使い捨て清掃用具
本発明は、特に繊維質タイプの表面たとえばカーペット地または室内装飾材料などのような、平坦ではない、あるいは粗い表面から、屑、特に毛を除去するための、改良された使い捨て清掃用シートに関する。その清掃用シートには、繊維質基材と、その繊維質基材の中に埋め込まれたストランド要素(20)から突出する複数の突起(21、24)とが含まれる。その清掃用シートでは、清掃する表面から屑を突起を使用して取り除き、繊維質基材がその取り除いた屑を取り込むが、その際に、突起(21、24)のためのバッキングが繊維質基材の粒子取り込みを妨害することがない。さらに、それらの突起が繊維質基材の中に堅固に埋め込まれているために、使用時に基材から突起が外れてしまうこともない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの毛や汚れのような屑を取り除くのが困難な、カーペット地、室内装飾材料、または衣服のような柔らかなまたは繊維質の基材を清掃するための、清掃用シートの中に埋め込んだ突起を含む、清掃用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2003/0044569号明細書には、清掃用シート基材に付着させた突起を有するようにした清掃用シートが記載されている。表面、特に汚れが詰まりやすく普通のドライ清掃布などでは除去するのが困難となる隙間を有する、目の粗いまたは繊維質のタイプの表面から、汚れおよびその他の屑をその突起が取り除くことによって、清掃機能が向上される。しかしながら、その拭い布では、通常はフィルムタイプのバッキングを伴う清掃用具または布の表面にそれらの突起が付けられているという点が問題なのである。そのことが、清掃に用いるために使用可能な清掃用シートの表面積を実質的に減らしている。さらに、それらの突起は簡単に外れて、落ちてしまう可能性がある。
【0003】
米国特許第4,703,538号明細書(シルバーストローン(Silverstrone))には、敷物、床、布張り椅子およびその他の表面から、汚れ、糸屑などをつまみ上げるのに適した清掃道具が開示されている。このシルバーストローンの清掃道具には、フック材料からできている外部表面を有するローラーが含まれる。そのローラーは、汚れ、糸屑などをつまみ上げて清掃するための表面上を転がし、次いで、汚れがそのフック材料に蓄積されてきたら、手で取り除かねばならない。
【0004】
カーペット地から動物の毛を除去するための道具は、米国特許第4,042,995号明細書(バロン(Varon))にも開示されている。その道具では、ハンドルにとりつけたヘッドの上にポリエチレンの剛毛を有している。その剛毛の密度は、後縁のところが他の部分よりも高くなっており、その剛毛はのこぎりの刃のように配列されて、エッジパターンを形成している。その道具を引いてカーペット地を通過させると、それらの剛毛が動物の毛をつまみ上げる。それらの剛毛は、ほうきのハンドルのヘッド部分に恒久的に取り付けられていて、この場合もまた、手で掃除をしてやる必要がある。
【0005】
布地から毛玉や糸屑を除去するための装置が米国特許第5,036,561号明細書(カラフート(Calafut))に開示されている。その装置にはたとえばフォームシートのような支持基材が含まれ、その一つの面にはグリットサイズが280〜600の実質的に均質な粒子の研削コーティングを有していて布地から毛玉を除去し、もう一つの面には傾斜させたパイルなどの布地を有していて、布地から糸屑を取り除く。この装置は、ポケットや財布の中に収まるような大きさとなっている。装置の研磨側を布地にあててこすることにより、毛玉を剥がして取り除くことができる。そのブラシの糸屑除去用のパイル布地の側は、ある方向に動かせば糸屑を除去でき、反対側に動かせばその糸屑を取り外すことができるように設計されている。
【0006】
糸屑や屑を除去するための粘着剤ローラーについては、米国特許第6,014,788号明細書;米国特許第5,878,034号明細書、および米国特許出願公開第2002/0023666A1号明細書に記載があり、カーペット、室内装飾材料、その他のタイプの布地で使用できることが知られている。それらのローラーの粘着表面は、屑によってすぐに覆われてしまい、取り替えなければならない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特に繊維質タイプの表面たとえばカーペット地または室内装飾材料などのような、平坦ではない、あるいは粗い表面から、屑、特に毛および汚れを除去するための、使い捨て清掃用シートに関する。その清掃用シートには、繊維質基材と、その繊維質基材の中に埋め込まれたストランド要素から突出する複数の突起とが含まれる。
【0008】
本発明の清掃用シートでは、突起を使用して清掃する表面から屑を取り除き、繊維質基材がその取り除いた屑を取り込むが、その際に、突起のためのバッキングが繊維質基材の粒子取り込みを妨害することがない。さらに、それらの突起が繊維質基材の中に堅固に埋め込まれているために、使用時に基材から突起が外れてしまうこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付の図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、ここで、複数の図面における類似の部材には類似の番号を付与している。
【0010】
本発明の使い捨て清掃用シートには一般に、繊維質基材と、その繊維質基材の中に埋め込まれた複数の突起(たとえばフック)とが含まれる。その清掃用シートは、個別のシートとして使用してもよいし、あるいはバッキング付きで使用して、たとえば、清掃用具に取り外し可能な状態で取付け、使用後には廃棄してもよい。
【0011】
本発明の使い捨て清掃用シートの実施態様は、図5および図6に示されている。
【0012】
本発明の清掃用シートにおいて使用される突起は、ネット構造またはストランド要素の形態とすることが可能な、1種または複数のバッキング要素の上に設けられた突起を用いて形成される。たとえば個別のまたは連結されたストランドまたは1種または複数のネット構造の形態にある、それらの突起含有バッキング要素を、次いで繊維ウェブの中に埋め込んで、清掃用シートを形成させる。それらの突起は、結合されてネット構造を形成し、そのネットの形態の中で互いに角度を持って配列させた、ストランド要素の上にあるのが好ましい。それらのストランドは、個別であっても、ストランド要素に部分的に結合されていても、あるいは堅固に結合されてネットの形態をとっていてもよいが、一般に第一の外側表面および第二の外側表面、ならびに二つの側面を有している。それらのストランドは、第一または第二の外側表面の内の少なくとも一つの面に複数の突起を有している。突起含有ストランドは、繊維ウェブ、たとえば、不織ウェブの中に、好ましくは不織ウェブの繊維をストランドの周りに水流交絡させることによって埋め込まれるが、ここで、接着剤または点接着(たとえば、加熱接着、超音波接着など)のような補助的な取付手段を用いないのが好ましい。
【0013】
本発明の清掃用シートにおいて有用な不織布としては、合成繊維、天然繊維、またはハイブリッド繊維から製造した広く各種のタイプの不織布などが挙げられる。不織布基材は、各種の方法によって製造されるが、そのような方法としては、水流交絡法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、カーディング法などがあるが、これらに限定される訳ではない。不織布基材は、スパンボンド基材、メルトブローン基材、水流交絡基材、ニードルパンチ基材、エアレイド基材、カード化基材、およびそれらの組合せからなる群より選択するのが好ましい。繊維質基材はさらに2層以上のラミネートであって、その1層が好適な不織布基材であるようなものであってもよい。
【0014】
本発明の清掃用シートの好適な不織布基材を形成させるのに適した繊維質材料としては、たとえば天然セルロース系材料、さらには合成材料、たとえばポリオレフィン(たとえば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、ポリエステル、ポリアミド、合成セルロース系材料(たとえば、レイヨン(RAYON,登録商標))、ならびにそれらのブレンド物などを挙げることができる。たとえば、綿またはそれのブレンド物および各種のセルロース源から誘導されるような天然繊維もまた有用である。本発明の清掃用シートの基材を製造するための出発物質として好適なものとしては、合成材料であって、それらは、カード化、スパンボンド、メルトブローン、エアレイドの形態、またはその他の構造であってもよい。特に好適なものは、ポリエステル、特にカード化ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、およびポリエチレン繊維である。清掃用シートが表面たとえばカーペット、室内装飾材料、その他の布地の表面をこすったときの、基材の摩耗および引裂きに対する抵抗性が、基材および繊維組成物の形態を選択するにあたっては、重要な因子となりうる。さらに繊維の疎水性または親水性の程度を最適化するが、それは、シートの最終目的、除去すべき汚れのタイプ、添加剤が存在するならばその添加剤のタイプ、生分解性、入手容易性、およびそれらの条件の組合せに依存する。一般的には、生分解性を受けやすい材料は親水性であるが、より効果的な材料は疎水性となる傾向がある。
【0015】
繊維質基材を、単一の繊維質の層で形成してもよいし、あるいは、2層以上の個別の層の積層体として形成してもよい。シートが、水流交絡法またはニードルパンチ法により製造された不織布であるのが好ましい。この点に関しては、繊維の個々の層を水流交絡させる前に、交絡によって層を組み合わせる前にそれぞれの層を少し交絡させておくのが望ましい。
【0016】
不織布基材は、突起含有バッキング要素の周りに交絡させるのに充分なフリーの繊維を有するように最初から製造しておくのが好ましい。不織布はまた、あるいはさらに、交絡させるより前に処理して繊維をばらけさせておくこともできる。たとえば、溝付きニップまたは突出部を用いて不織布をたとえば機械的に延伸および加工(細工)して、交絡させる前に、繊維をばらけさせて、フック含有ストランドに交絡させるのに必要な易動性を繊維に与えておくことができる。好適な不織ウェブの例としては、一般的には、エアレイドウェブ、カード化ウェブ、スパンボンドウェブ、メルトブローンウェブおよびそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。それらのウェブは弾性があっても非弾性であってよい。不織ウェブの坪量は、10〜500g/m2、好ましくは20〜200g/m2、最も好ましくは30〜100g/m2である。
【0017】
不織ウェブの繊維は、交絡工程に供する際には、ばらけさせておく必要はない。しかしながら、交絡工程において、充分な量のフリーな繊維または繊維の部分が存在していて(すなわち、繊維またはその一部が充分に易動性を有していて)、所望の程度の交絡を与え、単一または複数の突起含有バッキング要素を不織ウェブの中に埋め込むことが必要である。そのような繊維の易動性は、水流交絡の際のジェットもしくはニードルパンチタイプの交絡の際のニードルの力によるか、または、不織ウェブの構造によるか、または機械的またはその他の方法でウェブを乱してフリーまたは易動性の繊維を作り出すか、の方法により得ることができる。
【0018】
水流交絡法は一般に、ジェット装置からの流体の流れを用いて、少なくとも不織布基材と突起含有バッキング要素(一つまたは複数)のラミネートを、開口支持体の上に保持しながら、処理することを含む。その支持体は、ワイヤーを形成するメッシュスクリーンでもよいし、あるいは開口プレートであってもよい。さらに、その支持体がパターンを有していて、不織布材料にそのパターンを与えてもよいし、あるいは、水流交絡した不織布の突起含有基材が模様無しであってもよい。水流交絡のための装置はどのような装置であってもよいが、たとえば、米国特許第3,485,706号明細書に記載されているようなものでよい。そのような装置においては、液体(たとえば水)をたとえば少なくとも約200psi(ゲージ)の圧力で供給して、細かく実質的には柱状の液体の流れを形成させて、それを支持されたラミネートの表面にジェット噴射させることによって、繊維の交絡が達成される。その支持されたラミネートは、その流れによって横断されて、その不織ウェブの繊維がランダムに交絡され、フック含有バッキング要素と絡み合わされる。そのラミネートを、液体の供給圧力約50〜3000psi(ゲージ)のその水流交絡装置の中に、一面または両面で何回も通過させることができる。柱状の液体流れを作るためのオリフィスの直径は当業者には公知で、たとえば125ミクロン(0.005インチ)であり、1列または複数列で、それぞれの列にはいくつのオリフィスを配してもよい。各種の水流交絡方法が前述の米国特許第3,485,706号明細書に記載されており、そのような技術に関してはこの特許は参照することができる。その他の交絡方法としてはニードルパンチ法による機械的な交絡法も挙げられる。場合によっては、交絡操作の間に他の機能性層をラミネートの中に組み込むこともできる。そのようなその他の層は、多孔性のものまたは他の方法で交絡可能なものであってよく、たとえば編物、織物、その他の官能性ネット構造またはストランドまたは繊維質不織ウェブなどが挙げられる。この場合によっては交絡可能な層を用いることによって、強さ、弾性、審美性、グラフィックス、柔らかさ、剛性またはその他所望の性質を加えることもできる。
