説明

使用済み電池保管容器

【課題】
電解質溶液 ( 可燃性有機溶剤溶液 )の漏洩発火事故を防ぐ為に 、減圧下に維持しながらリチウムイオン電池を投入することが可能な減圧保管容器の構造の確立。
【解決手段】
大気圧に耐える強度の容器内に内容器を設置して、真空ポンプに接続する。電池投入口には、電池の形状に合わせて変形し、最小間隙で開口する弾性体の蓋が、多重に備わり、その蓋と蓋の間に、気圧変動緩衝空間ができて、その空間の間に気圧の段差が形成され、保管容器内全体を大気圧に戻すことなく、電池の投入が可能な減圧保管容器を確立した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄リチウムイオン電池を含む電池を減圧下で保管する保管容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の人類は、電池、即ち物質の化学エネルギーを電流として取り出すことができる比較的小型な装置、によって電源コード無しに、多くの電子電気機器を使用することが可能になった。近年は、使い切った電池を再充電しエネルギーの満ちた状態に戻すことの出来る、即ち放電と充電を繰返し行なうことが可能な、二次電池の発達が著しい。その中でもリチウムイオン2次電池は、起電力が大きく、電池の体積又は重量当りの充放電量が多いという特性によって、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等、種々の持ち運びを必要とする電子電気機器に用いられ、その生産数量は、2006年には日本国内だけでも10億個(経済産業省統計による)に上っている。今後、この種類の電池は大型化も進み、電気自動車、ハイブリッドカーそのほかの大型機器の動力電源としても、広く使われようとしている。
【0003】
一方、リチウムイオン電池のこの特性は、酸化還元電位が高く、その単位重量のイオンの移動に伴う電荷移動量が大きいリチウムという元素によるものであり、このことは、反応性に富み、過激で、制御し難しいという反面をも有している。リチウムイオン2次電池内では、リチウムイオンが、充電時は正極から負極へ、放電時は負極から正極へ、移動するが、その電位差が水の電気分解電位差よりも大きいため、その媒体となる電解質溶液として水溶液が使用できず、代わりにリチウムイオンの溶存可能な種類の有機溶剤溶液が使われている。
【0004】
リチウムイオン2次電池の電解液に使用可能な有機溶媒として知られているものは、γブチロラクトン(沸点206℃、凝固点−42℃)、エチレンカーボネート(沸点238℃、凝固点36℃)、プロピレンカーボネート(沸点90℃、凝固点−49℃)、ジメチルカーボネート(沸点90℃、凝固点0.5℃)、ジエチルカーボネート(沸点127℃、凝固点−43℃)、1.2−ジメトキシメタン(沸点82℃、凝固点−58℃)、テトラヒドロフラン(沸点65℃、凝固点−108℃)、12ジオキソラン(沸点78℃、凝固点−95℃)、ジエチルエーテル(沸点34.5℃、凝固点−116℃)等の極性溶媒があげられる。
【0005】
実際には、これらのうちエーテル結合を有する溶媒は、沸点が80℃に達せず比較的低いため、高温の電池使用環境において溶剤蒸気圧による電池内圧上昇を引起こし、且つ引火点が低いので電池の耐熱性が低くなるために、ほとんど使用されていない。沸点の高い複数種のカーボネート系溶剤を混合して、凝固点が低く沸点が高くなるように調整し、耐熱性と耐寒性のバランスをとった混合液が電解液として使用されている。しかし、これらいずれの溶媒も易燃性であるがため、この電池は燃え易いという大きな弱点を有している。
【0006】
更に、このリチウムイオン2次電池は、高温に曝されていたり、過充電又は過放電が繰返えし行われていると、正極活物質(主としてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム等)の結晶構造が不安定になり、崩れたり、分解したりして、そこから酸素が遊離し、発熱が生じ、電解質溶液の酸化、燃焼が起こり易くなる。しかも、この電池に含有されているエネルギーの量が多いので、正極と負極の接触による短絡が生ずれば、それによって発生する短絡電流も大きい。電池内部の正極と負極との接触を物理的に防止しているセパレーターというプラスチック多孔質フィルムが、電池の変形、破壊等により傷つき、その傷を通して両極が接触する内部短絡、又は電池外部で正負両極の端子が導電性物質を介して接触する外部短絡、が生ずれば、急激に大電流が流れて、電池内が発熱し、正極活物質(コバルト酸リチウム他)の分解、酸素の遊離、発熱暴走、それが電解質液の沸騰、引火、爆発を引き起こすことになる。爆発にいたらなくとも発煙、燃焼事故の実際に発生したことが、携帯電話、パーソナルコンピュータの場合について、報じられている。
【0007】
