説明

使い捨て吸収性物品

【課題】温度変化物質が移動し難いものでありながら温度変化物質の水分との接触面積を十分に確保でき、もって所期の温度変化が発生する使い捨て吸収性物品を提供する。
【解決手段】液透過性表面シート30と液不透過性シート11との間に吸収体56が介在されたおむつに対して、液不透過性シート11の表面側に、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質を含有させるにあたり、粒子状の温度変化物質を圧縮成形してなる成形片40を、その表面側及び裏面側にそれぞれ位置する表面側部材58及び裏面側部材56間に挟んだ状態で内蔵させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨てのおむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、汗取りシート等の吸収性物品に関するものであり、特に所謂トイレトレーニングに用いられる使い捨ておむつ、使い捨て吸収パッド等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トレーニング用の使い捨ておむつとしては、着用者に排尿を知覚させるために、尿を肌に接触させ、湿潤による不快感を強調する工夫を施したものが一般的であったが、肌のフヤケからカブレに繋がるおそれがあることから、尿を肌から遠ざけるものでありながら、着用者に排尿を知覚させるための技術開発が行われている。
この代表的なものが、ソルビトール等のように尿等の水分との接触により温度変化をもたらす物質の利用である(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1記載の技術では、ソルビトール等の温度変化物質を含む部材を、吸収要素の身体側に配置することが提案されている。また、特許文献2記載の技術では、浸透性層と不浸透性層との間にソルビトール等の温度変化物質を挟んでなる要素を、吸収性コア上に配置することが提案されている。
【特許文献1】特許3922722号公報
【特許文献2】特許3830901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の技術では、粉粒体状の温度変化物質を用いる場合、温度変化物質が粉粒体状のまま非固定で含有されているため、製品の流通過程又は使用中に温度変化物質が所定部位から部材間の隙間や繊維間の隙間を介して移動し、温度変化物質に対する水分の供給が不足する、温度変化が身体に対して十分に伝達しなくなる等により、温度変化が不十分となるおそれがあった。
この問題点を解決する方法として、吸収性物品内部の適宜の部材に温度変化物質を溶融付着することが考えられたが、その場合、温度変化物質の表面積の低下により水分との接触効率が低下し、温度変化効率が低下するおそれがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、温度変化物質が移動し難いものでありながら温度変化物質の水分との接触面積を十分に確保でき、もって所期の温度変化が発生する使い捨て吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に、吸収体が介在されるとともに、
前記液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品において、
前記温度変化物質として、粒子状の温度変化物質を圧縮成形して得られる成形片が、その表面側及び裏面側にそれぞれ位置する表面側部材及び裏面側部材間に挟まれた状態で内蔵されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【0005】
(作用効果)
粒子状の温度変化物質を圧縮成形して得られる成形片は、粒子状のままのものと比べて、部材間の隙間や繊維間の隙間を介して移動し難い。よって、このような温度変化物質の成形片を表面側部材及び裏面側部材間に挟んだ状態で内蔵することにより、温度変化物質の移動を抑制することができる。また、粒子の圧縮成形片は多孔質構造であるため、温度変化物質粒子の単なる溶融固化物と比べて表面積、すなわち水分との接触面積が格段に大きいため、温度変化効率が殆ど低下しないか又は低下するとしても少なくて済む。したがって、本発明によれば、温度変化物質が移動し難いものでありながら温度変化物質の水分との接触面積が十分に確保され、もって所期の温度変化が発生するようになる。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記成形片は、平均粒径が200〜600μm且つ嵩密度が0.50〜0.70g/cm3の糖アルコール粒子を嵩密度が0.80〜1.10g/cm3となるように圧縮成形して得られる多孔質片である、請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【0007】
(作用効果)
温度変化物質として冷却物質を用いる場合、安全性、安定性(融点等)及び入手容易性の観点から糖アルコールが好適であり、その場合、圧縮成形前の粒子の平均粒径及び成形片の嵩密度が本項記載の範囲内であると特に好ましい。
【0008】
<請求項3記載の発明>
前記成形片を有する部分における前記温度変化物質の目付けが200〜1200g/m2であるとともに、前記温度変化物質の成形片は厚みが0.5〜2.0mm且つ面積が50〜1000mm2で物品内に複数あるいは多数存在する扁平片である、請求項1または2記載の使い捨て吸収性物品。
【0009】
(作用効果)
本項記載のように温度変化物質の目付けが多く、従来のように粒子状のまま含有させると粒子が厚み方向に重なり合う場合に粒子の移動が起こりやすい。よって、本発明はこのような場合に好適である。また温度変化物質の目付けを多くする場合、成形片が厚すぎたり、面積が大き過ぎたりすると使用者に異物感をもたらすため、本項記載の厚み及び面積の範囲内のものを物品内に複数あるいは多数内蔵するのが好ましい。
【0010】
<請求項4記載の発明>
前記表面側部材が、前記表面シートと前記吸収体との間に配置された第1の液透過性シートであり、前記裏面側部材が前記第1の液透過性シートと前記吸収体との間に配置された第2の液透過性シートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0011】
(作用効果)
温度変化物質は水分との接触により温度変化をもたらすものであるため、表面側部材及び裏面側部材が本項記載の部位に設けられていると、第1に水分との接触効率が高く、第2に温度変化した水分が肌により近い部位に保持され、第3に温度変化物質がじかに肌に触れないようになる。また、表面側部材及び裏面側部材が本項記載のように表面シートや吸収体とは別に設けられていると、表面側部材及び裏面側部材の素材選択の自由度が増すとともに、後述する本発明の製造方法を適用する際、圧力等の加工条件の選択の自由度も増すという利点がある。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記表面側部材が前記表面シートであり、前記裏面側部材が前記表面シートの裏面側に隣接配置された液透過性セカンドシートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0013】
(作用効果)
温度変化物質は水分との接触により温度変化をもたらすものであるため、表面側部材及び裏面側部材が本項記載の部位に設けられていると、第1に水分との接触効率が高く、第2に温度変化した水分が肌により近い部位に保持され、第3に温度変化物質がじかに肌に触れないようになる。また、表面側部材及び裏面側部材が本項記載のように表面シートとその裏面側に隣接配置された液透過性セカンドシートであると、資材の増加を抑えることができるという利点がある。
【0014】
<請求項6記載の発明>
前記吸収体が包装シートにより包まれており、前記表面側部材が前記包装シートにおける前記吸収体の表面側に位置する部分であり、前記裏面側部材が前記吸収体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0015】
(作用効果)
温度変化物質は水分との接触により温度変化をもたらすものであるため、表面側部材及び裏面側部材が本項記載の部位に設けられていると、第1に水分との接触効率が高く、第2に温度変化した水分が肌により近い部位に保持され、第3に温度変化物質がじかに肌に触れないようになる。また、表面側部材及び裏面側部材が本項記載のように包装シート及び吸収体であると、資材の増加を抑えることができるとともに、両部材の間から温度変化物質が零れ出ても、包装シート内に止めることができるという利点がある。さらに、吸収体を包装シートで包装する場合、一般的な製造方法では、包装シートで包装した後の吸収体に対して後述する製造方法のように一対のロールにより加圧を行うため、その加圧を利用して圧縮成形することができるという利点もある。
【0016】
<請求項7記載の発明>