【0019】
ラミネートを交絡させた複合材料ウェブまたは前駆体清掃用シートを形成させた後で、場合によっては、しかし好ましくないことには、接着ステーション(図1には示さず)において処理して、その強さをさらに向上させることができる。そのような接着ステーションは米国特許第4,612,226号明細書に記載されている。任意のその他の二次接着処理としては、加熱接着、超音波接着、接着剤による接着、それらの接着処理の組合せなどが挙げられる。そのような二次接着処理は強さを増すが、一方では、得られる製品の硬度を上げ(すなわち、柔らかさの低下した製品を与え)、嵩高性を低下させるので、そのようなことは好ましいことではない。好ましい実施態様においては、全部または実質的に全部を二次接着するようなことは避けるか、または複合材料の表面積の、30パーセント未満、好ましくは15パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のレベルで二次接着させる。
【0020】
複合材料を交絡させた後で、乾燥缶(または当業者公知のその他の乾燥手段、たとえば空気流通乾燥機など)により乾燥させ、巻取り機に巻き取る。
【0021】
そうして形成される本発明の複合材料には、繊維質基材の網の目に絡ませたりその中に埋め込まれ、それによって繊維質基材の繊維が、突起バッキング要素の両側の外側表面の上に存在し、好ましくは、バッキング要素を含むフック要素の両側の外側表面の上の繊維が互いに交絡するようにした、突起含有バッキング要素が含まれる。たとえば、所定のストランドの両方の面の上に所定の単一の繊維が見出され、所定のストランドの一つの面または両方の面の上で他の繊維と交絡させることが可能である。埋め込まれた突起含有バッキング要素を含む繊維は、別々な層として形成されているのではなく、単一の統合されたウェブ構造複合材料としてあるのが好ましい。そのことによって、バッキング要素またはストランドの繊維に対する接着剤または加熱接着のような二次接着処理をする必要がない、一体的な突起複合材料が得られる。
【0022】
それらの突起含有バッキング要素および繊維質基材は、複合材料清掃用シートまたは拭い布の長手方向に同じ長さにするのが好ましく、またいくつかの実施態様においては、全部の複合材料構造と同じ長さとするのが好ましい。このことによって、好ましくは少なくとも長手方向または横断方向に、寸法的に安定な拭い布複合材料が得られる。この突起バッキング要素に、統一のとれたネットの形態のストランドが含まれている場合には、その複合材料は一般に(上述のように)少なくとも二つの方向に寸法安定性を有している。一体的な複合材料の中で突起含有バッキング要素またはストランドと組み合わせた繊維質基材からは、突起と交絡させた繊維質基材が同じ長さの清掃用シートが得られる。
【0023】
形成された清掃用シートが顕著に可撓性であるのが好ましいが、その場合、その複合材料の可撓性は実質的には、たとえば400ガーレー剛性単位未満、好ましくは200ガーレー剛性単位未満のガーレー剛性を有する、突起要素含有バッキング要素の可撓性に同じである。接着剤または加熱による積層を必要としないために、それらの突起が積層プロセスの際に破壊されることは無く、それによって、連続的または断続的のいずれでもよいか、バッキング要素の所定の長手方向または横断方向に、実質的に均一かつ連続的に突起を分散させることが可能であり、その広がりは直線状であっても非直線状であってもよい。それらの突起は、突起含有バッキングを含む所定の方向に、複合材料清掃用シートの長さ全体に均質に分散されているのが好ましく、複合材料の長手および横断の両方の(または複数の)方向に、たとえば、ストランドが二つまたは複数の方向に存在するのが最も好ましい。
【0024】
接着剤による接着または加熱接着が無いために、突起含有バッキング要素またはストランドの一方または両方の側に延びた繊維を有する、嵩高くて弾力性のある複合材料清掃用シートを形成させることが可能となり、そして、バッキング要素またはストランドの両方の面を覆って、嵩高くて弾力性のある複合材料清掃用シートを得ることが可能となれば好ましい。
【0025】
一つの実施態様においては、突起含有バッキング要素が、少なくとも一つの面の上に突起要素を有する、長手方向または横断方向、あるいは別な方向に延びた、個別のまたは緩やかに結合された直線状または非直線状のストランド要素であってもよい。長手方向に延びた個別のストランドは次いで、水流交絡プロセスに供給することができる。少なくともこの実施態様を用いることによって、弾性のある織ウェブまたは不織ウェブを使用することによる、伸縮性清掃用シート複合材料を形成させることが可能となる。取り付けた弾性ウェブが存在するために、交絡させた複合材料を次いでストランドの間で延伸させることが可能となる。ストランドが連結されているが、その連結がゆるいので延伸可能であるか、またはそのストランドが非直線状であるために延伸可能であるような場合には、弾性を発生させることも可能となる。いくつかのその他のタイプのバッキング要素、たとえばネット構造は、一方向または複数の方向に延伸または伸長させることが可能であって、それらのこともまた、弾性清掃用シートラミネートを作ることを可能とする。伸長性バッキング要素を含んでいたり、さらには複合材料の中に組み込んだ伸長性非弾性ウェブまたは不織布を有する複合材料においても、弾性を作り出すことが可能である。バッキング要素および弾性複合材料上に作られ取り付けられた各種不織布の伸長する方向に対して角度を持って伸長するような弾性を有するウェブなどの上の弾性ストランドによっても、弾性を作り出すことが可能である。伸長性不織布の中に埋め込まれた弾性ストランド要素を使用することによって、弾性を作り出すことも可能である。
【0026】
個々にばらばらな突起を含有するストランドは、通常の突起含有フィルムから、長手方向のスリッティング、フィブリル化またはその他の分割方法によって形成させることが可能である。フィルムのスプリッティングまたはスリッティングに役立たせるために、フィルムの長手方向に分子的に配向させたバッキングを有するフィルムが好ましい。そのフィルムは、たとえば水ジェット、回転ブレード、レーザーなどによってスプリットさせることができる。
【0027】
本発明において有用な突起含有ネット構造を形成させるための第一の方法は、米国特許第4,001,366号明細書に開示されていて、それには、バッキングと、フックの基本形状を有するリブ構造とを押出し加工させることによって、フックを形成することが記載されている(米国特許第4,894,060号明細書および米国特許第4,056,593号明細書に記載されている方法に類似)。網状ウェブまたはメッシュ構造は、その押出し加工したリブおよびベースを、間隔を開けてスリッティング(スキップスリッティング)し、次いでそのスキップスリット構造を引き広げてメッシュまたはネット構造とすることによって形成される。そのスリットリブがフック要素を形成する。
【0028】
米国特許出願第10/376,979号明細書(3Mケース番号第58313US002号)には、ポリマーフック含有ネット構造を製造する別な方法が開示されているが、それは、フックファスナーを製造するための公知の方法、たとえば、米国特許第3,266,113号明細書;同第3,557,413号明細書;同第4,001,366号明細書;同第4,056,593号明細書;同第4,189,809号明細書;同第4,894,060号明細書;またはそれに代わる同第6,209,177号明細書に記載されているような方法を新規に適合させたものである。この特殊形状押出し法には一般に、ダイプレートを通過させて熱可塑性樹脂を押し出すことを含むが、そのダイプレートは、少なくとも一つのベースフィルム層と、前記ベース層の第一の表面の上に突出した、間隔をおいて配置されたリッジまたはリブの少なくとも第一の組が形成されるような形状となっている。そのダイによって形成される間隔をおいて配置されたリッジまたはリブを使用して、網状のメッシュまたはネット構造のストランドの第一の組を形成させる。横断方向のストランドの第二の組は、前記リッジまたはリブに対して横断方向の角度で、長さ方向に間隔を開けて前記ベース層を横断方向に切断することによって形成され、ばらばらな切断部分を形成する。次いで、そのリッジを長手方向(リッジの方向または縦方向)に延伸すると、バッキングの切断部分が分離し、その切断部分が次いで、網状のメッシュまたはネット構造の間隔をあけたストランドの第二の組を形成する。突起の基本特殊形状を有する少なくとも1組のリブまたはリッジを備え、それらのリブを横断方向にスリットさせ、そしてそれらのリブを切断方向を横断するように配列させることによって、ばらばらになった突起を形成させる。それらの突起を含有するリブまたはリッジは、リブまたはリッジの第一の組の一部または全部とすることもできるし、あるいは、ベース層の第二の面の上のリブまたはリッジの第二の組とすることもできる。
【0029】
上述のフィルム押出し法では、突起含有ストランドが作られるが、ここで、それらの突起は、リブまたはリッジを切断し、一般的にはバッキングまたはベース層を延伸することによって作られる。その基本突起断面は、特殊形状フィルム押出ダイによるリブの上に形成される。そのダイは、フィルムバッキングとリブ構造を同時に押出成形する。次いでそれらの個々の突起は、突起を有する形状のリブを横断方向に切断し、次いで押出しフィルムを切断された突起を有する形状のリブを少なくとも長手方向に延伸させることにより、それらのリブから形成するのが好ましい。バッキングの非切断部分またはバッキング上の非切断リブが延ばされて、そのためにより薄く、またはより小さくなる。しかしながら、切断されたバッキングおよび/またはリブの部分は、切断線の間では、実質的に変化することなく残る。そのために、リブの切断された個々の部分が、延ばされた方向において他とは分離されて、ばらばらな突起を形成する。別な方法として、これと同様のタイプの押出し法を用いて、リブ構造の部分にぎざぎざを付けて、ばらばらな突起を形成させることもできる。この特殊形状押出し法を用いる場合、基本突起断面または特殊形状は、そのダイの形状のみによって限定される。
【0030】
これらの切断したリブからは、リブを横断方向に部分的に切断することによって個々の突起を形成させることが可能であるが、そのような部分的に切断した部分が、上述のような所望の突起要素の基本形状を有しているのが好ましい。リブの全てにおいて、予め選択した平面には、非切断部分を有している。フィルムをリブの方向に延伸させた場合に、リブの非切断部分が、その上にばらばらな突起を有するストランドを形成する。次いで、リブに対して横断方向の角度で、長さ方向に間隔をおいて位置しているベースフィルム層を横断方向に切断することによって、横断方向のストランドの第二の組を形成させることが可能であり、それにより、ばらばらな切断部分が形成される。次いで、そのリブを長手方向(リブの方向または縦方向)に延伸すると、バッキングの切断部分が分離し、その切断部分が次いで、網状のメッシュまたはネット構造の、間隔をあけて位置しているストランドの第二の組を形成する。リブの非切断部分が延ばされて、切断されたバッキングによって形成されたストランドに対してある角度で、ストランドを形成する。その延伸はさらに、フックの形状のリブの未切断部分を延伸させて、その強度と可撓性を向上させる。
【0031】
たとえば図3a〜図3bおよび図4a〜図4dの構造のような、網状のメッシュまたはネット構造を形成させるための上述の方法を図1に模式的に示している。一般的にこの方法ではまず、押出機51からダイ52を通過させて熱可塑性樹脂のストリップ50(たとえば図2のストリップ1)を押し出すが、そのダイはストリップ50を形成させるようなたとえば放電加工による開口部を有し、そのストリップには、ベース3を含み、そのベース層3の少なくとも一つの表面5から突出した、空間をあけて配置されたリブ2(所望の突起となるように、予め定めた断面形状を有する)が延びている。図2、図3aおよび図3bに示しているように、リブ2は幹状の構造を有しているが、図4a、図4b、図5および図6に示すようなフックのタイプの構造を有していてもよい。所望により、第二の組のリッジまたはリブ18を、ベース層3の第二の表面4の上に設けることも可能であり、その第二の組のリブまたはリッジは、予め定めたいかなる形状を有していてもよい。ストリップ50を、冷却液体(たとえば、水)を充満させた急冷タンク56の中で、ローラー55のまわりを通過させて引き出し、その後、カッター58を用いて、その長さ方向に沿ってスペース間隔7を置きながら、少なくともそのベース層3を横断方向にスリットまたは切断して、ベース層3の分離部分6を形成させる。この際には、ベース層の少なくとも一つの表面上に存在するすべてのリブを切断することが必要である。切断線7の間の距離は、図3bおよび図4a〜図4dに示すような、形成されるストランド部分20で希望する幅11にほぼ相当する。切断7はいかなる角度をとらせることもできるが、一般的には、リブ2および/または18の長さ方向から90度〜30度とする。場合によっては、そのストリップを切断の前に延伸させて、ベース層3、またはリブ2および/または18を形成するポリマーに分子配向をさらに与え、リッジまたはリブ2および/または18の大きさ、またはベース層の厚み12を低下させ、さらには、ベース層3をスリッティングすることにより形成されるストランド20の大きさを低下させることもできる。カッター58には、たとえば往復動もしくは回転ブレード、レーザー、または水ジェットのような、通常使用されるいかなる手段を用いてもよいが、リブ2の長さ方向に対して約60〜90度の角度で配したブレードを使用して切断するのが好ましい。
