説明

使い捨て吸収性物品

【課題】水様便の様な粘度の高い排泄物を素早く吸収する使い捨て吸収性物品を提供する。
【解決手段】上記課題は、不織布よりなる表面シート30の肌当接側面を凹凸形状とし、表面シート30と多数の開孔を有する不織布よりなる中間シート40とを表面シート30凹部に相当する位置で接合させることにより解決される。中間シート40の平均繊維密度を表面シート30より高くし、かつ中間シート40を表面シート30より吸水度の高いものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、使い捨て吸収パッド等の、使い捨て吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつや使い捨て吸収パッドの表面シートには、尿等の排泄物が肌に再付着することによる不快感やかぶれ等を防止する特性を有することが要求される。このような表面シートとしては、例えば、特許文献1,2に示すような肌側の面に凹凸を付し、肌の接触面積を減じたものが挙げられる。
特許文献1には、肌側の面に凹凸を付した表面シートの水平方向の空気透過量を規定することで、当該表面シートの通気性を確保する構成が開示されている。また、特許文献2には、表面シート上の凸部と凹部の厚みと繊維密度を規定し、凸部より凹部への水分の移動が素早く行われるような構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3587831号公報
【特許文献2】特許第3611838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表面シートに凹凸を設けるのみでは、特に水様便の様な粘度の高い排泄物については凹部に溜まるのみであり、効率よく吸収体に移行できない、という問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、表面シートに付着した粘度の高い排泄物を素早く吸収体に移行する使い捨て吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
液透過性の表面シートと液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、前記表面シートと吸収体との間に介在された中間シートと、を備えた使い捨て吸収性物品において、
前記表面シートは、肌当接側面に多数の凹部が間隔を空けて配列形成されることにより、凹部の底部間の部分が相対的に隆起した凸部とされ、かつ凹部の底部に近づくにつれて繊維密度が高くなる不織布からなり、
前記中間シートは、表裏に貫通する多数の開孔が間隔を空けて配列形成された不織布からなり、
前記表面シートの各凸部は、前記中間シートの少なくとも一つの開孔と少なくとも一部が重なるように配置されており、
前記表面シートにおける少なくとも凹部の底部と前記中間シートとが接合されることによりシート接合部が形成されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【0006】
(作用効果)
本発明の使い捨て吸収性物品は、水様便等の粘度の高い排泄物についても素早く吸収できることが、実験により判明している。その理由は定かではないが、概ね次のような原理で吸収がなされる結果であると推測される。すなわち、吸収初期においては、表面シート上に多量の排泄物が存在する又は次々に供給されるため、表面シートの凹部も凸部も関係なく、表面シート全体を通じて排泄物が順次透過していくことになる。このような状態で、中間シートの繊維間隙を通してのみ排泄物を透過するのでは、中間シートがボトルネックとなって吸収体側への排泄物の移動を速やかに行うことはできない。これに対して、上述のように中間シートに多数の開孔を設け、その少なくとも一つと少なくとも一部が重なるように表面シートの各凸部を配置すると、表面シートの凸部を介して多量かつ次々に透過してくる排泄物を開孔を通じて速やかに吸収体側へ移動することができる。
【0007】
また、表面シート上への排泄が終了し、吸収がある程度まで進行すると、表面シート側から吸収体側への排泄物の移動は、重力による高所から低所への移動(例えば凹部内における凹部の底部への移動)を基本としつつ、不織布内の毛細管現象、不織布表面から不織布表面へ或いは繊維から繊維への液伝いによる影響も強く出るようになる。このような状態になったときでも、本発明では、表面シート上の排泄物が重力及び毛細管現象により凹部の底部へ移動した後、凹部の底部又はその周囲の裏面から、凹部の底部に接合された中間シートに対して伝い移し、中間シートの開口以外の部分を透過して吸収体側へ速やかに移動することができる。
【0008】
そして、このような吸収過程全体における排泄物の円滑な移動によって、表面シート上の排泄物、特に水様便の様な粘度の高い排泄物についても、素早く吸収体へ移行させることが可能になったものと推測される。
【0009】
本発明において、表面シートの凹部及び凸部は、肌当接側から見た凹凸を示すものとする。本発明における「開孔」とは、シートを厚み方向に貫通する透過孔を示すものとする。また、本発明における「吸水度」とは、JIS L 1907 バイレック法によって測定される吸水度を示すものとする。
【0010】
<請求項2記載の発明>
前記中間シートは、前記表面シートより吸水度が高い不織布である、請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【0011】
(作用効果)
このように中間シートが表面シートより吸水度が高いものであると、排泄物を凹部の底部又はその周囲の裏面から、凹部の底部に接合された中間シートに移り易くなり、吸収後期における吸収速度をより一層向上させることができる。
【0012】
<請求項3記載の発明>
前記表面シートの各凸部の裏側に、前記表面シートと前記中間シートとが離間して形成された空隙を有する、請求項2記載の使い捨て吸収性物品。
【0013】
(作用効果)
表面シートの凸部の裏面が中間シートに接触すると、中間シートの開孔が閉塞され、開口による排泄物の透過が阻害されるおそれがあるが、表面シートの各凸部の裏側に、表面シートと中間シートとを接合しない等により、両シートが離間して形成された空隙を有することにより、中間シートの開口が閉塞され難くなり、前述の吸収初期の排泄物移動形態において、開口による排泄物の透過が阻害され難くなる。また、前述の吸収後期の排泄物移動形態において、表面シートに付着した排泄物が凸部から凹部周辺へ移動し易くなる(排泄物の流れが方向づけられる)という利点もある。
【0014】
<請求項4記載の発明>
前記表面シートは合成繊維の不織布よりなり、前記凹部がドット状のヒートエンボスにより形成された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0015】
(作用効果)
表面シートの凹部をヒートエンボスにより形成すると、凹部の底部に近づくにつれて繊維密度が高くなる構造を容易に形成することができるため好ましい。
