説明

例文表示装置及びプログラム

【課題】入力単語とその翻訳単語を入力して、これらの単語に対応する例文を検索する装置を提供する。
【解決手段】電子辞書1は、英語例文と、英語例文に対して対訳関係にある日本語例文との例文対を複数記憶する例文データベース85と、ユーザ操作に基づいて英語における何れかの単語を英語キーワードとして入力するとともに、日本語における何れかの単語を日本語キーワードして入力する入力部30と、例文データベースにより記憶された複数の例文対のうち、英語キーワードと日本語キーワードとを互いの対訳部分として含む例文対を単語対応例文対として検索するCPU20と、単語対応例文対を表示する表示部40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例文表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子辞書などの電子機器においては、ユーザが英単語を入力すると、その英単語を含む例文が検索されて日本語の対訳とともに表示され、ユーザが日本語単語を入力すると、その日本語単語を含む例文が検索されて英語の対訳とともに表示されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−215636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子機器では、対訳関係にある例文対のうち、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索することはできない。具体的には、例えば英語例文と日本語例文との例文対を検索するにあたり、英単語「have」と日本語単語「食べる」とを互いの対訳部分として含む例文対を検索することはできない。そのため、このような例文対を検索するためには、例えば「have」を含む英語例文を一覧表示させた後、「have」が「食べる」の意味で用いられている英語例文をユーザが自分で探すなどの煩雑な作業を行う必要がある。更に、このような作業を行うには、「have」を含む各例文の意味内容を理解する必要があるため、語学力の低いユーザでは所望の例文対を探すのは困難である。
【0005】
なお、インターネットの検索分野においては、所望の英単語と日本語単語とを入力することで、これらの両方を含むテキストを検索することはできるものの、このテキストはたまたま両方の単語を含むに過ぎず、入力した英単語と日本語単語とが互いの対訳部分であるとは限らない。
【0006】
本発明の課題は、対訳関係にある例文対のうち、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索することのできる例文表示装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、例文表示装置において、
第1言語例文と、前記第1言語例文に対して対訳関係にある第2言語例文との例文対を複数記憶する例文記憶手段と、
ユーザ操作に基づいて第1言語における何れかの単語を第1言語単語として入力するとともに、第2言語における何れかの単語を第2言語単語として入力する単語入力手段と、
前記例文記憶手段により記憶された複数の例文対のうち、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を単語対応例文対として検索する単語対応例文対検索手段と、
前記単語対応例文対を表示する例文表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、対訳関係にある例文対のうち、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電子辞書の概観を示す平面図である。
【図2】電子辞書の内部構成を示すブロック図である。
【図3】例文検索処理を示すフローチャートである。
【図4】表示部による表示内容を示す図である。
【図5】例文検索処理を示すフローチャートである。
【図6】例文検索処理を示すフローチャートである。
【図7】表示部による表示内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る例文表示装置を電子辞書に適用した場合の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態における電子辞書の構成を説明する。
【0012】
[外観構成]
図1は、電子辞書1の平面図である。
この図に示すように、電子辞書1は、メインディスプレイ10、サブディスプレイ11、カードスロット12、及びキー群2を備えている。
【0013】
メインディスプレイ10及びサブディスプレイ11は、ユーザによるキー群2の操作に応じた文字や符号等、各種データを表示する部分であり、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescence Display)等によって構成されている。なお、本実施の形態におけるメインディスプレイ10及びサブディスプレイ11は、いわゆるタッチパネル110(図2参照)と一体的に形成されており、手書き入力等の操作を受け付け可能となっている。
