説明

供給および出口側ベントを備える流体濾過装置

本発明の実施形態は、流体を処理するのに使用することのできる装置に向けられたものである。本装置は、処理されるプロセス流体を受け取る入口を備えたハウジング、プロセス流体によって濡らすことのできる、プロセス流体を処理するためのハウジング内にある表面、および処理されたプロセス流体を除去する出口を含む。該ハウジングはプロセス流体から分離する流体成分を除去し易くするベントを含む。これらの分離された流体を除去することによって、効率、およびプロセス流体を処理するハウジング内の表面とのプロセス流体の接触が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2004年6月3日出願の米国特許仮出願シリアル番号第60/577119号および2004年7月7日出願の米国特許仮出願シリアル番号第60/586067号の利益および優先権を主張するものであり、それらの内容を全体として本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
フラットシート、中空糸および他のマイクロ多孔質膜は、粒子濾過、汚染物質除去、熱および物質移動、ならびにクロスフロー粒子濾過デバイスにおいて使用され得る。これらの用途では、マイクロ多孔質膜は高い表面積を有し、その細孔は曲がりくねった経路を形成し、体積に対して高い表面積比を有する。
【0003】
半導体産業、医薬品産業または他の産業において用いられる製造工程において粒子状および/または分子状汚染物質をコントロールすることは、サブミクロンの粒子、分子状汚染物質、またはバクテリアを除去する膜を有するフィルタの使用を必要とし得る。例えば半導体ウエハ上に付着された粒子は、その粒子が最小形状の半導体チップの約1/10ほどに小さい場合、欠陥を生じる可能性がある。膜フィルタを用いて、上記産業のための種々の製造工程において用いられる液体およびガスからこれらの汚染物質を除去することができる。
【0004】
濾過、精製および流体調整用途では、処理中の流体が膜およびその細孔を濡らすことが有利である。薄肉非多孔質中空管を利用する熱および物質移動用途では、接触器の表面積を十分に利用するために流体が管を濡らすことも有利である。使用中、流体によって自発的に濡らされない多孔質膜が乾く場合、膜の細孔にはガスが満たされて流体と膜との接触面積が低減されることになる。流体および膜が類似する表面エネルギーを有する場合、濡れは自発的であるかまたは膜の乾燥が望ましくなくなり、流体が膜細孔に残ったままになり、ガスを除外する。
【0005】
流体濾過または精製は通常、下流側よりも膜の上流側で高い圧力のゾーンを形成する膜間の差圧下で、膜フィルタにプロセス流体を通過させることによって行われる。このため、このようにして濾過中の液体は膜フィルタ間に圧力低下を被る。この圧力差によって、下流側の液体よりも上流側の液体は高レベルの溶解されたガスを有することになる。これは、空気などのガスが低圧の流体中よりも高圧の液体中でより高い溶解性を有するので生じる。液体が膜フィルタの上流側から下流側に移動するにつれて、溶解されたガスは膜内の溶液から出て、液体を脱ガスする。液体が溶解されたガスを含み、膜の表面上の核形成サイト、粒子、温度変化、またはガスポケットが形成および成長し得るハウジング表面などの溶液からガスが出てくる駆動力が存在する限り、液体の脱ガスは差圧無しに自発的にも生じ得る。
【0006】
マイクロ電子デバイス、医薬品、表示装置および他の製造物品を製造する際に典型的に用いられる脱ガス液は超高純度水、オゾン化水、過酸化水素を含んだ流体、アルコールなどの有機溶媒、および酸化剤を含み得る濃縮された酸性水溶液または塩基性水溶液などの化学的に活性のある他の液体を含み得る。
【0007】
含フッ素ポリマーはその化学的不活性または化学的腐食に対して優れた抵抗性があることが知られている。含フッ素ポリマーの不利の1つは、それらが疎水性であり、したがってそのようなポリマーから作られた膜は水性流体または膜の表面エネルギーよりも大きい表面張力を有する他の流体で濡らすことは難しくなり得る。疎水性膜フィルタを用いて液体を脱ガスして濾過する間に直面することが多い問題は、濾過プロセス中の差圧の駆動力下で溶解されたガスが溶液から出てくるための核形成サイト(nucleating site)を膜が提供するということである。細孔内面ならびに外面または幾何学的表面を含む疎水性膜表面上のこれらの核形成サイトで溶液から出てくるガスは、膜に付着するガスポケットを形成し得る。脱ガスが継続されるのに起因してこれらのガスポケットの大きさが大きくなると、それらは膜の細孔から液体を追い出し、最終的には膜の有効濾過面積を低減することになる。流体で濡らされるかまたは流体が充填された膜の部分は流体で濡らされないすなわちガスが充填された部分へと次第に転換され、そこで濾過が停止し結果的にはフィルタの全体的な濾過効率が低減されるので、この現象は一般に膜フィルタの乾きと呼ばれる。疎水性膜の表面を水または液体で濡らすためには、現在実践されていることの1つは、まず表面を有機溶媒で濡らした後、水と有機溶媒との混合物に表面を接触させ、次いで水または液体と接触させることである。これらのプロセスは時間がかかり、結果的に化学的廃棄物が生じてしまう。
【0008】
水性流体を脱ガスすることを用いて疎水性膜の乾きを阻止する1つのアプローチは、ガスに膜の細孔内または表面上の液体と置換させない表面改質膜を用いることである。これらの膜は水性流体と接触すると自発的に濡れるので、その表面を濡らす処理プロセスを必要としない。あるいは、自発的に濡れないいくつかの膜は化学物質がハウジングから排出された後で空気で充填されない;それらは化学物質で濡れたままになる。自発的に膜を濡らすことに関し、膜表面を水で濡らすために、有機溶媒または圧力進入を用いた事前処理あるいは攪拌などによる機械的エネルギーを必要としない。これらの膜もハウジングから排出された後に、類似する表面エネルギーの流体によって濡れたままである。流体で濡れたままになる膜はガスなどの分離された流体を膜を保持するハウジング内に蓄積させ得る。膜の細孔は流体と同様の表面エネルギーを有するので、ハウジング内に蓄積するガスは液体から膜を阻止し、多孔質膜との流体接触が低減されることに起因して圧力低下を効果的に増大させることが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
プロセス流体から分離し、交換デバイスの処理中に交換デバイスハウジング内に蓄積する流体を除去する必要性がある。分離された流体を交換デバイスハウジングから除去すれば、ハウジング内の交換デバイスとのプロセス流体の接触面積は増大する。これらの分離された流体を交換デバイスから効果的に除去すれば、装置の寿命は延び、生産性は向上し、発生される化学的廃棄物は最小になる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は供給流体入口を有するハウジング、該ハウジング内の流体調整デバイスまたは構造体および、流体出口を含み得る装置である。流体調整デバイスは熱または物質移動デバイスであってよく、流体から汚染物質を除去するために表面積の大きい多孔質膜であり得る。流体調整デバイスはハウジング供給流体入口とハウジング流体出口との間の流路内にあるハウジングの一部に接続され得る。本装置は供給流体入口と流体調整デバイスとの間に供給側ベントを含むことができ、該ベントは流速がハウジング内の供給流体から分離するガスのような低密度の流体の排出を可能にするハウジング内に供給側ベントの入口が位置決めされるように構成される。本装置は分離された流体(供給流体からの低密度の)をコアから排出することのできるコアベントも含み得る。そのような装置の非限定的な一例は、プロセス流体中のガスが流体から分離してハウジング内に蓄積する、プロセス水性流体によって濡らされる表面改質多孔質膜粒子フィルタを含む。本装置は、供給流体からの分離されたガスがハウジングから除去されるとともに、多孔質膜のより広い表面積がガスによって妨げられるよりはむしろ流体に晒されるようにハウジング内の低流速の領域に配置されたベントを有する。装置の別の非限定的な例は、供給流体から粒子または他の汚染物質を除去するのに用いられる多孔質膜である熱可塑性材料である。この多孔質膜は供給流体によって濡らされ得るか、または分離された流体によって膜内の供給流体を置換させない。この装置のハウジングは、ハウジングへ入る入口の流速よりも流速が低いハウジングの位置に配置された膜の供給側に分離されたガス用のベントを有する。ハウジングは膜のコアまたは内腔からガスを排出するためのベントを膜の透過側に有してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態は、流路を形成する、供給流体入口および透過流体出口を有するハウジング、入口と出口との間にある供給流体が通過する流路内のハウジングの一部に接続された多孔質膜、供給側ベントの入口が、供給流体から分離する流体の蓄積および/または排出を可能にするのに十分に流速が低い、ハウジング内に位置決めされるように、分離器と共に構成された供給流体入口と多孔質膜の第1の側との間にある供給側ベントを含む装置である。多孔質膜は供給流体によって濡らされ得るか、または分離された流体によって膜内の供給流体を置換させない。ハウジングは分離された流体(供給流体からの低密度の)をコアから排出することのできる任意のコアベントを含み得る。分離器はハウジング内に成形または結合されたインサートであり得る。多孔質膜は濾過および/または精製カートリッジであり得、シーリング機構によって共に結合する別個の要素を含み得るか、あるいは透過および/または精製カートリッジは共にハウジングに結合されて一体の構造を有する廃棄可能なユニットを形成し得る。この多孔質膜は供給流体によって濡らされ得る。この多孔質膜は粒子、溶解されたイオンまたは他の分子、これらの汚染物質を含む組合せを供給流体から除去することができる。一実施形態ではこの膜は粒子フィルタである。この装置のベントは、ベント入口の位置を分離された流体が蓄積するハウジング内の位置または領域に修正するインサートである分離器を含み得る。この分離器は入口供給流体流が20lpmのとき流速が150cm/秒以下であるハウジング内の位置または領域にあるハウジング内に流体通路を提供する。ハウジングおよびベントまたは流体継手はハウジング周囲に対称的に配置され得る。
【0012】
一実施形態は流体調整構造体をハウジング内に含み得る装置であり、該ハウジングは流体入口および流体出口を含み得る。流体調整構造体は供給側および出口側を有し、ハウジングにハウジングへの供給流体入口と流体出口を介してハウジングから除去される流体調整構造体からの処理された流体とが混ざるのを防止するように接続されている。ハウジングは分離された流体を処理された流体から除去することのできる出口ベントおよびハウジング内で液体調整構造体の供給側に蓄積する分離された流体を除去することのできる分離器も含み得る。分離器は供給流体からの分離された流体がハウジング外部に蓄積するハウジングの領域から流路を提供する。いくつかの実施形態では、この流体調整構造体は非乾燥性(non−dewetting)多孔質膜を含む。いくつかの実施形態では、この膜は最高約140℃で、いくつかの実施形態では約50℃〜約140℃で使用中に安定しており非乾燥性なままである。他の実施形態では、この膜は180℃以上の温度で使用中に安定しており非乾燥性なままである。
【0013】