【0016】
<請求項5記載の発明>
前記中間シートは合成繊維の不織布よりなるとともに、前記開孔の周縁が融着した繊維によりフィルム状となり、かつ開口の周縁に近づくにつれて繊維密度が高くなっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【0017】
(作用効果)
このような構造は、中間シートの不織布基材に、加熱した穿孔ピン等による穿孔加工を行うことにより容易に形成することができる。
【0018】
<請求項6記載の発明>
前記表面シートの不織布は、原料繊維の繊度が1.5〜3.3dtex、厚みが0.2〜0.8mm、目付けが20〜35g/m2のエアスルー不織布であり、
前記中間シートの不織布は、原料繊維の繊度が1.7〜5.0dtex、厚みが0.1〜0.5mm、目付けが15〜35g/m2のエアスルー不織布である、
請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。
【0019】
(作用効果)
本発明の表面シート及び中間シートの不織布としては、それぞれこのようなエアスルー不織布が好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、肌当接面に凹凸を設けた表面シートを有する使い捨て吸収性物品において、表面シートに付着した排泄物、特に水様便の様な粘度の高い排泄物について、素早く吸収体へ移行させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図2】テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図3】図1の6−6線断面図である。
【図4】図1の7−7線断面図である。
【図5】図1の8−8線断面図である。
【図6】図1の9−9線断面図である。
【図7】表面シート30と中間シート40の一例を示す表面拡大図である。
【図8】図7の10−10線断面図である。
【図9】接合された表面シート30と中間シート40の断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、テープタイプ使い捨ておむつの例を引いて説明するが、本発明はパンツタイプ等の他のタイプの使い捨ておむつにも適用できることはいうまでもない。なお、以下の説明において、「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側部分両側部と背側部分量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に幅方向と直交する方向を意味する。
【0023】
図1〜図6はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。図3及び図4は、図1における6−6線断面及び7−7線断面をそれぞれ示した図であり、図5及び図6は、図1における8−8線断面及び9−9線断面をそれぞれ示した図である。このテープタイプ使い捨ておむつは、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、且つ身体側表面を形成する透液性表面シートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収要素50が介在する部分である吸収性本体部10と、この吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分である腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEとを有するものである。
【0024】
また、このテープタイプ使い捨ておむつは、腹側Fの上縁側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の腹側サイドフラップ部FF,FFと、背側Bの上縁側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の背側サイドフラップ部BF,BFとを備えている。また、背側サイドフラップ部BF,BFには、係止部材としてのファスニングテープ13がそれぞれ設けられている。
【0025】
より詳細には、吸収性本体部10ならびに背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、および表面シート30がこの順に積層されている。表面シート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、表面シート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、表面シート30よりも若干幅広に形成されている。
【0026】
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60,60が設けられており、この側部バリヤーカフス60,60を形成するバリヤーシート62,62が、背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの内面を含め、吸収性本体部10の幅方向外側の全体にわたり延在されている。
【0027】
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する。
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
【0028】
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
【0029】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0030】
(表面シート)
表面シート30としては、不織布が使用される。無孔の不織布を使用することがより好ましい。不織布の原料繊維は特に限定されないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等のヒートエンボスが可能な合成繊維を使用することが好ましい。さらに、不織布の加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等をいずれも使用することができるが、嵩高性を有するエアスルー法の使用が特に好ましい。
【0031】
