説明

供給デバイス

本発明は、第1の層および第2の層を備える封入材料を有し、封入材料のそれらの層によって形成された空間に添加剤が封入されるようになっている生理用品のための供給デバイスに関するものである。供給デバイスは、封入材料の第2の層の上に配置される第3の層をさらに有している。第3の層は、封入材料の第2の層の縁部を越えて延在し、それによって実質的に縁部全体を被覆している。また、第3の層は、添加剤を封入する封入材料の第1の層と第2の層との間に形成された空間を通って延在していてもよい。それによって、第3の層は、供給デバイスを備えた製品の使用者が封入材料の第2の層の縁部と接触することを防止し、さらに輸送、保管および使用時に適所に保持されるよう供給デバイスを取り付けるための手段を提供する。また、本発明は、供給デバイスを備えた例えば衛生ティッシュおよび吸収用品などの生理用品に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚および/または尿性器領域において有益な効果を有する添加剤を備えた供給デバイスを有する生理用品、例えば吸収用品または生理用ティッシュなどに関するものである。特に、本発明は、使用が容易であり、かつ使用者を不快にさせない供給デバイスを備える生理用品に関するものである。さらに、本発明の供給デバイスは、生理用品に供給デバイスを取り付けるための手段を提供する。
【背景技術】
【0002】
尿性器領域は、湿度、脂肪および微生物のバランスに鋭敏な敏感な領域であるが、それは容易に乱れるものであり、不快感および痛みが引き起こされることがある。例えば、このバランスは、過度の洗浄、抗菌性剤または抗真菌性剤の使用、皮膚または粘膜を乾燥させ得る吸収用品の使用によって乱れることがある。尿性器領域にさまざまな物質、例えばプレバイオティクス(prebiotics)、プロバイオティクス(probiotics)、皮膚鎮静物質(skin soothing substance)などを適用することによって、尿性器領域におけるバランスが改善され、かつ/または不快感を与えることが防止されることは、公知となっている。
【0003】
尿性器領域には、50以上のさまざまな種類のバクテリアを有する複雑な生態系が存在する(非特許文献1)。健康な人間の微生物の生態系は、ホルモンの変化中に、例えば妊娠期間中または女性ホルモンを用いる避妊薬の使用中、生理中、閉経後に、糖尿病などに罹患している人間が耐菌性剤を使用することによって崩れることがある。さらに、これは、感染症を引き起こす肛門から尿性器領域への微生物の拡散を引き起こす可能性がある。これは、通常の微生物叢を乱れさせ、かつ微生物に感染しやすい人間に、膣炎、尿路感染症および通常の皮膚感染症を引き起こすようにする。妊娠している女性のこの領域における優勢種は、細菌を生じる乳酸菌である。そうした細菌の一例として、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、バシラス属、およびビフィドバクテリウム属に属する細菌が挙げられる。要素を形成するこれらの乳酸菌は、これらの領域において健康的な微生物叢を維持するために重要なものであり、病原性の微生物種とは反対の効果を備えたプロバイオティクバクテリアとして機能する。バクテリアを生じる乳酸菌は、生物膜の形成および使用可能な栄養素のための競争による、他の微生物の成長、およびコロニー化のための適切な生態学的地位をなすことによるコロニー化を防ぎ、それによって、有害な微生物によるコロニー化が防止される。さらに、過酸化水素の生成、バクテリオシンなどの物質およびpH値のより低い(乳酸および酢酸を含む)有機酸の特定の抑止は、他の微生物によるコロニー化を防止する。
【0004】
尿性器領域と同様に、皮膚も、湿度、脂肪および微生物のバランスに敏感であるが、それは、皮膚が乾燥状態となると容易に乱れ、かつ過度の洗浄などによって微生物バランスが崩れる。
【0005】
望ましくない微生物によって引き起こされる尿性器領域および皮膚における従来の感染症は、体の感染した部位に耐菌性剤および耐真菌性剤を用いることで処置されている。そうした薬剤が感染症の処置に使用されるにもかかわらず、薬剤は、薬剤自身によって微生物叢を乱すこともある。
【0006】
さらに、最近、尿性器領域および皮膚に、プロバイオティクバクテリア(例えばバクテリアを生じる乳酸)を適用することは、病原性の種を打ち負かし、その領域における有益な微生物叢の再形成および維持を容易にするために行われている。
【0007】
尿性器および皮膚環境を改善するために使用できかつその領域に用いるために重要となり得る他の添加剤は、プレバイオティクスを含んでいる。プレバイオティクスは、宿主に十分な量となるよう与えられた場合に、バランスの取れた微小物叢を活性化する。一例として、プロバイオティクバクテリア、プロバイオティクバクテリアの宿主の癒着を促進する物質、およびpH調整物質が挙げられる。
【0008】
加えて、必要とされる低いpHを維持しかつ/または実現するために、皮膚および尿性器領域に対してpH調整物質などの添加剤を供給することが重要となるであろう。皮膚および/尿性器領域の環境を改善するために使用される物質の他の例として、温度安定化物質、疎水性物質、抗酸化剤、皮膚鎮静物質、および臭気抑制物質が挙げられる。
【0009】
冷却物質、かゆみ止め物質、および芳香性物質などの添加剤は、快適さを高めるために皮膚および/または尿性器領域に供給されてもよい。
【0010】
これらの添加剤を皮膚および/または尿性器領域に供給する方法の一例として、例えば衛生用ティッシュおよび吸収用品などの生理用品を介して添加剤を提供することが挙げられる。例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5に開示されているように、例えばプロバイオティクバクテリアは、例えばオムツ、生理用ナプキン、失禁ガード、パンティライナーおよびタンポンなどの吸収製品によって供給可能である。また、特許文献6に開示されているように、衛生用ティッシュによってプロバイオティクをバクテリア供給することが考えられる。
【0011】
しかしながら、添加剤が生理用品によって供給される場合に、多くの場合、さまざまな利用のために生理用品の使用前に、添加剤を封入することが望まれており、かつ/またはそれが必要とされている。
【0012】
プロバイオティクバクテリアおよび臭気抑制物質は、多くの場合、感湿性のものであり、かつ湿気にさらされると、その効果が低減する。そのため、そうした添加剤は、添加剤を有する衛生用品の輸送および保管中に、水分不透過性パッケージで封入されている必要がある。
【0013】
また、供給される添加剤を酸化から守ることが必要となる。例えば、脂肪酸は、空気と接触すると酸化し、敗油臭がするようになる。他の添加剤、例えば芳香性物質および香料は、気化を防ぐことが必要となる。特許文献7には、例えば活性薬品を有する密閉外装を備えた生理用ナプキンが開示されており、その外層は、活性薬品が、生理用ナプキンの材料と非接触となりかつ保管中に空気および蒸気と非接触となる状態を保つために使用されている。
【0014】
さらに、生理用品によって供給される添加剤が、使用前におよび/または使用中に製品の他の部分に拡散しないよう、製品の限定された領域に保持されることが望まれている。生理用品を折り曲げかつ包装するとき、例えば疎水性物質を備える添加剤などの粘着性のある添加剤は、製品が汚れて見えるか、または例えばその液体吸収特性を低下させることによってその機能を損なうことのある望ましくない様式で、パッケージに固着するか、あるいは製品を汚すことがある。特に、脂肪酸および他の疎水性添加剤は、吸収製品の液体吸収特性を損なうことがあるため、輸送および保管中に、製品における拡散を防ぐ必要がある。また、生理用品の使用者の特定の体の領域に添加剤が供給されることも重要である。したがって、それが達成されるように、生理用品上のあるポジションに添加剤を位置させかつ保持するための手段を有していることが好ましい。加えて、添加剤が、鋭敏な領域である皮膚および/または尿性器領域に供給される場合、供給のための手段は、使用に快適なものであり、かつ不快感を引き起こさないものでなければならない。
【0015】
したがって、依然として、添加剤を周囲の環境から保護しかつ/または限定された空間に添加剤を保持する、皮膚および/または尿性器領域に添加剤を供給する改善された方法を提供する必要がある。それによって、この添加剤が、輸送および保管中に損なわれないことを確実なものとし、かつさらに、添加剤がそれによって供給されるようになる生理用品の特性が維持されることを確実なものとする。最も重要なことは、製品が、使用者に優しくかつ使用が快適となるようにすることである。さらに、供給デバイスが生理用品と一体的に形成されている生理用品を提供することが望ましい。それゆえ、供給デバイスが、生理用品に供給デバイスを取り付けるための手段を有していることが重要となる。加えて、依然として、さらに効果的でありかつコストのかからない製造工程を提供することが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第92/13577号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/02846号パンフレット
【特許文献3】国際公開第99/17813号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/45099号パンフレット