従来、電池メーカーにおいては、リチウムイオン2次電池の構造、材料組成、製造法等を改良し、電池そのものの安全性を高めてきた。例えば、使用環境温度が高くても正極物質の劣化分解を起こりにくくする、短絡による大電流発熱が生じたときには、セパレータフィルムの溶融によりリチウムイオンの通過する細孔を塞ぎ、電池の内部抵抗を大きくして電流を通さなくする、発熱による電解液蒸気圧上昇に対しては安全弁を内蔵させ、設定圧以上になると圧抜きが行なわれる、等である。 更に、電池メーカーは、リチウムイオン2次電池そのままのもの(単セルと称する)を一般ユーザーには使用させず、過充電及び過放電を防止する制御基板を単セルに必ずセットして(パック電池と称する)、販売している。
【0008】
パック電池は、電池を組み込む電子電気機器によって異なるが、一般にプラスチックのケースに制御基板と単セルが単数又は複数個連結して収められ、ケース外面に正極及び負極端子が設けられているもの、ケースの一部がコネクター端子となっているもの、などがある。パック電池によって、単セルの場合より安全性が飛躍的に増大しているが、それでもリチウムイオン2次電池の発煙燃焼事故は起こっている。電池使用者の中には、メーカー製パック電池を分解して単セルを取り出し、自分の電子電気機器の設計仕様に合わせて独自に使用する場合があり、この場合の電池の安全性は保証されてはいない。
【0009】
リチウムイオン2次電池は、製造後、商品としての梱包がなされ、変形、破壊、短絡等の生じない安全が確保された状態で保管され、流通している。これらの電池は実用に供された後、長期間使用による劣化又は、組み込まれている機器の更新、廃棄等に伴い、使用済み電池として排出され、廃棄処分される。廃棄電池は、分別保管するように啓蒙されているが、 実際は分別が徹底されず、種々の電池、しかも残存電気量の多いもの、少ないもの、一次電池、二次電池、プラスチックケースに入ったパック電池、端子がむき出しのもの、端子がコネクター状に保護されているもの等が、混って廃棄物保管場所に集積される。廃棄電池の保管容器並びに保管場所の環境は、使用前の商品として保管されていた時とは比べ物にならない劣悪さで、特にリチウムイオン2次電池に必要な安全に対する配慮のなされていない場合が少なくない。
【0010】
起電力の残存する廃棄電池が、電極端子むき出しのまま廃棄物置場の電池保管容器に、しばしば無造作に投入されている。電池保管容器にクリップ、金属缶、その他の金属面が露出している廃棄物の混入があれば、それと起電力残存電池の電極端子とが接触して外部短絡が発生する。電池投入時の衝撃、多量電池の荷重による変形破壊、保管場所の高低温多湿環境と漏洩電解質による腐食、それらが相乗的に関与して、短絡発熱、電解質液漏洩引火、燃焼等につながり、更にその近隣の電池にも作用して、連鎖的に誘発し、多くの電池がからむ火災・爆発事故になる可能性もある。
【0011】
廃棄電池保管容器の静置時には異状が無くとも、それを車両に載せて輸送する時は、振動によって電池の向きが変化して短絡が促進されたり、輸送車両の急停車時の衝撃、車両からの落下衝撃等のエネルギーが保管容器内の電池に作用して、その電池の破壊をもたらす場合も在り得る。特に車両動力源として用いられる大型リチウムイオン2次電池の場合、内蔵エネルギー量が大きいので輸送時の運搬車両の交通事故が、廃棄電池の燃焼、爆発等を伴う大事故につながる可能性を否定することはできない。
【0012】
然るに、リチウムイオン2次電池の保管、輸送に関しては、その危険性に対して使用者の注意を促すか、航空機内の持ち込み制限のように規制によって、安全を確保することが主体になっている。
【0013】
商品としての安全管理を確保するために、電池メーカーは、リチウムイオン2次電池の
充電量を最大充電量の50%に落として出荷している。安全を確保する商品梱包に関して は、電池メーカーから、梱包したときの総重量が25Kg以下になる、JISに規定された方法による13.0Kgf/cm2以上の破壊強さを有する輸送用梱包容器の特許が公開されている(特許文献1参照)。この梱包容器を用いる方法は、あくまで、商品として品種及び履歴の揃った電池を接触しないように、破損しないように、容器内を仕切り板で分割して各電池を個別に隔離して保管できるようにしたものである。これが廃棄電池の場合、使用済み品を保管容器に無造作に投入することが当たり前になっているため、仕切られた空間への整列投入を徹底して行なうことは出来ず、上記特許文献1に示されている容器は、廃棄電池の保管容器として実用に供することは困難である。即ち、個々の廃棄電池の整列投入・集積を多勢の電池使用者各人に徹底させることは困難であり、廃棄物管理者が廃棄電池の集積場所を安全にする手段を講じなければ、廃棄電池保管の安全は確保できないと考えられる。
【0014】