【0032】
ベース層3、およびリッジまたはリブ2および/またはリブ18を切断した後、好ましくは、異なった表面速度で駆動されている、第一の対のニップローラー60および61の間と、第二の対のニップローラー62および63の間で、延伸比が少なくとも1.5、好ましくは延伸比が少なくとも約3.0になるように、ストリップ1を延伸させる。これによって、図3bに示されるように、リブ18から、第一の組の配向させたストランド8が形成される。場合によっては、ストリップ1を横断方向に延伸させて、ストランド20をその長さ方向に配向させることも可能である。押出、(少なくともベース層の)切断および延伸というこのような基本的な方法が、本発明のすべての実施態様に一般的に適用される。ローラー61を加熱して、延伸の前にベース3を加熱するのが好ましく、また、ローラー62を冷却して、延伸させたベース3を安定化させるのが好ましい。延伸させることによって、ベース層3の切断部分6の間に空間13が発生し、次いでそのベース層の切断部分がストランド20の第二の組となって、ネット構造14が完成する。次いで単一または複数の繊維ウェブを、たとえばロール67から交絡ステーション68の中に供給すると、ネット構造がその繊維ウェブの中に埋め込まれる。繊維ウェブは、ネット構造の一方の面、または好ましくは両方の面に適用することができる。
【0033】
図3bおよび図4aには、リブに幹状の突起24またはフックの形状の突起21を形成するなどの変化をもたせて製造することが可能な、一般に参照番号14で表される代表的なポリマーネット構造が示されている。そのネット構造には、通常は平行な上側および下側主表面23および22を有するストランド20、およびストランド20の少なくとも上側表面23から突出した、間隔をあけて位置している複数の突起24または21が含まれる。ストランド20は、たとえば可撓性のような性質を変化させるために望ましいであろう、平坦な表面あるいはその他の表面特性を有するようにすることもできる。ストランド20は、切断され、リブ18が伸びてストランド8となることによって、互いに分断されている。図4aにおいては、突起がフック要素の形状になっている。図4bは図4aの実施態様の変形で、ここではフック要素がもっと離れていて、それぞれのストランド要素8には直接隣接していない。それらのフック要素は、ストランド要素8からずれた位置につくることも可能であり、図4dに示されるように、ストランド20の上で、ストランド8の間に位置させることも可能である。図4cは、図4bに似た、さらなる変形例である。図4bおよび図4cに示されるように、ネット構造またはメッシュ構造のある領域においてフック要素が欠けていると、フックの存在しない領域が得られ、たとえば、たとえば加熱接着または接着剤によってさらなる基材に接着させるための、突起の存在しない領域が得られる。図4dの実施態様を用いると、ばらばらになったフックストランドが横断方向にのみ伸びている清掃用シートを形成することができる。横断方向にストランド20を安定化しているストランド8を有する図4dの材料を用い、それを繊維ウェブと組み合わせることで、次いで、ストランド8を含む部分を切り取って、最終的な清掃用シート複合材料には、ストランド20のみを残すことも可能である。一方向だけに引張強さを必要とされるようなある種の用途においてはこれは有用である。
【0034】
図5に示すのは最終的な清掃用シート複合材料であって、ここでたとえば図4aに示したようなネット構造が、ネット構造の両方の面の上に置かれた不織ウェブの中に埋め込まれている。ネット構造および不織布層を、加熱接着や接着剤によって互いにさらに接着させることはない。
【0035】
清掃用シート複合材料の中で、押出し加工したネット構造を図6に模式的に示している。図6においては、一つの面の上のフックの形状のリブは、その長さ方向で間隔をあけた位置で、横断方向に部分的にスリットされている。第二の面の上のベース層は、図4および図5の実施態様のごとくに、完全に切断されている。図4および図5の実施態様のように、部分的に切断されたフックの形状のリブを、長手方向に延ばしたり広げたりした場合には、それらが、フック要素72と、配列されたストランド78(リブの非切断部分からの)とを形成する。
【0036】
たとえば図5および図6に示したような清掃用シートは、通気性が高く、また、少なくともストランド8、20、70または78の方向には寸法安定性がある。寸法安定性とは、その清掃用シートが、張力をかけない場合と、ストランド(たとえば、8、20、70および78)を直線状に伸ばす方向に中程度の張力をかけた場合とで、実質的に同じ寸法を有している、ということを意味している。さらに、それらの清掃用シートは、互いに角度を持って交差するような直線状のストランドが存在する場合には、二つ以上の方向に寸法的に安定とすることもできる。しかしながら、交差するような直線状のストランドがあると、直線状のストランドの両方の組に対して角度を有する方向に延伸させた場合に、そのネット構造そしてそのまま複合材料が延伸され、場合によってはその寸法的に安定な形態に弾性的に戻る傾向がある。両方の方向に直線状のストランドを、その機械的強度を上げ、可撓性と寸法安定性を上げながらもその坪量を低下させるように配列させることができる。
【0037】
それらの突起が清掃用シートから外側へ伸びていて、表面、特に柔らかい表面たとえばカーペット地、室内装飾材料などから、粒子状物質、特に動物の毛または人の毛をつまみ上げやすくなっている。好ましい実施態様においては、それらの突起を選択して、表面の繊維に引っかかったり、捕らえられたりすることが無いようにする。一般的には、それらの突起は0.10〜6mm、好ましくは0.25〜4mmである。
【0038】
それらの突起はたとえば、フック状、斜め(slanted)繊維状、剛毛状など各種の形状とすることが可能であるが、これらに限定される訳ではない。基材に付着された複数の突起は、全部が同じ形状であってもよいし、あるいは異なった形状が組み合わされていてもよい。いくつかの実施態様においては、突起の少なくとも幾分かは、フックの形状の突起であるのが好ましい。好適なフック形状の突起としては、各種のものがあり、たとえば、「J字形」フック、「プロング形」フック、「マッシュルーム形」フック、「バナナ形」フック、「Y字形」フック、「マルチチップ形」フックなどが挙げられる。
【0039】
本発明の清掃用シートに組み入れられる突起およびストランドは、各種の材料、たとえば高分子量樹脂など、好ましくは熱可塑性樹脂から製造することができる。それらの熱可塑性樹脂には、好ましくは熱可塑性ポリマーを含み、さらに、粘着性樹脂、可塑剤、およびその他の任意成分たとえば、希釈剤、安定剤、抗酸化剤、着色剤、および充填剤を含むことができる。
【0040】
本発明の清掃用シートの突起を形成するために好適な材料は、熱可塑性樹脂である。本明細書においては、熱可塑性樹脂の軟化温度は、典型的には約45℃〜約260℃、より好ましくは約80℃〜約200℃、さらにより好ましくは約90℃〜約180℃である。熱可塑性樹脂の「軟化温度」は、標準試験法ASTM D1525の記載に従って測定することができる。好適な熱可塑性樹脂には熱可塑性ポリマーが含まれ、たとえばスチレンコポリマーブレンド物(ここでそのコポリマーは、ブタジエン、アクリロニトリル、ジビニルベンゼン、無水マレイン酸からなる群より選択される);ポリスチレン末端ブロックと、ポリイソプレン、ポリブタジエン、および/またはポリエチレン−ブチレン中間ブロックとを含むブロックコポリマー;ポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンプロピレン;エチレン−酢酸ビニルコポリマー;アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー;ポリエステルたとえばポリエチレンテレフタレート;ポリアミドたとえばナイロン6およびナイロン11;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリウレタン;およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0041】
本発明の清掃用シートの突起を形成させるための本明細書において特に好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(低密度、高密度および/または架橋)、ポリプロピレン、それらのブレンド物およびコポリマーなどが挙げられる。
【0042】
ネット構造を製造することが可能な好適なポリマー材料としては、ポリオレフィン、たとえば、ポリプロピレンおよびポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステルたとえばポリエチレンテレフタレートなどを含めた熱可塑性樹脂、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンド物が挙げられる。樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーまたはそれらのブレンド物であるのが好ましい。
【0043】
本発明の清掃用シートに好適な突起は、ヤング率が約75〜約1500kN/m2(×10-4)、好ましくは約100〜約1000kN/m2(×10-4)、より好ましくは約200〜約500kN/m2(×10-4)である材料から形成させる。ヤング率は、ASTM D797で知られる標準試験方法を用いて測定することができる。
【0044】
一般的に言って、ストランドを繊維質基材の中に埋め込んで、ストランドと突起が、繊維質基材の中の表面積の約5%〜約80%、好ましくは約10%〜約70%、より好ましくは約15%〜約60%となるようにする。それらの突起は、清掃用シートの基材の一つだけの外側表面から伸びていてもよいが、突起が両側の外側表面から伸びていてもよい。
【0045】
それらの突起は、二つの並んだ突起の間の距離が、少なくとも0.15mm、または約0.2〜約10mm、好ましくは約0.2〜約5mm、好ましくは約0.3〜約5mm、より好ましくは約0.6〜約3mm、さらにより好ましくは約0.8〜約3mm、そして最も好ましくは約0.9〜約2mmとなるように、位置させることができる。1平方センチメートルあたりの突起の数は、典型的には約1〜約1000個、好ましくは約10〜約100個、より好ましくは約20〜約50個である。
【0046】
本発明の清掃用シートには複数の突起を含むが、それらの突起は、全て同じ形状であってもよいし、あるいは、2種以上の異なった形状を有する突起の組合せであってもよい。複数の突起で、その全部が同じ方向を向いていてもよいし、あるいは複数の異なった方向を向いていてもよい。それらの突起の形状と弾性は、清掃すべき表面、特に柔らかい表面、たとえばカーペット地、室内装飾材料などを基準に選択して、屑の除去と、表面においてその清掃用シートが容易に動かせることとが最適な組合せとなるようにするのが好ましい。たとえば、突起の形状と弾性は、清掃すべきカーペットまたは室内装飾材料のタイプを基準にして選択することも可能であって、プラッシュ(plush)カーペットで使用する場合には、より強力なフック(たとえば、弾性が低いおよび/またはフックのかみ合い末端のカールが多いもの)とし、逆にループタイプのカーペット、たとえばバーバー(berber)カーペットで使用するには、より穏やかなフック(たとえば、弾性が高いおよび/またはフックのかみ合い末端のカールが少ないもの)が好ましい。典型的には、突起が細いほど、また個々の突起の間の距離が広いものほど、得られる清掃用シートは穏やかなものとなる。
【0047】
本発明の清掃用シートの突起は、清掃すべき表面から屑を取り除くことが可能であって、繊維質基材がそれらの屑を清掃用シートの中に取り込むことができる。それらの屑は、繊維質の清掃用シートの中に保持されるので、表面の清掃を終了したら、使用者は、清掃用シートに取り込まれた屑と共に、その清掃用シートを単に廃棄さえすればよい。
【0048】
本発明の清掃用シートの突起は、本発明の清掃用シートの基材の上に、ランダムまたは非ランダムなパターンで分布させることができる。それらの突起は、清掃用シートの基材に関して一つまたは複数の別個のゾーンに配列することが可能で、その場合、それぞれのゾーンには複数の突起が含まれる。
【0049】
一つの好ましい実施態様においては、それらの突起は清掃用シートの基材の上の一つのゾーンに配列されて、図8に見られるように、その清掃用シートを清掃用具46のモップヘッドに取り付けたときに、それらの突起が、モップヘッド44の底部表面(および/または側面)に並んで、清掃すべき表面と接触するようにする。複数の突起を含む中央ゾーンに隣接する清掃用シート45の基材の領域は、突起を含まず、取付けポイント49において清掃用具のモップヘッドに清掃用シートを取り付けるために使用される。別な実施態様においては、本発明の清掃用シートを清掃用具46のモップヘッド44に取り付ける場合に、複数の突起を、モップヘッドの前縁および/または後縁に沿ったゾーンまたは、モップヘッドの垂直縁のまわりで、その基材に固着させることができる。
【0050】
