使用者保持装置および使用者保持装置上の使用者のポジショニングのための方法
【課題】ターンアシスト用の袋を膨張させて使用者を左側または右側に傾けることによって使用者の体位を、例えば、腹臥位から仰臥位に変えること支援することができる使用者のポジショニング方法を提供する。
【解決手段】使用者の現在の体位と標的の体位との不一致の識別と、現在の体位から標的の体位への移動に対応する方向、大きさ、および位置を持つ上昇勾配の確立とが含れ、方法の1つの変形において、上昇勾配を確立するステップは、予め定めた袋の膨張および収縮の手順の1つのサブステップであり、別の変形において、方法には不一致が修正されたかどうかの判断と不一致の未修正分への対応とが含まれる。コントローラは、センサーアレイから情報を受信し、使用者の準最適なポジショニングを識別する能力と、選択した体位変換用袋を膨張させるためのポンプへのコマンドを発行する能力とを持ち、それにより使用者が標的の体位へと促される。
【解決手段】使用者の現在の体位と標的の体位との不一致の識別と、現在の体位から標的の体位への移動に対応する方向、大きさ、および位置を持つ上昇勾配の確立とが含れ、方法の1つの変形において、上昇勾配を確立するステップは、予め定めた袋の膨張および収縮の手順の1つのサブステップであり、別の変形において、方法には不一致が修正されたかどうかの判断と不一致の未修正分への対応とが含まれる。コントローラは、センサーアレイから情報を受信し、使用者の準最適なポジショニングを識別する能力と、選択した体位変換用袋を膨張させるためのポンプへのコマンドを発行する能力とを持ち、それにより使用者が標的の体位へと促される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載した主題は、使用者保持装置の使用者の体位を変えるために作動可能な病院用ベッドなどの使用者保持装置、ならびに関連する使用者の体位変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院用ベッドは、一般に長軸方向に頭側端部から足側端部へ、および横方向に左側から右側へ延びるフレームと、フレームに取り付けられたデッキを備えている。デッキは、デッキ部分を横方向に延びた軸を中心に旋回させることにより角度方向が調整可能な1つ以上の部分を有するセグメント化されたデッキでありうる。例えば、デッキは、フレームに対して角度方向0°〜65°の間で位置決め可能な胴体部分を持ちうる。マットレスは、デッキ上に置かれる。マットレスは、発泡体、膨張式袋、または発泡体と膨張式袋の組み合わせで構成でき、また方向調節可能なデッキ部分により定義される形状に沿って十分な柔軟性を示す。ベッドにはまた、ベッドの長軸方向中心線のそれぞれの側に1つずつ、一対のターンアシスト用の袋を含んでもよい。ターンアシスト用の袋は、未使用時には収縮される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ベッド使用者または介護者は、調節可能なデッキ部分の1つとマットレスの対応する部分の角度方向を変更するためにベッドを操作しうる。さらに、介護者は、ターンアシスト用の袋の一方または他方を膨張させて使用者を左側または右側に傾けることができ、それによって使用者の体位を、例えば、腹臥位から仰臥位に変える労力を支援する。介護者はまた、ターンアシスト用の袋を使用して、さまざまな治療または予防の処置を行うこともできる。この処置の一例が、連続ローテーションセラピー(Continuous Lateral Rotation Therapy:CLRT)である。CLRTには、ベッド使用者を左と右の各方向に約20°〜45°だけ交互に穏やかにターンさせるために、ターンアシスト用の袋をゆっくりと互いに一致させずに膨張・収縮することが関与する。交互にターンさせることで、使用者の肺への液体の蓄積防止に役立ち、既に肺内にある分泌物を移動させ、また肺の通気を増加させる。別の処置例は、褥瘡性潰瘍の発症を防止する、類似した左側から右側への約10°の循環が関与する横方向圧力軽減(Lateral Pressure Relief:LPR)である。
【0004】
実験から得た証拠では、ターンアシスト、CLRTおよびLPRは、下にあるターンアシスト用の袋の膨張を始める前に、使用者がマットレス上で横方向中央に横たわり、かつ長軸方向に実質的に並行に横たわっている場合に最も効率がよいことが示唆されている。さもなければ、ターンアシスト用の袋の膨張によって使用者をターンしたり傾斜させたりするのではなく、使用者を単に持ち上げることになりかねない。従って、正しくポジショニングされていない使用者のターンアシスト、CLRT、LPRまたはその他の横方向への回転を開始する前に、特に横方向に、事前にポジショニングを行うためのシステムおよび方法が望まれる。こうしたシステムおよび方法はまた、胴体部分などの方向調節可能なデッキ部分の方向を変える前に、特に長軸方向での使用者の体位を事前に決める上でも有用である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ベッドの使用者のポジショニング方法には、現在使用者体位と目標使用者体位との間にある不一致の存在の特定と、現在使用者体位から目標体位への使用者の移動に対応する方向、大きさ、および位置を持つ上昇勾配の確立とが含まれる。方法の1つの変形において、上昇勾配を確立するステップは、予め定めた袋の膨張および収縮の手順の1つのサブステップである。別の変形において、方法には、不一致が修正されたかどうかの判断と、不一致の未修正分への対応とが含まれる。関連するベッドには、マットレス、体位変換用袋の少なくとも1つの層、センサーアレイ、コントローラおよびポンプを含む。コントローラは、センサーアレイから情報を受信し、使用者保持装置の使用者の準最適なポジショニングを、受信した情報に応じて特定する能力と、また準最適なポジショニングの特定に応答してコマンド(特に、選択した体位変換用袋を膨張させるためのポンプへのコマンド)を発行する能力とを持つ。
【0006】
本明細書に記載した使用者保持装置およびポジショニング方法の多様な実施例の前述の機能とその他の機能は、下記の詳細な説明および付属の図面でより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、病院用ベッドで例示した使用者保持装置の斜視図で、使用者がそのマットレス上に横たわり、マットレスの部分を切断し、長軸方向に延びた体位変換用袋(そのうちの1つが膨張した状態にある)の層が明らかにされている。
【図1A】図1Aは、病院用ベッドで例示した使用者保持装置の概略側面図で、使用者がそのマットレス上に横たわり、マットレスの部分を切断し、長軸方向に延びた体位変換用袋(そのうちの1つが膨張した状態にある)の層が明らかにされている。
【図2】図2は、図1のベッドの平面図であり、袋の位置および方向を示す。
【図3】図3は、図1と類似した分解図であり、マットレス、袋の列およびセンサーアレイを示す。
【図4】図4は、代表的な袋の収縮状態(実線)と膨張状態(破線)を示す斜視図である。
【図5A】図5Aは、収縮状態にある代表的な袋を示す側面図である。
【図5B】図5Bは、膨張状態にある代表的な袋を示す側面図である。
【図6】図6は、図3と類似した分解斜視図で、マットレスおよび横方向に延びた体位変換用袋を備えた袋アレイを示す。
【図7】図7は、図3および図6に類似した表示であり、マットレス、長軸方向に延びた体位変換用袋の層、横方向に延びた体位変換用袋の層、およびセンサーアレイを示す。
【図8】図8は、図7の袋の列およびセンサーアレイを示す平面図である。
【図9】図9は、袋の層が円筒型の袋の行列である変形を示す平面図である。
【図10】図10は、図9の行列層を示す斜視図であり、選択した袋が膨張してベッド使用者を方向Fに促す。
【図11】図11は、斜めに向いた一群の袋を持つ別の変形の平面図である。
【図12】図12は、図1のベッドの頭側端部の高さを表示したもので、ベッド使用者をベッドの長軸方向中心方向に促すための上昇勾配を確立するために、右側の外側の袋が膨張していることを示し、かつ右側の内側の袋が収縮(実線)しているか、または外側の袋よりも膨張が低いことを示す。
【図13A】図13Aは、図1のベッドを操作するための考えられる1つのアルゴリズムを図示したブロック図と、線図ブロックに対応する概略平面図および端部正面図とを示し、またベッドおよび使用者の状態の3つの実施例を示す。
【図13B】図13Bは、図1のベッドを操作するための考えられる1つのアルゴリズムを図示したブロック図と、線図ブロックに対応する概略平面図および端部正面図とを示し、またベッドおよび使用者の状態の3つの実施例を示す。
【図13C】図13Cは、図1のベッドを操作するための考えられる1つのアルゴリズムを図示したブロック図と、線図ブロックに対応する概略平面図および端部正面図とを示し、またベッドおよび使用者の状態の3つの実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1、1Aおよび2を参照するが、病院用ベッド20で例示した使用者保持装置は、ベースフレーム22、ベースフレームで保持された上昇可能フレーム24、および上昇可能フレーム上に保持されたデッキ26を備えている。図示したデッキは、胴体または上体部分32、座席部分34、大腿部分36およびふくらはぎ部分38を備えたセグメント化されたデッキである。上体、座席およびデッキの各部分の角度方向α、β、θは調節可能である。ベッドは、横方向に左側44から右側46に、また長軸方向に頭側端部48から足側端部50に延びる。本明細書において、「左側」および「右側」という用語は、ベッドの足部側から頭部側を見た観察者の視点からのものである。図はまた、長軸方向および横方向に延びた中心線56、58をも示している。長軸方向中心線は、横方向に隣接した左側および右側のセクター62、64を定義する。横方向中心線は、長軸方向に隣接した頭部および足部のセクター、66、68を定義するが、これは北および南のセクターとも呼ばれる。集合的に、2つの中心線は、4つの領域(北左側領域NL、北右側領域NR、南左側領域SL、および南右側領域SR)を定義する。セクターおよび領域は中心線により定義されるため、セクター62、64は、横方向に隣接した半分で、セクター66、68は、長軸方向に隣接した半分で、また領域NL、NR、SL、SRは大きさが等しい象限である。
【0009】
さらに図3、4、5A、および5Bを参照するが、ベッドには、デッキ26上にあるベースマットレス82を備えたマットレス組立品80も含まれる。ベースマットレスは、左側、右側、頭部および足部の端部86、88、92、94を持つ。ベースマットレスは、方向調節可能なデッキ部分により定義される形状、例えば、図1Aの形状に沿って、十分な柔軟性を示す。多様なマットレス構成を使用しうる。これには、発泡体、膨張式袋、または発泡体および膨張式袋の組み合わせを採用したマットレスが含まれるが、これに限定されない。ベッドにはまた、長軸方向中心線のそれぞれの側に1つ、デッキ26とベースマットレス82の間に一対のターンアシスト用の袋(非表示)が含まれうる。ターンアシスト用の袋のうち一方が膨張して、上記の横方向の回転(ターンアシスト、CLRT、LPR)のうち1つが適用される。ターンアシスト用の袋は、未使用時には収縮される。
【0010】
