説明

使い捨て用多成分カートリッジ

【課題】単純な構造を有し、使い捨て用として設計された多成分カートリッジを目的とする。
【解決手段】使い捨て用として設計された多成分カートリッジ1は、第一成分8用の第一供給室6及び、第二成分9用の第二供給室7を含み、第一供給室は第二供給室から離隔されている。第一供給室は第二供給室の周囲に同軸上に配置され、環状空間10を形成し、第一ピストン3は第一供給室に移動可能に配置され、第二ピストン4は第二供給室に移動可能に配置されている。二成分を同時に排出するために、第一及び第二ピストンは、プランジャ5によって移動可能である。案内部材11は、第一及び第二ピストンを導くために設けられる。案内部材は、排出開口部13を含み、それを通じて第一成分が第一供給室から排出され、案内部材はハウジング2に配置される。案内部材は、移動部材12によってハウジングに対して移動可能であり、それによって排出開口部13が開かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用する前に混合することができる二つの成分を同時に排出するのに適した使い捨ての多成分カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
このような多成分カートリッジは特許文献1から既に知られている。
【0003】
この準備の不都合点は、多くの構成部品が使用されなければならないということである。従来技術による多成分カートリッジは、使い捨ておよび複数回使用双方のために設計されている。しかし、このような多成分カートリッジの複数回使用においては、混合が不規則になり、かつ一旦初回に使用された場合このような多成分カートリッジを密封することが難しい場合があるということが言える。このため、一回使用された多成分カートリッジは、制約の中で保管されなければならない。充填材は、封止が不十分なため空気に接触するようになり、それによりその特性が変化する、すなわち例えば硬化する場合がある。
【0004】
また特許文献1に示される同軸設計の多成分カートリッジは、封止の課題は少ししかないが、非均一な混合の課題が残っている。非均一な混合により、多成分カートリッジの再使用において、多成分カートリッジが使用される各場合に混合の結果が異なってしまう。これは、充填材の一定品質が達成されないということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国実用新案第202008007801号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の目的は、単純な構造を有し、かつ専ら使い捨て用として設計された多成分カートリッジを発展させることである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、プランジャの偶発的な作動によりピストンが意図せず動くことを防ぐことである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、カートリッジが損なわれていないことを使用者に視覚的に表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この解決は、第一成分のための第一供給室、および第二成分のための第二供給室を含む多成分カートリッジを含む。保管状態において、第一成分は、第二成分から隔離され、第一供給室は、第二供給室の周囲に同軸上に配置され、かつ環状空間を形成し、第一ピストンは、第一供給室に移動可能に配置され、および第二ピストンは第二供給室に移動可能に配置されている。二つの成分を同時に排出するために、第一および第二ピストンは、プランジャによって移動可能である。案内部材は、第一供給室の第一ピストンを案内するため、かつ第二供給室の第二ピストンを案内するために設けられる。案内部材は排出開口部を含み、それを通じて第一成分を第一供給室から排出することができる。案内部材は、ハウジングに配置され、案内部材は、移動部材によってハウジングに対して移動可能であり、それにより排出開口部が解放される。
【0010】
したがって本発明による多成分カートリッジの使用上の概念は、基本的に従来技術と異なる。ある量の充填材が必要な使用者は、前述したように手にとって多成分カートリッジを使用する。第一に、多成分カートリッジが損なわれていないことを確かめる。この目的のために、使用者はカートリッジのハウジングに示された方法により移動部材を移動させる。移動部材のこの移動を実行することができない場合、使用者は、多成分カートリッジが既に開封されていることがわかる。
【0011】
