使い捨て吸収性物品
【課題】柔軟性を損ねずに温度変化物質の移動を防止する。
【解決手段】液透過性表面シート30から液不透過性シート11の内面までの部分、例えば吸収体56における表面に沿う方向の所定範囲に、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質40を融着するとともに、この融着した温度変化物質40を機械的な加圧により砕くようにする。
【解決手段】液透過性表面シート30から液不透過性シート11の内面までの部分、例えば吸収体56における表面に沿う方向の所定範囲に、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質40を融着するとともに、この融着した温度変化物質40を機械的な加圧により砕くようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨てのおむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、汗取りシート等の吸収性物品に関するものであり、特に所謂トイレトレーニングに用いられる使い捨ておむつ、使い捨て吸収パッド等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トレーニング用の使い捨ておむつとしては、着用者に排尿を知覚させるために、尿を肌に接触させ、湿潤による不快感を強調する工夫を施したものが一般的であったが、肌のフヤケからカブレに繋がるおそれがあることから、尿を肌から遠ざけるものでありながら、着用者に排尿を知覚させるための技術開発が行われている。
この代表的なものが、ソルビトール等のように尿等の水分との接触により温度変化をもたらす物質の利用である(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1記載の技術では、ソルビトール等の温度変化物質を含む部材を、吸収要素の身体側に配置することが提案されている。また、特許文献2記載の技術では、浸透性層と不浸透性層との間にソルビトール等の温度変化物質を挟んでなる要素を、吸収性コア上に配置することが提案されている。
【特許文献1】特許3922722号公報
【特許文献2】特許3830901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の技術では、温度変化物質が粉粒体状のまま非固定で含有されているため、製品の流通過程又は使用中に温度変化物質が所定部位から移動し、温度変化物質に対する尿の供給が不足する、温度変化が身体に対して十分に伝達しなくなる等により、温度変化が不十分となるおそれがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、温度変化物質の移動を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品において、
前記温度変化物質は、前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に固体の状態で配置され、前記温度変化物質は少なくとも平面方向に自由に移動できる状態の粒子状分を有さず、あるいは少量しか有さず、大部分は移動しないように配置されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【0005】
(作用効果)
このように温度変化物質を吸収性物品の内部に固体状でかつ自由に移動できる状態の粒子状分を有さない、あるいは少量しか有さないように配置することにより、温度変化物質の大部分は移動しなくなる。よって、所期の温度変化が発生するようになる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記温度変化物質が融着されるとともに、この融着された温度変化物質が砕かれている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【0007】
(作用効果)
このように温度変化物質を吸収性物品の内部に融着することにより、温度変化物質が所定位置に確実に保持され、移動し難くなる。よって、所期の温度変化が発生するようになる。また、融着された温度変化物質が砕かれていることにより、温度変化物質の融着による硬質化が低減されるようになる。この形態は、一部の温度変化物質が粉砕され融着対象部材から脱落することも含まれる。なお、用語「融着」とは、温度変化物質が溶融状態で対象(吸収体)に付着した後に固化し、固化体が対象に固定された状態を意味する。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記温度変化物質が融着されるとともに、この融着された融着部分が前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【0009】
(作用効果)
このように温度変化物質を吸収性物品の内部に融着することにより、温度変化物質が所定位置に確実に保持され、移動し難くなる。よって、所期の温度変化が発生するようになる。また、温度変化物質を吸収性物品の内部に融着するにあたり、その融着部分を間欠的パターンとすることにより、温度変化物質の融着による硬質化が低減されるようになる。
【0010】
<請求項4記載の発明>
前記温度変化物質の融着部位が、前記表面シートと前記吸収体との間に配置されたシート、又は前記吸収体の表層部である、請求項2または3に記載の使い捨て吸収性物品。
【0011】
(作用効果)
温度変化物質は水分との接触により温度変化をもたらすものである。よって、水分との接触効率を高めるため、温度変化した水分を肌により近い部位に保持するため、及び温度変化物質がじかに肌に触れないようにするため、温度変化物質の融着部位を、表面シートと吸収体との間に配置されたシート、又は吸収体の表層部とするのが好ましい。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記表面シートと前記液不透過性シートとの間に、繊維状に形成された前記温度変化物質からなる層が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【0013】
(作用効果)
このように温度変化物質を繊維状とし、その層を表面シートと液不透過性シートとの間に設けることにより、温度変化物質が所定位置に確実に保持され、移動しなくなる。よって、所期の温度変化が発生するようになる。また、温度変化物質は繊維状であり、その層は柔軟であるため、温度変化物質を有する部分であっても硬質化は殆ど起こらない。
【0014】
<請求項6記載の発明>
前記温度変化物質のうち自由に移動できる状態の粒子状分が、該温度変化物質全体の50重量%以下である、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0015】
(作用効果)
自由に移動できる状態の温度変化物質の粒子状分の比率を抑えることにより、所期の温度変化が確実に得られるようになる。
【0016】
<請求項7記載の発明>
前記温度変化物質のうち自由に移動できる状態の粒子状分が、該温度変化物質全体の10重量%以上である、
ことを特徴とする請求項6に記載の使い捨て吸収性物品。
【0017】
(作用効果)
温度変化物質を吸収性物品の内部に融着するにあたり、その融着比率を抑えることにより、温度変化物質の融着による硬質化が低減されるようになる。
【0018】
<請求項8記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に前記温度変化物質を配置した状態で加熱し、当該温度変化物質を溶融固化するか、又は前記所定範囲に前記温度変化物質の溶融液を塗布し固化させることにより、前記所定範囲に前記温度変化物質を融着した後に、この融着部分に機械的な圧力を加えて融着した温度変化物質を砕く工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0019】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項2記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、製造ラインにより連続的に製造することが可能となる。
【0020】
<請求項9記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に、前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで前記温度変化物質を配置した状態で加熱し、当該温度変化物質を溶融固化するか、又は前記所定範囲に、前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで前記温度変化物質の溶融液を塗布し固化させることにより、前記所定範囲に前記温度変化物質を融着する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0021】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項3記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、製造ラインにより連続的に製造することが可能となる。
【0022】
<請求項10記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に多数の前記温度変化物質を配置した状態で、その温度変化物質の一部が融着し、且つ残部の温度変化物質が融着しないように加熱する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0023】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項7記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、製造ラインにより連続的に製造することが可能となる。
【0024】
<請求項11記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シートと前記液不透過性シートとの間に位置する部材上に、前記温度変化物質の溶融液を空気に乗せて吹き付け、繊維状の温度変化物質からなる綿状層を形成する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0025】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項5記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、製造ラインにより連続的に製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、柔軟性を損ねずに温度変化物質の移動を防止できるようになる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、パンツ型使い捨ておむつ(トレーニングパンツ)の例を引いて説明するが、本発明はテープ式の使い捨ておむつやパッド型の吸収性物品等にも適用できることはいうまでもない。
<パンツ型使い捨ておむつの基本構造例>
図1〜図9は、パンツ型使い捨ておむつの一例を示している。各図において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側と背側とを重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った状態で胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0028】
このパンツ型使い捨ておむつは、着用者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シート12Fと背側を覆う背側外装シート12Bとを有しており、腹側外装シート12Fの幅方向両側縁と背側外装シート12Bの幅方向両側縁とが、上下方向全体にわたりヒートシールや超音波溶着等により溶着接合されて筒状の胴回り部100が形成されるように構成されている。符号12Aは個々の溶着部を示しており、この溶着部12Aの群がサイドシール部を構成するものである。図示形態のように、背側外装シート12Bが溶着部12Aよりも下側に延出している場合には、この部分までを含む上下方向範囲に一体的にヒートシール等の加工を施し、背側延出部14に延出溶着部12Eを設けることができる。延出溶着部12Eを設けることにより、後述する背側延出部14の第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することができる。この場合、脇部の破りやすさを考慮して、溶着部12Aは小さな溶着部の集合からなり、溶着部12Aにおける溶着面積の比率が低い接合パターンとすることが一般的であるが、延出溶着部12Eでは破りやすさを考慮する必要が無いため、溶着パターンは溶着部12Aよりも溶着面積の比率を高くすることにより第2の細長状弾性伸縮部材16が確実に溶着固定されるようにしてもよい。また、延出溶着部12Eは臀部カバー部14Cの縁部をカーブしたラインで溶着し、臀部カバー部14Cの第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することもできる。
【0029】
また、胴回り部100における腹側外装シート12Fの幅方向中央部内面に内装体200の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シート12Bの幅方向中央部内面に内装体200の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間側で連続しておらず、離間されている。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間部で連続した形態、つまり腹側から背側までを一体的な外装シートにより連続的に覆う形態を採用することもできる。
【0030】
図7及び図8からも判るように、胴回り部100の上部開口は、着用者の胴を通すウエスト開口部WOとなり、内装体200の幅方向両側において胴回り部100の下縁および内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部LOとなる。各溶着部12Aを剥がして展開した状態では、図1に示すように砂時計形状をなす。内装体200は、背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在するものであり、排泄物を受け止めて液分を吸収し保持する部分であり、胴回り部100は内装体200を着用者に対して支持する部分である。
【0031】
(外装シート)
腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bは、図4及び図5にも示すようにシート状資材12,12を2枚貼り合せてなるものであり、内側に位置する内側シート状資材12はウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する外側シート状資材12は内側シート状資材12のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在され、対向面にホットメルト接着剤等により固定されている。シート状資材12としては溶着により接合できるものであれば特に限定されないが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
【0032】
そして、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bには、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート状資材12,12間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。各外装シート12F,12Bの両シート状資材12,12の貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定にはホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12F,12B全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
【0033】
より詳細には、背側外装シート12Bは、溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める背側本体部13と、この背側本体部13の下側に延出する背側延出部14とを有している。背側延出部14は、内装体200と重なる幅方向中央部14Mと、その両側に延出した臀部カバー部14Cとを有している。
【0034】
背側延出部14の形状は適宜定めることができるが、図示例では、背側延出部14の上端部は、背側本体部13と同幅で背側本体部13の下側に延出されており、その下側は股間側に近づくにつれて幅が狭められている。背側本体部13と同幅の部分は省略することもできる。このように構成されていると、臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eが、股間側に近づくにつれて内装体200側に近づくような直線状または曲線状をなすようになり、臀部を覆い易い形状となる。
【0035】
背側延出部14の寸法は適宜定めることができるが、図6に示すように、臀部カバー部14Cの幅方向長さ14x(臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eと内装体200の側縁との幅方向の最大離間距離)が80〜160mmであり、臀部カバー部14Cの上下方向の長さ14y(延出長さ)が30〜80mmであると、より好ましい。また、背側延出部14の幅方向に最も広い部位と上下方向に最も広い部位により定まる四角形の面積をSとすると、背側延出部14の面積はSに対して20〜80%、特に40〜60%程度であると、臀部の外観および装着感に優れるため、好ましい。
【0036】
背側本体部13は、上下方向において概念的に上端部(ウエスト部)Wと、これよりも下側の下側部分Uとに分けることができ、その範囲は製品のサイズによって異なるが、一般に、上端部Wの上下方向長さは15〜80mm、下側部分Uの上下方向長さは35〜220mmとすることができる。
【0037】
背側本体部13の上端部(ウエスト部)Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の背側ウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、背側本体部13の下側部分Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。この背側ウエスト弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えば背側ウエスト部の上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
【0038】
また、背側本体部13の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第1の細長状弾性伸縮部材15が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
【0039】
第1の細長状弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0040】
また、背側延出部14における内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり(少なくとも臀部カバー部14C全体にわたり)連続するように、複数の第2の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
【0041】
第2の細長状弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0042】
