説明

便器ユニットのセンサー取付構造

【課題】嵩張ることなく、センサー本体と前板を別々に現場に搬送することができ、現場でセンサー本体を前板に簡単に取り付けできるセンサー取付構造を提供する。
【解決手段】便器ユニットの前板の裏面にセンサーを取り付ける構造であって、前板の所定位置に開口されたセンサー窓5aの裏面に固設された被取付部材11と、この被取付部材11に対し着脱可能に固定できるセンサー本体に固設された取付部材12で構成され、被取付部材11の厚み寸法は前板の厚さ以下に設定され、被取付部材11は、下方へ延びる溝11cを有し、取付部材12は、ネジ孔に通した固定ネジ13を有し、固定ネジ13が溝11cに落とし込まれることで、センサー本体がセンサー窓5aに位置決め固定されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器ユニットにセンサーを取り付ける取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、便器ユニットの前板の裏面に取付ベースを設けて、センサー感知窓の下辺部にセンサーを支持するように固定する構造が存在する。
【特許文献1】特開平7−216969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている構造では、現場で前板に取付ベースをネジで固定する必要があり、センサーの取り付け、及び位置決めが面倒であり、また、メンテナンス時等に容易にセンサーを取り外すことができないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、センサーの位置決め固定が容易であり、また、メンテナンス時等における着脱も容易となる便器ユニットのセンサー取付構造を提供することを目的とし、その請求項1は、内部に給排水管を備えた配管収納部と、該配管収納部の前面に備えられた便器とからなる便器ユニットにおいて、前記配管収納部の前板裏面にセンサーを取り付ける構造であって、前記前板の所定位置に開口されたセンサー窓の裏面に固設された被取付部材と、該被取付部材に対し着脱可能に固定できるセンサー本体に固設された取付部材で構成され、前記被取付部材の厚み寸法は前記前板の厚さ以下に設定されていることである。
【0005】
また、請求項2は、前記被取付部材は、左右両側に被取付部を有し、該被取付部は、下方へ延びる溝を有し、前記取付部材は、貫通孔に通した固定部材を有し、該固定部材が前記溝に落とし込まれることで、前記センサー本体が前記前板のセンサー窓に対して位置決め固定されることである。
【0006】
また、請求項3は、前記固定部材は固定ネジであり、前記貫通孔はネジ孔であることである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、内部に給排水管を備えた配管収納部と、該配管収納部の前面に備えられた便器とからなる便器ユニットにおいて、前記配管収納部の前板裏面にセンサーを取り付ける構造であって、前記前板の所定位置に開口されたセンサー窓の裏面に固設された被取付部材と、該被取付部材に対し着脱可能に固定できるセンサー本体に固設された取付部材で構成され、前記被取付部材の厚み寸法は前記前板の厚さ以下に設定されていることにより、前板に被取付部材を取付固定させても前板は嵩張ることなく、積み重ねて複数枚を搬送することができ、センサー本体と前板を別々にして現場へ搬送することができ、施工現場で、前板に固定されている被取付部材に対し、センサー本体に固設された取付部材を取り付けて、容易に前板にセンサーを位置決めして取り付けでき、施工が容易であり、また、センサーの洗浄モード等の調整の際には、センサー本体を前板から簡単に取り外すことができるものとなる。
【0008】
また、前記被取付部材は、左右両側に被取付部を有し、該被取付部は、下方へ延びる溝を有し、前記取付部材は、貫通孔に通した固定部材を有し、該固定部材が前記溝に落とし込まれることで、前記センサー本体が前記前板のセンサー窓に対して位置決め固定されるため、固定部材が被取付部材の溝に落とし込まれると、センサーが所定位置に良好に位置決めされ、位置決めが簡単に精度良く行なえて、誤感知のリスクが抑えられる。また、センサーの位置決めが確実なため、センサー窓を小型化することができ、さらに、固定部材を抜き取ることなくセンサー本体の取り外しが可能なため、固定部材を紛失する心配もなく、メンテナンス性が良好なものとなる。
【0009】
また、前記固定部材は固定ネジであり、前記貫通孔はネジ孔であることにより、固定ネジで締め付けたり、緩めたりでき、センサーの着脱作業を容易に行なうことができるものとなる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、便器ユニットの正面構成図であり、図2は、便器ユニットの平面構成図である。
便器ユニット1は、二連式にそれぞれ前板2,2の前面に小便器3,3が設置され、上面にはカウンター4が取り付けられて、前板2,2とカウンター4で囲まれた配管収納部が形成され、この配管収納部の内部に図示しない給排水管が配置されるものであり、カウンター4の下方の小便器3の上方における前板2には、センサー窓5が開口形成されている。
なお、小便器3内の上部部位にはスプレッダー3aが設けられており、センサー窓5の裏側に取り付けられる人体検知用の赤外線センサーにより、図示しないフラッシュバルブの洗浄水供給が制御されて、赤外線センサーが人体を検知するとスプレッダー3aから小便器3内に洗浄水が流出されるように構成されている。
