説明

供給ネットワークからの電力をコンシュマーネットワークに供給するためのデバイス

本発明は、供給ネットワーク(12)からの電力をコンシュマーネットワーク(13)に供給するためのデバイス(1)に関し、デバイス(1)は周波数変換器(2)を備え、その一方の側は供給ネットワーク(12)に接続することができ、他方の側はコンシュマーネットワーク(13)に接続することができ、前記変換器は、コンシュマーネットワーク内の短絡が極所化され、かつ、コンシュマーネットワークの障害がない残りの部分から目標とされたやり方で分離され得るように、十分に長い時間にわたってコンシュマーネットワークに対して大きな短絡電流を供給することもできる。機械的切替装置(3)が、周波数変換器(2)と並列に配置され、かつ周波数変換器(2)をバイパスするように適合され、制御手段(9)が前記切替装置(3)に接続され、前記制御手段が、周波数変換器(2)を通って流れる短絡電流が検出されたときに切替装置(3)を作動させるように適合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムからの電力をコンシュマーネットワークに供給するための装置に関し、この装置は、一方では電力供給システムに接続可能であり、他方ではコンシュマーネットワークに接続可能な周波数変換器を有する。
【0002】
本発明は、電力供給システムからの電力をコンシュマーネットワークに供給する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
このような装置および方法は、既にドイツ特許出願第DE 10 2005 004 628 A1号から知られている。この特許文献に説明されている装置は、湾内の船舶への電力供給を意図するものである。湾内の船舶は、一般に、動作しているディーゼルエンジンによって電力が供給される。しかし、ディーゼルエンジンからの排気ガスが、港湾都市にかなりの環境汚染をもたらす。対象となっているタイプの装置により、電力を陸地から供給することが可能になる。一般に、地上ベースの電力供給システムと船舶の配電システムとの間で、電圧、システム周波数、星状ポイントの取扱い(sternpunktbehandlungen)などが異なるので、静的周波数変換器が設けられ、これによって様々なシステムを結合することができる。静的変換器は、電流および電圧の変換を可能にする電力半導体を有する。既知の装置には、十分に長い期間にわたって船舶給電システムに大きな短絡電流を供給することができないという不都合がある。周波数変換器内の電力半導体バルブは、そうでなければ、損傷を受けるかまたは破壊される恐れさえある。しかし、船舶給電システムの欠陥のあるシステム部分を船舶給電システムの残りから絶縁することを可能にするために、船舶における短絡を突き止めることが可能になる十分長い時間にわたって短絡電流を供給しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願第DE 10 2005 004 628 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、最初に述べたタイプの装置および方法を提供することであり、これによって、コンシュマーネットワークに対して、大きな短絡電流さえ十分に長い期間にわたって供給することができ、したがって、コンシュマーネットワークにおける短絡を突き止めて、正常なコンシュマーネットワークの残りから意識的に絶縁することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は機械的切替装置によってこの目的を達成するものであり、この機械的切替装置は、周波数変換器と並列に配置され、制御手段によって周波数変換器をブリッジするように設計されており、同手段は、切替装置に接続され、周波数変換器を通って短絡電流が流れていると判明したとき切替装置を作動させるように設計されている。
【0007】
本発明は、電力供給システムからの電力をコンシュマーネットワークに供給する方法により、この目的をさらに達成するものであり、電力供給システムは、周波数変換器および機械的切替装置を介してコンシュマーネットワークに接続され、機械的切替装置は、周波数変換器をブリッジするように設計され、コンシュマーネットワークが短絡基準に対して監視され、短絡基準が存在するとき、コンシュマーネットワークの周波数が電力供給システムの周波数へ変化され、周波数変換器も、短絡のない通常動作中の通常の定格電流をコンシュマーネットワークに供給し続け、次いで、機械的切替装置が、周波数変換器をブリッジするように閉じる。
【0008】