使用者が意図した方法で移動部材を作動できる場合、排出開口部が開き、その結果充填材は、排出開口部を通過することができ、ミキサーへ導かれる。使用者は、所望の場所へ充填材を導くように要求に従って多成分カートリッジを調整することができる。この目的のために、また使用者は多成分カートリッジを商業的に利用可能な排出装置に導入することができる。排出装置は、ピストンを供給室に動かすための多成分カートリッジのプランジャに圧力を加える圧力手段を含み、それによって充填材は、対応する供給室から外へ排出される。充填材は、排出開口部を介してミキサーに到達し、混合されてミキサーの端部から排出される。ミキサーの端部は、充填材成分の混合物の噴出口を設置するのに適した部材を含むことができる。
【0012】
案内部材は、ミキサー、特に静的ミキサーを好都合に含む。ミキサーに対する案内部材の位置は、この計測によりあらかじめ決定されるしかし、これはこの設計の全ての多成分カートリッジによる混合は同じ質であると予想できるということを意味する。また案内部材は、排出開口部を含み、その結果流体成分の流れは、個別の多成分カートリッジそれぞれにおいて同じである。したがって、それぞれの利用に対して個別の多成分カートリッジが必要であるが、本発明の概念により意外にも実施された混合に関し、再現性の向上が達成され得る。さらにこの解決法により、個々の部品の数は少なくなり、その結果多成分カートリッジの組立を非常に簡単に行うことができる。
【0013】
したがって多成分カートリッジの充填、および組立において、複雑な設置ステップは必要ない。この結果、異なる場所で充填を分散して行うことができ、指定された使用前にすぐに充填を行うことができる。この好都合点は、充填材が非常に限られた保存寿命である場合により重要になる。
【0014】
移動部材は、案内部材に設けられた雄ネジを含み、これにハウジングに設けられた雌ネジが係合することができる。回転部材としての移動部材のこの実施形態は、扱いが容易であり、かつ定義された回転角度は、形成された案内部材の第一端部およびハウジングとの間の間隙幅に関連することができるという点で好ましい。
【0015】
第二実施形態によると、ピストンおよびプランジャは、ひとつの部品から形成されることができる。この単一部品設計は、構成品数の減少および多成分カートリッジの結合の簡素化に加え、ピストンのひとつの誤った配置、つまりピストンを斜めに配置することが完全になくなるという点で好都合である。結果としてプランジャのピストン部分は、またより小さい設置高さを有することができる。したがってピストン部分は、ハウジング部材の接続部材によって導かれ、その結果ピストン部分の傾斜はこの実施形態により回避することができる。
【0016】
好ましくは、プランジャは、ひとつの部品としてハウジング部材に接続されることができる。プランジャを有するハウジング部材は、ピストン上に配置され、かつ対応する成分の供給室への充填、および第一および第二ピストンの挿入後に案内部材に接続される。この目的のために、係合部材がハウジング部材に設けられ、案内部材にてバネ部材と係合するようになっている。したがってハウジング部材は、案内部材に回転可能にしっかりと接続される。ハウジング部材に接続されたプランジャは、ピストンを開始位置に保持して、供給室の充填材を閉じ込める。充填された多成分カートリッジは、この状態で保管することができ、以下において、この状態を保管状態とする。プランジャ、ピストン、および、ハウジング部材がユニットを形成する場合、このユニットは、充填後案内部材に接続される。
【0017】
ハウジング部材は、所定の破断部を有し、保管状態においてこれを介してプランジャはハウジング部材に接続される。所定の破断部は、ハウジング部材の内部空間が汚染されないように維持する封止として作用することができる。さらなる実施形態によると、所定の破断部は、プランジャ軸に対して縦方向にわたるリブまたは腹板を含む。さらに、これにより使用者が多成分カートリッジが損なわれていないかどうかを評価することができる。所定の破断部が損なわれていない場合、排出において、排出プロセスのはじめは増大した抵抗を克服しなければならなく、これは所定の破断部を破壊するためにさらなる力の印加が必要となるという事実に起因する。所定の破断部の突破は、ハウジング部材に対するプランジャの初期移動によって目に見え、かつほとんどの場合に聞き取ることができる。
【0018】
さらに、第一および第二成分の排出が起こる場合にプランジャに力が加えられた場合に、ハウジング部材およびプランジャ間の接続を分断してプランジャはハウジング部材に対して移動可能である。
【0019】
