説明

使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物および使い捨て用樹脂成形品

本発明は、優れた機械的物性を維持しながらも生分解性を示して親環境的特性を有する使い捨て用樹脂成形品の提供を可能にする使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物および使い捨て用樹脂成形品を提供する。本発明による前記使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物は、ポリアルキレンカーボネート樹脂を含んでも良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物、使い捨て用樹脂成形品およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、優れた機械的物性を維持しながらも生分解性を示して親環境的特性を有する使い捨て用樹脂成形品の提供を可能にする使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物および使い捨て用樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、使い捨て用手袋、包装に使用される使い捨て用フィルム、使い捨て用カップまたは使い捨て用皿などの使い捨て用容器、および建築材料または自動車内装材などとして使用され、焼却処分が可能な使い捨て用ゴム成形品などの使い捨て用樹脂成形品が幅広く使用されている。
【0003】
例えば、使い捨て用手袋は使用後に捨てる再利用が困難な手袋であって、医学分野または化学/化工分野などの産業現場で主に使用されており、最近は食べ物や化粧品のような衛生または人体健康に関連した多様な分野にも幅広く使用および消費されている。
【0004】
このような使い捨て用樹脂成形品、例えば、使い捨て用手袋などは薄くて弾性力があり、ゴムと類似する性質を有する多様な樹脂から製造され得る。例えば、合成ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンブタジエンスチレン、スチレンイソプレンスチレン、シリコン、ポリブタジエンメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルまたはポリスチレンエチレンブチレンスチレンなどのようにゴムと同一または類似する性質を有する多様な樹脂から製造され得る。
【0005】
しかしながら、これら樹脂から製造される使い捨て用樹脂成形品は使用後に環境的に分解され難く、焼却または埋立時に不安定燃焼による有害ガス発生により環境汚染を起こすおそれが多い。
【0006】
そのため、多様な生分解性樹脂で前記使い捨て用樹脂成形品を製造しようとする試みが行われたことがあるが、まだ生分解性を示しながらも使い捨て用手袋などの使い捨て用樹脂成形品に要求されるゴムと類似する弾性や伸び率または強度などの機械的物性を満たす使い捨て用樹脂成形品は開発されていない実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,953,383号
【特許文献2】米国特許第5,026,676号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Inoue et al.Polymer J.,1982、14、327〜330
【非特許文献2】Inoue et al.Chem.Pharm.Bull、Jpn、1983、31、1400
【非特許文献3】Ree et al.Catalysis Today、2006、115、288〜294
【非特許文献4】Inoue et al.Poly Lett.,1969、7、287
【非特許文献5】Coates et al.Angew.Chem.Int.Ed.2004、43、6618〜6639
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、優れた機械的物性を維持しながらも生分解性を示して親環境的特性を有する使い捨て用樹脂成形品の提供を可能にする樹脂組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、強度または伸び率などの機械的物性が優秀に維持されながらも生分解性を示して親環境的特性を有する使い捨て用樹脂成形品を提供する。
【0011】
さらに、本発明は前記使い捨て用樹脂成形品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物を提供する。このような樹脂組成物は、イソシアネート化合物を含む架橋剤をさらに含んでも良い。
【0013】
また、本発明は、ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む樹脂組成物を形成する段階;および前記樹脂組成物で使い捨て用樹脂成形品の樹脂層を形成する段階を含むポリアルキレンカーボネート樹脂の使用方法を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、ポリアルキレンカーボネート樹脂およびイソシアネート化合物を含む架橋剤を含む樹脂組成物を形成する段階;および前記樹脂組成物で使い捨て用樹脂成形品の樹脂層を形成する段階を含むポリアルキレンカーボネート樹脂の使用方法を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む樹脂層を含む使い捨て用樹脂成形品を提供する。このような使い捨て用樹脂成形品は、ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む樹脂組成物を形成する段階;および前記樹脂組成物を乾燥および硬化して使い捨て用樹脂成形品の樹脂層を形成する段階を含む方法で製造されても良い。
【0016】
さらに、本発明は、ポリアルキレンカーボネート樹脂と、イソシアネート化合物を含む架橋剤の架橋物を含む樹脂層を含む使い捨て用樹脂成形品を提供する。このような使い捨て用樹脂成形品は、ポリアルキレンカーボネート樹脂と、イソシアネート化合物を含む架橋剤を含む樹脂組成物を形成する段階;および前記樹脂組成物を乾燥および硬化して使い捨て用樹脂成形品の樹脂層を形成する段階を含む方法で製造されても良い。