【特許文献5】国際公開第00/35502号パンフレット
【特許文献6】国際公開第04/060416号パンフレット
【特許文献7】米国特許第2066946号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第1060240号明細書
【特許文献9】米国特許第4,518,696号明細書
【特許文献10】国際公開第02/28446号パンフレット
【特許文献11】欧州特許出願公開第1 035 818号明細書
【特許文献12】欧州特許第122846号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Hill他著、「Scand.J.Urol.Nephrol」、1984:86年(増補)、p.23−29(Hill et al.,Scand.J.Urol.Nephrol.1984;86(suppl.)23-29)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、添加剤を供給するための供給デバイスを備えた生理用品を提供することである。例えば添加剤の漏出および生理用品の機能の損失を防ぎ、かつ/または輸送および保管中の環境から添加剤を保護するために、供給デバイスは、生理用品が使用される前に、添加剤を決められた空間に保持するために使用される。さらに詳しく言うと、この目的は、使用者に優しい供給デバイスを備えた生理用品を提供することであり、このものにおいて、供給デバイスは、供給デバイスの使用者に対してなんらかの不便さをもたらすことなく、かつ製造が容易なものである。他の目的として、供給デバイスを、それを備える生理用品に取り付けるための手段を有する供給デバイスを提供することが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的は、本発明によって、供給デバイスを有する例えば吸収用品または生理用ティッシュなどの生理用品を提供することによって達成される。この供給デバイスは、それぞれ第1の縁部と第2の縁部とによって画定される第1の層と第2の層とを有しており、それらは、封入材料からなり、かつ、添加剤を封入する空間を形成するようになっており、第1の層は、第2の層に対して供給デバイスの使用者に面する面に配置されている。さらに、供給デバイスは、供給デバイスの使用者に面する面における封入材料の第2の層の上に配置されている第3の層を備えており、それによって、第3の層は、封入材料の第2の層の縁部を越えて延在し、かつ実質的にその縁部全体を被覆するようになっている。供給デバイスが使用されるようになるか、または使用されているときに添加剤が露出されるように、封入材料の第1の層は、例えば製品から第1の層が剥がされることによって、もしくは例えば体熱または流体に接触するときに第1の層が破損されることによって除去される。封入材料の第2の層は、使用時にその縁部が、供給デバイスの使用者に面する面における第3の層によって被覆された状態で、生理用品に残留したままとなる。
【0020】
供給デバイスの第3の層が、供給デバイスの使用者に面する面における封入材料の第2の層の上に配置されており、それによって、第3の層が、封入材料の第2の層の縁部を越えて延在しかつ実質的にその縁部全体を被覆するようになっているため、供給デバイスの使用者は、他の状況では例えば不快感をもたらす供給デバイスの使用者を引っかくことのあるその縁部に接触することから保護される。
【0021】
加えて、第3の層は、供給デバイスを、それを有する生理用品に取り付けるための手段を備えていてもよい。それによって、供給デバイスは、それを有する生理用品の制限空間に保持され、そして輸送、保管および使用中において適所に位置させることができる。さらに第3の層は、封入された添加剤に隣接するように供給デバイスを取り付けること(他の状況では、添加剤を損失し取り付けのためのさらなる精度を要求することがある)を必要とせず、生理用品に供給デバイスを取り付けるための手段を提供する。さらに第3の層の使用は、例えば、第3の層が同時に複数の機能を提供可能な場合に、それを有する生理用品および吸収用品の製造の容易性およびコストに関して利点を有しており、また第3の層は、例えば吸収用品の上側シートであってもよい。
【0022】
[規定]
「生理用品」という語は、体液、例えば尿、便および月経液などを吸収しかつ収容するために使用者/着用者の皮膚に対して配置される製品、ならびに皮膚および尿性器領域の洗浄およびケアのために使用され、かつその領域に有益な物質を供給するために使用可能な製品を意味する。本発明は、主に、使い捨て生理用品に関するものであり、それは、洗濯されるか、もしくは他の方法で復元されるか、または使用後に吸収用品として再利用されることを意図されていない用品を意味する。使い捨て生理用品の一例として、湿式ワイプ、乾式ワイプ、女性用衛生用品、例えば生理用ナプキン、パンティライナー、生理用ナプキン、女性用インサートおよびタンポン;幼児および失禁をする成人用のオムツならびにパンツ型オムツ;失禁パッド、;オムツインサートなどが挙げられる。
【0023】
「吸収用品」という語は、尿、便および月経液などの体液を吸収し、かつ捕捉するために、使用者/着用者の皮膚に対して配置される製品を意味している。使い捨て知り用品の一例として、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンツ、女性用インサートおよびタンポンなどの女性用衛生用品;幼児および失禁をする成人用のオムツおよびパンツ型オムツ;失禁パッド;オムツ用インサートなどが挙げられる。
【0024】
「衛生ティッシュ(hygiene tissue)」とは、例えばウォッシュクロス、パッチ、ぬれナプキン、ナプキン、ウェットワイプ、ドライワイプなどの肌を拭くためのデバイスを意味している。
【0025】
「添加剤」とは、使用される人間、例えば被験者の皮膚および/または尿性器領域に供給されることに関連する物質を意味しているが、この物質は、皮膚鎮静特性だけでなく、プロバイオティクバクテリア、化粧用物質、臭気抑制物質、プレバイオティクスなどに限定されるものではない。
【0026】
「感湿添加剤」とは、何らかの方法で製品の効果および機能に役立ち、そして例えば保管中に水分の制御不可能なレベルに晒されるときに、その特性が損なわれ得ることを意図された添加剤を意味する。このような感湿添加剤の一例として、感湿性細菌添加剤(例えば乳酸菌)、および臭気抑制添加剤(例えばゼオライトおよびシリカ)が挙げられる。
【0027】
本明細書における「プロバイオティクス/プロバイオティクバクテリア」とは、宿主に十分な量が与えられるときに健康に関する利点をもたらす、生息する微生物とを意味している。
【0028】
本明細書において、プレバイオティクスは、宿主に十分な量が与えられたときに、バランスのとれた微生物叢を活性化させる物質である。一例として、プロバイオティクバクテリアのための栄養素、プロバイオティクバクテリアの宿主の癒着を促進する物質、およびpH調整物質が挙げられる。
【0029】
「水分活性」aは、吸湿性製品内に存在する水分によって生じる蒸気圧の尺度となる。
=p/p
ここで、
p:特定の温度での、製品の表面における水蒸気の分圧
:上記pと同じ温度での、飽和圧力もしくは純水上の水蒸気の分圧
水分活性は、水分含有量の活性部分、もしくは通常の状況下で、製品とその環境との間で交換され得る一部を反映する。水分活性は、一般に、平衡状態の静的条件下で規定される。そのような条件下で、製品の表面における水蒸気の分圧(p)は、製品の隣接環境における水蒸気の分圧と等しい。製品とその環境との間の水分の交換は、それらの二つの分圧間の違いによってなされる。
【0030】
「水蒸気不透過」材料層とは、材料層からなる供給デバイスが、供給デバイス内に存在する活性感湿添加剤の特性が実質的に保たれている状態を超える水分が流入不可能なほど高い不透過性を有する材料層を意味する。これは、供給デバイスが、37.8℃(華氏100度)および90%の相対湿度におけるASTME398−83に基づく6g/m/24h、好ましくは最大で4g/m/24h、さらに好ましくは最大で2g/m/24h、より好ましくは最大で1g/m/24h、最も好ましくは最大で0.1g/m/24hの最も高いWVTR(水蒸気透過度)を有することができることを意味する。また、使用される材料層は、好ましくは包装日後、23℃(華氏73.4度)および50%の相対湿度において、少なくとも6ヶ月、好ましくは9ヶ月間、最も好ましくは少なくとも12ヶ月間、添加剤がその効果を保持するように感湿添加剤を保護する。
【0031】
WVTR(水蒸気透過度)に関して言及されたデータおよび値は、標準ASTME398−83に基づく不飽和の値に対応しており、それは一般に、この領域において使用されており、かつ当業者には公知である。
【0032】
本明細書における「縁部」とは、部材の外側の境界部を意味しており、例えば第2の層については以下に説明する。
【0033】
本明細書において、「上側シート」とは、吸収用品の使用者に面する層を意味している。本明細書において、使用者に面する側における吸収用品の上側シート状にさらなる層、例えば供給デバイスが配置されているが、これは「上側シート」とは考えない。ただし、以下に述べる好ましい実施形態において、供給デバイスの第3の層は、吸収用品の上側シートとして機能してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】吸収用品の側面図である。