案内部材は係合部材を介してハウジング部材に接続することができる。係合部材の使用により、供給室への充填後に単純かつ問題のない多成分カートリッジの組立を行うことできる。特に、係合部材はバネ部材を含むことができ、バネ部材は案内部材の周囲において突起として形成されることができる。バネ部材は、ハウジング部材のくぼみに係合し、その結果ハウジング部材は回転可能にしっかりと案内部材に接続される。
【0020】
第一ピストンは、外側ピストンのすそにて環状封止を有する環状ピストンを含む。第一供給室は、第二供給室と同軸上に配置され、この配置により、多成分カートリッジの空間の節約、および小さい構造が達成される。第一供給室が環形状であるため、第一ピストンは環状ピストンとして形成される。当然、また第一供給室は、角のある断面となる。第一ピストンが環形状である場合でも、その形は円形の環形状ではない。
【0021】
対応する成分による供給室の充填後のピストン挿入において,不都合に排出プロセスに対して影響する空気が充填材およびピストンの間に残る場合があるため、第二ピストンは、所定の破断部領域内に開孔部材を好ましく有する。あるいは、またはさらに、案内部材はまた開孔部材を含むことができる。
【0022】
プランジャおよびピストンは、少なくとも部分的に中空とすることができる。これによりプランジャおよびピストンのための材料の消費が少なくなる。さらに、材料の積み重ねが回避できかつ、薄い壁の構成品を使用することができる場合、プランジャおよびピストンは射出成型工程においてより簡単に作られることができる。多成分カートリッジを形成する各構成品は、少なくとも部分的に発泡プラスチックから構成されることができる。
【0023】
同時にプランジャとして作用する単一部品ピストンの使用は以下の好都合点を有する。
【0024】
多成分カートリッジは、広く市場に販売されている標準の排出装置に取り付けることができる。したがって,エンドユーザは、追加の排出装置を購入する必要がなく、むしろ標準の排出装置と共に多成分カートリッジを使用することができる。
【0025】
プランジャは、標準の排出装置への接続を形成する。このプランジャは、標準排出装置に適した寸法を有することができる。
【0026】
多成分カートリッジは、使い捨てのみに用いられることができる。複数回の使用には適していない。したがって静的ミキサーも交換できない。
【0027】
多成分カートリッジは、細くかつ狭い構造に設計することができる。したがって多成分カートリッジは、保管および移送が容易である。
【0028】
使用直前に多成分カートリッジを充填することが可能である。したがって空の多成分カートリッジは、気にせずに保管することができ、かつ充填材は、カートリッジと個別の適した容器により簡単に保管することができる。
【0029】
さらに、多成分カートリッジおよび/または個々の部品はより容易に移送することができ、かつ空の状態においてはより費用効果がある。
【0030】
さらに多成分カートリッジは、偶発的な開口に対する保護を含むことができる。この目的のため、プランジャは周囲のハウジングにしっかり接続されることができる。排出の際にのみ、プランジャおよびハウジング間の接続はプランジャに加えられる圧力によって分断される。したがって、多成分カートリッジがまだ新しいか、または既に使用されている、すなわち損なわれているかということがいつでも目に見える。さらに、ハウジングおよびプランジャ間の接続を分離する際に音が発生するため、多成分カートリッジが使用する前に損なわれていない、すなわち新しいということが音からも検出することができる。認められていない最充填または再使用を単純な方法により回避することができる。
【0031】
本発明による概念は、個々の部品の数が従来技術よりも少ない。例えばミキサーがカートリッジのハウジングにしっかりと接続されているため、全排出サイクル中においてキサーへの流入が同じである。これにより、全く同一の多成分の混合品質が排出サイクル全体でほとんど同じになるだけではなく、同じタイプの異なる多成分カートリッジにおいても混合品質はそれほど異ならない。
【0032】
以下に図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第一実施形態による多成分カートリッジの断面図である。
【図2】図1による多成分カートリッジのピストンの詳細である。
【図3】図1による多成分カートリッジの第一排出開口部領域の詳細である。
【図4】排出位置における図1による多成分カートリッジである。
【図5】図1による多成分カートリッジの排出位置における第一排出開口部領域の詳細である。
【図6】本発明による多成分カートリッジの第二実施形態である。
【図7】図6による多成分カートリッジのピストンの詳細である。