マットレス組立品にはまた、膨張可能および収縮可能な体位変換用袋の少なくとも1つの層100も含まれ、これは、ターンアシスト用の袋による使用者の横方向の回転を準備するためのベッド使用者98の横方向の体位変換を意図したものである。袋の層100には、横方向外側左側の袋102、横方向内側左側の袋104、横方向内側右側の袋106および横方向外側右側の袋108が含まれ、それぞれが長軸方向に延びた袋の中心線112、114、116、118を持つ。袋102は、膨張した状態で描写されている。袋104、106、108は、収縮状態で描写されている。収縮した袋は、層100の表面よりわずかに上に張り出したものとして示しているが、実際には実質的に表面と同一平面となる。長さLが80インチ(203cm)および幅Wが36インチ(91cm)であるベースマットレスでは、それぞれの袋は長さL1が少なくとも約30インチ(76cm)で、その長軸方向の端部がベースマットレスの頭部および足部の端部92、94から等距離となるように位置する。それぞれの袋は、ターンアシスト用の袋の幅よりも狭い幅W1を持つ。図示した袋は幅は約4インチ(10cm)で、完全に膨張させた時の高さH1は約14.6インチ(37cm)である。従って、完全に膨張させたそれぞれの袋の実用的アスペクト比は約3.65である。横方向外側の袋102、108は、それらの中心線112、118が、ベースマットレス左側および右側の各端部86、88から約6.8インチ(17cm)に位置する。横方向内側の袋104、106は、外側の袋のすぐ内側に位置する。図示したベッドにおいて、それぞれの内側の袋の中心線は隣接する外側の袋の内側約3インチ(7.6cm)にあり、内側/外側の袋の対の間にそれぞれ約1インチ(2.5cm)の隙間S1を残している。体位変換用袋はマットレス組立品と一体としては図示していないが、ベースマットレス82の上部に組み込む機能とすることもできる。
【0011】
マットレス組立品には、毛布132と、毛布に設置された一連の圧力センサーまたは力感知センサー134を備えたセンサーアレイ130も含まれる。センサーアレイは、ベッド使用者と近接した位置となる袋の層100の上に位置し、それぞれの領域NL、NR、SL、SRに等しい数のセンサーがある。
【0012】
ベッドには、コントローラ140(例えばマイクロプロセッサ)、およびターンアシスト用の袋の膨張または収縮用の空気ポンプ142も含まれる。コントローラは、センサーアレイからの情報、具体的にはセンサーにかかった力または圧力を示す信号を受信する能力を持つ。コントローラは、センサーアレイから情報を受信し、使用者保持装置の使用者の準最適なポジショニングを受信した情報に応じて特定する能力と、また準最適なポジショニングの特定に応答して、ポンプにコマンドを発行する能力も持つ。ポンプは、選択した体位変換用袋を膨張または収縮させることで、発行されたコマンドに応答する。
【0013】
図6を参照するが、ベッドの別の変形は袋の層100を備えたマットレス組立品を備え、これには、長軸方向外側北の袋150、長軸方向中間北の袋152、長軸方向内側北の袋154、および長軸方向内側、中間および外側南の袋160、162、164が含まれる。それぞれの袋は、横方向に延びた袋中心線170、172、174、180、182、184を持つ。横方向に延びた袋は、ベッド使用者の長軸方向の体位変換用である。前記のとおり、長軸方向の体位変換は、デッキの上部胴体部分およびマットレスの対応する部分の高さを変化させる前に行うのが望ましいことがある。長さLが80インチ(203cm)、幅Wが36インチ(91cm)であるベースマットレスでは、それぞれの袋は長さL2が少なくとも約28インチ(71cm)で、その横方向の端部がベースマットレスの頭部および足部の端部86、88から等距離となるように位置する。それぞれの袋は、幅W2が約4インチ(10cm)で、完全に膨張させた時、高さH2は約14.6インチ(37cm)である。従って、完全に膨張させたそれぞれの袋の実用的アスペクト比は約3.65である。袋間の距離S2は約2インチ(5cm)である。外側の袋150、164の長軸方向に最も外側の端面は、それぞれの頭部および足部の端部92、94から約17.5インチ(44cm)である。体位変換用袋はマットレス組立品と一体としては図示していないが、ベースマットレス82の上部に組み込む機能とすることもできる。
【0014】
図7および8A〜8Cは、横方向に延びた体位変換用袋がある袋の層100Aと、長軸方向に延びた体位変換用袋がある層100Bを備えた別のベッドの変形を示す。層100A、100Bの垂直方向の順序は、図示したものと反対でありうる。二重の層が、ベッドに横方向および長軸方向の両方の体位変換能力を与える。
【0015】
図9〜10は、袋の層100が横方向および長軸方向に延びた膨張可能および収縮可能なセル190の行列を備えた別のベッドの変形を示す。参考として、それぞれのセルは行と列の座標で個別に識別され、また選択したセルは文字A、B、C、Dで識別されるグループにまとめてグループ化される。長軸方向に延びたセルの列を膨張させて、使用者の体位を横方向に変えることができる。横方向に延びたセルの行を膨張させて、使用者の体位を長軸方向に変えることができる。さらに、図10に図示したとおり、選択したセルは一般に必ずしもすべて同じ行や列にあるわけではないが、膨張させて長軸方向および横方向の両方の成分を持つある方向(例えば方向F)に使用者をポジショニングできる。こうした使用者の体位変換は、1つ以上の文字で表したセルグループを膨張させることで達成することもできる。
【0016】
図11は、4つの領域NL、NR、SL、SRのそれぞれに斜め方向の3つ揃いの袋200、202、204のある別の変形を示す。
【0017】
図1〜5を例証として再び参照するが、実際上、コントローラ140は現在使用者体位と目標使用者体位との間の不一致を特定するが、これは使用者の横方向の回転にとってより望ましいものである。一般に、目標体位は使用者の重心が縦軸56と一列になるか、横軸58と一列になるか、または予め指定したある程度の距離だけそこから離れた位置であり、また使用者は概して長軸方向中心線に並行に横たわる。不一致の特定は、コントローラがベースマットレス上の荷重の空間的分布を評価したり、マットレスの過荷重部分を別の方法で識別したりできるようにする搭載されたセンサーアレイ130からの読取り値を用いて遂行される。本明細書で使用するとき、「過荷重」とは、ベッドの一部、例えば領域NL、NR、SL、SRのうち1つ以上が、使用者が横方向の回転のための望ましい位置にいる場合に予想されるよりも不釣合いに大きな荷重を支えている状態を指し、ベッドにかかりうる重量制限を超過することではない。
【0018】
使用者の体位の不一致が特定されると、ベッドの2つのセクターのうち一方で上昇勾配が確立される。例えば、体位の不一致によって使用者が右側の領域NR、SRのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかになると、上昇勾配が右側セクター64で確立される。逆に、体位の不一致によって使用者が左側の領域NL、SLのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかになると、上昇勾配が左側のセクター62で確立される。勾配は、フレーム22、24とは独立して、1つ以上の選択した体位変換用袋102、104、106、108を膨張させることにより確立され、勾配の特徴(その方向、大きさおよび位置など)が、現在の使用者の体位から、または少なくとも前方に、目標体位までの使用者の移動に対応するようになる。例えば、図12に示すとおり、体位の不一致により使用者が右側の領域NR、SRのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかになると、右側の体位変換用袋の1つ、例えば右側外側の袋108を膨張させて、使用者が長軸方向中心線に向けてゆっくりと移動するようにできる。随意に、図に破線で示すとおり、右側内側の袋は使用者をより適切に保持するためにより少なく膨張させることができる。その後、膨張させた袋(複数の場合もある)を収縮させる。
【0019】
使用者が満足に体位変換されたことを判断するために使用者の体位の適切さが再評価される。再評価は、使用者の体位の不一致がまだ存在するかどうかを特定する前述のステップを反復することで達成できる。
【0020】
体位の不一致が修正されたと判断される場合、ベッドの使用者は横方向の回転(例えば、ターンアシスト、CLRT、LPR)のために適切にポジショニングされていると見なされ、横方向の回転に進むことができる。ところが、体位の不一致が存続する場合、コントローラは適切な対応のコマンドを出す。考えられる1つの対応は、介護スタッフに体位変換の試みが不成功であったことを知らせる警告を発することでありうる。考えられる別の対応は、警告を発する前に使用者の体位の未修正を改善するための少なくとも1つの試みをすることでありうる。1つのタイプの修正措置は、不成功に適用された勾配の性質とは異なる少なくとも1つの性質(方向、位置または大きさ)を持つ上昇勾配を確立したうえで、判断と対応のステップを反復することである。下記の段落に、持続的な体位の不一致の例と、各事例において適切であると考えられる修正措置を提示する。
【0021】
例1:当初の不一致により、使用者が右側の領域NR、SRのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかとなり、判断のステップで使用者が依然として右側にポジショニングされていないことが示されたが、それがよりわずかな程度である場合、適切な修正措置は、前回の勾配の位置よりもさらに内側の位置で右側セクター64の上昇勾配をもう一度確立することでありうる。こうした位置の変化は、右側内側の袋106を膨張させることにより達成できる。一般に、中心線に向けた使用者の体位変換で上昇勾配が部分的にのみ有効である場合、満足に体位変換を完了するためにはより内側の位置での第二の勾配を確立することで十分でありうる。
【0022】
例2:当初の不一致により使用者が右側の領域NR、SRのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかになり、また判断のステップにより使用者の体位にほんのわずかな変化が生じた、または全く変化がないことが明らかになった場合、適切な修正措置は、右側外側の袋を再度(ただしより高くまで)膨張させ、それにより使用者の体位変換の試みにおいて勾配の大きさを増大させることでありうる。
【0023】
例3:当初の不一致により、例えば領域NRに不釣合いな荷重がかかっていることが明らかになり、また判断ステップにより領域NRの不釣合いな荷重の十分な修正に領域SLの不釣合いな荷重が伴う場合は、例えば、胴体が領域NR上にあり、脚が領域SL上にあるなど、使用者が当初ベッドに斜めに横たわっていた可能性がある。上述のとおり、右側セクター64において確立された上昇勾配により、領域NR上に横たわる身体部分(すなわち使用者の胴体)の体位変換は満足できる形で行われた可能性があるが、使用者の脚は体位変換が不十分であった可能性は高いといえる。適切な修正措置は、領域SLにおいて第二の勾配を確立し、使用者の脚の位置をより中心線56に向けて移動させすることでありうる。一般に、斜め方向を向いた患者のポジショニングの不良は、ベッドの横方向の一方の側での上昇勾配を確率した後、ベッドの反対の横方向の側(すなわち異なる位置で)について第二の勾配を反対の方向に(例えば、左側から右側ではなく、右側から左側に下げる)確立することで修正される。