廃棄電池を保管、輸送する場合の安全の確保に関して、現在実際に行なわれている方法は、リチウムイオン電池の外部短絡を防止するために、電極端子に電気絶縁性の粘着テープを貼ることである。しかし、この方法では、個々の電池全部について確実に行なうためには、手間がかかり且つその徹底のための管理が必要である。更に、テープ剥がれの危険性があり、変形、破壊、等の因子による内部短絡を防ぐことが出来ず、液漏れによる燃焼の危険性を排除することも出来ない。
【0015】
輸送時は、リチウムイオン2次電池の保管状態が急激に変化し、危険因子が静置保管時に比べると多くなっている。一般の輸送車両で、該電池を容器にランダム投入した状態で運搬した場合、容器は荷台に固定してあっても、急停止、急発進による衝撃、振動、坂道の傾斜変化等により、容器内の電池は衝突、加速度による荷重の過負荷、混入導電性物との接触、場合によっては車内温度の上昇等の危険因子が挙げられ、電池に関して著しく不安全な状態になっている。交通事故によるこれら危険因子のリスクも大きく、大事故発生の可能性が無いとは言えない。
【0016】
【特許文献1】特開2002−75308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
以上記したように、種々の一次電池、二次電池が廃棄電池として廃棄物置場に集積されるが、その内でも特に危険性の高いリチウムイオン2次電池を含む廃棄電池に対して必要な安全な保管容器が確立されていない。リチウムイオン2次電池を商品として仕切られた箱の中に個別に整列隔離して保管する容器は知られているが、ランダムに投入される廃棄電池の保管容器としては使用できない。
【0018】
リチウムイオン2次電池が危険である最大の原因の一つが、電解液に易燃性の有機溶剤を用いていることである。
内部短絡が生じ発熱があっても、燃焼する物質が存在しなければ、燃焼事故は起こらず大事に至らない。従って、電解液及び又はその蒸気が燃焼しないうちにそれらを除去できる機能を有する容器を確立し、従来から危険な状態に置かれていた、廃棄リチウムイオン2次電池の安全を確保することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するため、本発明は、リチウムイオン電池の保管容器に次の手段を備える。
外部から投入したリチウムイオン電池を減圧保管する保管容器であって、減圧保管容器内を減圧にする手段と、減圧保管容器内を減圧下に維持する手段と、減圧保管容器にリチウムイオン電池を投入する際に空気の侵入を少なくする投入口の開閉手段と、を有してなることを特徴とする。
減圧保管容器内を減圧する手段は、真空ポンプであることを特徴とする。
減圧保管容器内を減圧下に維持する手段は、リチウムイオン電池を収容する空間の上部を、投入口と蓋を備えた投入口以外は常に密閉された多重の壁で仕切り、外気の侵入が多重に阻止されることを特徴とする。
投入口は、外部から電池を押込む第1投入口と電池が第1投入口の次に通過して減圧保管容器内部に入る第2投入口とからなることを特徴とする。
減圧保管容器の内部に、リチウムイオン電池を収納する脱着可能な少なくとも1個の上方が開いた内容器を備えることを特徴とする。
【0020】
減圧保管容器にリチウムイオン電池を投入する際に、空気の侵入を少なくする第1投入口の開閉手段は、該投入口の蓋が、電池の形状に合わせて変形して開口し、該蓋にかかる気圧に押されて嵌合して閉口する楔型弾性体からなることを特徴とする。
減圧保管容器にリチウムイオン電池を投入する際に、空気の侵入を少なくする第2投入口の開閉手段は、該投入口が、下方に狭まった楔型弾性体の上下に貫かれた切れ目であって、弾性体の切れ目が投入された電池の形に合わせて拡げられて開き、楔状に挟まれ締め付けられて閉まる、ことを特徴とする。
減圧保管容器にリチウムイオン電池を投入する際に空気の侵入を少なくする第2投入口の開閉手段は、リチウムイオン電池を、上からかかる気圧により押して、楔型弾性体の上の切れ目を変形して開いた中に没入させ、楔型弾性体の弾性力と気圧に押されて楔が挟まれ締め付けられる力とにより、楔形弾性体の上の切れ目入口を閉ざし、リチウムイオン電池を、切れ目内壁が包みながら、気圧差による吸引により、切れ目内を下方へ移動させ、下の切れ目が変形して開いた口から容器内に落下させ、楔型弾性体の弾性力と、気圧に押されて楔が挟まれ締め付けられる力とにより、下の切れ目出口を閉ざす、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる保管容器は、脱着可能な内容器を内蔵し、該内容器に充填された使用済みリチウムイオン電池を減圧状態に置くことによって、該電池から易燃性の電解液が漏出した場合に速やかに蒸発させて除去し、発火を防止する効果がある。従って、本発明にかかる保管容器によって、排出事業所の廃棄物集積場所において使用済みリチウムイオン電池を安全に保管し、該電池を処理する産業廃棄物中間処理業者又はリサイクル処理業者の工場への輸送において安全に輸送し、それらの処理業者の工場において、保管容器から内容器ごと容易に該電池を取り出して処理することが可能になる効果がある。