一実施形態は交換装置のハウジングまたはマニホルドのベント内に配置することが可能な、入口および出口を有する分離器であり、該インサートはハウジングベントとの流体密シールを形成し、該インサートはハウジングベントの入口の場所を修正する。他の実施形態では、インサートは流体調整構造体を含むハウジングの供給側ベント内に配置され得、該流体調整構造体はハウジングモジュールへの供給流体とハウジングモジュールから除去された処理された流体とが混ざり合うのを阻止するようにマニホルドに接続されている。インサートは供給流体から分離される流体が蓄積するハウジングの領域内に流路への入口を提供し、該インサートは分離された流体をハウジングから除去するための流路への出口を提供する。インサートの形状、大きさ、材料、またはこれらの組合せを用いて、ハウジングまたはマニホルド内のベント入口の位置を、ハウジング内の流速がハウジングへの入口の流速より低いある位置または領域に修正することができる。インサートが位置決めされたハウジングは、供給流体からの低密度の分離された流体をコアから排出することのできる任意のコアベントを含み得る。一実施形態では、このインサートの位置は、流速が約150cm/秒未満、いくつかの実施形態では約12cm/秒未満である、ハウジングの領域内に位置決めされ得るベントへの1つ以上の入口を形成する。
【0014】
一実施形態は流体調整構造体を含むデバイスのハウジング内に蓄積する分離された流体を除去するのに用いることのできる分離器を含み得るキットである。該キットは分離器をハウジング内に設置するための指示を含み得る。該キットは流体調整構造体または流体調整構造体をハウジング内にさらに含み得る。
【0015】
本発明の装置の一実施形態はエネルギーまたは物質をハウジング内の流体調整構造体と接触するプロセス流体と交換するのに使用され得る。該交換デバイスは交換デバイス上のプロセス流体入口と流体連通するポンプへのプロセス流体入口への源を含み得る装置内で使用されてよい。該交換デバイスは、プロセス流体からの分離された流体が蓄積するハウジングの領域への流路を備えた、入口ベントを有する。交換デバイスの出口は基体、物品を保持するタンク、またはプロセス流体によって処理される他の物品と流体連通する。交換デバイスは分与システムまたは再循環流体流回路の一部として使用され得る。プロセス流体によって処理される基体または物品には、これに限定するものではないが、銅およびアルミニウムなどの金属、砒素またはシリコンを含む半導体、およびアルミニウム、バリウムおよびストロンチウムを含むセラミック、感光性樹脂およびポリイミドなどの材料が挙げられる。
【0016】
一実施形態は供給流体入口を有するハウジング、該ハウジング内の非乾燥性多孔質膜および流体出口を含み得る装置である。非乾燥性多孔質膜は供給側および出口側を有し、該ハウジングおよび非乾燥性多孔質膜はハウジングへの入口の供給流体と流体出口を介してハウジングから除去される非乾燥性多孔質膜からの処理された流体とが混ざり合わないように接続されている。該ハウジングは供給流体入口と流体連通する供給側ベント、分離された流体を処理された流体から除去することのできる出口ベント、および非乾燥性多孔質膜の供給側上の供給流体と流体連通する分離器をさらに含む。該分離器は分離された流体が蓄積するハウジング内の領域内の入口と分離された流体をハウジングから除去するのに用いられる出口とを有する、流路を形成する。
【0017】
一実施形態は流体をハウジング内の多孔質膜と接触させ、分離された流体をハウジングから排出する工程を含む流体を処理する方法である。ハウジングは入口ベントまたはハウジング内の入口ベント内に位置決めされた分離器を含み、該ハウジングは多孔質膜を含み、該ハウジングは流体入口および流体出口を有し、ハウジングへの入口の流体が多孔質膜を通過するように該入口と該出口との間に多孔質膜がある。該ハウジングは入口ベント、および場合によっては分離された流体をコアから排出(vent)することのできるコアベントを有する。入口ベントまたは該入口ベント内に位置決めされた分離器は、ハウジングから入口ベントを介して分離された流体を排出するために、分離された流体が蓄積するハウジングの領域から通路を提供する。多孔質膜は供給流体によって濡らされ得るか、または膜内の供給流体を分離された流体に置換させない。
【0018】
別の実施形態は供給流体をハウジング内の流体調整構造体と接触させる工程を含む方法であり、該流体調整構造体は供給側および出口側を有し、該ハウジングは流体入口および流体出口を含み、該ハウジングおよび該流体調整構造体はハウジングへの入口の供給流体と流体出口を介してハウジングから除去される流体調整構造体によって処理された流体とが混ざり合わないように接続されている。ハウジングは分離された流体を処理された流体から除去するための出口ベントをさらに含む。この方法は供給流体からの分離された流体がハウジングの外部に蓄積するハウジングの領域からの流路を提供する分離器を用いて、ハウジング内の流体調整構造体の供給側上に蓄積した分離された流体を除去する工程をさらに含み得る。
【0019】
有利には、本発明の実施形態は対称ラインを有するハウジングおよびマニホルドならびに分離器の成形を可能にする。これによって成形コストが低減され、ハウジング製造が容易で低コストになる。多孔質膜デバイスまたは他の交換デバイスを有する装置のハウジング内への通路上で供給流体から分離する蓄積する流体を排出する能力は、蓄積された分離された流体が低減または除去されるので、圧力低下および膜分離デバイスを通る流体流速を安定させて、プロセス制御およびプロセス寿命を増強する。ボウルダウン構成の膜デバイス用のハウジングを構成する能力は、ガスのような蓄積された流体をコアおよびハウジングの両方から適切に排出できるようにする。
【0020】
一部では、本発明の実施形態の他の態様、特徴、利益および利点は以下の説明、添付の特許請求の範囲および添付図面に関連して明白となろう:
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の組成物および方法を説明する前に、本発明は記載した特定の分子、組成物、方法論またはプロトコルに限定されるものではなく、これらは変形し得ることを理解されたい。以下の説明で用いられる用語は特定のバージョンまたは実施形態のみを説明するためのものであって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図したものではないことも理解されたい。
【0022】
本明細書中で用いられる場合および添付の特許請求の範囲においては、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明示的に示さない限り、複数を言及することを含むことも理解すべきである。したがって、例えば、「中空管」に言及することは、1つまたは複数の中空管および当業者に知られたその同等物等について言及している。別途定めのない限り、本明細書に用いた技術的用語および科学的用語はすべて、当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものに類似するか同等であるどのような方法および材料も本発明の実施形態の実施または試験に際して使用することができるが、好適な方法、デバイス、および材料をここで記載することにする。本明細書中で言及した刊行物を参照により組み込む。本明細書中のいかなるものも、従来の発明によるそのような開示が先行するとして本発明に権利が与えられないという譲歩として解釈されるべきではない。
【0023】
本発明の実施形態は流体を処理するのに用いることのできる装置に向けられたものである。該装置は処理されるプロセス流体を受け取るための入口を有するハウジングと、該ハウジング内にある、プロセス流体を処理するためのプロセス流体によって濡らされる表面と、処理されたプロセス流体を除去するための出口とを含み得る。該ハウジングはプロセス流体から分離する流体成分を除去し易くする分離器を含む。これらの分離された流体を除去することにより、プロセス流体のプロセス流体を処理するためのハウジング内の表面との効率および接触が改善される。
【0024】
本発明の一実施形態はハウジング、流体処理用の多孔質膜表面、および供給側ベントへの入口が、流速が装置を流れる供給流体から分離する流体を蓄積および排出することを可能にするのに十分低いハウジング内に位置決めされるように構成された供給側ベントを有する装置である。ハウジングは分離された流体(供給流体からの低密度の)をコアから排出することのできるコアベントを有し得る。供給側ベントはハウジングへの流体入口の流速よりも流速の低いハウジングの位置に配置され得る。ハウジングを流れる水性ベースの供給流体から分離し、阻止されるか、または供給流体によって濡らされるかまたは非乾燥性膜であり得る多孔質膜を通過することのできない溶解されたかまたは発生されたガスは、ハウジング内に蓄積し得る。この分離された流体は、ハウジングから、流速がハウジング内の分離された流体の蓄積および/または排出を可能にするのに十分低いハウジング内に配置されたベント入口を介して、分離器であり得るベントへと除去され得る。該多孔質膜を用いてプロセス流体を精製または濾過することができる。
【0025】
本発明の一実施形態は、ハウジングと供給流体が膜を流れることによって供給流体から不純物を除去または分離する多孔質膜とを含む装置である。ハウジング内にある分離器が、供給流体から分離され、多孔質膜を通過することのできない低密度の流体を除去する。このハウジング内にある分離器が分離された流体をハウジングから除去し易くし、分離された流体がハウジング内に蓄積するのを防止する。該分離器は安定した流体流および圧力低下を多孔質膜間に提供し得る。
【0026】
一実施形態では、本装置は供給流体から分離された流体をハウジングから除去し、分離された流体が多孔質膜を通過する供給流体流を低減させないか、または供給流体がハウジング内の交換デバイスと接触するのを低減させないベントを備えたハウジングを含む。ハウジングまたはマニホルドは分離された流体(供給流体からの低密度の)を多孔質膜または他の交換デバイスのコアから排出することのできるコアベントも含み得る。ベントはハウジングへ向かう供給流体入口の速度よりも流速が遅いハウジングの一部内に配置または位置決めされ得る。このベント位置によって、分離された流体をハウジングから除去することが可能となる。あるいは、ベントはハウジング内のどこにでも配置され得るか、交換デバイスへの供給流体の流れを妨げ得る分離された流体が蓄積するハウジングの一部と連通するようにベント内に挿入されてベント内に流体的に密閉された分離器であり得る。該分離器インサートは分離された流体が蓄積するハウジングの内部と分離された流体がハウジングから除去され得るベント出口との間に流体連通を提供する入口および出口を有し得るかまたは通路を形成し得る。
【0027】
本発明の一実施形態はハウジングのベント部分に挿入または固定され得る分離器である。ハウジングはハウジングのマニホルドに置かれたプロセス流体を処理する多孔質膜または交換デバイスをさらに含み得る。該多孔質膜または交換デバイスは非乾燥性であり得るか、または非乾燥性表面を有するように処理され得る。分離器は入口および出口を有し得るか、または分離器は、ベント内へ分離器を挿入することおよびハウジング内の分離器入口をハウジング内の種々の位置に、好適にはハウジングの入口よりも流速の低い領域およびさらに一層好適には分離された流体がハウジング内に蓄積する領域に配置することを可能にする形状を形成することができる材料から作製され得る。ハウジング内部の分離器の入口は分離された流体、例えば気泡がハウジングからベントを介して流出できるようにする。