【0024】
比較的簡単な実施態様において、コントローラは、センサーからの情報を使用して、体位の不一致の単なる存在のみを特定し、予め定めたオープンループの袋の膨張および収縮の手順(例えば、右側外側の袋、右側内側の袋、左側外側の袋、左側内側の袋の順に膨張・収縮させる)のコマンドを出すように設計・設定される。コントローラは膨張/収縮の手順の最中(この場合、膨張/収縮の手順は続行されないこともある)か、または手順全体が完了した後のいずれかで体位の不一致が修正されたかどうかを判断するように、プログラムすることもできる。より複雑な実施態様において、コントローラはセンサーからの情報を使用して、体位の不一致の存在だけでなく不一致の特性も特定し、不一致の当初の特性に適切な範囲および手順で袋の膨張および収縮のコマンドを発し、また不一致の特性が体位変換用袋の動作に対応してどのように変化するかを考慮に入れるように設計または設定される。
【0025】
上記の描写および作動例に照らして、図1〜3の袋の層100は使用者が長軸方向に体位を変えられるように作動できる。図7〜8の袋の層100A、100Bは、長軸方向または横方向の体位変換を達成するために作動できるが、2つの成分の方向での体位変換が、同時ではなく順番に遂行されない限り、長軸方向および横方向の両方の成分を持つ方向での体位変換には最適ではないことがある。図9〜10の袋の列、および図11の三つ揃えの袋は、長軸方向または横方向の体位変換を達成するために作動でき、また長軸方向および横方向の両方の方向における同時の体位変換に対して、図7〜8の袋の列よりも適している可能性がある。
【0026】
図13は、図1〜3のベッド、すなわち長軸方向中心線の横方向のそれぞれの側に2つの長軸方向に延びた体位変換用袋を持つベッドの作動用に、考えられる1つのアルゴリズムを図示したブロック図である。図には、ベッドに横たわる使用者98の概略平面図と、体位変換用袋102、104、106、108を示した対応する概略端部正面図も含まれる。
【0027】
ブロック200は、横方向の回転機能(ターンアシスト、CLRT、LPR)のうちの1つなどのベッド機能のコマンドが発せられたかどうかを判断する。そうである場合、アルゴリズムはブロック202に進み、ベッド使用者が横方向の回転を始める前に、予め適切にポジショニングされていることが確認される。
【0028】
ブロック202で、アルゴリズムはセンサーアレイ130からの情報を使用して使用者が予め満足にポジショニングされているかどうかを判断する。満足できるポジショニングの基準は、4つの領域、つまり象限NL、NR、SL、SRの間で定められた荷重配分として表現されうる。例えば、満足できるポジショニングは、それぞれの領域での等しい荷重に相当することでも、領域NLで30%、領域NRで30%、領域SLで20%および領域SRで20%など、予め定められた何らかの不均等の荷重とすることでもよい。実際問題として、満足できる荷重配分の基準は、許容誤差を例えば5%または10%にすることになる。満足できるポジショニングに対応する荷重配分はまた、セクター62、64、66、68が中心線56、58によって、または長軸方向中心線56から横方向にずれた長軸方向の基準線および/または横方向中心線58から長軸方向にずれた横方向の基準線など、その他の何らかの基準によって定義されるかどうかの関数でもある。センサーが圧力センサーである場合、荷重は圧力と面積の積で決定できる。センサーが圧力センサーであり、面積がすべてのセンサーについて等しいと仮定されるか、または等しいことが既知の場合、圧力値を実際の力の代わりとして直接使用することができる。使用者が予め満足にポジショニングされている場合、アルゴリズムの実行はブロック202の後で終了し、横方向の回転に進むことができる。そうでない場合、アルゴリズムはブロック204に進む。概略図は、正しくポジショニングされていない使用者の考えられる2つの例を示す。例Aは、ベッドの横方向の一方の側にずれた使用者を図示しているが、それにもかかわらず、実質的に端部86、88と並行である。例Bは、ベッドに斜め方向に横たわった使用者を図示しており、胴体が領域NL内に、また脚が領域SR内にある。
【0029】
ブロック204で、アルゴリズムは再びセンサーアレイからの情報を使用して、ベッドの横方向セクター62、64のうちどれが過荷重状態であるかを判断する。例Aにおいて、右側セクター64は過荷重状態である。例Bにおいて、領域NRおよびSLには比較的軽い荷重がかかっており、領域NLおよびSRには比較的思い荷重がかかっており、領域NLは領域SRよりも大きな荷重がかかっている。ゆえに、アルゴリズムによって、左側のセクター62が過荷重のセクターであると結論付けられる。
【0030】
ブロック206で、アルゴリズムはポンプ142にコマンドを発し、ベッドの過荷重状態にあるどちらかの横方向の側(例Aでは右側、例Bでは左側)で、最も外側の体位変換用袋を膨張させる。例Aにおいて、袋の膨張により、使用者は左の方に長軸方向中心線56に向かって移動することになる(図12に描写したとおり)。例Bにおいて、袋の膨張により、使用者の身体の上半身が右の方に中心線56に向かって移動することになる。
【0031】
ブロック208で、アルゴリズムは、ポンプ142にコマンドを発し、膨張させた袋を収縮させる。概略図は、例Aの考えられる2つの結果と、例Bの考えられる1つの結果を示す。例A1において、使用者は、中心線56と一致して実質的に横方向になっている。例A2において、使用者は中心線56により近い位置に移動したが、いまだに中心からは離れている。例Bにおいて、使用者の身体の上半身は中心線56と一致して実質的に横方向になったが、使用者の身体の下半身はいまだに中心から離れている。
【0032】
ブロック210で、アルゴリズムはセンサーアレイからの情報を使用して、前回、過荷重状態として特定されたベッドのセクターがまだ過荷重状態にあるかどうかを判断する。例A1およびBにおいて、特定されたセクター(例A1の右側セクター64、例Bの左側セクター62)はもはや過荷重状態ではない。その結果、アルゴリズムはブロック216に進む。例A2において、特定されたセクターは過荷重状態のままである。その結果、アルゴリズムは、ブロック212に進む。
【0033】
ブロック212で、アルゴリズムはポンプにコマンドを発し、ベッドの過荷重状態の側にあるより内側の次の袋、すなわち袋106を膨張させる。袋の膨張により、使用者は左の方および中心線56に向かって移動することになる。ブロック214で、次にアルゴリズムは膨張させた袋を収縮させてブロック210に戻り、過荷重状態として前回特定されたベッドのセクターがまだ過荷重状態にあるかどうかを評価する。例において、アルゴリズムによって、特定されたセクターはもはや過荷重状態でないと結論付けられる。その結果、アルゴリズムはブロック216に進む。ブロック210はn回を超えることなく実行され、またブロック212および214はn−1回を超えることなく実行されることが想定されるが、ここでnは、ベッドのそれぞれの側にある袋の数量である(本例ではn=2)。ブロック210でのn回の実行後、特定されたセクターがいまだに過荷重状態である場合、アルゴリズムは実行を止めて体位変換の試みが不成功であったという警告を発するようにプログラムできる。あるいは、アルゴリズムは、ブロック216に進み、体位変換の試みが完全には成功しなかったという警告を発することもできる。
【0034】
ブロック216で、アルゴリズムはベッドの反対の横方向の側が過荷重状態であるかどうかを判断する。反対側とは、ブロック204で過荷重状態として特定されていない側である。例A1およびA2において、アルゴリズムは反対側が過荷重状態でないことを判断する。その結果、アルゴリズムの実行は終了する。例Bにおいて、アルゴリズムは、反対側が領域SR内の荷重のために過荷重状態のままであると判断する。その結果、アルゴリズムはブロック218〜226に進み、ベッドの反対側にあるブロック206〜214の演算が繰り返される。ここでも、アルゴリズムはブロック222〜226の反復回数の限度を観察するよう構成され、体位変換の試みが完全もしくは部分的に不成功であった場合に適切な警告が発せられる。
【0035】
上記の例において、事前位置決めアルゴリズムは、コマンドが発せられている指定したベッド機能に応答して自動的に実行される(ブロック200)。指定した機能の例には、ターンアシスト、連続ローテーションセラピーおよび横方向圧力軽減が含まれる。別の方法として、アルゴリズムはブロック200を含む必要がない。その代わりに、ベッドは、使用者または介護者がアルゴリズムの実行を意のままに開始するために使用しうる事前位置決めコントロールボタンまたはスイッチを含みうる。
【0036】
上記の例は、図1〜3にあるような、長軸方向に延びた体位変換用袋を持つベッドという状況で提示されている。この配置は、使用者の体位を横方向に移動させる場合に特に有用であると考えられる。ただし、本明細書で開示した体位変換方法は、少なくとも2つの横方向に延びた体位変換用袋を持ち、ベッドの長軸方向に隣接した2つのセクターのそれぞれに同一数の袋を備えた、図6に示すようなベッドにも適用される。この横方向の配置は、使用者の体位を長軸方向に移動させる場合に特に有用であると考えられる。長軸方向の体位変換は、デッキの姿勢角α、β、θ(図1A)、特に胴体部分28の角度αを変更する前に行うことが望ましい。横方向の袋の配置のためのアルゴリズムの例は、長軸方向の袋の配列の状況で上述したものと類似したものである。直行する2つの袋の列100A、100B(図7〜8)、セル様の袋の行列(図9〜10)または斜め方向の袋(図11)を使用することで、複数方向の体位変換能力をベッドに与えることができる。図9〜10の行列構成について、1つ以上のAグループにある袋がまず膨張し、その次に1つ以上のB、C、Dグループにある袋(すなわちベッドの角から中心に向かって)が、使用者の体位変換が十分に行われるまで膨張することが想定される。
【0037】
ベッドのそれぞれの側に1つの袋しか採用していないか、またはベッドのそれぞれの側に2つを超える袋が採用されるベッド構成も想定される。3つ以上の袋を使用する場合、未修正の位置の不一致に対応して取られる修正措置には、最も外側の袋を膨張させた後、より内側にある次の袋の膨張を連続的に循環させることと、および最も内側の袋が膨張して収縮するまでそれに隣接して次の最も外側にある袋を収縮させることが関与する。
【0038】
魅力的と考えられるその他の動作機能は、ベッドの過荷重状態として特定された側と反対側にある袋のうち1つをわずかに膨張させることである。反対側の袋をわずかに膨張させることで、位置の調節時に目標位置を越えて使用者が移動することを防止するのに役立ちうる。こうした膨張はまた、その後の横方向の回転によって使用者がベッドの「下り坂の」端面に向かって押しやられないように、体位変換に続けて使用することもでき、また使用者が袋に寄りかかっている範囲で、使用者の皮膚に作用する剪断力を低減するのに役立つ。
【0039】
上記の体位変換用袋は使用者のポジショニング専用であり、すなわちその他の目的には使用されない。ただし既に記述したとおり、一部のベッドでは、膨張させた空気袋が使用者の長期的保持に寄与するベースマットレスが使用されている。こうしたベッドでは、これらの保持用袋を使用して、専用の体位変換用袋を使用するよりも、その長期的な保持機能に加えて使用者の体位変換を行うことが可能であると考えられる。さらに、体位変換用袋、またはその部分集合を、体位変換用袋としての役割に加えて使用して、CLRTおよびLPRなどのローテーションセラピーの適用にも使用できる。