さらにまた別な実施態様においては、清掃用シートには、そのシートの両側に前述の各種突起、突起の組合せ、突起の列、および/またはゾーンを分けて付着させた突起を含んでいてもよい。この実施態様では、単一のシートを2回使用できるという利点が得られる。使用者は、後述のようにして、シートを清掃用具に取付けさえすればよく、それを用いて表面を清掃することが可能である。そのシートが、毛や粒子で「飽和」に達したようであれば、使用者はその用具からシートを外し、再取付けするか、または別な方法として、今度はそのシートのまだきれいな面を使用して表面の清掃をすることができる。
【0051】
本発明の使い捨て清掃用シートは、場合によっては、しかし好ましくは、添加剤物質をさらに含む。本発明の清掃用シートが、清掃される表面から取り除かれた屑、特に小粒子物質をより良好に保持する性能を向上させるために、添加剤物質を本発明の清掃用シートの基材に付着させることができる。
【0052】
本発明の清掃用シートの中に取り込むのに適した添加剤物質として、多くのものを挙げることができる。本発明の清掃用シートにおいて特に有用な、本発明のための好適な添加剤としては、ポリマー性添加剤、特に固有の粘着特性、たとえば固有のタック値、粘着作業値、凝集/接着比、および/または曳糸性値(ストリンブ性値)を有するポリマー性添加剤が挙げられる。そのような添加剤物質を選択することにより、微粒子状物質たとえば、屑、糸屑、および毛、そして特により大きな粒子状物質、典型的には家庭内の床および表面に見出される、パン屑、汚れ、砂、毛、食品のかけら、草の茎および根などのようなものをつまみ上げるのに、改良がもたらされる。さらに、添加剤物質のタイプと量を丁寧に選択することにより、清掃される表面の上を清掃用シートがスムーズに滑る性能を維持しながら、その清掃用シートが粒子状物をつまみ上げる能力が改良される。それに組み入れた添加剤のために、清掃用シートの粘着性が高すぎることになると、その清掃用シートは表面の上をスムーズには滑らなくなる。
【0053】
好適なポリマー性添加剤としては、感圧性粘着剤、粘着性ポリマー、およびそれらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない。
【0054】
添加剤物質は基材そのものに付着させてもよいし、あるいはその中の突起に付着させてもよい。添加剤物質は、基材および/または突起に均質に塗布することもできるし、あるいは「ゾーン」として塗布することもできる。添加剤物質をゾーンで塗布する場合には、その添加剤物質をランダムに付着させてもよいし、あるいは非ランダム、たとえばチェッカー盤模様に塗布してもよい。一つの実施態様においては、基材の広い中央部分全体に均一に添加剤物質を分散させる。
【0055】
その他の好適な添加剤物質としては、ワックス、オイル、粉末、およびそれらの混合物などが挙げられる。好適なワックスはパラフィンワックスであり、好適なオイルは鉱油である。本明細書において用いるのに好適な粉末としては、タルク、デンプン、炭酸マグネシウム、およびそれらの混合物などからなる群より選択されるものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0056】
典型的には、添加剤物質たとえばポリマー性添加剤は、本発明の清掃用シートの上に、ポリマー性添加剤が約10.0g/m2以下、好ましくは約6.0g/m2以下、より好ましくは約4.0g/m2以下、さらにより好ましくは約2.0g/m2以下となるようなレベルで含浸させる。さらに、それらの添加剤物質、たとえばポリマー性添加剤は、典型的には、本発明の清掃用シートの上に、ポリマー性添加剤が、少なくとも約0.1g/m2、好ましくは少なくとも約0.2g/m2、より好ましくは少なくとも約0.4g/m2、さらにより好ましくは少なくとも約0.6g/m2となるようなレベルで含浸させる。ポリマー性添加剤は、従来の手段、たとえばスプレー法、スロットコーティング法、印刷法、またはキスコーティング法などを用いて、基材に直接塗布することができる。
【0057】
本発明の使い捨て清掃用シートは、図8に示されるように、清掃用具のモップヘッドに取り付けることができる。次いでその清掃用具を使用して、清掃される表面、たとえばカーペットの上でその使い捨て清掃用シートを横に移動させる。表面の清掃が済んだら、その使い捨て清掃用シートを清掃用具のモップヘッドから取り外して、廃棄することができる。
【0058】
清掃用シートは、単一のシートとして使用することもできるし、あるいは弾性のあるベルトを用いて使用者の手に取り付けることもできる。そのシートに、たとえば、一端を他端につなぐための粘着剤またはフック・アンド・ループ・ファスナーのような、取付手段を有していてもよい。この実施態様においては、シートの末端を、手の回りに巻き付け、互いをつないで滑り嵌めの形態とする。
【0059】
図7に示されるように、突起を有する基材41の少なくとも1層を含む、使い捨てのミット40の形態にしてシートを使用することもできる。
【0060】
清掃すべき表面には、その清掃用シートを使用してその表面を拭うように簡単に接触させ、屑の付いた清掃用シートは使用後には廃棄するのが好ましい。この清掃用シートを使用して清掃することができる表面としては、家庭内や自動車の内部にあるカーペット、室内装飾材料、布地などが挙げられる。この清掃用シートはさらに、ネコやその他のペットの毛をブラッシングするためのブラシの部品として組み込むこともできる。
【実施例】
【0061】
実施例1
メッシュフックネット構造を、図1に示したのと同様の装置を用いて製造した。6.35cm単軸スクリュー押出機(L/Dが24:1)を用いて、ポリプロピレン/ポリエチレン耐衝撃性コポリマー(SRC7−644、1.5MFI、ダウ・ケミカル(Dow Chemical)製)を押出加工したが、バレル温度プロファイルは175℃−230℃−230℃で、ダイ温度は約230℃を用いた。その押出し物は、放電加工による開口部を有するダイを通して垂直下方へ押出して、特殊形状押出しウェブを製造した。上側リブのクロスウェブ間隔は、1cmあたり7.3本のリブであった。ダイを用いて成形した後、その押出し物を6.1メートル/分の速度で水タンクの中へ送って急冷したが、その水の温度は約10℃に維持した。次いでそのウェブを進めて切断ステーションを通したが、そこでは、上側リブとベース層(ただし、下側リブは含まない)を、横断方向に、ウェブの横断方向から見て23度の角度で切断した。そのカットの間隔は305ミクロンであった。上側リブとベース層とを切断してから、第一のニップロール対と第二のニップロール対との間で、そのウェブを延伸比約3対1で長手方向に延伸させて、個々のフック要素をさらに分離させて約8.5フック/cmとし、図4aに示したようなフックメッシュネット構造を作った。ベース層の厚みは219ミクロンであった。第一のニップロール対の上側ロールを143℃に加熱して、延伸させる前のウェブを軟化させた。第二のニップロール対は、冷却して約10℃とした。
【0062】
ウェブの長手、ダウンウェブ方向に、幅1.3cmのサンプルを切り出して、このフックネット構造の引張強さを測定した。その試験サンプルの中には、11〜12ストランドが存在していた。インストロン(INSTRON)引張試験機を使用して、破断引張強さを測定した。5本のサンプル測定を繰り返して、平均した。そのウェブの破断引張強さは4.91kg/cm、0.55kg/ストランドであった。
【0063】
次いでそのフックネット構造を、2枚の不織ウェブを用いて水流交絡させて、2枚の30g/m2の非接着カード化ウェブの間にそのフックネット構造を挟み込んだが、それぞれのウェブは、70%のウェルマン(Wellman)T310の1.5dポリエステル繊維、25%のライオセル(Lyocell)の1.5dレーヨン繊維、および5%のコサ(Kosa)T254の2dポリエステル複合繊維ステープルファイバーからなっていた。6マニホルド/ジェット(ウェブの上に3本、下に3本)からなる通常の水流交絡システムを使用した。基本的な操作手順は、たとえば米国特許第5,389,202号明細書(発行1995年2月14日、エバーハート(Everhart)ら)に記載されている。それぞれのマニホルドのオリフィスの直径は120ミクロンであった。オリフィスは、マニホルドの1センチメートルあたり約16個のオリフィス間隔で1列に配置した。マニホルドの水圧は、連続的に上げて127kg/cm2としたが、それによって高エネルギーの微細柱状ジェットが得られた。水流交絡表面は、テネシー州ポートランド(Portland,Tenn)のアルバニー・インターナショナル(Albany International)製の、単層100ステンレス鋼の綾織りワイヤーバッキングであった。そのネット構造と2枚のカード化ウェブをマニホルド下に約10メートル/分のライン速度で通過させ、そこで水の加圧ジェットによって洗浄と固結を行った。得られた複合材料ウェブを、通常の実験室用ハンドシートドライヤーで乾燥させた。その複合材料ウェブは布状の手触りと外観を有していて、極めて柔軟でなじみやすいものであった。その複合材料ウェブの小片を用いて汚れたカーペットを軽くこすった。そのウェブにより、極めて効果的にカーペットから毛を除去することができた。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図3a〜図4dに示すようなネット構造を含む突起、および図5に示すような清掃用シートを製造するための方法を示した模式図である。
【図2】図3bの突起含有ネット構造を製造するために使用する前駆体フィルムの斜視図である。
【図3a】本発明による突起含有ネット構造を形成するための第一の実施態様の切断された前駆体フィルムの斜視図である。
【図3b】ネット構造を形成させた、切断された前駆体フィルムの斜視図である。
【図4a】本発明において使用される片面突起タイプのネット構造の1実施態様の斜視図である。
【図4b】本発明において使用される片面突起タイプのネット構造の1実施態様の斜視図である。
【図4c】本発明において使用される片面突起タイプのネット構造の1実施態様の斜視図である。
【図4d】本発明において使用される片面突起タイプのネット構造の1実施態様の斜視図である。
【図5】清掃用シートを形成するために本発明による繊維ウェブの中に埋め込まれた、図4aにおけるような第一の実施態様の突起含有ネット構造の、上側および下側からの顕微鏡写真である。
【図6】清掃用シートを形成するために本発明による繊維ウェブの中に埋め込まれた、突起フックネット構造の1実施態様の模式図である。
【図7】本発明の清掃用シートを含むミットの平面図である。
【図8】本発明の使い捨て清掃用シートを使用した清掃用モップの斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの毛や汚れのような屑を取り除くのが困難な、カーペット地、室内装飾材料、または衣服のような柔らかなまたは繊維質の基材を清掃するための、清掃用シートの中に埋め込んだ突起を含む、清掃用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2003/0044569号明細書には、清掃用シート基材に付着させた突起を有するようにした清掃用シートが記載されている。表面、特に汚れが詰まりやすく普通のドライ清掃布などでは除去するのが困難となる隙間を有する、目の粗いまたは繊維質のタイプの表面から、汚れおよびその他の屑をその突起が取り除くことによって、清掃機能が向上される。しかしながら、その拭い布では、通常はフィルムタイプのバッキングを伴う清掃用具または布の表面にそれらの突起が付けられているという点が問題なのである。そのことが、清掃に用いるために使用可能な清掃用シートの表面積を実質的に減らしている。さらに、それらの突起は簡単に外れて、落ちてしまう可能性がある。
【0003】
米国特許第4,703,538号明細書(シルバーストローン(Silverstrone))には、敷物、床、布張り椅子およびその他の表面から、汚れ、糸屑などをつまみ上げるのに適した清掃道具が開示されている。このシルバーストローンの清掃道具には、フック材料からできている外部表面を有するローラーが含まれる。そのローラーは、汚れ、糸屑などをつまみ上げて清掃するための表面上を転がし、次いで、汚れがそのフック材料に蓄積されてきたら、手で取り除かねばならない。
【0004】
カーペット地から動物の毛を除去するための道具は、米国特許第4,042,995号明細書(バロン(Varon))にも開示されている。その道具では、ハンドルにとりつけたヘッドの上にポリエチレンの剛毛を有している。その剛毛の密度は、後縁のところが他の部分よりも高くなっており、その剛毛はのこぎりの刃のように配列されて、エッジパターンを形成している。その道具を引いてカーペット地を通過させると、それらの剛毛が動物の毛をつまみ上げる。それらの剛毛は、ほうきのハンドルのヘッド部分に恒久的に取り付けられていて、この場合もまた、手で掃除をしてやる必要がある。
【0005】
布地から毛玉や糸屑を除去するための装置が米国特許第5,036,561号明細書(カラフート(Calafut))に開示されている。その装置にはたとえばフォームシートのような支持基材が含まれ、その一つの面にはグリットサイズが280〜600の実質的に均質な粒子の研削コーティングを有していて布地から毛玉を除去し、もう一つの面には傾斜させたパイルなどの布地を有していて、布地から糸屑を取り除く。この装置は、ポケットや財布の中に収まるような大きさとなっている。装置の研磨側を布地にあててこすることにより、毛玉を剥がして取り除くことができる。そのブラシの糸屑除去用のパイル布地の側は、ある方向に動かせば糸屑を除去でき、反対側に動かせばその糸屑を取り外すことができるように設計されている。
【0006】