一方、腹側外装シート12Fは背側外装シート12Bの背側本体部13と基本的に同様の腹側本体部(溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める部分)のみからなるものであり、胴回り方向に沿って延在する矩形状をなし、背側外装シート12Bのような背側延出部14を有していないものである。
【0043】
すなわち、腹側外装シート(腹側本体部)12Fの上端部(ウエスト部)Wおよび下側部分Uのうち、上端部Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材12の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の腹側ウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。この腹側ウエスト部弾性伸縮部材18は、背側ウエスト部弾性伸縮部材17に対して、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
【0044】
また、腹側外装シート12F(腹側本体部)の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第3の細長状弾性伸縮部材19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第3の細長状弾性伸縮部材19の上下方向配設範囲は、下側部分の一部としても良いが、実質的に全体(全体に伸縮力が作用する範囲)とするのが好ましい。
【0045】
第3の細長状弾性伸縮部材19としては、第1の細長状弾性伸縮部材15と、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
【0046】
図示形態の腹側外装シート12Fは、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分のみからなるものとしたが、背側と同様に、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める腹側本体部と、この腹側本体部の下側に延出する腹側延出部とからなる構成とすることもできる。これにより、腹側外装シート12Fの脚周り形状を鼠蹊部に沿ってフィットする形状とすることができる。この場合、腹側延出部の面積は、背側延出部の面積の10〜80%であるのが好ましく、20〜50%であるとより好ましい。腹側延出部が過度に大きいと、かえってフィット性を損なうため好ましくない。
【0047】
他方、図示のように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200と外装シート12F,12Bが剥れにくいため好ましいが、この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。また、背側本体部13および背側延出部14の幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
【0048】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。液不透過性シート11の裏面側には、内装体200の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シート12Mを固定することもできる。また、表面シート30と吸収要素50との間に、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させる中間シート(セカンドシート)を設けることもできる。さらに、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に、身体側に起立するバリヤーカフス60,61を設けることができる。なお、図示しないが、内装体200の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより、適宜相互に固定することができる。また、内装体200は、メカニカルファスナーや粘着材を用い、外装シート12F,12Bに対して着脱自在に取り付けることもできる。
【0049】
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特には、表面側からの温度変化を感知し易くするため、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布が薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、エアスルー法により加工された不織布は低坪量でも吸収が速やかでかつさらっと感に優れるため好適である。
【0050】
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合わせてなるものであってもよい。
【0051】
表面シート30を不織布から構成する場合、その厚みが0.1〜3mm程度、特に0.5mm以下、且つ目付けが10〜40g/m2程度、特に25g/m2以下であるように構成すると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。
【0052】
バリヤーカフス60,61を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11とバリヤーカフス60,61との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及びバリヤーカフス60,61に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。
【0053】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0054】
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
【0055】
また、液不透過性シート11の内面または外面には、印刷や着色によるデザインを施しても良い。さらに液不透過性シート11の外側に、股間部外装シート12Mとは別部材の、印刷または着色を施したデザインシートを貼り付けても良い。また、液不透過性シート11の内側に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータ80を設けることができる。
【0056】
(バリヤーカフス)
バリヤーカフス60,61は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
【0057】
本実施の形態では、図3及び図4にも示すように、内装体200の左右各側において二重にバリヤーカフス60,61が設けられている。おむつを展開した状態では、図示のように、内側バリヤーカフス61は内装体200の側部から幅方向中央側に斜めに起立するものであり、外側バリヤーカフス60は、内側バリヤーカフス61の幅方向外側において内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
【0058】
より詳細には、内側バリヤーカフス61は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のバリヤーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。細長状弾性伸縮部材63は、バリヤーシート62に対し、前後端部では固定されておらず、中間部においてバリヤーカフスが前後に伸縮するように固定されている。バリヤーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは420〜1120dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示しないが、二つに折り重ねたバリヤーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
【0059】
細長状弾性伸縮部材63は、内側バリヤーカフス61の先端部に1〜2本配置するのが好ましく、先端部と基端部との間の中間部にも1〜2本配置すると更に好ましい。中間部に細長状弾性伸縮部材63があると、これを支点として中間部から先端部に亘る範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。中間部の細長状弾性伸縮部材63の配置位置は内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の30〜70%範囲が好ましい。乳幼児用紙おむつでは、内側バリヤーカフス61の高さは15〜35mm程度が好ましいため、細長状弾性伸縮部材63の配置範囲は先端から基端側に5〜25mmの位置が好ましく、12〜18mmの位置がより好ましい。内側バリヤーカフス61の先端部及び/または中間部にそれぞれ細長状弾性伸縮部材63を平行に設ける場合は、その配置間隔61dは2〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
【0060】
そして、内側バリヤーカフス61のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分(内側取付部分)65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分であり、内側突出部分に相当する)とされ、この突出部分66のうち前後方向両端部が表面シート30表面にホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67により固定され、前後方向中間部が非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
【0061】
外側バリヤーカフス60も、内側バリヤーカフス61と基本的に同様の構造を有するものであるが、その取付部分(外側取付部分)68が、内装体200の裏面側における内側バリヤーカフス61の取付部分65よりも幅方向中央側において内側バリヤーカフス61の外面に固定される点、突出部分(外側突出部分)69のうち前後方向両端部が、取付部分68から内装体200の側部を通り内側バリヤーカフス61における内側突出部分66の前後方向両端部の表面まで延在し且つ内側突出部分66の前後方向両端部の表面に固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる点、細長状弾性伸縮部材63の配置及び本数等で異なるものである。
【0062】
ただし、内側バリヤーカフス61についても、内側突出部分の先端部は幅方向外側に折り返される構造、具体的には内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の1/2以下、好ましくは1/3以下であれば、外側バリヤーカフス61と同様に先端側部分が幅方向外側に折り返され且つ付け根部側部分に固定される構造を採っても良い。
【0063】
外側バリヤーカフス60の自由部分(外側自由部分)に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。外側バリヤーカフス60に配置する細長状弾性伸縮部材63の太さや伸長率は、内側バリヤーカフス61に準ずるが、太さは内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより太く、伸長率は内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより低いほうが好ましい。
【0064】
また、突出部分66,69の前後固定部67の前後方向長さL6は、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは短く形成するのが好ましく、バリヤーカフス60,61における細長状弾性伸縮部材63の前後方向固定長さは、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは長く形成するのが好ましい。取付部分65と突出部分66との境界は、外側バリヤーカフス60と内側バリヤーカフス61とで同じ位置であっても良いが、外側バリヤーカフス60の境界が内側バリヤーカフス61の境界よりも幅方向中央側に離間しているのが好ましく、その離間距離は10mm以内が好ましい。
【0065】
外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61の取付部分68,65における突出部分66,69側の縁部には、ホットメルト接着剤やヒートシールによる線状の付け根固定部を形成するのが好ましい。また、他の固定部はホットメルト接着剤等を用いて適宜のパターンで固定することができる。この線状の付け根固定部は、内装体200の表面側の側部近傍(具体的には側縁から幅方向に0〜5mm、好ましくは0〜3mmの位置)または裏面側に位置するのが好ましい。この場合、バリヤーカフスを表面側に折り返して固定しているのは実質的に前後方向両端部のみとなるため、前後固定部67による幅方向中央側への規制が十分に作用しない股間部においては、外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61いずれもが幅方向外側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが広くなる。表面側で側縁から幅方向に5mmを越えて線状の付け根固定部が位置すると、股間部においてもバリヤーカフスが幅方向中央側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが狭くなるため、好ましくない。裏面側に位置する場合は、内装体200の側縁から0〜20mmの位置が適当だが、20mmを越えて位置してもよい。
【0066】
外側及び内側バリヤーカフス60,61の取付部分68,65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができ、またいずれか一方のバリヤーカフスを介して他方のバリヤーカフスを内装体200に対して固定することもできる。
【0067】
かくして構成された外側及び内側バリヤーカフス60,61では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66,69のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分68,65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開くように起立するため、外側及び内側バリヤーカフス60,61が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。一方、股間部の前後両側(腹部及び背部)においては、前後固定部67により外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側へ開かないように規制されるため、内側バリヤーカフス61は高く起立し、外側バリヤーカフス60の下半分も同様に起立するため、腹部及び背部における内装体200両脇からのもれが確実に防止できる。また、内側バリヤーカフス61の突出部分66における前後固定部67は折り返さずに、外側バリヤーカフス60の突出部部分68における前後固定部67は外向きに折り返されているため、外側及び内側バリヤーカフス60,61における内側及び外側自由部分間の離間状態が維持され、外側及び内側バリヤーカフス60,61が広い間隔で確実に起立し、それぞれが脚周りにフィットするようになるため、漏れ防止性に優れたものとなる。
【0068】
バリヤーカフス60,61の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、内側バリヤーカフス61の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W5は10〜50mm、特に15〜35mmであるのが好ましく、外側バリヤーカフス60の起立高さ(展開状態における突出部分69の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、内側バリヤーカフス61を表面シート30表面に倒した状態における先端間の離間距離W4は60〜170mm、特に70〜120mmであるのが好ましい。また、外側バリヤーカフス60を表面シート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、外側及び内側バリヤーカフス60,61のいずれか一方のみを設けることもできる。
【0069】
(吸収要素)
本例の吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有するものとなっているが、包装シート58は省略することもできる。
【0070】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成される。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0071】
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部56F、後端部56B及びこれらの間に位置し、前端部56F及び後端部56Bと比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体とバリヤーカフス60,61の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。具体的な寸法としては、吸収体前端部56Fの前後方向長さをL1とし、吸収体56と腹側外装シート12Fとの重なり部分における前後方向長さをL2とし、吸収体後端部56Bの前後方向長さをL3とし、吸収体56と背側外装シート12Bとの重なり部分における前後方向長さをL4とし、括れ部56Nの最小幅をW1とし、吸収体前端部56Fの幅及び吸収体後端部56Bの幅をW2としたとき、下記の式(1)〜(4)を満足するように構成されていると、好ましい。
70mm ≦ W1 < W2 ≦ 190mm …(1)
0.5 ≦ W1/W2 ≦ 0.85 …(2)
0mm ≦ L1−L2 ≦ 70mm …(3)
0mm ≦ L3−L4 ≦ 50mm …(4)
【0072】
W1及びW2が狭過ぎると、バリヤーカフス60,61の起立が不安定になり、また吸収量が不十分となり、広過ぎるとフィット性の低下により装着感が悪化する。
【0073】
また、上記数値範囲にあると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の取付部分65近傍に吸収体56が存在しないため、バリヤーカフス60,61の動きの自由度が増し、バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開き易く、肌に対して面で当たりやすくなり、脚の動きに対するフィット面の追従性も向上する。前後両側においては内装体200側部の吸収体56が十分な範囲に存在するため、これを基点(支点)としてバリヤーカフス60,61の起立が安定する。前後両側から股間部に至る部分は、バリヤーカフス60,61が内装体200の幅方向両側縁を基準として幅方向内側に起立した姿勢から幅方向外側に開いていく変位部であり、このバリヤーカフス60,61の姿勢変化が内装体200側部まで存在する吸収体56により支えられ、バリヤーカフス60,61の全体的な起立形状が安定する。上記数値範囲を外れ、括れ部が大きくなりすぎると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の自由度が高くなりすぎ、かえって脚周りに隙間ができ易くなるおそれがあり、また股間部の前後両側においても基点(支点)が無いためにバリヤーカフス60,61の起立が不安定になるおそれがある。逆に括れ部が小さくなりすぎると、バリヤーカフス60,61の自由度が低下するので好ましくない。
【0074】
さらに、括れ部56N全体の前後方向長さL7は好ましくは80mm以上、特に好ましくは120〜260mmとされる。括れ部56Nの前後方向長さL7が短過ぎるとバリヤーカフス60,61の自由度が低下するとともに、吸収体56の脚周りに対するフィット性が低下して脚の動きを妨げるようになり、長すぎるとバリヤーカフス60,61の起立が安定しなくなる。
【0075】
(高吸収性ポリマー粒子)