【0040】
これで使用者保持装置の構造および動作についての描写を終えたので、体位変換用袋の位置、その寸法、および膨張手順(外側から内側)に影響を及ぼす要因をここで評価できる。外側から内側への膨張の手順は、使用者がベッドの端部に向かう移動(望ましくない)ではなく、ベッドの中央へ向かう移動(望ましい)を助ける。
【0041】
最も外側の袋の中心線は、母集団の圧倒的多数の身体の質量中心の外側にあるべきである。不適切な体位変換のリスクが最も高い使用者は、最も小さな患者である。人体計測データ(C. Harrison、K. Robinette、『CAESAR: Summary Statistics for the Adult Population (ages 18-65) of the United States of America』(米国における成人母集団(年齢18〜65歳)についての簡易統計)、Human Effectiveness Directorate、Wright Patterson AFBが、SAE Internationalとの共同研究開発契約に基づき出版、AFRL-HE-WP-TR-2002-170)は99%の成人男性・女性母集団の肩幅は13.62インチ以上であることを示している。最も外側の袋が完全に膨張した時に使用者を中心線56から遠ざけるよう移動させる可能性を避けるために、最も外側の袋の中心線にはマットレスの端面から肩幅の半分を越えることのない距離だけ隙間を持たせ、完全に膨張した時に、袋の頂点が本体の正中線とベッドの横方向の端面86、88の間になるようにすべきである。これによって、最も外側の袋の中心線はマットレスの端面から約6.8インチ(17cm)を超えなくなる。次の最も内側の袋は、そのすぐ外側の袋付近に横方向に隣接するか、または図2に示すとおり例えば1インチ(2.5cm)のスペースを設けることができる。最も内側の袋は、膨張させた時に使用者を中心線56から遠ざけないように、中心線56から十分に離れているべきである。袋の長さは、袋によってもたらされる上昇力が使用者の臀部から首の付け根の領域で作用するように約30インチ(76cm)とするべきで、これは最も大きな使用者の重量が存在する領域である。
【0042】
膨張させた袋の高さについては、使用者がマットレスを横切って確実に移動するのに40°の傾斜が必要だと考えられる。上記言及したCAESARデータベースにより、潜在的な使用者の99%が約22.7インチ(58cm)の肩幅を持つことが明らかになっている。袋の中心線が仰臥位のベッド使用者の最も外側の端面にあると仮定すると、使用者および膨張させた袋は概して直角三角形の斜辺と1辺である。40°の傾斜を達成するために、袋はその未膨張の高さより約22 sin 30、つまり14.6インチ(37cm)高く突き出ている必要がある。袋が本体の中心線に近い場合、または身体が22.7インチ未満の幅である場合、高さ14.6インチの袋であれば40°を超える傾斜を達成できる。ほとんどの使用者では、最大の長さ14.6インチまで袋を膨張させる必要がない。約60°以上の傾斜では、使用者が滑りおりるよりも転がることになりうると考えられる。適度の傾斜での使用者の移動を促進するために考えられる1つの技術は、袋を振動させることにより静止摩擦を破るための振動を発生させて移動を奨励する方法である。収縮の前に、袋にパルスを加えて、2010年2月12日出願の「Method and Apparatus for Relieving Shear Induced by an Occupant Support(使用者保持装置により発生する剪断力を軽減する方法および装置)」という表題の係属中の米国特許出願第12/704,600号(その内容を参照することによりここに明示的に組み込む)に記載の内容と類似した方法で剪断力を軽減することができる。
【0043】
袋の幅が約4インチ(10cm)であることで設計者にはベッドのそれぞれの側に複数の袋を含めるオプションが提供され、一方で最も内側の袋と中心線の間に適切なスペースが提供される。
【0044】
横方向に延びた袋、例えば図6の袋150、152、154、160、162、164などについて、最も外側(最も北または最も南)の完全に膨張させた袋の横方向に延びた中心線からの距離は、使用者が北側または南側にできるだけ遠くに位置している時、また胎位と類似した丸くなった位置にある時に、最も小さい使用者の身体の質量中心の外側であるべきである。上記言及したCAESARデータベースでは、座位(おおよそ胎位である)の長さは、99%の成人で少なくとも約35インチ(89cm)であることが明らかにされている。使用者の質量が長さ方向に沿って概して均一に分布していると仮定すると、最も外側の袋の中心線はこの距離の半分を超えるべきでなく、つまりベッドの端部から約17.5インチ(44cm)である。最も内側の袋は膨張された時、使用者を中心線58から遠ざけないように中心線58から十分に離れているべきである。
【0045】
この開示では具体的な実施態様を記載しているが、当業者であれば、付随の請求項で規定される主題から逸脱することなく、形態や詳細に対してさまざまな変更を行うことができることが理解されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載した主題は、使用者保持装置の使用者の体位を変えるために作動可能な病院用ベッドなどの使用者保持装置、ならびに関連する使用者の体位変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院用ベッドは、一般に長軸方向に頭側端部から足側端部へ、および横方向に左側から右側へ延びるフレームと、フレームに取り付けられたデッキを備えている。デッキは、デッキ部分を横方向に延びた軸を中心に旋回させることにより角度方向が調整可能な1つ以上の部分を有するセグメント化されたデッキでありうる。例えば、デッキは、フレームに対して角度方向0°〜65°の間で位置決め可能な胴体部分を持ちうる。マットレスは、デッキ上に置かれる。マットレスは、発泡体、膨張式袋、または発泡体と膨張式袋の組み合わせで構成でき、また方向調節可能なデッキ部分により定義される形状に沿って十分な柔軟性を示す。ベッドにはまた、ベッドの長軸方向中心線のそれぞれの側に1つずつ、一対のターンアシスト用の袋を含んでもよい。ターンアシスト用の袋は、未使用時には収縮される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ベッド使用者または介護者は、調節可能なデッキ部分の1つとマットレスの対応する部分の角度方向を変更するためにベッドを操作しうる。さらに、介護者は、ターンアシスト用の袋の一方または他方を膨張させて使用者を左側または右側に傾けることができ、それによって使用者の体位を、例えば、腹臥位から仰臥位に変える労力を支援する。介護者はまた、ターンアシスト用の袋を使用して、さまざまな治療または予防の処置を行うこともできる。この処置の一例が、連続ローテーションセラピー(Continuous Lateral Rotation Therapy:CLRT)である。CLRTには、ベッド使用者を左と右の各方向に約20°〜45°だけ交互に穏やかにターンさせるために、ターンアシスト用の袋をゆっくりと互いに一致させずに膨張・収縮することが関与する。交互にターンさせることで、使用者の肺への液体の蓄積防止に役立ち、既に肺内にある分泌物を移動させ、また肺の通気を増加させる。別の処置例は、褥瘡性潰瘍の発症を防止する、類似した左側から右側への約10°の循環が関与する横方向圧力軽減(Lateral Pressure Relief:LPR)である。
【0004】
実験から得た証拠では、ターンアシスト、CLRTおよびLPRは、下にあるターンアシスト用の袋の膨張を始める前に、使用者がマットレス上で横方向中央に横たわり、かつ長軸方向に実質的に並行に横たわっている場合に最も効率がよいことが示唆されている。さもなければ、ターンアシスト用の袋の膨張によって使用者をターンしたり傾斜させたりするのではなく、使用者を単に持ち上げることになりかねない。従って、正しくポジショニングされていない使用者のターンアシスト、CLRT、LPRまたはその他の横方向への回転を開始する前に、特に横方向に、事前にポジショニングを行うためのシステムおよび方法が望まれる。こうしたシステムおよび方法はまた、胴体部分などの方向調節可能なデッキ部分の方向を変える前に、特に長軸方向での使用者の体位を事前に決める上でも有用である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ベッドの使用者のポジショニング方法には、現在使用者体位と目標使用者体位との間にある不一致の存在の特定と、現在使用者体位から目標体位への使用者の移動に対応する方向、大きさ、および位置を持つ上昇勾配の確立とが含まれる。方法の1つの変形において、上昇勾配を確立するステップは、予め定めた袋の膨張および収縮の手順の1つのサブステップである。別の変形において、方法には、不一致が修正されたかどうかの判断と、不一致の未修正分への対応とが含まれる。関連するベッドには、マットレス、体位変換用袋の少なくとも1つの層、センサーアレイ、コントローラおよびポンプを含む。コントローラは、センサーアレイから情報を受信し、使用者保持装置の使用者の準最適なポジショニングを、受信した情報に応じて特定する能力と、また準最適なポジショニングの特定に応答してコマンド(特に、選択した体位変換用袋を膨張させるためのポンプへのコマンド)を発行する能力とを持つ。
【0006】
本明細書に記載した使用者保持装置およびポジショニング方法の多様な実施例の前述の機能とその他の機能は、下記の詳細な説明および付属の図面でより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、病院用ベッドで例示した使用者保持装置の斜視図で、使用者がそのマットレス上に横たわり、マットレスの部分を切断し、長軸方向に延びた体位変換用袋(そのうちの1つが膨張した状態にある)の層が明らかにされている。
【図1A】図1Aは、病院用ベッドで例示した使用者保持装置の概略側面図で、使用者がそのマットレス上に横たわり、マットレスの部分を切断し、長軸方向に延びた体位変換用袋(そのうちの1つが膨張した状態にある)の層が明らかにされている。
【図2】図2は、図1のベッドの平面図であり、袋の位置および方向を示す。
【図3】図3は、図1と類似した分解図であり、マットレス、袋の列およびセンサーアレイを示す。
【図4】図4は、代表的な袋の収縮状態(実線)と膨張状態(破線)を示す斜視図である。
【図5A】図5Aは、収縮状態にある代表的な袋を示す側面図である。
【図5B】図5Bは、膨張状態にある代表的な袋を示す側面図である。
【図6】図6は、図3と類似した分解斜視図で、マットレスおよび横方向に延びた体位変換用袋を備えた袋アレイを示す。
【図7】図7は、図3および図6に類似した表示であり、マットレス、長軸方向に延びた体位変換用袋の層、横方向に延びた体位変換用袋の層、およびセンサーアレイを示す。
【図8】図8は、図7の袋の列およびセンサーアレイを示す平面図である。