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態による使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物、使い捨て用樹脂成形品およびその製造方法について説明する。
【0018】
明示的な他の記載がない限り、本明細書全体において使用される幾つかの用語は次の通り定義される。
【0019】
本明細書全体において特別な言及がない限り「含む」または「含有する」とは、如何なる構成要素(または構成成分)を特別な制限なく含むことを指称し、他の構成要素(または構成成分)の付加を除くものと解釈されてはならない。
【0020】
また、本明細書全体において、「ポリアルキレンカーボネート樹脂」とは、エポキシド系化合物、例えば、アルキレンオキシド系化合物と二酸化炭素をモノマーとして使用して共重合を通じて製造されたポリカーボネート系高分子の一種であって、下記一般式1の繰り返し単位を含む単一重合体または共重合体と定義されても良い。
【0021】
【化1】

【0022】
(前記式において、RとRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはシクロアルキル基であり、RおよびRが互いに連結されてシクロアルキル基を形成しても良い。)
【0023】
このような「ポリアルキレンカーボネート樹脂」は、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ペンテンオキシド、2−ペンテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、1−オクテンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシドまたはブタジエンモノオキシドなどやこれらの中から選択された2種以上の多様なエポキシド系モノマーを使用して得られても良い。このような「ポリアルキレンカーボネート樹脂」は前記繰り返し単位による特有の物性を維持することができるように、前記繰り返し単位からなる単一重合体からなったり、前記繰り返し単位を含む共重合体からなっても良く、例えば、前記一般式1の範疇に属する2種以上の繰り返し単位の共重合体からなったり、前記繰り返し単位と共にアルキレンオキシド樹脂系繰り返し単位などを含む共重合体からなっても良い。ただし、前記一般式1の繰り返し単位による特有の物性、例えば、生分解性または低いガラス転移温度などを維持することができるように、前記「ポリアルキレンカーボネート樹脂」は前記一般式1の繰り返し単位の1種以上を約40モル%以上、好ましくは約60モル%以上、より好ましくは約80モル%以上で含む共重合体からなっても良い。
【0024】
前記「ポリアルキレンカーボネート樹脂」として指称され得る重合体の範疇には、前記一般式1の繰り返し単位を含む重合体の形成のための重合が完了した後のすべての状態の重合体、例えば、前記繰り返し単位を含む単一重合体または共重合体の形成のための重合が完了した後の未精製または精製された状態の重合体、製品成形前の液状または固状の樹脂組成物に含まれている重合体、または硬化(あるいは他の化合物を媒介とした架橋)および製品成形が完了した樹脂層や使い捨て用樹脂成形品に含まれている重合体などがすべて含まれても良い。
【0025】
そして、本明細書全体において、「樹脂組成物」とは、前記「ポリアルキレンカーボネート樹脂」を含んだりこれから製造されるものであって、硬化前の液状組成物のみならず、硬化(あるいは架橋)または製品成形後の固状組成物、樹脂層または使い捨て用樹脂成形品のすべての状態の組成物を包括して指称するものと定義される。
【0026】
また、本明細書全体において、「使い捨て用樹脂成形品」とは、半永久的または永久的に使用されず、一回あるいは数回以内、例えば、10回以内、好ましくは5回以内使用後に廃棄されたり所定の工程を通じて洗浄または再処理される任意の樹脂材成形品を指称する。このような「使い捨て用樹脂成形品」はゴムと類似する性質、例えば、後述する実施例5の条件により測定した時、最小約150%以上の伸び率および約5MPa以上の強度、好ましくは約400%以上の伸び率および約10MPa以上の強度が要求される樹脂材成形品であって、一回あるいは数回以内使用後に廃棄されたり洗浄または再処理される任意の成形品からなっても良い。このような「使い捨て用樹脂成形品」は前記伸び率および強度範囲を満たす樹脂層を含んだり、このような樹脂層のみからなっても良い。このような成形品の例としては、使い捨て用手袋、使い捨て用フィルム、使い捨て用カップまたは使い捨て用皿などの使い捨て用容器、および建築材料または自動車内装材などとして使用され、焼却処分が可能な使い捨て用ゴムまたは樹脂成形品などがある。このような「使い捨て用樹脂成形品」の用途は特に限定されず、医学、化学、化工、食料または化粧品などの多様な分野で使用される成形品を包括することができる。
【0027】
一方、本発明者らは多様な生分解性樹脂の中でもポリアルキレンカーボネート樹脂の場合、使い捨て用樹脂成形品に要求されるゴムと類似する弾性や伸び率または強度などの優れた機械的物性を示しながらも生分解性を示すため、これを使用すれば従来の使い捨て用樹脂成形品の問題点を解決し、優れた物性を示しながらも生分解が可能で環境親和的な使い捨て用樹脂成形品を提供することができることを明らかにして発明を完成した。
【0028】
そこで、本発明の一実施形態により、ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物が提供される。
【0029】
このような樹脂組成物はポリアルキレンカーボネート樹脂を主成分として含むものである。前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は非結晶性で透明な樹脂であって、類似系列のエンジニアリングプラスチックである芳香族ポリカーボネート樹脂とは異なり、生分解が可能で低い温度で熱分解が可能であるばかりか、二酸化炭素と水への完全分解が起きて炭素残留物がないという長所を有している。
【0030】