【0028】
いくつかの実施形態では、分離器または偏向器は入口ハウジングベントから離れるように流体流を方向付けるようにハウジングの流体入口内に挿入または成形され得、これによってベント近傍の流速が低減される。ベントの一部であり得る分離器はベント近傍の流速を低減させ、蓄積されたガスなどの、供給流体から分離された低密度の流体をベントを介してハウジングから排出することを可能にする。いくつかの実施形態の分離器はインサートであり得るか、またはベントの一部を形成し得、供給流体流をベントから離れる方へハウジング入口から逸らすか、低減させるかまたは方向付けるとともにベント入口近傍の流速を低減させるのに使用され得る。他の実施形態の分離器は分離された流体をハウジングから除去するための入口および出口を有する流路の一部を形成し得る。該分離器は分離器流路の入口から離れる方へ供給流体流を逸らすか、低減させるかまたは方向付けるとともに流路入口近傍の流速を低減させることができる。ハウジングは場合によっては、分離された流体を交換デバイスのコアから排出することのできるコアを含み得る。
【0029】
ハウジング内の分離器は供給流体からの分離された流体がハウジングの外部に蓄積するハウジング内部の低流速領域からの流路を提供する。該流路はハウジングまたはマニホルドの供給側ベントと流体連通し得る。分離器は例えば図4の410によって示すようなハウジングのベントに配置されたインサートであり得、該インサートはハウジングへの流体入口の流速よりも流速が低いハウジングの領域内に入口を提供する。ハウジングまたはマニホルド用の分離器はインサートであり得るか、成形され得るか、プレス嵌めであり得るか、溶接または接着剤によって結合され得るか、機械加工され得るか、あるいはハウジングまたはマニホルドに固定され得る。いくつかの実施形態の分離器はハウジングまたはマニホルドヘッドの表面または平面の下に突出する。例えば、分離器610は図6の点線650で示した供給流体入口の平面の下に突出する。いくつかの実施形態では、分離器は流体入口と供給側ベントとの間に位置決めされ、該分離器は流速がハウジングへの入口の流速より低い、ハウジング内の領域を形成する。
【0030】
分離器はハウジング内に配置することができ、ガスが飽和した液体の流れおよび流れている液体へのガスの散布は、熱または物質交換デバイスが入っているハウジングの供給流体入口を介して導入され得る。このスパージ(sparge)ガスは流れている液体と混合された分離された流体である。供給流体から分離する流体は低密度でも、供給流体よりも密度が大きいものでもあり得る。分離された流体は部分的または完全に供給流体中で不溶であり得る。多孔質膜である交換デバイスの場合、供給流体によって濡らされた多孔質膜は、ガスのような分離された流体に膜から供給流体を移動させない。この膜間の差圧は流体が流れる間ハウジングまたはマニホルドの流体入口および流体出口上にある圧力ゲージによって監視することができる。この差圧は、分離器によって形成された流路が供給液体から分離するガス(および場合によってはいくつかの供給流体)をハウジングから除去できるようにする領域において、分離器を用いておよび用いずに測定され得る。この差圧を用いて、分離器用の流路をハウジング内に配置するための最高の位置または領域を決定することができる。液体からの分離されたガスをハウジングから除去する場合に膜間の差圧が低いと、分離器流路入口の場所としてよりよい領域であることを示している。分離器の入口は、蓄積されたガスまたは他の分離された流体を分離器入口を通過できるようにするが、材料を濡らさない液体が分離器流路に入るのを防止する膜であり得る疎水性、疎液性、または超疎水性の材料を含んでよい。
【0031】
種々のハウジング構成が分離器と共に使用され得る。1つのモジュールデザインでは、濾過され、処理される液体は濾過モジュールの一端から膜を介してモジュールの他端へと流れる。このクラスの濾過モジュールでは、供給、ベントおよび透過出口の接続部は交換デバイスまたはフィルタハウジングの両端に配置され、これによって液流を一端から他端へと強制的に移動させる。この流れ構成はインラインフロー構成と呼ばれる。交換デバイスまたは濾過モジュールデザイン用の別のハウジングは、すべての接続部をモジュールの同じ末端に配置する。このタイプのモジュールでは、供給口または透過口は典型的には、両側のモジュールの最上部または「ヘッド」末端にて水平に配向されている。それらの形状に起因して、これらのモジュールはT、LまたはU構成を有するものとみなされる。この構成によって、ボウルおよび該ボウル内に位置決めされた流体調整構造体、例えば濾過カートリッジを含むモジュールの残りの部分にヘッドを接続し易くなる。このデザインでは、ボウルおよび濾過および/または精製カートリッジなどの流体調整構造体は別個の要素を含み得るか、またはそれらは共に結合されて一体の構造を有する廃棄可能なユニットを形成し得る。別個の構成要素を有するモジュールを用いる場合、濾過および/または精製カートリッジおよびボウルはマニホルドヘッドに別個に固定および/またはシールされる。さらに、エネルギー交換、濾過および/または精製が終了すると、ボウルおよびカートリッジはヘッドから別々に取り外される。この別々の取り外しは、流体調整カートリッジを露出させてそれを取り外しできるようにするために、カートリッジの全長よりも実質的に長い距離だけボウルを移動させることを伴う。この後、露出したカートリッジを手によって、または手で持つ器具によって取り外す。カートリッジは多くの場合腐食性または毒性である処理中の液体が染み込まされ得るので、カートリッジ除去工程は作業者にとって危険である。流体調整カートリッジを取り外すために、この取り外し工程を達成するようにボウルをカートリッジの長さだけ移動させることが可能である。廃棄可能なユニットは単一ユニットとして取り外され得、ハウジング内に残っている流体を含み得る。
【0032】
交換デバイスまたはフィルタカートリッジなどの流体調整構造体用のハウジングは、マニホルドおよびボウルから形成され得る。マニホルド、ボウルおよび交換デバイスは相互に結合されて廃棄可能なデバイスを形成し得る。マニホルドに結合されたボウルは交換デバイス用のハウジングを形成することができ、交換デバイスはハウジングモジュールへの供給流体とハウジングモジュールから除去された処理された流体または透過流体とが混ざり合わないようにマニホルドに結合され得る。あるいは、マニホルド、ボウル、および交換デバイスまたは調整構造体は可逆的に連結され、Oリング、ガスケット、ネジ山、または他の類似するシールを用いて相互から分離されて再使用可能なハウジングを形成することができ、該マニホルドおよびボウルはハウジングを形成する。他の導管、弁または分与ノズルにマニホルドを接続した状態で、マニホルドからボウルを取り外すことができる。交換デバイスおよびボウルは、モジュールへの供給流体とモジュールから除去された処理されたかまたは透過した流体とが混ざり合うのを阻止するようにマニホルドと共に固定されている。分離器がマニホルドまたはハウジングのベントまたは他の口内に位置決めされ得るか、または分離器はハウジングまたはマニホルドの一部として成形され得る。
【0033】
突起部、バヨネットまたは翼部、Oリング、溶接または融着、接合ネジまたは他の手段であってよい種々の方法およびデバイスを用いてカートリッジをハウジングに固定することができ、カートリッジの任意の部分に設置することができる。
【0034】
ハウジングまたはマニホルド、ボウル、およびコア、ケージおよびエンドキャップを含む多孔質膜支持構造体などの流体調整構造体の部分は、セラミック材料、金属、ポリマー材料、またはこれらのいずれかを含む複合材料から作製されてよい。諸実施形態では、ボウルおよびハウジングまたはマニホルドは、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリオレフィンのコポリマーまたはターポリマー、ナイロン、PTFE樹脂、PFA、PVDF、ECTFEおよび他のフッ素化樹脂、特にペルフルオロ化熱可塑性樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホンまたはポリフェニルスルホンなどの改質ポリスルホン、ガラスまたは強化プラスチックまたはステンレス鋼、アルミニウム、銅、青銅、黄銅、ニッケル、クロミウムまたはチタニウムあるいはこれらの合金またはブレンドなどの金属を含む化学的および熱的に安定した熱可塑性材料であり得る。
【0035】
交換デバイスまたは流体調整構造体用のハウジングおよびハウジング内の分離器は、処理されるプロセス流体および供給流体と化学的に適合する種々の材料から作製され得る。材料には金属、複合材料、またはプラスチックを含み得る。いくつかの実施形態では、ハウジング、またはマニホルド、ボウル、分離器、流体調整構造体などの構成要素は熱可塑性材料または成形可能な同様の材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、ハウジング構成要素は対称性の軸または平面を有する。他の実施形態では、ハウジング、または交換デバイス用のマニホルドヘッドおよびボウルなどの構成要素は熱可塑性材料または成形可能で非対称性の同様の材料から作製され得る。流体調整構造体は、流体中の汚染物質を化学的または物理的に流体調整構造体に結合させることを含む物質交換によって流体を処理するための表面を含む。流体調整構造体は熱交換、物質交換、濾過、精製またはこれらを組み合わせたもののための処理表面を含む。この処理表面は1つ以上の中空管、中空糸、多孔質膜、カートリッジ、プレート、またはこれらを含んだ構造体を含み得る。流体調整構造体はハウジングからの別個の要素、例えば、カートリッジを含み得るか、またはそれらはハウジングと共に結合されて一体の構造を有する廃棄可能なユニットを形成し得る。いくつかの実施形態、例えば中空糸膜では、ハウジングは膜支持体またはポッティングの一部がハウジングに結合された状態で多孔質膜を封入し得る。供給流体ベントなどのベントの位置を対称のラインから離してハウジング配置させることが望ましい場合、ハウジングを作製するのに用いられる金型は非対称的であり得、ベントは流速が流体入口流速から低減されるとともにガスなどの分離された流体が蓄積し得る領域に配置され得る。あるいは、図4の非限定的な例の410に示したものなどのインサートはベント内に配置され得る。該インサートはインサートへの入口が分離された流体が使用中に蓄積するハウジングの領域へと位置決めされるように位置決めされ得る。
【0036】