前記吸収体として、表面側吸収体とその裏面側に重なる裏面側吸収体とを有しており、前記表面側部材が前記表面側吸収体であり、前記裏面側部材が前記裏面側吸収体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0017】
(作用効果)
表面側部材及び裏面側部材が本項記載のように吸収体であると、資材の増加を抑えることができるとともに、吸収した液分に対して温度変化を持続的にもたらすことができるという利点がある。
【0018】
<請求項8記載の発明>
前記表面側部材が、一枚のシートを折り畳んで形成された層構造物における表面側層であり、前記裏面側部材が前記表面側層の裏面側に隣接配置された裏面側層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0019】
(作用効果)
このような構造を採用することにより、層構造物の端部におけるシートの折り返し部分が温度変化物質の移動を遮断し、当該端部からの温度変化物質の零れ落ちを防止することができるという利点がもたらされる。また、表面側部材及び裏面側部材の素材選択の自由度が増すとともに、後述する本発明の製造方法を適用する際、圧力等の加工条件の選択の自由度も増すという利点がある。
【0020】
<請求項9記載の発明>
前記成形片が、粒子状の温度変化物質に高吸収性ポリマーを混合して圧縮成形した成形片である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0021】
(作用効果)
成形片に高吸収性ポリマーを混合すると、温度変化物質により冷却または加熱された尿が高吸収性ポリマーによりその場で吸収されて物品表面側に止まるため、装着者に温度変化を効果的に伝達することができるという利点がある。
【0022】
<請求項9記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
粒子状の温度変化物質を所定の表面側部材及び裏面側部材間に挟んだ状態で、一対のロールで圧縮することにより、前記粒子状の温度変化物質の圧縮成形片を形成する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0023】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項1記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、簡単に製造することができる。また、この方法は製造ラインによる連続製造にも好適である。
【0024】
<請求項10記載の発明>
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記吸収体の表面に粒子状の温度変化物質を散布し、次いでこれら吸収体及び温度変化物質を包装シートにより包んで包装吸収体を形成し、しかる後、この包装吸収体を一対のロールで圧縮することにより、前記粒子状の温度変化物質の圧縮成形片を形成する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【0025】
(作用効果)
このような工程を採用することにより、前述の請求項6記載の発明と同様の特徴を有する吸収性物品を、簡単に製造することができる。特に、吸収性物品の一般的な製造方法では、包装シートで包装した後の吸収体に対して包装シートの固定等を目的として一対のロールにより加圧を行うため、その加圧を利用して圧縮成形することにより加圧条件の変更のみで製造を行うことができ、既存設備への適用も容易である。また、この方法は製造ラインによる連続製造にも好適である。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、柔軟性を損ねずに温度変化物質の移動を防止できるようになる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、パンツ型使い捨ておむつ(トレーニングパンツ)の例を引いて説明するが、本発明はテープ式の使い捨ておむつやパッド型の吸収性物品等にも適用できることはいうまでもない。
<パンツ型使い捨ておむつの基本構造例>
図1〜図9は、パンツ型使い捨ておむつの一例を示している。各図において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側と背側とを重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った状態で胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0028】
このパンツ型使い捨ておむつは、着用者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シート12Fと背側を覆う背側外装シート12Bとを有しており、腹側外装シート12Fの幅方向両側縁と背側外装シート12Bの幅方向両側縁とが、上下方向全体にわたりヒートシールや超音波溶着等により溶着接合されて筒状の胴回り部100が形成されるように構成されている。符号12Aは個々の溶着部を示しており、この溶着部12Aの群がサイドシール部を構成するものである。図示形態のように、背側外装シート12Bが溶着部12Aよりも下側に延出している場合には、この部分までを含む上下方向範囲に一体的にヒートシール等の加工を施し、背側延出部14に延出溶着部12Eを設けることができる。延出溶着部12Eを設けることにより、後述する背側延出部14の第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することができる。この場合、脇部の破りやすさを考慮して、溶着部12Aは小さな溶着部の集合からなり、溶着部12Aにおける溶着面積の比率が低い接合パターンとすることが一般的であるが、延出溶着部12Eでは破りやすさを考慮する必要が無いため、溶着パターンは溶着部12Aよりも溶着面積の比率を高くすることにより第2の細長状弾性伸縮部材16が確実に溶着固定されるようにしてもよい。また、延出溶着部12Eは臀部カバー部14Cの縁部をカーブしたラインで溶着し、臀部カバー部14Cの第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することもできる。
【0029】
また、胴回り部100における腹側外装シート12Fの幅方向中央部内面に内装体200の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シート12Bの幅方向中央部内面に内装体200の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間側で連続しておらず、離間されている。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間部で連続した形態、つまり腹側から背側までを一体的な外装シートにより連続的に覆う形態を採用することもできる。
【0030】
図7及び図8からも判るように、胴回り部100の上部開口は、着用者の胴を通すウエスト開口部WOとなり、内装体200の幅方向両側において胴回り部100の下縁および内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部LOとなる。各溶着部12Aを剥がして展開した状態では、図1に示すように砂時計形状をなす。内装体200は、背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在するものであり、排泄物を受け止めて液分を吸収し保持する部分であり、胴回り部100は内装体200を着用者に対して支持する部分である。
【0031】
(外装シート)
腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bは、図4及び図5にも示すようにシート状資材12,12を2枚貼り合せてなるものであり、内側に位置する内側シート状資材12はウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する外側シート状資材12は内側シート状資材12のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在され、対向面にホットメルト接着剤等により固定されている。シート状資材12としては溶着により接合できるものであれば特に限定されないが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
【0032】