また、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は約40℃以下、例えば、約10〜40℃程度の比較的低いガラス転移温度(Tg)を有し、この範囲内での調節が可能であるため、これから得られた樹脂層や使い捨て用樹脂成形品はゴムと類似する弾性を示すことができる(Inoue et al.Polymer J.,1982、14、327〜330)。
【0031】
ひいては、本発明者らの実験結果によれば、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂から得られた樹脂層などは使い捨て用樹脂成形品としての用途に適した伸び率または強度などの優れた機械的物性を示すことが明らかになった。
【0032】
したがって、前述したポリアルキレンカーボネート樹脂およびこれを含む樹脂組成物を使用することによって、使い捨て用樹脂成形品に要求される優れた物性を維持しながらも生分解および完全燃焼分解などが可能で親環境的な特性を有する使い捨て用樹脂成形品の提供が可能になる。
【0033】
一方、前記樹脂組成物において、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は下記化学式1で表される繰り返し単位を含んでも良い。
【0034】
【化2】

【0035】
(前記式において、nは、10〜1000の整数であり、RとRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルケニル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、RおよびRが互いに連結されて炭素数3〜10のシクロアルキル基を形成しても良い。)
【0036】
より具体的に、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、前記繰り返し単位からなる単一重合体からなったり、前記繰り返し単位を含む共重合体からなっても良く、より具体的に、前記化学式1の範疇に属する2種以上の共重合体からなったり、前記繰り返し単位の1種以上と共にアルキレンオキシド樹脂系繰り返し単位などを含む共重合体からなっても良い。ただし、前記化学式1の繰り返し単位による特有の生分解性または低いガラス転移温度などを維持することができるように、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、前記化学式1の繰り返し単位の1種以上を約40モル%以上、好ましくは約60モル%以上、より好ましくは約80モル%以上で含む共重合体からなっても良い。
【0037】
また、前記化学式1の繰り返し単位には水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルケニル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基などの多様な官能基が置換されても良いが、最終的に得ようとするポリアルキレンカーボネート樹脂の機械的物性または生分解性などを考慮してこれらの中で適切な官能基が選択されても良い。例えば、水素やより小さい炭素数の官能基(例えば、小さい炭素数のアルキル基またはシクロアルキル基など)が置換された場合、前記化学式1の繰り返し単位を含むポリアルキレンカーボネート樹脂は生分解性の側面でより有利であり、相対的に大きい炭素数の官能基が置換された場合には、樹脂の強度などの機械的物性の側面で有利であることがある。具体的な例として、ポリエチレンカーボネート樹脂がポリプロピレンカーボネート樹脂に比べてより急速に生分解されることが報告されたことがある(Inoue et al.Chem.Pharm.Bull、Jpn、1983、31、1400;Ree et al.Catalysis Today、2006、115、288〜294)。
【0038】
そして、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂において、前記化学式1の繰り返し単位の重合度nは10〜1000、好ましくは50〜500であっても良く、これを含むポリアルキレンカーボネート樹脂は約10,000〜約1,000,000、好ましくは約50,000〜約500,000の重量平均分子量を有しても良い。前記繰り返し単位およびポリアルキレンカーボネート樹脂がこのような範囲の重合度および重量平均分子量を有することによって、これから得られた樹脂層または使い捨て用樹脂成形品が適切な強度などの機械的物性と共に生分解性を示すことができる。
【0039】
一方、前記使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物は、ポリアルキレンカーボネート樹脂を単独で含んだり、他の樹脂、例えば、ポリラクチド樹脂またはポリブチレンサクシネートなどの生分解性ポリエステル樹脂などを共に含んでも良い。ただし、ポリアルキレンカーボネート樹脂特有の生分解性または低いガラス転移温度などの諸般物性が示されるように、前記樹脂組成物はこれに含まれている全体樹脂の含量を基準に約40重量%以上、好ましくは約60重量%以上、より好ましくは約80重量%以上のポリアルキレンカーボネート樹脂を含んでも良い。
【0040】
また、前記樹脂組成物は、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂と共に所定の架橋剤をさらに含んでも良く、このような架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物が挙げられる。また、このようなイソシアネート化合物と共に2以上のヒドロキシ基を有するアルコール化合物(多価アルコール化合物)を前記架橋剤として含んでも良い。前記ポリアルキレンカーボネート樹脂はその末端にヒドロキシ基を含むため、イソシアネート化合物と反応してウレタン結合を形成することができる。また、前記多価アルコール化合物は前記イソシアネート化合物とウレタン結合を形成しながら、このようなウレタン結合をチェーン連結して前記ポリアルキレンカーボネート樹脂とイソシアネート化合物の連結を媒介するチェーン延長剤として作用しても良い。
【0041】