本発明によれば、機械的切替装置は、周波数変換器と並列に接続して設けられ、短絡の場合には周波数変換器がブリッジされ得る。機械的切替装置という用語は、切り離すことができる接点を有するすべてのスイッチを対象として含む。接点は、切り離された位置にあるとき、電気的絶縁環境の中で互いから距離をとって配置され、したがって、接点を通って電流が流れるのを防止する。コンシュマーネットワーク内の短絡を識別するかまたは見つけるために制御手段が設けられ、所定の短絡基準に基づいて短絡を識別するだけでなく、機械的切替装置を作動させるようにも設計される。切替装置の動作の後、短絡電流は基本的に切替装置を通って流れ、切替装置は短絡電流に対して適切な電流搬送能力を有する。本発明では、機械的切替装置は、例えば回路遮断器、スイッチ断路器などである。電子スイッチとも称される半導体スイッチは、本発明によれば排除される。
【0009】
本発明では、周波数変換器は、好ましくは静的周波数変換器である。静的変換器には、電力半導体バルブを除けばいかなる可動部品またはコンポーネントもない。本発明では、周波数変換器は、原理上はいかなる所望のトポロジも有することができる。例えば、静的周波数変換器は整流器およびインバータを有し、これらは直流電圧側で互いに接続されている。整流器およびインバータは、送電および配電における当業者に周知であり、その結果、それらの設計を詳細に説明する必要性はない。一般に、いわゆる電力半導体バルブを備えるブリッジ回路が使用され、電力半導体バルブは閉ループ制御システムに接続されており、この閉ループ制御システムによって、具体的には電力半導体バルブを通る電流が遮断される遮断位置から、電力半導体バルブを通って電流が流れることができる位置へ移動可能である。電力半導体バルブの、開ループ制御装置またはより優れた閉ループ制御システムによる都合のよい制御によって所望の変換が可能になる。一例として、2段変換器または3段変換器あるいはその他のいわゆる多重レベル変換器は、どちらも変換器とも称される整流器およびインバータとして本発明に使用することができる。
【0010】
周波数変換器は、高電圧向けに、具体的には1kVと52kVの間の電圧向けに都合よく設計されている。しかし、52kVを上回る電圧または1kV未満の電圧向けに設計された周波数変換器も、本発明に使用することができる。
【0011】
制御手段は、好適には周波数変換器に接続され、周波数変換器の周波数変換に影響を及ぼすように設計される。この、都合のよいさらなる開発によれば、例えば、コンシュマーネットワークにおける短絡の発生後に、周波数変換器が、コンシュマーネットワークに短絡以前に供給していた、したがって振幅が基本的に不変の通常の定格電流だけを供給し続けることを保証するための配慮もなされる。このことは、電力半導体および周波数変換器に対する損傷を防止する。しかし、このようにして短絡を突き止めることはできない。したがって、切替装置が作動される。しかし、切替装置は、機械的切替装置がオンに切り替えられることから結果として生じる望ましくないフィードバックを回避するように、周波数変換器がコンシュマーネットワークに給電しているときに限って作動する。したがって、制御手段は、周波数変換器用の閉ループ制御システムの一部分であるか、または周波数変換器に接続される。例えば、電力供給システムの周波数は50Hzであるが、コンシュマーネットワークは、通常動作の期間中、対照的に60Hzの周波数を用いる場合、制御手段は、コンシュマーネットワークが50Hzの電力供給システムに直接接続されるのを防止し、その一方で、周波数変換器が60Hzの出力電圧Uoutを生成する。このことは、望ましくない不都合をもたらすことになる。
【0012】
この装置の、本発明による1つの好ましい改良によれば、周波数変換器の電力供給システム側の電気的入力の測定変数を検出するように設計された入力測定センサが設けられ、また、周波数変換器のコンシュマーネットワーク側の電気的出力の測定変数を検出するように設計された出力測定センサが設けられ、制御手段が、これらの入力測定センサおよび出力測定センサに接続されて、周波数変換器の出力周波数をその入力周波数に設定し、かつ選択された出力の測定変数および対応する入力の測定変数が同一の周波数および位相角になるまで切替装置の動作を遅らせるように設計される。本発明のこの有利な改良によれば、入力側の電力供給システムにおける電圧と出力側のコンシュマーネットワークにおける電圧とで、周波数および位相が異なる可能性があるという事実に配慮する。周波数変換器がブリッジされたときに、無制御の等しくする電流が流れるのを防止するために、制御手段は、周波数変換器の両側が同一周波数で同相の測定変数を示すまで、切替装置の動作を遅らせる。入力の測定変数および出力の測定変数は、好適にはそれぞれ入力電圧および出力電圧であり、すなわち、それぞれ電力供給システムの電圧およびコンシュマーネットワークの電圧である。したがって、動作は、電力供給システムの電圧とコンシュマーネットワークの電圧とが同一周波数で同相のときのみ、周波数変換器を制御手段でブリッジすることにより行われる。