そして、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bには、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート状資材12,12間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。各外装シート12F,12Bの両シート状資材12,12の貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定にはホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12F,12B全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
【0033】
より詳細には、背側外装シート12Bは、溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める背側本体部13と、この背側本体部13の下側に延出する背側延出部14とを有している。背側延出部14は、内装体200と重なる幅方向中央部14Mと、その両側に延出した臀部カバー部14Cとを有している。
【0034】
背側延出部14の形状は適宜定めることができるが、図示例では、背側延出部14の上端部は、背側本体部13と同幅で背側本体部13の下側に延出されており、その下側は股間側に近づくにつれて幅が狭められている。背側本体部13と同幅の部分は省略することもできる。このように構成されていると、臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eが、股間側に近づくにつれて内装体200側に近づくような直線状または曲線状をなすようになり、臀部を覆い易い形状となる。
【0035】
背側延出部14の寸法は適宜定めることができるが、図6に示すように、臀部カバー部14Cの幅方向長さ14x(臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eと内装体200の側縁との幅方向の最大離間距離)が80〜160mmであり、臀部カバー部14Cの上下方向の長さ14y(延出長さ)が30〜80mmであると、より好ましい。また、背側延出部14の幅方向に最も広い部位と上下方向に最も広い部位により定まる四角形の面積をSとすると、背側延出部14の面積はSに対して20〜80%、特に40〜60%程度であると、臀部の外観および装着感に優れるため、好ましい。
【0036】
背側本体部13は、上下方向において概念的に上端部(ウエスト部)Wと、これよりも下側の下側部分Uとに分けることができ、その範囲は製品のサイズによって異なるが、一般に、上端部Wの上下方向長さは15〜80mm、下側部分Uの上下方向長さは35〜220mmとすることができる。
【0037】
背側本体部13の上端部(ウエスト部)Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の背側ウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、背側本体部13の下側部分Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。この背側ウエスト弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えば背側ウエスト部の上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
【0038】
また、背側本体部13の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第1の細長状弾性伸縮部材15が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
【0039】
第1の細長状弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0040】
また、背側延出部14における内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり(少なくとも臀部カバー部14C全体にわたり)連続するように、複数の第2の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
【0041】
第2の細長状弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0042】
一方、腹側外装シート12Fは背側外装シート12Bの背側本体部13と基本的に同様の腹側本体部(溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める部分)のみからなるものであり、胴回り方向に沿って延在する矩形状をなし、背側外装シート12Bのような背側延出部14を有していないものである。
【0043】
すなわち、腹側外装シート(腹側本体部)12Fの上端部(ウエスト部)Wおよび下側部分Uのうち、上端部Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材12の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の腹側ウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。この腹側ウエスト部弾性伸縮部材18は、背側ウエスト部弾性伸縮部材17に対して、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
【0044】
また、腹側外装シート12F(腹側本体部)の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第3の細長状弾性伸縮部材19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第3の細長状弾性伸縮部材19の上下方向配設範囲は、下側部分の一部としても良いが、実質的に全体(全体に伸縮力が作用する範囲)とするのが好ましい。
【0045】
第3の細長状弾性伸縮部材19としては、第1の細長状弾性伸縮部材15と、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
【0046】
図示形態の腹側外装シート12Fは、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分のみからなるものとしたが、背側と同様に、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める腹側本体部と、この腹側本体部の下側に延出する腹側延出部とからなる構成とすることもできる。これにより、腹側外装シート12Fの脚周り形状を鼠蹊部に沿ってフィットする形状とすることができる。この場合、腹側延出部の面積は、背側延出部の面積の10〜80%であるのが好ましく、20〜50%であるとより好ましい。腹側延出部が過度に大きいと、かえってフィット性を損なうため好ましくない。
【0047】
他方、図示のように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200と外装シート12F,12Bが剥れにくいため好ましいが、この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。また、背側本体部13および背側延出部14の幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
【0048】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。液不透過性シート11の裏面側には、内装体200の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シート12Mを固定することもできる。また、表面シート30と吸収要素50との間に、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるセカンドシート44(図11参照)を設けることもできる。さらに、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に、身体側に起立するバリヤーカフス60,61を設けることができる。なお、図示しないが、内装体200の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより、適宜相互に固定することができる。また、内装体200は、メカニカルファスナーや粘着材を用い、外装シート12F,12Bに対して着脱自在に取り付けることもできる。
【0049】
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特に、表面側からの温度変化を感知し易くするため、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布が薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、エアスルー法により加工された不織布は低坪量でも吸収が速やかでかつさらっと感に優れるため好適である。