これによって、前記樹脂組成物にイソシアネート化合物を含ませれば、このような樹脂組成物を硬化して製品を成形する過程で複数のウレタン結合(アミド結合)が含まれている架橋構造が形成され得る。また、前記樹脂組成物にイソシアネート化合物および多価アルコール化合物を共に含ませる場合にも、前記イソシアネート化合物が前記ポリアルキレンカーボネート樹脂の末端ヒドロキシ基または多価アルコール化合物のヒドロキシ基と複数のウレタン結合を形成し、前記多価アルコール化合物がウレタン結合をチェーン連結して前記ポリアルキレンカーボネート樹脂とイソシアネート化合物の連結を媒介するチェーン延長剤として作用することができるため、複数のウレタン結合が含まれている架橋構造が効果的に形成され得る。
【0042】
したがって、このような樹脂組成物から、前記イソシアネート化合物および選択的に多価アルコール化合物を媒介として前記ポリアルキレンカーボネート樹脂が架橋された形態の架橋物を含む樹脂層および使い捨て用樹脂成形品が得られる。このような樹脂層および使い捨て用樹脂成形品は前記架橋構造により、一層向上した引張強度などの機械的物性を示すことができるため、前述した架橋剤を追加的に含む樹脂組成物を利用して生分解性と共により向上した機械的物性を示す使い捨て用樹脂成形品を提供することができるようになる。
【0043】
また、前記樹脂組成物において、前記イソシアネート化合物または2以上のヒドロキシ基を有する多価アルコール化合物は、それぞれ前記ポリアルキレンカーボネート樹脂の100重量部に対して約0.01〜約10重量部の含量で含まれても良く、好ましくは前記イソシアネート化合物を含む架橋剤や、前記イソシアネート化合物および多価アルコール化合物を含む架橋剤が前記ポリアルキレンカーボネート樹脂の100重量部に対して約0.01〜約10重量部、より好ましくは約0.1〜約7重量部、最も好ましくは約1〜約5重量部の含量で含まれても良い。
【0044】
前記イソシアネート化合物の含量が過度に小さくなれば、ウレタン結合を含む架橋構造が十分に形成されず、前記樹脂組成物から得られた使い捨て用樹脂成形品の強度、その他機械的物性が不十分になることがある。反対に、イソシアネート化合物の含量が過度に大きくなれば、前記樹脂組成物が固く固まったりゲル化されて優れた物性を有する樹脂層または使い捨て用樹脂成形品を得ることが難しくなる。
【0045】
そして、前記多価アルコール化合物の場合にも、含量が過度に小さくなる場合、このような多価アルコール化合物の選択的添加によって得ようとする使い捨て用樹脂成形品の機械的物性などを十分に達成することができないこともあり、反対に過度に大きくなる場合には、前記使い捨て用樹脂成形品が適切な生分解性を示すことができないことがある。
【0046】
また、前記イソシアネート化合物としては、脂肪族イソシアネート化合物または芳香族イソシアネート化合物など多様な化合物を特別な制限なく使用しても良く、その具体的な例としては、エチレンジイソシアネート(ethylene diisocynate)、1,4−テトラメチレンジイソシアネート(1,4−tetramethylene diisocynate)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−hexamethylene diisocynate)、1,12−ドデカンジイソシアネート(1,12−dodecane diisocynate)、シクロブタン1,3−ジイソシアネート(cyclobutane 1,3−diisocynate)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート(cyclohexane 1,3−diisocynate)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート(cyclohexane 1,4−diisocynate)、m−キシレンジイソシアネート(m−xylene diisocynate)、p−キシレンジイソシアネート(p−xylene diisocynate)、2,4−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート(2,4−hexahydrotolyene diisocynate)、2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート(2,6−hexahydrotolyene diisocynate)、ペルヒドロ−2,5’−ジフェニルメタンジイソシアネート(perhydro−2,5’−diphenyl methane diisocynate)、ペルヒドロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(perhydro−4,4’−diphenyl methane diisocynate)、1,3−フェニレンジイソシアネート(1,3−phenylene diisocynate)、1,4−フェニレンジイソシアネート(1,4−phenylene diisocynate)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−tolylene diisocynate)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−tolylene diisocynate)およびトリフェニルメタン−4,4’,4”−トリスイソシアネート(triphenyl methane−4,4’,4”−trisisocynate)などが挙げられる。
【0047】
そして、前記樹脂組成物に選択的に付加される2以上のヒドロキシ基を有する多価アルコール化合物としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールなどのような脂肪族ジオール化合物;1,2,6−トリヒドロキシヘキサンまたは1,3,5−シクロヘキサントリオールのような環状トリオール化合物;ペンタエリトリトールのようなテトラオール化合物;または1,4−ジヒドロキシジエチルベンゼンのような芳香族ジオール化合物を使用しても良く、その他にも多様な多価アルコール化合物を特別な制限なく使用しても良い。
【0048】
一方、前述した樹脂組成物において、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、例えば、金属触媒の存在下に、所定のエポキシド系モノマーと、高圧の二酸化炭素を共重合して前述した化学式1の繰り返し単位を形成する段階を含む方法で製造されても良い。