交換デバイスまたはフィルタである流体調整構造体に関し、濾過カートリッジ内で使用される濾過媒質の選択は工業で一般に使用されるどんなものあってもよいか、または非乾燥性である一般に使用されるどんなものであってもよい。典型的には、媒質はこれらに限定するものではないが、平坦な薄膜、スパイラル状の平坦な薄膜、ひだ状の平坦な薄膜、スパイラルなひだ状の平坦な薄膜、中空糸膜、焼結金属フィルタ媒質、セラミック媒質、樹脂またはセラミックビーズなどの活性捕集材料を含む粒子状媒質、その樹脂またはビーズ表面に付着した流体から選択された材料を除去するための配位子をもつ膜、アニオン樹脂、カチオン樹脂またはそれら2つの混合物などの単体のまたは膜構造に組み入れられたイオン交換媒質、およびこれらのいずれかの組合せである。この濾過媒質は、紙、再生セルロースまたはニトロセルロースなどの他のセルロース系材料、ガラス繊維および織物、ステンレス鋼、ニッケル、クロムなどの金属およびその合金および混合物、セラミック、プラスチック、好適には、超高分子ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン等、PVDF、PTFE樹脂、PFA、ECTFEおよびその他のフッ素樹脂、特に過フッ化熱可塑性樹脂、PVC、ナイロン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホンおよびポリフェニルスルホンなどの改質型ポリスルホン、ポリイミド、ポリカーボネート、PET等を含むポリオレフィン、ホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーなどの熱可塑性材料などの濾過で通常使用するどんな材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、濾過媒質に使用される材料は、多孔質膜が供給流体によって濡らされるか、または膜内の供給流体を分離された流体(非乾燥性)によって置換させないように選択されてよい。
【0037】
種々のコーティングまたは表面処理を用いて、非乾燥性であるかまたは供給流体によって自発的に濡らされる表面エネルギーが修正された、流体調整表面、例えば多孔質膜を作製することができる。非乾燥性多孔質膜は、これに限定するものではないが本明細書に援用した1997年5月1日出願の米国特許出願シリアル番号第08/848809号明細書に記載のものを含むことができ、表面全体を非乾燥性にすることができる結合されたペルフルオロカーボンコポリマー組成物でポリペルフルオロカーボン膜などの多孔質膜の表面を改質するプロセスを提供する。有用なコーティングを有する膜の他の非限定的な例は米国特許第6179132号明細書に開示されており、その内容を全体に本明細書に援用する。いくつかの実施形態では、これらの材料の多孔質膜は、改質された表面が供給流体、好適には水性液体である供給流体で直接濡らされるようにその表面がペルフルオロカーボンポリマー組成物または他の官能基で改質されてよい。表面改質による膜の被覆率はメチレンブルー染料で染色することによって決定することができる。いくつかの実施形態では、膜は約140℃、いくつかの実施形態では約50℃〜約140℃で使用中に、安定的で非乾燥性のままであり、他の実施形態では、膜は約180℃以上の温度で使用中、安定的であり非乾燥性のままである。同様の処理を用いて、これに限定するものではないが中空糸多孔質膜または皮付きまたは皮付きでない他の中空管を含む他の流体調整表面の表面エネルギーを修正することができる。
【0038】
多孔質膜表面を表面改質剤で改質する際、膜の多孔率は保持され得る。したがって、十分な表面改質組成物を適用すれば、膜基体の細孔を実質的に詰まらせることなく所望の改質を得ることができる。したがって、その表面が改質された膜は十分な多孔率を保持して、濾過および/または精製膜としてそれを使用することを可能にするはずである。表面改質組成物の中間量を膜基体に塗布することができ、故に、フィルム、粉末または繊維などのなどの固体基体をコーティングするのとは異なる。
【0039】
流体調整構造体または交換デバイスは装置内でプロセス流体を処理するための表面を含み、デバイスへと流れ込む供給流体から不純物を除去するのに使用することのできる多孔質膜であり得る。膜によって供給流体から除去することのできる不純物の例には、これに限定するものではないが、粒子、分子状汚染物質、ゲル、コロイド状物質、およびこれらの組合せが挙げられる。これらの不純物は供給流体中に溶解または懸濁され得る。供給流体は、溶解されてもよくされなくてもよいか、または供給流体と混和性であってもよくなくてもよいガスおよび液体などの付加的な流体相を含んでもよい。あるいは、プロセス流体処理用の表面は熱または物質をプロセス流体と交換し得る。分離器を含み得る熱および物質交換デバイスの例には、薄肉中空管で液体を加熱するデバイス、液体/液体接触器、クロスフロー濾過デバイス、またはこれらの組合せがある。
【0040】
分離デバイスまたは処理装置において使用される多孔質膜は、これに限定するものではないが硬質粒子、ゲル、バクテリアおよびコロイドを含む種々の大きさの粒子の濾過に適した孔サイズを有し得る。膜は細孔を有するマイクロ多孔質膜および/または約20μm以下、より好適には約1μm未満、さらに好適には0.1μm未満の粒子を除去することができる表面コーティングであり得る。多孔質膜を化学反応基でコーティングして供給流体から分子状汚染物質を除去することもできる。
【0041】
本装置内の処理表面の外面または内面は皮付きまたは皮無しであり得る。皮とは膜の構造と一体になった薄い緻密な表面層である。皮付き膜の場合、膜を通過する流体流に対して抵抗する主要部分は皮に存在する。この表面皮層はサブ構造の連続する多孔質構造に続く細孔を含むか、または非多孔質フィルム様表面であってよい。皮付き多孔質膜では、透過は細孔を通る連続的な流れによって主に生じる。「非対称性」とは、膜の厚さにわたる細孔の大きさが不均一であることを言う。中空糸の場合、これは繊維の多孔壁である。非対称性膜は、典型的には一表面からその反対の表面にわたって徐々に細孔の大きさが増大する、横断面、断面を通る場所の関数である構造を有する。非対称性を定める別の様式は、一表面上の細孔の大きさとその反対表面上の細孔の大きさとの比である。熱交換デバイスでは、処理表面は非多孔質の皮付きかまたは多孔質であってよい。
【0042】
流体シールには、熱可塑性部材、膜、中空管または中空糸のいずれかと融合させたか、熱可塑性材料と共に繊維の細孔に入って濡らすことによって膜との機械的結合を形成したポッティング樹脂を含む。このシールの特徴は、多孔質繊維の場合には、膜の内部を通る流体流よりはむしろ、ポットされた領域内の膜を越えては流れないか、または中空管の内部に閉じ込められ、中空管または中空糸の外部上の流体から物理的に分離されることである。フィルタカートリッジ、中空糸、中空管、分離器またはこれらの組合せが、ハウジングまたはマニホルドに流体的にシールされてよい。
【0043】
濾過、精製または接触デバイスにおいてハウジングおよび膜、熱可塑性部材、熱可塑性中空管および/または他のデバイス要素を結合することは、熱可塑性材料の溶接または溶融中のような溶融材料の物理的混合、接着剤、材料の機械的連結、流体および圧縮継手(これに限定するものではないが、バーブ(barb)、Swagelock(登録商標)、Flaretek(登録商標)およびPillar等)のほか材料の化学的結合を含み得る。ハウジングと任意のベント挿入デバイスとの間の結合は分離デバイスの用途に十分なハウジングとの流体密シールを提供することが好ましい。中空糸接触器または交換器は当業者には知られた方法および特に本明細書にその全体を援用した米国特許出願公開第20030912428号に開示された方法を用いて作製されてよい。
【0044】
ハウジングまたはマニホルド流体入口、流体出口およびベントポートは、ハウジングまたはマニホルドを他のデバイスおよび導管と接続するための継手またはコネクタ、例えばFlaretek(登録商標)、Pillar(登録商標)、Super Pillar、Flowell、Swagelock(登録商標)および他のもの、溶接用管端、ネジ山付きまたはタップ付きの導管およびフランジ、ガスケットまたはOリング、圧縮継手、バーブ、またはこれらのいずれかの組合せを有してよい。
【0045】
供給流体から分離する流体には、ガス、液体、液体に懸濁された固体、これらの組合せ、または他の分離された相を含み得る。分離された流体は供給流体と異なる密度を有する。いくつかの実施形態では、分離された流体の密度は供給流体よりも小さい。
【0046】
ハウジングに流体が流入すると、結果的に流速はハウジングからの分離された流体の除去を阻止または防止するものになり得る。流速は、ハウジングの入口またはハウジングのベントなどのハウジング内の位置においては、例えば、12cm/秒以上、150cm/秒以上もの速さになり得る。流速は入口の流体流に左右され、表面は入口またはベントである。流体の流れは流体の分与の場合などでは連続的またはパルス的であり得る。限定するものではないが、流体流は多孔質膜を通過するか交換接触形表面に沿って1L/分を超える、または10L/分を超え得る。ハウジング内のベントの場所、ハウジングベントに挿入される分離器またはインサートの入口の場所、またはベントと共に分離器またはインサートによって形成される通路は、流速が150cm/秒以下であるハウジングの領域に存在し得、いくつかの実施形態では、流速が12cm/秒以下の領域内に配置され得る。一実施形態はポートまたは流路を位置決めして分離された流体をハウジングから排出することを含み、ポートまたは流路はハウジング内の低流速の領域に配置されている。ポートまたは流路の位置は気泡が供給流体流に対して生じ得る場所であり得る。流体が供給流体から分離して蓄積する、ハウジングの領域、例えば、マニホルドの環状領域の一部は、入口の供給流速よりも遅い流速を有し得る。
【0047】
図1に示すように、ハウジング128は流体入口または供給流体入口124とハウジングを流体流回路に接続するための処理済流体出口または透過流体出口144とを有し得る。ハウジング入口124に入る流体104は汚染物質が除去される多孔質膜または他の流体調整構造体136を通過することが可能で、透過流体148として出口144を流れる。該ハウジングは流体調整構造体136の外側または供給側の上に116を有し、膜フィルタのコアであり得る、処理された流体(透過)と流体連通する出口ベント112を有し得る。これらのハウジングベント116および112は任意の弁108および120にそれぞれ接続され得、場合によっては、ハウジングまたはボウルは任意の弁142にさらに接続され得るドレイン140を有し得る。図1に示すように、入口124を介してハウジングに入る流体104は、ハウジングの入口124と出口144との間の流体流路内にある膜136の外側周囲に分布され得る。点線の矢印で示すように、供給流体は、粒子、汚染物質またはこれらの組合せが膜表面(細孔、反応性官能基、膜表面による吸着)によって保持される流体調整構造体136を流れる。精製された透過流体は膜のコア134に入ることができ、流体出口144を介してハウジングから除去され得る。例えば圧力低下により、膜を通過して主流体138から分離する溶解されたガスなどの密度の小さい流体相が膜モジュールのコア内に蓄積することがあり、コアベント112を介して排出され得る。非乾燥性膜を通過することができないか、または通過するのを阻止される溶解されたガスなどの流体相132は、多孔質膜136の外側に蓄積し得る。図示のように、流速の速い領域122が供給側ベントポート116への入口近傍に存在し得、分離された流体132がハウジングまたはボウル128から除去されるのを阻止または防止することができる。
【0048】