【0050】
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合わせてなるものであってもよい。
【0051】
表面シート30を不織布から構成する場合、その厚みが0.1〜3mm程度、特に0.5mm以下、且つ目付けが10〜40g/m2程度、特に25g/m2以下であるように構成すると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。
【0052】
バリヤーカフス60,61を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11とバリヤーカフス60,61との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及びバリヤーカフス60,61に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。
【0053】
(セカンドシート)
前述のとおり、表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、セカンドシート44(図11参照)を設けることができる。このセカンドシート44は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。セカンドシート44は省略することもできる。
【0054】
セカンドシート44としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
【0055】
セカンドシート44は、吸収体56の幅より短く中央に配置する他、全幅にわたって設けてもよい。セカンドシート44の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0056】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0057】
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
【0058】
また、液不透過性シート11の内面または外面には、印刷や着色によるデザインを施しても良い。さらに液不透過性シート11の外側に、股間部外装シート12Mとは別部材の、印刷または着色を施したデザインシートを貼り付けても良い。また、液不透過性シート11の内側に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータ80を設けることができる。
【0059】
(バリヤーカフス)
バリヤーカフス60,61は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
【0060】
本実施の形態では、図3及び図4にも示すように、内装体200の左右各側において二重にバリヤーカフス60,61が設けられている。おむつを展開した状態では、図示のように、内側バリヤーカフス61は内装体200の側部から幅方向中央側に斜めに起立するものであり、外側バリヤーカフス60は、内側バリヤーカフス61の幅方向外側において内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
【0061】
より詳細には、内側バリヤーカフス61は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のバリヤーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。細長状弾性伸縮部材63は、バリヤーシート62に対し、前後端部では固定されておらず、中間部においてバリヤーカフスが前後に伸縮するように固定されている。バリヤーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは420〜1120dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示しないが、二つに折り重ねたバリヤーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
【0062】
細長状弾性伸縮部材63は、内側バリヤーカフス61の先端部に1〜2本配置するのが好ましく、先端部と基端部との間の中間部にも1〜2本配置すると更に好ましい。中間部に細長状弾性伸縮部材63があると、これを支点として中間部から先端部に亘る範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。中間部の細長状弾性伸縮部材63の配置位置は内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の30〜70%範囲が好ましい。乳幼児用紙おむつでは、内側バリヤーカフス61の高さは15〜35mm程度が好ましいため、細長状弾性伸縮部材63の配置範囲は先端から基端側に5〜25mmの位置が好ましく、12〜18mmの位置がより好ましい。内側バリヤーカフス61の先端部及び/または中間部にそれぞれ細長状弾性伸縮部材63を平行に設ける場合は、その配置間隔61dは2〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
【0063】
そして、内側バリヤーカフス61のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分(内側取付部分)65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分であり、内側突出部分に相当する)とされ、この突出部分66のうち前後方向両端部が表面シート30表面にホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67により固定され、前後方向中間部が非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
【0064】
外側バリヤーカフス60も、内側バリヤーカフス61と基本的に同様の構造を有するものであるが、その取付部分(外側取付部分)68が、内装体200の裏面側における内側バリヤーカフス61の取付部分65よりも幅方向中央側において内側バリヤーカフス61の外面に固定される点、突出部分(外側突出部分)69のうち前後方向両端部が、取付部分68から内装体200の側部を通り内側バリヤーカフス61における内側突出部分66の前後方向両端部の表面まで延在し且つ内側突出部分66の前後方向両端部の表面に固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる点、細長状弾性伸縮部材63の配置及び本数等で異なるものである。
【0065】
ただし、内側バリヤーカフス61についても、内側突出部分の先端部は幅方向外側に折り返される構造、具体的には内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の1/2以下、好ましくは1/3以下であれば、外側バリヤーカフス61と同様に先端側部分が幅方向外側に折り返され且つ付け根部側部分に固定される構造を採っても良い。
【0066】
外側バリヤーカフス60の自由部分(外側自由部分)に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。外側バリヤーカフス60に配置する細長状弾性伸縮部材63の太さや伸長率は、内側バリヤーカフス61に準ずるが、太さは内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより太く、伸長率は内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより低いほうが好ましい。
【0067】
また、突出部分66,69の前後固定部67の前後方向長さL6は、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは短く形成するのが好ましく、バリヤーカフス60,61における細長状弾性伸縮部材63の前後方向固定長さは、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは長く形成するのが好ましい。取付部分65と突出部分66との境界は、外側バリヤーカフス60と内側バリヤーカフス61とで同じ位置であっても良いが、外側バリヤーカフス60の境界が内側バリヤーカフス61の境界よりも幅方向中央側に離間しているのが好ましく、その離間距離は10mm以内が好ましい。
【0068】