糸屑や屑を除去するための粘着剤ローラーについては、米国特許第6,014,788号明細書;米国特許第5,878,034号明細書、および米国特許出願公開第2002/0023666A1号明細書に記載があり、カーペット、室内装飾材料、その他のタイプの布地で使用できることが知られている。それらのローラーの粘着表面は、屑によってすぐに覆われてしまい、取り替えなければならない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特に繊維質タイプの表面たとえばカーペット地または室内装飾材料などのような、平坦ではない、あるいは粗い表面から、屑、特に毛および汚れを除去するための、使い捨て清掃用シートに関する。その清掃用シートには、繊維質基材と、その繊維質基材の中に埋め込まれたストランド要素から突出する複数の突起とが含まれる。
【0008】
本発明の清掃用シートでは、突起を使用して清掃する表面から屑を取り除き、繊維質基材がその取り除いた屑を取り込むが、その際に、突起のためのバッキングが繊維質基材の粒子取り込みを妨害することがない。さらに、それらの突起が繊維質基材の中に堅固に埋め込まれているために、使用時に基材から突起が外れてしまうこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付の図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、ここで、複数の図面における類似の部材には類似の番号を付与している。
【0010】
本発明の使い捨て清掃用シートには一般に、繊維質基材と、その繊維質基材の中に埋め込まれた複数の突起(たとえばフック)とが含まれる。その清掃用シートは、個別のシートとして使用してもよいし、あるいはバッキング付きで使用して、たとえば、清掃用具に取り外し可能な状態で取付け、使用後には廃棄してもよい。
【0011】
本発明の使い捨て清掃用シートの実施態様は、図5および図6に示されている。
【0012】
本発明の清掃用シートにおいて使用される突起は、ネット構造またはストランド要素の形態とすることが可能な、1種または複数のバッキング要素の上に設けられた突起を用いて形成される。たとえば個別のまたは連結されたストランドまたは1種または複数のネット構造の形態にある、それらの突起含有バッキング要素を、次いで繊維ウェブの中に埋め込んで、清掃用シートを形成させる。それらの突起は、結合されてネット構造を形成し、そのネットの形態の中で互いに角度を持って配列させた、ストランド要素の上にあるのが好ましい。それらのストランドは、個別であっても、ストランド要素に部分的に結合されていても、あるいは堅固に結合されてネットの形態をとっていてもよいが、一般に第一の外側表面および第二の外側表面、ならびに二つの側面を有している。それらのストランドは、第一または第二の外側表面の内の少なくとも一つの面に複数の突起を有している。突起含有ストランドは、繊維ウェブ、たとえば、不織ウェブの中に、好ましくは不織ウェブの繊維をストランドの周りに水流交絡させることによって埋め込まれるが、ここで、接着剤または点接着(たとえば、加熱接着、超音波接着など)のような補助的な取付手段を用いないのが好ましい。
【0013】
本発明の清掃用シートにおいて有用な不織布としては、合成繊維、天然繊維、またはハイブリッド繊維から製造した広く各種のタイプの不織布などが挙げられる。不織布基材は、各種の方法によって製造されるが、そのような方法としては、水流交絡法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、カーディング法などがあるが、これらに限定される訳ではない。不織布基材は、スパンボンド基材、メルトブローン基材、水流交絡基材、ニードルパンチ基材、エアレイド基材、カード化基材、およびそれらの組合せからなる群より選択するのが好ましい。繊維質基材はさらに2層以上のラミネートであって、その1層が好適な不織布基材であるようなものであってもよい。
【0014】
本発明の清掃用シートの好適な不織布基材を形成させるのに適した繊維質材料としては、たとえば天然セルロース系材料、さらには合成材料、たとえばポリオレフィン(たとえば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、ポリエステル、ポリアミド、合成セルロース系材料(たとえば、レイヨン(RAYON,登録商標))、ならびにそれらのブレンド物などを挙げることができる。たとえば、綿またはそれのブレンド物および各種のセルロース源から誘導されるような天然繊維もまた有用である。本発明の清掃用シートの基材を製造するための出発物質として好適なものとしては、合成材料であって、それらは、カード化、スパンボンド、メルトブローン、エアレイドの形態、またはその他の構造であってもよい。特に好適なものは、ポリエステル、特にカード化ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、およびポリエチレン繊維である。清掃用シートが表面たとえばカーペット、室内装飾材料、その他の布地の表面をこすったときの、基材の摩耗および引裂きに対する抵抗性が、基材および繊維組成物の形態を選択するにあたっては、重要な因子となりうる。さらに繊維の疎水性または親水性の程度を最適化するが、それは、シートの最終目的、除去すべき汚れのタイプ、添加剤が存在するならばその添加剤のタイプ、生分解性、入手容易性、およびそれらの条件の組合せに依存する。一般的には、生分解性を受けやすい材料は親水性であるが、より効果的な材料は疎水性となる傾向がある。
【0015】
繊維質基材を、単一の繊維質の層で形成してもよいし、あるいは、2層以上の個別の層の積層体として形成してもよい。シートが、水流交絡法またはニードルパンチ法により製造された不織布であるのが好ましい。この点に関しては、繊維の個々の層を水流交絡させる前に、交絡によって層を組み合わせる前にそれぞれの層を少し交絡させておくのが望ましい。
【0016】
不織布基材は、突起含有バッキング要素の周りに交絡させるのに充分なフリーの繊維を有するように最初から製造しておくのが好ましい。不織布はまた、あるいはさらに、交絡させるより前に処理して繊維をばらけさせておくこともできる。たとえば、溝付きニップまたは突出部を用いて不織布をたとえば機械的に延伸および加工(細工)して、交絡させる前に、繊維をばらけさせて、フック含有ストランドに交絡させるのに必要な易動性を繊維に与えておくことができる。好適な不織ウェブの例としては、一般的には、エアレイドウェブ、カード化ウェブ、スパンボンドウェブ、メルトブローンウェブおよびそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。それらのウェブは弾性があっても非弾性であってよい。不織ウェブの坪量は、10〜500g/m2、好ましくは20〜200g/m2、最も好ましくは30〜100g/m2である。
【0017】
不織ウェブの繊維は、交絡工程に供する際には、ばらけさせておく必要はない。しかしながら、交絡工程において、充分な量のフリーな繊維または繊維の部分が存在していて(すなわち、繊維またはその一部が充分に易動性を有していて)、所望の程度の交絡を与え、単一または複数の突起含有バッキング要素を不織ウェブの中に埋め込むことが必要である。そのような繊維の易動性は、水流交絡の際のジェットもしくはニードルパンチタイプの交絡の際のニードルの力によるか、または、不織ウェブの構造によるか、または機械的またはその他の方法でウェブを乱してフリーまたは易動性の繊維を作り出すか、の方法により得ることができる。
【0018】
水流交絡法は一般に、ジェット装置からの流体の流れを用いて、少なくとも不織布基材と突起含有バッキング要素(一つまたは複数)のラミネートを、開口支持体の上に保持しながら、処理することを含む。その支持体は、ワイヤーを形成するメッシュスクリーンでもよいし、あるいは開口プレートであってもよい。さらに、その支持体がパターンを有していて、不織布材料にそのパターンを与えてもよいし、あるいは、水流交絡した不織布の突起含有基材が模様無しであってもよい。水流交絡のための装置はどのような装置であってもよいが、たとえば、米国特許第3,485,706号明細書に記載されているようなものでよい。そのような装置においては、液体(たとえば水)をたとえば少なくとも約200psi(ゲージ)の圧力で供給して、細かく実質的には柱状の液体の流れを形成させて、それを支持されたラミネートの表面にジェット噴射させることによって、繊維の交絡が達成される。その支持されたラミネートは、その流れによって横断されて、その不織ウェブの繊維がランダムに交絡され、フック含有バッキング要素と絡み合わされる。そのラミネートを、液体の供給圧力約50〜3000psi(ゲージ)のその水流交絡装置の中に、一面または両面で何回も通過させることができる。柱状の液体流れを作るためのオリフィスの直径は当業者には公知で、たとえば125ミクロン(0.005インチ)であり、1列または複数列で、それぞれの列にはいくつのオリフィスを配してもよい。各種の水流交絡方法が前述の米国特許第3,485,706号明細書に記載されており、そのような技術に関してはこの特許は参照することができる。その他の交絡方法としてはニードルパンチ法による機械的な交絡法も挙げられる。場合によっては、交絡操作の間に他の機能性層をラミネートの中に組み込むこともできる。そのようなその他の層は、多孔性のものまたは他の方法で交絡可能なものであってよく、たとえば編物、織物、その他の官能性ネット構造またはストランドまたは繊維質不織ウェブなどが挙げられる。この場合によっては交絡可能な層を用いることによって、強さ、弾性、審美性、グラフィックス、柔らかさ、剛性またはその他所望の性質を加えることもできる。
【0019】
ラミネートを交絡させた複合材料ウェブまたは前駆体清掃用シートを形成させた後で、場合によっては、しかし好ましくないことには、接着ステーション(図1には示さず)において処理して、その強さをさらに向上させることができる。そのような接着ステーションは米国特許第4,612,226号明細書に記載されている。任意のその他の二次接着処理としては、加熱接着、超音波接着、接着剤による接着、それらの接着処理の組合せなどが挙げられる。そのような二次接着処理は強さを増すが、一方では、得られる製品の硬度を上げ(すなわち、柔らかさの低下した製品を与え)、嵩高性を低下させるので、そのようなことは好ましいことではない。好ましい実施態様においては、全部または実質的に全部を二次接着するようなことは避けるか、または複合材料の表面積の、30パーセント未満、好ましくは15パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のレベルで二次接着させる。
【0020】
複合材料を交絡させた後で、乾燥缶(または当業者公知のその他の乾燥手段、たとえば空気流通乾燥機など)により乾燥させ、巻取り機に巻き取る。
【0021】
そうして形成される本発明の複合材料には、繊維質基材の網の目に絡ませたりその中に埋め込まれ、それによって繊維質基材の繊維が、突起バッキング要素の両側の外側表面の上に存在し、好ましくは、バッキング要素を含むフック要素の両側の外側表面の上の繊維が互いに交絡するようにした、突起含有バッキング要素が含まれる。たとえば、所定のストランドの両方の面の上に所定の単一の繊維が見出され、所定のストランドの一つの面または両方の面の上で他の繊維と交絡させることが可能である。埋め込まれた突起含有バッキング要素を含む繊維は、別々な層として形成されているのではなく、単一の統合されたウェブ構造複合材料としてあるのが好ましい。そのことによって、バッキング要素またはストランドの繊維に対する接着剤または加熱接着のような二次接着処理をする必要がない、一体的な突起複合材料が得られる。
【0022】
それらの突起含有バッキング要素および繊維質基材は、複合材料清掃用シートまたは拭い布の長手方向に同じ長さにするのが好ましく、またいくつかの実施態様においては、全部の複合材料構造と同じ長さとするのが好ましい。このことによって、好ましくは少なくとも長手方向または横断方向に、寸法的に安定な拭い布複合材料が得られる。この突起バッキング要素に、統一のとれたネットの形態のストランドが含まれている場合には、その複合材料は一般に(上述のように)少なくとも二つの方向に寸法安定性を有している。一体的な複合材料の中で突起含有バッキング要素またはストランドと組み合わせた繊維質基材からは、突起と交絡させた繊維質基材が同じ長さの清掃用シートが得られる。
【0023】
形成された清掃用シートが顕著に可撓性であるのが好ましいが、その場合、その複合材料の可撓性は実質的には、たとえば400ガーレー剛性単位未満、好ましくは200ガーレー剛性単位未満のガーレー剛性を有する、突起要素含有バッキング要素の可撓性に同じである。接着剤または加熱による積層を必要としないために、それらの突起が積層プロセスの際に破壊されることは無く、それによって、連続的または断続的のいずれでもよいか、バッキング要素の所定の長手方向または横断方向に、実質的に均一かつ連続的に突起を分散させることが可能であり、その広がりは直線状であっても非直線状であってもよい。それらの突起は、突起含有バッキングを含む所定の方向に、複合材料清掃用シートの長さ全体に均質に分散されているのが好ましく、複合材料の長手および横断の両方の(または複数の)方向に、たとえば、ストランドが二つまたは複数の方向に存在するのが最も好ましい。
【0024】