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0076】
高吸収性ポリマーとしては、抗菌物質と一体化したものを用いることができる。特に、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子(以下、これを抗菌消臭性ゼオライトという)を高吸収性ポリマー中に含有させるか、あるいは抗菌消臭性ゼオライト粒子を高吸収性ポリマー粒子の表面に静電気により付着させてなる、抗菌消臭性高吸収性ポリマー粒子が好適である。
【0077】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0078】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0079】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、50〜800g/m2とすることができ、特に100〜400g/m2が好ましい。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。800g/m2を超えると、効果が飽和する。
【0080】
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0081】
特に、後述する温度変化物質40により温度変化した尿を肌により近い位置で保持するために、高吸収性ポリマーとしては吸水速度が50秒以下のものが好適である。吸水速度が遅いと、温度変化した尿の多くが吸収されずに裏面側に通過してしまう。
【0082】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないような目の細かいシートであるのが望ましく、包装シート58の内側に温度変化物質40を設ける場合には表面側からの温度変化を感知し易くするため、薄く低目付けのものが適当である。厚みは0.05〜3mm程度、特に0.2mm以下、且つ目付けが5〜25g/m2程度、特に15g/m2以下であると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。不織布を用いる場合は、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布、特にSMS法により加工された不織布が、薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。
【0083】
吸収体56を一枚の包装シートで包む場合、包装シート58の内側に温度変化物質40を設ける場合には着用者に効果的に温度変化を伝達させるため、身体側の包装シート58の合わせ目の重なり幅58Wを温度変化物質の配置領域の幅40Wより狭く、かつ寸法が40mm以下、特に20mm以下にするのが好ましい。また、包装シート58の合わせ目は、排尿口に当接する幅方向の中央を含まないように、側部寄りに形成するのも好ましい形態である。特に、身体側の包装シート58の合わせ目のシートの重なり部が、後述する温度変化物質の融着部分とは重ならないようになっていることが好ましい。
【0084】
(股間部外装シート)
内装体200の裏面側には、製品外面に露出する股間部外装シート12Mが設けられている。この股間部外装シート12Mの素材としては、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bと同様のものを用いることができるが、より高強度の素材や消臭剤を含有するもの等、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bとは異なる素材を用いることもできる。具体的には、PP、PP/PE、PP/PET等の繊維からなる、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、エアーポイント不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等の各種不織布、あるいはこれに消臭剤等を添加したもの等を用いることができる。
【0085】
股間部外装シート12Mには座位時に高い体圧がかかる。よって、摩擦堅牢度の高い(毛羽立たない)特性を有する素材が好ましい。
股間部外装シート12Mは、印刷や着色を行い、デザイン要素を備えたシートとしてもよい。前述のデザインシートと併用する場合は、それぞれのデザインが重ならないように配置することが好ましい。
股間部外装シート12Mとして伸縮不織布を用い、内装体200の長手方向に伸長して貼り付けると、股間部のフィット性が向上するため好ましい。
【0086】
股間部外装シート12Mが幅方向側部から身体側面まで回り込み、バリヤーシート62の外面にホットメルト接着剤等により接着固定されていると、内装体200の両側部の剛性が向上する。このような形態においては、股間部外装シート12Mに剛度(コシ度)の高いシートを用いることが好ましい。具体的には、クラーク法(JISL1096 C法)によって測定される剛軟度の、シートのMD方向とCD方向との和が100mm以上、好ましくは150mm以上のシートを用いるとよい。
【0087】
図示例では、腹側及び背側外装シート12F,12Bと内装体200とが重なる部分において、股間部外装シート12Mは内装体200と腹側及び背側外装シート12F,12Bとの間に挟まれているが、腹側及び背側外装シート12F,12Bの外側に貼り付けることも可能である。股間部外装シート12Mは、ホットメルト接着剤等により内装体200の裏面、並びに腹側及び背側外装シート12F,12Bの内面若しくは外面に貼り付けられる。
【0088】
(特徴的部分)
特徴的には、内装体200の内部における、表面に沿う方向の所定範囲に、温度変化物質40が配置される。温度変化物質40は、通常は粒子状物の集合体という形で製造ラインに適用されるため、そのままの状態でおむつの内部に、あるいはおむつを構成する部材に対して適用すると、おむつの内部で温度変化物質40の粒子状物が自由に移動し、排尿時の温度変化が不十分となるおそれがある。これに対して、粒子状の温度変化物質40を加熱して溶融し、これを固化させることにより、固体の状態で配置することができ、温度変化物質40は自由に移動できる状態の粒子状分を有さず、あるいは少量しか有さず、大部分は移動しないようにすることができる。
【0089】
温度変化物質40は、尿、汗等の水分に接触して溶解熱、水和熱、又は反応熱等により熱を吸収又は放出し、温度変化をもたらす(冷却又は加熱する)ものであり、加熱により融着されるものである。水分への溶解により熱を吸収する温度変化物質の例としては、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等の含水塩、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム等の無水塩、尿素、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール等を挙げることができる。水分への溶解により熱を放出する温度変化物質の例としては、塩化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化アルミニウムカリウム等を挙げることができる。本発明では、これらのうち、吸熱作用を発現するソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール又は尿素などの有機化合物を使用することが好ましい。特にソルビトールやキシリトールは、溶解性に極めて優れ、化学的安定性が良く、人体に悪影響を及ぼさないため、好適に使用できる。水分への溶解により吸熱又は放熱する物質を用いる場合、水分への溶解度が低いと、十分な温度変化を発揮できないため、温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上、特に50g以上であるものが好ましい。また、20cal/g以上の温度変化を生じるものが好ましく、35cal/g以上の温度変化を生じるものがより好ましい。
【0090】
水分との反応により熱を吸収又は放出する物質の例としては、オルトエステル類、又はメントンを炭素量が1ないし8のアルコール或いは炭素量が2ないし8のポリオールと反応させて得られるメントンケタルのようなケタル類、及びそれらの構造的又は光学的異性体を挙げることができる。また、水分により膨潤することにより熱を吸収又は放出する温度変化物質の例としては、軽く架橋結合し部分的に中和されたポリアクリル酸を挙げることができる。
【0091】
また、温度変化物質40は加熱により溶融するものであるため、温度変化物質40とともに加熱される部材がある場合には、温度変化物質40の融点が温度変化物質40とともに加熱される部材よりも低い物質であるのが望ましい。すなわち、使い捨ておむつは通常ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を含むため、温度変化物質40はこれらの樹脂と同じかそれよりも低い融点を有することが望ましい。一般的な熱可塑性樹脂の中で特に融点の低いポリエチレンは、通常100〜130℃程度の融点を有するため、温度変化物質の融点は130℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。また、製品保管時に温度変化物質40が融解しないよう、70℃以上の融点を有することが好ましい。このような温度変化物質40としては、融点が通常約95〜110℃程度(純度によって若干異なる)であるソルビトール及びキシリトールを挙げることができる。
【0092】
また、温度変化物質40は、加熱して溶融した状態でおむつの内部に、あるいはおむつを構成する部材に対して適用するため、特に温度変化物質40が隣接する部材が不織布や吸収体56のように繊維集合体である場合、温度変化物質40の溶融時の粘度が低いと、繊維間隙に浸透し難くなり付着力が低下するおそれがある。また、温度変化物質40の溶融時の粘度が高いと所定の部位への配置が困難である。この観点から、温度変化物質40としては、溶融時の温度(例えば70〜130℃)における粘度が5〜80ポアズのものが好ましい。
【0093】
特に本形態では、温度変化物質40を加熱して溶融したものを固化することで融着固定している。このように温度変化物質40を融着することで、温度変化物質40の移動が無くなり、融着領域(例えば股間部)で確実に温度変化機能が発揮されるようになる。また、温度変化物質40の融着部位は、その上下の部材を接着固定するための接着部としての効果も期待できる。
【0094】
温度変化物質40の融着部位は、図1〜図9に示す例のように、表面シート30及び液不透過性シート11の間に位置する部材である吸収体56とする他、図10(a)に示すように表面シート30裏面(図示しないが表面シート30の内部であっても良い)としたり、図10(b)に示すように、液不透過性シート11の内面(吸収体56側面)としたり、図10(c)に示すように、表面シート30及び液不透過性シート11の間に位置する部材である包装シート58の外面(または内面でも良い)としたりすることができる。また、図示しないが中間シートの外面(または内面でも良い)としてもよい。特に、温度変化物質40は、表面シート30と吸収体56との間に配置されたシート(例えば中間シートや包装シート58)に融着することが好ましい。
【0095】
また、温度変化物質40を吸収体56に融着させる場合、その融着部位は図1〜図9に示す例のように、吸収体56の表層部が好ましいが、これよりも裏側の部分としたり、厚み方向の全体としたりすることもできる。吸収体を図11(a)のような上下二層構造とする場合、上層56Aのみに温度変化物質40を融着させるのが好ましいが、上下両層56A,56B又は下層56Bのみに温度変化物質を融着させることもでき、さらにこれらの場合において融着対象部位を対象層の厚み方向の一部(例えば表層部)のみとすることもできる。
【0096】
さらに、図11(b)及び(c)に示すように、表面シート30及び液不透過性シート11の間に、温度変化物質40を融着した融着シート42を介在させるのも好ましい形態である。融着シート42の介在部位は適宜定めることができるが、図示例のように吸収体56の表面側とするのが好ましい。図11(b)に示す例では、融着シート42を吸収体56の表面と包装シート58との間に配置しているため、表面シート30として目の粗い素材を用いても、未融着の温度変化物質40が漏れ出難い。一方、図11(c)に示す例では、融着シート40を表面シート30の裏面と包装シート58との間に配置しているため、温度変化が肌に伝わり易い。
【0097】
融着シート42は、図11(b)に示す例のように一枚のシート基材42bの片面に温度変化物質40を融着させるだけでも良いが、図11(c)に示す例のように二枚のシート基材42a,42b間に温度変化物質を挟み、いずれか一方又は両方のシート基材に融着させることもできる。
【0098】
温度変化物質40を設ける範囲(おむつ表面方向に沿う範囲)は、水分と接触する部分であれば特に限定されないが、トイレトレーニング用おむつの場合、吸収体56の幅方向中央部のうち、少なくとも股間部から腹側部分にわたる部分に温度変化物質40が配置されているのが好ましい。図1〜図9に示す形態ではこの部分の周囲に温度変化物質40が配置されていないが、図12に示すように吸収体56の前後方向全体にわたり温度変化物質40を配置したり、図示しないが吸収体56の幅方向全体にわたり温度変化物質40を配置したりすることも可能である。
【0099】
特にトイレトレーニング用おむつの場合、吸収体56が少なくとも腹側部分のウエスト側端縁から股間側に0.15〜0.80L(Lは製品長さ)の範囲にわたり設けられている場合、温度変化物質40の融着部分は少なくとも腹側部分のウエスト側端縁から股間側に0.25〜0.45Lの範囲40Yにわたり設けられているのが好ましい。また、男の子用の場合、温度変化物質40の融着部分は前後方向において前側に位置することが好ましい。従って、本実施形態のようなパンツ型使い捨ておむつの場合は、腹側外装シート12Fの左右両側部のサイドシール部(溶着部12A)の下端部を結ぶ線と内装体200が交差する部分を含むように配置されていると、排尿口に近く、かつ弾性伸縮部材の作用によって温度変化物質40の融着部分が常に体に押し当てられた状態となるため、どのような姿勢においても着用者に温度変化を感知させることができ、好ましい。女の子用の場合は、温度変化物質40の融着部分は前後方向中央部分を含むように配置されていると、排尿口に近いため、好ましい。従って、男女兼用のパンツ型使い捨ておむつとする場合は、腹側外装シート12Fの左右両側部のサイドシール部(溶着部12A)の下端部を結ぶ線と内装体200が交差する部分及び前後方向中央部分を含むように配置するとよい。このような寸法を採用することによって、男女の排尿位置に温度変化物質40の融着部分が位置するようになる。つまり、排尿時に尿が温度変化物質40の融着部分に確実に当たるようになる。
【0100】
また、温度変化物質40の融着部分の平面形状は適宜定めることができ、図12に示すような長方形状としても良いが、鼠蹊部に沿い且つ鼠蹊部よりも幅が広くなるように、ウエスト側に向かうにつれて幅が拡大する形状を有しているのも好ましい。図中の符号41が幅拡大部分を示している。ある程度は硬くならざるを得ない温度変化物質40の融着部分をこのような形状にすることによって、股間部における縦皺及び鼠蹊部に沿う皺が入り難く、股間部から腹側部分にかけてのフィット性がより一層のものとなる。幅拡大部分41より後側は、図示形態では一定の幅とされているが、脚周りに沿う曲線状をなしていても良い。
【0101】
吸収体56の股間部に脚周りに沿う括れ部56Nを設ける場合、括れ部56Nの前後方向長さが0.2〜0.3Y(Yは吸収体56の前後方向長さ)であり、括れ部56Nにおける最も幅が狭い部分の幅が0.6〜0.75X(Xは吸収体56の全幅で、前記W2と同じ)であり、腹側部分における温度変化物質40の融着部分のウエスト側端縁の幅40Wは0.4〜0.7Xであり、温度変化物質40の融着部分のうち幅拡大部分41の股間側端が、括れ部56Nの最も幅の狭い部分と同位置か、又はこれよりも腹側に位置しており、温度変化物質40の融着部分の後端は、括れ部56Nの後端と同位置、又はこれよりも背側に位置するとともに、その幅40Xが、腹側部分における温度変化物質40の融着部分のウエスト側端縁の幅40Wの0.7倍以下で、且つ0.5X以下であるのが好ましい。特に、本実施形態のようなパンツ型使い捨ておむつの場合、温度変化物質40の融着部分のウエスト側端縁の位置が、腹側部分においてサイドシール部の下端よりウエスト側に位置していると、排尿が知覚しやすいだけでなく、フィット性にも優れるため好ましい。
【0102】
また、吸収体56の温度変化物質40の融着部分に対応する領域を、他の領域よりも厚さが薄い領域とすることで、フィット性を向上しつつ着用感時の違和感を与えないようにすることができる。さらに、温度変化物質40が溶解して温度変化した尿が厚み方向(液不透過性シート11方向)に拡散し難くなるため、表面シート30側での温度変化がより確実なものとなる。吸収体56の厚さを薄くする手段としては、プレスによる薄肉化や、繊維集合体や高吸収性ポリマー粒子等の吸収材の目付け量を少なくすることによる低目付け化が採用できる。吸収体56の温度変化物質40の融着部分に対応する領域に吸収材を配置しないようにしてもよい。
【0103】
吸収体56の寸法が上記範囲内にあると吸収体56が脚周りにフィットし易くなる。また、腹側部分における温度変化物質40の融着部分のウエスト側端縁の幅40Wが上記範囲内にあり、温度変化物質40の融着部分のうち幅拡大部分41の股間側端が前後方向において上記範囲に位置していると、歩行により鼠蹊部に沿って発生する皺を効果的に防止できる。また、温度変化物質40の融着部分の後端を前後方向において上記範囲内に抑えることで、温度変化に鈍感である尻側に無駄な温度変化物質40を配置しなくて済む。また、温度変化物質40の融着部分の後端の幅40Xが上記範囲内にあると股間部における縦皺が入り難くなるため好ましい。
【0104】
温度変化物質40の使用量は適宜定めることができるが、温度変化物質40として糖アルコールを用いる場合、物品における総含有量は4〜20g程度、特にトイレトレーニング用おむつの場合は8〜12g程度であるのが好ましい。また、温度変化物質40の融着部分における温度変化物質40の目付け(単位面積当たりの含有量)は、200〜1200g/m2程度、特にトイレトレーニング用おむつの場合は400〜600g/m2程度であるのが好ましい。
【0105】
温度変化物質40を吸収体56等の融着対象に融着する方法としては、粒子状(粉体状含む)若しくは短繊維状等の適宜形状の温度変化物質40を融着対象部材の上面の所定部位に載せた後、又は融着対象部材の内部の所定部位に含有(複数の部材間に挟む場合も含む)させた後に、温度変化物質40を融着対象部材とともに加熱し、温度変化物質40のみを溶融状態として融着対象部材の繊維に付着させた後、冷却して温度変化物質40を固化させる方法を用いることができる(第1の手法)。この第1の手法によると、温度変化物質40の量や加熱時間等の条件にもよるが、融着対象部材に対して溶融前よりも小さな粒子状の温度変化物質や、溶融した複数の温度変化物質が一体化した塊状の温度変化物質40が多数箇所に付着した状態となるか、これらが連続して膜状又は骨格状等の温度変化物質40が付着した状態となる。
【0106】
他の手法としては、吸収性物品の技術分野で用いられているホットメルト接着剤の塗布に倣って、温度変化物質40の溶融液を融着対象部材の所定部位にノズル等を用いて塗布し、冷却固化させる方法も用いることができる(第2の手法)。
【0107】
第1の手法において、温度変化物質40を融着対象部材の内部に含有させる場合、融着対象部材の製造原料(繊維等)に粒子状等の温度変化物質40を混合する他、融着対象部材が繊維集合体のように外部から内部に至る隙間を有するものである場合には、粒子状の温度変化物質40を、初速度を与えて自由落下よりも勢いよく融着対象部材に散布することにより、温度変化物質40を融着対象部材内に侵入させることもできる。
【0108】