【0014】
カードスロット12は、種々の情報を記憶した外部情報記憶媒体12a(図2参照)と着脱可能に設けられている。
【0015】
キー群2は、ユーザから電子辞書1を操作するための操作を受ける各種キーを有している。具体的には、キー群2は、訳/決定キー2bと、文字キー2cと、辞書選択キー2dと、カーソルキー2eと、シフトキー2fと、戻るキー2g等とを有している。
【0016】
訳/決定キー2bは、検索の実行や、見出し語の決定等に使用されるキーである。文字キー2cは、ユーザによる文字の入力等に使用されるキーであり、本実施の形態においては“A”〜“Z”キーを備えている。辞書選択キー2dは、後述の辞書データベース820,…(図2参照)の選択に使用されるキーである。
【0017】
カーソルキー2eは、画面内の反転表示位置、つまりカーソル位置の移動等に使用されるキーであり、本実施の形態においては上下左右の方向を指定可能となっている。シフトキー2fは、日本語の単語を検索対象に設定するとき等に使用されるキーである。戻るキー2gは、前回表示した画面に戻るとき等に使用されるキーである。
【0018】
[内部構成]
続いて、電子辞書1の内部構造について説明する。図2は、電子辞書1の内部構成を示すブロック図である。
【0019】
この図に示すように、電子辞書1は、表示部40、入力部30、記録媒体読取部60、CPU(Central Processing Unit)20、フラッシュROM(Read Only Memory)80、RAM(Random Access Memory)90を備え、各部はバスで相互にデータ通信可能に接続されて構成されている。
【0020】
表示部40は、上述のメインディスプレイ10及びサブディスプレイ11を備えており、CPU20から入力される表示信号に基づいて各種情報をメインディスプレイ10やサブディスプレイ11に表示するようになっている。
【0021】
入力部30は、上述のキー群2やタッチパネル110を備えており、押下されたキーやタッチパネル110の位置に対応する信号をCPU20に出力するようになっている。
【0022】
記録媒体読取部60は、上述のカードスロット12を備えており、当該カードスロット12に装着された外部情報記憶媒体12aから情報を読み出したり、当該外部情報記憶媒体12aに情報を記録したりするようになっている。
【0023】
ここで、外部情報記憶媒体12aには、辞書データベース820等が格納されるようになっている。なお、この辞書データベース820は後述のフラッシュROM80における辞書データベース820と同様のデータ構造を有しているため、ここでは説明を省略する。
【0024】
CPU20は、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示やデータの転送等を行い、電子辞書1を統括的に制御するようになっている。具体的には、CPU20は、入力部30から入力される操作信号等に応じてフラッシュROM80に格納された各種プログラムを読み出し、当該プログラムに従って処理を実行する。そして、CPU20は、処理結果をRAM90に保存するとともに、当該処理結果を表示部40に適宜出力させる。
【0025】
フラッシュROM80は、電子辞書1の各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するメモリである。本実施の形態においては、フラッシュROM80は、本発明に係る例文検索プログラム81と、辞書データベース群82と、類似単語データベース84と、例文データベース85と、例文検索テーブル86等とを記憶している。
【0026】
例文検索プログラム81は、後述の例文検索処理(図3参照)をCPU20に実行させるためのプログラムである。
【0027】
辞書データベース群82は、複数の辞書データベース820を有している。これら複数の辞書データベース820,…には、見出し語と、この見出し語の説明情報とが対応付けられて複数格納されている。なお、本実施の形態においては、このような辞書データベース820として、「和英辞書」などの辞書データベース820が辞書データベース群82に含まれている。
【0028】
類似単語データベース84は、各日本語単語に対し、当該日本語単語と対訳関係にある各英単語(当該日本語単語に対する英語訳の各単語)を対応付けて記憶するとともに、各英語単語に対し、当該英語単語と対訳関係にある各日本語単語(当該英語単語に対する日本語訳の各単語)を対応付けて記憶している。例えば、この類似単語データベース84では、日本語の単語「持つ」に対し、英語の単語「have」、「keep」、「eat」、「get」、「take」などが対応付けて記憶されている。
【0029】
例文データベース85は、英語で表現された英語例文と、日本語で表現されて当該英語例文と対訳関係にある日本語例文とを例文対として対応付けて複数記憶している。また、この例文データベース85では、各例文及び各例文対に対し、当該例文,例文対の識別番号(以下、例文識別番号,例文対識別番号とする)が対応付けられている。また、対訳関係にある2つの例文(例文対をなす2つの例文)の例文識別番号は、互いに関連付けられた番号となっている。
