説明

便利培地

【課題】便利培地は、生体、特に口腔内よりの微生物の定性、定量、同定、鑑別、病原性、活動性などの計測、検査を従来培地よりも強力、容易になすことを課題とする。
【解決手段】主に3次元培地手段、3次元培地成分(供給)手段、ガス計測手段、血液溶解手段、挿入手段など、とくに3次元培地手段を使用することにより前記課題を解決する。またポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の場合は、所定のNa(ナトリウム)、K(カリウム)の比率、糖無添加、2g/リットル程度の寒天などの媒体、2.6%の溶血液、0.2g/リットル程度のカナマイシンなどを含有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物における採取部位での存在、濃度や種類などを容易に判別したり、微生物の増殖、輸送を強力に支持するなどの培地に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来には、シャーレなどのプレート上での2次元培地あるいは液体、半流動体、流動体での擬似3次元培地などの不便な培地があったが、3次元培地手段などを有する便利な培地はなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
臨床の現場、特に歯科開業医での現場で簡単、迅速に微生物の培養、微生物の定性、定量、同定、鑑別、病原性、活動性などの計測、検査ができることが課題である。
一例として従来のポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の選択培地は、羊血液にペプトンを基礎としてナリジクス酸15mg、バシトラシン10mg、コリスチン硫酸塩10mgによる2次元培地しかなくこのいわゆるBGA培地は、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の発育支持、選択性などもわるく、かつこの培地に生える他の細菌コロニーとの鑑別さえもできていなかった。この培地に血液溶解手段などを採用するなどにより発育支持、選択性、鑑別性が格段に良くなる。さらにカナマイシンなどの抗生剤を、0g/リットルよりおおきく、1g/リットル程度以下、このましくは0.2g程度追加投与するとさらに選択性が格段に良くなる。さらにまた3次元培地手段を使用すると発育もよく、採取部位での活動度の判別もよく、さらに嫌気ジャーなどの特殊な培養手段を使用せずに嫌気培養ができる。定性、定量、同定、鑑別、病原性、活動性などの計測、検査も容易にできるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1〔請求項1の手段〕
請求項1の便利培地は、
3次元培地(手段)を備える事を特徴とする。
2〔請求項2の手段〕
請求項2の便利培地は、
3次元培地成分(供給)手段を備える事を特徴とする。
3〔請求項3の手段〕
請求項3の便利培地は、
血液溶解手段を備える事を特徴とする。
4〔請求項4の手段〕
請求項4の便利培地は、
挿入手段を備える事を特徴とする。
5〔請求項5の手段〕
請求項5の便利培地は、
1リットル中に2.6%の溶血液を含むことを特徴とする。
6〔請求項6の手段〕
請求項6の便利培地は、
1リットル中にカナマイシン、ゲンタマイシンあるいはアミカシンなどのアミノグルコシド系抗菌剤を0mgより大きく、1g以下含むことを特徴とする。
7〔請求項7の手段〕
請求項7の便利培地は、
1リットル中に0gより大きく、20g/リットル程度以下の寒天を含むことを特徴とする。
8〔請求項8の手段〕
請求項8の便利培地は、
便利培地は、糖無添加を特徴としたポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)培地であることを特徴とする。
9〔請求項9の手段〕
請求項9の便利培地は、
所定のNa(ナトリウム)、K(カリウム)の比率を有する事を特徴とする。
10〔請求項10の手段〕
請求項10の便利培地は、
ガス計測手段を備える事を特徴とする。

【発明の効果】
【0005】
1〔請求項1の作用および効果〕
請求項1の便利培地は、
3次元培地(手段)を備える事を特徴とするので、
微生物の発育などが良い。さらに培養、増菌、定性、定量、同定、鑑別、病原性、活動性なども従来培地に比べ格段にすぐれる。
2〔請求項2の作用および効果〕
請求項2の便利培地は、
3次元培地成分(供給)手段を備える事を特徴とするので、
微生物の発育などが良い。さらに培養、増菌、定性、定量、同定、鑑別、病原性、活動性なども従来培地に比べ格段にすぐれる。
3〔請求項3の作用および効果〕
請求項3の便利培地は、
血液溶解手段を備える事を特徴とするので、
簡単に酸化などされない良質な溶血液を備える事ができる。それにより血液利用微生物の発育が格段に良くなる。また製品価格が非常に安くなる。
4〔請求項4の作用および効果〕
請求項4の便利培地は、
挿入手段を備える事を特徴とするので、ペーパーポイントなどの採取手段を先端から任意の位置に培地に挿入できるので、培地への汚染物質の混入防止や、最適深度、すなわち最適酸化還元電位位置に採取物を位置させることができる。
5〔請求項5の作用および効果〕
請求項5の便利培地は、
1リットル中に2.6%の溶血液を含むことを特徴とするので
血液利用微生物の発育が特に良好となり、また黒色色素産生菌の鑑別が良好となる。
6〔請求項6の作用および効果〕
請求項6の便利培地は、
1リットル中にカナマイシン、ゲンタマイシンあるいはアミカシンなどのアミノグルコシド系抗菌剤を0mgより大きく、1g以下含むことを特徴とするので
選択性が良好となる。とくに黒色色素産生菌、そのなかでもポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の選択培地として良好な選択性をもつ。
7〔請求項7の作用および効果〕
請求項7の便利培地は、
1リットル中に0gより大きく、20g/リットル程度以下の寒天を含むことを特徴とするので
3次元培地を良好に形成可能となる。また2g/リットル程度程度にては発育支持が最も良好となり、さらにまた3g/リットル程度以上ではターゲット微生物に合わせて、その添加量毎に最適値があり、良好な便利培地を形成できる。
8〔請求項8の作用および効果〕
請求項8の便利培地は、
便利培地は、糖無添加を特徴としたポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)培地であることを特徴とするので
ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の選択性が良好となり、さらに抗生剤などの選択剤と違い、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)自身の発育を変化させず、もしくは発育上昇しながら、他の糖利用菌を抑制できる。よって非常に良い選択性を培地にもたらす。
9〔請求項9の作用および効果〕
請求項9の便利培地は、
所定のNa(ナトリウム)、K(カリウム)の比率を有する事を特徴とするので
さらに発育が良くなる。とくにポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)には、発育にとって非常に重要な因子である。
10〔請求項10の作用および効果〕
請求項10の便利培地は、
ガス計測手段を備える事を特徴とするので
従来の培地より非常に迅速に微生物における 培養状態、増菌状態、定性、定量、同定、鑑別、病原性、活動性を計測できる。また微生物の産生物を計測できるので研究にも最適である。


【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の便利培地を実施例または変形例に基づき説明する。
生体、特に口腔内よりの微生物などの培養、増菌、定性、定量、同定、鑑別、病原性、活動性のいづれかまたはその組み合わせを計測、検査する事を実施の形態とする。
本発明の処方は、特にことわりなければ1リットル(1l、/lまたは1000ml)中の量である。
【0007】
〔実施例の構成〕
一例としてポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)をターゲット菌とし、その菌の培地基礎処方として栄研化学の糖無添加(ブドウ糖、可溶性でんぷん無添加)ABCM処方の試薬(培地)を使用する。糖を要求する微生物に対しては要求する糖をいれたり、糖添加のものを使用する。(栄研マニュアルに組成が記載されている。)また各種微生物に対して要求される組成を使用すればよい。ここでは一例としてポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)をターゲット菌にしたために糖無添加とした。(糖無添加によりポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の選択性が格段にあがる。)
【0008】
そして前記ABCM処方試薬においてヘミンを5mg追加し総量で10mgとする。(元処方ではヘミンは5mgである。)またビタミンK1を10mg添加する。ここでヘミン、ビタミンK(K1,K2,またはK3のいづれかまたは、その組み合わせ)は、10mg程度から20mg未満とする。さらにビタミンKに関して、K3は不安定だが発育に良好であるが、K1が安定していて使いよいのでK1を主に使用する。また酵母は、3g程度から8g程度を添加する。
【0009】
以上具体的な一例には、基礎試薬処方として
植物エキス 2g
酵母エキス 5g
肉エキス 3g
ペプトン 10g
とりペプトン 10gから/または15g
ソイペプトン 3g
塩化ナトリウム 2g
L−システイン塩酸塩 0.3g
チオグリコール酸ナトリウム 0.3g
ヘミン 10mg
ビタミンK1 10mg
HPO 2.5g
などを使用する。
これに必要に応じて馬、羊、ウサギなどの血液、溶血液を添加し使用する。
【0010】
この組成に寒天3g/リットル(以上)添加したものを試験管などの容器(基本的に容器は透明である。)にいれる。そしてこの培地に図1のごとく滅菌カッター(滅菌ナイフ、メス、押し切りなどでも良い)などの3次元(培地)作成手段にて溝、または切れ込みを作る。この溝または切れ込みが3次元培地の培養部分であり、これが3次元培地(手段) 1 あるいは3次元培地(手段) 1 である。図1の3次元(培地)作成手段は一例であり、切って作るのではなく型で作成し合わせて3次元培地(手段) 1 を形成しても良いし、培地上にジェルを注入して形成してもよいなど、3次元培地(手段) 1 が形成できれば、3次元(培地)作成手段はどのような手段でもよい。
【0011】
この時、溝は毛細管現象がおこるぐらいから、毛細管現象がおこらない大きさまでどのような大きさを有してもよいが、微生物に合わせて設定を行う。好適には、毛細管現象がおこる方の大きさが良い様である。これはターゲット微生物に適合させると良い。
【0012】
そしてこの培養場である3次元培地(手段) 1 に3次元培地成分(供給)手段 2 、ここでは寒天に滲みこんだ前記培地成分などから3次元的に培地成分(栄養、選択剤、発色剤など)を供給することができる。さらにここで多孔質セラミック、ガラス、樹脂など、寒天以外の媒体でも同様の効果があれば使用してもよい。
【0013】
3次元培地成分(供給)手段 2 には微生物が進入できないか、もしくは進入困難な程度が好適である。(やや進入困難な程度にし進入程度を観察しても良い。)これにより液体培地などの欠点、すなわち微生物の希釈により発育支持を著しく下げてしまったり、投与菌数の減少による発育量の閾値を作ってしまったりする欠点を克服できる。
ここで3次元培地(手段) 1 の一例として、この3次元培地(手段) 1 の形状例をいくつかあげる。
【0014】
一例として図2a、図2bの溝または切れ込み型。{基本的に容器は透明である。}
発育支持が高く、発育程度、採取部位での微生物濃度などの観察ができる。おおまかに酸化還元程度による微生物発育程度もわかる。図のごとく中心部などにペーパーポイントなどの微生物採取手段を挿入する。ここで図2aは、上から見ると直線型の3次元培地(手段) 1 で図では中心に採取手段であるペーパーポイントを挿入している。そしてこの部分を中心に左右に菌のコロニー(濁りなど)が広がってゆく。左右の平均や代表値をとって統計学的精度を上げても良いし、また採取手段であるペーパーポイントを端に挿入させて観察面を大きくし大量の微生物培養にしても良い。
図2bは、上からみると十字形に3次元培地(手段) 1 を形成したものであり、面を4面とっているので、4面の平均や代表値をとって統計学的精度を上げても良い。
さらに図2a、図2bの3次元培地(手段) 1 は、採取手段であるペーパーポイントを挿入した反対側に走化因子や栄養因子を挿入して走化因子性を観察しても良い。これは、下記の培地にも適用しても良い。
【0015】
他例としてこの溝の他、円形に寒天をくりぬいた3次元(培地)手段(図3a、図3b)、(基本的に容器は透明である。)
発育支持が高く、発育程度、採取部位での微生物濃度などの観察ができる。おおまかに酸化還元程度による微生物発育程度もわかる。