【0022】
本発明にかかる保管容器は、真空ポンプを稼動させて吸引を続け、保管容器内を減圧下に保ちながら、投入口より使用済みリチウムイオン電池を投入することができ、外気の流入を少量に抑え、その少量の流入空気の圧力を利用して、投入時の電池を押し込む効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明にかかる保管容器は、廃棄リチウムイオン電池の排出事業所において、その廃棄電池の集積場所に置かれ、使用済みになった電池が、廃棄処分されるために、産業廃棄物処理又はリサイクル処理工場に運搬されるまでの間、保管される容器である。
本発明にかかる保管容器は、真空ポンプに接続した耐減圧強度を有する容器であり、その中にリチウムイオン電池を収容する内容器が設置される。
【0024】
本発明にかかる保管容器の一つを図1に例示する。図1に示した保管容器は、胴体部が円筒形で、上下両端の鏡板は断面が楕円曲線の弧を有する曲面になっているが、本発明にかかる保管容器の形は、必ずしもこの形だけに限定されるものではなく、その上面は、投入口を設けることが可能な面積を有する多角形、円、楕円、その他の直線及び又は曲線で囲まれた形状の面である。保管容器の内部では内容器を収容し、その脱着が可能である。図1においては、保管容器に内容器1個設置しているが、特に1個に限定されるものではない。
【0025】
該内容器は、廃棄電池を収容して、人間が持ち運び出来る重量になる程度の容積であり、保管容器に入る大きさであれば、本質的な制限はないが、好ましくは10リットル以上30リットル以下が適している。内容器の形状は、上方に開口した容器でリチウムイオン電池が余裕を持ってその口を通過し、中に納まる形である。内容器は、廃棄電池を充填して、破壊しない強度を有していなければならない。産業廃棄物処理又はリサイクル処理工場においては、廃棄電池を処理するために、電池の入った内容器をだけを取り出し、空になった保管容器は通い容器として、廃棄電池の排出元に返送する。
【0026】
産業廃棄物処理又はリサイクル処理工場においては、廃棄電池を内容器ごと焼却炉に投
入する場合が多いので、内容器は、焼却炉で焼却が可能で、保管容器としての使用時には
非常時の電池発熱に対して直ちには燃え上がらない材質のものでなければならない。実用上この要求を満たす材質として、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、塩化ビニール樹脂、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂、繊維強化エポキシ樹脂、等のプラスチック、木板、難燃処理された高強度ダンボール等、が挙げられる。
【0027】
本発明にかかる減圧保管容器の殻の材質は、1気圧の減圧に耐える即ち外側から大気圧がかかって破壊しない強度を有し、気体の透過が無いものであり、一般的には、金属、ガラス、コンクリート、繊維強化プラスチックが挙げられる。このうちガラスは、耐圧性は有しているが、衝撃によって壊れやすいので、適していない。
特に、金属、その内でも特に防食処理された鋼鉄、ステンレススチール、表面処理されたアルミニウム、アルミニウム合金、等が適している。
【0028】
これより本発明にかかる減圧保管容器に関して最良の形態を、図を示しながら説明する。
図1は、本発明にかかる減圧保管容器100の上面図101(右半分は第2断面線62で切った横断面図)及び正面図102(右半分は第1断面線61で切った縦断面図、真空ラインの接続をも示す)である。
図2は、本発明にかかる減圧保管容器100の大ハッチ2の構造を示す正面図(第1断面線61で切った縦断面図)で、上103から下106へ順に、開口部が開き、それが移動していく様子を表している(第1投入口開口部52→第2投入口上開口部53→第2投入口下開口部54)。
図3は、本発明にかかる減圧保管容器100の大ハッチ2の構造を示す断面図であるが、
107は、108の第5断面線65における横断面の上面図であり、108は、右半分が、107の第3断面線63に於ける縦断面の正面図であり、左半分が、107の第4断面線64に於ける縦断面を右から左方向に見た側面図である。
【0029】
減圧保管容器100の真空ラインの構成を図1の102に示しているが、減圧保管容器100に減圧度を表示するゲージ42、吸引を調節、遮断するメインバルブ43が付き、この先にはジョイント47を経て耐圧ホースを用いて真空ポンプ46まで接続する。その途中に、真空ポンプ46の停止直前に空気を入れてポンプオイルの逆流を防止するための入気バルブ44、及び吸引により蒸発させた電解液を凝縮する冷却トラップ45を接続する。
【0030】