【0030】
例文検索テーブル86は、英語及び日本語の各単語に対し、当該単語を含む例文の例文識別番号を対応付けて記憶している。
【0031】
RAM90は、CPU20が実行する各種プログラムや、これらプログラムの実行に係るデータ等を一時的に保持するメモリ領域を備えている。
【0032】
[動作]
続いて、電子辞書1の動作について、図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図3は、CPU20が例文検索プログラム81を読み出して実行する例文検索処理の流れを示すフローチャートである。
【0034】
この図に示すように、例文検索処理においては、まずユーザが入力部30を介して英語の何れかの単語(以下、英語キーワードとする)と、日本語の何れかの単語(以下、日本語キーワードとする)とを入力すると(ステップS1)、CPU20は、英語キーワードと日本語キーワードとを含む例文対を例文データベース85から検出する(ステップS2)。
【0035】
なお、このステップS1においてユーザは、英語キーワードと日本語キーワードとを「=」記号または「&」記号で結んで入力する。英語キーワードと日本語キーワードとを「=」記号で結んで入力した場合には、後述の処理において英語キーワードと日本語キーワードとが互いの対訳部分として含まれる例文対(以下、単語対応例文対とする)のみが検索されることとなり、英語キーワードと日本語キーワードとを「&」記号で結んで入力した場合には、英語キーワードと日本語キーワードとが含まれる例文対が検索されることとなる。
【0036】
また、上述のステップS2においてCPU20は、英語キーワードを含む例文の例文識別番号と、日本語キーワードを含む例文の例文識別番号とを例文検索テーブル86から検出した後、検出された例文識別番号のうち、互いに関連付けられた例文識別番号(例文対をなす各例文の例文識別番号)を抽出し、抽出された例文識別番号の例文対を例文データベース85から検出するようになっている。
【0037】
次に、CPU20は、日本語キーワードと対訳関係にある複数種類の英語単語(日本語キーワードに対する複数の英語訳の単語)を類似単語データベース84から取得した後、取得された英語単語のうち、英語キーワードの単語とは異なる単語を英語キーワード類似単語として設定する(ステップS3)。
【0038】
次に、CPU20は、ステップS2で検出した例文対のうち、英語キーワード類似単語を含まない例文対のみを抽出する(ステップS4)。これにより、日本語キーワードと英語キーワード類似単語とが互いの対訳部分として含まれる例文対が除外され、日本語キーワードと英語キーワードとが互いの対訳部分として含まれる単語対応例文対のみが抽出されることとなる。
【0039】
次に、CPU20は、英語キーワードと日本語キーワードとの間の記号が「=」記号であるか否かを判定し(ステップS5)、「=」記号であると判定した場合(ステップS5;Yes)には、ステップS4で抽出した例文対、つまり単語対応例文対をメインディスプレイ10に一覧表示させ(ステップS6)、例文検索処理を終了する。
【0040】
これにより、例えば図4(a)に示すように、上述のステップS1において英語キーワード「have」と、日本語キーワード「持つ」とが「=」記号で結んで入力された場合には、このステップS6においては、図4(b)の破線枠内に示すように、英語キーワード「have」と日本語キーワード「持つ」とが互いの対訳部分として含まれる単語対応例文対のみが表示される。
【0041】
また、図3に示すように、ステップS5において英語キーワードと日本語キーワードとの間の記号が「=」記号でない、つまり「&」記号であると判定した場合(ステップS5;No)には、CPU20は、ステップS4で抽出した単語対応例文対と、ステップS2で検出された例文対のうち、ステップS4で抽出されなかった例文対とを、この順に従ってメインディスプレイ10に一覧表示させ(ステップS7)、例文検索処理を終了する。
【0042】
これにより、例えば上述のステップS1において英語キーワード「have」と、日本語キーワード「持つ」とが「&」記号で結んで入力された場合には、このステップS7においては、図4(b)に示すように、英語キーワード「have」と日本語キーワード「持つ」とが互いの対訳部分として含まれる単語対応例文対を先にして、英語キーワード「have」と日本語キーワード「持つ」とが含まれる例文対が表示される。
【0043】
以上の電子辞書1によれば、図3のステップS2〜S4,S6や図4(b)の破線枠内に等に示したように、例文データベース85により記憶された複数の例文対のうち、英語キーワードと日本語キーワードとを互いの対訳部分として含む単語対応例文対が検索されて表示されるので、対訳関係にある例文対のうち、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索することができる。
【0044】