【0049】
この時、前記エポキシド系モノマーとしては、エポキシド、アルキレンオキシド、アリールオキシド、アルケニルオキシドおよびシクロアルキレンオキシド、アリールオキシレンおよびアルケニルオキシレンからなる群より選択された1種以上を使用しても良く、このようなモノマーの具体的な種類は前記化学式1の繰り返し単位に置換されたRおよびRの種類を考慮して自明に決定しても良い。前記エポキシド系モノマーのより具体的な例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはシクロヘキシレンオキシドなどやこれらの中で選択された2種以上の混合物が挙げられる。
【0050】
このようなエポキシド系モノマーから得られたポリアルキレンカーボネート樹脂は、使い捨て用樹脂成形品に好ましく適用可能な強度および伸び率などの機械的物性と共にゴムと類似する弾性などを示すことができ、生分解性を示すことができる。また、前記羅列された多様なエポキシド系モノマーの中で適切に選択されたモノマーを使用してポリアルキレンカーボネート樹脂を得、これから樹脂組成物および使い捨て用樹脂成形品を製造することによって、ガラス転移温度のような熱的性質、機械的物性または生分解性などを適切に調節することができ、これから各用途に合う諸般物性を示す使い捨て用樹脂成形品を得ることができる。例えば、相対的に小さい炭素数を有するエポキシド系モノマーから得られたポリアルキレンカーボネート樹脂は生分解性の側面でより有利であることがあり、大きい炭素数を有するモノマーから得られた樹脂は機械的物性の側面でより有利なことがある。
【0051】
また、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂の製造のために適用可能な金属触媒については以前から多様な研究が進行されたことがある(Inoue et al.米国特許第3,953,383号;Inoue et al.Poly Lett.,1969、7、287;Coates et al.Angew.Chem.Int.Ed.2004、43、6618〜6639)。例えば、水またはジカルボン酸化合物とジエチル亜鉛を反応させて得た触媒を使用し、二酸化炭素とエポキシド系モノマーを共重合することによってポリアルキレンカーボネート樹脂を製造する方法が研究されたことがあり、その他にも亜鉛−グルタレート触媒のように酸化亜鉛とジカルボン酸を反応させて得た多様な不均一系触媒を使用する方法が研究されたことがある(米国特許第5,026,676号など)。その他、水、ヒドロキシフェノール、芳香族または脂肪族カルボン酸やアミン類などの活性水素含有化合物を有機亜鉛化合物と反応させて得た多様な不均一系触媒が研究されたことがあり、亜鉛、コバルトまたはクロムなどの金属に立体障害が大きい有機リガンドが結合して有機溶媒に溶解させることができる均一系触媒の使用に対しても研究されたことがある(Coates et al.Angew.Chem.Int.Ed.2004、43、6618〜6639)。
【0052】
本発明の一実施形態による樹脂組成物に含まれるポリアルキレンカーボネート樹脂は、以前から知られたこれら均一系または不均一系触媒のいずれかの金属触媒下でも製造され得、このような金属触媒は、亜鉛、コバルトまたはクロムなどを含み、前記エポキシド系モノマーと二酸化炭素の共重合を促進することができる如何なる触媒であっても良い。
【0053】
一方、前述した本発明の一実施形態による使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物は、前述したポリアルキレンカーボネート樹脂と架橋剤などの以外にも、可塑剤、硬化剤または溶剤など通常の添加剤や媒質をさらに含んでも良い。これら添加剤や溶剤などの種類または含量は通常の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物の通常の構成に従う。
【0054】
前記使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物はポリアルキレンカーボネート樹脂を含むことによって、使い捨て用樹脂成形品に適した優れた機械的物性およびゴムと類似する弾性を示しながらも、生分解性を示して親環境的な特性を有する使い捨て用樹脂成形品の提供を可能にする。このような使い捨て用樹脂成形品は従来の使い捨て用樹脂成形品が有していた環境汚染などの問題点を解決することができるようにする。
【0055】
そこで、本発明の他の実施形態により、ポリアルキレンカーボネート樹脂の新規な用途(使用方法)が提供される。このような使用方法の一実施例は、ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む樹脂組成物を形成する段階;および前記樹脂組成物で使い捨て用樹脂成形品の樹脂層を形成する段階を含んでも良い。また、このような使用方法の他の実施例は、ポリアルキレンカーボネート樹脂およびイソシアネート化合物を含む架橋剤を含む樹脂組成物を形成する段階;および前記樹脂組成物で使い捨て用樹脂成形品の樹脂層を形成する段階を含んでも良い。
【0056】
このようにポリアルキレンカーボネート樹脂、これを含む樹脂組成物またはこれと共に所定の架橋剤を含む樹脂組成物を使い捨て用樹脂成形品の製造のための新規用途に使用することによって、前述したように、優れた機械的物性および生分解性を示す使い捨て用樹脂成形品が提供され得る。
【0057】
本発明のさらに他の実施形態により、前述した樹脂組成物から製造された使い捨て用樹脂成形品が提供される。このような使い捨て用樹脂成形品の一実施例は、ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む樹脂層を含んでも良い。
【0058】
前記使い捨て用樹脂成形品はこれに含まれている樹脂層が優れた引張強度や伸び率などの機械的物性を発現し、ゴムのような弾性を示しながらも、ポリアルキレンカーボネート樹脂特有の生分解性および完全分解特性を示すことによって、環境汚染を防止し、環境親和的に使用され得る。
【0059】
一方、前記使い捨て用樹脂成形品の他の実施例は、ポリカーボネート樹脂と、架橋剤、例えば、イソシアネート化合物を含んだり、このような化合物と多価アルコール化合物を共に含む架橋剤との架橋物を含む樹脂層を含んで構成されても良い。