ボウルアップの構成を図2に示しており、本装置のハウジング228は、流体入口または供給流体入口224および流体流回路内にハウジングを接続するための流体出口または透過流体出口244を有する。ハウジング入口224に入る流体204は汚染物が除去される多孔質膜236を通過することができ、次いで透過流体248として出口244に流れ出て流体流回路またはプロセスタンク内に戻る。ハウジングまたはマニホルド部分は膜の外側、すなわち供給側に、ボウルアップの構成では流体204用のドレインとして働くがハウジング内に蓄積する分離された流体232を排出することができないベントポート216を有し得る。ハウジングまたはヘッド部分は、流体248用のドレインとして働き得るが、ボウルアップ構成では、例えば膜間の圧力低下に起因して分離したコア234内の低密度の流体238を直接排出するのに用いることのできない膜(透過)のコアと流体連通する別のベントポート212を有し得る。これらのハウジングベントは任意の弁208および220に接続され得る。ボウルアップの構成では、ハウジングまたはボウル228は、供給流体204から分離した流体232を排出するのに用いることのできる、任意の弁242に接続されたドレイン240を有し得る。図2に示すように、入口224を介してハウジングに入る流体204は、ハウジングの入口224と出口244との間の流体流路内にある膜236の外側周囲に分布され得る。点線の矢印で示すように、供給流体は、粒子、汚染物質またはこれらの組合せが膜表面(細孔、反応性官能基、膜表面による吸着)によって保持される膜236を流れる。精製された透過流体は膜のコア234に入ることができ、流体出口244を介してハウジングから除去され得る。例えば圧力低下により、膜を通過して主流体238から分離する溶解されたガスなどの密度の小さい流体相が膜モジュールのコア234内に蓄積することがある。膜を通過することができないか、または通過するのを阻止される溶解されたガスなどの流体相232は、多孔質膜236の外側に蓄積し得る。ハウジングベント240への入口近傍の低流速の領域252は分離された流体232をハウジングまたはボウル228から除去するのに使用され得るが、該ハウジングは分離された流体238を膜のコア内の処理された流体248から除去することのできるベントを含まない。
【0049】
図3は多孔質膜を通過する液体に関して分離されたガスが圧力低下に及ぼす影響を示す。この膜は非乾燥性であり、ガスが膜を流れるのを阻止する。コアベントを含んだ図1に示した装置では、ガスを分離せずに供給流体を流した場合の膜間の圧力低下は、図3に地点「開始」で示した差圧低下を有する。供給流体入口に空気を導入して流れている供給流体の脱ガスを促せば、結果として流体が流れるために使用可能な膜は低減され、図3に地点「空気散布後」で示したように差圧の上昇が観察される。給流体流は停止され、蓄積されたガスは排出され、供給流体流は再開され得る。膜間の差圧は「圧力保持後」によって表される。これは分離されたガスがデバイスのコアがコアベントを有しマニホルドが対称の軸または平面を有するボウル−ダウン構成のハウジング内の非乾燥性膜間の差圧に及ぼし得る影響を示している。
【0050】
図4に示した本発明のある実施形態では、ハウジング428はハウジングを流体流回路に接続するか、または処理された流体を基体、プロセスタンク等に分与するための、流体入口または供給流体入口424および処理済流体出口または透過流体出口444を有する。ハウジングは当業者であれば分かるように別個のマニホルド、流体調整構造体およびボウル(図示せず)から形成または組み立てられてもよい。多孔質膜フィルタ436であり得る流体調整構造体を備えたハウジング428を「ボウル−ダウン」位置に示している。分離器410をハウジング内に位置決めすることによって、ベントポート416の入口の場所を高速領域422から比較的低流速である404の1つに変えることができる。図4に示すような分離器410、例えば管インサートを用いれば、ベントポートへの入口をベントポートの場所422から離してハウジングの環状部分のどこかに効果的に配置することができる。環状領域の流速はベントの流速よりも遅くなり得、分離された流体432を蓄積させ、分離器出口408を介してハウジングから除去できるようにする。分離器410の出口408はオーバーフロータンクまたは付加的な導管(図示せず)の弁または堰に接続され得る。分離器410は任意のインサート426を用いてベント416内に位置決めされ得る。コア434内の供給流体404から分離する低密度の流体相438は任意の弁420を有するベント412を介して排出され得る。透過流体448はハウジングおよびフィルタコアの透過流体出口444から除去され得る。ハウジングは任意のドレイン440およびドレイン弁442を有し得る。ハウジングはハウジングが単一構造である一体の構造を有してよいか、またはハウジングは別個のボウル、フィルタカートリッジおよびマニホルドを有してよい。
【0051】
本発明の別の実施形態は、供給流体入口424を有するハウジング、ハウジング436内の非乾燥性多孔質膜、および流体出口444を含むことができる装置であり得る。非乾燥性多孔質膜436は供給流体と接触する供給側および処理された流体と接触する出口側を有する。ハウジング428および非乾燥性多孔質膜436は、ハウジングから流体出口444を介して除去される434の領域においてハウジングへの入口の供給流体404と非乾燥性多孔質膜からの処理された流体とが混ざり合わないように接続されている。該ハウジングは供給流体入口424と連通する供給側ベント416、分離された流体438を処理された流体448から除去することのできる出口ベント412、および非乾燥性多孔質膜の供給側で供給流体と連通する410などの分離器をさらに含み得る。分離器は分離された流体432が蓄積するハウジングの領域内の入口404および分離された流体をハウジング428から除去するのに用いられる出口408と共に流路を形成する。
【0052】
流体調整構造体436の供給側に蓄積する分離された流体を除去する方法は、供給流体404をハウジング428内の流体調整構造体436に接触させる工程を含み得る。該流体調整構造体436は供給流体と接触する供給側および処理された流体と接触する出口側を有する。ハウジング428は流体入口424および流体出口444を含むことができ、ハウジング428および流体調整構造体436は共に、424にあるハウジングへの入口の供給流体404とハウジングから流体出口444を介して除去された流体調整構造体436によって処理された流体448とが混ざり合わないように接続または固定されている。ハウジングは分離された流体を処理された流体から除去するための出口ベントをさらに含み得る。該方法は、供給流体404からの分離された流体がハウジング408の外部に蓄積するハウジングの領域から流路を提供する410のような分離器を用いて、ハウジング428内の流体調整構造体の供給側に蓄積された分離された流体432を除去する工程をさらに含み得る。
【0053】
図5は410などの分離器が適所にある場合とない場合とのエアスパージング試験における多孔質膜流体調整構造体間の差圧低下を比較したものである。このデータから分かるように、膜間の差圧は分離器がない場合には約2psidから約15psidまで鋭く大きくなるが、分離器が存在する場合には、膜間の差圧は約2psidのままである。分離器インサート410がハウジングの入口ベント416内にある場合に圧力低下がより低いと、ベントの効果的な入口がここでは422よりも低流速の404のような領域内にある分離器インサート管入口であるので、気泡は分離器410を有するハウジングをより容易に出て行くことができる。ハウジング428の他のエリアまたは領域に分離器インサート410を設置すれば、分離された流体432が蓄積するハウジングの低流速部分から供給側ベントまでの流路も提供され得る。
【0054】
図6はハウジングまたはマニホルドヘッド628の一部分626に結合、成形または固定された分離器610のある実施形態の図である。分離器610はベント616の開口部622の位置を供給流体入口624近傍からハウジングの低流速領域646の分離器開口部604へと修正し得る。取り込まれたガスまたは他の分離された流体638は、ガス638のような分離流体が蓄積するので、効果的な濾過または流体調整構造体636の接触器面積の損失をもたらし得る。供給流体620は領域634内でハウジングに入る。場合によっては少量の供給流体620を含む分離されたガス638は、ハウジングの内部から分離器610およびベント616によって形成された流路開口部604を介して除去され得る。分離された流体638をハウジングから除去することによって、分離された流体の量が低減された流体642が調整器636によって処理され得る。
【0055】
図7は圧縮継手、溶接、結合によるかあるいは分離器をハウジングに固定することによって、ハウジングに締付けまたは取付けられ得る分離器700の非限定的な例の種々の態様を示す。あるいは、類似する特徴を有する分離器がハウジングまたはマニホルド内に成形されてよい。図8Bの上下逆にした図では、分離器はハウジング内のベント、チャネルまたはポート870の内部に示されている。図8Bに示すように、分離器を用いて、ハウジング内の低流速の領域、例えば、分離された低密度の流体880をハウジングから排出するのに使用され得る874および876から1つ以上の流体流路を形成することができる。分離器は分離された流体が蓄積するハウジング内の領域から分離された流体が除去されるハウジングの外側までの流路を形成する任意の形状であり得る。一実施形態では、分離器は供給入口流速よりも低流速である、分離された流体が蓄積するハウジング内の領域から流路を形成する。分離器によって形成された該流路は分離された流体が除去され得るハウジングの外部と流体連通する。別の実施形態では、分離器は分離された流体が蓄積するハウジング内の領域および分離された流体が除去され得るハウジングの外部と流体連通する導管を含む。分離器は分離器878の表面およびハウジングチャネル870表面から流路876を形成する。分離器はベントから離れる方に流体を方向付け、ベント近傍の領域で流速を減速させるように形成され得る。分離器は任意の形状のベントまたはチャネルに収まり、ハウジングと共に流路を形成するように作製され得る。
【0056】
図7は分離された流体をハウジングから除去するためのベントまたは他のハウジング導管内に配置することのできる分離器700の非限定的な図の斜視図である。縁部742はベント表面、チャネル、マニホルドヘッド表面、またはハウジング表面と結合されるように成形され得、これを用いて供給流体をベントから離れる方に分岐するおよび/または分離器を支持することができる。供給流体を分離器の1つ以上の表面によって方向付けて流速ベント開口部の供給流速を低減させることができる。これらの表面は凹形、凸形、平坦形およびこれらの組合せを含んでよい。これらのタイプの表面を有する分離器の非限定的な例を図7の分離器700の表面の738、740および752によって示している。754および756のような表面は、分離された流体がハウジングから除去されるための流路を形成するのに使用され得る分離器表面の非限定的な例である。表面740の形状の一部を縁部760によって示し、表面740を用いて流路を形成することができるか、またはこれを用いてハウジング表面に接触させて付加的に支持してもよい。
【0057】