また、図3のステップS3〜S4に示すように、日本語キーワードに対する複数の英語訳の単語のうち、英語キーワードとは異なる単語が英語キーワード類似単語として設定されて、複数の例文対のうち、英語キーワードと日本語キーワードとを含む例文対が検索され、検索された例文対のうち、英語キーワード類似単語を英語例文に含まない例文対が単語対応例文対として抽出されて表示されるので、対訳関係にある例文対のうち、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを互いの対訳部分として含む例文対を確実に検索することができる。
【0045】
また、図3のステップS1,S5〜S7や図4(b)等に示したように、英語キーワードと日本語キーワードとを互いの対訳部分として含む例文対を検索するか、或いは、英語キーワードと日本語キーワードとを含む例文対を検索するかが「=」記号または「&」記号で指定され、前者が指定された場合には単語対応例文対が表示され、後者が指定された場合には、単語対応例文対を先にして、英語キーワードと日本語キーワードとを含む例文対が表示されるので、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを含む例文対を検索することもできる。
【0046】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態における電子辞書の構成を説明する。なお、上記の第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
[内部構成]
本実施の形態における電子辞書1Aは、図2に示すように、フラッシュROM80Aを備えている。
フラッシュROM80Aは、例文検索プログラム81Aと、例文データベース85Aとを記憶している。
【0048】
例文検索プログラム81Aは、後述の例文検索処理(図5参照)をCPU20に実行させるためのプログラムである。
【0049】
例文データベース85Aは、英語で表現された英語例文と、日本語で表現されて当該英語例文と対訳関係にある日本語例文とを例文対として対応付けて複数記憶するとともに、各例文,各例文対に対し、例文識別番号,例文対識別番号を対応付けている。更に、この例文データベース85Aでは、各例文対について、英語例文内の各英語単語の位置と、日本語例文内における当該英語単語の対訳部分としての日本語単語の位置との位置関係を記憶している。例えば、英文例文「…have a hank on…」と、日本語例文「…に対して抑制力を持つ」との例文対について、例文データベース85Aでは、英語例文における単語「have」の位置(先頭からn番目(但し、nは自然数))と、日本語例文における単語「持つ」の位置(先頭からx番目(但し、xは自然数))とが対応することや、英語例文における単語「hank」の位置(先頭からm番目(但し、mは自然数))と、日本語例文における単語「抑制力」の位置(先頭からy番目(但し、yは自然数))とが対応すること等が記憶されている。
【0050】
[動作]
続いて、電子辞書1Aの動作について、図面を参照しつつ説明する。
【0051】
図5は、CPU20が例文検索プログラム81Aを読み出して実行する例文検索処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
この図に示すように、本実施の形態の例文検索処理においては、まずユーザが上述のステップS1と同様に入力部30を介して英語キーワードと、日本語キーワードとを入力すると(ステップT1)、CPU20は上述のステップS2と同様に、英語キーワードと日本語キーワードとを含む例文対を例文データベース85から検出する(ステップT2)。
【0053】
次に、CPU20は、ステップT2で検出した例文対のうち、英語例文内での英語キーワードの位置と、日本語例文内での日本語キーワードの位置との位置関係が例文データベース85Aによる記憶内容と合致する例文対を抽出する(ステップT3)。これにより、日本語キーワードと英語キーワードとが互いの対訳部分としては含まれていない例文対が除外され、日本語キーワードと英語キーワードとが互いの対訳部分として含まれる例文対のみが抽出されることとなる。
【0054】
次に、CPU20は、英語キーワードと日本語キーワードとの間の記号が「=」記号であるか否かを判定し(ステップT5)、「=」記号であると判定した場合(ステップT5;Yes)には、ステップT3で抽出した例文対をメインディスプレイ10に一覧表示させ(ステップT6)、例文検索処理を終了する。
【0055】
これにより、例えば図4(a)に示すように、上述のステップT1において英語キーワード「have」と、日本語キーワード「持つ」とが「=」記号で結んで入力された場合には、このステップT6においては、図4(b)の破線枠内に示すように、英語キーワード「have」と日本語キーワード「持つ」とが互いの対訳部分として含まれる例文対のみが表示される。
【0056】
また、ステップT5において英語キーワードと日本語キーワードとの間の記号が「=」記号でない、つまり「&」記号であると判定した場合(ステップT5;No)には、CPU20は、ステップT3で抽出した例文対と、ステップT2で検出された例文対のうち、ステップT3で抽出されなかった例文対とを、この順に従ってメインディスプレイ10に一覧表示させ(ステップT7)、例文検索処理を終了する。
【0057】