本発明にかかる減圧保管容器100には、内容器5を出し入れするための大ハッチ2と、廃棄電池の投入口及びその蓋としての小ハッチ1を有している。それぞれのハッチは真空用フランジ(8と9、6と7)でパッキングを介して締め付けるが、合せ面及びパッキングに傷、歪み、異物の挟み込み等が無ければ、均等に締め付けて面間がずれないように固定することで、空気の洩入を遮断した閉まりが達成される。
尚、ハッチのフランジの締め付け固定に関しては、図1にはボルト穴を示してあるだけであるが、一般には、ワッシャーを挟んだボルトナットで締め付け、クランプで挟んで締め付け、トグルで締め付け等種々の方法がある。
【0031】
尚、ハッチの開閉に関しては、フランジの固定を解いた後、ハッチを持ち上げて外す、ヒンジを介して片側に90度以上の角度で開く、ハッチを持ち上げて浮かし平行移動させる装置を取り付ける等、種々の方式がある。
【0032】
図1の102に示すように、小ハッチ1には、第1投入口前空間51内の気圧を大気圧に戻すための小ハッチバルブ41を付ける。減圧保管容器100の底は、図1の場合、底鏡板12を肉厚を厚くしないで大気圧に耐えられるように楕円曲面にしてあるが故に、内容器5を安定に設置する中底板10を設けているが、一般に底鏡板を肉厚の厚い平板にすることは可能であり、その場合中底板は不要になる。
【0033】
本発明にかかる減圧保管容器100の大ハッチ1内の構造を詳細に説明する為に、その断面図を図2の103に示してある。減圧保管容器100内を減圧下に保ちながら、廃棄リチウムイオン電池を投入できるようにする為、小ハッチ1の下側の小ハッチ胴板35及び大ハッチ2内側の空間において、多重の板及び蓋(20〜34)で仕切って、第1投入口71と第2投入口72を設けている。即ち、小ハッチ1の直下に第1投入口71、更にその下に第2投入口72を設け、両投入口の間に気圧変動緩衝空間55を置いて、内部空間56の気圧の変動、即ち真空度の変動を抑えている。
【0034】
第1投入口71においては、第1投入口嵌合台支え板21に固定されて水平に向き合った第1投入口第1嵌合台26と第1投入口第2嵌合台27との間、下方に狭まったその空間が、投入口である。そこにゴムのような弾性に富み変形する強靭な材質でできていて、空気を通す穴切れ目等が無い楔型の第1投入口嵌合蓋28が上から被さり、両嵌合台(26と27)に挟まれる形で密に嵌合し、投入口を閉じている。図1〜3において、図の断面では、第1投入口第1嵌合台26と第1投入口第2嵌合台27とは、左右に向かい合って分かれているが、両者は繋がった一体物で、中央に下方に傾斜して狭まった四角い穴が開いている形状になっている。該嵌合台(26と27)は、硬質ゴム等の強靭な弾力性のある材質で、空気を通す穴、切れ目等が存在しないものである。第1投入口嵌合台支え板21は、中央に四角い穴を有する円板で外周の縁は小ハッチ胴板35に接続し、中央部の穴以外には、空気を通す穴、切れ目等が無く、第1投入口の嵌合台(26,27)及び嵌合蓋28を支え、大気圧に耐える強度を有している。
【0035】
第2投入口72は、図3に断面が図示してある。
大ハッチ2の内側に第2投入口嵌合台上支え板22と第2投入口嵌合台下支え板23及び第2投入口斜め下板25によって支えられ固定された第2投入口嵌合台24が存在する。
第2投入口嵌合台上支え板22と第2投入口嵌合台下支え板23は、中央に4角形の穴を有する円板で外縁は大ハッチに内接して接続している。これら各板及び嵌合台(22〜25)は穴、切れ目等のない空気を通さない板からできていて、大ハッチ2内の隔壁となっており、小ハッチ1と第1投入口71が開き、第2投入口72が閉まっている時に上からかかる空気圧に耐える強度を有する材質のものでできている。
【0036】
第2投入口嵌合台24は対称に向かい合って、その間に傾斜して下方に狭まった空間を形成する。該嵌合台24に挟まれた間に、対称に向かい合った楔状第2投入口摺動蓋29と両該摺動蓋29に挟まれて固着した第2投入口弾性蓋30が存在する。第2投入口弾性蓋30には、中央部に第2投入口摺動蓋29との接触面に平行に弾性蓋切れ目36が入っており、該切れ目36は、第2投入口弾性蓋30を上端から下端まで貫いており、その切れ目の上下方向の中間部分は、第2投入口弾性蓋空洞32になっていて、その空洞の上と下の切れ目が変形して開口する。この空洞を含む切れ目は、投入された電池の通路となる。
【0037】
第2投入口弾性蓋30は弾性を有するゴム状の材質からできている。該弾性蓋の上面部は、水平に拡がり周辺が大ハッチ2の殻の内側に接する大きさの第2投入口弾性蓋円形シート31が固着して一体物になっている。即ち該弾性蓋30は第2投入口弾性蓋円形シート31の中央部下側に角型楔状に突起して存在する。第2投入口弾性蓋30の突起状の部分は第2投入口摺動蓋29に挟まれて固着しているので、第2投入口摺動蓋29が動けば、第2投入口弾性蓋30も動く。第2投入口弾性蓋円形シート31は、第2投入口摺動蓋29を覆って接触してはいるが、該摺動蓋29と固着はしていない。第2投入口弾性蓋円形シート31は、第2投入口弾性蓋30と一体であるので、該弾性蓋の変形に追随して変形する。