図3aにおいては、ペーパーポイントなどをポイント的に挿入した場合、その部分からコロニー形成が始まり横に、すなわち円の溝に沿ってコロニーが順次形成されるので、微生物の発育程度や採取部位の微生物濃度、さらには酸化還元電位による微生物の簡易同定などが見られる。さらに両横の発育は平均をとるなどして発育程度の統計学的精度をあげることができる。ここで円形に溝(3次元培地(手段) 1 )が形成されているので、面積を大きくとれる。
図3bは、微生物の増菌、保存に好適である。
【0016】
円形と溝をあわせたもの(図4a、図4b)(基本的に容器は透明である。)
発育支持が高く、発育程度、採取部位での微生物濃度などの観察ができる。おおまかに酸化還元程度による微生物発育程度もわかる。円形の溝にペーパーポイントを挿入するので、3次元培地成分供給手段にペーパーポイントが擦れずに挿入ができるので、深部へ採取した微生物をおくれる。これは、ペーパーポイントなどの採取手段を深部に送る深部挿入手段であり、上記あるいは下記培地と組み合わせて使用しても良い。ここでは、一例として図2のものとの併用例を図示した。
【0017】
所定の酸化還元電位面に合わせてつくられたもの(図5a、図5b)(基本的に容器は透明である。)(深いところの3次元培地(手段)ほど還元雰囲気となる。)
特定の酸化還元電位の3次元培地に特定の微生物が発育するので、鑑別ができる。
図5aは、採取微生物の最適酸化還元電位を3次元培地の溝あるいは切れ込みの底面に設定してあるもので、内部の円柱の溝が、その底面にて外部の円筒状の溝に接続されており、前記設定されている酸化還元電位の微生物が多量に外部の溝に供給される酸化還元電位フィルターとなるものである。
図5bは、中心の円柱上の3次元培地手段が、1つ以上の所定の酸化還元電位に設定されてる横方向円形の3次元培地に接続されており、特定の酸化還元電位の微生物が特定の横方向3次元培地に発育するので、特定の微生物の発育(分離培養、選択)など、あるいは特定の微生物の鑑別に役立つことができる。
【0018】
あるいは半円形型(図6)などがある。これは上部に内部への円形と半円の溝との孔があいておりここに前記3次元(培地)作成手段を通過させるなどして内部に充填してある培地に3次元培地手段を作成する。(基本的に容器は透明である。)そして使用するときは、前記3次元(培地)作成手段と同じ軌跡あるいは、円形の溝部分のみにペーパーポイントやポケットプローブを挿入する。円形の溝のみに挿入した場合、端からコロニー形成が始まり横にコロニーが順次形成されるので、微生物の発育程度や採取部位の微生物濃度、さらには酸化還元電位による微生物の簡易同定などが見られる。
【0019】
以上前記、後記などのこれら3次元培地は目的にあわせて使用する。もちろん上記組成は一例であり、目的にあわせて選択、変化させることは言うまでもない。
組成の一例として寒天を3g/リットルとしたが0〜2g/リットルでも良い。この場合発育支持があがる場合が多い。とくに発育支持能において好適には寒天2g/リットル程度である。また量を15g程度にしたり、さらに多く20g程度にしたりして発育を制御しても良い。などである。
【0020】
ここで前記の溝、切れ込みなどに沿って微生物が発育するが、微生物の種類によっては壁側、すなわちこの場合の寒天内部へ食い込んでくるものもある。この食い込みも鑑別に役にたち、この食い込みが通常の2次元培地より容易に観察ができる。
【0021】
ここで、寒天に溝などをつけたが、ガラス、プラスチックあるいはセラミックスなどを寒天の代わりに使用しても良い。その場合、溝に前記培地組成の液体(液体培地)を挿入しても良いし、半流動あるいは固形状の培地を挿入しても良い。これらは、溝や切れ込みをつくる逆の手順にて3次元培地(手段) 1 をつくることができる、すなわち3次元培地(手段) 1 を型によるつくる3次元(培地)作成手段である。
【0022】
ここでこれら材質に多孔質なものを使用するのが3次元(培地)手段に3次元的に培地成分を供給できるのでよい。寒天も同様の効果がある。これは前記3次元培地成分(供給)手段 2 である。
【0023】
またこのとき複数の型で3次元培地(手段) 1 を形成する場合、それぞれの型に独自の成分を浸透させてもよい。これを分割3次元培地成分(供給)手段とする。
【0024】
さらにまた、シリコンラバーなどのゴム質にて3次元培地(手段) 1 をなしてもよい。
ここで、各3次元培地に閉鎖手段 3 を併用しても良い。この時さらに閉鎖手段 3 の内部にペーパーポイント挿入手段などの採取手段の挿入固定をする挿入手段を設けても良い。(図2,図4,図7,図8)これにより先端から任意に培地に挿入できるので、培地への汚染物質の混入防止や、最適深度、すなわち最適酸化還元電位位置に採取物を位置させることができる。
【0025】
[動作]
口腔内の歯周ポケットの入り口付近の歯垢を綿球などで除去し、ペーパーポイントを歯周ポケットに挿入する。そしてそのポイントを前記便利培地の溝などの3次元培地(手段) 1 に挿入させる。(図2、図3、図4、図5、図6など)ここで、ポイントなどの挿入深度は、術者の自由であるが、一定の値を保持するほうが誤差がすくない。
【0026】
こののち、ペーパーポイントを一定時間の後に撤去してもよいし、そのまま含浸させておいてもよい。さらにこのとき閉鎖手段 3 (キャップ)を使用してもよい。さらなまたキャップ内側にポイント挿入手段を設けて、所定の部分のみ培地に含浸あるいは挿入するように設けてもよい。すると最適深度、すなわち最適酸化還元電位位置に採取物を位置させることができる。
【0027】
そしてそのまま好気型の通常インキュベーターにて適当な時間培養する。ここで嫌気性菌でも好気雰囲気で培養が可能であるのも3次元培地の利点である。また寒天などの媒体に進入あるいは食い込んで発育できない菌も3次元(培地)手段のおかげで良好な発育を可能とし、さらに液体培地や固体、半流動培地よりも発育支持が高い。またコロニーレベルの判定も安定している。
【0028】
この時とくに嫌気錠剤は不要であるが、3次元培地手段の成長パターンを制御するために嫌気錠剤を使用したり、COボンベによるCOの吹きかけ、嫌気ジャーを使用しても良い。またさらに発育支持をさらに上昇させるために前記嫌気手段を使用しても良い。
【0029】
一例として、その後アネロ嫌気パックなどの嫌気剤とともに嫌気ジャーに入れ、その嫌気ジャーをインキュベーターに入れ、一例として37度C48時間などで培養するなどであるが、高価な機器が必要となってくる。
ここで培養時間は、結果が観察されればどのような時間でもよいのはいうまでもない。
【0030】
[効果]