【図8】排出位置における図6による多成分カートリッジである。
【図9】図6による多成分カートリッジの排出位置おける排出開口部領域の詳細である。
【図10】前記実施形態のひとつによる多成分カートリッジの外観図である。
【図11】さらに異なる多成分カートリッジの断面図である。
【図12】図11による異なる多成分カートリッジのさらなる断面図である。
【図13】図11または図12による多成分カートリッジの詳細である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明による使い捨てとして設計された多成分カートリッジ1の第一実施形態を示す。特にこのような多成分カートリッジは少ない、および非常に少ない量の充填材を分配することに使用される。多成分カートリッジ1は、第一成分8用の第一供給室6、および第二成分9用の第二供給室7を含む。第一供給室6は、第二供給室7から分離されており、二つの成分は互いに接触しない。このような成分は、通常互いに接触するとすぐに反応し、化学反応が引き起こされる。成分の相互作用は、通常利用の際に要求される効果であるが、定めた利用範囲内において成分を使用しない限りはこの相互作用は望ましくない。したがって多成分カートリッジの使用より前に、時々充填された状態にて保管されかつ移送されなければならない。これは以下に保管状態として説明される。保管状態の全期間中に二つの成分8,9が互いに接触することがないということが保証されなければならない。
【0035】
第一供給室6は、第二供給室7の周囲に同軸上に配置され、かつ環状空間10を形成する。環状空間は、円形の環状形に形成することができる。第一供給室6は、隔壁28によって第二供給室7から分離されているため、二つの成分8,9は互いに離れて格納されている。この実施形態において、第二供給室7は、多成分カートリッジの縦軸27に一致する縦軸に沿って延在する。隔壁28は、第二供給室7の外側の境界を形成し、かつスカート状に供給室7を取り囲む。隔壁28の第一端部30には第二排出開口部29が開いている。第二成分9は、第二排出開口部29を通じてミキサー14に導かれることができる。図3も参照のこと。また複数の第二排出開口部29を設けることができ、その間にミキサー14への接続を形成する腹板31を配置することができる。
【0036】
隔壁28は、案内部材11の一部である。隔壁28は、第二ピストン4の受け入れとして作用する第二端部32を有する。第二ピストン4は、第二供給室7内に移動可能に配置される。充填材が第二供給室7にある場合、すなわち第二成分9が排出される場合、この第二ピストン4は、案内部材11の隔壁28の内側33に沿って第一端部30の方向に滑らかに動く。案内部材11は、第二供給室7の第二ピストン4を導くために設けられている。
【0037】
第一ピストン3は、第一供給室6内に移動可能に配置される。案内部材11は、第一供給室6の第一ピストン3を導くように設けられている。第一供給室6は、内側は隔壁28によって仕切られ、かつその外側は案内部材11のスカート部材34によって囲まれている。スカート部材34の第一端部領域35には第一排出開口部13が開いている。第一成分8は排出開口部13を通じてミキサー14に導かれることができる。図3または図6参照。また複数の第一排出開口部13を設けることができ、その間に隔壁28またはミキサー14への接続を形成する連結腹板36が配置される。
【0038】
スカート部材34は、案内部材11の一部である。隔壁28およびスカート部材34は、第一ピストン3の受け入れとして作用する端部領域35を有する。第一供給室6内において、第一ピストン3はスカート部材34および隔壁28の外側38の間に移動可能に配置される。充填材が第一供給室6内にある、すなわち第一成分8が排出される場合に、この第一ピストン3は、案内部材11の隔壁28の外側38に沿って端部領域35の方向に滑らかに動く。案内部材11は、第一供給室6の第一ピストン3を導くために設けられている。
【0039】
案内部材11は、特に静的ミキサーとして形成されたミキサー14を含む。特に、案内部材11およびミキサー14は、ひとつの構成品として設計される。
【0040】