分離器はハウジングまたはマニホルドに関連するその長さおよび断面においてある空間を占める。分離器によって占められた空間および分離器がハウジングまたはハウジング内のチャネルと接する表面積を変えて、流路の数および大きさ、ハウジングまたはマニホルド内の流路入口の場所、分離器の結合面積、またはこれらの組合せを修正することができる。例えば、分離器700は712、730および764によって決定される空間を占める。これらを限定することなく調整して、分離器に流路を提供し、ベント開口部の流速を低減させることができる。分離器、例えば、供給流体と相互作用する表面、分離された流体用の流路を形成する表面、またはハウジングまたはマニホルド内に分離された流体が蓄積し得る領域を形成する表面、またはこれらのいずれかを含む組合せの他の態様を改質することも可能である。これらは半径、角度またはこれらを含む組合せによって画定される表面であり得る。例えば、分離器700では、供給流体と相互作用する凹凸状の表面は高さ732の角度752を有する傾斜状表面を含み得る。分離器700では、ハウジングまたはマニホルド内の分離された流体が蓄積し得る領域は、高さ746、深さ750および長さ748によって記載されるフィーチャの大きさおよび形状を変えることによって修正され得る。例えば非限定的な略図7によって示したような分離器の断面形状を分離器の長さに沿って修正して、供給流体流路および分離された流体流路を変えることができる。738のような側壁と分離器の前端との間の角度736を修正することができる。700のような分離器の表面756および/または表面760の長さ、厚さ、凹凸、角度、またはこれらを含む任意の組合せを修正して、供給流体流路および分離された流体流路を変えることができる。他の断面プロファイルを有する分離器について同様の修正を行うことができる。
【0058】
図8Aの上下逆にした図では、ハウジングまたはマニホルド内のベントまたはチャネルの内部に分離器を示す。分離器828は、分離可能な流体812を含む供給流体814が供給流体入口808から分離器828の体積816に入るハウジングまたはマニホルドベントチャネル820に固定することができる。供給流体は熱または物質を供給流体814と交換する流体調整構造体を含み得るハウジングの他の領域へと導かれ得る(そのページに流れ込む)。分離器内にあるか、またはハウジングの諸部分と共に分離器によって形成された流路は、ハウジング内の低流速の領域からハウジング内の、分離された流体がハウジングから除去され得るベントまたは他のチャネル820までの1つ以上の流体流路824および838を形成し得る。例えば、ハウジングチャネル820内の分離器828は例えば、流路822、824、832および838を形成して、分離された流体、またはハウジングまたはマニホルドヘッドから除去される分離された流体および供給流体のための通路を形成することができる。例えば、836および840で示した別個の流体は流路822および838をそれぞれ介してそのページから流れ出て、ハウジングチャネル820から除去され得る。
【0059】
図8Bは分離された低密度の流体880をハウジングから除去するのに用いることのできる、ハウジング内の低流速の領域から1つ以上の流体流路、例えば流路874および876を形成し得る分離器878を示す。分離器878は、分離可能な流体862を含む供給流体864が供給流体入口858から分離器878の体積866に入るハウジングまたはマニホルド870に固定され得る。供給流体は熱または物質を供給流体864と交換する流体調整構造体を含み得るハウジングの他の領域へと導かれ、そのページに流れ込む。分離器内の流路またはハウジングの部分と共に分離器によって形成された流路は、ハウジング内の低流速の領域から、分離された流体がハウジングから除去され得るベントまたは他のポートまでの1つ以上の流体流路を形成し得る。例えば、分離器878はハウジング870と共に例えば流路874および876を形成して、ハウジングまたはマニホルドヘッドベント870から除去される分離された流体880、または分離された流体および供給流体用の流路を提供することができる。例えば、880で示した別個の流体は流路874を介してそのページから流れ出て、そこでハウジングまたはマニホルドベント開口部870から除去され得る。分離器878の一部は882に沿ってハウジングまたはマニホルド870に接した状態で示しており、分離器878の別の部分はハウジングまたはマニホルド886の別の部分に接触する。これらの接触領域を用いて分離器878をハウジングベント870に結合または固定することができる。いくつかの実施形態では、分離器878はマニホルドの成形中に成形されてよい。
【0060】
図9は分離器が使用され得るマニホルド904、またはハウジングの一部の斜視図を示す。図9は流体入口908、流体出口916および入口ベント912およびコアベント934が対称性の平面に沿って存在するマニホルド904を示す。マニホルド904をボウル(図示せず)に結合してハウジングを形成することができるか、またはマニホルドが流体流回路に接続された状態でマニホルドからボウルを取り外せるように、ボウル(またはOリング、ガスケット、ネジ山、または他のもの)にシールすることのできる連結部と共にマニホルドを提供することができる。マニホルド904は流体調整構造体(図示せず)を、フランジ920に沿って結合させるか、Oリングを用いて連結させるか、本明細書にその全体を援用した米国特許出願公開第2003/0141235号に記載の構造体によって連結させるか、ネジ山によって連結させるか、または圧縮継手によって連結させることができる。マニホルドまたはハウジングは供給流体入口908、および流体出口916、供給流体入口908と流体連通する供給側ベント912、分離された流体(供給流体からの低密度の)を流体調整構造体のコアから排出することのできるコアベント934、供給流体からの分離された流体が蓄積するハウジングの低流速部分から流路を提供するようにハウジング内に位置決めされ得る分離器930を有することができ、該流路は供給側ベントと流体連通する。ベント912の入口924を環状領域942に示し、ベント912の入口924に挿入し、マニホルド904に取付ける前の分離器930を示している。ベントに挿入されると、分離器930の上部部分938を用いて流体入口からの供給流体がベント912に直接入らないようにすることができる。
【0061】
図10は図9のマニホルドのベント開口部内の分離器1030を示す;分離器1030は成形、結合、または圧入してマニホルド1004に固定され得る。供給流体は供給流体入口1008からマニホルド1004に入って、分離器1030を流れて、そこでボウルまたはハウジング(図示せず)に入ることができる。ボウルまたはハウジングはフランジ1020に連結することのできる流体接触構造体を含み、その接触表面を通過する流体はマニホルド出口1016を流れ得る。処理された流体に蓄積する分離された流体はベント1034を介して除去され得る。フランジ1020の内部および流体出口1016は出口ベント1034と流体連通する。分離器1030の表面1054および1056はマニホルド1004と共に1つ以上の流路を形成し得る。例えば、流路1074は分離器1030の表面1056と環状領域1042内のハウジングとの間に形成され得る。流路1074への入口は供給入口1008の流速よりも低流速の領域内にある。流路は入口ベント1012と流体的に接続され、これを用いてマニホルドまたはハウジングから分離された流体を除去することができる。表面1052を改質して、分離器の他の表面と共にその高さ、幅または他の特徴を変えて分離された流体を蓄積させるために流路近傍に低流速領域を形成することができる。分離器1030の縁部を、フランジ1020と接触した状態で1060に示す。この接触は分離器1030をフランジ1020に結合するのに用いることができる。図11は図10を切り取った部分の上下を逆にした斜視図である。図11はマニホルド1104を示し、供給流体入口1108、ベントまたはチャネル1112の一部がマニホルド内にあり、分離器1130の一部がベントまたはチャネル1112内にある。分離器1130は供給流体が分離器に沿って流れ、分離された流体がマニホルド1104の開口部1112から流れ出るように、ベント1112内に位置決めされている。供給流体1110は分離器1130に沿って供給流体入口1108を介して移動し開口部1116を介して環状空間およびボウルに流れ込む。影を付けた領域1160に示した分離器の上部部分(図9の938も参照)が流体を直接ボウル内に導くので、供給流体は直接ベントに流れ込まない。分離器は1154で示したマニホルドチャネルと共に、分離された流体がハウジング内に蓄積する領域とベントまたはチャネル開口部1112との間に1つ以上の流路を形成する。
【0062】
ハウジングは傾斜状表面を囲繞するベント、分離された流体をハウジングから除去し易いようにする分離器およびハウジングによって形成された流路を有し得る。例えば、マニホルドの環状領域は分離器表面によって形成された流路およびマニホルドチャネル内に分離された流体を輸送し易いように傾斜状であってよい。挿入デバイスは分離された流体をハウジングから除去し易いようにハウジング内に配置された、その入口に傾斜状の表面を有してもよい。
【0063】
ガスまたは他の分離された流体の供給流からの排出は、連続的または半連続的に達成され得る。半連続的排出では、ガスは供給室内に蓄積され、その後でポートまたはベントを介してガスを排出する。排出は時間調整され得る。センサが蓄積された流体または供給流体の存在を検出し、分離器流路と流体連通する弁に信号を送って開閉させるように、排出を自動化することができる。センサはベント、分離器の流路内にあり得るか、センサはハウジングの環状領域またはハウジング内の他の位置にあり得る。
【0064】
本発明の実施形態を装置に用いて、流体から汚染物質(粒子または溶解した分子状汚染物質またはイオン性汚染物質)を除去すること、エネルギーを交換すること、またはこれらの組合せによってプロセス流体を処理することができる。該装置を用いて、処理されたプロセス流体を分与することができるか、またはループ、閉状態、またはフィードアンドブリードで再循環させることができる。該装置を用いて、プロセス流体を用いた熱および/または物質移動(化学物質の添加によって加えられる)によって流体を処理することもできる。該装置は化学的に適合性のある流量計、流量調整器、圧力トランスデューサ、弁、温度トランスデューサ、および冷却器のインラインヒータのような流体調整器に接続されてよい。場合によってはオーバーフロー用たらいを有するタンクと共に化学的に適合性のあるポンプを用いて、プロセス流体を流すか再循環させることができる。ポンプ、流量計または他の流体調整、監視および制御機器をコントローラと相互接続して、流体調整および基板処理を管理することができる。オーバーフロータンクは主タンクに再循環させるための液体を受け取り用たらいに溢れさせる鋸歯状の堰を含み得る。フィルタ装置の上流側ベントおよび下流側ベントからのガスおよび液状流体をオーバーフロータンクの受け取り用たらいに供給して、分離されたガスおよび液体をハウジングから排出することができ、ベントは弁を含んでよい。化学的に適合性のあるインライン流体温度調整器、例えば薄肉熱可塑性表面を組み入れた流体温度調整器を用いて、再循環中にまたはインライン温度調整のためにプロセス流体を加熱または冷却することができる。インライン流体調整機または熱交換器は本明細書に記載のものと同様の流体ベントまたはインサートを有して、蓄積されたガスを除去しヒータ要素または冷却器要素とプロセス流体との間の接触面積を最大化するための低流速ベント場所を提供することができる。
【0065】