【0060】
このような使い捨て用樹脂成形品の他の実施例において、前記架橋物は、ポリアルキレンカーボネート樹脂末端のヒドロキシ基が前記架橋剤のイソシアネート化合物と複数のウレタン結合を形成している架橋構造を含んでも良い。また、前記架橋剤が前記イソシアネート化合物および多価アルコールを共に含む場合、前記架橋物は前記ポリアルキレンカーボネート樹脂末端のヒドロキシ基または前記アルコール化合物のヒドロキシ基がイソシアネート化合物と複数のウレタン結合を形成しており、前記アルコール化合物がウレタン結合をチェーン連結してポリアルキレンカーボネート樹脂とイソシアネート化合物の連結を媒介している架橋構造を含んでも良い。
【0061】
このような架橋構造によって、前記使い捨て用樹脂成形品に含まれている樹脂層はより向上した引張強度などの機械的物性を示すことができる。したがって、このような使い捨て用樹脂成形品は生分解性を示しながらもより優れた機械的物性が要求される場合に好ましく使用され得る。
【0062】
前記使い捨て用樹脂成形品は、ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む本発明の一実施形態による樹脂組成物を使用し、これに対して通常の使い捨て用樹脂成形品の製造工程を適用して製造しても良い。例えば、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂と共に可塑剤や硬化剤などの添加剤を含む樹脂組成物のエマルジョンを成形品の形態を有する金型に加えた後、前記樹脂組成物を乾燥および硬化(あるいは架橋)させて金型から脱着させる方法で前記樹脂層およびこれを含む使い捨て用樹脂成形品を製造しても良い。
【0063】
この時、前記樹脂組成物が所定の架橋剤、例えば、イソシアネート化合物を含んだり、このようなイソシアネート化合物と2以上のヒドロキシ基を有するアルコール化合物を共に含んでも良いことは前述したとおりである。このような場合、前記硬化(あるいは架橋)工程を進行すれば、所定の架橋構造が形成されながら樹脂層および使い捨て用樹脂成形品が製造され、より向上した機械的物性を有する使い捨て用樹脂成形品が得られる。
【発明の効果】
【0064】
前述したように、本発明によれば、使い捨て用樹脂成形品に要求される伸び率および強度などの機械的物性やゴムと類似する弾性を満たしながらも、生分解性および完全燃焼特性を示して環境親和的な特性を有する使い捨て用樹脂成形品およびその製造方法が提供され得る。
【0065】
このような本発明は既存の使い捨て用樹脂成形品の焼却または埋立時に不安定燃焼による有害ガスまたは環境汚染が発生する問題点を解決することができ、ポリアルキレンカーボネート樹脂の製造時に二酸化炭素をモノマーとして使用するため、二酸化炭素の再利用を図ることができる長所がある。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明の具体的な実施例を通じて本発明の作用および効果をより詳しく説明する。ただし、このような実施例は本発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって本発明の権利範囲が決定されるのではない。
【0067】
[実験方法]
下記の実施例および比較例において、空気や水に敏感な化合物を扱うすべての作業は標準シュレンク技術(standard Schlenk technique)またはドライボックス技術を用いて実施した。
【0068】
核磁気共鳴スペクトルはブルカー600スペクトロメーター(Bruker 600 spectrometer)を使用して得、H NMRは600MHzで測定した。
【0069】
重合体の分子量と分子量分布はGPC(gel permeation chromatography)を使用して測定し、この時、ポリスチレン(polystyrene)サンプルを標準とした。
【0070】
[製造例1]:ポリプロピレンカーボネート樹脂の製造
亜鉛−グルタレート(Zn−glutarate)触媒を使用してプロピレンオキシドと二酸化炭素を共重合してポリプロピレンカーボネート樹脂を次の方法で製造した(Polymer Journal 1981、13、407;米国特許第5,026,676)。
【0071】
撹拌機付きのオートクレーブ反応器に乾燥した亜鉛−グルタレート触媒(1g)と精製されたプロピレンオキシド(30g)を入れて二酸化炭素を10気圧程度充填した後、10分間撹拌した。その後、二酸化炭素を再び50気圧程度充填した後、温度を60℃に昇温して24時間程度反応させた。反応後、未反応プロピレンオキシドを低圧下に除去しジクロロメタン溶媒に溶かした。塩酸水溶液(0.1M)で洗浄しメタノール溶媒に沈殿させてポリプロピレンカーボネート樹脂を得た。回収した樹脂は25g程度であり、その生成を核磁気共鳴スペクトルで確認し、GPCを通じて分析した重量平均分子量は25万であることを確認した。
【0072】
[製造例2]:ポリエチレンカーボネート樹脂の製造
ジエチル−亜鉛触媒を使用してエチレンオキシドと二酸化炭素を共重合してポリエチレンカーボネート樹脂を次の方法で製造した(Journal of Polymer Science B 1969、7、287;Journal of Controlled release 1997、49、263)。
【0073】
撹拌機付きのオートクレーブ反応器に乾燥したジエチル−亜鉛触媒(1g)とジオキサン溶媒10mLを入れて徐々に撹拌しながら5mLジオキサン溶媒に薄めた精製水0.1gを入れた。二酸化炭素を10気圧程度充填した後、120℃で1時間撹拌した。その後、精製されたエチレンオキシド(10g)を入れ、二酸化炭素を再び50気圧程度充填した後、温度を60℃で調節して48時間程度反応させた。反応後、未反応エチレンオキシドを低圧下に除去しジクロロメタン溶媒に溶かした。塩酸水溶液(0.1M)で洗浄しメタノール溶媒に沈殿させてポリエチレンカーボネート樹脂を得た。回収した樹脂は15g程度であり、その生成を核磁気共鳴スペクトルで確認し、GPCを通じて分析した重量平均分子量は23万であることを確認した。
【0074】
[実施例1]:ポリプロピレンカーボネート樹脂を含む樹脂層の物性測定