液体培地では微生物が希釈されてしまい発育支持が低下するのが大きな問題のひとつであり、このことは液体培地における発育量の閾値を形成してしまうなどの欠点を生じる原因となっている。また2次元培地においては、平面上なので発育がわるい。すなわちシャーレに入ったプレート型の2次元培地では、栄養などの培地成分の供給が2次元的なので発育が悪く3次元(培地)手段には到底及ばない。さらに2次元培地では栄養供給などが界面の性状によってさらに栄養供給が乏しくなるのが大きな問題のひとつである。しかし
【0031】
3次元培地は、3次元(培地)手段により従来得られないほどの高い発育支持が得られる。さらにコロニーレベルの判定が容易にできる。すなわち菌発育の程度は液体などの濁度によるが、液体培地の場合は、全体が全か無かぐらいの濁度変化をし、またある一定以上の菌数を液体に挿入しないと発育(けん濁)しない。これでは採取部位にある一定以上の菌がいるか、いないかの定性試験しかできていないことになる。これに対して本3次元培地は、液体培地や寒天上の2次元培地に比べて少量の菌数から計測ができる(感度が非常に高い。)
【0032】
そして、発育程度、すなわち3次元培地の濁度が時間とともにじょじょに広がってゆくので、採取部位の菌量(生菌の量すなわち活動度)が計測できる。
ここで、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)などのガス発生菌は、3次元(培地)手段が狭い場合などに、その発生ガスが気泡(バブル)となって見える場合があり、発育度、活動度の目安となる。また溶血液などを投与した3次元(培地)手段などでは、その気泡(バブル)が黒くなるバブルブラックが見える場合がある。このときは、ガス発生と黒色化という2つの鑑別における指標となる。さらに3次元(培地)手段に選択性の成分が存在する場合には、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)とほぼ同定ができる。またバブルやバブルブラックは、比較的初期に見られるので迅速同定ともいえる。 このバブルは、いずれの型の3次元培地で使用してもよい。
【0033】
また3次元培地は、培地成分の変化を容易に視認観察できるので、さらなる活動度を観察できる。また溶血液を菌の接種と同時に投与することもできる。この場合視認性がさらに良くなる。
【0034】
さらに酸化還元電位ごとに切れ込みを作っておけば、どの切れ込み(バンド)に微生物がどの程度発育したかにより同定の一助となる情報が得られる。(図5)
【0035】
さらに嫌気性菌でも好気雰囲気のインキュベーターでも培養が可能であるのも3次元培地の利点である。また寒天などの媒体に進入あるいは食い込んで発育できない菌も3次元(培地)手段のおかげで良好な発育を可能とし、さらに液体培地や固体、半流動培地よりも発育支持が非常に高い。さらにここで、半流動や寒天培地などに図1のごとく歯周ポケットに挿入し菌の付着したポケットプローブで溝をきりながら菌を付与するようにしてもよいが、この場合菌が均一に付着しないなどの不具合があるので、やはりお薦めは、3次元培地である。
【0036】
閉鎖手段 3 の培地側にCO2発生剤などのガス発生手段を使用してもよい。これを使用すると菌の発育がさらに向上する。また抑制ガス発生による菌の発育時間を制御したり、目的以外の菌の発育を抑制する抑制手段として使用してもよい。
【0037】
さらに閉鎖手段 3 の培地側にガス検地手段を設けて、ガスの多さにより菌量の判定を行ってもよい。一例としてガス検地手段は、既知のアンモニア、CO2、酸素検地剤などである。
【0038】
さらにまた、BaF2窓などのガス計測手段 4 を設けて、ガス分析を行ってもよい。これにより菌の迅速同定が可能となる。(図7)
【0039】
ここで、特願2002ー137841健康計測診査装置の各手段を使用、併用してもよい。
【0040】
1 定性;
本便利培地の3次元(培地)手段に生じる色調、濁度、電磁波(光線)透過度の変化で定性計測ができる。
【0041】
2 定量;
色調、濁度、電磁波(光線)透過度の変化の大小などで定量ができる。一例としてポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)を投与すると白濁(血液なしの時)するが、2日などの時間設定をして観察すると白濁範囲の違いにて定量ができることがわかる。もちろん既知の検量線手段などを定量化手段を使用しても良い。また出願日16年2月6日出願の特願2004−031432 ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)試薬の記載内容を併用あるいは使用してもよい。また別の一例として特願2002―137841健康計測診査装置の各手段のいづれかを使用して定量化を行っても良い。
【0042】
3 同定;
便利培地に鑑別手段を投与すれば、それに対し反応するコロニーは、高確率で同定ができる。この時鑑別手段を便利培地の3次元(培地)手段に培養時に挿入すれば、効率の良い鑑別となる。また具体的な一例として鑑別手段に透明度の悪い物質(一例として血液、溶血液など)を使用しても容易に視認が可能となるのも3次元(培地)手段の特徴である。さらにこの場合3次元培地の寒天などを鑑別手段がさらに浸透しにくい物質に変えても良い。一例として寒天濃度をあげたり、3次元(培地)手段の溝の表面のみが多孔質となったガラスを使用するなどである。
【0043】
4 鑑別;
さらに別の鑑別手段として3次元(培地)手段の溝表面にピッティングが容易に観察できる。これは他の菌との鑑別に役立つ。
【0044】
5 病原性;
一例として、所定の時間に前記白濁(濁度など)が多くなればなるほど病原性も高い、またコロニーや濁度の形成速度が大なら病原性も大とするなどで病原性がわかる。
【0045】
6 活動性;
本試薬に生える微生物の、3次元(培地)手段における範囲の広さなどあるいは、発育速度が活動性の値と比例するので、採取部位での微生物の活動度がわかる。
【0046】
一例として歯周ポケット内でのポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の活動性がわかる。 さらにPCR試験、前記濁度(白濁、黒濁などの色素濁)の広さを比較して精度を上げても良い。すなわちPCR試験では生菌、死菌すべてのDNA,RNAをとらえ採取部位の菌の数を捕らえる。一方培養法では、活動度の高い菌は多く生え、活動度の低い菌は生えがわるく、さらに死菌では生えない。この2つの計測値の比率や差は、生菌と死菌の差、比率でもあるし、また活動度の合計値と死菌との差、比率ともいえる。さらにまた抗体、白血球などに破壊された菌の量、寿命でこわれた菌の量などを推定するのに役立つ。
【0047】
[第2実施例] 血液溶解手段
第2実施例は、血液溶解手段を備えた便利培地の開示である。
【0048】
A 微生物由来あるいは微生物による血液溶解手段