プロセス流体を処理し、それを1つ以上の基体に接触させるのに用いられる非限定的な装置を図13に示す。該装置はポンプ1320と流体連通する堰および受け取り用たらい1316を備えたオーバーフロータンクを含み得る。ポンプはプロセス流体を導管1304から交換デバイス1328に導く。交換デバイスは流体調整構造体を含み、そこで物質、熱またはこれらの組合せが導管1340を通る交換デバイスへのプロセス流体入口と交換され得る。交換デバイス1328はベントライン1312によってオーバーフロータンク1316の受け取り用たらいまで導かれ得る、プロセス流体から分離された流体を除去する分離器を含む。交換デバイス1328のコアは処理されたプロセス流体から分離された流体を除去するのに使用され得るベントも含む。分離された流体は導管1314を介してプロセスタンク受け取り用たらいまで導かれ得る。交換デバイスによって処理されたプロセス流体は導管1332および/または1336によってプロセスタンクへと方向付けられ得るか、または流体は熱交換器1324によってさらに処理され得る。該装置はプロセス流体の特性または装置の状態を監視するためのトランスデューサをさらに含み得る。例えば、圧力トランスデューサ1310および1308を用いて、交換デバイス1328間の圧力低下を監視することができる。
【0066】
本発明の種々の態様を以下の非限定的な例を参照して説明する。
【実施例1】
【0067】
多数の高温および化学的に攻撃的な用途は、化学的適合性が優れていることからPTFE(Teflon(登録商標))フィルタを使用する。いくつかの濾過用途では、これらの疎水性Teflon(登録商標)をベースにした膜フィルタは、プロセス流体の脱ガスに起因して気泡を発生するであろうプロセス流体化学物質を含んだプロセス用途において部分的な乾きを受けるであろう。フィルタの乾きの結果、使用可能な濾過面積は小さくなって、フィルタの寿命および流速を低減させる。一旦乾くと、膜をそのプロセスから除去して再度濡らさなければならず、その結果処理は低減されて廃棄する化学物質が生成される。
【0068】
膜を水性媒質中で容易に乾燥させない化学薬品で改質した多孔質膜の一例、すなわち非乾燥性膜は、マサチューセッツ州ビラリカのマイクロリス社から市販されているQuickChange(登録商標)フィルタに含まれている改質された多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜である。この表面改質膜は気泡を膜に通過させず、供給流体からのガスはハウジング内のフィルタの供給側に蓄積し得る。このハウジング内のガスは膜を通過する液体の量を低減させ、その結果フィルタを通る流速は低減されることになる。
【0069】
図1に示すように上流側ベントが入口流体流継手の真上に配置されたハウジングでは、内部流路はこの領域において局所的な速い流速を有し得る。流速が速いと気泡がベントに辿り着くのが困難になる。この現象は図1に示すように位置決めされた「ボウル−ダウン」位置でフィルタが働いているときに特に顕著である。
【0070】
フィルタが図2に示すように「ボウル−アップ」位置で働いているとき、元の「ベント」はここでドレインになる。フィルタを排出するためにここで用いられている継手は、流路のためにさらに広い表面積が存在するように配置される。面積が広くなれば、その結果局所流速は遅くなる。速度が遅くなることによって、気泡をベントポートに向かって非常に容易に移動させて、抜くことが可能となる。ボウル−アップ構成の欠点は、蓄積するガスがベントから生じ、コアによって取り込まれてしまう可能性があるために、この膜デバイスのコアを排出することが容易ではないということにある。
【0071】
ベントポートの場所が高流速に近い場所にあるハウジングでは、ガスがハウジングから出て行くことは非常に難しい。フィルタを環状になって通り抜ける流体流は、高い局所速度を発生する。供給ベントポートの領域内で局所速度が速くなれば、その結果負圧が生じ、ガスはもはや図1に示すように容易に出て行くことはできない。
【0072】
理論上の計算を行って、典型的な対称性のあるハウジングデザイン内に配置されたベントポートの局所速度を比較することができる。フィルタが「ボウル−ダウン」位置で働いているとき、計算結果からは、直径約50,000μmの気泡が1cPの流体について1g/cmの密度で20lpmの液流で生じるはずであることを示す。この非常に大きな気泡は容易に形成することはできない。フィルタが「ボウル−アップ」位置で働いている場合、直径約500μmの気泡は同じ条件下でフィルタの環状部分で生じるはずである。したがって、ベントが環状領域に配置されたデザインにおいてより小さな気泡を生じさせることはより容易である。
【0073】
フィルタの下流側にある弁(図示せず)を閉じれば、フィルタを通過する流速を停止することができる。次いで、このバルク流の方向はベントポートに向かって変えられ得る。液流および気泡はこの時点で上方にベントポートに向かって移動し、気泡はバルク液流と共にハウジングから出て行く。しかし、これはプロセスを途切れなく操作することを可能にせず、付加的な弁の費用が必要になる。
【0074】
DI水を周囲条件下で用い、フィルタデバイスハウジングの出口の後に下流側弁を有した状態で、Chemline I QuickChange ATXフィルタを用いて、実験を設定した。フィルタ間の圧力低下を4lpmの供給流体流でまず測定した。次いで、(硫酸および過酸化水素の混合物からのガス発生と同様)上流側ベントを開放したままにして供給液体からのガスの分離を促しながら、フィルタの上流側で15psigで10秒間空気を噴射した。この圧力低下を再度測定した。次いで、下流側弁を閉じると、液流は取り込まれたガスを放出することも可能にするベント継手に向かって方向を変えた。この圧力低下を再度測定した。
【0075】
図3に示すように、この実験はフィルタの圧力低下は空気散布後に急激に大きくなるが、下流側弁が閉じられてガスが供給側ベントを通って排出されると、圧力保持後に最初の圧力低下まで小さくなることを示した。
【0076】
フィルタが「ボウル−ダウン」位置で働いている場合、例えば構成可能な管である分離器をベントに挿入することによってベントポートの場所を変えることができる。例えば、図4に示すような構成可能な管を用いれば、ベントポートの場所から離してハウジングの環状部分のどこかにベントポートを配置することが可能である。これによって大きな表面積の流れが生じ、結果として得られた液体流速は、より小さな気泡を生じさせる流体に対して局所的に遅くなる。図4に示すように、膜436を通過することができないかまたは通過が阻止される溶解されたガスなどの流体相432は多孔質膜の外部に蓄積し、ハウジング内の近傍の領域404、分離された流体が蓄積する環状領域または図4に示したような入口に比して流速が低減されたハウジング内の近傍の領域404に配置されたベント管410またはベントポートなどの分離器を介して排出される。液状化学薬品が20lpmでフィルタを流れる場合を考察する。この化学薬品はベントポートにて約150cm/秒の局所速度を有するであろう。しかし、フィルタの環状部分を流れる同じ化学薬品は約12cm/秒の速度を有するであろう。環状部分で低速になることで、その流速に対して気泡が生じることがより容易になる。環状領域内の分離器からのベントまたは流路を用いれば、分離された流体をハウジングから除去することができる。
【実施例2】
【0077】
このベントポートは流速が低下される領域まで移動され得る。3.8cmの長さに切断した9.5250mm(3/8インチ)厚のPFA標準管を用いて、図4に示したようにこの考えがどのように適用されるかの機械の実施例を示す。10cmの6.35mm(1/4インチ)厚のPFA管を9.5250mm(3/8インチ)管の内側に入れ、上流側ベントに挿入する。ここではこの配置はベントをハウジングの環状部分に入れるが、より重要なのはベントポートの高速領域から離していることである。ここでは適用中、この特定のインサートの出口はベント上のPillarインサートおよびハウジング内部のカートリッジによって適所に保持され得ることに留意されたい。図4はこの機械の実施例を示すが、ハウジングを修正または成形し、その挿入された管によって達成される場所と同等の場所にポートを形成してもよい。好適には、このようなハウジングは対称性のあるハウジング、マニホルド、分離器、またはこれらの組合せを形成する金型から作製されてよい。
【0078】
図5はインサートを適所に用いた上に詳述した空気散布試験の比較結果を示している。このデータから分かるように、圧力低下はインサートがないのと同程度に近くでは生じない。したがって、より広い面積が存在する結果インサート管の入口では流速は遅くなるので、気泡はハウジングから容易に出て行くことができる。ハウジングの他の領域にインサートを配置すれば、空気散布試験後の圧力低下をさらに低減させることもできる。
【0079】
濾過および精製用途では、多孔質膜またはフィルタを含む分離デバイスハウジングは、ベントポートを、流速を低減させて多孔質膜を容易には通過しない気泡および他の分離された流体ならびに相に力を克服させて分離流体を効果的に上昇および排出させるハウジングの領域に、配置するデザインを有することが望ましい。
【0080】
ベント弁は分離された流体および/または供給流体の存在をベントの一部分付近で検出するセンサを含んでよい。センサ、例えば容量性近接センサからのベントの内または近傍に気泡またはガスのポケットが存在することを示す信号を用いて弁を開閉し、分離された流体(気泡)を適した容器に排出することが可能である。これを自動化し、プロセスツールとインタフェース接続することが可能である。
【0081】
供給流体に対して親液性に、水性流体の場合は親水性にするための表面改質を有するものを含む多孔質膜は分離されたガスが膜を通過するのを制限することができ、したがって蓄積されたガス(流体)は排出するのが困難になり得る。しかし、この表面改質は膜を乾燥させず、使用可能な濾過面積を最大にする。低流速の領域において分離器に流路を提供して蓄積されたガスを排出することによって、プロセスは流量を一定に維持しながら、よりよい汚染物質除去、例えば、粒子の除去および寿命を達成することができる。このシステムのプロセス制御は増大され得る。
【実施例3】
【0082】
この実施例は、ガスを発生させ、膜を乾燥させず使用可能な濾過面積を最大にする表面改質された多孔質膜を有するフィルタを利用する再循環槽に関して流れが改善することを示す。
【0083】
この参照フィルタ装置はマサチューセッツ州ビラリカのマイクロリス社から市販されているQuickChange ATM non−dewettingの0.05μmとした。この改質されたフィルタ装置も、図9〜11に簡単に示すようにインサート付きの0.05μmのQuickChange ATMとした。
【0084】
試験槽を図13に概略的に示す。化学的に適合性のある圧力トランスデューサをフィルタ装置の入口および出口と流体連通させ、フィルタ装置間の差圧の測定を可能にした。この槽は約1:1:5の比のHCI:H:脱イオン化水の混合とし、80℃まで加熱した。化学的に適合性のあるポンプを用いて槽の流体をタンク(20L)およびオーバーフロー(10L)へと再循環させた。図示のように、オーバーフロータンクは主タンクへ再循環させるための受け取り用たらいへ液体を溢れさせる鋸歯状の堰を含み得る。フィルタ装置の上流側および下流側ベントからのガスおよび液体ラインはオーバーフロータンクの受け取り用たらいへ供給されて、フィルタハウジングから排出されたガスおよび液体を除去する。化学的に適合性のあるインラインヒータを用いて再循環中に流体を加熱する。
【0085】
フィルタ装置を設置し、槽を準備した後、ポンプを始動させた。約1分後、ヒータがオンになり、槽温度の上昇が80℃に達するまで加熱が続いた。この再循環および加熱を80分間継続した。
