柱のガイドレール
104 第2支柱
104a 第2支柱のガイドレール
105 第1モータ(第2支柱の駆動用)
106 第2モータ(第1アームのスライド移動用)
111 第1アーム
112 第2アーム
113 第1軸
114 第2軸
115 第3軸
120 ホルダ
121 球面継手
122 第4軸
125 デンタルミラー
125a デンタルミラーのミラー部分
130 ロック手段
131 スイッチ(ロック/ロック解除用)
132 スティック型コントローラ
132a コントローラのレバー
P 患者
H 患者の頭
M 患者の口腔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック機構を備えた多関節アームの先端にホルダが取り付けられ、該ホルダに対象物を脱着可能に装着した状態で、該対象物を所望の位置に位置決めした後に前記ロック機構を作動させて前記多関節アームをロックすることにより、前記対象物を前記所望の位置に保持するための作業補助装置であって、
前記多関節アームと前記ホルダとの間に設けられた自在継手及び該自在継手をロックするロック機構と、
前記多関節アームを駆動するための駆動手段とを有することを特徴とする作業補助装置。
【請求項2】
前記ロック機構がエアの供給遮断を受けて摩擦要素の係合によりロック動作し、エアの供給を受けてロック解除する、請求項1に記載の作業補助装置。
【請求項3】
前記ホルダに装着した前記対象物をオペレータが移動させるのに追従して前記駆動手段が動作する制御手段を備えている、請求項1に記載の作業補助装置。
【請求項4】
歯科治療用椅子のリクライニング可能なシートバックの背面に固設される歯科治療用の作業補助装置であって、
ロック機構を備えた多関節アームと、
該多関節アームの先端に、ロック機構付き自在継手を介して取り付けられ、歯科用ツールを脱着可能に装着することのできるホルダと、
前記多関節アームの前記シートバックに対する相対位置を調整するための、駆動機構を備えた調整手段とを有することを特徴とする歯科治療用の作業補助装置。
【請求項5】
前記ロック機構が、エアの供給又は供給遮断に伴う摩擦要素の機械的な係合動作によってロック状態を作る、請求項4に記載の歯科治療用の作業補助装置。
【請求項6】
前記多関節アームの先端と前記ホルダとの間に、前記ロック機構付き自在継手に加えてロック機構付きの軸が更に設けられている、請求項4に記載の歯科治療用の作業補助装置。
【請求項7】
前記自在継手と前記軸のロック機構(130)が共通である、請求項6に記載の歯科治療用の作業補助装置。
【請求項8】
歯科治療用椅子のリクライニング可能なシートバックの背面に固設される歯科治療用の作業補助装置であって、
前記シートバックの背面に設けられたベース部分と、
該ベース部分に片持ち状態で支持された多関節アームと、
前記多関節アームの複数の可動部分に設置された複数のロック機構と、
前記多関節アームの先端に、ロック機構によってロック可能な自在継手を介して取り付けられ且つ歯科ツールを脱着可能に装着するためのホルダと、
全ての前記ロック機構をロック及びロック解除させるための操作手段とを有することを特徴とする歯科治療用の作業補助装置。
【請求項9】
前記ベース部分が、前記シートバックの高さ方向及び前記シートバックの背面から背もたれ面に向けて前記シートバックを横断する方向に変位可能である、請求項8に記載の歯科治療用の作業補助装置。
【請求項10】
前記ベース部分と前記多関節アームとが軸又は自在継手を介して連結され、この軸又は自在継手にロック手段が設けられている、請求項9に記載の歯科治療用の作業補助装置。
【請求項11】
歯科治療用椅子のリクライニング可能なシートバックの背面に固設される歯科治療用の作業補助装置であって、
前記シートバックの背面の一側に固設され、該シートバックの高さ方向に延びて該シートバックの頂部から上方に延出する第1支柱と、
該第1支柱の軸線方向に移動可能に取り付けられ、前記シートバックの背面側から前方に延出する第2支柱と、
該第2支柱を前記第1支柱の軸線方向に移動させる第1駆動手段と、
前記第2支柱の軸線方向に移動可能に取り付けられた多関節アームと、
該多関節アームを前記第2支柱の軸線方向に移動させる第2駆動手段と、
前記多関節アームの複数の可動部分に設置された複数のロック機構と、
前記多関節アームの先端に、ロック機構によってロック可能な自在継手を介して取り付けられ且つ歯科ツールを脱着可能に装着するためのホルダと、
前記第1、第2駆動手段を動作させるためのコントローラと、
全ての前記ロック機構をロック及びロック解除させるための操作手段とを有することを特徴とする歯科治療用の作業補助装置。
【請求項12】
前記多関節アームが、第1アームと第2アームで構成され、これら第1アームと第2アームが前記シートクッションの背もたれ面と略平行且つ高さ方向に延びる第3の軸を介して連結されている、請求項11に記載の歯科治療用の作業補助装置。
【請求項13】
前記第1アームの基端が、前記シートクッションの背もたれ面と略平行且つ高さ方向に延びる第2の軸を中心に回動可能である、請求項12に記載の歯科治療用の作業補助装置。
【請求項14】
前記ロック機構がエアの供給遮断を受けて摩擦要素の係合によりロック動作し、エアの供給を受けてロック解除する、請求項11に記載の歯科治療用の作業補助装置。
【請求項15】
前記コントローラがレバーを有し、該レバーを倒す方向によって前記第1、第2駆動手段の動作方向が制御可能である、請求項11に記載の歯科治療用の作業補助装置。
【請求項16】
前記多関節アームの先端と前記ホルダとの間に、前記ロック機構付き自在継手に加えてロック機構付きの軸が更に設けられている、請求項11に記載の歯科治療用の作業補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−289233(P2007−289233A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117542(P2006−117542)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(305009304)株式会社デンタル・フロンティア (2)
【Fターム(参考)】