これにより、例えば上述のステップT1において英語キーワード「have」と、日本語キーワード「持つ」とが「&」記号で結んで入力された場合には、このステップT7においては、図4(b)に示すように、英語キーワード「have」と日本語キーワード「持つ」とが互いの対訳部分として含まれる例文対を先にして、英語キーワード「have」と日本語キーワード「持つ」とが含まれる例文対が表示される。
【0058】
以上の電子辞書1Aによれば、図5のステップT2,T3,T6や図4(b)の破線枠内等に示したように、例文データベース85により記憶された複数の例文対のうち、英語キーワードと日本語キーワードとを互いの対訳部分として含む単語対応例文対が検索されて表示されるので、対訳関係にある例文対のうち、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索することができる。
【0059】
また、図5のステップT2,T3等に示したように、複数の例文対のそれぞれについて、英語例文(または日本語例文)内の各単語の位置と、日本語例文(または英語例文)内における当該単語の対訳部分としての単語の位置との位置関係が例文データベース85Aに記憶されて、複数の例文対のうち、英語キーワードと日本語キーワードとを含む例文対が検索され、検索された例文対のうち、英語例文内での英語キーワードの位置と、日本語例文内での日本語キーワードの位置との位置関係が例文データベース85Aによる記憶内容と合致する例文対が単語対応例文対として抽出されて表示されるので、対訳関係にある例文対のうち、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを互いの対訳部分として含む例文対を確実に検索することができる。
【0060】
また、図5のステップT1,T5〜T7や図4(b)等に示したように、英語キーワードと日本語キーワードとを互いの対訳部分として含む例文対を検索するか、或いは、英語キーワードと日本語キーワードとを含む例文対を検索するかが「=」記号または「&」記号で指定され、前者が指定された場合には単語対応例文対が表示され、後者が指定された場合には、単語対応例文対を先にして、英語キーワードと日本語キーワードとを含む例文対が表示されるので、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを含む例文対を検索することもできる。
【0061】
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態における電子辞書の構成を説明する。なお、上記の第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
本実施の形態における電子辞書1Bは、図2に示すように、フラッシュROM80Bを備えている。
フラッシュROM80Bは、例文検索プログラム81Bと、例文検索テーブル86Bとを記憶している。
【0063】
例文検索プログラム81Bは、後述の例文検索処理(図6参照)をCPU20に実行させるためのプログラムである。
【0064】
例文検索テーブル86Bは、英語及び日本語の各単語に対し、当該単語を含む例文の例文識別番号を対応付けて記憶している。更に、この例文検索テーブル86Bでは、互いに対訳関係にある英語単語と日本語単語との組合せに対し、これらの英語単語及び日本語単語を互いの対訳部分として含む例文対の例文対識別番号を対応付けて記憶している。
【0065】
[動作]
続いて、電子辞書1Bの動作について、図面を参照しつつ説明する。
【0066】
図6は、CPU20が例文検索プログラム81Bを読み出して実行する例文検索処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
この図に示すように、本実施の形態の例文検索処理においては、まずユーザが入力部30を介して2つの英語キーワードと、日本語キーワードとを入力する(ステップU1)。なお、このステップU1においてユーザは、一方の英語キーワード(以下、第1英語キーワードとする)と日本語キーワードとを「=」記号で結んで入力し、更に他方の英語キーワード(以下、第2英語キーワードとする)を「&」記号で結んで入力する。
【0068】
次に、CPU20は、類似単語データベース84において第1英語キーワードと日本語キーワードとが対応付けられているか否かを判定し(ステップU2)、対応付けられていないと判定した場合(ステップU2;No)には、これらのキーワードが対応していない旨のエラーメッセージをメインディスプレイ10に表示させる(ステップU3)。
【0069】
次に、CPU20は、第1英語キーワードと対訳関係にある日本語単語を類似単語データベース84から検出してメインディスプレイ10に一覧表示させる(ステップU4)。
【0070】
次に、CPU20は、一覧表示された日本語単語の何れかをユーザ操作に基づいて選択し、新たな日本語キーワードとして設定し直した後(ステップU5)、後述のステップU7に移行する。
【0071】
また、上述のステップU2において第1英語キーワードと日本語キーワードとが対応付けられていると判定した場合(ステップU2;Yes)には、CPU20は、第1英語キーワードと対訳関係にある日本語単語を一覧表示させる旨の操作が行われるか否かを判定する(ステップU6)。