製造例1で製造されたポリプロピレンカーボネート樹脂をジクロロメタン溶媒に溶かした後、ポリエチレンテレフタレート(PET)異形フィルムの上に70μm厚さでコーティングした。コーティング層を常温および60℃で乾燥して樹脂層を形成した。ASTM D 412規定によりダンベル形態の試験片3〜4種を製作した後、Zwick/Roell社のZwick/Z010モデル装備を利用して500mm/min速度で前記樹脂層の引張強度(MPa)、伸び率(%)、弾性係数(E−Modulus)および300%伸張時の弾性係数(Modulus)を測定した。
【0075】
[実施例2]ポリプロピレンカーボネート樹脂とイソシアネート化合物の架橋物を含む樹脂層の物性測定(イソシアネート化合物=樹脂の100重量部基準1重量部)
製造例1で製造されたポリプロピレンカーボネート樹脂をジクロロメタン溶媒に溶かした後、ヘキサメチレンジイソシアネート(樹脂の100重量部基準1重量部)を入れてPET異形フィルムの上に70μm厚さでコーティングした。コーティング層を常温および60℃で乾燥して樹脂層を形成した。ASTM D 412規定によりダンベル形態の試験片3〜4種を製作した後、Zwick/Roell社のZwick/Z010モデル装備を利用して500mm/min速度で前記樹脂層の引張強度(MPa)、伸び率(%)、弾性係数(E−Modulus)および300%伸張時の弾性係数(Modulus)を測定した。
【0076】
[実施例3]ポリプロピレンカーボネート樹脂とイソシアネート化合物の架橋物を含む樹脂層の物性測定(イソシアネート化合物=樹脂の100重量部基準4重量部)
製造例1で製造されたポリプロピレンカーボネート樹脂をジクロロメタン溶媒に溶かした後、ヘキサメチレンジイソシアネート(樹脂の100重量部基準4重量部)を入れてPET異形フィルムの上に70μm厚さでコーティングした。コーティング層を常温および60℃で乾燥して樹脂層を形成した。ASTM D 412規定によりダンベル形態の試験片3〜4種を製作した後、Zwick/Roell社のZwick/Z010モデル装備を利用して500mm/min速度で前記樹脂層の引張強度(MPa)、伸び率(%)、弾性係数(E−Modulus)および300%伸張時の弾性係数(Modulus)を測定した。
【0077】
[実施例4]ポリプロピレンカーボネート樹脂と、イソシアネート化合物および多価アルコール化合物との架橋物を含む樹脂層の物性測定
製造例1で製造されたポリプロピレンカーボネート樹脂をジクロロメタン溶媒に溶かした後、ヘキサメチレンジイソシアネート(樹脂の100重量部基準1重量部)および1,4−ブタンジオール(樹脂の100重量部基準0.1重量部)を入れてPET異形フィルムの上に70μm厚さでコーティングした。コーティング層を常温および60℃で乾燥して樹脂層を形成した。ASTM D 412規定によりダンベル形態の試験片3〜4種を製作した後、Zwick/Roell社のZwick/Z010モデル装備を利用して500mm/min速度で前記樹脂層の引張強度(MPa)、伸び率(%)、弾性係数(E−Modulus)および300%伸張時の弾性係数(Modulus)を測定した。
【0078】
[実施例5]ポリエチレンカーボネート樹脂とイソシアネート化合物の架橋物を含む樹脂層の物性測定(イソシアネート化合物=樹脂の100重量部基準4重量部)
製造例2で製造されたポリエチレンカーボネート樹脂をジクロロメタン溶媒に溶かした後、ヘキサメチレンジイソシアネート(樹脂の100重量部基準4重量部)を入れてPET異形フィルムの上に70μm厚さでコーティングした。コーティング層を常温および60℃で乾燥して樹脂層を形成した。ASTM D 412規定によりダンベル形態の試験片3〜4種を製作した後、Zwick/Roell社のZwick/Z010モデル装備を利用して500mm/min速度で前記樹脂層の引張強度(MPa)、伸び率(%)、弾性係数(E−Modulus)および300%伸張時の弾性係数(Modulus)を測定した。
【0079】
前記実施例1〜5の樹脂層の物性測定結果を下記表1に整理して表示し、これと比較のために従来に使い捨て用樹脂成形品の製造のために使用されていたポリ塩化ビニル樹脂またはニトリル樹脂からなる同一の厚さの樹脂層の物性を同一の方法で測定して下記表1に共に表示した。
【0080】
【表1】

【0081】
前記表1を参照すれば、実施例1〜5の樹脂層はゴムと類似する弾性を示すばかりか、従来に使い捨て用樹脂成形品に適用されていたPVCまたはニトリル樹脂層と類似したり、かえってより優れた引張強度および伸び率の機械的物性を示すことができることが確認される。
【0082】
また、前記実施例1〜5の樹脂層はポリアルキレンカーボネート樹脂自体の特性により生分解性および完全分解特性のような親環境的特性を示すことが確認される。
【0083】
したがって、前記樹脂層を使用して使い捨て用樹脂成形品に要求される諸般物性を満たしながらも、生分解性を示して環境親和的特性を有する使い捨て用樹脂成形品の提供が可能になることが確認される。
【0084】
付加して、実施例1と実施例2〜4の比較を通じて、イソシアネート化合物または多価アルコール化合物の架橋剤の使用量が増加することに伴って、より向上した引張強度およびモジュラスを有しながら伸び率は低い樹脂層および使い捨て用樹脂成形品が得られることが確認される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む、使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項2】
150%以上の伸び率および5MPa以上の強度を有する成形品の製造に使用される、請求項1に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項3】
前記使い捨て用樹脂成形品は、使い捨て用手袋、使い捨て用フィルム、使い捨て用容器または使い捨て用ゴム成形品である、請求項1に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、下記化学式1で表される繰り返し単位を含む、請求項1に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【化1】