【図1b】吸収用品の平面図である。
【図2a】本発明の供給デバイスの好ましい一実施形態の側面図である。
【図2b】本発明の供給デバイスの好ましい一実施形態の平面図である。
【図2c】第3の層が吸収用品の上側シートとなっている状態の、図2aに示す実施形態の変形例を示す。
【図2d】第3の層が吸収用品の上側シートとなっている状態の、図2bに示す実施形態の変形例を示す。
【図3a】第3の層が封入材料の第1の層と第2の層との間に配置された状態の、本発明の供給デバイスの好ましい実施形態の側面図を示す。
【図3b】第3の層が封入材料の第1の層と第2の層との間に配置された状態の、本発明の供給デバイスの好ましい実施形態の平面図を示す。
【図3c】第3の層が吸収用品の上側シートにもなっている状態の、図3aの実施形態の変形例である。
【図3d】第3の層が吸収用品の上側シートにもなっている状態の、図3bの実施形態の変形例である。
【図4a】第3の層が封入材料の第1の層と第2の層との間に形成された空間を通って延在している状態の、本発明の供給デバイスの好ましい実施形態の側面図である。
【図4b】第3の層が封入材料の第1の層と第2の層との間に形成された空間を通って延在している状態の、本発明の供給デバイスの好ましい実施形態の平面図である。
【図4c】第3の層が吸収用品の上側シートにもなっている状態の、図4aの実施形態の変形例である。
【図4d】第3の層が吸収用品の上側シートにもなっている状態の、図4bの実施形態の変形例である。
【図5a】供給デバイスが吸収用品の上側シートにおける開口部に配置されており、かつ結果的に第3の層が上側シートの中央部を構成している状態の、本発明の供給デバイスを備える吸収用品の好ましい実施形態の側面図である。
【図5b】供給デバイスが吸収用品の上側シートにおける開口部に配置されており、かつ結果的に第3の層が上側シートの中央部を構成している状態の、本発明の供給デバイスを備える吸収用品の好ましい実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、快適さが改善され、かつ供給デバイスの構成に有利となる(例えば製造において有利となる)スキンケア剤、臭気抑制物質、およびプロバイオティクバクテリアなどの皮膚および/または尿性器領域に添加剤を供給するための供給デバイスを備える生理用品に関するものである。供給デバイスは、吸収用品(例えば生理用ナプキン、パンティライナー、オムツ、失禁ガード)および体液を吸収し、皮膚を清潔にすると同時に添加剤を除去することに適した衛生ティッシュの生理用品に配置される。そのため、さらに本発明は、輸送、保管および使用中に供給デバイスが適所に保持されるよう、供給デバイスを生理用品に取り付けるための手段を提供する。上述したようにさまざまな理由により、そうした添加剤は、多くの場合、輸送および保管中に、添加剤が供給される用品から隔てられていることが必要とされている。
【0036】
図1には、上側シート55と、吸収構造体60と、裏側シート65とを備える吸収用品50が示されている。使用者に面する側において、吸収用品50の上側シート55の上に配置されている付加的な層は、本明細書において「上側シート」とは考えない。ただし、以下に説明する好ましい実施形態においては、供給デバイスの第3の層が、吸収用品50の上側シート55として機能してもよい。
【0037】
図2には、本発明の供給デバイスの第1の実施形態を示す。また、図2には、供給デバイス1を有する吸収用品50を示す。たとえ図2aおよび図2bに、吸収用品50に配置された供給デバイスが例示的に示されても、この実施形態および以下の実施形態における供給デバイスは、もちろん、上述したように他の生理用品に配置されることが意図されたものであってもよい。さらに図2aおよび図2bにおいて、供給デバイスが、当業者であればすでに知っているように使用者の面する側において吸収用品50の上側シート55に配置された場合でも、代わりに、供給デバイス1を吸収用品50に配置することも可能である。以下、さらに典型的であり、かつ限定的なものではない吸収用品50における供給デバイス1の配置方法について説明する。
【0038】
図2には、第1の層5および第2の層10を備えた封入材料を有する供給デバイス1を示すが、第1の層5は第1の縁部45によって画定されており、かつ第2の層10は第2の縁部35によって画定されている。第1の層5は、第2の層10に対して、供給デバイス1の使用者に面する側に配置されている。好ましくは、第1の層5と第2の層10とは、それぞれの縁部に沿って互いに封止されている。封入材料の第1の層5および第2の層10は、円形状、矩形状および長方計上または不規則な形状などの適切な形状を有している。封入材料の第1の層5と第2の層10とは、同じ材料から形成されても、あるいは異なる材料から形成されてもよい。第1の層5および/または第2の層10は、好ましい一実施形態においては、水蒸気不透過性を有しているが、封入材料の第1の層5および第2の層10の両方が、水蒸気不透過性を有していることがさらに好ましい。
【0039】
封入材料の第1の層5および/または第2の層10は、金属箔殻形成できる。そうした金属箔の好ましい一例として、アルミニウムホイルが挙げられる。金属箔は、好ましくは少なくとも2μm、さらに好ましくは5〜20μm、最も好ましくは6〜12μmの厚さを有している。
【0040】
封入材料の第1の層5および/または第2の層10は、さらに、ポリマー材料からなっていてもよい。ポリマーフィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリニ塩化ビニル、環状オレフィンコポリマー、コポリマーおよびこれらの混合物、金属化ポリオレフィン、ならびにセラミックバリアを備えたプラスチックラミネートからなる群から選択されたものである。
【0041】
あるいは、封入材料の第1の層5および/または第2の層10は、ポリマー材料からなるラミネートである。
【0042】
さらに封入材料の第1の層5および/または第2の層10は、金属箔のラミネートならびにポリマー材料および/またはワックスからなっていてもよい。さらなる態様において、ラミネートは、少なくとも三つのラミネート層を備えている。
【0043】
本発明のラミネートは、例えば、外部保護層として位置させられるよう意図された耐摩擦性保護層と、水蒸気不透過性中間層と、添加剤(場合によっては感湿添加剤)に面する内側封止層とを有する三層ラミネートであってもよい。そうしたラミネートは、好ましくは10〜400μmの、さらに好ましくは20〜200μmの厚さを有している。
【0044】
供給デバイス1の位置実施形態において、ポリマー材料およびワックスは、添加剤に面する内側ラミネート層を形成している。他の実施形態において、ポリマー材料は、添加剤とは反対側に面する外部ラミネートを形成している。供給デバイス1のさらに他の実施形態においては、内側ラミネートと外側ラミネートとの両方が、ポリマー材料および/またはワックスによって形成されている。
【0045】
上記ポリマー材料は、少なくとも部分的に、本発明の使用に適した一つ以上のポリマーから形成可能であり、ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリニ塩化ビニル、環状オレフィンコポリマー、ポリオレフィン、金属化ポリオレフィン、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、でんぷん由来のポリマー、ポリ乳酸、イオノマー、コポリマー、およびこれらと同様のポリマー、ならびにその混合物からなる群から選択されるものである。
【0046】
良好な水蒸気バリア特性を備えるポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニル、環状オレフィンコポリマー、金属化ポリオレフィン、およびセラミックバリアを備えたプラスチックラミネートである。
【0047】
アルミニウム箔、酸化アルミニウムまたは酸化シリコンなども同様に、封入材料の製造に適した材料である。本発明のラミネートに適切に使用可能な他の材料として、セラミックバリアを備えたプラスチックラミネート、ワックス、紙、塗料、および接着剤が挙げられる。
【0048】
ラミネートへの使用に適切なワックスとして、プラントワックス、ミネラルワックス、アニマルワックス、シリコーンワックスおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0049】
封入材料の第1の層5および/または第2の層10は、さらに、酸化金属層および/または酸化シリコン層からなってもよい。さらに好ましくは、酸化金属層は、酸化アルミニウム層である。
【0050】