【図9】図9は、袋の層が円筒型の袋の行列である変形を示す平面図である。
【図10】図10は、図9の行列層を示す斜視図であり、選択した袋が膨張してベッド使用者を方向Fに促す。
【図11】図11は、斜めに向いた一群の袋を持つ別の変形の平面図である。
【図12】図12は、図1のベッドの頭側端部の高さを表示したもので、ベッド使用者をベッドの長軸方向中心方向に促すための上昇勾配を確立するために、右側の外側の袋が膨張していることを示し、かつ右側の内側の袋が収縮(実線)しているか、または外側の袋よりも膨張が低いことを示す。
【図13A】図13Aは、図1のベッドを操作するための考えられる1つのアルゴリズムを図示したブロック図と、線図ブロックに対応する概略平面図および端部正面図とを示し、またベッドおよび使用者の状態の3つの実施例を示す。
【図13B】図13Bは、図1のベッドを操作するための考えられる1つのアルゴリズムを図示したブロック図と、線図ブロックに対応する概略平面図および端部正面図とを示し、またベッドおよび使用者の状態の3つの実施例を示す。
【図13C】図13Cは、図1のベッドを操作するための考えられる1つのアルゴリズムを図示したブロック図と、線図ブロックに対応する概略平面図および端部正面図とを示し、またベッドおよび使用者の状態の3つの実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1、1Aおよび2を参照するが、病院用ベッド20で例示した使用者保持装置は、ベースフレーム22、ベースフレームで保持された上昇可能フレーム24、および上昇可能フレーム上に保持されたデッキ26を備えている。図示したデッキは、胴体または上体部分32、座席部分34、大腿部分36およびふくらはぎ部分38を備えたセグメント化されたデッキである。上体、座席およびデッキの各部分の角度方向α、β、θは調節可能である。ベッドは、横方向に左側44から右側46に、また長軸方向に頭側端部48から足側端部50に延びる。本明細書において、「左側」および「右側」という用語は、ベッドの足部側から頭部側を見た観察者の視点からのものである。図はまた、長軸方向および横方向に延びた中心線56、58をも示している。長軸方向中心線は、横方向に隣接した左側および右側のセクター62、64を定義する。横方向中心線は、長軸方向に隣接した頭部および足部のセクター、66、68を定義するが、これは北および南のセクターとも呼ばれる。集合的に、2つの中心線は、4つの領域(北左側領域NL、北右側領域NR、南左側領域SL、および南右側領域SR)を定義する。セクターおよび領域は中心線により定義されるため、セクター62、64は、横方向に隣接した半分で、セクター66、68は、長軸方向に隣接した半分で、また領域NL、NR、SL、SRは大きさが等しい象限である。
【0009】
さらに図3、4、5A、および5Bを参照するが、ベッドには、デッキ26上にあるベースマットレス82を備えたマットレス組立品80も含まれる。ベースマットレスは、左側、右側、頭部および足部の端部86、88、92、94を持つ。ベースマットレスは、方向調節可能なデッキ部分により定義される形状、例えば、図1Aの形状に沿って、十分な柔軟性を示す。多様なマットレス構成を使用しうる。これには、発泡体、膨張式袋、または発泡体および膨張式袋の組み合わせを採用したマットレスが含まれるが、これに限定されない。ベッドにはまた、長軸方向中心線のそれぞれの側に1つ、デッキ26とベースマットレス82の間に一対のターンアシスト用の袋(非表示)が含まれうる。ターンアシスト用の袋のうち一方が膨張して、上記の横方向の回転(ターンアシスト、CLRT、LPR)のうち1つが適用される。ターンアシスト用の袋は、未使用時には収縮される。
【0010】
マットレス組立品にはまた、膨張可能および収縮可能な体位変換用袋の少なくとも1つの層100も含まれ、これは、ターンアシスト用の袋による使用者の横方向の回転を準備するためのベッド使用者98の横方向の体位変換を意図したものである。袋の層100には、横方向外側左側の袋102、横方向内側左側の袋104、横方向内側右側の袋106および横方向外側右側の袋108が含まれ、それぞれが長軸方向に延びた袋の中心線112、114、116、118を持つ。袋102は、膨張した状態で描写されている。袋104、106、108は、収縮状態で描写されている。収縮した袋は、層100の表面よりわずかに上に張り出したものとして示しているが、実際には実質的に表面と同一平面となる。長さLが80インチ(203cm)および幅Wが36インチ(91cm)であるベースマットレスでは、それぞれの袋は長さL1が少なくとも約30インチ(76cm)で、その長軸方向の端部がベースマットレスの頭部および足部の端部92、94から等距離となるように位置する。それぞれの袋は、ターンアシスト用の袋の幅よりも狭い幅W1を持つ。図示した袋は幅は約4インチ(10cm)で、完全に膨張させた時の高さH1は約14.6インチ(37cm)である。従って、完全に膨張させたそれぞれの袋の実用的アスペクト比は約3.65である。横方向外側の袋102、108は、それらの中心線112、118が、ベースマットレス左側および右側の各端部86、88から約6.8インチ(17cm)に位置する。横方向内側の袋104、106は、外側の袋のすぐ内側に位置する。図示したベッドにおいて、それぞれの内側の袋の中心線は隣接する外側の袋の内側約3インチ(7.6cm)にあり、内側/外側の袋の対の間にそれぞれ約1インチ(2.5cm)の隙間S1を残している。体位変換用袋はマットレス組立品と一体としては図示していないが、ベースマットレス82の上部に組み込む機能とすることもできる。
【0011】
マットレス組立品には、毛布132と、毛布に設置された一連の圧力センサーまたは力感知センサー134を備えたセンサーアレイ130も含まれる。センサーアレイは、ベッド使用者と近接した位置となる袋の層100の上に位置し、それぞれの領域NL、NR、SL、SRに等しい数のセンサーがある。
【0012】
ベッドには、コントローラ140(例えばマイクロプロセッサ)、およびターンアシスト用の袋の膨張または収縮用の空気ポンプ142も含まれる。コントローラは、センサーアレイからの情報、具体的にはセンサーにかかった力または圧力を示す信号を受信する能力を持つ。コントローラは、センサーアレイから情報を受信し、使用者保持装置の使用者の準最適なポジショニングを受信した情報に応じて特定する能力と、また準最適なポジショニングの特定に応答して、ポンプにコマンドを発行する能力も持つ。ポンプは、選択した体位変換用袋を膨張または収縮させることで、発行されたコマンドに応答する。
【0013】
図6を参照するが、ベッドの別の変形は袋の層100を備えたマットレス組立品を備え、これには、長軸方向外側北の袋150、長軸方向中間北の袋152、長軸方向内側北の袋154、および長軸方向内側、中間および外側南の袋160、162、164が含まれる。それぞれの袋は、横方向に延びた袋中心線170、172、174、180、182、184を持つ。横方向に延びた袋は、ベッド使用者の長軸方向の体位変換用である。前記のとおり、長軸方向の体位変換は、デッキの上部胴体部分およびマットレスの対応する部分の高さを変化させる前に行うのが望ましいことがある。長さLが80インチ(203cm)、幅Wが36インチ(91cm)であるベースマットレスでは、それぞれの袋は長さL2が少なくとも約28インチ(71cm)で、その横方向の端部がベースマットレスの頭部および足部の端部86、88から等距離となるように位置する。それぞれの袋は、幅W2が約4インチ(10cm)で、完全に膨張させた時、高さH2は約14.6インチ(37cm)である。従って、完全に膨張させたそれぞれの袋の実用的アスペクト比は約3.65である。袋間の距離S2は約2インチ(5cm)である。外側の袋150、164の長軸方向に最も外側の端面は、それぞれの頭部および足部の端部92、94から約17.5インチ(44cm)である。体位変換用袋はマットレス組立品と一体としては図示していないが、ベースマットレス82の上部に組み込む機能とすることもできる。
【0014】
図7および8A〜8Cは、横方向に延びた体位変換用袋がある袋の層100Aと、長軸方向に延びた体位変換用袋がある層100Bを備えた別のベッドの変形を示す。層100A、100Bの垂直方向の順序は、図示したものと反対でありうる。二重の層が、ベッドに横方向および長軸方向の両方の体位変換能力を与える。
【0015】
図9〜10は、袋の層100が横方向および長軸方向に延びた膨張可能および収縮可能なセル190の行列を備えた別のベッドの変形を示す。参考として、それぞれのセルは行と列の座標で個別に識別され、また選択したセルは文字A、B、C、Dで識別されるグループにまとめてグループ化される。長軸方向に延びたセルの列を膨張させて、使用者の体位を横方向に変えることができる。横方向に延びたセルの行を膨張させて、使用者の体位を長軸方向に変えることができる。さらに、図10に図示したとおり、選択したセルは一般に必ずしもすべて同じ行や列にあるわけではないが、膨張させて長軸方向および横方向の両方の成分を持つある方向(例えば方向F)に使用者をポジショニングできる。こうした使用者の体位変換は、1つ以上の文字で表したセルグループを膨張させることで達成することもできる。
【0016】
図11は、4つの領域NL、NR、SL、SRのそれぞれに斜め方向の3つ揃いの袋200、202、204のある別の変形を示す。
【0017】
図1〜5を例証として再び参照するが、実際上、コントローラ140は現在使用者体位と目標使用者体位との間の不一致を特定するが、これは使用者の横方向の回転にとってより望ましいものである。一般に、目標体位は使用者の重心が縦軸56と一列になるか、横軸58と一列になるか、または予め指定したある程度の距離だけそこから離れた位置であり、また使用者は概して長軸方向中心線に並行に横たわる。不一致の特定は、コントローラがベースマットレス上の荷重の空間的分布を評価したり、マットレスの過荷重部分を別の方法で識別したりできるようにする搭載されたセンサーアレイ130からの読取り値を用いて遂行される。本明細書で使用するとき、「過荷重」とは、ベッドの一部、例えば領域NL、NR、SL、SRのうち1つ以上が、使用者が横方向の回転のための望ましい位置にいる場合に予想されるよりも不釣合いに大きな荷重を支えている状態を指し、ベッドにかかりうる重量制限を超過することではない。
【0018】
使用者の体位の不一致が特定されると、ベッドの2つのセクターのうち一方で上昇勾配が確立される。例えば、体位の不一致によって使用者が右側の領域NR、SRのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかになると、上昇勾配が右側セクター64で確立される。逆に、体位の不一致によって使用者が左側の領域NL、SLのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかになると、上昇勾配が左側のセクター62で確立される。勾配は、フレーム22、24とは独立して、1つ以上の選択した体位変換用袋102、104、106、108を膨張させることにより確立され、勾配の特徴(その方向、大きさおよび位置など)が、現在の使用者の体位から、または少なくとも前方に、目標体位までの使用者の移動に対応するようになる。例えば、図12に示すとおり、体位の不一致により使用者が右側の領域NR、SRのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかになると、右側の体位変換用袋の1つ、例えば右側外側の袋108を膨張させて、使用者が長軸方向中心線に向けてゆっくりと移動するようにできる。随意に、図に破線で示すとおり、右側内側の袋は使用者をより適切に保持するためにより少なく膨張させることができる。その後、膨張させた袋(複数の場合もある)を収縮させる。