第1の手法における加熱手段は特に限定されないが、例えば図15〜図18に示す手段を採用することができる。図15及び図16に示す手段は、高温の空気の通過により加熱を図るエアスルードライヤーを利用するものである。図15に示す手段では、温度変化物質40を所定部分に配置した融着対象部材300を、ベルトコンベヤー301により搬送しながら、搬送面に対して直交する方向に通される熱風302により加熱した後、同じく搬送面に対して直交する方向に通される風303により冷却する、というものである。また、図16(a)及び(b)に示す手段は、温度変化物質40を所定部分に配置した融着対象部材300を、高温空気が供給される加熱室310内に設置されたサクションロール311に巻き掛けて移送しつつ、サクションロール311外側から内側に通される熱風312により加熱した後、加熱室310外に設置されたクーリングロール313に巻き掛けて移送することにより冷却する、というものである。
【0109】
また、図17に示す加熱手段は、温度変化物質40を所定部分に配置した融着対象部材300を、加熱ロール320に巻き掛けて移送することにより、加熱ロール320の熱を接触により温度変化物質に対して伝達し、片面側から加熱するというものである。
【0110】
さらに、図18に示す加熱手段は、温度変化物質40を所定部分に配置した融着対象部材300を、少なくとも一方が加熱ロールからなる一対のロール330,331、340,341間に通すことにより、加熱ロールの熱を接触により温度変化物質に対して伝達し、加熱するというものである。この場合、同図(a)に示すように、両ロール330,331を表面が平滑なスムースロールとし、融着対象部材300に凹凸を形成しないようにしても、同図(b)に示すように、いずれか一方のロール340を表面に所定パターンの凹凸を有するエンボスロールとし、融着対象部材300の一方の面に凹凸を形成しても良い。特に、後者の場合、エンボスロール340の凸部パターンを、温度変化物質の融着部分の領域だけに合せて形成しておき、当該領域のみを加熱するように構成するのも好ましい。融着部分が形成されるのは、エンボスロール340の凸部パターンに対応する領域のみであるため、温度変化物質40は、エンボスロール340の凸部パターンよりも広い範囲に配置してもよい。このように、融着対象部材300を部分的に加熱する方法を用いれば、融着対象部材300の所定の領域のみに温度変化物質40を配置する必要はなく、例えば融着対象部材300の全面に温度変化物質40を配置し、所定の領域のみを部分的に加熱することにより、部分的に融着部分を形成することも可能である。また、エンボスロール340の凸部パターンを、複数段階の高さを有するものとすると、温度変化物質40が厚く融着する部分と薄く融着する部分とを分けて形成することも可能である。
【0111】
第1の手法における温度変化物質40の加熱溶融は、融着対象部材の製造時のみならず、その後の製造過程の適宜段階、例えば内装体200の組立完了状態(製品状態までの組立完了前)、又は製品状態までの組立完了後に、内装体200やおむつ全体に対して行うこともできる。この場合における加熱方法としては、例えば前述した図15〜図18に示す手段を応用することができる。
【0112】
第1の手法において融着対象部材に融着された温度変化物質40は、一度融解して液状化した後固化するため、表面積が小さくなっている。従って、温度変化物質40における尿との接触面積が小さくなるため、温度変化速度が抑えられ、持続性が向上する。ただし、一律に温度変化速度が遅くなると、着用者が温度変化を知覚し難くなるおそれがある。そこで、温度変化物質40として嵩密度が低い粒子状物を用い、その全てを溶融させず、一部を溶融させて嵩密度の高い固体にし、残りは嵩密度の低い粒子状物のままで残す(融着してもしなくても良い)ようにするのも好ましい形態である。粒子状の温度変化物質40は、同程度の粒径であれば、嵩密度が低いほど表面積が大きく、尿との接触効率が高いため、温度変化速度が速くなる。特に温度変化物質40が尿に溶解して温度変化が生じる場合にはこの傾向が顕著である。よって、前述したように、温度変化物質40の一部のみを溶融させる場合、粒子状を維持する温度変化物質40は温度変化作用が素速く生じ、溶融固化した温度変化物質40は、温度変化作用が遅れて生じるようになるため、速効性と遅効性とを兼ね備えた温度変化が得られる。このような温度変化の速効性と遅効性のバランスを取るためには、粒子状分の残存割合は、30〜70重量%程度が適当である。さらに、温度変化物質40の移動防止という観点からは、粒子状分の残存割合は0〜50重量%程度が適当である。従って、粒子状分の残存割合は、30〜50重量%とするのが好ましい。
【0113】
嵩密度の低い粒子状の温度変化物質40としては、顆粒、表面凹凸の多い形状の粒子、表面や内部に微細な孔を有する粒子等の多孔質粒子が好適である。嵩密度の程度は適宜定めれば良いが、真密度の50%以下である(見かけの体積に対して50%以上の空隙(空間)を有する)のが好ましい。例えば、ソルビトールの場合、真密度は1.50g/cm3なので、好ましい嵩密度は0.75g/cm3以下であり、0.50〜0.70g/cm3がより好ましく、0.55〜0.65g/cm3が特に好ましい。また、粒子径が大きいと、見かけの嵩密度は小さいが、表面積は大きくないため、粒子状の温度変化物質40を用いる場合、その平均粒径(JIS K 1474−2007 メジアン径)が200〜600μmであることが好ましい。
【0114】
以上に述べた方法により温度変化物質40をおむつ内部に、あるいはおむつを構成する部材に対して融着することができるが、それだけでは融着部分が硬質化し、装着感が硬くなり、身体に対するフィット性も低下する。よって、次述の柔軟化手段が組み合わされる。すなわち、第1の手段は、温度変化物質40の融着部分を含む部分に機械的な圧力を加え、融着した温度変化物質40を砕くものである。このような処理は、融着対象部材をロール間に挟んで加圧すると連続処理が可能なため好ましい。加圧に際しては加熱を伴っても良いが、温度変化物質を砕き難くなるため加熱せずに加圧するのが好ましい。
【0115】
加圧加工は、対象部分の全体に行う他、部分的に、例えばいわゆるエンボス加工等により散点状に行うこともできる。図13は、後者の加圧形態を示しており、符号45は加圧部を示し、符号46は非加圧部を示している。後者の加圧形態の場合、加圧部45の中心間隔45dは前後方向及び幅方向ともに2〜25mmの範囲内とするのが好ましい。また、加圧部45及び非加圧部46を有する部分における単位面積当たりの非加圧部46の面積割合は20〜70%程度、特に30〜50%程度とするのが好ましい。加圧部45の間隔が広過ぎたり、非加圧部46の面積が大き過ぎたりすると柔軟化が不十分となり易く、加圧部45の間隔が狭過ぎたり、非加圧部46の面積が小さ過ぎたりすると融着部分の全体を砕くのと殆ど同じになり、粉砕時に融着対象部材から離脱する温度変化物質40の量が増加する。また、加圧部45の配列は適宜定めることができ、図13(a)示すような行列状とする他、図13(b)に示すような千鳥状とすることもできる。加圧加工により、砕かれて細分化した温度変化物質40の一部が、融着された部材から遊離しておむつ内部を自由に移動できる状態になる。この遊離物(粒子状分)は少ないほうが好ましく、具体的には温度変化物質40全体の0〜30重量%程度、特に0〜10重量%である。なお、本発明における、おむつ内を自由に移動できる状態の粒子状分とは、おむつを構成する部材に対して固定されておらず少なくとも平面方向に自由に移動可能なものであれば粒状や粉状のものに限らず、短繊維状やブロック状など、適宜の形状を含むものとする。ただし、個々の「粒子」については、任意の方向で長さを測定した時の最大長さが30mm以下、かつ最大重量1g以下のものとする。もちろん、「粒子」が大きすぎると着用時の違和感を伴うため、実際には最大長さは10mm以下、かつ最大重量は0.2g以下程度である。
【0116】
第2の手段は、図14に示すように、温度変化物質40の融着部分を前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターン(すなわち融着部分と非融着部分とを交互に)で設けるものである。より詳細には、図14(a)に示す例は、前後方向に沿って連続する筋状又は帯状の温度変化物質40の融着部分が、幅方向に間隔47を空けて複数列設けられているものである。また、図14(b)に示す例は、適宜形状の温度変化物質40の融着部分が前後方向及び幅方向の両方に間欠的となるパターンで配列されているものである。この場合における温度変化物質40の融着部分の形状は、図示例では矩形状であるが、菱形状や、三角形状、円形状でも良い。また、温度変化物質40の融着部分の配列は、図示例では行列状であるが、千鳥状等、任意の配列とすることができる。温度変化物質40の融着部分の間隔は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向ともに3〜15mm程度とするのが好ましい。また個々の温度変化物質40の間欠方向における幅48は3〜40mm程度、特に5〜10mm程度とするのが好ましい。温度変化物質40の融着部分間の間隔47が広過ぎたり、幅48が狭すぎたりすると温度変化物質40の保持量が不足するおそれがあり、間隔47が狭過ぎたり幅48が広すぎたりすると柔軟化が不足するおそれがある。
【0117】
このような温度変化物質40の融着部分の間欠配置は、温度変化物質40を融着対象部材に対して所定の間欠パターンで配置した後に加熱する他、加熱パターンを間欠的(部分的)としたり、温度変化物質40の溶融液を所定の間欠パターンで塗布したりすることによって製造できる。第2の手段においても、温度変化物質40の非融着分(粒子状分)は、0〜30重量%程度、特に0〜10重量%であることが好ましい。
【0118】
第3の手段は、粒子状等の多数の温度変化物質40を含有する部分において、温度変化物質40の30〜90重量%(特に50〜70重量%であるのが好ましい)が融着されるとともに、残部(70〜10重量%、特に50〜30重量%)の温度変化物質40が融着されていない状態とするものである。このように、温度変化物質40の融着比率を抑えることによっても、温度変化物質40の融着による硬質化を低減することができる。このような形態は、前述した第2の融着手法を用いる場合は製造できないが、第1の手法において、融着対象部材の所定範囲に温度変化物質40を配置した状態で、その温度変化物質40の10〜90重量%が融着し、且つ残部が融着しない程度に加熱することで製造することができる。なお、第1〜第3の手段は、いずれか2つ又は3つを組み合わせて採用することができる。
【0119】
これらの手法による柔軟化の程度は適宜調整することができるが、おむつにおける温度変化物質40の融着部分を有する部分の剛性が、15〜50cN/50mm、特に20〜35cN/50mmとなるのが好ましい。ちなみに、温度変化物質40の融着部分を有しない部分の剛性は、1〜25cN/50mm、特に5〜15cN/50mm程度であるのが好ましく、通常の場合、温度変化物質40の融着部分を有する部分と有しない部分との剛性差は5〜20cN/50mm程度であるのが好ましい。
【0120】
なお、剛性とは、曲げ剛性(剛度)のことを意味し、JIS K 7171(プラスチック‐曲げ剛性の試験方法)に準拠し、次の方法で測定する。測定にはテンシロン試験機(圧子先端部の曲率半径R1=5.0±0.1mm、支持プレート先端部の曲率半径R2=5.0±0.2mm)を用い、内装体20の製品前後方向の曲げ剛性を測定する。試験片は、内装体20から測定に影響する弾性伸縮部材を取り除き、これをおむつ長手方向80mm、おむつ幅方向50mmの長方形に切り取ることにより作製する。曲げ剛性値の単位中の50mmは試験片の短辺の長さであり、試験時の圧子でたわませた試験片の幅である。それぞれ断面円弧状の先端部を有し、両先端部の先端(上端)間の間隔を位置を揃えて配置された一対の支持プレート上に、上記の試験片を、その長手方向を各プレートに直交する方向に向けて、掛け渡すように載置し、その試験片に僅かに接するように圧子先端部を配置する。ロードセル5kg(レンジ196cN)、速度30mm/minの条件で圧子を降下させ、荷重‐たわみ曲線を得る。得られた曲げ応力の最大値を曲げ剛性値(cN/50mm)とする。なお、測定対象となる部位が上記サンプリング寸法より小さい場合は、小スケールの試験片で測定を行い、寸法比に基づいて比例計算にて換算する。
【0121】
<他の実施形態>
柔軟性を損ねずに温度変化物質40の移動を防止する他の手法として、温度変化物質40を繊維状(あるいは綿状)として、その層を表面シート30と液不透過性シート11との間に設けることも提案される(図示省略)。繊維状の温度変化物質40の層は柔軟であるため、温度変化物質40を有する部分であっても硬質化は殆ど起こらない。また、表面積が大きく層間に細かな空隙部を有するため、水(尿)への溶解が速やかである。さらにおむつ内で自由に移動することがない。もちろん、おむつ内で移動可能な粒子状分はほとんど残らない。
【0122】
温度変化物質40を繊維状の層とするために、一般的な繊維技術やあるいはホットメルト接着剤の塗布技術を応用することができる。代表的な技術としては、繊維技術であればスパンボンド法やメルトブローン法、ホットメルト接着剤塗布技術であればカーテンスプレー法が挙げられる。これらの方法においては、それぞれ異なる形態のノズルユニットを用いて繊維状物を得るが、ノズルユニットが溶融物を糸状に吐出する多数の吐出口とエアー噴出口とを備える点では共通している。溶融状態でノズルユニットに供給された温度変化物質40は、吐出口から吐出される。そして、吐出口から吐出された温度変化物質40は、エアー噴出口より噴射されるエアーによって、繊維状とされて、コンベア上あるいはおむつを構成する部材上に散布され、フィラメント状繊維(連続繊維)の集合体の層を形成する。なお、上記エアーは加熱エアーであるのが好ましい。加熱エアーの温度は、温度変化物質40の融点と同じか又はこれよりも50℃以上高い温度であるのが好ましく、該融点よりも50〜120 ℃ 高い温度が更に好ましい。また、エアーの噴射圧は、1.0〜3.0kg/cm3であるのが好ましい。
【0123】
また、ワタアメの製造方法に倣って綿状の温度変化物質40の堆積物を形成し、これを適宜成形あるいはカットして用いることもできる。温度変化物質40が砂糖に似た性状を示す糖アルコールである場合は、このようにワタアメの製造技術を応用することもまた好適な方法である。
【0124】
本形態では、温度変化物質40は必ずしも融着される必要は無い。溶融した温度変化物質40の繊維状物の一部は、おむつを構成する部材に融着することにより、強固に固定することができるが、前述のように繊維状の層であるだけでおむつ内の移動防止には十分である。但し、この繊維状の層を積極的に接着のための層として用いることも可能である。温度変化物質40の繊維の太さは適宜定めることができるが、1〜1000dtex程度とすることができ、特に1〜4dtex程度であるのが好ましい。
【0125】
繊維状の温度変化物質40の層を設ける部位や、温度変化物質40の使用量、剛性等、他の点については前述の主たる形態における温度変化物質40の融着部分と同様であるため、敢えて説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、パンツ型やテープ式、あるいはパッド型の吸収性物品等、広範な用途に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】パンツ型使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図2】パンツ型使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図3】図1の6−6断面図である。
【図4】図1の7−7断面図である。
【図5】図1の8−8断面図である。
【図6】パンツ型使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図7】パンツ型使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、断面図である。
【図8】製品状態の正面図である。
【図9】製品状態の背面図である。
【図10】他の形態の要部断面図である。
【図11】他の形態の要部断面図である。
【図12】他の形態の要部平面図である。
【図13】他の形態の要部平面図である。
【図14】他の形態の要部平面図である。
【図15】加熱手段を示す概略図である。
【図16】加熱手段を示す概略図である。
【図17】加熱手段を示す概略図である。
【図18】加熱手段を示す概略図である。
【符号の説明】
【0128】
100…胴回り部、11…液不透過性シート、12F…腹側外装シート、12B…背側外装シート、200…内装体、30…表面シート、40…温度変化物質、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート。
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨てのおむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、汗取りシート等の吸収性物品に関するものであり、特に所謂トイレトレーニングに用いられる使い捨ておむつ、使い捨て吸収パッド等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トレーニング用の使い捨ておむつとしては、着用者に排尿を知覚させるために、尿を肌に接触させ、湿潤による不快感を強調する工夫を施したものが一般的であったが、肌のフヤケからカブレに繋がるおそれがあることから、尿を肌から遠ざけるものでありながら、着用者に排尿を知覚させるための技術開発が行われている。
この代表的なものが、ソルビトール等のように尿等の水分との接触により温度変化をもたらす物質の利用である(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1記載の技術では、ソルビトール等の温度変化物質を含む部材を、吸収要素の身体側に配置することが提案されている。また、特許文献2記載の技術では、浸透性層と不浸透性層との間にソルビトール等の温度変化物質を挟んでなる要素を、吸収性コア上に配置することが提案されている。
【特許文献1】特許3922722号公報
【特許文献2】特許3830901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の技術では、温度変化物質が粉粒体状のまま非固定で含有されているため、製品の流通過程又は使用中に温度変化物質が所定部位から移動し、温度変化物質に対する尿の供給が不足する、温度変化が身体に対して十分に伝達しなくなる等により、温度変化が不十分となるおそれがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、温度変化物質の移動を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品において、
前記温度変化物質は、前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に固体の状態で配置され、前記温度変化物質は少なくとも平面方向に自由に移動できる状態の粒子状分を有さず、あるいは少量しか有さず、大部分は移動しないように配置されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【0005】
(作用効果)
このように温度変化物質を吸収性物品の内部に固体状でかつ自由に移動できる状態の粒子状分を有さない、あるいは少量しか有さないように配置することにより、温度変化物質の大部分は移動しなくなる。よって、所期の温度変化が発生するようになる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記温度変化物質が融着されるとともに、この融着された温度変化物質が砕かれている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【0007】
(作用効果)
このように温度変化物質を吸収性物品の内部に融着することにより、温度変化物質が所定位置に確実に保持され、移動し難くなる。よって、所期の温度変化が発生するようになる。また、融着された温度変化物質が砕かれていることにより、温度変化物質の融着による硬質化が低減されるようになる。この形態は、一部の温度変化物質が粉砕され融着対象部材から脱落することも含まれる。なお、用語「融着」とは、温度変化物質が溶融状態で対象(吸収体)に付着した後に固化し、固化体が対象に固定された状態を意味する。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記温度変化物質が融着されるとともに、この融着された融着部分が前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【0009】