水蒸気不透過性を有する封入材料の第1の層5および/または第2の層10を形成することを意図された材料は多くの場合、高価であり、かつ好ましくは、所望の強度特性が維持されている一方で、可能な限り薄手の材料層が使用される。良好な耐摩擦性を有しかつしっかりと密閉可能な封入材料を製造するために、(上で決めたように)安価な材料を耐摩擦性外側層として、かつ/または内側密閉層として使用してもよい。例えば、封入材料は、封入材料の第1の層5と第2の層10との間の良好な封止を形成可能とする内側ラミネート層(当該材料の一例として例えばポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリアミド、イオノマーまたはワックスが挙げられる)と、良好な水蒸気不透過性を有する材料からなる中間ラミネート層(当該材料は、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニル、環状オレフィンコポリマー、ポリオレフィン、金属化ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン)、またはセラミックバリアを備えたプラスチックラミネートからなる)と、耐摩擦性外側層(例えばポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)とを含む。封入材料は、さまざまな層からなる1から10のラミネート層から形成されてもよい。ラミネートの非限定的な例として、ALCAN Packaging Cramlington Ltdから市販されているCeramis(登録商標)、高バリアアルミニウムラミネートおよび高バリアアルミニウム−フリー層が挙げられる。
【0051】
封入材料の第1の層5(および/または特に後で述べる場合においては、第2の層10)は、後述するように層の破壊によって除去されるようになっており、第1の層5(および/または第2の層10)に適切な材料として、例えばポリビニルアルコールポリ乳酸およびでんぷん由来のフィルムなどの水溶性フィルム、ならびに脂溶性フィルムが挙げられる。
【0052】
封入材料の第1の層5と第2の層10とは、封入材料の第1の層5と第2の層10との間に形成される空間20に添加剤を封入する。封入材料の第1の層5と第2の層10とが添加剤15を封入するため、添加剤15は、使用前に、供給デバイス1における適所に留められる。さらに添加剤15は、供給デバイス1の使用前に添加剤15を損ねる可能性のある周囲の環境の影響、湿った状況または乾燥した状況などにさらされることから保護されている。さまざまなタイプの添加剤15を、さまざまな環境の影響から保護する必要がある。特定の添加剤15に応じて、封入材料の第1の層5と第2の層10との材料を、適切にさまざまに選択することができる。例えば、プロバイオティクスまたは臭気抑制物質などの感湿添加剤は、水分から保護される必要があってもよく;オイルなどの疎水性物質は、酸化から保護される必要があってもよく;芳香剤および香料は、気化から保護される必要があってもよく;かつ、感光添加剤は、光から保護される必要があってもよい。加えて、上述したように、疎水性物質を備える添加剤は、生理用品の液体吸収特性を損ねる可能性があるため、輸送および保管中に、そうした添加剤が製品上に拡散することを防ぐ必要がある。添加剤の保護を設けるという上記目的は、本発明の供給デバイス1によって達成される。
【0053】
供給デバイス1によって供給される添加剤15は、対象物にもたらすことが望ましい健康および衛生状態の改善に関連する何らかの物質、例えば皮膚および/または尿性器領域に有益な効果を有する物質もしくは皮膚および/または尿性器領域の見た目を良くする物質などを備えていてもよい。好ましい一例においては、添加剤15はローションおよびオイルなどのスキンケア剤からなる。他の好ましい例においては、プレバイオティクス、すなわち宿主に十分な量が与えられると、バランスのとれた微生物叢を増殖させる物質を含んでいる。プレバイオティクスの一例として、プロバイオティクバクテリアのための栄養素、プロバイオティクバクテリアに関する宿主の癒着を促進させる物質、pH調整物質が挙げられる。好ましい添加剤の他の例として、クエン酸バッファ(buffered citric acid)などのpH調整物質、カルバミドなどの湿度安定化物質、アロエベラなどの植物性物質、スコルビン酸などの抗酸化剤、ビタミン、皮膚鎮静物質、およびオリーブオイルなどの疎水性物質が挙げられる。さらに、細菌性感染症に対処するためにZnO(酸化亜鉛)などの抗菌性物質、および抗カビ物質などを使用することも好ましい。好ましい添加剤の一例として、さらに、快適さおよび満足度のための添加剤、例えば冷却物質、かゆみ止め物質および芳香性物質が挙げられる。
【0054】
他の好ましい例では、添加剤15は、臭気抑制物質を含んでいる。そうした臭気抑制物質は、ゼオライトおよびシリカが好ましい。
【0055】
好ましい実施形態において、供給デバイス1における添加剤15は、プロバイオティクバクテリアを含んでいる。好ましくは、そうしたプロバイオティクバクテリアは、例えばラクトバシラス属、ラクトコッカス属、およびペディオコッカス属などのバクテリアを生じる乳酸菌である。さらに好ましくは、バクテリアを生じる乳酸菌は、ラクトバシラス属の菌、例えば乳酸杆菌、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバシルス・カルバタスまたは植物性乳酸菌である。本発明の好ましい実施形態において、供給デバイスは、尿性器領域に移動されかつそこにおいて作用可能であることが明らかとなった植物性乳酸菌 931を含んでいる(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbHにおいて析出されかつ登録番号DSM 11918が付与されている。特許文献8参照)。さらに、植物性乳酸菌 931は、他の微生物の成長を妨げ、それによってプロバイオティクバクテリアとして有効な特性を示すようになることも開示されている。
【0056】
プロバイオティクバクテリアは、好ましくは乾燥されたバクテリア、例えば冷却乾燥、スプレー乾燥、または空気乾燥がなされたバクテリアであってもよい。
【0057】
供給デバイス1は、供給デバイス1当たりのプロバイオティクバクテリアの、好ましくは10から1011のコロニー形成単位(cfu)を、さらに好ましくは10から1010cfuを、より好ましくは10から1010cfuを備えている。
【0058】
供給デバイス1の添加剤15は、さらに、一つ以上の薬学的に使用可能なキャリア、賦形剤および/または希釈剤を含んでいてもよい。一般的に、そうした薬剤は、その濃度および一回分の適用量において、受容体に無毒性のあるものでなければならない。そうした薬剤の一例として、バッファ、例えばグリセリン、ポリエチレングリコール、抗酸化剤(例えばスコルビン酸)、ゲル形成剤の増粘剤、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、プロテイン、グルコースを含む炭水化物、ショ糖およびデキストリンが挙げられる。薬剤キャリアの一例として、砂糖、例えばラクトース、グルコース、スクロースおよびトレハロース;スターチ、例えばコーンスターチおよびジャガイモでんぷん;セルロースおよびその派生物、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよびセルロースアセテート;トラガント末、モルト;ゼラチン;ペクチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;ポリオール、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンにトール、およびポリエチレングリコール;寒天;アルギン酸;発熱性物質を含まない水;生理食塩水;ならびにバッファ溶液が挙げられる。
【0059】
プロバイオティクバクテリアに薬学的に使用可能なキャリアの好ましい例として、砂糖および天然でんぷんが挙げられる。さらに、細菌増殖のための栄養素、例えばアミノ酸、ペプチド、核酸派生物、ビタミン、脂肪酸、グルコース、フルクトース、リボース、マルトースおよびラクトースが、添加剤15の中に、一つのみで、もしくはさまざまな組み合わせで設けられていてもよい。
【0060】
好ましくは、プロバイオティクバクテリアは、供給デバイス1の使用者にバクテリアの供給を向上させるキャリアを混合されていてもよい。そうしたキャリアの一例として、ワセリンなどの粘性剤、オイルまたはワックスが挙げられる。そうしたキャリアは、好ましくは、プロバイオティクバクテリアを備えない添加剤を有する供給デバイス1に含まれていてもよい。
【0061】
好ましくは、無水環境をもたらす疎水性キャリアを、例えば、プロバイオティクバクテリアなどの感湿添加剤のためのキャリアとして使用することもできる。そうした無水環境は、製造中、輸送中および保管中にバクテリアの生存期間を延長する(特許文献8;特許文献1;特許文献10参照)。
【0062】
疎水性キャリアの一例として、石油由来の脂質(lipid)を含む脂質キャリア、例えば流動パラフィン(ミネラルオイル、パラフィンオイルおよびワセリンオイル)、ペトロラタム(ワセリンおよび鉱油)、ミクロ結晶状蝋、オゾケライト、セレシンならびにパラフィンが挙げられる。あるいは、合成脂質、例えばジメチコーン、シクロメチコンおよびシリコーンエステルが使用可能である。さらに他の変形例として、一般的にトリグルセリドである植物由来の脂質を使用することもできる。植物由来の脂質は、多くの場合、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグルセリドの混合物であり、かつ脂肪酸を含んでいない。脂質は、精製されるか、水素化されるか、精錬されるか、または変性させられ、そして単体で、もしくは混合されて使用される。
【0063】
脂質キャリアは「粘性」を有しているため、脂質キャリアは、(上述したように)使用者に対する添加剤の移行性を高めるという付加的な利点を有している。脂質キャリアの好ましい例として、ミネラルオイル由来の脂質、例えば鉱油が挙げられる。
【0064】