血液溶解手段がスタフィロコッカスオーレウス(Staphylococcus aureus)など溶血微生物の血液溶解手段であることを特徴とする。具体的な一例には、スタフィロコッカスオーレウス(Staphylococcus aureus)を培養し、その培養液を1μm未満のろ過フィルター(望ましくは0.1μm未満)を使用し、細菌以外の成分を抽出し、その抽出物を培地に血液溶解手段として混入する。
【0049】
B クッパー細胞などの細胞由来の血液溶解手段
血液溶解手段がクッパー細胞など細胞由来の血液溶解手段であることを特徴とする。具体的な一例には、前記クッパー細胞を細胞培養しその培養液を1μm未満のろ過フィルター(望ましくは0.1μm未満)を使用し、細胞以外の成分を抽出し、その抽出物を培地に血液溶解手段として混入する。ここで、クッパー細胞自身を粉砕して濾過物を使用したり、クッパー細胞自身を培地に混入してもよい。
【0050】
さらに溶血酵素を精製、化学合成、生物合成、物理合成、プラスミド合成などして血液溶解手段を作ってもよい。この場合ターゲット菌に特異性がない場合もある。
また血液溶解手段の添加量は、溶血させる血液など培地成分によって変化させて所定量を求めて使用する。さらにミスラー法や、臨床での使用にて所定量を決定しても良い。
【0051】
[動作、使用方法]
これらの血液溶解手段を微生物採取時に前記血液溶解手段を培地に混入、塗布、投与して微生物の投与を行う。
【0052】
また製造時に混入しておき、所定時間溶血を行って後に出荷しても良い。
【0053】
[効果]
黒色色素産生菌をはじめとして血液利用菌などは、溶血液の質により発育、コロニーの大きさ、発色などに大きな差が生じる。ここで溶血液を還元雰囲気、無酸素雰囲気などにて製造すれば良質の溶血液が得られ、それを還元雰囲気、無酸素雰囲気などにて培地に混合させ製造すればさらに良い溶血液添加培地ができあがるが、その施設は非常に大がかりで、高価なものとなり非現実的である。
【0054】
一例として工場の溶血液培地製造ラインをすべて、還元雰囲気にするなどであるが、非現実的である。
【0055】
ここで、簡単な仕組みで安価に良質な溶血液を培地に実現できる手段を開示する。すなわち、培地を製造する段階にて培地成分と血液そして血液溶解手段を所定量混入し血液培地を作成する。その血液培地の血液を酸素吸収剤や還元雰囲気剤あるいは脱酸素―還元雰囲気ガス発生剤入りのパックに包装する。ここで培地製造時には赤血球は、細胞膜に覆われており、その内容物が酸素などで劣化しないか、あまり劣化しない状態にある。そして血液溶解手段は、所定の時間をかけて血液を溶血液へと変化させる。
【0056】
[変形例]
ここでポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)は、よわい溶血性があるが、他の溶血菌、特に強く溶血菌であるベータ溶血(β溶血)菌の溶血を利用できる場合がある。ここでいう共生とは、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)が、この溶血を利用できる場合、この溶血菌を共生菌とし、利用できない場合の菌を拮抗菌とする。
【0057】
具体的な一例として、スタフィロコッカスStaphylococcus(オーレウスなど(Staphylococcus aureus))などの溶血環上のポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)コロニーは、黒色化できるが、エンテロコッカスEnterococcus(フェカーリスなど(Enterococcus faecalis ))などでは、その溶血環内のポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)コロニーを黒色化することが著しく遅れるか、または困難となる。
【0058】
したがってポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の培地には、前記スタフィロコッカスStaphylococcus(オーレウスなど(Staphylococcus aureus))などからの血液溶解手段を採用するのが好適である。ここで、黒色色素産生菌は血液溶解手段にて選択性を与える事もできるので、黒色度合や黒色化による鑑別を血液溶解手段で行っても良い。また血液溶解手段を選択剤として使用してもよい。(ここで、単なる化学合成の血液溶解手段は、選択性をもたない場合もありえる。)
【0059】
前記 便利培地や2次元培地でも使用できる培地を嫌気性菌とくにポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)に適用した例をさらに開示してゆく。
【0060】
すなわちここで、通常プレート培地にてポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)に適した組成を開示する。この組成を前記3次元培地に使用しても良い。
【0061】
前記糖なしABCM処方試薬にヘミン5mg添加、ビタミンK1を10mg添加、すなわちヘミン、ビタミンKを総量で10mgとした培地(寒天は総量で15gとした。)を基礎培地として、この培地に馬溶血液添加量を1%、2.5%、2.6%、3%、5%、10%とし、各培地にポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)をマックファーランド#3から、順次1/10づつ希釈した菌液を滴下するミスラー法によるコロニーの発育、コロニーの黒色化実験を行うと、2.6%が発育が良い。また適度な黒色化を有している。
【0062】
1%は、黒色化が弱い。3%は、2日あるいは3日目での発育が2.5%よりやや劣る。黒色化は、2.5%より若干良い程度で誤差範囲内である。5%、10%は、発育が非常に悪い。菌液の濃度が濃いものに関しては黒色化が良いが、特に菌液濃度が少量の場合に発育が悪い(#3の1/100以下程度の場合特に)。さらに2.5%と2.6%とを比較するとやや2.6%が良好であった。
【0063】
つまりポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)試薬は、馬溶血液を2.6パーセントの濃度で備える事を特徴とするポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)試薬を使用してもよい。
ここで、黒色化は、識別、鑑別、同定に大きな情報を与えるものである。
【0064】