表面シート30の肌当接面の拡大図を図7に示す。表面シート30の肌当接面側は、凹凸形状を有するものとする。表面シート30は、その肌当接側面全体が凹凸形状となっていても、着用者の排泄口当接部分(特に肛門当接部分)のみが凹凸形状となっていてもよい。表面シートの不織布に凹凸形状を設ける方法としては、不織布形成時のメッシュパターンにより形成する方法や、形成済みの不織布にヒートエンボスにより凹部81を付与する方法等の公知の方法をいずれも使用できるが、凹部において凸部より繊維密度が高くなる必要があるため、圧縮を伴う方法、特にヒートエンボスにより表面シート上に凹凸を設けることが望ましい。特にヒートエンボスによる場合、凹部81において表面シートの柔軟性が損なわれやすいため、凹部81は、その面積が凸部(凹部81以外の部分)の面積よりも小さくなるように形成されることが好ましい。ヒートエンボスの形状は特に限定されないが、図示例のようにドット状エンボスを好適に使用することができる。ドット状エンボスによりを凹部81を形成する場合、凹部81の径81rは0.5〜2.0mm、特に1.0〜1.5mmであることが好ましい。また、凹部81の間隔81dは0.5〜4.0mm、特に1.0〜3.0mmであることが好ましい。
【0032】
表面シート30を構成する不織布は、目付けが20〜35g/m2のものを使用することが好ましい。目付けが20g/m2より低いとヒートエンボスによる凹凸部分の差異をつけづらく、35g/m2より高いと凸部の厚みが増し、凸部において保液しやすくなる。表面シート30の厚さは、0.2〜0.8mm、特に0.3〜0.6mmとすることが好ましい。また、不織布を構成する繊維の繊維長は35〜60mm(より好適には40〜55mm)、繊度は1.5〜3.3dtex(より好適には2.2〜2.8dtex)とすることが好ましい。
【0033】
表面シート30を構成する不織布のクラーク剛度(JIS P 8143(1996))は60〜100、特に70〜85とすることが好ましい。剛度が100より高いと、肌当接面の柔軟性が損なわれ、装着感が劣ってしまう。一方、60より低いと凹凸形状が保持されにくく、潰れやすくなってしまう。 表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0034】
(中間シート)
表面シート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、表面シート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートともいわれる)40を設ける。
中間シート40は表面シート30より吸水度(JIS L 1907 バイレック法)の高い不織布で構成される。中間シート40の不織布は、表面シート30の不織布より親水性の繊維素材のものを使用してもよく、また、表面シート30と同様の素材に親水性化剤を付与したものを使用してもよいが、後に穿孔加工を行う場合は、合成繊維を使用することが好ましい。中間シート40を構成する不織布不織布の加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等をいずれも使用することができるが、嵩高性を有するエアスルー法の使用が特に好ましい。
【0035】
中間シート40の表面拡大図を図7に示す。中間シート40は、多数の開孔92を有する。開孔は不織布形成時のメッシュパターンにより設けてもよいが、加熱した穿孔ピンによる穿孔加工(例えば、特開平6−238597号公報の穿孔装置による加工)により設けることが好ましい。穿孔ピンによる穿孔加工を行うことにより、開孔周縁の繊維が融解してフィルム状となり、その周囲の繊維密度が他の部分より密となるため、中間シート40に達した排泄物は毛細管現象により開孔周縁部に移行しやすい。
【0036】
開孔82は図示例のように中間シート40の全体に配してもよく、また、着用者の排泄口当接部分(特に肛門当接部分)にのみ配してもよい。開孔82の径82rは0.1〜1.0mm、特に0.4〜0.8mmであることが好ましい。また、開孔82の間隔82dは、1.0〜5.0mm(より好適には1.5〜3.5mm)、かつ、表面シート30の凹部81の間隔81dより小さいことが好ましい。開孔82の配設された部位においては、凹部81より開孔82が多く存在することが好ましい。特に開孔82が穿孔ピンにより形成されている場合、開孔82が多く配されることで、開孔周縁付近の繊維が密な部分が増えるため、より表面シート40から中間シート30への排泄物の移行がしやすいと考えられる。また、粘度の高い排泄物の吸収体への移行をより迅速にすることができる。
【0037】
中間シート40に使用する不織布としては、表面シート30の不織布より繊維密度の高いものを使用する。中間シート40の目付けは15〜35g/m2、特に18〜25g/m2とすることが好ましい。中間シート40の厚さは、0.1〜0.5mm、特に0.1〜0.4mmとすることが好ましい。また、不織布を構成する繊維の繊維長は35〜60mm(より好適には40〜55mm)、繊度は1.7〜5.0dtex(より好適には1.7〜2.8dtex)とすることが好ましい。
【0038】
中間シート40を構成する不織布のクラーク剛度(JIS P 8143(1996))は30〜80、特に30〜60とし、表面シート30より低くすることが好ましい。剛度が80より高いと、表面シート30との部分的な接合により生じる凹凸が大きくなり、吸収体56(または包装シート58)との接触面積が小さくなってしまうため、吸収効率が減少する可能性がある。また、30より低いと中間シートに要求される厚み感が損なわれてしまう。
【0039】
図示の形態の中間シート40は表面シート30と同じ幅を有しているが、吸収要素50の幅より短く中央のみに配置されていてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0040】
(表面シートと中間シートの接合)
表面シート30と中間シート40の接合状態を示す断面拡大図を図8に示す。
中間シート40は表面シート30の凹部81の部位において接合される。接合方法としては、ホットメルト接着剤等による接着、スパンレース、ヒートエンボス、超音波溶着等の公知の方法を用いることができるが、目的部位のみに接合しやすい、という利点を有するヒートエンボスを好適に用いることができる。ヒートエンボスを接合手段として用いる場合は、中間シート40の素材は表面シート30と同程度の融点をもつものを使用することが好ましい。全ての凹部において表面シートと中間シートが接合されていることが好ましいが、接合されていない部分を有していてもよい。
【0041】
一方で、表面シート30の凸部83に相当する部分は接合されず、表面シート30と中間シート40との間に空隙84が設けられるのが望ましい。空隙84を設ける方法は、下記のとおりである。表面シート30と中間シート40は、ヒートエンボスによって表面シート30の凹部81の部分のみ中間シート40に接合される。接合の際、中間シート40に、製品幅方向と製品長さ方向のいずれか、または両方に表面シート30よりも強い引張力を加える。接合後、引張力から解放された中間シート40が収縮することにより、表面シート30の接合されていない部分(凸部83)が、中間シート40から浮き上がって離間する。
【0042】
ヒートエンボスにより表面シート30と中間シート40が接合される場合、中間シート40の吸収体側面にも凹凸が生じてしまう。中間シート40と吸収体56(または包装シート58)との接触面積をできるだけ大きくすることが好ましいため、ヒートエンボス付与時には、中間シート40を平滑な支持体に固定する等、極力中間シート40の吸収体側面に凹凸を生じない措置を講じることが好ましい。