本発明の供給デバイス1の添加剤15は、さらに、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤および潤滑剤、ならびに冷却剤、尿素などの減摩剤、安定剤、それに加えて防腐薬を備えていてもよい。
【0065】
本発明の供給デバイス1は、単一タイプの添加剤、あるいは例えば同じ供給デバイス1の中にプロバイオティクバクテリアと臭気抑制物質とを有するような複合タイプの添加剤を備えていてもよい。
【0066】
一実施形態において、添加剤、場合によっては一つ以上の薬学的に使用可能なキャリア、賦形剤および/または希釈剤を含む添加剤は、例えば不織布からなる材料または第3の層に適した以下に記述する材料の中に、あるいはその上に配置され、続いてそれは、封入材料の第1の層5および第2の層10によって形成される空間内に配置される。この付加的な材料は、添加剤のためのキャリアとして機能する。このタイプのキャリアが使用されてもよいが、例えば添加剤の粘度が低い場合に使用されるのが好ましい。
【0067】
供給デバイス1は、供給デバイス1の使用者に面する側30(使用者の方向は矢印30によって示されている)における封入材料の第2の層10の上に配置される第3の層25をさらに備えている。第3の層25は、封入材料の第2の層10の上に配置されており、それによって、それが供給デバイス1の使用者に面する側30における封入材料の第2の層10の縁部全体に実質的にわたって被覆するように、供給デバイスへ向かう方向ならびに供給デバイスから離れる方向の両方へ向かって封入層の縁部35を越えて延在している。第3の層25のサイズ、形状ならびに材料は、それが使用者30に面する側において、封入材料の第2の層10の縁部を越えかつ実質的にその全体にわたって被覆するのであれば、重要ではない。その縁部の好ましくは少なくとも70%が、さらに好ましくは80%が、より好ましくは90%が、最も好ましくは100%が、第3の層によって被覆されている。第3の層は、供給デバイス1から離れる方向に、封入材料の第2の層10の縁部35の外側に少なくとも1.5mm、さらに好ましくは少なくとも5mm、最も好ましくは少なくとも10mm延在していることが好ましい。供給デバイス1が使用される場合に、封入材料の第2の層10の剥離を十分に防止するためには、5mmとすることが考えられる。第3の層25が少なくとも10mm延在している場合、これによって、供給デバイス1を第3の層25を介して生理用品に取り付けることが可能となる。最終的に、第3の層25が封入材料の第2の層10の縁部35の外側に少なくとも25mm延在している場合、その広がりは、供給デバイス1が第3の層25を介して生理用品に取り付けられるときに、後述するような取り付け方法による添加剤への影響を避けるのに十分である。好ましくは、供給デバイス1へ向かう方向において、第3の層25は、第2の層10の使用者からの剥離を防ぐために少なくとも1.5mm延在しており、かつさらに第3の層25の第2の層10への取り付けのための手段を設けるために、より好ましくは2mm延在している。
【0068】
第3の層25は、好ましくは、多孔質の/穿孔された材料を備えていてもよい。好ましい多孔性剤量の一例として、不織布、ワッディングまたはフィルターフォームが挙げられる。あるいは、好ましくは、第3の層25は、プラスチックフィルム、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、および/またはその混合物、および/またはポリエチレンとポリプロピレンとのラミネートを備えている。好ましくは、プラスチックフィルムは、穿孔されているか、もしくは多孔性のものであってもよい。
【0069】
図2c〜図2dに示すこの実施形態の好ましい一変形例において、供給デバイス1を備えた吸収用品50に関して、第3の層25は、上側シート55に置き換えられており、それによって、上側シート55および第3の層25として機能するようになっている。
【0070】
供給デバイス1が使用されるようになるか、または使用されている場合、封入材料の第1の層が取り除かれ、それによって、添加剤15が露出される。封入材料の第1の層5は、供給デバイス1から第1の層を剥がすかまたは引裂くことによって取り除かれてもよい。代わりに、第1の層5は、体の熱または体液によって溶ける材料を備えていてもよく、それによって、供給デバイス1が使用される場合に破損される。本明細書において、「取り除く」とは、封入材料の第1の層10の実際的な除去および封入材料の破損を意味するよう用いられている。
【0071】
供給デバイス1における第3の層25の使用は、いくつかの利点を有している。第3の層25が、供給デバイス1の使用者に面する側30における封入材料の第2の層の縁部35を越えて延在しかつそれによって縁部35を実質的にその全体にわたって被覆するように封入材料の第2の層10の上に配置されているため、供給デバイス1の使用者は、供給デバイスの使用時に封入材料の第2の層10の縁部35に接触することから保護される。この重要な特徴は、以下の実施例すべてに存在する。これによって、他の状況では損傷しかつ供給デバイス1の使用者に不快さおよび不便さをもたらす可能性のある封入材料の第2の層10の縁部35は、使用者から隠されるようになる。
【0072】
さらに、すべての実施形態において、第3の層25は、供給デバイス1を備える生理用品に供給デバイス1を取り付けるための手段を提供できる。好ましくは、第3の層25は、例えば超音波溶着、接着剤、縫い合わせ、ならびに温間および/または冷間シーリングによって、生理用品に取り付け可能である。この場合、封入材料の第2の層10は第3の層に取り付けられることが好ましい。
【0073】
さらに、第3の層25は、添加剤15を封入する封入材料の第1の層5および/または第2の層10を介して供給デバイスを取り付けることを必要とせず、生理用品に供給デバイス1を取り付けることを可能とする。それによって、添加剤15は、添加剤に用いられる例えば超音波溶着または熱溶着などの生理用品に供給デバイスを取り付けるための方法が及ぼす悪影響にあまりさらされなくなる。さらに、第3の層25は、供給デバイスを生理用品と第3の層25とへ取り付ける場合に精度があまり要求されないよう、供給デバイス1の領域を増大させ、それによって、それを備える生理用品に供給デバイス1を取り付ける工程が容易となる。
【0074】
それを備える用品に供給デバイス1を取り付けることによって、供給デバイスが、封入材料自身を介してではなく、第3の層25を介して製品に取り付けられる場合に、供給デバイス1全体は、封入材料の第1の層5の除去時に用品から剥離される可能性が低減される。
【0075】
供給デバイス1を備える生理用品への供給デバイス1の取り付けは、さらに、それが生理用品の使用者の体の好ましい領域に接触するように用品上に添加剤が位置させられることを確実なものとする。例えば、吸収用品を介して膣領域に添加剤が供給することが望まれた場合、供給デバイス1は、使用時に使用者の膣領域に接触するようになる吸収用品50の部分の吸収用品における第3の層25を介して取り付けられる。続いて、供給デバイス1は、輸送、保管中および使用中の両方の間で、このポジションに位置させられている。
【0076】
第3の層25は、例えば超音波溶着、熱溶着、温間シーリング、低温での温間シーリング、冷間シーリングまたは接着剤によって好ましくは、封入材料の第2の層10の使用者に面する側30における封入材料の第2の層10に取り付けられてもよい。
【0077】
好ましくは、封入材料の第1の層5および第2の層10は、添加剤を封入する空間20を形成するよう封止部40によって、互いの縁部に沿ってともに封止されている。重要なことに、第1の層5が、供給デバイス1の使用時に破損される材料から形成されていない場合、封止部40は、封入材料の第1の層5が剥離可能となるように構成されていなければならない。適切な封止方法は、例えば超音波溶着、温間シーリング、低温での温間シーリング、または冷間シーリングである。冷間シーリングおよび低温での温間シーリングの場合、例えばポリエチレンエチルアクリラート、ポリエチレンビニルアセテート、またはワックスなどの封止層が封入材料の封止側に取り付けられていてもよい。この封止層は、封止部が設けられる場所、いわゆる辺縁コーティング全体に、またはそれのみに取り付け可能である。
【0078】
封入材料の第1の層5および第2の層10は、封止部40を形成するために互いに接着剤で封止されていてもよい。
【0079】
添加剤15が、封入材料の第1の層5および第2の層10によって形成された空間20に封入されており、感湿添加剤である場合、空間20内への水分の侵入の防止を確実なものとするため、封入材料の第1の層5および第2の層10が、緊密な密閉状態をもたらすように完全に閉じられていることが重要であり、それによって、WVTRは、37.8℃(華氏100度)および90%の相対湿度におけるASTME398−83に基づいて測定すると、封入材料の第1の層5と第2の層10との間の封止部にわたって測定した(場合によってはその中間に第3の層が保持されている)ときでさえ、6g/m/24h、好ましくは最大で4g/m/24h、さらに好ましくは最大で2g/m/24h、より好ましくは最大で1g/m/24h、最も好ましくは最大で0.1g/m/24hの最も高いWVTR(水蒸気透過度)となる。
【0080】