【0013】
好適には、装置を電力供給システムへ接続するための入力接続手段が設けられ、場合によってはコンシュマーネットワークへ装置を接続するための出力接続手段も設けられる。一例として、入力接続手段または出力接続手段として従来型の変圧器を使用してもよい。
【0014】
一例として、短絡基準は簡単な閾値基準であり、換言すれば、コンシュマーネットワーク側または入力電力供給システム側で電流の振幅が監視される。周波数変換器を通って流れる電流の振幅が所定の期間にわたって所定の閾値を上回る場合、短絡電流の存在が推断される。短絡電流の振幅は、通常の定格電流の振幅より何倍も大きい。一例として、測定された測定電流が、好適には定格電流より大きい可変閾値を上回れば短絡基準が満たされることになる。純然たる負荷電流に加えて、本発明による短絡基準のさらなる実施例は、すなわち、周波数変換器からコンシュマーネットワークに供給される電流に加えて出力電圧を監視することをさらに含む。測定された電圧を測定された電流で割った商はインピーダンスを表す。本発明による短絡基準の実施例によれば、このインピーダンスに関するインピーダンス閾値が定義され、そのアンダーシュートが、短絡事象または短絡基準として評価される。
【0015】
本発明による方法の1つの好適な改良によれば、周波数変換器の電力供給システム側で少なくとも1つの電気的入力変数が検出され、また、周波数変換器のコンシュマーネットワーク側で少なくとも1つの電気的出力変数が検出されて、各入力変数の位相および/または周波数が、対応する出力変数の位相および/または周波数と比較される。短絡基準が一旦満たされると、上記でさらに述べたように、入力変数と出力変数とが同相および/または同一周波数であると判明したときに限って切替装置が閉じられる。
【0016】
好適には、周波数変換器をブリッジした後に、伝達期間の経過および/または短絡基準が満たされなくなるのを待ってから、周波数変換器のブリッジを解除するために切替装置を作動させて、コンシュマーネットワークの周波数を短絡以前の周波数に変化させる。これによって、例えば短絡が突き止められて分離された後に、装置の通常モード動作の簡単な再現が可能になる。周波数変換器のブリッジが一旦解除されると、例えばランプ関数を用いることにより、周波数変換器の閉ループ制御によってコンシュマーネットワークの短絡以前の動作点へ再び徐々に近づける。一例として、これは、周波数変換器のブリッジの後には一時的に電力供給システムの周波数(例えば50Hz)に相当していたコンシュマーネットワークの周波数を、徐々に60Hzにすることでよい。本発明によれば、周波数変換器の出力周波数は、短絡の識別後に、例えばステップ関数またはランプ関数によって変化される。
【0017】
監視手段は、好適には、コンシュマーネットワーク内でエネルギーが生成されているかどうかをチェックして、コンシュマーネットワーク内にエネルギー生成が見つかった場合には切替装置の作動を防止する。これは、コンシュマーネットワークがスタンドアローンのネットワークかどうかをチェックするのに用いられる。本発明では、スタンドアローンのネットワークは、それ自体のエネルギー発生器を有しないことにより識別される。コンシュマーネットワークがスタンドアローンのネットワークである場合、すべての短絡電力を周波数変換器によって与えなければならない。しかし、例えばコンシュマーネットワークがエネルギー発生器を有する場合、例えばコンシュマーネットワークにおける船舶発電機がオフでない場合、短絡電流は、このような周波数変換器に対する負荷なしで、発電機によって供給することができる。この場合、周波数変換器をブリッジする必要性はない。本発明のこの有利な改良によれば、したがって、コンシュマーネットワークがスタンドアローンのネットワークであるかどうかの判断が行われて、そうでない場合、制御手段による周波数変換器のブリッジが防止される。
【0018】
3相の用途に加えて、本発明は、明白に任意の所望数の相を有する機構に拡張する。
【0019】