【0072】
このステップU6において第1英語キーワードと対訳関係にある日本語単語を一覧表示させる旨の操作が行われたと判定した場合(ステップU6;Yes)には、CPU20は、上述のステップU4に移行する。
【0073】
また、ステップU6において第1英語キーワードと対訳関係にある日本語単語を一覧表示させる旨の操作が行われないと判定した場合(ステップU6;No)には、CPU20は、第1英語キーワードと日本語キーワードと互いの対訳部分として含む例文対の例文対識別番号を例文検索テーブル86Bから検出する(ステップU7)。
【0074】
次に、CPU20は、第2英語キーワードを含む例文対の例文対識別番号を例文検索テーブル86Bから検出する(ステップU8)。
【0075】
次に、CPU20は、ステップU7で検出した例文識別番号と、ステップU8で検出した例文識別番号との間で共通する例文対識別番号を抽出し(ステップU9)、抽出した例文対識別番号の例文対をメインディスプレイ10に一覧表示させ(ステップU10)、例文検索処理を終了する。
【0076】
これにより、例えば上述のステップU1において第1英語キーワード「have」と、日本語キーワード「持つ」とが「=」記号で結んで入力され、更に第2英語キーワード「take」が「&」記号で結んで入力された場合には、このステップU10においては、図7(a)に示すように、第1英語キーワード「have」と日本語キーワード「持つ」とが互いの対訳部分として含まれ、かつ第2英語キーワード「take」が含まれる例文対が表示される。
【0077】
以上の電子辞書1Bによれば、図6のステップU7,U10や図7(a)等に示したように、例文データベース85により記憶された複数の例文対のうち、第1英語キーワードと日本語キーワードとを互いの対訳部分として含む例文対が単語対応例文対として検索されて表示されるので、対訳関係にある例文対のうち、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索することができる。
【0078】
また、図6のステップU7〜U10や図7(a)等に示したように、第2英語キーワードを含む例文対が複数の例文対から検索され、第1英語キーワードと日本語キーワードとを互いの対訳部分として含む例文対が複数の例文対から検索され、前者の例文対と、後者の例文対との間で共通する例文対が単語対応例文対として抽出されて表示されるので、対訳関係にある例文対のうち、一方の言語での所望の単語と、他方の言語での所望の単語とを互いの対訳部分として含み、かつ前記一方の言語での所望の第2の単語を含む例文対を検索することができる。
【0079】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0080】
例えば、本発明に係る例文表示装置を電子辞書1,1A,1Bとして説明したが、本発明が適用可能なものは、このような製品に限定されず、携帯電話、パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などの電子機器全般に適用可能である。また、本発明に係る例文検索プログラム81,81A,81Bは、電子辞書1,1A,1Bに対して着脱可能な外部情報記憶媒体12aに記憶されることとしてもよい。
【0081】
また、日本語キーワードに対する英語訳の単語を類似単語データベース84から取得することとして説明したが、通信手段によって電子辞書1の外部から取得することとしても良い。
【0082】
また、ユーザに英語キーワード(第1英語キーワード)と日本語キーワードとをそれぞれ文字入力させることとして説明したが、図7(b)に示すように、英語キーワード(第1英語キーワード)が入力された時点で、当該英語キーワードに対する日本語訳の単語を入力欄に一覧表示し、この単語の一覧からユーザに所望の日本語単語を選択させて入力させることとしても良い。更に、図7(c)に示すように、対訳関係にない英語キーワード(第1英語キーワード)と日本語キーワードとが「=」記号で結んでユーザに入力された場合には、その旨のエラーメッセージを表示させた後、当該英語キーワードに対する日本語訳の単語を入力欄に一覧表示し、この単語の一覧からユーザに所望の日本語単語を選択させて入力させることとしても良い。
【0083】
また、本発明における第1言語,第2言語を英語,日本語として説明したが、他の言語としても良い。
【0084】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲をその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
第1言語例文と、前記第1言語例文に対して対訳関係にある第2言語例文との例文対を複数記憶する例文記憶手段と、
ユーザ操作に基づいて第1言語における何れかの単語を第1言語単語として入力するとともに、第2言語における何れかの単語を第2言語単語として入力する単語入力手段と、
前記例文記憶手段により記憶された複数の例文対のうち、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を単語対応例文対として検索する単語対応例文対検索手段と、