【0043】
このような構造とすることで、表面シート30の凸部83に到達した排泄物が凹部81周辺へ移動しやすくなるとともに、表面シート30の凹凸が大きくなり肌接触面積を減じることができる、表面シートのクッション性を増すことができる、等の利点があると考えられる。
【0044】
(側部バリヤーカフス)
表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60、60を設けるのは好ましい。
【0045】
この側部バリヤーカフス60は、実質的に幅方向に連続するバリヤーシート62と、このバリヤーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このバリヤーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
【0046】
バリヤーシート62の内面は、表面シート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、バリヤーシート62と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64がそれぞれ設けられている。
【0047】
脚周りにおいては、側部バリヤーカフス60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部では表面シート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により側部バリヤーカフス60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
【0048】
図示形態と異なり、バリヤーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
【0049】
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
【0050】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
【0051】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
【0052】
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
【0053】
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0054】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0055】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0056】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
【0057】
この包装シート58は、図3に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
【0058】
(ファスニングテープ)
図1及び図2に示されるように、ファスニングテープ13は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるシート基材13Cの基部がおむつに取り付けられており、おむつから突出する先端側部分に腹側に対する係止部として、メカニカルファスナーのフック材13Aが設けられている。フック材13Aはシート基材13Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
【0059】
乳幼児用おむつにおいては、ファスニングテープ13の取り付け部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さX1は10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さY1は、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、ファスニングテープ13の先端側部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ13の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ13の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。フック材13Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック材13Aに代えて、ファスニングテープ13の係止部として粘着材層を設けることもできる。
【0060】
おむつの装着に際しては、背側サイドフラップ部BFを腹側サイドフラップ部FFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ13の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
【0061】
ファスニングテープ13は、背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ13の取り付け部分が重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ13の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側エンドフラップBEの前後方向長さは、ファスニングテープ13の基部の前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
【0062】
(ターゲットシート)
腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット有するターゲットシート74を設けるのが好ましい。ターゲットシート74は、係止部がフック材13Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。 また、腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ13の係止部がフック材13Aの場合には、ターゲットシート74を省略し、フック材13Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲットシート74を外装シート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
【0063】