接着剤による接着または加熱接着が無いために、突起含有バッキング要素またはストランドの一方または両方の側に延びた繊維を有する、嵩高くて弾力性のある複合材料清掃用シートを形成させることが可能となり、そして、バッキング要素またはストランドの両方の面を覆って、嵩高くて弾力性のある複合材料清掃用シートを得ることが可能となれば好ましい。
【0025】
一つの実施態様においては、突起含有バッキング要素が、少なくとも一つの面の上に突起要素を有する、長手方向または横断方向、あるいは別な方向に延びた、個別のまたは緩やかに結合された直線状または非直線状のストランド要素であってもよい。長手方向に延びた個別のストランドは次いで、水流交絡プロセスに供給することができる。少なくともこの実施態様を用いることによって、弾性のある織ウェブまたは不織ウェブを使用することによる、伸縮性清掃用シート複合材料を形成させることが可能となる。取り付けた弾性ウェブが存在するために、交絡させた複合材料を次いでストランドの間で延伸させることが可能となる。ストランドが連結されているが、その連結がゆるいので延伸可能であるか、またはそのストランドが非直線状であるために延伸可能であるような場合には、弾性を発生させることも可能となる。いくつかのその他のタイプのバッキング要素、たとえばネット構造は、一方向または複数の方向に延伸または伸長させることが可能であって、それらのこともまた、弾性清掃用シートラミネートを作ることを可能とする。伸長性バッキング要素を含んでいたり、さらには複合材料の中に組み込んだ伸長性非弾性ウェブまたは不織布を有する複合材料においても、弾性を作り出すことが可能である。バッキング要素および弾性複合材料上に作られ取り付けられた各種不織布の伸長する方向に対して角度を持って伸長するような弾性を有するウェブなどの上の弾性ストランドによっても、弾性を作り出すことが可能である。伸長性不織布の中に埋め込まれた弾性ストランド要素を使用することによって、弾性を作り出すことも可能である。
【0026】
個々にばらばらな突起を含有するストランドは、通常の突起含有フィルムから、長手方向のスリッティング、フィブリル化またはその他の分割方法によって形成させることが可能である。フィルムのスプリッティングまたはスリッティングに役立たせるために、フィルムの長手方向に分子的に配向させたバッキングを有するフィルムが好ましい。そのフィルムは、たとえば水ジェット、回転ブレード、レーザーなどによってスプリットさせることができる。
【0027】
本発明において有用な突起含有ネット構造を形成させるための第一の方法は、米国特許第4,001,366号明細書に開示されていて、それには、バッキングと、フックの基本形状を有するリブ構造とを押出し加工させることによって、フックを形成することが記載されている(米国特許第4,894,060号明細書および米国特許第4,056,593号明細書に記載されている方法に類似)。網状ウェブまたはメッシュ構造は、その押出し加工したリブおよびベースを、間隔を開けてスリッティング(スキップスリッティング)し、次いでそのスキップスリット構造を引き広げてメッシュまたはネット構造とすることによって形成される。そのスリットリブがフック要素を形成する。
【0028】
米国特許出願第10/376,979号明細書(3Mケース番号第58313US002号)には、ポリマーフック含有ネット構造を製造する別な方法が開示されているが、それは、フックファスナーを製造するための公知の方法、たとえば、米国特許第3,266,113号明細書;同第3,557,413号明細書;同第4,001,366号明細書;同第4,056,593号明細書;同第4,189,809号明細書;同第4,894,060号明細書;またはそれに代わる同第6,209,177号明細書に記載されているような方法を新規に適合させたものである。この特殊形状押出し法には一般に、ダイプレートを通過させて熱可塑性樹脂を押し出すことを含むが、そのダイプレートは、少なくとも一つのベースフィルム層と、前記ベース層の第一の表面の上に突出した、間隔をおいて配置されたリッジまたはリブの少なくとも第一の組が形成されるような形状となっている。そのダイによって形成される間隔をおいて配置されたリッジまたはリブを使用して、網状のメッシュまたはネット構造のストランドの第一の組を形成させる。横断方向のストランドの第二の組は、前記リッジまたはリブに対して横断方向の角度で、長さ方向に間隔を開けて前記ベース層を横断方向に切断することによって形成され、ばらばらな切断部分を形成する。次いで、そのリッジを長手方向(リッジの方向または縦方向)に延伸すると、バッキングの切断部分が分離し、その切断部分が次いで、網状のメッシュまたはネット構造の間隔をあけたストランドの第二の組を形成する。突起の基本特殊形状を有する少なくとも1組のリブまたはリッジを備え、それらのリブを横断方向にスリットさせ、そしてそれらのリブを切断方向を横断するように配列させることによって、ばらばらになった突起を形成させる。それらの突起を含有するリブまたはリッジは、リブまたはリッジの第一の組の一部または全部とすることもできるし、あるいは、ベース層の第二の面の上のリブまたはリッジの第二の組とすることもできる。
【0029】
上述のフィルム押出し法では、突起含有ストランドが作られるが、ここで、それらの突起は、リブまたはリッジを切断し、一般的にはバッキングまたはベース層を延伸することによって作られる。その基本突起断面は、特殊形状フィルム押出ダイによるリブの上に形成される。そのダイは、フィルムバッキングとリブ構造を同時に押出成形する。次いでそれらの個々の突起は、突起を有する形状のリブを横断方向に切断し、次いで押出しフィルムを切断された突起を有する形状のリブを少なくとも長手方向に延伸させることにより、それらのリブから形成するのが好ましい。バッキングの非切断部分またはバッキング上の非切断リブが延ばされて、そのためにより薄く、またはより小さくなる。しかしながら、切断されたバッキングおよび/またはリブの部分は、切断線の間では、実質的に変化することなく残る。そのために、リブの切断された個々の部分が、延ばされた方向において他とは分離されて、ばらばらな突起を形成する。別な方法として、これと同様のタイプの押出し法を用いて、リブ構造の部分にぎざぎざを付けて、ばらばらな突起を形成させることもできる。この特殊形状押出し法を用いる場合、基本突起断面または特殊形状は、そのダイの形状のみによって限定される。
【0030】
これらの切断したリブからは、リブを横断方向に部分的に切断することによって個々の突起を形成させることが可能であるが、そのような部分的に切断した部分が、上述のような所望の突起要素の基本形状を有しているのが好ましい。リブの全てにおいて、予め選択した平面には、非切断部分を有している。フィルムをリブの方向に延伸させた場合に、リブの非切断部分が、その上にばらばらな突起を有するストランドを形成する。次いで、リブに対して横断方向の角度で、長さ方向に間隔をおいて位置しているベースフィルム層を横断方向に切断することによって、横断方向のストランドの第二の組を形成させることが可能であり、それにより、ばらばらな切断部分が形成される。次いで、そのリブを長手方向(リブの方向または縦方向)に延伸すると、バッキングの切断部分が分離し、その切断部分が次いで、網状のメッシュまたはネット構造の、間隔をあけて位置しているストランドの第二の組を形成する。リブの非切断部分が延ばされて、切断されたバッキングによって形成されたストランドに対してある角度で、ストランドを形成する。その延伸はさらに、フックの形状のリブの未切断部分を延伸させて、その強度と可撓性を向上させる。
【0031】
たとえば図3a〜図3bおよび図4a〜図4dの構造のような、網状のメッシュまたはネット構造を形成させるための上述の方法を図1に模式的に示している。一般的にこの方法ではまず、押出機51からダイ52を通過させて熱可塑性樹脂のストリップ50(たとえば図2のストリップ1)を押し出すが、そのダイはストリップ50を形成させるようなたとえば放電加工による開口部を有し、そのストリップには、ベース3を含み、そのベース層3の少なくとも一つの表面5から突出した、空間をあけて配置されたリブ2(所望の突起となるように、予め定めた断面形状を有する)が延びている。図2、図3aおよび図3bに示しているように、リブ2は幹状の構造を有しているが、図4a、図4b、図5および図6に示すようなフックのタイプの構造を有していてもよい。所望により、第二の組のリッジまたはリブ18を、ベース層3の第二の表面4の上に設けることも可能であり、その第二の組のリブまたはリッジは、予め定めたいかなる形状を有していてもよい。ストリップ50を、冷却液体(たとえば、水)を充満させた急冷タンク56の中で、ローラー55のまわりを通過させて引き出し、その後、カッター58を用いて、その長さ方向に沿ってスペース間隔7を置きながら、少なくともそのベース層3を横断方向にスリットまたは切断して、ベース層3の分離部分6を形成させる。この際には、ベース層の少なくとも一つの表面上に存在するすべてのリブを切断することが必要である。切断線7の間の距離は、図3bおよび図4a〜図4dに示すような、形成されるストランド部分20で希望する幅11にほぼ相当する。切断7はいかなる角度をとらせることもできるが、一般的には、リブ2および/または18の長さ方向から90度〜30度とする。場合によっては、そのストリップを切断の前に延伸させて、ベース層3、またはリブ2および/または18を形成するポリマーに分子配向をさらに与え、リッジまたはリブ2および/または18の大きさ、またはベース層の厚み12を低下させ、さらには、ベース層3をスリッティングすることにより形成されるストランド20の大きさを低下させることもできる。カッター58には、たとえば往復動もしくは回転ブレード、レーザー、または水ジェットのような、通常使用されるいかなる手段を用いてもよいが、リブ2の長さ方向に対して約60〜90度の角度で配したブレードを使用して切断するのが好ましい。
【0032】
ベース層3、およびリッジまたはリブ2および/またはリブ18を切断した後、好ましくは、異なった表面速度で駆動されている、第一の対のニップローラー60および61の間と、第二の対のニップローラー62および63の間で、延伸比が少なくとも1.5、好ましくは延伸比が少なくとも約3.0になるように、ストリップ1を延伸させる。これによって、図3bに示されるように、リブ18から、第一の組の配向させたストランド8が形成される。場合によっては、ストリップ1を横断方向に延伸させて、ストランド20をその長さ方向に配向させることも可能である。押出、(少なくともベース層の)切断および延伸というこのような基本的な方法が、本発明のすべての実施態様に一般的に適用される。ローラー61を加熱して、延伸の前にベース3を加熱するのが好ましく、また、ローラー62を冷却して、延伸させたベース3を安定化させるのが好ましい。延伸させることによって、ベース層3の切断部分6の間に空間13が発生し、次いでそのベース層の切断部分がストランド20の第二の組となって、ネット構造14が完成する。次いで単一または複数の繊維ウェブを、たとえばロール67から交絡ステーション68の中に供給すると、ネット構造がその繊維ウェブの中に埋め込まれる。繊維ウェブは、ネット構造の一方の面、または好ましくは両方の面に適用することができる。
【0033】
図3bおよび図4aには、リブに幹状の突起24またはフックの形状の突起21を形成するなどの変化をもたせて製造することが可能な、一般に参照番号14で表される代表的なポリマーネット構造が示されている。そのネット構造には、通常は平行な上側および下側主表面23および22を有するストランド20、およびストランド20の少なくとも上側表面23から突出した、間隔をあけて位置している複数の突起24または21が含まれる。ストランド20は、たとえば可撓性のような性質を変化させるために望ましいであろう、平坦な表面あるいはその他の表面特性を有するようにすることもできる。ストランド20は、切断され、リブ18が伸びてストランド8となることによって、互いに分断されている。図4aにおいては、突起がフック要素の形状になっている。図4bは図4aの実施態様の変形で、ここではフック要素がもっと離れていて、それぞれのストランド要素8には直接隣接していない。それらのフック要素は、ストランド要素8からずれた位置につくることも可能であり、図4dに示されるように、ストランド20の上で、ストランド8の間に位置させることも可能である。図4cは、図4bに似た、さらなる変形例である。図4bおよび図4cに示されるように、ネット構造またはメッシュ構造のある領域においてフック要素が欠けていると、フックの存在しない領域が得られ、たとえば、たとえば加熱接着または接着剤によってさらなる基材に接着させるための、突起の存在しない領域が得られる。図4dの実施態様を用いると、ばらばらになったフックストランドが横断方向にのみ伸びている清掃用シートを形成することができる。横断方向にストランド20を安定化しているストランド8を有する図4dの材料を用い、それを繊維ウェブと組み合わせることで、次いで、ストランド8を含む部分を切り取って、最終的な清掃用シート複合材料には、ストランド20のみを残すことも可能である。一方向だけに引張強さを必要とされるようなある種の用途においてはこれは有用である。
【0034】
図5に示すのは最終的な清掃用シート複合材料であって、ここでたとえば図4aに示したようなネット構造が、ネット構造の両方の面の上に置かれた不織ウェブの中に埋め込まれている。ネット構造および不織布層を、加熱接着や接着剤によって互いにさらに接着させることはない。
【0035】