この実験での結果は、2.6%馬溶血液添加がポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の発育において最も良く、かつ黒色化も良好であった。総合的に次に良かったのは、2.5%馬溶血液添加であり、その次は3%馬溶血液添加である。黒色化を期待しなければ1%程度以下でも2.5%についで良い場合がある。
【0065】
さらにまた、溶血液をウサギ由来とすると5%、2.5%、2.6%で発育、黒色化は同等であり、馬溶血液2.6%とウサギ溶血液2.6%の比較では、格段に馬溶血液2.6%が発育、黒色化において勝っている。ここでは、溶血液を通常の方法にて作成し実験を行った結果を開示している。
【0066】
B:ナリジクス酸15mg、バシトラシン10mg、コリスチン硫酸塩10mgにカナマイシン(Kanamycin)、ゲンタマイシン(Gentamycin)、あるいはアミカシン(Amikacin)などのアミノグルコシド系抗生剤(0<添加量<1g)。を添加してもよい。
さらに望ましくは、0.1g〜0.2gカナマイシンを添加が好適である。さらにさらにのぞましくはカナマイシン0.2g添加がさらにやや好適である。
【0067】
所定のNa(ナトリウム)、K(カリウム)の比
ここで、Na(ナトリウム)、K(カリウム)の比により最適な発育支持をえられるので、培地は、最終的にK2HPO4,KH2PO4,KCl,NaClなどにより最適Na(ナトリウム)、K(カリウム)の比に調整する。
【0068】
具体的な一例には、前記処方にさらにKOH 1N 4ml/リットルを投与するとさらによい。
さらに具体的な一例には
KCl 0.5g
KCl 0.5g+ 1N KOH 4.0ml
KCl 0.5g+ 1N KOH 11.5ml
1N KOH 4.0ml
K2HPO4 2.5g
KH2PO4
NaH2PO4
Na2HPO4
などを混入してNa(ナトリウム)、K(カリウム)の比を最適比率にする。
【0069】
ここでは、K2HPO4 2.5g + 1N KOH 4mlがよかった。
この培地組成では、Na(ナトリウム)がこれ以上多くなると急激に発育が悪化したので、KH2PO4、NaH2PO4、Na2HPO4は、少量でも添加しないほうがよかったので量の記載を省略した。ここでK2HPO4、KH2PO4、NaH2PO4、Na2HPO4は、Na(ナトリウム)、K(カリウム)の比を最適にするのに好適な化合物である。
【0070】
[第3実施例] ガス計測手段 4 (との併用)
図7に示されるガス計測手段 4 に、赤外線を通過させ、その吸収度を計測し、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の定性、定量計測としても良い。
【0071】
ガス計測手段 4 は、図7のごとくバイアルあるいは試験管の上部あるいは、閉鎖手段 3 の量横に一対になって設けられており、この窓を通して赤外線などが通過し、ガスを分析可能としているものである。
【0072】
具体的な一例には、BaF2などの計測ビームに対して容易に透過する窓 が設けられたチューブが図7のごとく取り付けられている。窓は、計測波長のビームが通過すればどのようなものでもよい。
【0073】
そして培地にポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)を投与し培養すると前記計測手段 のビーム通過領域、すなわちバイアルあるいは閉鎖手段 3 の内部を微生物産生ガスが充満する。
【0074】
このガスを前記窓ごしに計測する。具体的な一例には、赤外分光分析手段からの計測ビームを前記窓に通過させ、後述の波長における吸収率を計測するなどである。
【0075】
ここで嫌気手段を使用しているなら嫌気雰囲気を作り出す既知の嫌気手段(アネロパックなど)からのガスを計測しておき、その値を差し引く既知の基線補正手段を使用してもよい。(3次元培地は、嫌気手段を特に使用しなくてもよいが、)
【0076】
具体的な一例には、強度基準を図7におけるガス計測手段 4 の窓における基本透過率(計測波長での透過率など)を基準として赤外線の波数にして2361cm−1の吸収ピークを計測しても良い。さらに具体的な一例としてはBaF2ウインドウの基線を基準として前記吸収ピークの吸収値を表示しても良い。(計測波長が複数の場合は、それぞれの比率、差分を比較したり、また基準強度を計測波長における窓材の透過強度としたりしてもよい。)
【0077】
また赤外線の波数にして2361cm−1の吸収ピークをBaF2窓(フッ化バリウム窓)に塗布した既知の標準物質やガス計測手段 4 内部のガスなどの吸収ピークとの比率を算出する解析手段を使用して定性、あるいは定量計測してもよい。ここで、ガス計測手段 4 内部のガスは、前記嫌気錠剤などを使用するなら嫌気手段(嫌気錠剤など)からのCO2(濃度)を基準としてもよい。
さらにまたビームの基準強度を基準として前記吸収ピークの吸収値を表示してもよい。(無計測時のビーム強度を基準としても良い。)
【0078】
他例として具体的な一例には、赤外線の波数にして2336cm−1と2361cm−1の吸収値を除算手段(割り算)に入力し、その値を表示手段に表示するなどである。さらにここで、その値に多重に閾値を設けたレベル判定手段にて複数以上のレベル値にして表示してもよい。
一例として、
Aその値が1.0程度ならリスク大と表示する相対リスク表示手段や、
B2361cm−1の吸収が大きければリスク大と表示する特定リスク表示手段や、
AとBの値を加減乗除した各値を採用する複合リスク表示手段などを採用してもよい。
もちろんこれらの値を、他の機器に供給するためにUSB、1394、またはその他の規格インターフェィスに出力する出力手段を設けても良い。
【0079】
ガスクロマトグラフィーにてガスを計測してフェニール酢酸(Phenyl-acetic acid)を定性あるいは、定量してポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の定性、定量計測としてもよい。この時、閉鎖手段3にゴムなどの弾性体などや弁などによるガス採取手段を設けても良い。ここにガスシリンジなどを差し込みガスを採取する。この時前記弾性体に針を突き刺してもガスもれしない素材を採用するのが好適である。
【0080】
[効果]
ガス計測手段 4 を使用すれば、迅速に微生物を計測できる。また感染に対しても安全で、廃棄も容易であり安全である。また悪臭がしないので検査、廃棄者に迷惑をかけない。
【0081】