同時に二つの成分8,9を排出するために、第一および第二ピストン3,4は、プランジャ5によって移動可能である。プランジャ5は、第一ピストン3および第二ピストン4の上にあるように特に設けられている。多成分カートリッジが保管状態にある限りプランジャ5は、ハウジング部材17にひとつの部品として接続されている。ハウジング部材17は、所定の破断部50を有し、保管状態においてはそれを介してプランジャ5はハウジング部材17に接続されている。この所定の破断部50は、充填材の排出開始時に図4に示すように切断される。プランジャは、二つの同軸のプランジャ本体46,47、内側プランジャ本体46および外側プランジャ本体47を含む。内側プランジャ本体46は、第二ピストン4の上にあり、外側プランジャ本体47は、第一ピストン3の上にある。環状くぼみ48が内側プランジャ本体および外側プランジャ本体の間に配置され、充填材が第一および第二供給室6,7から排出される場合に隔壁28の受け入れとして作用する。内側プランジャ本体46および外側プランジャ本体47は、互いに接続されているため、ピストン3,4を対応する供給室6,7に移動させるために排出プロセス中は同時に移動する。接続部材49は、プランジャ本体に接合し、かつ商業的に入手可能な排出装置に適合することができるよう設けられている。また接続部材49は、ハウジング部材17内に配置されている。接続部材49は、材料の節約として働く空洞50を含むことができる。
【0041】
案内部材11は、係合部材18によってハウジング部材17に接続することができる。
【0042】
第一および第二ピストン3,4は、図2に示されるように互いに接続されることができる。特に、ひとつのピストン構成品39として設計されることが可能である。ピストン構成品39は、案内部材11の隔壁28を受け入れるよう作用するスリット40を有する。ピストン4は、スリットの内側に隣接する。ピストン4は、特にシールリップとして作られた少なくともひとつの封止部材41を有する。ピストン構成品39の使用の好都合点は、傾きに対して安全な方法によってピストン構成品が導かれることができるという事実にある。一方、隔壁28の第二端部32は、スリット40に係合し、他方で、外側ピストンスカート部25は、案内部材11のスカート部材34に沿って導かれる。外側ピストンスカート部25は、環状封止24を有し、また内側ピストンスカート部45は、少なくともひとつの環状封止23を有する。
【0043】
スリット40は、特に環状であり、かつスリット底にピストン構成品39のピストン3およびピストン4の間を接続する架橋部材42を有する。ピストン構成品39が充填材を排出するために排出開口部30方向に移動する場合、すなわち図2の右へ動く場合、架橋部材42は隔壁28の第二端部32に入射して、切断される。その後ピストン4および環状ピストン22として設けられたピストン3は、互いに平行に移動するが、隔壁28によって互いに完全に分離されている。環状封止23,24は開孔部材26を含むことができる。別の方法としては、開孔部材43,44は、案内部材11、特にスカート部材34および/または隔壁28に固定されることができる。開孔部材43はスカート部材34の第二端部領域37近くに好ましく固定される。開孔部材44は、隔壁28の第二端部32近くに好ましく固定される。
【0044】
図3は、第一および第二排出開口部13,29領域を含む多成分カートリッジの詳細を示す。案内部材11は、排出開口部13を含み、それを通じて第一成分8を第一供給室6から排出することができ、かつ案内部材11はハウジング2に配置され、案内部材11は、移動部材12によってハウジング2に対して移動可能であり、それによって排出開口部13を開くことができる。移動部材12によりハウジング2および案内部材11は相対的に動くことができる。図2に示される好適な変形による移動部材12は、案内部材11に設けられた雄ネジ15を含み、その中にハウジング2に設けられた雌ネジ16が係合することができる。移動部材12の操作により、すなわち案内部材11に対してハウジング2を回すことにより、スカート部材34の第一端部領域35がハウジング2に空間を形成するように案内部材がハウジングに対して移動する。したがって第一排出開口部13が開き、これは第一供給室6の充填材の成分8が第一排出開口部13を通じて排出されることが可能であり、かつハウジング2および第一端部領域35の間に形成された通路内にミキサー14の方向へ導かれることができるということを意味する第二排出開口部29の領域において、第一成分8は第二供給室7から来て排出開口部29を通じて排出される第二成分9に接触するようになる。またこの状態は図5に示される。
【0045】
図4は、第一および第二供給室6,7からの充填材の排出の最後における図1による多成分カートリッジを示す。プランジャ5に力が加えられた場合に、プランジャ5はハウジング部材17に対して動かされる。商業的に入手可能な排出装置または手動によってこの力を加えることができる。接続部材49に圧力が加えられた場合に、所定の破断部50として形成されたハウジング部材17およびプランジャ5の間の接続は切断される。
【0046】