【0038】
第2投入口弾性蓋円形シート31は、上からかかる気圧によって下に接触しているものに圧着されるため、該シート31が覆っている下の部分の各間隙は空気が通れなくなる。即ち、第2投入口摺動蓋29と第2投入口嵌合台24との摺動面の間隙、第2投入口弾性蓋30の側面(すなわち第2投入口摺動蓋29に接していない側の面)と第2投入口嵌合台24との接触面である第2投入口弾性蓋横端面33の間隙、第2投入口弾性蓋30と接触していない側の第2投入口摺動蓋29の側面と第2投入口嵌合台24との接触面である第2投入口摺動蓋横端面34の間隙、を該シート31が塞ぐことができる。第2投入口嵌合台上支え板22と該シートの周辺部が固着されている為、該シート31は、その弾力性により、第2投入口弾性蓋30を引き上げて、該弾性蓋30の落ち込みを防ぐ機能がある。
【0039】
本発明になる減圧保管容器100は、大気の流入圧力を利用して、投入口と蓋の機密性を向上させていることを図2を用いて、以下に説明する。
小ハッチバルブ41を開けて外気を入れ、第1投入口前空間51を大気圧と等しくして小ハッチ1を開いた時、第1投入口嵌合蓋28は、その大気圧に押されて、第1投入口第1嵌合台26及び第1投入口第2嵌合台27の両台との嵌合がより密になる。従って、その下の気圧変動緩衝空間55への外気の流入が制限される。しかし、第1投入口が1気圧に完全に耐えて完全密閉を果たすことはできず、気圧変動緩衝空間55に微小の隙間から空気が洩入する。該緩衝空間55の気圧が、第2投入口弾性蓋円形シート31を介して、向かい合った両第2投入口摺動蓋29と第2投入口弾性蓋30に伝えられる。第2投入口摺動蓋29が第2投入口嵌合台24の斜面に沿って楔が食い込むように動き、第2投入口摺動蓋29に固定されている第2投入口弾性蓋30が両側から水平方向に押し付けられ、該弾性蓋30の弾性蓋切れ目36の密閉性が向上する。これにより、内容器5の存在する内部空間56への大気の侵入量を真空ポンプ46による排気量に比べて小さくすることができ、減圧状態を維持することができる。
【0040】
廃棄電池は、小ハッチ1のフランジ(6,7)開口部にある第1投入口71、更にその下の第2投入口72と全部で2個の投入口を通過して、その下に設置してある内容器に到達し、収納される。以下に図1の102及び図2の103から106までの断面図にて蓋の開閉状況、即ち投入された電池の通過の状況を詳しく説明する。
【0041】
先ず大ハッチ2を開け、上方に口を開いた内容器5を減圧保管容器100内に入れ、小ハッチ1の真下に位置するように設置する。大ハッチ2を閉じ、真空ポンプ46を稼動させて減圧し、ゲージ42が定常真空度(望ましくは0mmHg)を示した時点で、メインバルブ43を閉め、ゲージ42によって、時間経過による減圧度の低下の無いこと、即ち大ハッチ2の閉めが確実に行なわれ、空気の洩入の無いことを確認する。これが図1の102の状態である。次いで、メインバルブ43を開き、真空ポンプ46を稼動させた状態で、小ハッチバルブ41をゆっくり開く。空気の流入は生じているが、減圧は維持されていることが、ゲージ42によって確認できる。これが大ハッチ2についての図2の103の状態である。小ハッチバルブ41を全開にし、数秒から1分程度の時間経過後、小ハッチ蓋フランジ6を開くことが可能になる。真空ポンプ46の吸引が強すぎて、小ハッチ蓋フランジ6が開かない時は、メインバルブ43を一時的に閉じると、減圧保管容器100内は減圧状態で、第1投入口前空間51が大気圧になり、小ハッチ蓋フランジ6を開くことが可能になる。
【0042】
小ハッチ蓋フランジ6を開くと、閉じている第1投入口71の隙間から外気の吸入が生じる場合があるが、第1投入口嵌合蓋28及び第2投入口弾性蓋30が閉じていることによる抵抗によって、大気の流入が少ないため、内部空間56は、真空ポンプ46の排気能力と均衡する減圧度での減圧平衡状態に達する。
【0043】
廃棄電池の投入は、第1投入口71の第1投入口嵌合蓋28と第1投入口嵌合台26の間に電池を押し込んで、第1投入口嵌合蓋28の電池の形に合わせて変形した間隙である第1投入口開口部52を通過させる。これが、図2の104の状態である。第1投入口を抜け出た電池は、同時に吸引されて入る空気に押されながら気圧変動緩衝空間55を落下し、第2投入口弾性蓋30の上に到達する。第2投入口弾性蓋30は蓋上に電池等の固形物が存在しない時は、上から第2投入口弾性蓋円形シート31を介して蓋全面に気圧変動緩衝空間55内の気圧を受け、第2投入口摺動蓋29が下方に押され、第2投入口弾性蓋30が楔形に締め付けられ、該弾性蓋30の弾性蓋切れ目36である開口部は閉じている。
【0044】