前記単語対応例文対を表示する例文表示手段と、
を備えることを特徴とする例文表示装置。
<請求項2>
請求項1記載の例文表示装置において、
前記単語対応例文対検索手段は、
前記第2言語単語に対する複数の第1言語の訳の単語のうち前記第1言語単語とは異なる単語を類似単語として設定する類似単語設定手段と、
前記複数の例文対のうち、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を検索する例文対検索手段と、
前記例文対検索手段により検索された例文対のうち、前記類似単語を第1言語例文に含まない例文対を、前記単語対応例文対として抽出する例文対抽出手段と、
を有することを特徴とする例文表示装置。
<請求項3>
請求項1記載の例文表示装置において、
前記単語対応例文対検索手段は、
前記複数の例文対のそれぞれについて、第1言語例文内の各単語の位置と、第2言語例文内における当該単語の対訳部分としての単語の位置との位置関係を記憶する位置関係記憶手段と、
前記複数の例文対のうち、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を検索する例文対検索手段と、
前記例文対検索手段により検索された例文対のうち、第1言語例文内での前記第1言語単語の位置と、第2言語例文内での前記第2言語単語の位置との位置関係が前記位置関係記憶手段による記憶内容と合致する例文対を前記単語対応例文対として抽出する例文対抽出手段と、
を有することを特徴とする例文表示装置。
<請求項4>
請求項2または3記載の例文表示装置において、
ユーザ操作に基づいて、
前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索するか、或いは、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を検索するかを指定する検索態様指定手段を備え、
前記例文表示手段は、
前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索する旨が前記検索態様指定手段により指定された場合には、前記単語対応例文対を表示し、
前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を検索する旨が前記検索態様指定手段により指定された場合には、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を、前記単語対応例文対を先にして表示することを特徴とする例文表示装置。
<請求項5>
請求項1記載の例文表示装置において、
前記単語入力手段は、
ユーザ操作に基づいて第1言語における前記第1言語単語とは異なる単語を第1言語サブ検索単語として入力し、
前記単語対応例文検索手段は、
互いに対訳関係にある第1言語の単語及び第2言語の単語と、これらの単語を互いの対訳部分として含む例文対の識別情報とを対応付けて記憶するとともに、第1言語の各単語と、当該単語を含む例文対の識別情報とを対応付けて記憶する例文識別情報記憶手段と、
前記例文識別情報記憶手段に記憶された識別情報に基づいて、前記第1言語サブ検索単語を含む例文対を前記複数の例文対から検索する第1の仮検索手段と、
前記例文識別情報記憶手段に記憶された識別情報に基づいて、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を前記複数の例文対から検索する第2の仮検索手段と、
前記第1の仮検索手段により検索された例文対と、前記第2の仮検索手段により検索された例文対との間で共通する例文対を前記単語対応例文対として抽出する例文抽出手段と、
を有することを特徴とする例文表示装置。
<請求項6>
第1言語例文と、前記第1言語例文に対して対訳関係にある第2言語例文との例文対を複数記憶する例文記憶手段を有するコンピュータに、
ユーザ操作に基づいて第1言語における何れかの単語を第1言語単語として入力するとともに、第2言語における何れかの単語を第2言語単語として入力する単語入力機能と、
前記例文記憶手段により記憶された複数の例文対のうち、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を単語対応例文対として検索する単語対応例文対検索機能と、
前記単語対応例文対を表示する例文表示機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0085】
1 電子辞書
20 CPU
30 入力部
40 表示部
81 例文検索プログラム
85 例文データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1言語例文と、前記第1言語例文に対して対訳関係にある第2言語例文との例文対を複数記憶する例文記憶手段と、
ユーザ操作に基づいて第1言語における何れかの単語を第1言語単語として入力するとともに、第2言語における何れかの単語を第2言語単語として入力する単語入力手段と、