(作用効果)
このように温度変化物質を吸収性物品の内部に融着することにより、温度変化物質が所定位置に確実に保持され、移動し難くなる。よって、所期の温度変化が発生するようになる。また、温度変化物質を吸収性物品の内部に融着するにあたり、その融着部分を間欠的パターンとすることにより、温度変化物質の融着による硬質化が低減されるようになる。
【0010】
<請求項4記載の発明>
前記温度変化物質の融着部位が、前記表面シートと前記吸収体との間に配置されたシート、又は前記吸収体の表層部である、請求項2または3に記載の使い捨て吸収性物品。
【0011】
(作用効果)
温度変化物質は水分との接触により温度変化をもたらすものである。よって、水分との接触効率を高めるため、温度変化した水分を肌により近い部位に保持するため、及び温度変化物質がじかに肌に触れないようにするため、温度変化物質の融着部位を、表面シートと吸収体との間に配置されたシート、又は吸収体の表層部とするのが好ましい。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記表面シートと前記液不透過性シートとの間に、繊維状に形成された前記温度変化物質からなる層が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【0013】
(作用効果)
このように温度変化物質を繊維状とし、その層を表面シートと液不透過性シートとの間に設けることにより、温度変化物質が所定位置に確実に保持され、移動しなくなる。よって、所期の温度変化が発生するようになる。また、温度変化物質は繊維状であり、その層は柔軟であるため、温度変化物質を有する部分であっても硬質化は殆ど起こらない。
【0014】
<請求項6記載の発明>
前記温度変化物質のうち自由に移動できる状態の粒子状分が、該温度変化物質全体の50重量%以下である、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0015】
(作用効果)
自由に移動できる状態の温度変化物質の粒子状分の比率を抑えることにより、所期の温度変化が確実に得られるようになる。
【0016】
<請求項7記載の発明>
前記温度変化物質のうち自由に移動できる状態の粒子状分が、該温度変化物質全体の10重量%以上である、
ことを特徴とする請求項6に記載の使い捨て吸収性物品。
【0017】
(作用効果)
温度変化物質を吸収性物品の内部に融着するにあたり、その融着比率を抑えることにより、温度変化物質の融着による硬質化が低減されるようになる。
【0018】
<請求項8記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に前記温度変化物質を配置した状態で加熱し、当該温度変化物質を溶融固化するか、又は前記所定範囲に前記温度変化物質の溶融液を塗布し固化させることにより、前記所定範囲に前記温度変化物質を融着した後に、この融着部分に機械的な圧力を加えて融着した温度変化物質を砕く工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0019】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項2記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、製造ラインにより連続的に製造することが可能となる。
【0020】
<請求項9記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に、前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで前記温度変化物質を配置した状態で加熱し、当該温度変化物質を溶融固化するか、又は前記所定範囲に、前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで前記温度変化物質の溶融液を塗布し固化させることにより、前記所定範囲に前記温度変化物質を融着する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0021】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項3記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、製造ラインにより連続的に製造することが可能となる。
【0022】
<請求項10記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に多数の前記温度変化物質を配置した状態で、その温度変化物質の一部が融着し、且つ残部の温度変化物質が融着しないように加熱する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0023】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項7記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、製造ラインにより連続的に製造することが可能となる。
【0024】
<請求項11記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シートと前記液不透過性シートとの間に位置する部材上に、前記温度変化物質の溶融液を空気に乗せて吹き付け、繊維状の温度変化物質からなる綿状層を形成する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0025】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項5記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、製造ラインにより連続的に製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、柔軟性を損ねずに温度変化物質の移動を防止できるようになる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、パンツ型使い捨ておむつ(トレーニングパンツ)の例を引いて説明するが、本発明はテープ式の使い捨ておむつやパッド型の吸収性物品等にも適用できることはいうまでもない。
<パンツ型使い捨ておむつの基本構造例>
図1〜図9は、パンツ型使い捨ておむつの一例を示している。各図において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側と背側とを重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った状態で胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0028】
このパンツ型使い捨ておむつは、着用者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シート12Fと背側を覆う背側外装シート12Bとを有しており、腹側外装シート12Fの幅方向両側縁と背側外装シート12Bの幅方向両側縁とが、上下方向全体にわたりヒートシールや超音波溶着等により溶着接合されて筒状の胴回り部100が形成されるように構成されている。符号12Aは個々の溶着部を示しており、この溶着部12Aの群がサイドシール部を構成するものである。図示形態のように、背側外装シート12Bが溶着部12Aよりも下側に延出している場合には、この部分までを含む上下方向範囲に一体的にヒートシール等の加工を施し、背側延出部14に延出溶着部12Eを設けることができる。延出溶着部12Eを設けることにより、後述する背側延出部14の第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することができる。この場合、脇部の破りやすさを考慮して、溶着部12Aは小さな溶着部の集合からなり、溶着部12Aにおける溶着面積の比率が低い接合パターンとすることが一般的であるが、延出溶着部12Eでは破りやすさを考慮する必要が無いため、溶着パターンは溶着部12Aよりも溶着面積の比率を高くすることにより第2の細長状弾性伸縮部材16が確実に溶着固定されるようにしてもよい。また、延出溶着部12Eは臀部カバー部14Cの縁部をカーブしたラインで溶着し、臀部カバー部14Cの第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することもできる。
【0029】
また、胴回り部100における腹側外装シート12Fの幅方向中央部内面に内装体200の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シート12Bの幅方向中央部内面に内装体200の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間側で連続しておらず、離間されている。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間部で連続した形態、つまり腹側から背側までを一体的な外装シートにより連続的に覆う形態を採用することもできる。
【0030】
図7及び図8からも判るように、胴回り部100の上部開口は、着用者の胴を通すウエスト開口部WOとなり、内装体200の幅方向両側において胴回り部100の下縁および内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部LOとなる。各溶着部12Aを剥がして展開した状態では、図1に示すように砂時計形状をなす。内装体200は、背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在するものであり、排泄物を受け止めて液分を吸収し保持する部分であり、胴回り部100は内装体200を着用者に対して支持する部分である。
【0031】
(外装シート)
腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bは、図4及び図5にも示すようにシート状資材12,12を2枚貼り合せてなるものであり、内側に位置する内側シート状資材12はウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する外側シート状資材12は内側シート状資材12のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在され、対向面にホットメルト接着剤等により固定されている。シート状資材12としては溶着により接合できるものであれば特に限定されないが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
【0032】
そして、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bには、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート状資材12,12間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。各外装シート12F,12Bの両シート状資材12,12の貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定にはホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12F,12B全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
【0033】
より詳細には、背側外装シート12Bは、溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める背側本体部13と、この背側本体部13の下側に延出する背側延出部14とを有している。背側延出部14は、内装体200と重なる幅方向中央部14Mと、その両側に延出した臀部カバー部14Cとを有している。
【0034】
背側延出部14の形状は適宜定めることができるが、図示例では、背側延出部14の上端部は、背側本体部13と同幅で背側本体部13の下側に延出されており、その下側は股間側に近づくにつれて幅が狭められている。背側本体部13と同幅の部分は省略することもできる。このように構成されていると、臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eが、股間側に近づくにつれて内装体200側に近づくような直線状または曲線状をなすようになり、臀部を覆い易い形状となる。
【0035】
背側延出部14の寸法は適宜定めることができるが、図6に示すように、臀部カバー部14Cの幅方向長さ14x(臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eと内装体200の側縁との幅方向の最大離間距離)が80〜160mmであり、臀部カバー部14Cの上下方向の長さ14y(延出長さ)が30〜80mmであると、より好ましい。また、背側延出部14の幅方向に最も広い部位と上下方向に最も広い部位により定まる四角形の面積をSとすると、背側延出部14の面積はSに対して20〜80%、特に40〜60%程度であると、臀部の外観および装着感に優れるため、好ましい。
【0036】
背側本体部13は、上下方向において概念的に上端部(ウエスト部)Wと、これよりも下側の下側部分Uとに分けることができ、その範囲は製品のサイズによって異なるが、一般に、上端部Wの上下方向長さは15〜80mm、下側部分Uの上下方向長さは35〜220mmとすることができる。
【0037】
背側本体部13の上端部(ウエスト部)Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の背側ウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、背側本体部13の下側部分Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。この背側ウエスト弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えば背側ウエスト部の上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
【0038】
また、背側本体部13の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第1の細長状弾性伸縮部材15が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
【0039】
第1の細長状弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0040】
また、背側延出部14における内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり(少なくとも臀部カバー部14C全体にわたり)連続するように、複数の第2の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
【0041】
第2の細長状弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0042】
一方、腹側外装シート12Fは背側外装シート12Bの背側本体部13と基本的に同様の腹側本体部(溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める部分)のみからなるものであり、胴回り方向に沿って延在する矩形状をなし、背側外装シート12Bのような背側延出部14を有していないものである。
【0043】
すなわち、腹側外装シート(腹側本体部)12Fの上端部(ウエスト部)Wおよび下側部分Uのうち、上端部Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材12の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の腹側ウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。この腹側ウエスト部弾性伸縮部材18は、背側ウエスト部弾性伸縮部材17に対して、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
【0044】
また、腹側外装シート12F(腹側本体部)の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第3の細長状弾性伸縮部材19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第3の細長状弾性伸縮部材19の上下方向配設範囲は、下側部分の一部としても良いが、実質的に全体(全体に伸縮力が作用する範囲)とするのが好ましい。
【0045】
第3の細長状弾性伸縮部材19としては、第1の細長状弾性伸縮部材15と、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
【0046】
図示形態の腹側外装シート12Fは、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分のみからなるものとしたが、背側と同様に、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める腹側本体部と、この腹側本体部の下側に延出する腹側延出部とからなる構成とすることもできる。これにより、腹側外装シート12Fの脚周り形状を鼠蹊部に沿ってフィットする形状とすることができる。この場合、腹側延出部の面積は、背側延出部の面積の10〜80%であるのが好ましく、20〜50%であるとより好ましい。腹側延出部が過度に大きいと、かえってフィット性を損なうため好ましくない。
【0047】
他方、図示のように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200と外装シート12F,12Bが剥れにくいため好ましいが、この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。また、背側本体部13および背側延出部14の幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
【0048】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。液不透過性シート11の裏面側には、内装体200の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シート12Mを固定することもできる。また、表面シート30と吸収要素50との間に、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させる中間シート(セカンドシート)を設けることもできる。さらに、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に、身体側に起立するバリヤーカフス60,61を設けることができる。なお、図示しないが、内装体200の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより、適宜相互に固定することができる。また、内装体200は、メカニカルファスナーや粘着材を用い、外装シート12F,12Bに対して着脱自在に取り付けることもできる。
【0049】
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特には、表面側からの温度変化を感知し易くするため、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布が薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、エアスルー法により加工された不織布は低坪量でも吸収が速やかでかつさらっと感に優れるため好適である。