【0019】
使用者が満足に体位変換されたことを判断するために使用者の体位の適切さが再評価される。再評価は、使用者の体位の不一致がまだ存在するかどうかを特定する前述のステップを反復することで達成できる。
【0020】
体位の不一致が修正されたと判断される場合、ベッドの使用者は横方向の回転(例えば、ターンアシスト、CLRT、LPR)のために適切にポジショニングされていると見なされ、横方向の回転に進むことができる。ところが、体位の不一致が存続する場合、コントローラは適切な対応のコマンドを出す。考えられる1つの対応は、介護スタッフに体位変換の試みが不成功であったことを知らせる警告を発することでありうる。考えられる別の対応は、警告を発する前に使用者の体位の未修正を改善するための少なくとも1つの試みをすることでありうる。1つのタイプの修正措置は、不成功に適用された勾配の性質とは異なる少なくとも1つの性質(方向、位置または大きさ)を持つ上昇勾配を確立したうえで、判断と対応のステップを反復することである。下記の段落に、持続的な体位の不一致の例と、各事例において適切であると考えられる修正措置を提示する。
【0021】
例1:当初の不一致により、使用者が右側の領域NR、SRのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかとなり、判断のステップで使用者が依然として右側にポジショニングされていないことが示されたが、それがよりわずかな程度である場合、適切な修正措置は、前回の勾配の位置よりもさらに内側の位置で右側セクター64の上昇勾配をもう一度確立することでありうる。こうした位置の変化は、右側内側の袋106を膨張させることにより達成できる。一般に、中心線に向けた使用者の体位変換で上昇勾配が部分的にのみ有効である場合、満足に体位変換を完了するためにはより内側の位置での第二の勾配を確立することで十分でありうる。
【0022】
例2:当初の不一致により使用者が右側の領域NR、SRのうち一方に向かってポジショニングされていないことが明らかになり、また判断のステップにより使用者の体位にほんのわずかな変化が生じた、または全く変化がないことが明らかになった場合、適切な修正措置は、右側外側の袋を再度(ただしより高くまで)膨張させ、それにより使用者の体位変換の試みにおいて勾配の大きさを増大させることでありうる。
【0023】
例3:当初の不一致により、例えば領域NRに不釣合いな荷重がかかっていることが明らかになり、また判断ステップにより領域NRの不釣合いな荷重の十分な修正に領域SLの不釣合いな荷重が伴う場合は、例えば、胴体が領域NR上にあり、脚が領域SL上にあるなど、使用者が当初ベッドに斜めに横たわっていた可能性がある。上述のとおり、右側セクター64において確立された上昇勾配により、領域NR上に横たわる身体部分(すなわち使用者の胴体)の体位変換は満足できる形で行われた可能性があるが、使用者の脚は体位変換が不十分であった可能性は高いといえる。適切な修正措置は、領域SLにおいて第二の勾配を確立し、使用者の脚の位置をより中心線56に向けて移動させすることでありうる。一般に、斜め方向を向いた患者のポジショニングの不良は、ベッドの横方向の一方の側での上昇勾配を確率した後、ベッドの反対の横方向の側(すなわち異なる位置で)について第二の勾配を反対の方向に(例えば、左側から右側ではなく、右側から左側に下げる)確立することで修正される。
【0024】
比較的簡単な実施態様において、コントローラは、センサーからの情報を使用して、体位の不一致の単なる存在のみを特定し、予め定めたオープンループの袋の膨張および収縮の手順(例えば、右側外側の袋、右側内側の袋、左側外側の袋、左側内側の袋の順に膨張・収縮させる)のコマンドを出すように設計・設定される。コントローラは膨張/収縮の手順の最中(この場合、膨張/収縮の手順は続行されないこともある)か、または手順全体が完了した後のいずれかで体位の不一致が修正されたかどうかを判断するように、プログラムすることもできる。より複雑な実施態様において、コントローラはセンサーからの情報を使用して、体位の不一致の存在だけでなく不一致の特性も特定し、不一致の当初の特性に適切な範囲および手順で袋の膨張および収縮のコマンドを発し、また不一致の特性が体位変換用袋の動作に対応してどのように変化するかを考慮に入れるように設計または設定される。
【0025】
上記の描写および作動例に照らして、図1〜3の袋の層100は使用者が長軸方向に体位を変えられるように作動できる。図7〜8の袋の層100A、100Bは、長軸方向または横方向の体位変換を達成するために作動できるが、2つの成分の方向での体位変換が、同時ではなく順番に遂行されない限り、長軸方向および横方向の両方の成分を持つ方向での体位変換には最適ではないことがある。図9〜10の袋の列、および図11の三つ揃えの袋は、長軸方向または横方向の体位変換を達成するために作動でき、また長軸方向および横方向の両方の方向における同時の体位変換に対して、図7〜8の袋の列よりも適している可能性がある。
【0026】
図13は、図1〜3のベッド、すなわち長軸方向中心線の横方向のそれぞれの側に2つの長軸方向に延びた体位変換用袋を持つベッドの作動用に、考えられる1つのアルゴリズムを図示したブロック図である。図には、ベッドに横たわる使用者98の概略平面図と、体位変換用袋102、104、106、108を示した対応する概略端部正面図も含まれる。
【0027】
ブロック200は、横方向の回転機能(ターンアシスト、CLRT、LPR)のうちの1つなどのベッド機能のコマンドが発せられたかどうかを判断する。そうである場合、アルゴリズムはブロック202に進み、ベッド使用者が横方向の回転を始める前に、予め適切にポジショニングされていることが確認される。
【0028】
ブロック202で、アルゴリズムはセンサーアレイ130からの情報を使用して使用者が予め満足にポジショニングされているかどうかを判断する。満足できるポジショニングの基準は、4つの領域、つまり象限NL、NR、SL、SRの間で定められた荷重配分として表現されうる。例えば、満足できるポジショニングは、それぞれの領域での等しい荷重に相当することでも、領域NLで30%、領域NRで30%、領域SLで20%および領域SRで20%など、予め定められた何らかの不均等の荷重とすることでもよい。実際問題として、満足できる荷重配分の基準は、許容誤差を例えば5%または10%にすることになる。満足できるポジショニングに対応する荷重配分はまた、セクター62、64、66、68が中心線56、58によって、または長軸方向中心線56から横方向にずれた長軸方向の基準線および/または横方向中心線58から長軸方向にずれた横方向の基準線など、その他の何らかの基準によって定義されるかどうかの関数でもある。センサーが圧力センサーである場合、荷重は圧力と面積の積で決定できる。センサーが圧力センサーであり、面積がすべてのセンサーについて等しいと仮定されるか、または等しいことが既知の場合、圧力値を実際の力の代わりとして直接使用することができる。使用者が予め満足にポジショニングされている場合、アルゴリズムの実行はブロック202の後で終了し、横方向の回転に進むことができる。そうでない場合、アルゴリズムはブロック204に進む。概略図は、正しくポジショニングされていない使用者の考えられる2つの例を示す。例Aは、ベッドの横方向の一方の側にずれた使用者を図示しているが、それにもかかわらず、実質的に端部86、88と並行である。例Bは、ベッドに斜め方向に横たわった使用者を図示しており、胴体が領域NL内に、また脚が領域SR内にある。
【0029】
ブロック204で、アルゴリズムは再びセンサーアレイからの情報を使用して、ベッドの横方向セクター62、64のうちどれが過荷重状態であるかを判断する。例Aにおいて、右側セクター64は過荷重状態である。例Bにおいて、領域NRおよびSLには比較的軽い荷重がかかっており、領域NLおよびSRには比較的思い荷重がかかっており、領域NLは領域SRよりも大きな荷重がかかっている。ゆえに、アルゴリズムによって、左側のセクター62が過荷重のセクターであると結論付けられる。
【0030】
ブロック206で、アルゴリズムはポンプ142にコマンドを発し、ベッドの過荷重状態にあるどちらかの横方向の側(例Aでは右側、例Bでは左側)で、最も外側の体位変換用袋を膨張させる。例Aにおいて、袋の膨張により、使用者は左の方に長軸方向中心線56に向かって移動することになる(図12に描写したとおり)。例Bにおいて、袋の膨張により、使用者の身体の上半身が右の方に中心線56に向かって移動することになる。
【0031】
ブロック208で、アルゴリズムは、ポンプ142にコマンドを発し、膨張させた袋を収縮させる。概略図は、例Aの考えられる2つの結果と、例Bの考えられる1つの結果を示す。例A1において、使用者は、中心線56と一致して実質的に横方向になっている。例A2において、使用者は中心線56により近い位置に移動したが、いまだに中心からは離れている。例Bにおいて、使用者の身体の上半身は中心線56と一致して実質的に横方向になったが、使用者の身体の下半身はいまだに中心から離れている。
【0032】
ブロック210で、アルゴリズムはセンサーアレイからの情報を使用して、前回、過荷重状態として特定されたベッドのセクターがまだ過荷重状態にあるかどうかを判断する。例A1およびBにおいて、特定されたセクター(例A1の右側セクター64、例Bの左側セクター62)はもはや過荷重状態ではない。その結果、アルゴリズムはブロック216に進む。例A2において、特定されたセクターは過荷重状態のままである。その結果、アルゴリズムは、ブロック212に進む。
【0033】
ブロック212で、アルゴリズムはポンプにコマンドを発し、ベッドの過荷重状態の側にあるより内側の次の袋、すなわち袋106を膨張させる。袋の膨張により、使用者は左の方および中心線56に向かって移動することになる。ブロック214で、次にアルゴリズムは膨張させた袋を収縮させてブロック210に戻り、過荷重状態として前回特定されたベッドのセクターがまだ過荷重状態にあるかどうかを評価する。例において、アルゴリズムによって、特定されたセクターはもはや過荷重状態でないと結論付けられる。その結果、アルゴリズムはブロック216に進む。ブロック210はn回を超えることなく実行され、またブロック212および214はn−1回を超えることなく実行されることが想定されるが、ここでnは、ベッドのそれぞれの側にある袋の数量である(本例ではn=2)。ブロック210でのn回の実行後、特定されたセクターがいまだに過荷重状態である場合、アルゴリズムは実行を止めて体位変換の試みが不成功であったという警告を発するようにプログラムできる。あるいは、アルゴリズムは、ブロック216に進み、体位変換の試みが完全には成功しなかったという警告を発することもできる。
【0034】