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部FEであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部BEである。
【0064】
背側エンドフラップBEの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収要素50とが近接しすぎると、吸収要素50の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
【0065】
腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、乳幼児用おむつにおいては、10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
【0066】
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ13間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ13の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。また、図示のように背側伸縮シート70が背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線と重なるように配置されていると、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布や紙を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図5に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
【0067】
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収要素50を横断するように配置すると、吸収要素50のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収要素50と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収要素50の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
【0068】
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)にシート基材71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの前後方向(おむつの幅方向)端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
【0069】
背側伸縮シート70は、図示形態では、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62と外装シート12との間に挟まれ、且つ液不透過性シート11と重なる部位では、液不透過性シート11と吸収要素50との間に挟まれるように設けられているが、液不透過性シート11と外装シート12との間に設けても良いし、外装シート12の外面に設けても良く、また表面シート30と吸収要素50との間に設けてもよい。また、背側伸縮シート70は表面シート30の上に設けても良く、この場合、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62の上に設けても良い。また、外装シート12を複数枚のシート基材を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12のシート基材間に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、パンツ型やテープ式、あるいはパッド型の吸収性物品等、広範な用途に適用できるものである。
【符号の説明】
【0071】
11…液不透過性シート、12…外装シート、30…表面シート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート、70…背側伸縮シート、74…ターゲットシート、81…表面シート凹部、82…中間シート開孔、83…表面シート凸部、84…空隙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、前記表面シートと吸収体との間に介在された中間シートと、を備えた使い捨て吸収性物品において、
前記表面シートは、肌当接側面に多数の凹部が間隔を空けて配列形成されることにより、凹部の底部間の部分が相対的に隆起した凸部とされ、かつ凹部の底部に近づくにつれて繊維密度が高くなる不織布からなり、
前記中間シートは、表裏に貫通する多数の開孔が間隔を空けて配列形成された不織布からなり、
前記表面シートの各凸部は、前記中間シートの少なくとも一つの開孔と少なくとも一部が重なるように配置されており、
前記表面シートにおける少なくとも凹部の底部と前記中間シートとが接合されることによりシート接合部が形成されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記中間シートは、前記表面シートより吸水度が高い不織布である、請求項1記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記表面シートの各凸部の裏側に、前記表面シートと前記中間シートとが離間して形成された空隙を有する、請求項2記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記表面シートは合成繊維の不織布よりなり、前記凹部がドット状のヒートエンボスにより形成された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記中間シートは合成繊維の不織布よりなるとともに、前記開孔の周縁が融着した繊維によりフィルム状となり、かつ開口の周縁に近づくにつれて繊維密度が高くなっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
前記表面シートの不織布は、原料繊維の繊度が1.5〜3.3dtex、厚みが0.2〜0.8mm、目付けが20〜35g/m2のエアスルー不織布であり、
前記中間シートの不織布は、原料繊維の繊度が1.7〜5.0dtex、厚みが0.1〜0.5mm、目付けが15〜35g/m2のエアスルー不織布である、
請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−200443(P2011−200443A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70816(P2010−70816)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】