【0050】
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合わせてなるものであってもよい。
【0051】
表面シート30を不織布から構成する場合、その厚みが0.1〜3mm程度、特に0.5mm以下、且つ目付けが10〜40g/m2程度、特に25g/m2以下であるように構成すると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。
【0052】
バリヤーカフス60,61を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11とバリヤーカフス60,61との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及びバリヤーカフス60,61に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。
【0053】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0054】
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
【0055】
また、液不透過性シート11の内面または外面には、印刷や着色によるデザインを施しても良い。さらに液不透過性シート11の外側に、股間部外装シート12Mとは別部材の、印刷または着色を施したデザインシートを貼り付けても良い。また、液不透過性シート11の内側に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータ80を設けることができる。
【0056】
(バリヤーカフス)
バリヤーカフス60,61は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
【0057】
本実施の形態では、図3及び図4にも示すように、内装体200の左右各側において二重にバリヤーカフス60,61が設けられている。おむつを展開した状態では、図示のように、内側バリヤーカフス61は内装体200の側部から幅方向中央側に斜めに起立するものであり、外側バリヤーカフス60は、内側バリヤーカフス61の幅方向外側において内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
【0058】
より詳細には、内側バリヤーカフス61は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のバリヤーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。細長状弾性伸縮部材63は、バリヤーシート62に対し、前後端部では固定されておらず、中間部においてバリヤーカフスが前後に伸縮するように固定されている。バリヤーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは420〜1120dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示しないが、二つに折り重ねたバリヤーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
【0059】
細長状弾性伸縮部材63は、内側バリヤーカフス61の先端部に1〜2本配置するのが好ましく、先端部と基端部との間の中間部にも1〜2本配置すると更に好ましい。中間部に細長状弾性伸縮部材63があると、これを支点として中間部から先端部に亘る範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。中間部の細長状弾性伸縮部材63の配置位置は内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の30〜70%範囲が好ましい。乳幼児用紙おむつでは、内側バリヤーカフス61の高さは15〜35mm程度が好ましいため、細長状弾性伸縮部材63の配置範囲は先端から基端側に5〜25mmの位置が好ましく、12〜18mmの位置がより好ましい。内側バリヤーカフス61の先端部及び/または中間部にそれぞれ細長状弾性伸縮部材63を平行に設ける場合は、その配置間隔61dは2〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
【0060】
そして、内側バリヤーカフス61のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分(内側取付部分)65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分であり、内側突出部分に相当する)とされ、この突出部分66のうち前後方向両端部が表面シート30表面にホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67により固定され、前後方向中間部が非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
【0061】
外側バリヤーカフス60も、内側バリヤーカフス61と基本的に同様の構造を有するものであるが、その取付部分(外側取付部分)68が、内装体200の裏面側における内側バリヤーカフス61の取付部分65よりも幅方向中央側において内側バリヤーカフス61の外面に固定される点、突出部分(外側突出部分)69のうち前後方向両端部が、取付部分68から内装体200の側部を通り内側バリヤーカフス61における内側突出部分66の前後方向両端部の表面まで延在し且つ内側突出部分66の前後方向両端部の表面に固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる点、細長状弾性伸縮部材63の配置及び本数等で異なるものである。
【0062】
ただし、内側バリヤーカフス61についても、内側突出部分の先端部は幅方向外側に折り返される構造、具体的には内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の1/2以下、好ましくは1/3以下であれば、外側バリヤーカフス61と同様に先端側部分が幅方向外側に折り返され且つ付け根部側部分に固定される構造を採っても良い。
【0063】
外側バリヤーカフス60の自由部分(外側自由部分)に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。外側バリヤーカフス60に配置する細長状弾性伸縮部材63の太さや伸長率は、内側バリヤーカフス61に準ずるが、太さは内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより太く、伸長率は内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより低いほうが好ましい。
【0064】
また、突出部分66,69の前後固定部67の前後方向長さL6は、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは短く形成するのが好ましく、バリヤーカフス60,61における細長状弾性伸縮部材63の前後方向固定長さは、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは長く形成するのが好ましい。取付部分65と突出部分66との境界は、外側バリヤーカフス60と内側バリヤーカフス61とで同じ位置であっても良いが、外側バリヤーカフス60の境界が内側バリヤーカフス61の境界よりも幅方向中央側に離間しているのが好ましく、その離間距離は10mm以内が好ましい。
【0065】
外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61の取付部分68,65における突出部分66,69側の縁部には、ホットメルト接着剤やヒートシールによる線状の付け根固定部を形成するのが好ましい。また、他の固定部はホットメルト接着剤等を用いて適宜のパターンで固定することができる。この線状の付け根固定部は、内装体200の表面側の側部近傍(具体的には側縁から幅方向に0〜5mm、好ましくは0〜3mmの位置)または裏面側に位置するのが好ましい。この場合、バリヤーカフスを表面側に折り返して固定しているのは実質的に前後方向両端部のみとなるため、前後固定部67による幅方向中央側への規制が十分に作用しない股間部においては、外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61いずれもが幅方向外側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが広くなる。表面側で側縁から幅方向に5mmを越えて線状の付け根固定部が位置すると、股間部においてもバリヤーカフスが幅方向中央側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが狭くなるため、好ましくない。裏面側に位置する場合は、内装体200の側縁から0〜20mmの位置が適当だが、20mmを越えて位置してもよい。
【0066】
外側及び内側バリヤーカフス60,61の取付部分68,65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができ、またいずれか一方のバリヤーカフスを介して他方のバリヤーカフスを内装体200に対して固定することもできる。
【0067】
かくして構成された外側及び内側バリヤーカフス60,61では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66,69のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分68,65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開くように起立するため、外側及び内側バリヤーカフス60,61が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。一方、股間部の前後両側(腹部及び背部)においては、前後固定部67により外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側へ開かないように規制されるため、内側バリヤーカフス61は高く起立し、外側バリヤーカフス60の下半分も同様に起立するため、腹部及び背部における内装体200両脇からのもれが確実に防止できる。また、内側バリヤーカフス61の突出部分66における前後固定部67は折り返さずに、外側バリヤーカフス60の突出部部分68における前後固定部67は外向きに折り返されているため、外側及び内側バリヤーカフス60,61における内側及び外側自由部分間の離間状態が維持され、外側及び内側バリヤーカフス60,61が広い間隔で確実に起立し、それぞれが脚周りにフィットするようになるため、漏れ防止性に優れたものとなる。
【0068】
バリヤーカフス60,61の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、内側バリヤーカフス61の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W5は10〜50mm、特に15〜35mmであるのが好ましく、外側バリヤーカフス60の起立高さ(展開状態における突出部分69の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、内側バリヤーカフス61を表面シート30表面に倒した状態における先端間の離間距離W4は60〜170mm、特に70〜120mmであるのが好ましい。また、外側バリヤーカフス60を表面シート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、外側及び内側バリヤーカフス60,61のいずれか一方のみを設けることもできる。
【0069】
(吸収要素)
本例の吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有するものとなっているが、包装シート58は省略することもできる。
【0070】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成される。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0071】
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部56F、後端部56B及びこれらの間に位置し、前端部56F及び後端部56Bと比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体とバリヤーカフス60,61の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。具体的な寸法としては、吸収体前端部56Fの前後方向長さをL1とし、吸収体56と腹側外装シート12Fとの重なり部分における前後方向長さをL2とし、吸収体後端部56Bの前後方向長さをL3とし、吸収体56と背側外装シート12Bとの重なり部分における前後方向長さをL4とし、括れ部56Nの最小幅をW1とし、吸収体前端部56Fの幅及び吸収体後端部56Bの幅をW2としたとき、下記の式(1)〜(4)を満足するように構成されていると、好ましい。
70mm ≦ W1 < W2 ≦ 190mm …(1)
0.5 ≦ W1/W2 ≦ 0.85 …(2)
0mm ≦ L1−L2 ≦ 70mm …(3)
0mm ≦ L3−L4 ≦ 50mm …(4)
【0072】
W1及びW2が狭過ぎると、バリヤーカフス60,61の起立が不安定になり、また吸収量が不十分となり、広過ぎるとフィット性の低下により装着感が悪化する。
【0073】
また、上記数値範囲にあると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の取付部分65近傍に吸収体56が存在しないため、バリヤーカフス60,61の動きの自由度が増し、バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開き易く、肌に対して面で当たりやすくなり、脚の動きに対するフィット面の追従性も向上する。前後両側においては内装体200側部の吸収体56が十分な範囲に存在するため、これを基点(支点)としてバリヤーカフス60,61の起立が安定する。前後両側から股間部に至る部分は、バリヤーカフス60,61が内装体200の幅方向両側縁を基準として幅方向内側に起立した姿勢から幅方向外側に開いていく変位部であり、このバリヤーカフス60,61の姿勢変化が内装体200側部まで存在する吸収体56により支えられ、バリヤーカフス60,61の全体的な起立形状が安定する。上記数値範囲を外れ、括れ部が大きくなりすぎると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の自由度が高くなりすぎ、かえって脚周りに隙間ができ易くなるおそれがあり、また股間部の前後両側においても基点(支点)が無いためにバリヤーカフス60,61の起立が不安定になるおそれがある。逆に括れ部が小さくなりすぎると、バリヤーカフス60,61の自由度が低下するので好ましくない。
【0074】
さらに、括れ部56N全体の前後方向長さL7は好ましくは80mm以上、特に好ましくは120〜260mmとされる。括れ部56Nの前後方向長さL7が短過ぎるとバリヤーカフス60,61の自由度が低下するとともに、吸収体56の脚周りに対するフィット性が低下して脚の動きを妨げるようになり、長すぎるとバリヤーカフス60,61の起立が安定しなくなる。
【0075】
(高吸収性ポリマー粒子)
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0076】
高吸収性ポリマーとしては、抗菌物質と一体化したものを用いることができる。特に、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子(以下、これを抗菌消臭性ゼオライトという)を高吸収性ポリマー中に含有させるか、あるいは抗菌消臭性ゼオライト粒子を高吸収性ポリマー粒子の表面に静電気により付着させてなる、抗菌消臭性高吸収性ポリマー粒子が好適である。
【0077】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0078】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0079】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、50〜800g/m2とすることができ、特に100〜400g/m2が好ましい。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。800g/m2を超えると、効果が飽和する。
【0080】
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0081】
特に、後述する温度変化物質40により温度変化した尿を肌により近い位置で保持するために、高吸収性ポリマーとしては吸水速度が50秒以下のものが好適である。吸水速度が遅いと、温度変化した尿の多くが吸収されずに裏面側に通過してしまう。
【0082】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないような目の細かいシートであるのが望ましく、包装シート58の内側に温度変化物質40を設ける場合には表面側からの温度変化を感知し易くするため、薄く低目付けのものが適当である。厚みは0.05〜3mm程度、特に0.2mm以下、且つ目付けが5〜25g/m2程度、特に15g/m2以下であると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。不織布を用いる場合は、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布、特にSMS法により加工された不織布が、薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。
【0083】
吸収体56を一枚の包装シートで包む場合、包装シート58の内側に温度変化物質40を設ける場合には着用者に効果的に温度変化を伝達させるため、身体側の包装シート58の合わせ目の重なり幅58Wを温度変化物質の配置領域の幅40Wより狭く、かつ寸法が40mm以下、特に20mm以下にするのが好ましい。また、包装シート58の合わせ目は、排尿口に当接する幅方向の中央を含まないように、側部寄りに形成するのも好ましい形態である。特に、身体側の包装シート58の合わせ目のシートの重なり部が、後述する温度変化物質の融着部分とは重ならないようになっていることが好ましい。
【0084】
(股間部外装シート)
内装体200の裏面側には、製品外面に露出する股間部外装シート12Mが設けられている。この股間部外装シート12Mの素材としては、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bと同様のものを用いることができるが、より高強度の素材や消臭剤を含有するもの等、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bとは異なる素材を用いることもできる。具体的には、PP、PP/PE、PP/PET等の繊維からなる、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、エアーポイント不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等の各種不織布、あるいはこれに消臭剤等を添加したもの等を用いることができる。
【0085】
股間部外装シート12Mには座位時に高い体圧がかかる。よって、摩擦堅牢度の高い(毛羽立たない)特性を有する素材が好ましい。
股間部外装シート12Mは、印刷や着色を行い、デザイン要素を備えたシートとしてもよい。前述のデザインシートと併用する場合は、それぞれのデザインが重ならないように配置することが好ましい。
股間部外装シート12Mとして伸縮不織布を用い、内装体200の長手方向に伸長して貼り付けると、股間部のフィット性が向上するため好ましい。