外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61の取付部分68,65における突出部分66,69側の縁部には、ホットメルト接着剤やヒートシールによる線状の付け根固定部を形成するのが好ましい。また、他の固定部はホットメルト接着剤等を用いて適宜のパターンで固定することができる。この線状の付け根固定部は、内装体200の表面側の側部近傍(具体的には側縁から幅方向に0〜5mm、好ましくは0〜3mmの位置)または裏面側に位置するのが好ましい。この場合、バリヤーカフスを表面側に折り返して固定しているのは実質的に前後方向両端部のみとなるため、前後固定部67による幅方向中央側への規制が十分に作用しない股間部においては、外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61いずれもが幅方向外側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが広くなる。表面側で側縁から幅方向に5mmを越えて線状の付け根固定部が位置すると、股間部においてもバリヤーカフスが幅方向中央側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが狭くなるため、好ましくない。裏面側に位置する場合は、内装体200の側縁から0〜20mmの位置が適当だが、20mmを越えて位置してもよい。
【0069】
外側及び内側バリヤーカフス60,61の取付部分68,65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができ、またいずれか一方のバリヤーカフスを介して他方のバリヤーカフスを内装体200に対して固定することもできる。
【0070】
かくして構成された外側及び内側バリヤーカフス60,61では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66,69のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分68,65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開くように起立するため、外側及び内側バリヤーカフス60,61が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。一方、股間部の前後両側(腹部及び背部)においては、前後固定部67により外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側へ開かないように規制されるため、内側バリヤーカフス61は高く起立し、外側バリヤーカフス60の下半分も同様に起立するため、腹部及び背部における内装体200両脇からのもれが確実に防止できる。また、内側バリヤーカフス61の突出部分66における前後固定部67は折り返さずに、外側バリヤーカフス60の突出部部分68における前後固定部67は外向きに折り返されているため、外側及び内側バリヤーカフス60,61における内側及び外側自由部分間の離間状態が維持され、外側及び内側バリヤーカフス60,61が広い間隔で確実に起立し、それぞれが脚周りにフィットするようになるため、漏れ防止性に優れたものとなる。
【0071】
バリヤーカフス60,61の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、内側バリヤーカフス61の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W5は10〜50mm、特に15〜35mmであるのが好ましく、外側バリヤーカフス60の起立高さ(展開状態における突出部分69の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、内側バリヤーカフス61を表面シート30表面に倒した状態における先端間の離間距離W4は60〜170mm、特に70〜120mmであるのが好ましい。また、外側バリヤーカフス60を表面シート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、外側及び内側バリヤーカフス60,61のいずれか一方のみを設けることもできる。
【0072】
(吸収要素)
本例の吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有するものとなっているが、包装シート58は省略することもできる。
【0073】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成される。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0074】
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部56F、後端部56B及びこれらの間に位置し、前端部56F及び後端部56Bと比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体とバリヤーカフス60,61の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。具体的な寸法としては、吸収体前端部56Fの前後方向長さをL1とし、吸収体56と腹側外装シート12Fとの重なり部分における前後方向長さをL2とし、吸収体後端部56Bの前後方向長さをL3とし、吸収体56と背側外装シート12Bとの重なり部分における前後方向長さをL4とし、括れ部56Nの最小幅をW1とし、吸収体前端部56Fの幅及び吸収体後端部56Bの幅をW2としたとき、下記の式(1)〜(4)を満足するように構成されていると、好ましい。
70mm ≦ W1 < W2 ≦ 190mm …(1)
0.5 ≦ W1/W2 ≦ 0.85 …(2)
0mm ≦ L1−L2 ≦ 70mm …(3)
0mm ≦ L3−L4 ≦ 50mm …(4)
【0075】
W1及びW2が狭過ぎると、バリヤーカフス60,61の起立が不安定になり、また吸収量が不十分となり、広過ぎるとフィット性の低下により装着感が悪化する。
また、上記数値範囲にあると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の取付部分65近傍に吸収体56が存在しないため、バリヤーカフス60,61の動きの自由度が増し、バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開き易く、肌に対して面で当たりやすくなり、脚の動きに対するフィット面の追従性も向上する。前後両側においては内装体200側部の吸収体56が十分な範囲に存在するため、これを基点(支点)としてバリヤーカフス60,61の起立が安定する。前後両側から股間部に至る部分は、バリヤーカフス60,61が内装体200の幅方向両側縁を基準として幅方向内側に起立した姿勢から幅方向外側に開いていく変位部であり、このバリヤーカフス60,61の姿勢変化が内装体200側部まで存在する吸収体56により支えられ、バリヤーカフス60,61の全体的な起立形状が安定する。上記数値範囲を外れ、括れ部が大きくなりすぎると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の自由度が高くなりすぎ、かえって脚周りに隙間ができ易くなるおそれがあり、また股間部の前後両側においても基点(支点)が無いためにバリヤーカフス60,61の起立が不安定になるおそれがある。逆に括れ部が小さくなりすぎると、バリヤーカフス60,61の自由度が低下するので好ましくない。
【0076】
さらに、括れ部56N全体の前後方向長さL7は好ましくは80mm以上、特に好ましくは120〜260mmとされる。括れ部56Nの前後方向長さL7が短過ぎるとバリヤーカフス60,61の自由度が低下するとともに、吸収体56の脚周りに対するフィット性が低下して脚の動きを妨げるようになり、長すぎるとバリヤーカフス60,61の起立が安定しなくなる。
【0077】
(高吸収性ポリマー粒子)
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0078】
高吸収性ポリマーとしては、抗菌物質と一体化したものを用いることができる。特に、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子(以下、これを抗菌消臭性ゼオライトという)を高吸収性ポリマー中に含有させるか、あるいは抗菌消臭性ゼオライト粒子を高吸収性ポリマー粒子の表面に静電気により付着させてなる、抗菌消臭性高吸収性ポリマー粒子が好適である。
【0079】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0080】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0081】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、50〜800g/m2とすることができ、特に100〜400g/m2が好ましい。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。800g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子54の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0082】