清掃用シート複合材料の中で、押出し加工したネット構造を図6に模式的に示している。図6においては、一つの面の上のフックの形状のリブは、その長さ方向で間隔をあけた位置で、横断方向に部分的にスリットされている。第二の面の上のベース層は、図4および図5の実施態様のごとくに、完全に切断されている。図4および図5の実施態様のように、部分的に切断されたフックの形状のリブを、長手方向に延ばしたり広げたりした場合には、それらが、フック要素72と、配列されたストランド78(リブの非切断部分からの)とを形成する。
【0036】
たとえば図5および図6に示したような清掃用シートは、通気性が高く、また、少なくともストランド8、20、70または78の方向には寸法安定性がある。寸法安定性とは、その清掃用シートが、張力をかけない場合と、ストランド(たとえば、8、20、70および78)を直線状に伸ばす方向に中程度の張力をかけた場合とで、実質的に同じ寸法を有している、ということを意味している。さらに、それらの清掃用シートは、互いに角度を持って交差するような直線状のストランドが存在する場合には、二つ以上の方向に寸法的に安定とすることもできる。しかしながら、交差するような直線状のストランドがあると、直線状のストランドの両方の組に対して角度を有する方向に延伸させた場合に、そのネット構造そしてそのまま複合材料が延伸され、場合によってはその寸法的に安定な形態に弾性的に戻る傾向がある。両方の方向に直線状のストランドを、その機械的強度を上げ、可撓性と寸法安定性を上げながらもその坪量を低下させるように配列させることができる。
【0037】
それらの突起が清掃用シートから外側へ伸びていて、表面、特に柔らかい表面たとえばカーペット地、室内装飾材料などから、粒子状物質、特に動物の毛または人の毛をつまみ上げやすくなっている。好ましい実施態様においては、それらの突起を選択して、表面の繊維に引っかかったり、捕らえられたりすることが無いようにする。一般的には、それらの突起は0.10〜6mm、好ましくは0.25〜4mmである。
【0038】
それらの突起はたとえば、フック状、斜め(slanted)繊維状、剛毛状など各種の形状とすることが可能であるが、これらに限定される訳ではない。基材に付着された複数の突起は、全部が同じ形状であってもよいし、あるいは異なった形状が組み合わされていてもよい。いくつかの実施態様においては、突起の少なくとも幾分かは、フックの形状の突起であるのが好ましい。好適なフック形状の突起としては、各種のものがあり、たとえば、「J字形」フック、「プロング形」フック、「マッシュルーム形」フック、「バナナ形」フック、「Y字形」フック、「マルチチップ形」フックなどが挙げられる。
【0039】
本発明の清掃用シートに組み入れられる突起およびストランドは、各種の材料、たとえば高分子量樹脂など、好ましくは熱可塑性樹脂から製造することができる。それらの熱可塑性樹脂には、好ましくは熱可塑性ポリマーを含み、さらに、粘着性樹脂、可塑剤、およびその他の任意成分たとえば、希釈剤、安定剤、抗酸化剤、着色剤、および充填剤を含むことができる。
【0040】
本発明の清掃用シートの突起を形成するために好適な材料は、熱可塑性樹脂である。本明細書においては、熱可塑性樹脂の軟化温度は、典型的には約45℃〜約260℃、より好ましくは約80℃〜約200℃、さらにより好ましくは約90℃〜約180℃である。熱可塑性樹脂の「軟化温度」は、標準試験法ASTM D1525の記載に従って測定することができる。好適な熱可塑性樹脂には熱可塑性ポリマーが含まれ、たとえばスチレンコポリマーブレンド物(ここでそのコポリマーは、ブタジエン、アクリロニトリル、ジビニルベンゼン、無水マレイン酸からなる群より選択される);ポリスチレン末端ブロックと、ポリイソプレン、ポリブタジエン、および/またはポリエチレン−ブチレン中間ブロックとを含むブロックコポリマー;ポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンプロピレン;エチレン−酢酸ビニルコポリマー;アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー;ポリエステルたとえばポリエチレンテレフタレート;ポリアミドたとえばナイロン6およびナイロン11;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリウレタン;およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0041】
本発明の清掃用シートの突起を形成させるための本明細書において特に好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(低密度、高密度および/または架橋)、ポリプロピレン、それらのブレンド物およびコポリマーなどが挙げられる。
【0042】
ネット構造を製造することが可能な好適なポリマー材料としては、ポリオレフィン、たとえば、ポリプロピレンおよびポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステルたとえばポリエチレンテレフタレートなどを含めた熱可塑性樹脂、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンド物が挙げられる。樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーまたはそれらのブレンド物であるのが好ましい。
【0043】
本発明の清掃用シートに好適な突起は、ヤング率が約75〜約1500kN/m2(×10-4)、好ましくは約100〜約1000kN/m2(×10-4)、より好ましくは約200〜約500kN/m2(×10-4)である材料から形成させる。ヤング率は、ASTM D797で知られる標準試験方法を用いて測定することができる。
【0044】
一般的に言って、ストランドを繊維質基材の中に埋め込んで、ストランドと突起が、繊維質基材の中の表面積の約5%〜約80%、好ましくは約10%〜約70%、より好ましくは約15%〜約60%となるようにする。それらの突起は、清掃用シートの基材の一つだけの外側表面から伸びていてもよいが、突起が両側の外側表面から伸びていてもよい。
【0045】
それらの突起は、二つの並んだ突起の間の距離が、少なくとも0.15mm、または約0.2〜約10mm、好ましくは約0.2〜約5mm、好ましくは約0.3〜約5mm、より好ましくは約0.6〜約3mm、さらにより好ましくは約0.8〜約3mm、そして最も好ましくは約0.9〜約2mmとなるように、位置させることができる。1平方センチメートルあたりの突起の数は、典型的には約1〜約1000個、好ましくは約10〜約100個、より好ましくは約20〜約50個である。
【0046】
本発明の清掃用シートには複数の突起を含むが、それらの突起は、全て同じ形状であってもよいし、あるいは、2種以上の異なった形状を有する突起の組合せであってもよい。複数の突起で、その全部が同じ方向を向いていてもよいし、あるいは複数の異なった方向を向いていてもよい。それらの突起の形状と弾性は、清掃すべき表面、特に柔らかい表面、たとえばカーペット地、室内装飾材料などを基準に選択して、屑の除去と、表面においてその清掃用シートが容易に動かせることとが最適な組合せとなるようにするのが好ましい。たとえば、突起の形状と弾性は、清掃すべきカーペットまたは室内装飾材料のタイプを基準にして選択することも可能であって、プラッシュ(plush)カーペットで使用する場合には、より強力なフック(たとえば、弾性が低いおよび/またはフックのかみ合い末端のカールが多いもの)とし、逆にループタイプのカーペット、たとえばバーバー(berber)カーペットで使用するには、より穏やかなフック(たとえば、弾性が高いおよび/またはフックのかみ合い末端のカールが少ないもの)が好ましい。典型的には、突起が細いほど、また個々の突起の間の距離が広いものほど、得られる清掃用シートは穏やかなものとなる。
【0047】
本発明の清掃用シートの突起は、清掃すべき表面から屑を取り除くことが可能であって、繊維質基材がそれらの屑を清掃用シートの中に取り込むことができる。それらの屑は、繊維質の清掃用シートの中に保持されるので、表面の清掃を終了したら、使用者は、清掃用シートに取り込まれた屑と共に、その清掃用シートを単に廃棄さえすればよい。
【0048】
本発明の清掃用シートの突起は、本発明の清掃用シートの基材の上に、ランダムまたは非ランダムなパターンで分布させることができる。それらの突起は、清掃用シートの基材に関して一つまたは複数の別個のゾーンに配列することが可能で、その場合、それぞれのゾーンには複数の突起が含まれる。
【0049】
一つの好ましい実施態様においては、それらの突起は清掃用シートの基材の上の一つのゾーンに配列されて、図8に見られるように、その清掃用シートを清掃用具46のモップヘッドに取り付けたときに、それらの突起が、モップヘッド44の底部表面(および/または側面)に並んで、清掃すべき表面と接触するようにする。複数の突起を含む中央ゾーンに隣接する清掃用シート45の基材の領域は、突起を含まず、取付けポイント49において清掃用具のモップヘッドに清掃用シートを取り付けるために使用される。別な実施態様においては、本発明の清掃用シートを清掃用具46のモップヘッド44に取り付ける場合に、複数の突起を、モップヘッドの前縁および/または後縁に沿ったゾーンまたは、モップヘッドの垂直縁のまわりで、その基材に固着させることができる。
【0050】
さらにまた別な実施態様においては、清掃用シートには、そのシートの両側に前述の各種突起、突起の組合せ、突起の列、および/またはゾーンを分けて付着させた突起を含んでいてもよい。この実施態様では、単一のシートを2回使用できるという利点が得られる。使用者は、後述のようにして、シートを清掃用具に取付けさえすればよく、それを用いて表面を清掃することが可能である。そのシートが、毛や粒子で「飽和」に達したようであれば、使用者はその用具からシートを外し、再取付けするか、または別な方法として、今度はそのシートのまだきれいな面を使用して表面の清掃をすることができる。
【0051】
本発明の使い捨て清掃用シートは、場合によっては、しかし好ましくは、添加剤物質をさらに含む。本発明の清掃用シートが、清掃される表面から取り除かれた屑、特に小粒子物質をより良好に保持する性能を向上させるために、添加剤物質を本発明の清掃用シートの基材に付着させることができる。
【0052】
本発明の清掃用シートの中に取り込むのに適した添加剤物質として、多くのものを挙げることができる。本発明の清掃用シートにおいて特に有用な、本発明のための好適な添加剤としては、ポリマー性添加剤、特に固有の粘着特性、たとえば固有のタック値、粘着作業値、凝集/接着比、および/または曳糸性値(ストリンブ性値)を有するポリマー性添加剤が挙げられる。そのような添加剤物質を選択することにより、微粒子状物質たとえば、屑、糸屑、および毛、そして特により大きな粒子状物質、典型的には家庭内の床および表面に見出される、パン屑、汚れ、砂、毛、食品のかけら、草の茎および根などのようなものをつまみ上げるのに、改良がもたらされる。さらに、添加剤物質のタイプと量を丁寧に選択することにより、清掃される表面の上を清掃用シートがスムーズに滑る性能を維持しながら、その清掃用シートが粒子状物をつまみ上げる能力が改良される。それに組み入れた添加剤のために、清掃用シートの粘着性が高すぎることになると、その清掃用シートは表面の上をスムーズには滑らなくなる。
【0053】
好適なポリマー性添加剤としては、感圧性粘着剤、粘着性ポリマー、およびそれらの混合物からなる群より選択されるものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない。
【0054】
添加剤物質は基材そのものに付着させてもよいし、あるいはその中の突起に付着させてもよい。添加剤物質は、基材および/または突起に均質に塗布することもできるし、あるいは「ゾーン」として塗布することもできる。添加剤物質をゾーンで塗布する場合には、その添加剤物質をランダムに付着させてもよいし、あるいは非ランダム、たとえばチェッカー盤模様に塗布してもよい。一つの実施態様においては、基材の広い中央部分全体に均一に添加剤物質を分散させる。
【0055】
その他の好適な添加剤物質としては、ワックス、オイル、粉末、およびそれらの混合物などが挙げられる。好適なワックスはパラフィンワックスであり、好適なオイルは鉱油である。本明細書において用いるのに好適な粉末としては、タルク、デンプン、炭酸マグネシウム、およびそれらの混合物などからなる群より選択されるものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0056】
典型的には、添加剤物質たとえばポリマー性添加剤は、本発明の清掃用シートの上に、ポリマー性添加剤が約10.0g/m2以下、好ましくは約6.0g/m2以下、より好ましくは約4.0g/m2以下、さらにより好ましくは約2.0g/m2以下となるようなレベルで含浸させる。さらに、それらの添加剤物質、たとえばポリマー性添加剤は、典型的には、本発明の清掃用シートの上に、ポリマー性添加剤が、少なくとも約0.1g/m2、好ましくは少なくとも約0.2g/m2、より好ましくは少なくとも約0.4g/m2、さらにより好ましくは少なくとも約0.6g/m2となるようなレベルで含浸させる。ポリマー性添加剤は、従来の手段、たとえばスプレー法、スロットコーティング法、印刷法、またはキスコーティング法などを用いて、基材に直接塗布することができる。
【0057】