ブロック216で、アルゴリズムはベッドの反対の横方向の側が過荷重状態であるかどうかを判断する。反対側とは、ブロック204で過荷重状態として特定されていない側である。例A1およびA2において、アルゴリズムは反対側が過荷重状態でないことを判断する。その結果、アルゴリズムの実行は終了する。例Bにおいて、アルゴリズムは、反対側が領域SR内の荷重のために過荷重状態のままであると判断する。その結果、アルゴリズムはブロック218〜226に進み、ベッドの反対側にあるブロック206〜214の演算が繰り返される。ここでも、アルゴリズムはブロック222〜226の反復回数の限度を観察するよう構成され、体位変換の試みが完全もしくは部分的に不成功であった場合に適切な警告が発せられる。
【0035】
上記の例において、事前位置決めアルゴリズムは、コマンドが発せられている指定したベッド機能に応答して自動的に実行される(ブロック200)。指定した機能の例には、ターンアシスト、連続ローテーションセラピーおよび横方向圧力軽減が含まれる。別の方法として、アルゴリズムはブロック200を含む必要がない。その代わりに、ベッドは、使用者または介護者がアルゴリズムの実行を意のままに開始するために使用しうる事前位置決めコントロールボタンまたはスイッチを含みうる。
【0036】
上記の例は、図1〜3にあるような、長軸方向に延びた体位変換用袋を持つベッドという状況で提示されている。この配置は、使用者の体位を横方向に移動させる場合に特に有用であると考えられる。ただし、本明細書で開示した体位変換方法は、少なくとも2つの横方向に延びた体位変換用袋を持ち、ベッドの長軸方向に隣接した2つのセクターのそれぞれに同一数の袋を備えた、図6に示すようなベッドにも適用される。この横方向の配置は、使用者の体位を長軸方向に移動させる場合に特に有用であると考えられる。長軸方向の体位変換は、デッキの姿勢角α、β、θ(図1A)、特に胴体部分28の角度αを変更する前に行うことが望ましい。横方向の袋の配置のためのアルゴリズムの例は、長軸方向の袋の配列の状況で上述したものと類似したものである。直行する2つの袋の列100A、100B(図7〜8)、セル様の袋の行列(図9〜10)または斜め方向の袋(図11)を使用することで、複数方向の体位変換能力をベッドに与えることができる。図9〜10の行列構成について、1つ以上のAグループにある袋がまず膨張し、その次に1つ以上のB、C、Dグループにある袋(すなわちベッドの角から中心に向かって)が、使用者の体位変換が十分に行われるまで膨張することが想定される。
【0037】
ベッドのそれぞれの側に1つの袋しか採用していないか、またはベッドのそれぞれの側に2つを超える袋が採用されるベッド構成も想定される。3つ以上の袋を使用する場合、未修正の位置の不一致に対応して取られる修正措置には、最も外側の袋を膨張させた後、より内側にある次の袋の膨張を連続的に循環させることと、および最も内側の袋が膨張して収縮するまでそれに隣接して次の最も外側にある袋を収縮させることが関与する。
【0038】
魅力的と考えられるその他の動作機能は、ベッドの過荷重状態として特定された側と反対側にある袋のうち1つをわずかに膨張させることである。反対側の袋をわずかに膨張させることで、位置の調節時に目標位置を越えて使用者が移動することを防止するのに役立ちうる。こうした膨張はまた、その後の横方向の回転によって使用者がベッドの「下り坂の」端面に向かって押しやられないように、体位変換に続けて使用することもでき、また使用者が袋に寄りかかっている範囲で、使用者の皮膚に作用する剪断力を低減するのに役立つ。
【0039】
上記の体位変換用袋は使用者のポジショニング専用であり、すなわちその他の目的には使用されない。ただし既に記述したとおり、一部のベッドでは、膨張させた空気袋が使用者の長期的保持に寄与するベースマットレスが使用されている。こうしたベッドでは、これらの保持用袋を使用して、専用の体位変換用袋を使用するよりも、その長期的な保持機能に加えて使用者の体位変換を行うことが可能であると考えられる。さらに、体位変換用袋、またはその部分集合を、体位変換用袋としての役割に加えて使用して、CLRTおよびLPRなどのローテーションセラピーの適用にも使用できる。
【0040】
これで使用者保持装置の構造および動作についての描写を終えたので、体位変換用袋の位置、その寸法、および膨張手順(外側から内側)に影響を及ぼす要因をここで評価できる。外側から内側への膨張の手順は、使用者がベッドの端部に向かう移動(望ましくない)ではなく、ベッドの中央へ向かう移動(望ましい)を助ける。
【0041】
最も外側の袋の中心線は、母集団の圧倒的多数の身体の質量中心の外側にあるべきである。不適切な体位変換のリスクが最も高い使用者は、最も小さな患者である。人体計測データ(C. Harrison、K. Robinette、『CAESAR: Summary Statistics for the Adult Population (ages 18-65) of the United States of America』(米国における成人母集団(年齢18〜65歳)についての簡易統計)、Human Effectiveness Directorate、Wright Patterson AFBが、SAE Internationalとの共同研究開発契約に基づき出版、AFRL-HE-WP-TR-2002-170)は99%の成人男性・女性母集団の肩幅は13.62インチ以上であることを示している。最も外側の袋が完全に膨張した時に使用者を中心線56から遠ざけるよう移動させる可能性を避けるために、最も外側の袋の中心線にはマットレスの端面から肩幅の半分を越えることのない距離だけ隙間を持たせ、完全に膨張した時に、袋の頂点が本体の正中線とベッドの横方向の端面86、88の間になるようにすべきである。これによって、最も外側の袋の中心線はマットレスの端面から約6.8インチ(17cm)を超えなくなる。次の最も内側の袋は、そのすぐ外側の袋付近に横方向に隣接するか、または図2に示すとおり例えば1インチ(2.5cm)のスペースを設けることができる。最も内側の袋は、膨張させた時に使用者を中心線56から遠ざけないように、中心線56から十分に離れているべきである。袋の長さは、袋によってもたらされる上昇力が使用者の臀部から首の付け根の領域で作用するように約30インチ(76cm)とするべきで、これは最も大きな使用者の重量が存在する領域である。
【0042】
膨張させた袋の高さについては、使用者がマットレスを横切って確実に移動するのに40°の傾斜が必要だと考えられる。上記言及したCAESARデータベースにより、潜在的な使用者の99%が約22.7インチ(58cm)の肩幅を持つことが明らかになっている。袋の中心線が仰臥位のベッド使用者の最も外側の端面にあると仮定すると、使用者および膨張させた袋は概して直角三角形の斜辺と1辺である。40°の傾斜を達成するために、袋はその未膨張の高さより約22 sin 30、つまり14.6インチ(37cm)高く突き出ている必要がある。袋が本体の中心線に近い場合、または身体が22.7インチ未満の幅である場合、高さ14.6インチの袋であれば40°を超える傾斜を達成できる。ほとんどの使用者では、最大の長さ14.6インチまで袋を膨張させる必要がない。約60°以上の傾斜では、使用者が滑りおりるよりも転がることになりうると考えられる。適度の傾斜での使用者の移動を促進するために考えられる1つの技術は、袋を振動させることにより静止摩擦を破るための振動を発生させて移動を奨励する方法である。収縮の前に、袋にパルスを加えて、2010年2月12日出願の「Method and Apparatus for Relieving Shear Induced by an Occupant Support(使用者保持装置により発生する剪断力を軽減する方法および装置)」という表題の係属中の米国特許出願第12/704,600号(その内容を参照することによりここに明示的に組み込む)に記載の内容と類似した方法で剪断力を軽減することができる。
【0043】
袋の幅が約4インチ(10cm)であることで設計者にはベッドのそれぞれの側に複数の袋を含めるオプションが提供され、一方で最も内側の袋と中心線の間に適切なスペースが提供される。
【0044】
横方向に延びた袋、例えば図6の袋150、152、154、160、162、164などについて、最も外側(最も北または最も南)の完全に膨張させた袋の横方向に延びた中心線からの距離は、使用者が北側または南側にできるだけ遠くに位置している時、また胎位と類似した丸くなった位置にある時に、最も小さい使用者の身体の質量中心の外側であるべきである。上記言及したCAESARデータベースでは、座位(おおよそ胎位である)の長さは、99%の成人で少なくとも約35インチ(89cm)であることが明らかにされている。使用者の質量が長さ方向に沿って概して均一に分布していると仮定すると、最も外側の袋の中心線はこの距離の半分を超えるべきでなく、つまりベッドの端部から約17.5インチ(44cm)である。最も内側の袋は膨張された時、使用者を中心線58から遠ざけないように中心線58から十分に離れているべきである。
【0045】
この開示では具体的な実施態様を記載しているが、当業者であれば、付随の請求項で規定される主題から逸脱することなく、形態や詳細に対してさまざまな変更を行うことができることが理解されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと前記フレームで支持されたマットレス組立品を有するベッドの使用者のポジショニング方法であって、
現在使用者体位と目標使用者体位との間の不一致を特定するステップであって、搭載されたコンポーネントを用いて実行される、特定するステップと、
前記ベッドの2つのセクターのうちの1つの上昇勾配を確立するステップであって、前記勾配が、前記現在使用者体位から前記目的体位への前記使用者の移動に適合する方向、大きさ、および位置を持つ、確立するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記上昇勾配を確立するステップは、予め定められた袋の膨張および収縮の手順の1つのサブステップである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記袋の膨張および収縮の手順は、前記ベッドにある2つの隣接するセクターのうち1つのより外側の袋の膨張・収縮、次に同一のセクターにある連続して内側の袋の膨張・収縮、次に隣接するセクターにあるより外側の袋の膨張・収縮、次に隣接するセクターにある連続して内側の袋の膨張・収縮を含む、請求項2の方法。
【請求項4】
前記体位の不一致が修正されたかどうかを判断するステップを含む、請求項3の方法。
【請求項5】
前記不一致が修正されたかどうかを判断するステップと、前記不一致の未修正分に対応するステップとを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記対応するステップは、1)警告の発行および2)修正措置の実行のうちどちらか1つを含む、請求項5の方法。
【請求項7】
前記修正措置は、修正済み属性を持つ勾配の確立し、前記判断するステップおよび前記対応するステップを反復することである、請求項6の方法。
【請求項8】
前記修正済み属性は、前記勾配の前記方向、位置および大きさのうち少なくとも1つの変化を含む、請求項7の方法。
【請求項9】
位置の前記変化は、より外側の位置からより内側の位置への変化である、請求項8の方法。
【請求項10】
位置の前記変化は、前記ベッドの横方向の一方の側から他方の側への変化であり、また位置の前記変化には前記現在使用者体位から前記目標体位への使用者の移動に適合した方向の変化が伴う、請求項8の方法。