図5は、排出位置における図1による多成分カートリッジの第一排出開口部13領域の詳細を示す。したがって図5は、充填材が第一および第二供給室6,7からミキサー14を介して排出された場合、すなわち排出が終わった場合のハウジング2に対する案内部材11の位置を示す。したがって充填材は、意図したようにミキサー14に残っている第一成分8および第二成分9の混合物として使用される。排出が始まる前、すなわち図3の状況になる前に、図2に関連して既に述べたように移動部材12は作動されなければならない。排出開口部13は移動部材12の操作によって開かれる。
【0047】
この好ましい実施形態によると、移動部材12を回すことにより、図3に関して既に述べた通路51が案内部材11およびハウジング2の間に形成され、それを通じて第一成分8がひとつまたは複数の排出開口部13を通りミキサー14へ導かれる。排出開口部は、案内部材11の第一端部領域35の円錐の壁にあてはまる。図5の断面図は案内部材11の隔壁28を案内部材11のスカート部材34に接続する接続腹板36が示されるように描かれている。
【0048】
図5による描写においては、第一ピストン3を形成する環状ピストン22により排出開口部13は閉じられている。排出開口部29は第二ピストン4により閉じられている。少なくともひとつの封止部材52が案内部材11のスカート部材34およびハウジング2の間に配置されているので、通路51にある第一成分8は、今ミキサー14の方向へ導かれることができる。スカート部材34は、好ましく円柱であり、かつさらに円筒断面52を有するハウジング2の同軸状に配置される。スカート部材34および円筒断面52の間に存在する間隙54の幅は、案内部材11に対するハウジング2の移動によって変化せず、その結果この間隙54の封止は、特に問題とならない。
【0049】
さらに図5は、スカート部材34の第二端部領域36の外側の封止部材55,56,57を示す。供給室6,7が満たされ、案内部材11がハウジング2の内壁に当接する場合に、これら封止部材55,56,57は、対応する第一および第二成分8,9の第一および第二供給室6,7への充填においてその役割を果たす。間隙51の幅は理想的にはゼロがよい。製作公差によって間隙の幅は、局所的にゼロより大きくなる場合があり、したがって封止部材55および56は、排出開口部13に位置する第一成分8がこのような狭い間隙に移動することを防ぐために設けられている。封止部材56および57は、第二成分9が排出開口部29を介して狭い間隙51に移動することを防いでいる。したがって封止部材により、第一および第二成分が間隙に移動し、望まれない方法にて接触することを防いでいる。
【0050】
さらに図5および図6または図7に示すように、ハウジング2は係合部材18によりハウジング部材17に接続可能である。係合部材18は、バネ部材19を含む。バネ部材19は、ハウジング2周囲の突起20として形成されているバネ部材19は、ハウジング部材17のくぼみ21に係合するため、ハウジング部材17は、回転可能にしっかりとハウジング2に接続される。
【0051】
図6は、第一ピストン3およびプランジャ5がひとつの部品から作られている第二実施形態による多成分カートリッジを示す。この多成分カートリッジの設計および操作モードは、第一実施形態とは異ならないため、図1〜図5の説明を基本的に参照のこと。
【0052】
前記実施形態との著しい違いは、ピストン3,4がプランジャ5とひとつの部品として形成されるという点にある。またプランジャがハウジング部材17にひとつの部品として接続されているため、前記実施形態に比べ少なくともひとつの構成品の数だけ減少する。ピストン3,4は、少なくとも部分的に中空または薄い壁であり、材料消費を減少させることに加え、ピストンの製造に好都合である。
【0053】
図7は図6による多成分カートリッジのピストンの詳細を示す。図7は、異なる構成のピストン3が示されている図2に対応する図である。ピストン4と共にピストン3は、ピストン構成品39を形成し、かつくぼみ48によって互いに隔離されている。くぼみ48は隔壁28を受け入れるよう作用する。排出開口部領域の具体例に対する図3を参照のこと。また開孔部材43、および隔壁33の内側の開孔部材44は図7に示される。開孔部材は、隔壁の内側にて少なくともひとつのくぼみ形状の溝の形を有することが好ましい。複数の開孔部材44は互いに対称的に配置されることが特に好ましく、図7においては4つの開孔部材44が互いに対称的に配置されている。
【0054】
図8は、排出位置における図6による多成分カートリッジを示す。図6の説明を参照のこと。
【0055】
図9は、排出位置における図6による多成分カートリッジの排出開口部領域の詳細を示す。操作モードは、同様に図5による操作モードに対応しているため、そこでの説明を参照のこと。