投入された電池が第2投入口72に到達して第2投入口弾性蓋30の弾性蓋切れ目36に載ると、電池の重力と空気圧が電池を下向きに押す力となって該切れ目36に加わる。上から楔状に押されその結果水平に締め付けられていた第2投入口弾性蓋30は、廃棄電池が載ることにより該切れ目36の上端が下方に押され、平衡が破れ変形し第2投入口上開口部53となって開らく。その瞬間空気圧と電池の重みとが該切れ目36の上端に集中して電池を押し込む。この状態が図2の105である。電池は第2投入口弾性蓋空洞32を通り、同様にして弾性体が変形して弾性蓋切れ目36下端が開いた第2投入口下開口部54(図2の106が示す状態)を落下して、第2投入口72の下に位置する内容器5に到達する。
第2投入口弾性蓋30は、弾性蓋切れ目36に集中していた力が無くなったために、元の形に復元しようとする弾性力が働いて弾性蓋切れ目36の間隙が閉じ、第2投入口弾性蓋円形シート31によって引き戻され、定常位置に戻る。
【0045】
電池投入を続けるときは、前記[0043][0044]の繰返しになる。
電池投入が終了したならば、小ハッチ蓋フランジ6を閉め、小ハッチバルブ41を閉めることによって、減圧保管容器100内への外気の流入を完全に遮断する。真空ポンプ46は稼動しているため、少しずつ第2投入口弾性蓋30の弾性蓋切れ目36から気圧変動緩衝空間55に存在する空気が吸引され、同時に第1投入口嵌合蓋28と第1投入口第1嵌合台26の合わせ目並びに摺動面間の間隙から、その上の第1投入口前空間51に存在していた空気も少しずつ吸引され、時間の経過とともに減圧保管容器100内全体が真空に近い減圧状態に達する。
【0046】
ゲージ42が定常減圧度(望ましくは0mmHg)を示し、メインバルブ43を閉じてもゲージ42に変化が無ければ、真空ポンプ46を停止して放置しておくことができる。ゲージ42の示す減圧度が悪くなることがあれば、保管中の廃棄電池から少しずつ電解液が気化している可能性があり、更に真空ポンプ46を稼動させ続ける。 廃棄リチウムイオン電池の輸送に当たっては、閉じたメインバルブ43を減圧保管容器100に接続した状態で、耐圧ホースをジョイント47ではずし、そのバルブのついた保管容器100だけを運搬車両に載せて処理工場に運搬する。
【0047】
尚、減圧保管容器の内部空間が大きい場合、特にその運搬時においては、中に設置してある内容器が移動して減圧保管容器の内壁に衝突し、更に内部空間広ければ内容器が倒れ、電池が飛散することもある。内容器の急激な移動に伴う衝撃を防ぐために、減圧保管容器の内部空間、並びに複数の内容器が存在する場合はその内容器間の空間に、緩衝材を充填することが推奨される。この緩衝材としては、一般に発泡プラスチック成型品、空気を多量に含むプラスチックシート、有機無機繊維の綿、不織布等が適している。これらの緩衝材を取り扱いやすい形、例えば礫状成型品、不定形破片、繊維綿等ならば減圧保管容器中で飛散しないようにポリエチレン等の袋に入れる、シートならば内容器全部を合わせその外周に巻きつける、ひも・帯状ならば緩やかに絡ませる等を行なってこの内部空間を埋めることが望ましい。
【0048】
尚、この保管容器の輸送に当たっては、冷凍機を附設した保冷車に積み込んで、保管容器を冷却すれば更なる長時間の確実な安全輸送が可能である。冷却によって、輸送時の危険因子はほとんど無くなり、電池の発熱事故が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】減圧保管容器上面図及び正面図(真空ラインの接続をも示す)で、それらの右半分(真空ラインを除く)は断面図である。
【図2】減圧保管容器の大ハッチ蓋の構造を示す正面図(断面図)で、上103から下106へ順に、開口部が開き、移動していく様子を表している。
【図3】減圧保管容器の大ハッチ蓋の構造を示す断面図であるが、107は、108の第5断面線65における横断面の上面図である。108は、右半分は、107の第3断面線63に於ける縦断面の正面図であり、左半分は、107の第4断面線64に於ける縦断面を右から左方向に見た側面図である。
【符号の説明】
【0050】
100 発明を実施する為の最良の形態において例示説明している減圧保管容器。以下の各符号及び説明は、この例示説明の図1〜3に付した符号に該当する。
101 減圧保管容器上面図(右半分は第2断面線62で切断した断面)
102 減圧保管容器正面図(右半分は第1断面線61で切断した断面)
103 減圧保管容器の大ハッチ蓋正面図(第1断面線61で切断した断面)
104 減圧保管容器の大ハッチ蓋正面図(第1断面線61で切断した断面、小ハッチ開け、第1投入口嵌合蓋開け)
105 減圧保管容器の大ハッチ蓋正面図(第1断面線61で切断した断面、小ハッチ開け、第2投入口上開口部開け)
106 減圧保管容器の大ハッチ蓋正面図(第1断面線61で切断した断面、小ハッチ省略、第2投入口下開口部開け)
107 減圧保管容器の大ハッチ蓋上面図(第5断面線65で切断した断面)