一例としてポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の前記計測が迅速、高精度にできる。ここで、培地成分はポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の選択培地でもよいし、嫌気生菌用の非選択培地でも良い。非選択培地の場合は、特定のガス単体あるいは、複数種のガス、またはガスと培地の発色などのデータから分析して、微生物を同定しても良い。一例としてフェニール酢酸(Phenyl-acetic acid)を定性あるいは、定量してポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の定性、定量計測としてもよいなどである。
【0082】
上記手段、試薬、方法などは、術者や製造者が取捨選択し使用、製造する。
ここで、ガス計測手段 4 は、他の微生物に適用してもよい。
【0083】
〔総合変形例〕
閉鎖手段 3 は、図8のごとくペーパーポイントの先を挿入手段に挿入し、先の部分のみ培地の所定の場所に位置させる固定手段を採用してもよい。
【0084】
培地として寒天を使用してもよいし、またポリエチレングリコール、ワセリン、グリセリンなどの媒体を使用して同様な効果を得ても良い。
【0085】
3次元培地成分(供給)手段 2 は、複数種設定してもよい。一例として3次元(培地)手段に接している部分から層状に複数種の異なる成分層を有してもよい。そしてこの成分層に微生物の栄養素などの培地成分を固体(粉体でもよい)などにて含浸させておき、培養する時に3次元(培地)手段に液体を挿入し、使用する。すると発育の初期で必要な栄養、中期に必要な栄養などの栄養素を時分割で付与できる時分割培地成分供給手段を構成できる。ここで、栄養のみではなく選択剤、色素なども同様に時分割として分割培地成分供給手段により供給しても良い。
また3次元培地成分(供給)手段 2 の構成成分を生体の類似構造で作成することによる病態をシミュレートできる。一例としてエナメル、象牙、歯髄などを3次元培地成分(供給)手段 2 として構成し、う蝕の進行状況をみるなどである。
【0086】
また図9のごとく斜面培地などに菌を接種した後に、その上部を寒天などで接して覆うような3次元培地を作成してもよい。また平板培地に菌を接種し、その上に寒天培地を3次元培地成分(供給)手段 2 として重ねたり、盛ったりして3次元(培地)手段を形成しても良い。この場合ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)などでは、前記バブルやバブルブラックがよく見えてくる。
【0087】
さらにまた、培地中の菌の同定に既知のトリプシン活性(酵素)判定試薬を使用してもよい。具体的な一例には図10のごとくである。
トリプシン活性(酵素)判定試薬は通常従来は直接歯肉溝浸出液からペーパーポイントでサンプルした資料を、試薬に浸漬して反応をみていたため、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマ、ある種のキャプノサイトファーガなどに反応したり、また唾液や歯肉溝浸出液中の反応因子に反応するために多量の試薬を要していた。しかし前記ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)選択培地(この場合3次元培地手段がよいが、2次元培地でも可能である。)で選択予備培養したものを、図10のコントロール付容器で反応を観察することにより極微量のトリプシン試薬で反応がみれ、かつポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)のみの同定となる。またトリプシン活性(酵素)判定試薬と顕微鏡を使用してポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の簡易同定をしても良い。すなわち顕微鏡でトレポネーマを観察し、その観察量の分酵素反応量から差し引いた分がポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の量となるなどである。 さらにある種のキャプノサイトファーガを顕微鏡観察で差し引いてさらに精度をあげてもよい。
【0088】
血液溶解手段のうち微生物由来の血液溶解手段としては、
β溶血
Streptococcus pyogenesなどの A群
Streptococcus agalactiaeなどの B群

C群溶血性レンサ球菌 Str. equi など
G群溶血性レンサ球菌
F群溶血性レンサ球菌

Staphylococcus aureus subsp. aureus

Enterococcus 様
Enterococcus faecalis β,γなど

Escherichia coli
Pseudomonas aeruginosa

Listeria monocytogenes
Bacillus subtillis
Bacillus cereus
Aeromonas hydrophilia subsp. hyfrophilia
Kingella kingae
Clostridium perfringens
Clostridium sordellii
Bordetella pertussis
Gardnerella vaginalis
【0089】
α溶血
Str. pneumoniae 群外
Str. sanguis H
Str. bovis D
Str. salivarius group K

Enterococcus faecium α、γなど
【0090】
緑色レンサ球菌
Str. mutans group 群外
Str. salivarius group K
Str. bovis D
Str. milleri group 群外
Str. sanguinis group H
Str. mitis 群外

【0091】
Haemophilus haemolyticus
Haemophilus para haemolyticus
Haemophilus para phro haemolyticus
Haemophilus ducreyi
などからの抽出物でも良いし、またDNA合成でも良いなど所定の溶血が得られればよい。
【0092】
前記実施例においては、寒天を13〜15g程度添加して培地形状としたものを開示したが、液体の状態で使用してもよいし、半流動の状態でもよい。半流動の状態の場合は、3g/リットル程度以上では、輸送時にこぼれない。ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)に関しては、2g/リットル程度が3g/リットル程度以上に発育支持がまさる。
【0093】
ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)に関しては、カナマイシンは、0.1g程度から0.2g程度がもっともよい。
【0094】
ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)に関して前記添加溶血液において従来の溶血液では、溶血液を馬由来とし、その添加量を1000ml(1リットル)中に26ml、すなわち2.6%とする。ここで、溶血液は、馬溶血液2%(20ml)程度から3%(30ml)程度が望ましい。しかし血液溶解手段を使用した場合は、羊血液もかなり良いものとなる。さらに兎も血液溶解手段を使用した場合はかなりの改善をみる。
【0095】
ガス計測手段 4 の使用波長は、700cm−1,750cm−1,830cm−1、900cm−1、1030cm−1,1070cm−1,1180cm−1,1225cm−1、1280cm−1,1330cm−1,1400cm−1,1440cm−1,1490cm−1、1670cm−1、1930cm−1,2336cm−1、2361cm−1、2600cm−1,3000cm−1などのいずれかまたはその組み合わせピークを使用してもよい。またフェニール酢酸(phenyl-acetic acid)の紫外、可視、赤外ピークを計測してもよい。さらにまたガスクロを使用してフェニール酢酸(phenyl-acetic acid)を計測してもよい。
【0096】
前記培地に還元手段を使用してもよい。
還元(雰囲気)手段を備える還元凍結融解手段を採用してもよいし、真空凍結融解手段などを使用してもよい。
還元手段が水素、硫化水素などのガス、ビタミンEなどの分子でもよい。
【0097】
3次元培地は、培地成分の変化を容易に観察できるので、さらなる活動度を観察できる。一例としては、StMutannsを本3次元培地で培養し、蔗糖の分解程度を赤外分光分析にて観察すれば、StMutannsの活動性が判明するなどである。このときの培地成分は、一例として既知のMSBブロスを使用する。またα13グルカンの特徴的ピークである1038cm−1を見ても良いし、さらに内部基準として1080cm−1との比をみてもよい。
【0098】
上記実施例または変形例は単独で実施しても良いし、また組み合わせて実施しても良い。また他の用途に使用しても良い。また上記手段に関しても、術者や製造者が取捨選択し使用、製造するなど単独あるいはどのような組み合わせの構成をなしてもよい。
【0099】
一例として出願日16年2月6日出願の特願2004−031432 ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)試薬の記載内容を併用あるいは単独試用してもよい。
【0100】
また別の一例として特願2002―137841健康計測診査装置の各手段のいづれかを使用してもよいなどである。

またインプラントなどはスタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)などが繁殖する場合がある。スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)は、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)と混合培養するとポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)を圧倒する。このことからインプラントが歯周病にならなく良い結果、すなわち視認や、レントゲン、または患者の使用感などを得ていても培養検査の結果スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)が多量に検出されれば、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)の生体への病原性を考えておかないといけないので、培養法は重要であり、他の計測と併用使用をさらに進めても良いなどである。

【産業上の利用可能性】
【0101】
本便利培地は、生体、特に口腔内よりの微生物の定性、定量、同定、鑑別、病原性、活動性などの計測、検査などが従来培地よりも強力、容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】3次元培地(手段)の製造一例。
【図2】3次元培地(手段)の一例。
【図3】3次元培地(手段)の一例。
【図4】3次元培地(手段)の一例。
【図5】3次元培地(手段)の一例。
【図6】3次元培地(手段)の一例。
【図7】ガス計測手段の一例。
【図8】固定手段(固定手段に設けられたペーパーポイント挿入手段)の一例。
【図9】3次元培地(手段)の一例。
【図10】同定手段の一例。
【符号の説明】
【0103】
1 3次元培地(手段)
2 3次元培地成分(供給)手段
3 閉鎖手段
4 ガス計測手段






【特許請求の範囲】
【請求項1】
便利培地は、3次元培地(手段)を備える事を特徴とする便利培地。
【請求項2】
便利培地は、3次元培地成分(供給)手段を備える事を特徴とする便利培地。
【請求項3】
便利培地は、血液溶解手段を備える事を特徴とする便利培地。
【請求項4】
便利培地は、挿入手段を備える事を特徴とする便利培地。
【請求項5】
便利培地は、1リットル中に2.6%の溶血液を含むことを特徴とする便利培地。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかの便利培地は、
1リットル中にカナマイシン、ゲンタマイシンあるいはアミカシンなどのアミノグルコシド系抗菌剤を0mgより大きく、1g以下含むことを特徴とする便利培地。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかの便利培地は、
1リットル中に0gより大きく、20g/リットル程度以下の寒天を含むことを特徴とする便利培地。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかの便利培地は、糖無添加を特徴とするポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)培地であることを特徴とした便利培地。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかの便利培地は、
所定のNa(ナトリウム)、K(カリウム)の比率を有する事を特徴とする便利培地。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかの便利培地は、
ガス計測手段を備える事を特徴とする便利培地。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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