【0056】
図10は、外側からの前述の実施形態のひとつの多成分カートリッジを示す。案内部材11は、係合部材18によってハウジング部材17に接続されることができる。係合部材18は、バネ部材19を含むことができる。バネ部材19は、案内部材11の周囲の突起20として形成することができる。
【0057】
図11および図12はさらに異なる多成分カートリッジを示す。再度、同じ部品は同じ参照番号として設けられているため、前述の実施形態における対応する説明を参照のこと。したがって、図11は多成分カートリッジの縦断面図を示す。二つの成分8,9を同時に排出するために第一および第二ピストン3,4は、プランジャ5によって移動可能である。特にプランジャ5は、第一ピストンとともにひとつの部品に形成され、かつ第二ピストン4はプランジャ5に収容される。多成分カートリッジが保管状態である限りプランジャ5は、ハウジング部材17にひとつの部品として接続されている。第二ピストン4は特にプラグ接続アセンブリ58によってプランジャ5内に保持される。別の方法としては、この目的のためにネジ式接続またはスナップオン接続、すなわち形を合わせる方法または力を伝達する方法により第二ピストン4がプランジャ内に保持されるような接続をまた設けることができる。特に、プラグ接続アセンブリ58は、保持リブとして形成された少なくともひとつの保持部材59、好ましくは複数の保持部材を含む。特に好ましくは4つの保持リブが設けられ、これによって第二ピストン4は保持され、かつ中央に位置する。保持リブの内側の縁または内側面は円錐形に設けられ、その結果第二ピストン4は中にはまることができる。第二ピストン4は、同時にプランジャの機能を有する。第二ピストン4の内側第一端部61は隔壁28に導かれる。図に示すように、第二ピストン4は中身の詰まった本体とすることができるが、また重量および材料の節約のため少なくとも部分的に中空の本体として形成されることもできる。
【0058】
図12は、図11の縦断面図に対する図12の断面を45°回転させた平面に沿った縦断面図を示す。図12において、図13にさらに詳細に図示される保持部材59の間にある中間空間60が示されている。
【0059】
図13は、内側端部61の第二ピストン4の反対の第二端部62の詳細図を示す。この第二端部62は前述したプラグ接続アセンブリ58によって、プランジャ5に保持される。ひとつの中間空間60、または複数の中間空間が設けられている場合には各中間空間は、カットアウト63に通じている。気体、特に空気は、第二供給室7から開孔部材44を介し、くぼみ48から穴65を通じてプランジャ内部の通路64へ導かれることができる。図1に示すように、通路64は、大気へ通じることができる、または図11または図12に図示されるような密閉部材を設けることができる。くぼみ63は、1つ以上の溝、特に互いに120°の角度で配置された3つの溝を含むことができる。したがって第一ピストン3に接続された外側プランジャ本体47および第二ピストン4の間に中間空間を形成する中間空間60に接続されたひとつまたは複数のカットアウト63によって、くぼみ48の通気を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
1 多成分カートリッジ
2 ハウジング
3 第一ピストン
4 第二ピストン
5 プランジャ
6 第一供給室
7 第二供給室
8 第一成分
9 第二成分
10 環状空間
11 案内部材
12 移動部材
13 第一排出開口部
14 ミキサー
15 雄ネジ
16 雌ネジ
17 ハウジング部材
18 係合部材
19 バネ部材
20 突起
21 くぼみ
22 環状ピストン
23 環状封止
24 環状封止
25 外側ピストンスカート部
26 開孔部材
27 縦軸
28 隔壁
29 第二排出開口部
30 第一端部
31 腹板
32 第二端部
33 内側
34 スカート部材
35 第一端部領域
36 連結腹板
37 第二端部領域
38 外側
39 ピストン構成品
40 スリット
41 封止部材
42 架橋部材
43 開孔部材
44 開孔部材
45 内側ピストンスカート部
46 内側プランジャ本体
47 外側プランジャ本体
48 環状くぼみ
49 接続部材
50 破断部
51 通路
52 円筒断面
54 間隙
55 封止部材
56 封止部材
57 封止部材
58 プラグ接続アセンブリ
59 保持部材
60 中間空間
61 内側第一端部
62 第二端部
63 カットアウト
64 通路