108 減圧保管容器の大ハッチ蓋 (右半分は第3断面線63で切断した断面の正面図、左半分は第4断面線64で切断した断面の側面図)
1 小ハッチ蓋
2 大ハッチ蓋
3 胴板
4 外壁表面材
5 大ハッチ鏡板
6 小ハッチ蓋フランジ
7 小ハッチ口フランジ
8 大ハッチ蓋フランジ
9 大ハッチ口フランジ
10 中底板
11 足
12 底鏡板
13 内壁
21 第1投入口嵌合台支え板
22 第2投入口嵌合台上支え板
23 第2投入口嵌合台下支え板
24 第2投入口嵌合台
25 第2投入口斜め下板
26 第1投入口第1嵌合台
27 第1投入口第2嵌合台
28 第1投入口嵌合蓋
29 第2投入口摺動蓋
30 第2投入口弾性蓋
31 第2投入口弾性蓋円形シート
32 第2投入口弾性蓋空洞
33 第2投入口弾性蓋横端面
34 第2投入口摺動蓋横端面
35 小ハッチ胴板
36 弾性蓋切れ目
41 小ハッチバルブ
42 ゲージ
43 メインバルブ
44 入気バルブ
45 トラップ
46 真空ポンプ
47 ジョイント
51 第1投入口前空間
52 第1投入口開口部
53 第2投入口上開口部
54 第2投入口下開口部
55 気圧変動緩衝空間
56 内部空間
60 中心線
61 第1断面線
62 第2断面線
63 第3断面線
64 第4断面線
65 第5断面線
71 第1投入口
72 第2投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から投入したリチウムイオン電池を減圧保管する保管容器であって、前記減圧保管容器内を減圧にする手段と、前記減圧保管容器内を減圧下に維持する手段と、前記減圧保管容器に前記リチウムイオン電池を投入する際に空気の侵入を少なくする投入口の開閉手段と、を有してなることを特徴とするリチウムイオン電池の減圧保管容器。
【請求項2】
前記減圧保管容器内を減圧する手段は、真空ポンプであることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池の減圧保管容器。
【請求項3】
前記減圧保管容器内を減圧下に維持する手段は、前記リチウムイオン電池を収容する空間の上部を、投入口と蓋を備えた投入口以外は常に密閉された多重の隔壁で仕切り、外気の侵入が多重に阻止されることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池の減圧保管容器。
【請求項4】
前記投入口は、外部から電池を押込む第1投入口と電池が第1投入口の次に通過して減圧保管容器内部に入る第2投入口とからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の減圧保管容器。
【請求項5】
前記減圧保管容器の内部に、前記リチウムイオン電池を収納する脱着可能な少なくとも1個の上方が開いた内容器を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の減圧保管容器。
【請求項6】
前記減圧保管容器に前記リチウムイオン電池を投入する際に空気の侵入を少なくする第1投入口の開閉手段は、該投入口の蓋が、電池の形状に合わせて変形して開口し、該蓋にかかる気圧に押されて嵌合して閉口する楔型弾性体からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の減圧保管容器。
【請求項7】
前記減圧保管容器に前記リチウムイオン電池を投入する際に空気の侵入を少なくする第2投入口の開閉手段は、該投入口が、下方に狭まった楔型弾性体の上下に貫かれた切れ目であって、弾性体の切れ目が前記リチウムイオン電池の形に合わせて拡げられて開き、楔状に挟まれ締め付けられて閉まる、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の減圧保管容器。
【請求項8】
前記減圧保管容器に前記リチウムイオン電池を投入する際に空気の侵入を少なくする前記第2投入口の開閉手段は、前記リチウムイオン電池を、上からかかる気圧により押して、前記楔型弾性体の上の切れ目を変形して開いた中に没入させ、前記楔型弾性体の弾性力と気圧に押されて楔が挟まれ締め付けられる力とにより、前記楔形弾性体の上の切れ目入口を閉ざし、前記リチウムイオン電池を、切れ目内壁が包みながら、気圧の差による吸引により、切れ目内を下方へ移動させ、下の切れ目が変形して開いた口から容器内に落下させ、前記楔型弾性体の弾性力と気圧に押されて楔が挟まれ締め付けられる力とにより、下の切れ目出口を閉ざす、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の減圧保管容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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