【0086】
股間部外装シート12Mが幅方向側部から身体側面まで回り込み、バリヤーシート62の外面にホットメルト接着剤等により接着固定されていると、内装体200の両側部の剛性が向上する。このような形態においては、股間部外装シート12Mに剛度(コシ度)の高いシートを用いることが好ましい。具体的には、クラーク法(JISL1096 C法)によって測定される剛軟度の、シートのMD方向とCD方向との和が100mm以上、好ましくは150mm以上のシートを用いるとよい。
【0087】
図示例では、腹側及び背側外装シート12F,12Bと内装体200とが重なる部分において、股間部外装シート12Mは内装体200と腹側及び背側外装シート12F,12Bとの間に挟まれているが、腹側及び背側外装シート12F,12Bの外側に貼り付けることも可能である。股間部外装シート12Mは、ホットメルト接着剤等により内装体200の裏面、並びに腹側及び背側外装シート12F,12Bの内面若しくは外面に貼り付けられる。
【0088】
(特徴的部分)
特徴的には、内装体200の内部における、表面に沿う方向の所定範囲に、温度変化物質40が配置される。温度変化物質40は、通常は粒子状物の集合体という形で製造ラインに適用されるため、そのままの状態でおむつの内部に、あるいはおむつを構成する部材に対して適用すると、おむつの内部で温度変化物質40の粒子状物が自由に移動し、排尿時の温度変化が不十分となるおそれがある。これに対して、粒子状の温度変化物質40を加熱して溶融し、これを固化させることにより、固体の状態で配置することができ、温度変化物質40は自由に移動できる状態の粒子状分を有さず、あるいは少量しか有さず、大部分は移動しないようにすることができる。
【0089】
温度変化物質40は、尿、汗等の水分に接触して溶解熱、水和熱、又は反応熱等により熱を吸収又は放出し、温度変化をもたらす(冷却又は加熱する)ものであり、加熱により融着されるものである。水分への溶解により熱を吸収する温度変化物質の例としては、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等の含水塩、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム等の無水塩、尿素、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール等を挙げることができる。水分への溶解により熱を放出する温度変化物質の例としては、塩化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化アルミニウムカリウム等を挙げることができる。本発明では、これらのうち、吸熱作用を発現するソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール又は尿素などの有機化合物を使用することが好ましい。特にソルビトールやキシリトールは、溶解性に極めて優れ、化学的安定性が良く、人体に悪影響を及ぼさないため、好適に使用できる。水分への溶解により吸熱又は放熱する物質を用いる場合、水分への溶解度が低いと、十分な温度変化を発揮できないため、温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上、特に50g以上であるものが好ましい。また、20cal/g以上の温度変化を生じるものが好ましく、35cal/g以上の温度変化を生じるものがより好ましい。
【0090】
水分との反応により熱を吸収又は放出する物質の例としては、オルトエステル類、又はメントンを炭素量が1ないし8のアルコール或いは炭素量が2ないし8のポリオールと反応させて得られるメントンケタルのようなケタル類、及びそれらの構造的又は光学的異性体を挙げることができる。また、水分により膨潤することにより熱を吸収又は放出する温度変化物質の例としては、軽く架橋結合し部分的に中和されたポリアクリル酸を挙げることができる。
【0091】
また、温度変化物質40は加熱により溶融するものであるため、温度変化物質40とともに加熱される部材がある場合には、温度変化物質40の融点が温度変化物質40とともに加熱される部材よりも低い物質であるのが望ましい。すなわち、使い捨ておむつは通常ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を含むため、温度変化物質40はこれらの樹脂と同じかそれよりも低い融点を有することが望ましい。一般的な熱可塑性樹脂の中で特に融点の低いポリエチレンは、通常100〜130℃程度の融点を有するため、温度変化物質の融点は130℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。また、製品保管時に温度変化物質40が融解しないよう、70℃以上の融点を有することが好ましい。このような温度変化物質40としては、融点が通常約95〜110℃程度(純度によって若干異なる)であるソルビトール及びキシリトールを挙げることができる。
【0092】
また、温度変化物質40は、加熱して溶融した状態でおむつの内部に、あるいはおむつを構成する部材に対して適用するため、特に温度変化物質40が隣接する部材が不織布や吸収体56のように繊維集合体である場合、温度変化物質40の溶融時の粘度が低いと、繊維間隙に浸透し難くなり付着力が低下するおそれがある。また、温度変化物質40の溶融時の粘度が高いと所定の部位への配置が困難である。この観点から、温度変化物質40としては、溶融時の温度(例えば70〜130℃)における粘度が5〜80ポアズのものが好ましい。
【0093】
特に本形態では、温度変化物質40を加熱して溶融したものを固化することで融着固定している。このように温度変化物質40を融着することで、温度変化物質40の移動が無くなり、融着領域(例えば股間部)で確実に温度変化機能が発揮されるようになる。また、温度変化物質40の融着部位は、その上下の部材を接着固定するための接着部としての効果も期待できる。
【0094】
温度変化物質40の融着部位は、図1〜図9に示す例のように、表面シート30及び液不透過性シート11の間に位置する部材である吸収体56とする他、図10(a)に示すように表面シート30裏面(図示しないが表面シート30の内部であっても良い)としたり、図10(b)に示すように、液不透過性シート11の内面(吸収体56側面)としたり、図10(c)に示すように、表面シート30及び液不透過性シート11の間に位置する部材である包装シート58の外面(または内面でも良い)としたりすることができる。また、図示しないが中間シートの外面(または内面でも良い)としてもよい。特に、温度変化物質40は、表面シート30と吸収体56との間に配置されたシート(例えば中間シートや包装シート58)に融着することが好ましい。
【0095】
また、温度変化物質40を吸収体56に融着させる場合、その融着部位は図1〜図9に示す例のように、吸収体56の表層部が好ましいが、これよりも裏側の部分としたり、厚み方向の全体としたりすることもできる。吸収体を図11(a)のような上下二層構造とする場合、上層56Aのみに温度変化物質40を融着させるのが好ましいが、上下両層56A,56B又は下層56Bのみに温度変化物質を融着させることもでき、さらにこれらの場合において融着対象部位を対象層の厚み方向の一部(例えば表層部)のみとすることもできる。
【0096】
さらに、図11(b)及び(c)に示すように、表面シート30及び液不透過性シート11の間に、温度変化物質40を融着した融着シート42を介在させるのも好ましい形態である。融着シート42の介在部位は適宜定めることができるが、図示例のように吸収体56の表面側とするのが好ましい。図11(b)に示す例では、融着シート42を吸収体56の表面と包装シート58との間に配置しているため、表面シート30として目の粗い素材を用いても、未融着の温度変化物質40が漏れ出難い。一方、図11(c)に示す例では、融着シート40を表面シート30の裏面と包装シート58との間に配置しているため、温度変化が肌に伝わり易い。
【0097】
融着シート42は、図11(b)に示す例のように一枚のシート基材42bの片面に温度変化物質40を融着させるだけでも良いが、図11(c)に示す例のように二枚のシート基材42a,42b間に温度変化物質を挟み、いずれか一方又は両方のシート基材に融着させることもできる。
【0098】
温度変化物質40を設ける範囲(おむつ表面方向に沿う範囲)は、水分と接触する部分であれば特に限定されないが、トイレトレーニング用おむつの場合、吸収体56の幅方向中央部のうち、少なくとも股間部から腹側部分にわたる部分に温度変化物質40が配置されているのが好ましい。図1〜図9に示す形態ではこの部分の周囲に温度変化物質40が配置されていないが、図12に示すように吸収体56の前後方向全体にわたり温度変化物質40を配置したり、図示しないが吸収体56の幅方向全体にわたり温度変化物質40を配置したりすることも可能である。
【0099】
特にトイレトレーニング用おむつの場合、吸収体56が少なくとも腹側部分のウエスト側端縁から股間側に0.15〜0.80L(Lは製品長さ)の範囲にわたり設けられている場合、温度変化物質40の融着部分は少なくとも腹側部分のウエスト側端縁から股間側に0.25〜0.45Lの範囲40Yにわたり設けられているのが好ましい。また、男の子用の場合、温度変化物質40の融着部分は前後方向において前側に位置することが好ましい。従って、本実施形態のようなパンツ型使い捨ておむつの場合は、腹側外装シート12Fの左右両側部のサイドシール部(溶着部12A)の下端部を結ぶ線と内装体200が交差する部分を含むように配置されていると、排尿口に近く、かつ弾性伸縮部材の作用によって温度変化物質40の融着部分が常に体に押し当てられた状態となるため、どのような姿勢においても着用者に温度変化を感知させることができ、好ましい。女の子用の場合は、温度変化物質40の融着部分は前後方向中央部分を含むように配置されていると、排尿口に近いため、好ましい。従って、男女兼用のパンツ型使い捨ておむつとする場合は、腹側外装シート12Fの左右両側部のサイドシール部(溶着部12A)の下端部を結ぶ線と内装体200が交差する部分及び前後方向中央部分を含むように配置するとよい。このような寸法を採用することによって、男女の排尿位置に温度変化物質40の融着部分が位置するようになる。つまり、排尿時に尿が温度変化物質40の融着部分に確実に当たるようになる。
【0100】
また、温度変化物質40の融着部分の平面形状は適宜定めることができ、図12に示すような長方形状としても良いが、鼠蹊部に沿い且つ鼠蹊部よりも幅が広くなるように、ウエスト側に向かうにつれて幅が拡大する形状を有しているのも好ましい。図中の符号41が幅拡大部分を示している。ある程度は硬くならざるを得ない温度変化物質40の融着部分をこのような形状にすることによって、股間部における縦皺及び鼠蹊部に沿う皺が入り難く、股間部から腹側部分にかけてのフィット性がより一層のものとなる。幅拡大部分41より後側は、図示形態では一定の幅とされているが、脚周りに沿う曲線状をなしていても良い。
【0101】
吸収体56の股間部に脚周りに沿う括れ部56Nを設ける場合、括れ部56Nの前後方向長さが0.2〜0.3Y(Yは吸収体56の前後方向長さ)であり、括れ部56Nにおける最も幅が狭い部分の幅が0.6〜0.75X(Xは吸収体56の全幅で、前記W2と同じ)であり、腹側部分における温度変化物質40の融着部分のウエスト側端縁の幅40Wは0.4〜0.7Xであり、温度変化物質40の融着部分のうち幅拡大部分41の股間側端が、括れ部56Nの最も幅の狭い部分と同位置か、又はこれよりも腹側に位置しており、温度変化物質40の融着部分の後端は、括れ部56Nの後端と同位置、又はこれよりも背側に位置するとともに、その幅40Xが、腹側部分における温度変化物質40の融着部分のウエスト側端縁の幅40Wの0.7倍以下で、且つ0.5X以下であるのが好ましい。特に、本実施形態のようなパンツ型使い捨ておむつの場合、温度変化物質40の融着部分のウエスト側端縁の位置が、腹側部分においてサイドシール部の下端よりウエスト側に位置していると、排尿が知覚しやすいだけでなく、フィット性にも優れるため好ましい。
【0102】
また、吸収体56の温度変化物質40の融着部分に対応する領域を、他の領域よりも厚さが薄い領域とすることで、フィット性を向上しつつ着用感時の違和感を与えないようにすることができる。さらに、温度変化物質40が溶解して温度変化した尿が厚み方向(液不透過性シート11方向)に拡散し難くなるため、表面シート30側での温度変化がより確実なものとなる。吸収体56の厚さを薄くする手段としては、プレスによる薄肉化や、繊維集合体や高吸収性ポリマー粒子等の吸収材の目付け量を少なくすることによる低目付け化が採用できる。吸収体56の温度変化物質40の融着部分に対応する領域に吸収材を配置しないようにしてもよい。
【0103】
吸収体56の寸法が上記範囲内にあると吸収体56が脚周りにフィットし易くなる。また、腹側部分における温度変化物質40の融着部分のウエスト側端縁の幅40Wが上記範囲内にあり、温度変化物質40の融着部分のうち幅拡大部分41の股間側端が前後方向において上記範囲に位置していると、歩行により鼠蹊部に沿って発生する皺を効果的に防止できる。また、温度変化物質40の融着部分の後端を前後方向において上記範囲内に抑えることで、温度変化に鈍感である尻側に無駄な温度変化物質40を配置しなくて済む。また、温度変化物質40の融着部分の後端の幅40Xが上記範囲内にあると股間部における縦皺が入り難くなるため好ましい。
【0104】
温度変化物質40の使用量は適宜定めることができるが、温度変化物質40として糖アルコールを用いる場合、物品における総含有量は4〜20g程度、特にトイレトレーニング用おむつの場合は8〜12g程度であるのが好ましい。また、温度変化物質40の融着部分における温度変化物質40の目付け(単位面積当たりの含有量)は、200〜1200g/m2程度、特にトイレトレーニング用おむつの場合は400〜600g/m2程度であるのが好ましい。
【0105】
温度変化物質40を吸収体56等の融着対象に融着する方法としては、粒子状(粉体状含む)若しくは短繊維状等の適宜形状の温度変化物質40を融着対象部材の上面の所定部位に載せた後、又は融着対象部材の内部の所定部位に含有(複数の部材間に挟む場合も含む)させた後に、温度変化物質40を融着対象部材とともに加熱し、温度変化物質40のみを溶融状態として融着対象部材の繊維に付着させた後、冷却して温度変化物質40を固化させる方法を用いることができる(第1の手法)。この第1の手法によると、温度変化物質40の量や加熱時間等の条件にもよるが、融着対象部材に対して溶融前よりも小さな粒子状の温度変化物質や、溶融した複数の温度変化物質が一体化した塊状の温度変化物質40が多数箇所に付着した状態となるか、これらが連続して膜状又は骨格状等の温度変化物質40が付着した状態となる。
【0106】
他の手法としては、吸収性物品の技術分野で用いられているホットメルト接着剤の塗布に倣って、温度変化物質40の溶融液を融着対象部材の所定部位にノズル等を用いて塗布し、冷却固化させる方法も用いることができる(第2の手法)。
【0107】
第1の手法において、温度変化物質40を融着対象部材の内部に含有させる場合、融着対象部材の製造原料(繊維等)に粒子状等の温度変化物質40を混合する他、融着対象部材が繊維集合体のように外部から内部に至る隙間を有するものである場合には、粒子状の温度変化物質40を、初速度を与えて自由落下よりも勢いよく融着対象部材に散布することにより、温度変化物質40を融着対象部材内に侵入させることもできる。
【0108】
第1の手法における加熱手段は特に限定されないが、例えば図15〜図18に示す手段を採用することができる。図15及び図16に示す手段は、高温の空気の通過により加熱を図るエアスルードライヤーを利用するものである。図15に示す手段では、温度変化物質40を所定部分に配置した融着対象部材300を、ベルトコンベヤー301により搬送しながら、搬送面に対して直交する方向に通される熱風302により加熱した後、同じく搬送面に対して直交する方向に通される風303により冷却する、というものである。また、図16(a)及び(b)に示す手段は、温度変化物質40を所定部分に配置した融着対象部材300を、高温空気が供給される加熱室310内に設置されたサクションロール311に巻き掛けて移送しつつ、サクションロール311外側から内側に通される熱風312により加熱した後、加熱室310外に設置されたクーリングロール313に巻き掛けて移送することにより冷却する、というものである。
【0109】
また、図17に示す加熱手段は、温度変化物質40を所定部分に配置した融着対象部材300を、加熱ロール320に巻き掛けて移送することにより、加熱ロール320の熱を接触により温度変化物質に対して伝達し、片面側から加熱するというものである。
【0110】
さらに、図18に示す加熱手段は、温度変化物質40を所定部分に配置した融着対象部材300を、少なくとも一方が加熱ロールからなる一対のロール330,331、340,341間に通すことにより、加熱ロールの熱を接触により温度変化物質に対して伝達し、加熱するというものである。この場合、同図(a)に示すように、両ロール330,331を表面が平滑なスムースロールとし、融着対象部材300に凹凸を形成しないようにしても、同図(b)に示すように、いずれか一方のロール340を表面に所定パターンの凹凸を有するエンボスロールとし、融着対象部材300の一方の面に凹凸を形成しても良い。特に、後者の場合、エンボスロール340の凸部パターンを、温度変化物質の融着部分の領域だけに合せて形成しておき、当該領域のみを加熱するように構成するのも好ましい。融着部分が形成されるのは、エンボスロール340の凸部パターンに対応する領域のみであるため、温度変化物質40は、エンボスロール340の凸部パターンよりも広い範囲に配置してもよい。このように、融着対象部材300を部分的に加熱する方法を用いれば、融着対象部材300の所定の領域のみに温度変化物質40を配置する必要はなく、例えば融着対象部材300の全面に温度変化物質40を配置し、所定の領域のみを部分的に加熱することにより、部分的に融着部分を形成することも可能である。また、エンボスロール340の凸部パターンを、複数段階の高さを有するものとすると、温度変化物質40が厚く融着する部分と薄く融着する部分とを分けて形成することも可能である。
【0111】
第1の手法における温度変化物質40の加熱溶融は、融着対象部材の製造時のみならず、その後の製造過程の適宜段階、例えば内装体200の組立完了状態(製品状態までの組立完了前)、又は製品状態までの組立完了後に、内装体200やおむつ全体に対して行うこともできる。この場合における加熱方法としては、例えば前述した図15〜図18に示す手段を応用することができる。
【0112】
第1の手法において融着対象部材に融着された温度変化物質40は、一度融解して液状化した後固化するため、表面積が小さくなっている。従って、温度変化物質40における尿との接触面積が小さくなるため、温度変化速度が抑えられ、持続性が向上する。ただし、一律に温度変化速度が遅くなると、着用者が温度変化を知覚し難くなるおそれがある。そこで、温度変化物質40として嵩密度が低い粒子状物を用い、その全てを溶融させず、一部を溶融させて嵩密度の高い固体にし、残りは嵩密度の低い粒子状物のままで残す(融着してもしなくても良い)ようにするのも好ましい形態である。粒子状の温度変化物質40は、同程度の粒径であれば、嵩密度が低いほど表面積が大きく、尿との接触効率が高いため、温度変化速度が速くなる。特に温度変化物質40が尿に溶解して温度変化が生じる場合にはこの傾向が顕著である。よって、前述したように、温度変化物質40の一部のみを溶融させる場合、粒子状を維持する温度変化物質40は温度変化作用が素速く生じ、溶融固化した温度変化物質40は、温度変化作用が遅れて生じるようになるため、速効性と遅効性とを兼ね備えた温度変化が得られる。このような温度変化の速効性と遅効性のバランスを取るためには、粒子状分の残存割合は、30〜70重量%程度が適当である。さらに、温度変化物質40の移動防止という観点からは、粒子状分の残存割合は0〜50重量%程度が適当である。従って、粒子状分の残存割合は、30〜50重量%とするのが好ましい。
【0113】