【0086】
加熱中、過酸化水素の分解により槽は酸素を発生した。フィルタ装置に関し、ガス排出を容易にしないハウジングの一部、すなわち流速が速い領域に位置決めされた上流側ベントでは、30分後フィルタ装置間の差圧は上昇し(図12曲線Aを参照)、槽によって発生したガスが液体流れからフィルタを阻止し、濾過および汚染物質除去のために使用可能な膜表面積を低減させることを示す。ベント近傍で流速を低減させるためのインサートを備えた同じフィルタ装置に関し、フィルタ装置間の差圧は加熱および流れサイクルを通して本質的に一定のままであり(図12曲線Bを参照)、発生されたガスは上流側ベントで除去されて、受け取り用たらいに戻ることができることを示す。この差圧が比較的一定になっていることも、膜の濾過領域が蓄積されたガスによって阻止されていないことを示す。
【0087】
この結果から、ベント近傍で流速を低減させれば、より良くガスを排出することが可能になり、多孔質膜を通して実質的に均一な流体流が維持されることが分かる。
【0088】
本発明をその特定の好適な実施形態を参照してかなり詳細に記載してきたが、他のバージョンも可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および範囲はその記載に限定されるべきではなく、その好適なバージョンは本明細書内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】ボウル−ダウン構成の分離デバイスを示す図である。
【図2】ボウル−アップ構成の分離デバイスを示す図である。
【図3】分離されたガスが、プロセス流体によって濡らされ膜を通るガスを阻止する多孔質膜の圧力低下に及ぼす影響を示すグラフである。
【図4】ベントに挿入することができ、また高流速の位置から比較的低流速の位置までハウジング内でベントの位置を効果的に変えるのに使用することができるデバイスを示す非限定的な図であり、ハウジング、化学物質入口、フィルタ膜、および装置ハウジングから気泡を除去するための上流側ベントまたは入口ベントを示す分離装置を示している。
【図5】ベントの位置をハウジング内の比較的低流速の位置へ修正または変えるためのインサートデバイスを備える場合または備えない場合に、交換装置において供給流体によって濡らされた多孔質膜の圧力低下を示す図である。
【図6】流体からの分離された気泡をハウジングから放出させる交換装置において、入口近傍の元の位置から低流速の位置にベントの位置を変えるハウジングのインサートまた成形部分を示す図である。
【図7】ベントの場所をハウジング内で修正し、ガスのような分離された流体をハウジングから排出するのに使用することのできるデバイスを示す図である。
【図8A】インサートを固定し、ベント壁とインサートの傾斜になった縁部および円形の表面のようなフィーチャとの間に分離された流体をハウジングから通すためのチャネルまたは通路を提供するようにベント壁と接触している分離器を有するベント内の分離器インサート(図7I)を示す図である。
【図8B】インサートを固定し、ベント壁とインサートの傾斜になった縁部および円形の表面のようなフィーチャとの間に分離された流体をハウジングから通すためのチャネルまたは通路を提供するようにベント壁と接触している分離器を有するベント内の分離器インサート(図7I)を示す図である。
【図9】図7(F)のインサートを備えた交換装置用のハウジングを示す図であり、ベント内に位置決めされた状態を示す。
【図10】ベント穴に収まっているインサートおよび環状領域の一部を示す図であり、分離された流体の通路のための通路で、分離器インサートが通路を入口流体流から遮断しているので流速は遅くなっている。
【図11】ベント内の分離器インサートの一部を示す断面図である。
【図12】分離されたガスの存在下において供給流体によって濡らされたままである交換装置内の多孔質膜間の差圧を示すグラフである。ハウジングベントの入口は比較的速い流速の位置にある(A)。ベント管である分離器は、(A)と比較してハウジング内の流速が低減された位置に配置されている(B)。
【図13】濾過および加熱によって流体を調整および再循環させる装置を示す断面図であり、流体はガスを発生し、このガスは分離器によってハウジングからオーバーフロータンクの受け取り用たらいに排出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内にある流体調整構造体と、前記ハウジング内の前記流体調整構造体の供給側に蓄積する分離された流体を除去するためのベントとを含む装置であって、該ハウジングが流体入口および流体出口を含み、該流体調整構造体が供給側および出口側を有し、該ハウジングおよび該流体調整構造体が、該ハウジングへの入口の供給流体と該ハウジングから該流体出口を介して除去される該流体調整構造体からの処理された流体とが混ざり合わないように接続されており、該ハウジングが分離された流体を前記処理された流体から除去することのできる出口ベントをさらに含んでおり;
該ベントが前記ハウジングの低流速領域から前記ハウジングの外部まで流路を提供する、装置。
【請求項2】
前記ベントが、前記ハウジングの低流速領域から前記ハウジングの外部まで流路を形成する分離器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体調整構造体が熱可塑性多孔質膜を含み、該多孔質膜が前記膜の細孔と接触する処理された流体が前記供給流体から分離するガスによって置換されないことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングがマニホルドおよび取り外し可能なボウルを含み、該マニホルドが供給流体入口、流体出口、供給側ベント、および流体調整構造体を取付けるための継手を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記分離器が供給側ベント内に位置決めされ、前記ベント入口の位置を前記分離された流体が蓄積する前記ハウジング内の領域に修正するインサートを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記ベントの入口が前記ハウジングの環状領域内に配置された、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ベントが、前記ハウジングへの入口供給流体流が20lpmであるときに流速が150cm/秒以下である、前記ハウジング内の領域内に配置された、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングマニホルドが対称面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記分離器が前記ハウジングの環状領域からベントまで流路を提供する、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
インサートを含む物品であって、該インサートが流体調整構造体を含むハウジングの供給側ベント内に配置され、該流体調整構造体が、前記ハウジングモジュールへの供給流体と前記ハウジングモジュールから除去された処理された流体とが混ざり合うのを阻止するように、前記マニホルドに接続され、該インサートが、前記供給流体から分離する流体が蓄積する前記ハウジングの領域内に入口を提供し、前記インサートが、分離された流体を前記ハウジングから除去するための出口を提供する、物品。
【請求項11】
前記インサートが、前記ハウジングの低流速領域内の入口と、ハウジングベントと流体連通する出口とを有する、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記インサートがハウジングベントとの一部と共に流路を形成し、該流路の入口が、流速が前記ハウジングへの入口の流速未満である前記ハウジングの領域にある、請求項10に記載の物品。
【請求項13】
供給流体入口と流体出口とを有するハウジングと、前記非乾燥性多孔質膜の供給側上の供給流体と流体連通するベントとを含む装置であって、該ハウジング内には非乾燥性多孔質膜があり、該非乾燥性多孔質膜が供給側および出口側を有し、該ハウジングおよび該非乾燥性多孔質膜が、該ハウジングへの入口の供給流体と該ハウジングから該流体出口を介して除去される該非乾燥性多孔質膜からの処理された流体とが混ざり合わないように接続され、該ハウジングが該供給流体入口と流体連通する供給側ベントおよび分離された流体を前記処理された流体から除去することのできる出口ベントをさらに含んでおり;
該ベントが、分離された流体が蓄積する前記ハウジング内の領域に入口を有し分離された流体を前記ハウジングから除去するための出口を有する流路を形成する、装置。
【請求項14】
前記ベントが、前記供給流体からの分離された流体が蓄積する前記ハウジングの領域から前記ハウジングの外部まで流路を形成する分離器をさらに含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記非乾燥性膜が50℃を超える温度の流体をさらに含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
供給流体をハウジング内の流体調整構造体に接触させる工程であり、該流体調整構造体が供給側および出口側を有し、該ハウジングが流体入口および流体出口を含み、該ハウジングおよび該流体調整構造体が、該ハウジングへの入口の供給流体と該ハウジングから該流体出口を介して除去される該流体調整構造体によって処理された流体とが混ざり合わないように接続されており、該ハウジングが分離された流体を前記処理された流体から除去するための出口ベントをさらに含んでいる工程と;
前記供給流体からの分離された流体が蓄積する前記ハウジングの領域から前記ハウジングの外部まで流路を提供するベントを用いて、前記ハウジング内の前記流体調整構造体の供給側に蓄積した分離された流体を除去する工程とを含む、方法。
【請求項17】
前記流体調整構造体が非乾燥性多孔質膜である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ハウジング内に蓄積された分離された流体を前記分離器を用いて除去する工程が、弁を含んだデバイスによって調整される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ベントが、前記供給流体からの分離された流体が蓄積する前記ハウジング内の領域から前記ハウジングの外部まで流路を形成する分離器をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記分離器が前記ハウジングの一部と共に流路を形成し、該流路の入口が、流速が前記ハウジングへの入口の供給流速未満である前記ハウジングの領域にある、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−501512(P2008−501512A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515647(P2007−515647)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/019679
【国際公開番号】WO2005/118106
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】