前記例文記憶手段により記憶された複数の例文対のうち、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を単語対応例文対として検索する単語対応例文対検索手段と、
前記単語対応例文対を表示する例文表示手段と、
を備えることを特徴とする例文表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の例文表示装置において、
前記単語対応例文対検索手段は、
前記第2言語単語に対する複数の第1言語の訳の単語のうち前記第1言語単語とは異なる単語を類似単語として設定する類似単語設定手段と、
前記複数の例文対のうち、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を検索する例文対検索手段と、
前記例文対検索手段により検索された例文対のうち、前記類似単語を第1言語例文に含まない例文対を、前記単語対応例文対として抽出する例文対抽出手段と、
を有することを特徴とする例文表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の例文表示装置において、
前記単語対応例文対検索手段は、
前記複数の例文対のそれぞれについて、第1言語例文内の各単語の位置と、第2言語例文内における当該単語の対訳部分としての単語の位置との位置関係を記憶する位置関係記憶手段と、
前記複数の例文対のうち、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を検索する例文対検索手段と、
前記例文対検索手段により検索された例文対のうち、第1言語例文内での前記第1言語単語の位置と、第2言語例文内での前記第2言語単語の位置との位置関係が前記位置関係記憶手段による記憶内容と合致する例文対を前記単語対応例文対として抽出する例文対抽出手段と、
を有することを特徴とする例文表示装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の例文表示装置において、
ユーザ操作に基づいて、
前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索するか、或いは、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を検索するかを指定する検索態様指定手段を備え、
前記例文表示手段は、
前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を検索する旨が前記検索態様指定手段により指定された場合には、前記単語対応例文対を表示し、
前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を検索する旨が前記検索態様指定手段により指定された場合には、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを含む例文対を、前記単語対応例文対を先にして表示することを特徴とする例文表示装置。
【請求項5】
請求項1記載の例文表示装置において、
前記単語入力手段は、
ユーザ操作に基づいて第1言語における前記第1言語単語とは異なる単語を第1言語サブ検索単語として入力し、
前記単語対応例文検索手段は、
互いに対訳関係にある第1言語の単語及び第2言語の単語と、これらの単語を互いの対訳部分として含む例文対の識別情報とを対応付けて記憶するとともに、第1言語の各単語と、当該単語を含む例文対の識別情報とを対応付けて記憶する例文識別情報記憶手段と、
前記例文識別情報記憶手段に記憶された識別情報に基づいて、前記第1言語サブ検索単語を含む例文対を前記複数の例文対から検索する第1の仮検索手段と、
前記例文識別情報記憶手段に記憶された識別情報に基づいて、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を前記複数の例文対から検索する第2の仮検索手段と、
前記第1の仮検索手段により検索された例文対と、前記第2の仮検索手段により検索された例文対との間で共通する例文対を前記単語対応例文対として抽出する例文抽出手段と、
を有することを特徴とする例文表示装置。
【請求項6】
第1言語例文と、前記第1言語例文に対して対訳関係にある第2言語例文との例文対を複数記憶する例文記憶手段を有するコンピュータに、
ユーザ操作に基づいて第1言語における何れかの単語を第1言語単語として入力するとともに、第2言語における何れかの単語を第2言語単語として入力する単語入力機能と、
前記例文記憶手段により記憶された複数の例文対のうち、前記第1言語単語と前記第2言語単語とを互いの対訳部分として含む例文対を単語対応例文対として検索する単語対応例文対検索機能と、
前記単語対応例文対を表示する例文表示機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−114528(P2013−114528A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261235(P2011−261235)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】