嵩密度の低い粒子状の温度変化物質40としては、顆粒、表面凹凸の多い形状の粒子、表面や内部に微細な孔を有する粒子等の多孔質粒子が好適である。嵩密度の程度は適宜定めれば良いが、真密度の50%以下である(見かけの体積に対して50%以上の空隙(空間)を有する)のが好ましい。例えば、ソルビトールの場合、真密度は1.50g/cm3なので、好ましい嵩密度は0.75g/cm3以下であり、0.50〜0.70g/cm3がより好ましく、0.55〜0.65g/cm3が特に好ましい。また、粒子径が大きいと、見かけの嵩密度は小さいが、表面積は大きくないため、粒子状の温度変化物質40を用いる場合、その平均粒径(JIS K 1474−2007 メジアン径)が200〜600μmであることが好ましい。
【0114】
以上に述べた方法により温度変化物質40をおむつ内部に、あるいはおむつを構成する部材に対して融着することができるが、それだけでは融着部分が硬質化し、装着感が硬くなり、身体に対するフィット性も低下する。よって、次述の柔軟化手段が組み合わされる。すなわち、第1の手段は、温度変化物質40の融着部分を含む部分に機械的な圧力を加え、融着した温度変化物質40を砕くものである。このような処理は、融着対象部材をロール間に挟んで加圧すると連続処理が可能なため好ましい。加圧に際しては加熱を伴っても良いが、温度変化物質を砕き難くなるため加熱せずに加圧するのが好ましい。
【0115】
加圧加工は、対象部分の全体に行う他、部分的に、例えばいわゆるエンボス加工等により散点状に行うこともできる。図13は、後者の加圧形態を示しており、符号45は加圧部を示し、符号46は非加圧部を示している。後者の加圧形態の場合、加圧部45の中心間隔45dは前後方向及び幅方向ともに2〜25mmの範囲内とするのが好ましい。また、加圧部45及び非加圧部46を有する部分における単位面積当たりの非加圧部46の面積割合は20〜70%程度、特に30〜50%程度とするのが好ましい。加圧部45の間隔が広過ぎたり、非加圧部46の面積が大き過ぎたりすると柔軟化が不十分となり易く、加圧部45の間隔が狭過ぎたり、非加圧部46の面積が小さ過ぎたりすると融着部分の全体を砕くのと殆ど同じになり、粉砕時に融着対象部材から離脱する温度変化物質40の量が増加する。また、加圧部45の配列は適宜定めることができ、図13(a)示すような行列状とする他、図13(b)に示すような千鳥状とすることもできる。加圧加工により、砕かれて細分化した温度変化物質40の一部が、融着された部材から遊離しておむつ内部を自由に移動できる状態になる。この遊離物(粒子状分)は少ないほうが好ましく、具体的には温度変化物質40全体の0〜30重量%程度、特に0〜10重量%である。なお、本発明における、おむつ内を自由に移動できる状態の粒子状分とは、おむつを構成する部材に対して固定されておらず少なくとも平面方向に自由に移動可能なものであれば粒状や粉状のものに限らず、短繊維状やブロック状など、適宜の形状を含むものとする。ただし、個々の「粒子」については、任意の方向で長さを測定した時の最大長さが30mm以下、かつ最大重量1g以下のものとする。もちろん、「粒子」が大きすぎると着用時の違和感を伴うため、実際には最大長さは10mm以下、かつ最大重量は0.2g以下程度である。
【0116】
第2の手段は、図14に示すように、温度変化物質40の融着部分を前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターン(すなわち融着部分と非融着部分とを交互に)で設けるものである。より詳細には、図14(a)に示す例は、前後方向に沿って連続する筋状又は帯状の温度変化物質40の融着部分が、幅方向に間隔47を空けて複数列設けられているものである。また、図14(b)に示す例は、適宜形状の温度変化物質40の融着部分が前後方向及び幅方向の両方に間欠的となるパターンで配列されているものである。この場合における温度変化物質40の融着部分の形状は、図示例では矩形状であるが、菱形状や、三角形状、円形状でも良い。また、温度変化物質40の融着部分の配列は、図示例では行列状であるが、千鳥状等、任意の配列とすることができる。温度変化物質40の融着部分の間隔は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向ともに3〜15mm程度とするのが好ましい。また個々の温度変化物質40の間欠方向における幅48は3〜40mm程度、特に5〜10mm程度とするのが好ましい。温度変化物質40の融着部分間の間隔47が広過ぎたり、幅48が狭すぎたりすると温度変化物質40の保持量が不足するおそれがあり、間隔47が狭過ぎたり幅48が広すぎたりすると柔軟化が不足するおそれがある。
【0117】
このような温度変化物質40の融着部分の間欠配置は、温度変化物質40を融着対象部材に対して所定の間欠パターンで配置した後に加熱する他、加熱パターンを間欠的(部分的)としたり、温度変化物質40の溶融液を所定の間欠パターンで塗布したりすることによって製造できる。第2の手段においても、温度変化物質40の非融着分(粒子状分)は、0〜30重量%程度、特に0〜10重量%であることが好ましい。
【0118】
第3の手段は、粒子状等の多数の温度変化物質40を含有する部分において、温度変化物質40の30〜90重量%(特に50〜70重量%であるのが好ましい)が融着されるとともに、残部(70〜10重量%、特に50〜30重量%)の温度変化物質40が融着されていない状態とするものである。このように、温度変化物質40の融着比率を抑えることによっても、温度変化物質40の融着による硬質化を低減することができる。このような形態は、前述した第2の融着手法を用いる場合は製造できないが、第1の手法において、融着対象部材の所定範囲に温度変化物質40を配置した状態で、その温度変化物質40の10〜90重量%が融着し、且つ残部が融着しない程度に加熱することで製造することができる。なお、第1〜第3の手段は、いずれか2つ又は3つを組み合わせて採用することができる。
【0119】
これらの手法による柔軟化の程度は適宜調整することができるが、おむつにおける温度変化物質40の融着部分を有する部分の剛性が、15〜50cN/50mm、特に20〜35cN/50mmとなるのが好ましい。ちなみに、温度変化物質40の融着部分を有しない部分の剛性は、1〜25cN/50mm、特に5〜15cN/50mm程度であるのが好ましく、通常の場合、温度変化物質40の融着部分を有する部分と有しない部分との剛性差は5〜20cN/50mm程度であるのが好ましい。
【0120】
なお、剛性とは、曲げ剛性(剛度)のことを意味し、JIS K 7171(プラスチック‐曲げ剛性の試験方法)に準拠し、次の方法で測定する。測定にはテンシロン試験機(圧子先端部の曲率半径R1=5.0±0.1mm、支持プレート先端部の曲率半径R2=5.0±0.2mm)を用い、内装体20の製品前後方向の曲げ剛性を測定する。試験片は、内装体20から測定に影響する弾性伸縮部材を取り除き、これをおむつ長手方向80mm、おむつ幅方向50mmの長方形に切り取ることにより作製する。曲げ剛性値の単位中の50mmは試験片の短辺の長さであり、試験時の圧子でたわませた試験片の幅である。それぞれ断面円弧状の先端部を有し、両先端部の先端(上端)間の間隔を位置を揃えて配置された一対の支持プレート上に、上記の試験片を、その長手方向を各プレートに直交する方向に向けて、掛け渡すように載置し、その試験片に僅かに接するように圧子先端部を配置する。ロードセル5kg(レンジ196cN)、速度30mm/minの条件で圧子を降下させ、荷重‐たわみ曲線を得る。得られた曲げ応力の最大値を曲げ剛性値(cN/50mm)とする。なお、測定対象となる部位が上記サンプリング寸法より小さい場合は、小スケールの試験片で測定を行い、寸法比に基づいて比例計算にて換算する。
【0121】
<他の実施形態>
柔軟性を損ねずに温度変化物質40の移動を防止する他の手法として、温度変化物質40を繊維状(あるいは綿状)として、その層を表面シート30と液不透過性シート11との間に設けることも提案される(図示省略)。繊維状の温度変化物質40の層は柔軟であるため、温度変化物質40を有する部分であっても硬質化は殆ど起こらない。また、表面積が大きく層間に細かな空隙部を有するため、水(尿)への溶解が速やかである。さらにおむつ内で自由に移動することがない。もちろん、おむつ内で移動可能な粒子状分はほとんど残らない。
【0122】
温度変化物質40を繊維状の層とするために、一般的な繊維技術やあるいはホットメルト接着剤の塗布技術を応用することができる。代表的な技術としては、繊維技術であればスパンボンド法やメルトブローン法、ホットメルト接着剤塗布技術であればカーテンスプレー法が挙げられる。これらの方法においては、それぞれ異なる形態のノズルユニットを用いて繊維状物を得るが、ノズルユニットが溶融物を糸状に吐出する多数の吐出口とエアー噴出口とを備える点では共通している。溶融状態でノズルユニットに供給された温度変化物質40は、吐出口から吐出される。そして、吐出口から吐出された温度変化物質40は、エアー噴出口より噴射されるエアーによって、繊維状とされて、コンベア上あるいはおむつを構成する部材上に散布され、フィラメント状繊維(連続繊維)の集合体の層を形成する。なお、上記エアーは加熱エアーであるのが好ましい。加熱エアーの温度は、温度変化物質40の融点と同じか又はこれよりも50℃以上高い温度であるのが好ましく、該融点よりも50〜120 ℃ 高い温度が更に好ましい。また、エアーの噴射圧は、1.0〜3.0kg/cm3であるのが好ましい。
【0123】
また、ワタアメの製造方法に倣って綿状の温度変化物質40の堆積物を形成し、これを適宜成形あるいはカットして用いることもできる。温度変化物質40が砂糖に似た性状を示す糖アルコールである場合は、このようにワタアメの製造技術を応用することもまた好適な方法である。
【0124】
本形態では、温度変化物質40は必ずしも融着される必要は無い。溶融した温度変化物質40の繊維状物の一部は、おむつを構成する部材に融着することにより、強固に固定することができるが、前述のように繊維状の層であるだけでおむつ内の移動防止には十分である。但し、この繊維状の層を積極的に接着のための層として用いることも可能である。温度変化物質40の繊維の太さは適宜定めることができるが、1〜1000dtex程度とすることができ、特に1〜4dtex程度であるのが好ましい。
【0125】
繊維状の温度変化物質40の層を設ける部位や、温度変化物質40の使用量、剛性等、他の点については前述の主たる形態における温度変化物質40の融着部分と同様であるため、敢えて説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、パンツ型やテープ式、あるいはパッド型の吸収性物品等、広範な用途に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】パンツ型使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図2】パンツ型使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図3】図1の6−6断面図である。
【図4】図1の7−7断面図である。
【図5】図1の8−8断面図である。
【図6】パンツ型使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図7】パンツ型使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、断面図である。
【図8】製品状態の正面図である。
【図9】製品状態の背面図である。
【図10】他の形態の要部断面図である。
【図11】他の形態の要部断面図である。
【図12】他の形態の要部平面図である。
【図13】他の形態の要部平面図である。
【図14】他の形態の要部平面図である。
【図15】加熱手段を示す概略図である。
【図16】加熱手段を示す概略図である。
【図17】加熱手段を示す概略図である。
【図18】加熱手段を示す概略図である。
【符号の説明】
【0128】
100…胴回り部、11…液不透過性シート、12F…腹側外装シート、12B…背側外装シート、200…内装体、30…表面シート、40…温度変化物質、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品において、
前記温度変化物質は、前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に固体の状態で配置され、前記温度変化物質は少なくとも平面方向に自由に移動できる状態の粒子状分を有さず、あるいは少量しか有さず、大部分は移動しないように配置されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記温度変化物質が融着されるとともに、この融着された温度変化物質が砕かれている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記温度変化物質が融着されるとともに、この融着された融着部分が前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記温度変化物質の融着部位が、前記表面シートと前記吸収体との間に配置されたシート、又は前記吸収体の表層部である、請求項2または3に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記表面シートと前記液不透過性シートとの間に、繊維状に形成された前記温度変化物質からなる層が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
前記温度変化物質のうち自由に移動できる状態の粒子状分が、該温度変化物質全体の5
0重量%以下である、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項7】
前記温度変化物質のうち自由に移動できる状態の粒子状分が、該温度変化物質全体の1
0重量%以上である、
ことを特徴とする請求項6に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項8】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に前記温度変化物質を配置した状態で加熱し、当該温度変化物質を溶融固化するか、又は前記所定範囲に前記温度変化物質の溶融液を塗布し固化させることにより、前記所定範囲に前記温度変化物質を融着した後に、この融着部分に機械的な圧力を加えて融着した温度変化物質を砕く工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【請求項9】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に、前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで前記温度変化物質を配置した状態で加熱し、当該温度変化物質を溶融固化するか、又は前記所定範囲に、前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで前記温度変化物質の溶融液を塗布し固化させることにより、前記所定範囲に前記温度変化物質を融着する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【請求項10】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に多数の前記温度変化物質を配置した状態で、その温度変化物質の一部が融着し、且つ残部の温度変化物質が融着しないように加熱する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【請求項11】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シートと前記液不透過性シートとの間に位置する部材上に、前記温度変化物質の溶融液を空気に乗せて吹き付け、繊維状の温度変化物質からなる綿状層を形成する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【請求項1】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品において、
前記温度変化物質は、前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に固体の状態で配置され、前記温度変化物質は少なくとも平面方向に自由に移動できる状態の粒子状分を有さず、あるいは少量しか有さず、大部分は移動しないように配置されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記温度変化物質が融着されるとともに、この融着された温度変化物質が砕かれている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記温度変化物質が融着されるとともに、この融着された融着部分が前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記温度変化物質の融着部位が、前記表面シートと前記吸収体との間に配置されたシート、又は前記吸収体の表層部である、請求項2または3に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記表面シートと前記液不透過性シートとの間に、繊維状に形成された前記温度変化物質からなる層が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
前記温度変化物質のうち自由に移動できる状態の粒子状分が、該温度変化物質全体の5
0重量%以下である、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項7】
前記温度変化物質のうち自由に移動できる状態の粒子状分が、該温度変化物質全体の1
0重量%以上である、
ことを特徴とする請求項6に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項8】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に前記温度変化物質を配置した状態で加熱し、当該温度変化物質を溶融固化するか、又は前記所定範囲に前記温度変化物質の溶融液を塗布し固化させることにより、前記所定範囲に前記温度変化物質を融着した後に、この融着部分に機械的な圧力を加えて融着した温度変化物質を砕く工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【請求項9】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に、前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで前記温度変化物質を配置した状態で加熱し、当該温度変化物質を溶融固化するか、又は前記所定範囲に、前後方向及び幅方向の少なくとも一方の方向に間欠的となるパターンで前記温度変化物質の溶融液を塗布し固化させることにより、前記所定範囲に前記温度変化物質を融着する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【請求項10】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シート、前記液不透過性シートの内面、又はこれら表面シート及び液不透過性シートの間に位置する部材における、表面に沿う方向の所定範囲に多数の前記温度変化物質を配置した状態で、その温度変化物質の一部が融着し、且つ残部の温度変化物質が融着しないように加熱する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【請求項11】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記表面シートと前記液不透過性シートとの間に位置する部材上に、前記温度変化物質の溶融液を空気に乗せて吹き付け、繊維状の温度変化物質からなる綿状層を形成する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−268525(P2009−268525A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119316(P2008−119316)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]