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0083】
特に、後述する温度変化物質40により温度変化した尿を肌により近い位置で保持するために、高吸収性ポリマーとしては吸水速度が50秒以下のものが好適である。吸水速度が遅いと、温度変化した尿の多くが吸収されずに裏面側に通過してしまう。
【0084】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないような目の細かいシートであるのが望ましく、包装シート58の内側に温度変化物質40を設ける場合には表面側からの温度変化を感知し易くするため、薄く低目付けのものが適当である。厚みは0.05〜3mm程度、特に0.2mm以下、且つ目付けが5〜25g/m2程度、特に15g/m2以下であると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。不織布を用いる場合は、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布、特にSMS法により加工された不織布が、薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。
【0085】
吸収体56を一枚の包装シートで包む場合、包装シート58の内側に温度変化物質40を設ける場合には着用者に効果的に温度変化を伝達させるため、身体側の包装シート58の合わせ目の重なり幅58Wを温度変化物質の配置領域の幅40Wより狭く、かつ寸法が40mm以下、特に20mm以下にするのが好ましい。また、包装シート58の合わせ目は、排尿口に当接する幅方向の中央を含まないように、側部寄りに形成するのも好ましい形態である。特に、身体側の包装シート58の合わせ目のシートの重なり部が、後述する温度変化物質の融着部分とは重ならないようになっているのも好ましい。
【0086】
(股間部外装シート)
内装体200の裏面側には、製品外面に露出する股間部外装シート12Mが設けられている。この股間部外装シート12Mの素材としては、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bと同様のものを用いることができるが、より高強度の素材や消臭剤を含有するもの等、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bとは異なる素材を用いることもできる。具体的には、PP、PP/PE、PP/PET等の繊維からなる、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、エアーポイント不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等の各種不織布、あるいはこれに消臭剤等を添加したもの等を用いることができる。
【0087】
股間部外装シート12Mには座位時に高い体圧がかかる。よって、摩擦堅牢度の高い(毛羽立たない)特性を有する素材が好ましい。
股間部外装シート12Mは、印刷や着色を行い、デザイン要素を備えたシートとしてもよい。前述のデザインシートと併用する場合は、それぞれのデザインが重ならないように配置することが好ましい。
股間部外装シート12Mとして伸縮不織布を用い、内装体200の長手方向に伸長して貼り付けると、股間部のフィット性が向上するため好ましい。
【0088】
股間部外装シート12Mが幅方向側部から身体側面まで回り込み、バリヤーシート62の外面にホットメルト接着剤等により接着固定されていると、内装体200の両側部の剛性が向上する。このような形態においては、股間部外装シート12Mに剛度(コシ度)の高いシートを用いることが好ましい。具体的には、クラーク法(JISL1096 C法)によって測定される剛軟度の、シートのMD方向とCD方向との和が100mm以上、好ましくは150mm以上のシートを用いるとよい。
【0089】
図示例では、腹側及び背側外装シート12F,12Bと内装体200とが重なる部分において、股間部外装シート12Mは内装体200と腹側及び背側外装シート12F,12Bとの間に挟まれているが、腹側及び背側外装シート12F,12Bの外側に貼り付けることも可能である。股間部外装シート12Mは、ホットメルト接着剤等により内装体200の裏面、並びに腹側及び背側外装シート12F,12Bの内面若しくは外面に貼り付けられる。
【0090】
(特徴的部分)
特徴的には、包装シート58における吸収体56の表面側に位置する部分(表面側部材)と、吸収体56(裏面側部材)の表面との間における、表面に沿う方向の所定範囲に、粒子状の温度変化物質を圧縮成形して得られる成形片40が、その表面側に位置する包装シート58及び裏面側に位置する吸収体間に挟まれている。成形片40は一つでもよいが、大きすぎると着用者に異物感をもたらすため、複数あるいは多数の小片として存在するのが好ましい。これらの温度変化物質の成形片40は、隣接部材に対して接着等されておらず、移動可能な状態で封じ込められているが、包装シート58の繊維間隙及び吸収体56の繊維間隙よりも大きく、かつこれら部材間に挟まれているため、表面に沿う方向及び厚み方向のいずれにも殆ど移動できない。しかも、温度変化物質の成形片40は、多孔質構造であるため、温度変化物質粒子の単なる溶融固化物と比べて表面積、すなわち水分との接触面積が格段に大きいため、温度変化効率が殆ど低下しないか又は低下するとしても少なくて済む。よって、温度変化物質の移動が抑制されるとともに、温度変化物質と水分との接触効率も低下し難いため、所期の温度変化が発生し易い。
【0091】
温度変化物質40を挟む表面側部材及び裏面側部材は、図1〜図9に示す例のように、包装シート58における吸収体56の表面側に位置する部分及び吸収体56とするほか、図10(a)に示すように、表面側部材は表面シート30とし、裏面側部材は一般的な吸収性物品において表面シート30の裏面側に隣接配置されている液透過性セカンドシート44とすることができる。また、図示しないが、表面側部材は吸収体とし、裏面側部材は包装シート58における吸収体56の裏面側に位置する部分としたり、表面側部材は包装シート58における吸収体56の裏面側に位置する部分とし、裏面側部材は液不透過性シート11としたり、二層構造吸収体のように、表面側吸収体とその裏面側に重なる裏面側吸収体とを有する場合に、表面側部材は表面側吸収体とし、裏面側部材は裏面側吸収体としたりすることもできる。
【0092】
これらの形態は、通常おむつに備えられている部材を利用するものであるが、表面側部材及び裏面側部材の少なくとも一方として専用の部材を備えることもできる。図10(b)及び(c)は、この例を示しており、表面側部材及び裏面側部材としてそれぞれ専用の第1及び第2の液透過性シート45,46を設けているものである。この場合、図10(b)に示すように、第1及び第2の液透過性シート45,46を表面シート30と包装シート58との間に配置するのが好ましいが、図10(c)に示すように、包装シート58における吸収体56の表面側に位置する部分と、吸収体56の表面との間に配置しても良い。また、図11(a)に示すように、表面側部材は、一枚の液透過性シート47を折り畳んで形成された層構造物における表面側層47aとし、裏面側部材は表面側層47aの裏面側に隣接配置された裏面側層47bとすることもできる。折り畳み回数は特に限定されず、図11(a)に示すように二つ折りとするほか、図11(b)に示すように三つ折り(断面がZ字状となる折り方)とすることもできる。後者の場合、シート47の中間層47bは、その上側の温度変化物質の成形片40に対しては裏面側部材となり、その下側の温度変化物質の成形片40に対しては表面側部材となる。液透過性シート45〜47としては、前述した表面シート30やセカンドシート44と同様の素材や、包装シート58と同様の素材を用いることができる。また、シートの端部を折り返し、前述の包装シート58のように重なり部を有するように包むと、端部からの温度変化物質40の零れ落ちを防止することができるため、好ましい。
【0093】
温度変化物質の成形片40は、温度変化物質のみから形成されてもよいが、50%以下程度であればそれ以外の物質を混合して成形されたものであってもよい。例えば、高吸収性ポリマー粒子を混合すると、温度変化物質により冷却または加熱された尿が高吸収性ポリマーによりその場で吸収されて物品表面側に止まるため、装着者に温度変化を効果的に伝達することができる。冷却または加熱された尿を保水させるために、パルプや親水性合成繊維等の親水性繊維を混合してもよい。
【0094】
温度変化物質の成形片40を設ける範囲(おむつ表面方向に沿う範囲)は、水分と接触する部分であれば特に限定されないが、トイレトレーニング用おむつの場合、吸収体56の幅方向中央部のうち、少なくとも股間部から腹側部分にわたる部分に温度変化物質の成形片40が配置されているのが好ましい。図1〜図9に示す形態ではこの部分の周囲に温度変化物質の成形片40を配置していないが、図示しないが吸収体56の前後方向全体にわたり温度変化物質の成形片40を配置したり、吸収体56の幅方向全体にわたり温度変化物質の成形片40を配置したりすることも可能である。