封入材料の第1の層5と第2の層10との間の封止部40の幅ならびに第1の層5および第2の層10の材料の選択は、それらの層の間の空間に水蒸気が拡散するのに要する時間に影響を与えることとなる。必要とされる封止部の幅は、もちろん、上記所望のWVTRを得るために変更されるようになっている。特定の封入材料および特定の封止部に関するWVTRの測定方法は、当業者には公知となっている。したがって、当業者であれば、所望のWVTRを得るために封止部40の必要とされる幅を決定できる。封止部の特定の幅は、揮発性添加剤、例えば香水または乾燥に敏感な添加剤を輸送および保管中の損失から保護するために必要とされる。感湿性を有していないか、あるいは他の状況で輸送または保管中に周囲の環境からの保護を必要とする添加剤15に関しては、封止部の幅は重要ではない。
【0081】
いくつかの実施形態において、封入材料の第1の層5と第2の層10とは、1〜20cmの、好ましくは2〜15cmの、最も好ましくは3〜10cmの長さを有し、かつ0.5〜10cmの、好ましくは1〜8cmの、最も好ましくは2〜5cmの幅を有していてもよい。封入材料の第1の層5と第2の層10との幅および/または長さは、それぞれ、その長さおよび/または幅に沿って変更可能である。封入材料の第2の層10の縁部35からの保護を提供しかつ供給デバイス1をそれを備えた用品に取り付けるための手段を提供するために、第3の層25のサイズおよび形状は、常に、上述したように封入材料の第2の層10の縁部35を越えて延在し、かつそれによって実質的にその全体を被覆するように選択する必要がある。
【0082】
図3には、上述したように、吸収用品50によって例示された生理用品に配置された供給デバイス1の代替的な実施形態を示す。
【0083】
この実施形態において、第3の層25は、封入材料の第1の層5および第2の層10の間に配置されている。また、第3の層25は、この実施形態において、供給デバイス1の使用者に面する側30における封入材料の第2の層10の縁部35を越えて延在し、かつそれによって実質的にその縁部全体を被覆するようなサイズになされ、かつそのように配置されている。これにより、さらにこの実施形態において、供給デバイスの使用者は、封入材料の第2の層10の縁部35への接触から保護され、かつ第3の層25は、供給デバイスをそれを備えた用品に取り付けるための手段を提供する。封入材料の第2の層の縁部35に対する封入材料の第1の層5の縁部45のポジションは、第3の層25を第1の層と第2の層との間の広がりに位置させることが可能であれば、重要ではない。場合によっては、第3の層25は、封入材料の第1の層5と第2の層10との間に形成された空間20内への広がりへとさらに延在していても、延在していなくともよい。好ましくは、第3の層25は、少なくとも封入材料の第2の層10に取り付けられている。さらに好ましくは、第3の層25は、例えば超音波溶着、温間シーリング、低温での温間シーリング、冷却シーリング、または接着剤によって、封入材料の第1の層5と第2の層10とともにこの二つの層の間で互いに封止されている。
【0084】
また、この実施形態における好ましい変形例では、図3c〜図3dに示すように、供給デバイス1を備えた吸収用品50において、第3の層25は上側シート55と取り替えられる、すなわち、第3の層25は吸収用品50の上側シート55にもなる。
【0085】
図4には、上述したように、吸収用品50によって例示された生理用品に配置された供給デバイス1の好ましい実施形態である、他の代替例を示す。
【0086】
この実施形態において、第3の層25は、代わりに、封入材料の第1の層と第2の層10と配置され、かつ供給デバイス1の実質的に全体に延在している。好ましくは、封入材料の第1の層5および/または第2の層10は、その間にある第3の層25とともに封止されている。第3の層25は、封入材料の第1の層5と第2の層10との間に形成された空間20のほぼ全体に延在していることが好ましい。ただし望まれる場合には、第3の層25は、それにおいて、さらに封入材料の第1の層5と第2の層10との間に形成された空間20の一部において、第3の層25にわたって対照的または非対象的に位置させられているホール、切り込み、またはスリットを有していてもよい。
【0087】
図4において、側方から見た場合に、第3の層25は、封入材料の第1の層と第2の層10との間に形成された空間20の中間に配置されている(図4a〜図4c)。ただし、第3の層25が封入材料の第1の層5と第2の層10との間に形成された空間内20へと、またはそれを通って延在している実施形態において、第3の層25は、この空間のどこか、例えば封入材料の第1の層5と第2の層10との中間部に配置されていても、あるいは封入材料の第1の層5または第2の層10に隣接するかもしくは(超音波溶着、温間シーリング、低温の温間シーリング、冷間シーリング、または接着剤によって)取り付けられていてもよい。さらに、添加剤15は、この空間のどこか、例えば第3の層25に、その上に、またはその下に配置されてもよい。
【0088】
好ましい実施形態において、添加剤15は、第3の層の下側に、すなわち封入材料の第3の層25と第2の層10との間に配置されている。この実施形態はいくつかの利点を有している。この実施形態において、添加剤15が、例えば使用時に体液によって流失されるか、または供給デバイス1を摩擦することによって供給デバイス1から除去される可能性が低減される。さらに、第1の層5が供給デバイス1を備える生理用品の使用前に除去される場合、添加剤が、封入材料の第1の層5に固着し、かつ第1の層とともに除去されることが避けられる。また、この実施形態は、例えば溶解しかつ最初の排尿時に使用者に供給される添加剤または体熱によって溶解する添加剤を有することによって、上記事象が起こるまで添加剤が使用者から第3の層25によって分離されているとき、添加剤15の開放を制御可能にする。したがって、これによって、必要とされるまで、添加剤15を供給デバイス1の使用者に供給しないよう制御することが可能となる。この実施形態においては、第3の層25が、添加剤がそれを介して供給可能となる材料、例えば有孔材料または多孔質材料を備えていることが重要である。
【0089】
重要なことに、さらにこの実施形態において、第3の層25は、上述したように、供給デバイス1の使用者に面する側30における封入材料の第2の層10の縁部を越えて延在し、かつそれによって実質的にその縁部全を被覆するようなサイズになされ、かつそのように配置されている。好ましくは、第3の層25は、封入材料の第2の層10に取り付けられている。さらに好ましくは、封入材料の第1の層5と第2の層10とは、それらの間における第3の層25とともに封止されている。
【0090】
すべての実施形態において、第3の層25は、封入材料の第1の層5と第2の層10との間に形成された空間20へと、部分的にもしくは完全に延在しており、第3の層25は、添加剤15のためのキャリアとして機能できるというさらなる利点を有している。添加剤15は、封入材料の第1の層5と第2の層10とによって封入される空間20における第3の層25の中において、含浸されるか、乾燥されるか、粉状にされるか、あるいは他の方法では第3の層25の上に、またはその下に配置されてもよい。これは、第3の層材料の製造時に添加剤15が第3の層25に含まれてもよいという一つの利点を有している。
【0091】
さらにこの実施形態では、供給デバイス1を備える吸収用品50において、第3の層25は上側シート55と交換可能である、すなわち、第3の層25は、図4c〜図4dに示すように、吸収用品50の上側シート55にもなる。
【0092】
本発明の供給デバイス1は、上述したように、例えば湿式ワイプ、乾式ワイプ、例えば生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンティ、またはタンポンなどの女性用衛生用品;幼児用または失禁をする成人用のオムツまたはパンツ型オムツ;失禁パッド;オムツ用インサートなどの生理用品の上に/中に配置される。
【0093】
好ましい一実施形態において、供給デバイス1は、衛生ティッシュ、例えば湿式ワイプまたは乾式ワイプに備えられている。添加剤を供給する衛生ティッシュの使用は、使用時に衛生ティッシュが使用者に接触させられるとき、添加剤が使用者に良好に供給されるという利点を有している。添加剤の供給のために衛生ティッシュに供給デバイス1を配置することによって、衛生ティッシュ全体にわたって添加剤が拡散することが避けられる。ゆえに、衛生ティッシュの使用者は、衛生ティッシュの使用時に、手が添加剤に触れることを避けることができる。例えば、粘性のある添加剤を備える衛生ティッシュを使用するとき、そうした添加剤が手に触れることは望ましくない。さらに、供給デバイスが封入材料の第2の層10を備えるとき、これによって、添加剤が製品を介して拡散することが防止され、また、ほぼ汚れのない製品がもたらされ、それは、使用を容易にしかつ外観をよりよく見せることをより容易にする。
【0094】
他の好ましい実施形態において、供給デバイス1は、吸収用品50の中に/上に配置されている。本発明の吸収用品50は、通常、使用者に面する液体透過性上側シートと、使用者とは反対側に面する用品の側における液体不透過性裏側シートと、それらの間に封入された吸収構造体とを備えている。液体透過性上側シートは、例えばスパンボンド、メルトブローン、カーデッド、ハイドロエンタングル、ウェットレイドなどによる不織材料から構成されてもよい。適切な不織材料は、例えばウッドパルプまたは綿繊維などの天然繊維、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ヴィスコースなどの合成繊維、または天然繊維と合成繊維との混合物から構成できる。上側シート材料は、さらに、トウ繊維からなっていてもよく、それは、例えば特許文献11に開示されているように、結合パターンによって互いに結合可能である。上側シート材料のさらなる例として、多孔質フォーム、開孔されたプラスチックフィルム、不織布層のラミネート、有孔プラスチックフィルムなどが挙げられる。上側シート材料に適した材料は、軟質でありかつ皮膚に刺激を与えないものであり、かつ尿または月経液などの体液が直ちに透過するものであることが望ましい。