機械的切替装置は、有利には、互いに対して移動することができる接点を有する。このような機械的スイッチは、高電圧、中間電圧および低電圧の分野で周知であり、したがって、それらの設計および構造を本発明では詳細に説明する必要はない。それらは、好ましくは電力伝送および配電の分野で用いられる。一例として、接点は、固定された位置に配置される固定接点および固定接点に対して移動することができるように導かれる可動接点を備える。本発明では、可動接点は、例えば回転することができるように設計される。しかし、これとは対照的に、スイッチングを通じて直線運動を実行する縦方向の可動接点も使用することができる。このような直線状のスイッチの接点は、例えば、真空遮断管の真空チャンバ内に構成され、したがって、いわゆる真空スイッチをもたらす。これとは対照的に、機械的切替装置は、電弧を消滅させるためのブローイング技術が用いられているガススイッチである。
【0020】
機械的切替装置は、有利には、ドライブ動作(Antriebsbewegung)を生成するための駆動装置(Antriebseinheit)およびこのドライブ動作を接点に導入するためのスイッチング機構を有する。一例として、駆動装置は、ばねエネルギー貯蔵駆動装置または磁気駆動装置である。
【0021】
周波数変換器は、好適には、機械的切替装置の動作後にも、短絡のない通常動作の期間を通じて通常の定格電流をコンシュマーネットワークに供給する。
【0022】
本発明による方法の好ましい改良の1つによれば、周波数変換器をブリッジした後、短絡基準がなくなるのを待つ。短絡基準がない状態では、機械的切替装置は、周波数変換器のブリッジを解除するように作動され、コンシュマーネットワークの周波数は、短絡のない通常動作向けの通常の周波数へ戻される。一例として、これは、急に行われるか、または好ましくはランプ関数を利用して行われる。
【0023】
監視手段は、有利には、コンシュマーネットワーク内でエネルギーが生成されているかどうかをチェックして、コンシュマーネットワーク内にエネルギー生成が見つかった場合には切替装置の作動を防止する。次いで、短絡電流は、コンシュマーネットワーク内の発電機によって供給することができる。
【0024】
本発明のさらなる都合のよい任務および利点は、本発明の例示的実施形態の、以下の、図面の参照を伴う説明の内容である。
【0025】
図面は、本発明による装置の1つの例示的実施形態を概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による装置1の例示的実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
装置1は、周波数変換器2および機械的切替装置3を備え、機械的切替装置3は、周波数変換器2をブリッジするように設計され、周波数変換器2と並列の3相の並列分岐4として構成される。明瞭さのために、図面は、相を1つだけ示している。しかし、図示された相上の3本の短い横方向のストロークは、本発明による装置の図示された例示的実施形態が3相の装置であることを示すように意図されている。しかし、本発明による装置は、原理的にはいかなる所望の相数も有することができる。
【0028】
図示された例示的実施形態では、機械的切替装置3は、3極スイッチの断路器である。スイッチ断路器の各極は、その端部が互いに対向する2つの接点を有する真空遮断管を有する。
【0029】
接点のうちの1つは、ドライブ動作を導入にすることにより、両接点が真空チャンバ内で互いに分離されている分離位置から、両接触が互いに重なる接触位置へ移動することができるように、縦方向に移動することができるように導かれる。ドライブ動作は、磁気駆動装置(図示せず)によって生成され、スイッチング機構(これも図示せず)によって接点に導入される。磁気駆動装置は、信号線を介して開ループ制御装置9に接続される。
【0030】
周波数変換器2は、整流器6として作動される変換器およびインバータ7として作動される変換器を有し、整流器6およびインバータ7は直流電圧接続路8によって互いに接続されている。最初に説明されたように制御手段を備える開ループ制御装置9は、閉ループ制御、変換器6、7の保護、および機械的切替装置3のトリッピングのために使用される。
【0031】
本発明による装置は、入力接続手段としての入力トランス10および出力接続手段として出力トランス11によって50HzのAC電圧を搬送する電力供給システム12に接続される。図示された場合では、コンシュマーネットワーク13は、湾内の比較的大きな船舶の配電システムである。この場合、船舶配電システム13は、周波数変換器2によって地上ベースの電力供給システム12に接続されている。したがって、電力供給システム12からの50Hzの電圧を船舶配電システム13用の60Hzの電圧に変換するのに周波数変換器が必要とされる。
【0032】