65 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て用として設計された多成分カートリッジ(1)において、該多成分カートリッジは、第一成分(8)のための第一供給室(6)と、第二成分(9)のための第二供給室(7)とを含み、前記第一供給室(6)は、前記第二供給室(7)から離隔され、前記第一供給室(6)は、前記第二供給室(7)の周囲に同軸上に配置され、かつ環状空間(10)を形成し、第一ピストン(3)は、前記第一供給室(6)に移動可能に配置され、かつ第二ピストン(4)は、前記第二供給室(7)に移動可能に配置され、前記二つの成分(8,9)を同時に排出するために、前記第一および第二ピストン(3,4)は、プランジャ(5)によって移動可能であり、案内部材(11)は、前記第一供給室(6)の前記第一ピストン(3)を導くために、かつ前記第二供給室(7)の前記第二ピストン(4)を導くために設けられ、前記案内部材(11)は排出開口部(13)を含み、該排出開口部を通じて、前記第一成分(8)が前記第一供給室(6)から排出されることが可能であり、かつ前記案内部材(11)はハウジング(2)内に配置され、前記案内部材(11)は移動部材(12)によって前記ハウジング(2)に対して移動可能であり、それによって前記排出開口部(13)が開くことができることを特徴とする多成分カートリッジ。
【請求項2】
前記案内部材(11)がミキサー(14)を含む、請求項1に記載の多成分カートリッジ。
【請求項3】
前記ミキサー(14)が静的ミキサーとして形成されている、請求項2に記載の多成分カートリッジ。
【請求項4】
前記移動部材(12)が前記案内部材(11)に設けられた雄ネジ(15)を含み、該雄ネジに、前記ハウジング(2)に設けられた雌ネジ(16)が係合することができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多成分カートリッジ。
【請求項5】
前記第一ピストン(3)および前記プランジャ(5)がひとつの部品として形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多成分カートリッジ。
【請求項6】
前記プランジャ(5)がハウジング部材(17)にひとつの部品として接続されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の多成分カートリッジ。
【請求項7】
前記ハウジング部材(17)が所定の破断部(50)を有し、保管状態においては該破断部を介して前記プランジャ(5)が前記ハウジング部材(17)に接続されている、請求項6に記載の多成分カートリッジ,
【請求項8】
前記プランジャ(5)に力が加えられた場合、前記ハウジング部材(17)および前記プランジャ(5)の間の前記接続が壊され、前記プランジャ(5)は前記ハウジング部材(17)に対して移動することができ、前記第一および前記第二成分の排出が生じる、請求項7に記載の多成分カートリッジ。
【請求項9】
前記ハウジング(2)が係合部材(18)によってハウジング部材(17)に接続されることが可能である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多成分カートリッジ。
【請求項10】
前記係合部材(18)がバネ部材(19)を含む、請求項9に記載の多成分カートリッジ。
【請求項11】
前記バネ部材(19)が前記案内部材(11)周囲の突起(20)として形成されている、請求項10に記載の多成分カートリッジ。
【請求項12】
前記バネ部材(19)が前記ハウジング部材(17)のくぼみ(21)に係合することにより、前記ハウジング部材(17)が前記ハウジング(2)にひとつの回転方向に回転可能にしっかり接続されている、請求項11に記載の多成分カートリッジ。
【請求項13】
前記第一ピストン(3)が外側のピストンスカート部(25)に環状封止(24)を有する環状ピストン(22)を含んでいる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多成分カートリッジ。
【請求項14】
前記案内部材(11)が開孔部材(43,44)を含んでいる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の多成分カートリッジ。
【請求項15】
前記プランジャ(5)および前記ピストン(3,4)が少なくとも部分的に中空である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の多成分カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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