【0095】
液体不透過性裏側シートは、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンフィルムなどの薄手のプラスチックフィルム、液体不透過性材料で被覆された不織布、耐液体透過性の疎水性不織布から構成されてもよい。プラスチックフィルムと不織布材料のラミネートも使用できる。裏側シート材料は、液体が裏側シート材料を通過することを防ぐ一方で、吸収構造体から水蒸気を逃すことを可能にするために通気性を有していることが好ましい。
【0096】
上側シートおよび裏側シートは、吸収構造体よりも平面においてある程度大きな広がりを有しており、かつ突出部を形成するためにその縁部の外側へ延在している。上側シートおよび裏側シートは、例えば、接着剤あるいは熱または超音波による溶着によって突出部の内部で互いに接続されている。上側シートおよび/または裏側シートは、さらに、公知の方法、接着剤あるいは熱または超音波による溶着などによって吸収構造体に取り付けられていてもよい。吸収構造体は、上側シートおよび/または裏側シートに取り付けられていなくてもよい。
【0097】
使用中に、使用者とは反対側に面する裏側シートの側には、接着剤の形態の固定手段が設けられる。接着剤は、使用者の下着に取り外し可能に取り付けられてもよい。剥離紙が、使用前に粘着領域を保護していてもよい。粘着領域は、例えば縦長のまたは横長の帯片、ドット、前面塗布領域など適切な形態を有している。
【0098】
吸収用品の他の実施形態において、例えば摩擦留め部材、テープタブ、またはホック−アンド−ループ形状の面ファスナーなどの他のタイプの留め部材を、使用者の下着またはウエストに用品を固定するために使用することができる。ある吸収用品はパンツの形態をしており、そのため特別な固定手段を必要としない。他の場合においては、吸収用品は、さらなる留め部材を必要としない特別な弾性パンツとして着用される。
【0099】
吸収構造体は従来のものであってもよい。一般的に用いられている吸収材料の一例として、セルロースフラッフパルプ、ティッシュ層、高吸収性ポリマー(いわゆる超吸収体)、吸収フォーム材料、または吸収不織材料などである。吸収構造体が、液体捕捉能力、液体拡散能力および貯留能力に関する異なる特性を備えたさまざまな層を備えることは一般的である。これは当業者には公知のことであるため、詳細には説明しない。現在の吸収用品では一般的な薄手の吸収体は、多くの場合、セルロースフラッフパルプと超吸収体との圧縮された、混合あるいは層状構造体を備えている。吸収構造体のサイズおよび吸収能力は、さまざまな用途、例えば生理用ナプキン、パンティライナー、成人用失禁パッドおよびオムツ、乳児用オムツ、パンツ型オムツなどに適するように変更可能である。
【0100】
上述しかつ図に示した吸収用品は、非限定的な例証のみを示すものであり、本発明はそれに限定されず、上記吸収用品のいかなるタイプのものにも使用できることを理解されたい。
【0101】
上述したように供給デバイス1のすべての実施形態は、さらに以下に説明するように、吸収用品50の上か、あるいはその下に配置することができる。
【0102】
図1〜5には、供給デバイス1を備える吸収用品50の実例を示す。
【0103】
図2a〜b、図3a〜bおよび図4a〜bのすべてに、吸収用品50の上側シート55使用者に面する側に配置されている供給デバイス1の実例を示す。吸収用品50のこの実施形態(および以下の実施形態)において、供給デバイス1の第3の層25が、吸収用品50に供給デバイス1を取り付けることを可能にするようになっている本発明の供給デバイス1のさらなる利点が明らかとなる。例えば、超音波溶着、接着剤、縫い合わせ、または温間/冷間シーリングによって取り付けがなされる。それによって、供給デバイス1は、輸送、保管および使用中に、吸収用品50の適所に留置される。また、この方法によって、供給デバイスが吸収用品の一部となっている魅力的な見た目の製品が提供される。第3の層を介して供給デバイスが取り付け可能であることの利点を以下でさらに説明する。
【0104】
図2c〜d、図3c〜dおよび図4c〜dのすべてに、供給デバイス1のさまざまな実施形態の代替的な実施例を示すが、このものにおいて、第3の層25は、上側シート55と置き換えられており、それによって、上側シート55の役割も果たすようになっている。
【0105】
第3の層25が吸収用品50の上側シート55となっているこの実施形態のさらなる利点は、供給デバイス1を、容易に位置させ、かつ輸送、保管および使用中に適所に留まるように吸収用品50の適所に取り付けることができるようになることである。また、これらの実施形態は、吸収用品50の上側シート55と第3の層25とが同一層である場合に、実施する必要のある製造ステップがより少なくなるという製造に関する利点を有している。さらに、この実施形態に基づく吸収用品50の製造は、一つの材料層が吸収用品50の上側シート55と第3の層25との両方の機能を満たすため、よりコストがかからなくなる。加えて、第3の層25が吸収用品50の上側シート55であるため、供給デバイス1が吸収用品50に取り付けられるとき、添加剤15を封入する封入材料の第1の層5と第2の層10と距離をおいて取り付けを実施することができる。それによって、添加剤15における取り付け方法がもたらし得る悪影響が最小化される。
【0106】
あるいは、供給デバイス1を備える吸収用品50の他の好ましい実施形態に関して、図5には、吸収用品50の上側シートに切り抜かれた開口部70の中へ挿入された供給デバイス1を示す。この実施形態において、第3の層25は、供給デバイス1が配置された吸収用品50の中央部における上側シートとして機能する。好ましくは、第3の層25は、輸送、保管および使用中に吸収用品50の適所に供給デバイス1が保持されるように、例えば超音波溶着、接着剤、縫い合わせ、または温間/冷間シーリングによって、上側シート55の下側における吸収用品50の上側シート55に、すなわち吸収用品50の吸収構造体60に面する上側シート55の側に取り付けられてもよい。供給デバイス1を有する吸収用品50の使用者に面する側は、使用者の方向を示す矢印30によって示されている。図5には、第3の層25が供給デバイス1を通って延在するようになっている状態の、吸収用品50の上側シートにおける開口部に配置されている供給デバイス1を示す。ただし、当業者であれば直ちに理解するように、他の実施例では、本明細書に開示されている供給デバイス1は、もちろん、この方法によって吸収用品50に配置されていてもよい。
【0107】
供給デバイス1の製造に関して、第3の層25は、連続ウェブの形態であってもよい。これは、吸収用品を製造するための現在の機械が材料の連続ウェブを扱うことに適応しているため、利点となる。供給デバイス1は、連続ウェブ、すなわち第3の層25の各側部における封入材料の取り付けによって連続ウェブに形成される。この組み立て作業は、上記機械の高い製造速度とは独立して、別々の工程ステップにおいてなされてもよい。
【0108】
第3の層25が連続ウェブの形態となっている供給デバイス1は、吸収用品における上側シートの載置に関する標準技術を使用することで図2c〜d、図3c〜dおよび図4c〜dに基づく吸収用品を形成するか、あるいは特許文献12に開示されているスリップおよび切断工程によって図2a〜b、図3a〜b、図4a〜bおよび図5a〜bに基づく吸収用品を形成する他の構成要素とともに組み立てることができる。
【0109】
図示していない他の実施形態において、供給デバイスは、吸収用品50の吸収構造体60の内部に配置されてもよい。重要なことに、この実施形態において、封入材料の第1の層5および/または第2の層10は、供給デバイスを備える吸収用品の使用中に破損する材料を具備しなければならない。また、この実施形態において、第3の層25は、吸収用品50への供給デバイスの取り付けを可能とするという利点を有している。
【0110】
本明細書に開示されている供給デバイス1と吸収用品50とはさらなる利点を備えており、それは、添加剤15が使用前またはその間に吸収用品50に対して漏出し、それによって例えば吸収用品50の上側シート55および/または吸収構造体60の機能を損ねることを防ぐことである。
【0111】
生理用品は、少なくとも一つの供給デバイス1、例えば一つ、二つあるいは三つの供給デバイスを備えている。吸収用品50が複数の供給デバイス1を備えている場合、それらは、長手方向に離間して位置させられることが好ましい。また、生理用品が複数の供給デバイス1を備えている場合、異なる供給デバイス1は、同じ添加剤15、あるいはさまざまな添加剤15を備えることができる。例えば、一つの供給デバイス1が、プロバイオティクバクテリアおよび他の臭気抑制物質を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 供給デバイス
5 第1の層
10 第2の層
15 添加剤
20 空間
25 第3の層
30 使用者に面する側
35 第2の縁部
40 封止部
45 第1の縁部
50 吸収用品