周波数変換および送電の閉ループ制御ならびに機械的切替装置3の動作のために、開ループ制御装置9が、電力供給システム側の入力電流センサ14および船舶配電システム13内に配置された出力電流測定センサ15に接続されている。さらに、開ループ制御装置9は、電力供給システム側の電圧測定センサ16および船舶配電システム13内に配置された出力電圧測定センサ17に接続されている。船舶内の発電機のすべてがオフになっている場合、船舶配電システムはスタンドアローンのネットワークである。この場合、もっぱら周波数変換器2によって供給電流を供給しなければならない。短絡の場合に、障害識別に対して、周波数変換器がオフになるのが急激すぎるのを防止するために、開ループ制御装置9は、コンシュマーネットワーク13内の電圧Uoutの振幅の監視に出力電流測定センサ15を使用する。短絡基準が満たされたことを開ループ制御装置が見つけた場合、例えば、測定された電圧が開ループ制御装置9において実施された、以前に定義された電圧閾値を下回った場合、またはコンシュマーネットワーク13内におけるインピーダンスの容認できないアンダーシュートが見つかった場合には、開ループ制御装置9は、周波数変換器2が、コンシュマーネットワーク13に、定格電流のみの給電を継続することも保証する。短絡電流が流れていないので、短絡を突き止めることができない。さらに、開ループ制御装置は、周波数変換器2の出力電圧Uoutがその入力電圧Uinに一致することを保証するためにステップ関数またはランプ関数を使用する。換言すれば、船舶内のコンシュマーネットワーク13の60Hzの周波数が50Hzの周波数に変化される。一旦、出力電圧Uoutと入力電圧Uinの周波数が同一になり、これらの測定変数Uin、Uoutが同相になると、スイッチ断路器3が、すなわち、換言すれば機械的切替装置が閉じられる。このとき、定格電流を上回る大きな短絡電流が並列分岐4を通って流れることができる。しかし、機械的切替装置3がトリップされる前に、開ループ制御装置9は、入力電圧システムセンサ16によって検出された電圧Uinの電力供給システム側の位相を、出力電圧測定センサ17によって検出された消費側の電圧Uoutの位相と比較する。
【0033】
船舶内のコンシュマーネットワーク13の保護装置(図示せず)が、短絡を突き止めて分離するために短絡電流を用いる短絡期間が経過した後、開ループ制御装置9は、接続されているセンサ15および17からの信号を評価することにより、短絡基準がなくなったことを識別する。開ループ制御装置9は、機械的切替装置3をオフにする、すなわちその接点を分離位置へ移動する。このとき、もっぱら周波数変換器2によって電力が再度供給される。最後に、切替装置3のスイッチがオフになった後、インバータ7用の閉ループ制御が、コンシュマーネットワーク13において、いわゆるランプ関数を用いて、元の60Hzの交流電圧が徐々に回復することを保証する。
【符号の説明】
【0034】
1 装置
2 周波数変換器
3 機械的切替装置
4 並列分岐
6 整流器
7 インバータ
8 直流電圧接続路
9 開ループ制御装置
10 入力トランス
11 出力トランス
12 電力供給システム
13 船舶配電システム
14 入力電流センサ
15 出力電流測定センサ
16 電圧測定センサ
17 出力電圧測定センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給システム(12)からの電力をコンシュマーネットワーク(13)に供給するための装置(1)であって、
前記装置(1)が、一方では前記電力供給システム(12)に接続され他方では前記コンシュマーネットワーク(13)に接続され得る周波数変換器(2)を有し、
前記周波数変換器(2)と並列に配置され、前記周波数変換器(2)をブリッジするように設計された機械的切替装置(3)と、
前記切替装置(3)に接続され、前記周波数変換器(2)を通って短絡電流が流れていると判明したとき前記切替装置(2)を作動させるように構成された制御手段(9)と、
によって特徴付けられる装置(1)。
【請求項2】
前記制御手段(9)は、前記周波数変換器(2)に接続され、前記周波数変換器(2)の周波数変換に影響を及ぼすように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記周波数変換器(2)の前記電力供給システム側の電気的入力測定変数(Iin、Uin)を検出するように設計された入力測定センサ(14、16)と、
前記周波数変換器(2)の前記コンシュマーネットワーク側の電気的出力測定変数(Iout、Uout)を検出するように設計された出力測定センサ(15、17)と、
を具備し、