【0095】
特にトイレトレーニング用おむつの場合、吸収体56が少なくとも腹側部分のウエスト側端縁から股間側に0.15〜0.80L(Lは製品長さ)の範囲にわたり設けられている場合、温度変化物質の成形片40は少なくとも腹側部分のウエスト側端縁から股間側に0.25〜0.45Lの範囲40Lにわたり設けられているのが好ましい。また、男の子用の場合、温度変化物質の成形片40を有する部分は前後方向において前側に偏在することが好ましい。特に、本実施形態のようなパンツ型使い捨ておむつの場合、腹側外装シート12Fの左右両側部のサイドシール部(溶着部12A)の下端部を結ぶ線と内装体200が交差する部分を含むように配置されていると、排尿口に近く、かつ弾性伸縮部材の作用によって温度変化物質の成形片40を有する部分が常に体に押し当てられた状態となるため、どのような姿勢においても着用者に温度変化を感知させることができ、好ましい。女の子用の場合は、温度変化物質の成形片40を有する部分は前後方向中央部分を含むように配置されていると、排尿口に近いため、好ましい。従って、男女兼用のパンツ型使い捨ておむつとする場合は、腹側外装シート12Fの左右両側部のサイドシール部(溶着部12A)の下端部を結ぶ線と内装体200が交差する部分及び前後方向中央部分を含むように、温度変化物質の成形片40を有する部分を配置するとよい。このような寸法を採用することによって、男女の排尿位置に温度変化物質の成形片40を有する部分が位置するようになる。つまり、排尿時に尿が温度変化物質の成形片40に確実に当たるようになる。
【0096】
表面側部材及び裏面側部材は、この温度変化物質の成形片40を設ける範囲以上であれば、その寸法は特に限定されないが、温度変化物質の成形片40を設ける範囲よりも大きい(周縁部全体が温度変化物質の成形片40を有する部分の周縁から食み出す)と、温度変化物質が表面側部材及び裏面側部材間から零れ落ち難くなるため、好ましい。
【0097】
本発明で用いる温度変化物質40は、尿、汗等の水分に接触して溶解熱、水和熱、又は反応熱等により熱を吸収又は放出し、温度変化をもたらす(冷却又は加熱する)ものであり、加熱により融着されるものである。水分への溶解により熱を吸収する温度変化物質の例としては、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等の含水塩、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム等の無水塩、尿素、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール等を挙げることができる。水分への溶解により熱を放出する温度変化物質の例としては、塩化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化アルミニウムカリウム等を挙げることができる。本発明では、これらのうち、吸熱作用を発現するソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール又は尿素などの有機化合物を使用することが好ましい。特にソルビトールやキシリトールは、溶解性に極めて優れ、化学的安定性が良く、人体に悪影響を及ぼさないため、好適に使用できる。水分への溶解により吸熱又は放熱する物質を用いる場合、水分への溶解度が低いと、十分な温度変化を発揮できないため、温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上、特に50g以上であるものが好ましい。また、20cal/g以上の温度変化を生じるものが好ましく、35cal/g以上の温度変化を生じるものがより好ましい。
【0098】
水分との反応により熱を吸収又は放出する物質の例としては、オルトエステル類、又はメントンを炭素量が1ないし8のアルコール或いは炭素量が2ないし8のポリオールと反応させて得られるメントンケタルのようなケタル類、及びそれらの構造的又は光学的異性体を挙げることができる。また、水分により膨潤することにより熱を吸収又は放出する温度変化物質の例としては、軽く架橋結合し部分的に中和されたポリアクリル酸を挙げることができる。
【0099】
温度変換物質は粒子状のものをそのまま用いるのではなく、圧縮成形して得られる成形片40としておむつ内に配置される。一般に、粒子を圧縮して粒子間の空隙をうめていくと、圧縮力が高くなり粒子間で支持されているブリッジが崩され空隙が埋められ粒子自身が変形していき、さらには粒子の一部が破壊され新しく形成された微粒子が空隙を埋め、粒子の可塑変形により粒子間が強く密着するとともに、粒子の接点では粒子間の滑り摩擦に伴う発熱によって表面が溶融して粒子間が結合し、圧縮力をとり除いても形状がくずれない塊となる。本発明における温度変化物質の圧縮成形片40はこのような原理を利用して形成されるものである。なお、粒子が成形し難い材質の場合には粘結剤(結合剤)を用いることができる。ソルビトールやキシリトール等の糖アルコールは、粒子が成形しやすいという点でも本発明に好適である。
【0100】
温度変化物質の使用量は適宜定めることができるが、温度変化物質として糖アルコールを用いる場合、物品における総含有量は4〜20g程度、特にトイレトレーニング用おむつの場合は8〜12g程度であるのが好ましい。また、温度変化物質の成形片40を有する部分における温度変化物質の目付け(単位面積当たりの含有量)は、200〜1200g/m2程度、特にトイレトレーニング用おむつの場合は400〜600g/m2程度であるのが好ましい。
【0101】
成形片40の圧縮の程度は原料粒子の粒径や密度等に応じて適宜定めることができる。原料粒子としては、顆粒、表面凹凸の多い形状の粒子、表面や内部に微細な孔を有する粒子等のように嵩密度の低い多孔質粒子が好適である。原料粒子の嵩密度の程度は適宜定めれば良いが、真密度の50%以下である(見かけの体積に対して50%以上の空隙(空間)を有する)のが好ましい。例えば、ソルビトールの場合、真密度は1.50g/cm3なので、好ましい嵩密度は0.75g/cm3以下であり、0.50〜0.70g/cm3がより好ましく、0.55〜0.65g/cm3が特に好ましい。また、粒子径が大きいと、見かけの嵩密度は小さいが、表面積は大きくないため、粒子状の温度変化物質40を用いる場合、その平均粒径(JIS K 1474−2007 メジアン径)が200〜600μmであることが好ましい。成形片40の嵩密度はこれらよりも高ければ良く、具体的には真密度の50〜80%程度、特に55〜70%程度まで圧縮したものが好ましい。平均粒径が200〜600μm且つ嵩密度が0.50〜0.70g/cm3程度の糖アルコール粒子を用いる場合、成形片40の嵩密度が0.75〜1.10g/cm3程度、特に0.80〜1.00g/cm3程度となるように圧縮成形するのが好ましい。
【0102】
成形片40の寸法は適宜定めることができるが、細か過ぎると移動し易くなり、大き過ぎると異物感をもたらすため、厚みが0.5〜2.0mm且つ面積が50〜1000mm2の扁平片であるのが好ましい。また、圧縮成形の過程で残留する粒子状分の重量や、形成された成形片40がその後のおむつ製造工程における折り曲げ等により分割化あるいは細分化して物品内に存在する面積50mm2以下の細片の重量は、前述の温度変化物質の全使用量に対して50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。(すなわち、全温度変化物質の重量に対する、厚みが0.5〜2.0mm且つ面積が50〜1000mm2である成形片40の重量比は、50%以上、特に70%以上であることが好ましい。)
【0103】
他方、このような成形片40を有する吸収性物品は、例えば打錠(タブレッテイング)等の圧縮成形により温度変化物質の成形片40を予め製造しておき、これを物品の組み立てに際して適宜の段階で部材間に挟んでも良いが、吸収性物品の製造設備としては、タブレットのようなある程度大きさのあるものを混入させる技術が汎用されていないため、製造設備の新規開発が必要となる等の問題がある。このため、本発明では、既存技術の利用又は応用により温度変化物質の成形片を所定の部材間に混入させる技術についても提案する。すなわち、本発明に係る製造方法は、図12に示すように、粒子状の温度変化物質40pを所定の表面側部材48及び裏面側部材49間に挟んだ状態で、一対のロール340,341で圧縮することにより、粒子状の温度変化物質40pの一部又は全部を圧縮し、成形片40として形成する工程を含むものである。これらの製造形態からも判るように、本発明においては、製品内に含まれる全ての温度変化物質が成形片40である場合の他、一部の温度変化物質40pが粒子状のまま、又は一旦成形された後に崩れる等により粒子状40pとなっている形態も含まれる。