55 上側シート
60 吸収構成体
65 裏側シート
70 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤(15)の供給のための供給デバイス(1)を具備してなる生理用品であって、
前記供給デバイス(1)は、封入材料の第1の層(5)と第2の層(10)とを具備してなり、前記第1の層(5)は、第1の縁部(45)によって画定されており、かつ前記第2の層は、第2の縁部(35)によって画定されており、前記第1の層(5)は、前記第2の層(10)に対して前記供給デバイス(1)の使用者に面する側(30)に配置されており、封入材料の前記第1の層(5)と前記第2の層(10)とは、前記添加剤(15)を封入する空間(20)を形成しており、前記供給デバイス(1)は、封入材料の前記第2の層(10)の使用者に面する側(30)に位置させられた第3の層(25)をさらに具備してなり、前記第3の層(25)は、封入材料の前記第2の層(10)の前記第2の縁部(35)を越えて延在し、かつそれによって、少なくとも実質的に前記第2の縁部(35)の全体を被覆するようになっていることを特徴とする生理用品。
【請求項2】
前記第3の層(25)は、封入材料の前記第2の層10の縁部35の外側に、少なくとも1.5mm、さらに好ましくは少なくとも5mm、最も好ましくは少なくとも10mm延在していることを特徴とする請求項1に記載の生理用品。
【請求項3】
前記第1の層(5)と前記第2の層(10)とは、それらの縁部に沿って互いに封止されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生理用品。
【請求項4】
前記第3の層(25)は、封入材料の前記第1の層(5)と前記第2の層(10)との間に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項5】
前記第3の層(25)は、封入材料の前記第1の層(5)と前記第2の層(10)との間に形成された前記空間(20)を実質的に通って延在していることを特徴とする請求項4に記載の生理用品。
【請求項6】
前記第3の層(25)は、多孔質材料を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項7】
前記多孔質材料は、不織布、ワッディング、またはフィルターフォームを具備してなることを特徴とする請求項6に記載の生理用品。
【請求項8】
前記第3の層(25)は、好ましくは有孔の、プラスチックフィルムを具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項9】
封入材料の前記第1の層(5)および/または前記第2の層(10)は、水蒸気不透過性のものであることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項10】
封入材料の前記第1の層(5)および/または前記第2の層(10)は、金属箔を具備してなることを特徴とする請求項9に記載の生理用品。
【請求項11】
前記金属箔は、アルミニウム箔であることを特徴とする請求項10に記載の生理用品。
【請求項12】
封入材料の前記第1の層(5)および/または前記第2の層(10)は、ポリマーフィルムを具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項13】
前記ポリマーフィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリニ塩化ビニル、環状オレフィンコポリマー、コポリマー、およびその混合物、金属化ポリオレフィン、ならびにセラミックバリアを備えたプラスチックラミネートからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項12に記載の生理用品。
【請求項14】
封入材料の前記第1の層(5)および/または前記第2の層(10)は、ポリマー材料を具備してなるラミネートを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項15】
前記ポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリニ塩化ビニル、環状オレフィンコポリマー、ポリオレフィン、金属化ポリオレフィン、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンエチルアクリラートコポリマー、エチレンブチルアクリラートコポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、でんぷん由来のポリマー、ポリ乳酸、イオノマー、コポリマー、およびその混合物、ならびにセラミックバリアを備えたプラスチックラミネートからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項14に記載の生理用品。
【請求項16】
前記添加剤(15)は、スキンケア剤、例えばオイルまたはローションを具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項17】
前記添加剤(15)は、プレバイオティクム、pH調整物質、疎水性物質、抗菌性物質、抗真菌性物質、および/または芳香性物質を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項18】
前記添加剤(15)は、酸化亜鉛を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項19】
前記添加剤(15)は、感湿性のものであることを特徴とする請求項1ないし請求項18のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項20】
感湿性を有する前記添加剤(15)は、プロビオティックバクテリアを具備してなることを特徴とする請求項19に記載の生理用品。
【請求項21】
前記プロビオティックバクテリアは、バクテリアを生成する乳酸菌であることを特徴とする請求項20に記載の生理用品。
【請求項22】
感湿性を有する前記添加剤(15)は、臭気抑制物質を具備してなることを特徴とする請求項19に記載の生理用品。
【請求項23】
前記臭気抑制物質は、ゼオライトおよび/またはシリカであることを特徴とする請求項22に記載の生理用品。
【請求項24】
前記添加剤(15)は、薬学的に使用可能なキャリア、賦形剤および/または希釈剤を、さらに具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項23のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項25】
前記薬学的に使用可能なキャリアは、疎水性キャリアであることを特徴とする請求項24に記載の生理用品。
【請求項26】
封入材料の前記第1の層(10)は、前記添加剤(15)が露出されるよう、前記供給デバイス(1)の使用時に除去されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項25のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項27】
前記生理用品は、衛生ティッシュであることを特徴とする請求項1ないし請求項26のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項28】
前記生理用品は、吸収用品(50)であることを特徴とする請求項1ないし請求項26のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項29】
前記吸収用品(50)は、上側シート(55)を具備してなり、前記供給デバイス(1)は、前記上側シート(55)に配置されていることを特徴とする請求項28に記載の生理用品。
【請求項30】
前記供給デバイス(1)は、前記上側シート(55)における開口部(70)に配置されていることを特徴とする請求項28に記載の生理用品。
【請求項31】
前記第3の層(25)は、前記上側シート(55)であることを特徴とする請求項28に記載の生理用品。
【請求項32】
前記吸収用品(50)は、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンツ、またはタンポン;幼児用または失禁をする成人用のオムツもしくはパンツ型オムツ;失禁パッド;あるいはオムツ用インサートであることを特徴とする請求項28ないし請求項31のいずれか一項に記載の生理用品。
【請求項33】
二つ以上の供給デバイス(1)を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項32のいずれか一項に記載の生理用品。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2010−508886(P2010−508886A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535232(P2009−535232)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/SE2006/001243
【国際公開番号】WO2008/054268
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】