【請求項11】
前記上昇勾配の少なくとも1つの特徴は、前記不一致の特性の変化に対応する範囲および手順で変化する、請求項1の方法。
【請求項12】
前記不一致を特定するステップは、前記ベッド上の空間的な荷重配分を評価するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項13】
前記不一致を特定するステップは、前記ベッドの過荷重領域を特定するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項14】
前記不一致を特定するステップは、命令された指定のベッド機能に応答して発生する、請求項1の方法。
【請求項15】
前記指定のベッド機能は、1)ベッドの胴体部分の角度方向の変化、2)連続ローテーションセラピー、3)横方向圧力軽減、および4)ターンアシストから成る群から選択される、請求項14の方法。
【請求項16】
前記上昇勾配は、前記ベッドフレームとは独立して確立される、請求項1の方法。
【請求項17】
前記上昇勾配は、袋により確立される、請求項1の方法。
【請求項18】
前記袋は、専用の体位変換用袋である、請求項17の方法。
【請求項19】
前記専用の体位変換用袋は、ずらりと並んだ長軸方向に延びた袋と、ずらりと並んだ横方向に延びた袋の一方または両方を含む、請求項18の方法。
【請求項20】
前記専用の体位変換用袋は、横方向におよび長軸方向に延びたセルの行列を含む、請求項18の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、
前記不一致を特定するステップは、前記ベッドの過荷重セクターを特定するステップを備え、
前記上昇勾配を確立するステップは、前記過荷重セクターの最も外側の袋を膨張するステップを備え、
前記不一致が修正されたかどうかを判断するステップは、前記特定されたセクターが依然として過荷重のままであるかどうかを判断するステップを備え、
前記不一致の未修正に対応するステップは、次のより内側の袋の膨張とそれに隣接する次のより外側の袋の収縮との連続的な循環を含む修正措置である、方法。
【請求項22】
使用者保持装置であって、
マットレスと、
体位変換用袋の少なくとも1つの層と、
センサーアレイと、
前記センサーアレイから情報を受信し、前記受信した情報に応じて前記使用者保持装置の使用者の準最適なポジショニングを特定可能であり、前記準最適なポジショニングの特定に応答してコマンドを発行可能であるコントローラと、
前記発行されたコマンドに応答して、選択された体位変換用袋を膨張可能なポンプと、
を備える使用者保持装置。
【請求項23】
前記マットレスは、発泡体、少なくとも2つの保持用袋、またはその両方で構成され、前記保持用袋もまた前記体位変換用袋としての役割を果たす、請求項22の使用者保持装置。
【請求項24】
前記マットレスは、発泡体、少なくとも2つの保持用袋、またはその両方で構成され、前記体位変換用袋は、使用者の再位置決め専用である、請求項22の使用者保持装置。
【請求項25】
前記体位変換用袋は、使用者の体位変換専用であり、2つの横方向に隣接したセクター間で等しく配分され、少なくとも1つの袋がそれぞれのセクター内にある、請求項22の使用者保持装置。
【請求項26】
前記体位変換用袋は、使用者の体位変換専用であり、2つの長軸方向に隣接したセクター間で等しく配分され、少なくとも1つの袋がそれぞれのセクター内にある、請求項22の使用者保持装置。
【請求項27】
前記体位変換用袋は、使用者の体位変換専用であり、横方向および長軸方向に延びたセルの行列を含む、請求項22の使用者保持装置。
【請求項28】
長軸方向に延びた体位変換用袋の第一の層と、横方向に延びた体位変換用袋の第二の層とを備え、前記センサーアレイは前記体位変換用袋の層の上にある、請求項22の使用者保持装置。
【請求項29】
前記コントローラは、前記準最適なポジショニングの特性の変化に対応した範囲および手順で前記袋の膨張および収縮を命令する、請求項22の使用者保持装置。
【請求項1】
フレームと前記フレームで支持されたマットレス組立品を有するベッドの使用者のポジショニング方法であって、
現在使用者体位と目標使用者体位との間の不一致を特定するステップであって、搭載されたコンポーネントを用いて実行される、特定するステップと、
前記ベッドの2つのセクターのうちの1つの上昇勾配を確立するステップであって、前記勾配が、前記現在使用者体位から前記目的体位への前記使用者の移動に適合する方向、大きさ、および位置を持つ、確立するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記上昇勾配を確立するステップは、予め定められた袋の膨張および収縮の手順の1つのサブステップである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記袋の膨張および収縮の手順は、前記ベッドにある2つの隣接するセクターのうち1つのより外側の袋の膨張・収縮、次に同一のセクターにある連続して内側の袋の膨張・収縮、次に隣接するセクターにあるより外側の袋の膨張・収縮、次に隣接するセクターにある連続して内側の袋の膨張・収縮を含む、請求項2の方法。
【請求項4】
前記体位の不一致が修正されたかどうかを判断するステップを含む、請求項3の方法。
【請求項5】
前記不一致が修正されたかどうかを判断するステップと、前記不一致の未修正分に対応するステップとを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記対応するステップは、1)警告の発行および2)修正措置の実行のうちどちらか1つを含む、請求項5の方法。
【請求項7】
前記修正措置は、修正済み属性を持つ勾配の確立し、前記判断するステップおよび前記対応するステップを反復することである、請求項6の方法。
【請求項8】
前記修正済み属性は、前記勾配の前記方向、位置および大きさのうち少なくとも1つの変化を含む、請求項7の方法。
【請求項9】
位置の前記変化は、より外側の位置からより内側の位置への変化である、請求項8の方法。
【請求項10】
位置の前記変化は、前記ベッドの横方向の一方の側から他方の側への変化であり、また位置の前記変化には前記現在使用者体位から前記目標体位への使用者の移動に適合した方向の変化が伴う、請求項8の方法。
【請求項11】
前記上昇勾配の少なくとも1つの特徴は、前記不一致の特性の変化に対応する範囲および手順で変化する、請求項1の方法。
【請求項12】
前記不一致を特定するステップは、前記ベッド上の空間的な荷重配分を評価するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項13】
前記不一致を特定するステップは、前記ベッドの過荷重領域を特定するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項14】
前記不一致を特定するステップは、命令された指定のベッド機能に応答して発生する、請求項1の方法。
【請求項15】
前記指定のベッド機能は、1)ベッドの胴体部分の角度方向の変化、2)連続ローテーションセラピー、3)横方向圧力軽減、および4)ターンアシストから成る群から選択される、請求項14の方法。
【請求項16】
前記上昇勾配は、前記ベッドフレームとは独立して確立される、請求項1の方法。
【請求項17】
前記上昇勾配は、袋により確立される、請求項1の方法。
【請求項18】
前記袋は、専用の体位変換用袋である、請求項17の方法。
【請求項19】
前記専用の体位変換用袋は、ずらりと並んだ長軸方向に延びた袋と、ずらりと並んだ横方向に延びた袋の一方または両方を含む、請求項18の方法。
【請求項20】
前記専用の体位変換用袋は、横方向におよび長軸方向に延びたセルの行列を含む、請求項18の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、
前記不一致を特定するステップは、前記ベッドの過荷重セクターを特定するステップを備え、
前記上昇勾配を確立するステップは、前記過荷重セクターの最も外側の袋を膨張するステップを備え、
前記不一致が修正されたかどうかを判断するステップは、前記特定されたセクターが依然として過荷重のままであるかどうかを判断するステップを備え、
前記不一致の未修正に対応するステップは、次のより内側の袋の膨張とそれに隣接する次のより外側の袋の収縮との連続的な循環を含む修正措置である、方法。
【請求項22】
使用者保持装置であって、
マットレスと、
体位変換用袋の少なくとも1つの層と、
センサーアレイと、
前記センサーアレイから情報を受信し、前記受信した情報に応じて前記使用者保持装置の使用者の準最適なポジショニングを特定可能であり、前記準最適なポジショニングの特定に応答してコマンドを発行可能であるコントローラと、
前記発行されたコマンドに応答して、選択された体位変換用袋を膨張可能なポンプと、
を備える使用者保持装置。
【請求項23】
前記マットレスは、発泡体、少なくとも2つの保持用袋、またはその両方で構成され、前記保持用袋もまた前記体位変換用袋としての役割を果たす、請求項22の使用者保持装置。
【請求項24】
前記マットレスは、発泡体、少なくとも2つの保持用袋、またはその両方で構成され、前記体位変換用袋は、使用者の再位置決め専用である、請求項22の使用者保持装置。
【請求項25】
前記体位変換用袋は、使用者の体位変換専用であり、2つの横方向に隣接したセクター間で等しく配分され、少なくとも1つの袋がそれぞれのセクター内にある、請求項22の使用者保持装置。
【請求項26】
前記体位変換用袋は、使用者の体位変換専用であり、2つの長軸方向に隣接したセクター間で等しく配分され、少なくとも1つの袋がそれぞれのセクター内にある、請求項22の使用者保持装置。
【請求項27】
前記体位変換用袋は、使用者の体位変換専用であり、横方向および長軸方向に延びたセルの行列を含む、請求項22の使用者保持装置。
【請求項28】
長軸方向に延びた体位変換用袋の第一の層と、横方向に延びた体位変換用袋の第二の層とを備え、前記センサーアレイは前記体位変換用袋の層の上にある、請求項22の使用者保持装置。
【請求項29】
前記コントローラは、前記準最適なポジショニングの特性の変化に対応した範囲および手順で前記袋の膨張および収縮を命令する、請求項22の使用者保持装置。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【公開番号】特開2012−183312(P2012−183312A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−47269(P2012−47269)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(503278256)ヒル−ロム サービシズ,インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−47269(P2012−47269)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(503278256)ヒル−ロム サービシズ,インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]