説明

使い捨て着用物品の製造におけるホットメルト接着剤の塗布方法

【課題】使い捨て着用物品の製造に適したホットメルト接着剤を採用することができる接着剤の塗布方法を提供する。
【解決手段】熱溶融高分子材料、粘着性付与材および熱安定剤を含むホットメルト接着剤を使い捨て着用物品に塗布する塗布方法であって、所定量の熱溶融高分子材料を第1供給口12から形成タンク4に供給する工程と、所定量の粘着性付与材を第2供給口22から前記形成タンク4に供給する工程と、所定量の熱安定剤を第3供給口32から前記形成タンク4に供給する工程と、前記形成タンク4内において前記各材料を混合すると共に加温ないし保温してホットメルト接着剤を形成する工程と、前記ホットメルト接着剤を、前記形成タンク4から外部供給経路7を介して前記着用物品の素材、半製品または製品に塗布する工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨て着用物品の製造におけるホットメルト接着剤の塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨てオムツ等の着用物品には、多量のホットメルト接着剤が使用されている。前記物品の生産ラインにおいては、ホットメルト接着剤を供給するためのホットメルトアプリケータが備え付けられ、ワークの所定箇所に所定量のホットメルト接着剤が塗布される。かかるホットメルトアプリケータのついては下記の特許文献が存在する。
【特許文献1】実開平5−22054
【0003】
ホットメルト接着剤は、金属、木、紙、布、石、プラスチックなど種々の材質の対象物を接着できる。また、製本やダンボール箱などの接着にも用いられる。これらの一般的な接着においては比較的強い接着強度が必要であり、接着強度の強い接着剤の組成や配合が採用されている。
【発明の開示】
【0004】
しかし、使い捨て着用物品に必要な接着力は、着用物品の装着時や体液によってウェブやシートが剥れたりしない程度の小さな接着力で十分であり、それ以上の接着力は着用物品にゴワツキが生じたり、オーバースペックによるコストアップの原因となる。
また、速乾性が要求されたり、あるいは、後に接着を解除する仮止めの目的で接着することもある。
特に、着用物品においてはウェブやシートを貼り合わせる箇所に用いるため多量の接着剤を使用するので、適切な組成の接着剤を用いることは重要である。
【0005】
本発明の目的は、使い捨て着用物品の製造に適したホットメルト接着剤を採用することができる接着剤の塗布方法を提供することである。
【0006】
本発明の方法は、熱溶融高分子材料、粘着性付与材および熱安定剤を含むホットメルト接着剤を使い捨て着用物品に塗布する塗布方法であって、所定量の熱溶融高分子材料を第1供給口から形成タンクに供給する工程と、所定量の粘着性付与材を第2供給口から前記形成タンクに供給する工程と、所定量の熱安定剤を第3供給口から前記形成タンクに供給する工程と、前記形成タンク内において前記各材料を混合すると共に加温ないし保温してホットメルト接着剤を形成する工程と、前記ホットメルト接着剤を、前記形成タンクから外部供給経路を介して前記着用物品の素材、半製品または製品に塗布する工程とを備えている。
【0007】
本発明によれば、ホットメルト接着剤を形成する各材料を個別に供給し、生産設備の近傍においてホットメルト接着剤を形成し、被加工物に塗布する。このため、メーカーからホットメルト接着剤を購入し、ホットメルトアプリケータで塗布するのに比べ、用途に応じた物性のホットメルト接着剤を得ることができる。また、オーバースペックとならないから材料費を低減することができる。
【0008】
第1〜第3供給口から各材料が形成タンクに供給されるまでの間に、各材料の供給量を自在に調整する工程を含んでもよい。具体的には圧力により又は流量調整弁を介して供給量を調整してもよい。
粘着性付与材の分量を調整することで、接着する箇所に応じて接着剤の種類を変えることなく、ホットメルト接着剤の接着力を容易に変更することができる。
【0009】
一方、熱安定剤の分量を多くすることで、加温ないし保温時間が長時間に及んでも、ホットメルト接着剤の劣化を長時間にわたって防止できる。これら生産上の都合に応じて、ホットメルト接着剤の物性を容易に変更することができる。
【0010】
熱溶融(可塑性)高分子材料としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ブテン1、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ブチルメタクリル、スチレンブタジエンブロックゴム、スチレンイソプレンブロックゴム等の材料があげられる。これらは単独で、もしくは併せて用いられてもよい。
粘着性付与材としては、ロジンおよびロジン誘導体、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クロマン・インデン樹脂、石油樹脂等の従来公知の粘着付与材を用いることができる。
熱安定剤としては、フェノール系、アミン系、イオウ系、リン系、ベンズイミダゾール系等の従来公知の酸化防止剤を用いることができる。
【0011】
形成タンクに各材料を所定量ずつ導入し、加温ないし保温する工程と同時に、またはその後に形成タンク内の材料を混練する工程を含んでもよい。この場合、各材料の分散度を均一化することができ、塗布および接着を安定して行うことができる。