本発明の使い捨て清掃用シートは、図8に示されるように、清掃用具のモップヘッドに取り付けることができる。次いでその清掃用具を使用して、清掃される表面、たとえばカーペットの上でその使い捨て清掃用シートを横に移動させる。表面の清掃が済んだら、その使い捨て清掃用シートを清掃用具のモップヘッドから取り外して、廃棄することができる。
【0058】
清掃用シートは、単一のシートとして使用することもできるし、あるいは弾性のあるベルトを用いて使用者の手に取り付けることもできる。そのシートに、たとえば、一端を他端につなぐための粘着剤またはフック・アンド・ループ・ファスナーのような、取付手段を有していてもよい。この実施態様においては、シートの末端を、手の回りに巻き付け、互いをつないで滑り嵌めの形態とする。
【0059】
図7に示されるように、突起を有する基材41の少なくとも1層を含む、使い捨てのミット40の形態にしてシートを使用することもできる。
【0060】
清掃すべき表面には、その清掃用シートを使用してその表面を拭うように簡単に接触させ、屑の付いた清掃用シートは使用後には廃棄するのが好ましい。この清掃用シートを使用して清掃することができる表面としては、家庭内や自動車の内部にあるカーペット、室内装飾材料、布地などが挙げられる。この清掃用シートはさらに、ネコやその他のペットの毛をブラッシングするためのブラシの部品として組み込むこともできる。
【実施例】
【0061】
実施例1
メッシュフックネット構造を、図1に示したのと同様の装置を用いて製造した。6.35cm単軸スクリュー押出機(L/Dが24:1)を用いて、ポリプロピレン/ポリエチレン耐衝撃性コポリマー(SRC7−644、1.5MFI、ダウ・ケミカル(Dow Chemical)製)を押出加工したが、バレル温度プロファイルは175℃−230℃−230℃で、ダイ温度は約230℃を用いた。その押出し物は、放電加工による開口部を有するダイを通して垂直下方へ押出して、特殊形状押出しウェブを製造した。上側リブのクロスウェブ間隔は、1cmあたり7.3本のリブであった。ダイを用いて成形した後、その押出し物を6.1メートル/分の速度で水タンクの中へ送って急冷したが、その水の温度は約10℃に維持した。次いでそのウェブを進めて切断ステーションを通したが、そこでは、上側リブとベース層(ただし、下側リブは含まない)を、横断方向に、ウェブの横断方向から見て23度の角度で切断した。そのカットの間隔は305ミクロンであった。上側リブとベース層とを切断してから、第一のニップロール対と第二のニップロール対との間で、そのウェブを延伸比約3対1で長手方向に延伸させて、個々のフック要素をさらに分離させて約8.5フック/cmとし、図4aに示したようなフックメッシュネット構造を作った。ベース層の厚みは219ミクロンであった。第一のニップロール対の上側ロールを143℃に加熱して、延伸させる前のウェブを軟化させた。第二のニップロール対は、冷却して約10℃とした。
【0062】
ウェブの長手、ダウンウェブ方向に、幅1.3cmのサンプルを切り出して、このフックネット構造の引張強さを測定した。その試験サンプルの中には、11〜12ストランドが存在していた。インストロン(INSTRON)引張試験機を使用して、破断引張強さを測定した。5本のサンプル測定を繰り返して、平均した。そのウェブの破断引張強さは4.91kg/cm、0.55kg/ストランドであった。
【0063】
次いでそのフックネット構造を、2枚の不織ウェブを用いて水流交絡させて、2枚の30g/m2の非接着カード化ウェブの間にそのフックネット構造を挟み込んだが、それぞれのウェブは、70%のウェルマン(Wellman)T310の1.5dポリエステル繊維、25%のライオセル(Lyocell)の1.5dレーヨン繊維、および5%のコサ(Kosa)T254の2dポリエステル複合繊維ステープルファイバーからなっていた。6マニホルド/ジェット(ウェブの上に3本、下に3本)からなる通常の水流交絡システムを使用した。基本的な操作手順は、たとえば米国特許第5,389,202号明細書(発行1995年2月14日、エバーハート(Everhart)ら)に記載されている。それぞれのマニホルドのオリフィスの直径は120ミクロンであった。オリフィスは、マニホルドの1センチメートルあたり約16個のオリフィス間隔で1列に配置した。マニホルドの水圧は、連続的に上げて127kg/cm2としたが、それによって高エネルギーの微細柱状ジェットが得られた。水流交絡表面は、テネシー州ポートランド(Portland,Tenn)のアルバニー・インターナショナル(Albany International)製の、単層100ステンレス鋼の綾織りワイヤーバッキングであった。そのネット構造と2枚のカード化ウェブをマニホルド下に約10メートル/分のライン速度で通過させ、そこで水の加圧ジェットによって洗浄と固結を行った。得られた複合材料ウェブを、通常の実験室用ハンドシートドライヤーで乾燥させた。その複合材料ウェブは布状の手触りと外観を有していて、極めて柔軟でなじみやすいものであった。その複合材料ウェブの小片を用いて汚れたカーペットを軽くこすった。そのウェブにより、極めて効果的にカーペットから毛を除去することができた。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図3a〜図4dに示すようなネット構造を含む突起、および図5に示すような清掃用シートを製造するための方法を示した模式図である。
【図2】図3bの突起含有ネット構造を製造するために使用する前駆体フィルムの斜視図である。
【図3a】本発明による突起含有ネット構造を形成するための第一の実施態様の切断された前駆体フィルムの斜視図である。
【図3b】ネット構造を形成させた、切断された前駆体フィルムの斜視図である。
【図4a】本発明において使用される片面突起タイプのネット構造の1実施態様の斜視図である。
【図4b】本発明において使用される片面突起タイプのネット構造の1実施態様の斜視図である。
【図4c】本発明において使用される片面突起タイプのネット構造の1実施態様の斜視図である。
【図4d】本発明において使用される片面突起タイプのネット構造の1実施態様の斜視図である。
【図5】清掃用シートを形成するために本発明による繊維ウェブの中に埋め込まれた、図4aにおけるような第一の実施態様の突起含有ネット構造の、上側および下側からの顕微鏡写真である。
【図6】清掃用シートを形成するために本発明による繊維ウェブの中に埋め込まれた、突起フックネット構造の1実施態様の模式図である。
【図7】本発明の清掃用シートを含むミットの平面図である。
【図8】本発明の使い捨て清掃用シートを使用した清掃用モップの斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃用シートであって、第一の外側表面および第二の外側表面と、少なくとも一つの外側表面から突出した突起とを有する突起含有バッキング要素の複合材料を含み、かつ前記突起含有バッキング要素が、繊維質基材の中に埋め込まれて、前記基材の繊維が前記バッキング要素の両方の外側表面上に存在するようになっている、清掃用シート。
【請求項2】
前記突起含有バッキング要素が、突起を含むストランド要素を少なくとも含む、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項3】
前記突起含有バッキング要素が、ばらばらな突起含有ストランドを含む、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項4】
前記ストランド要素が、少なくとも一つの方向に直線的に延在する、請求項2に記載の清掃用シート。
【請求項5】
前記繊維質基材が、10〜500g/m2の坪量を有する不織布繊維質基材である、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項6】
前記不織布繊維質基材が、非接着カード化不織布基材である、請求項5に記載の清掃用シート。
【請求項7】
前記複合材料が弾性複合材料である、請求項5に記載の清掃用シート。
【請求項8】
前記複合材料の突起が0.10〜6mmである、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項9】
ストランドの第二の組が、前記ストランドの第一の組に対して横断する方向に延在し、それら2組のストランドがそれらの交差点において連結されている、請求項5に記載の清掃用シート。
【請求項10】
前記ストランドの第二の組が、相互に平行であり、第一の面と第二の面と二つの実質的に平行な側面とを有し、実質的に同じ長さであり、そして前記ストランドの第二の組の第二の面が、前記配向させたストランドの第一の組に、それらの交差点において結合されており、そして前記配向させたストランドの第一の組が、前記ネット構造の厚み方向における、第一の平面横断面領域を占め、前記配向させたストランドの第二の組が、前記ネット構造の厚み方向における、第二の平面横断面領域を占める、請求項9に記載の清掃用シート。
【請求項11】
前記第一および第二の平面横断面領域が、実質的に相互に矛盾しておりかつ隣接している、請求項10に記載の清掃用シート。
【請求項12】
前記第一および第二のストランドの組が一体的に形成されている、請求項10に記載の清掃用シート。
【請求項13】
前記突起が、前記繊維質基材の表面積の約5〜80パーセントに存在する、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項14】
前記突起の数が、1平方センチメートルあたり1〜1,000個である、請求項13に記載の清掃用シート。
【請求項15】
前記繊維質基材に添加剤がコーティングまたは含浸されている、請求項14に記載の清掃用シート。
【請求項1】
清掃用シートであって、第一の外側表面および第二の外側表面と、少なくとも一つの外側表面から突出した突起とを有する突起含有バッキング要素の複合材料を含み、かつ前記突起含有バッキング要素が、繊維質基材の中に埋め込まれて、前記基材の繊維が前記バッキング要素の両方の外側表面上に存在するようになっている、清掃用シート。
【請求項2】
前記突起含有バッキング要素が、突起を含むストランド要素を少なくとも含む、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項3】
前記突起含有バッキング要素が、ばらばらな突起含有ストランドを含む、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項4】
前記ストランド要素が、少なくとも一つの方向に直線的に延在する、請求項2に記載の清掃用シート。
【請求項5】
前記繊維質基材が、10〜500g/m2の坪量を有する不織布繊維質基材である、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項6】
前記不織布繊維質基材が、非接着カード化不織布基材である、請求項5に記載の清掃用シート。
【請求項7】
前記複合材料が弾性複合材料である、請求項5に記載の清掃用シート。
【請求項8】
前記複合材料の突起が0.10〜6mmである、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項9】
ストランドの第二の組が、前記ストランドの第一の組に対して横断する方向に延在し、それら2組のストランドがそれらの交差点において連結されている、請求項5に記載の清掃用シート。
【請求項10】
前記ストランドの第二の組が、相互に平行であり、第一の面と第二の面と二つの実質的に平行な側面とを有し、実質的に同じ長さであり、そして前記ストランドの第二の組の第二の面が、前記配向させたストランドの第一の組に、それらの交差点において結合されており、そして前記配向させたストランドの第一の組が、前記ネット構造の厚み方向における、第一の平面横断面領域を占め、前記配向させたストランドの第二の組が、前記ネット構造の厚み方向における、第二の平面横断面領域を占める、請求項9に記載の清掃用シート。
【請求項11】
前記第一および第二の平面横断面領域が、実質的に相互に矛盾しておりかつ隣接している、請求項10に記載の清掃用シート。
【請求項12】
前記第一および第二のストランドの組が一体的に形成されている、請求項10に記載の清掃用シート。
【請求項13】
前記突起が、前記繊維質基材の表面積の約5〜80パーセントに存在する、請求項1に記載の清掃用シート。
【請求項14】
前記突起の数が、1平方センチメートルあたり1〜1,000個である、請求項13に記載の清掃用シート。
【請求項15】
前記繊維質基材に添加剤がコーティングまたは含浸されている、請求項14に記載の清掃用シート。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2007−508108(P2007−508108A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535498(P2006−535498)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/030363
【国際公開番号】WO2005/037049
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/030363
【国際公開番号】WO2005/037049
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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