前記制御手段(9)は、前記入力測定センサ(14, 16)および前記出力測定センサ(15, 17)に接続され、また、前記周波数変換器(2)の前記出力周波数をその入力周波数に設定し、かつ選択された入力の測定変数(Uin)および対応する出力の測定変数(Uout)が同一の周波数および位相角になるまで前記機械的切替装置(3)の動作を遅らせるように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記装置を前記電力供給システムへ接続するための入力接続手段(10)および/または前記装置を前記コンシュマーネットワークへ接続するための出力接続手段(11)によって特徴付けられる請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記周波数変換器(2)が、互いに直流電圧側に接続された変換器(6、7)であって、それぞれが制御可能な電力半導体バルブを有する変換器(6、7)を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記機械的切替装置(3)が、互いに対して移動することができる接点を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記機械的切替装置が、ドライブ動作を生成するための駆動装置および前記ドライブ動作を前記接点に導入するためのスイッチング機構を有することを特徴とする請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
電力供給システム(12)からの電力をコンシュマーネットワーク(13)に供給する方法であって、
前記電力供給システム(12)は、周波数変換器(2)および機械的切替装置(3)を介して前記コンシュマーネットワーク(13)に接続され、
前記機械的切替装置は、前記周波数変換器(2)をブリッジするように構成され、
前記コンシュマーネットワーク(13)は、短絡基準に対して監視され、短絡基準が存在するとき、前記コンシュマーネットワークの周波数が前記電力供給システムの周波数へ変化され、
前記周波数変換器は、短絡のない通常の動作中の通常の定格電流をコンシュマーネットワークに供給し続け、次いで前記機械的切替装置(3)が、前記周波数変換器(2)をブリッジするように閉じることを特徴とする方法。
【請求項9】
少なくとも1つの電気的入力変数Uinが前記周波数変換器(2)の前記電力供給システム側で検出され、
少なくとも1つの電気的出力変数Uoutが前記周波数変換器(2)の前記コンシュマーネットワーク側で検出され、
前記入力変数Uinの位相が前記出力変数Uoutの位相と比較され、
前記短絡基準が一旦満たされると、前記入力変数Uinと前記出力変数Uoutとが同一周波数であり、かつ同相であると判明したときに限って前記機械的切替装置(3)が閉じられることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記周波数変換器(2)が、前記機械的切替装置(3)の動作後にも、通常動作の期間を通じて通常の前記定格電流を前記コンシュマーネットワークに供給することを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
周波数変換器(2)をブリッジした後に、前記短絡基準がなくなるまで待ち、
前記短絡基準がない状態では、前記機械的切替装置(3)が、前記周波数変換器(2)の前記ブリッジを解除するように作動され、
前記コンシュマーネットワークの周波数が、短絡のない通常動作向けの前記通常の周波数へ戻されることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
監視手段が、前記コンシュマーネットワーク(13)内でエネルギーが生成されているかどうかをチェックして、前記コンシュマーネットワーク(13)内にエネルギー生成が見つかった場合には前記切替装置(3)の作動を防止することを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−508552(P2012−508552A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535089(P2011−535089)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064460
【国際公開番号】WO2010/052188
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(508008865)シーメンス アクティエンゲゼルシャフト (99)
【Fターム(参考)】