【0012】
外部供給経路を介して、ガンまたはノズルから被加工物に接着剤が塗布されてもよい。この場合、高速で搬送(生産)されるウェブやシート状物にホットメルト接着剤を高速で塗布することができる。
【0013】
外部供給経路から転写ロールを介して接着剤が被加工物に塗布されてもよい。この場合、被加工物の所定の箇所にホットメルト接着剤を精度良く塗布することができる。
【0014】
被加工物が、使い捨て着用物品を構成するウェブの連続体である場合、当該連続体のうちの一方の面にホットメルト接着剤を塗布してもよい。
さらに、ホットメルト接着剤の塗布後に当該連続体上に弾性部材を配置し、当該弾性部材が当該連続体との間で挟持されるように他の連続体を積層し、さらに吸収体を配置するなどして、使い捨て着用物品を製造することができる。
【0015】
接着剤はウェブやシート状の素材に塗布されてもよいし、ウェブに吸収体などが積層された半製品に塗布されてもよいし、製品を梱包する際に製品自体に塗布されてもよい。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の一実施例が図面にしたがって説明される。
まず、塗布方法の説明に先立って装置の概要を説明する。
【0017】
図1A、図1Bにおいて、使い捨て着用物品のシートやウェブなどのワークWの表面には、形成装置1で形成されたホットメルト接着剤が塗布装置2のノズルNから塗布される。
【0018】
図1AはシートWやウェブW同士を接着する場合を示し、図1BはウェブW同士の間に弾性糸Fを挟む場合を図示している。なお、100はニップロールである。
【0019】
図2において、形成装置1の第1〜第3材料ホッパ10、20、30には、それぞれ、材料の供給量を制御する制御弁11、21、31を備えた第1〜第3供給口12、22、32が設けられている。
【0020】
前記第1〜第3材料ホッパ10、20、30内の各材料は、形成タンク4に供給され形成タンク4内においてホットメルト接着剤となり、弁42を介して貯留タンク5に供給される。貯留タンク5の出口はポンプP、逆止弁6および加温チューブ(外部供給装置の一例)7を介してノズルNに連通している。
【0021】
つぎに、塗布方法について説明される。
まず、第1材料ホッパ10には熱溶融高分子材料が投入され、第2材料ホッパ20には粘着性付与材が投入され、第3材料ホッパ30には熱安定剤(酸化防止剤)が投入される。
【0022】
各制御弁11、21、31は、それぞれ、予め設定された分量の材料を送り出し、第1〜第3供給口12、22、32から所定量の各材料が形成タンク4に供給される。形成タンク4は材料を混合する混練装置を備えており、材料を混合すると共に、図示しないヒータにより材料を昇温させ、更に保温する。これにより、ホットメルト接着剤が形成される。
【0023】
形成された接着剤は、弁42が開弁して貯留タンク5に供給される。貯留タンク5内の接着剤はポンプPによって逆止弁6および加温チューブ7を介してノズルNから吐出される。これにより、接着剤が連続的ないし所定のタイミングでワークに塗布される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は使い捨て着用物品の製造におけるホットメルト接着剤の塗布技術に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1Aおよび図1Bは本発明の塗布方法が適用される使い捨て着用物品の生産ラインの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の塗布方法を実施するための装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0026】
1:形成装置
12:第1供給口
22:第2供給口
32:第3供給口
2:塗布装置
4:形成タンク
42:弁
5:貯留タンク
6:逆止弁
7:加温チューブ(外部供給経路)
P:ポンプ
N:ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱溶融高分子材料、粘着性付与材および熱安定剤を含むホットメルト接着剤を使い捨て着用物品に塗布する塗布方法であって、
所定量の熱溶融高分子材料を第1供給口から形成タンクに供給する工程と、
所定量の粘着性付与材を第2供給口から前記形成タンクに供給する工程と、
所定量の熱安定剤を第3供給口から前記形成タンクに供給する工程と、
前記形成タンク内において前記各材料を混合すると共に加温ないし保温してホットメルト接着剤を形成する工程と、
前記ホットメルト接着剤を、前記形成タンクから外部供給経路を介して前記着用物品の素材、半製品または製品に塗布する工程とを備えた使い捨て着用物品の製造におけるホットメルト接着剤の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−291756(P2009−291756A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150130(P2008−150130)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(592104324)ベーガン通商株式会社 (2)
【Fターム(参考)】