(前記式において、nは、10〜1000の整数であり、RとRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルケニル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、RおよびRが互いに連結されて炭素数3〜10のシクロアルキル基を形成しても良い。)
【請求項5】
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、10,000〜1,000,000の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、40℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項7】
イソシアネート化合物を含む架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項8】
前記架橋剤は、2以上のヒドロキシ基を有するアルコール化合物をさらに含む、請求項7に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項9】
前記架橋剤は、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂の100重量部に対して0.01〜10重量部の含量で含まれる、請求項7または8に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項10】
前記イソシアネート化合物は、エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、ペルヒドロ−2,5’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ペルヒドロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートおよびトリフェニルメタン−4,4’,4”−トリスイソシアネートからなる群より選択された1種以上を含む、請求項7に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項11】
前記2以上のヒドロキシ基を有するアルコール化合物は、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,3,5−シクロヘキサントリオール、ペンタエリトリトールおよび1,4−ジヒドロキシジエチルベンゼンからなる群より選択された1種以上を含む、請求項8に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項12】
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂は、金属触媒の存在下に、エポキシド、アルキレンオキシド、アリールオキシド、アルケニルオキシドおよびシクロアルキレンオキシドからなる群より選択された1種以上のエポキシド系モノマーと、二酸化炭素を共重合する段階を含む方法で製造された樹脂である、請求項1に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項13】
前記エポキシド系モノマーは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびシクロヘキシレンオキシドからなる群より1種以上選択された、請求項12に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項14】
前記金属触媒は、亜鉛、コバルトまたはクロムを含む、請求項12に記載の使い捨て用樹脂成形品用樹脂組成物。
【請求項15】
ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む樹脂組成物を形成する段階;および
前記樹脂組成物で使い捨て用樹脂成形品の樹脂層を形成する段階を含むポリアルキレンカーボネート樹脂の使用方法。
【請求項16】
ポリアルキレンカーボネート樹脂およびイソシアネート化合物を含む架橋剤を含む樹脂組成物を形成する段階;および
前記樹脂組成物で使い捨て用樹脂成形品の樹脂層を形成する段階を含むポリアルキレンカーボネート樹脂の使用方法。
【請求項17】
ポリアルキレンカーボネート樹脂を含む樹脂層を含む、使い捨て用樹脂成形品。
【請求項18】
ポリアルキレンカーボネート樹脂と、イソシアネート化合物を含む架橋剤の架橋物を含む樹脂層を含む、使い捨て用樹脂成形品。
【請求項19】
前記架橋物は、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂末端のヒドロキシ基がイソシアネート化合物とウレタン結合を形成している架橋構造を含む、請求項18に記載の使い捨て用樹脂成形品。
【請求項20】
ポリアルキレンカーボネート樹脂と、イソシアネート化合物および2以上のヒドロキシ基を有するアルコール化合物を含む架橋剤の架橋物を含む樹脂層を含む、請求項18に記載の使い捨て用樹脂成形品。
【請求項21】
前記架橋物は、前記ポリアルキレンカーボネート樹脂末端のヒドロキシ基または前記アルコール化合物のヒドロキシ基がイソシアネート化合物とウレタン結合を形成しており、前記アルコール化合物がポリアルキレンカーボネート樹脂とイソシアネート化合物の連結を媒介している架橋構造を含む、請求項20に記載の使い捨て用樹脂成形品。
【請求項22】
前記樹脂層は、150%以上の伸び率および5MPa以上の強度を有する、請求項17または18に記載の使い捨て用樹脂成形品。
【請求項23】
前記使い捨て用樹脂成形品は、使い捨て用手袋、使い捨て用フィルム、使い捨て用容器、使い捨て用ゴム成形品である、請求項17または18に記載の使い捨て用樹脂成形品。

【公表番号】特表2012−508294(P2012−508294A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535524(P2011−535524)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003203
【国際公開番号】WO2010/134772
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】