【0104】
圧縮成形に用いる一対のロール340,341としては、両ロール340,341ともに表面に凹凸の無い平滑ロールを用いることも、またいずれか一方又は両方の表面に所定パターンの凹凸を有するエンボスロールを用いることもできる。前者の場合でも粒子状の温度変化物質全体40pが一度に圧縮されないため、全体が一つの大きな成形片となるのではなく、図12(b)に示すように、全体に多数のひび割れが入り、多数の小片40が形成される。後者の場合は、エンボスパターンにより規則的な形状の多数の小片40を形成することができる。また、面積50〜1000mm2の小片が50%以上となっていることが好ましい。
【0105】
図11(a)に示すように、表面側部材は表面シート30とし、裏面側部材は一般的な吸収性物品において表面シート30の裏面側に隣接配置されている液透過性セカンドシート44とする場合や、図11(b)及び(c)に示すように、表面側部材及び裏面側部材としてそれぞれ専用の第1及び第2の液透過性シート45,46を設ける場合等においては、これらのシートを他の部材に組み付ける前に、前述の圧縮成形工程を行うことにより容易に製品を製造することができる。なお、温度変化物質の粒子状物をシート間に配置して圧縮する場合、配置から圧縮の間に粒子状物がシート間を移動して偏りや零れが生じることがある。このような問題はシートを表面毛羽立ちの多いものや嵩高なものとすることによりある程度解決できるが、温度変化物質の粒子状物にパルプや合成繊維等の繊維状物を一定量混合することで、圧縮前の粒子状物の移動を防止してもよい。この場合の繊維状物の混合比率は50%以下が適当であり、10〜30%程度が好ましい。ソルビトールやキシリトール等の糖アルコールは、粒子が成形しやすいため、圧縮成形されにくい材料を混合しても成形することができ、温度変化物質の配合量が50%以上であれば、30%程度までの高吸収性ポリマー粒子を混合することもできる。
【0106】
また、図1〜図9に示す例のように、表面側部材及び裏面側部材のいずれか一方として吸収体を用いる場合、特に同図の例のように表面側部材が包装シート58であり裏面側部材が吸収体56である場合には、吸収体56の表面若しくは裏面、又は2層構造の吸収体の間に粒子状の温度変化物質を散布し、次いでこれら吸収体56及び温度変化物質を包装シート58により包んで包装吸収体を形成し、しかる後、この包装吸収体を一対のロールで圧縮することにより容易に製品を製造することができる。前述したとおり、吸収性物品の一般的な製造方法では、包装シート58で包装した後の吸収体56に対して包装シート58の固定等を目的として一対のロールにより加圧を行うため、その加圧を利用して圧縮成形することにより加圧条件の変更のみでこのような製造手法を採用することができ、既存設備への適用が極めて容易である。また、粒子状の温度変化物質の散布方法や吸収体56の形成方法を調節することにより、成形片40中に高吸収性ポリマーや繊維状物を適宜混合することも容易である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、パンツ型やテープ式、あるいはパッド型の吸収性物品等、広範な用途に適用できるものである。特に、トレーニング用の使い捨ておむつ以外においても、排泄物の冷却による細菌繁殖の抑制や臭気抑制、冷え防止等の目的で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】パンツ型使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図2】パンツ型使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図3】図1の6−6断面図である。
【図4】図1の7−7断面図である。
【図5】図1の8−8断面図である。
【図6】パンツ型使い捨ておむつの要部を寸法とともに示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図7】パンツ型使い捨ておむつの要部を寸法とともに示す、断面図である。
【図8】製品状態の正面図である。
【図9】製品状態の背面図である。
【図10】他の形態の要部断面図である。
【図11】他の形態の要部平面図である。
【図12】(a)製造工程の概略図、(b)成形片の概略平面図である。
【符号の説明】
【0109】
100…胴回り部、11…液不透過性シート、12F…腹側外装シート、12B…背側外装シート、200…内装体、30…表面シート、40…温度変化物質の成形片、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に、吸収体が介在されるとともに、
前記液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品において、
前記温度変化物質として、粒子状の温度変化物質を圧縮成形して得られる成形片が、その表面側及び裏面側にそれぞれ位置する表面側部材及び裏面側部材間に挟まれた状態で内蔵されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記成形片は、平均粒径が200〜600μm且つ嵩密度が0.50〜0.70g/cm3の糖アルコール粒子を嵩密度が0.80〜1.10g/cm3となるように圧縮成形して得られる多孔質片である、請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記成形片を有する部分における前記温度変化物質の目付けが200〜1200g/m2であるとともに、前記温度変化物質の成形片は厚みが0.5〜2.0mm且つ面積が50〜1000mm2で物品内に複数あるいは多数存在する扁平片である、請求項1または2記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記表面側部材が、前記表面シートと前記吸収体との間に配置された第1の液透過性シートであり、前記裏面側部材が前記第1の液透過性シートと前記吸収体との間に配置された第2の液透過性シートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記表面側部材が前記表面シートであり、前記裏面側部材が前記表面シートの裏面側に隣接配置された液透過性セカンドシートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収体が包装シートにより包まれており、前記表面側部材が前記包装シートにおける前記吸収体の表面側に位置する部分であり、前記裏面側部材が前記吸収体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収体として、表面側吸収体とその裏面側に重なる裏面側吸収体とを有しており、前記表面側部材が前記表面側吸収体であり、前記裏面側部材が前記裏面側吸収体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項8】
前記表面側部材が、一枚のシートを折り畳んで形成された層構造物における表面側層であり、前記裏面側部材が前記表面側層の裏面側に隣接配置された裏面側層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項9】
前記成形片が、粒子状の温度変化物質に高吸収性ポリマーを混合して圧縮成形した成形片である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項10】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
粒子状の温度変化物質を所定の表面側部材及び裏面側部材間に挟んだ状態で、一対のロールで圧縮することにより、前記粒子状の温度変化物質の圧縮成形片を形成する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。
【請求項11】
液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に吸収体が介在されるとともに、液透過性表面シートと液不透過性シートとの間に、水分との接触により温度変化をもたらす温度変化物質が含有された、使い捨て吸収性物品の製造方法において、
前記吸収体の表面に粒子状の温度変化物質を散布し、次いでこれら吸収体及び温度変化物質を包装シートにより包んで包装吸収体を形成し、しかる後、この包装吸収体を一対のロールで圧縮することにより、前記粒子状の温度変化物質の圧縮成形片を形成する工程を含む、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−285343(P2009−285343A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143573(P2008−143573)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】