【0011】
なお、図2に示すように、カウンター4は例えば人造大理石で形成され、小便器3,3の上方部位では、前方側へ湾曲状に庇部4a,4aが一体形成されており、この庇部4aにより下方のセンサー窓5を斜め上方の使用者の目から見にくくして、上方からセンサー窓5が隠されるように構成されている。
また、この庇部4a上には物が置きやすくなり、使用勝手が良好なものとなる。
【0012】
なお、図3は、前板2のセンサー窓5の裏側にセンサー本体6を設置した状態の側面断面構成図である。
また図4は、カウンター4の固定構造を示すものであり、カウンター4の後部下面側に予め取付板7を固定させ、この取付板7の下面に引っ掛け金具8をビス等で固定させておき、一方、設置するトイレの壁面Wにはビス10でL字金具9を予め取り付けておき、カウンター4を取り付ける際には、カウンター4を前方側から壁面W側へ水平に移動させてL字金具9に引っ掛け金具8を連結させて固定することができる。即ち、引っ掛け金具8のフック片8aを、L字金具9の水平突片9aの下方側へ差し込んでゆき、水平突片9aが取付板7と引っ掛け金具8のフック片8a間に挟み込まれた状態となるようにする。
この状態では、カウンター4の庇部4aに下方側から持ち上げ力が掛かってもカウンター4は外れることがなく、また逆に、庇部4aの上方から押圧力が加わった場合にも、カウンター4の後端側が浮き上がることがなく、良好にカウンター4が着脱可能に固定されるものである。
【0013】
なお、図3に示すように、センサー窓5は、庇部4aの下方の前板2の所定位置に開口されたものであり、その裏側に取り付けられるセンサー本体6から発光される赤外線が、庇部4aの下面に当たることなく、また小便器3の上面に当たることのない上感知領域P1から下感知領域P2の範囲で照射されるように、センサー窓5の位置が設定されている。
【0014】
なお、カウンター4を取り付ける前に、前板2には現場でセンサー本体6が取り付けられるものであるが、現場まではセンサー本体6は前板2とは別々の状態で搬送され、図5に分解図で示すように、予め前板2には被取付部材11が取付固定され、また、センサー本体6には取付部材12が取付固定された状態で、別々に現場に搬送されるものである。
【0015】
なお、図5に示すように、前板2は、表面側の化粧板2aの裏側に石膏ボード2bが貼り付けられて構成されており、被取付部材11は、石膏ボード2bの上方の化粧板2aの裏側に取付固定されるものであるが、この被取付部材11の厚み寸法bは、石膏ボード2bの厚み寸法a以下になるように設定されており、被取付部材11が前板2の後方側へ突出することがなく、被取付部材11を取り付けた状態でも前板2は複数枚積み重ねて、嵩張ることなく良好に現場に搬送することができるように設定されている。
【0016】
なお、図6は、前板2のセンサー窓5の裏側に固定された被取付部材11に対し、センサー本体6に予め取付固定された取付部材12を係合させて、前板2の裏側にセンサー本体6を設置した状態の概略縦断面構成図である。なお、図6に示すように、前板2のセンサー窓5の前面には透光板19が覆設されるものである。
【0017】
被取付部材11は、図7の斜視図で示すような構造となっており、平板状の固定片11aの左右両端側に裏側へ90度折り曲げて被取付部である折曲片11b,11bが形成されており、この左右両端の折曲片11bの上部部位には、側面側から貫通して縦方向に縦溝11cが形成されており、縦溝11cの上部は、折曲片11bの後端で開口された開口11dとなっている。また、固定片11aには前板2のセンサー窓5と整合するセンサー用開口5aが貫通形成されている。
従って、この被取付部材11は、前板2のセンサー窓5の裏側にセンサー用開口5aを位置合わせして、固定片11aが貼着等の手段により予め前板2に取付固定されて現場へ搬送されるものである。
【0018】
一方、センサー本体6側に予め取付固定される取付部材12は、図8の斜視図で示すような構造となっている。
取付部材12は、被取付部材11の固定片11aの裏側に当接する左右の当接片12a,12aの上端が連結片12bで連結されており、左右の当接片12a,12aの側端縁には裏側へ90度折り曲げて折曲片12c,12cが形成されており、この左右の折曲片12cには、それぞれ側面側からネジ孔(貫通孔)12dが形成され、このネジ孔(貫通孔)12dには、外側から固定部材である固定ネジ13を取り付けできるように構成されている。
固定ネジ13は、ネジ孔12d内にねじ込まれるネジ部13aと、指で操作することのできる手締め部13bで構成されている。
【0019】
また、取付部材12の連結片12bの上端には、後方側へ略水平に折り曲げて上支持片12e,12eが一対形成されており、それぞれの上支持片12eの後端で下方側へ折り曲げて垂下片12f,12fが形成され、それぞれの垂下片12fにはネジ孔12g,12gが形成されている。
また、この上支持片12eと対向して当接片12aの下端には、後方側へ折り曲げて下支持片12h,12hが一対形成されており、各下支持片12hの後端で上方へ立ち上がる立上片12i,12iが形成され、各立上片12i,12iには、それぞれネジ孔12j,12jが形成されている。
【0020】
このような取付部材12は、図9に示すように、センサー本体6の前面に取付固定されるものであり、センサー本体6の上部および下部の左右側面には、ネジ通し片6b,6bがそれぞれ前後一対形成されており、このネジ通し片6b,6bに対し後方側から取付ネジ14を通し、取付ネジ14をネジ孔12gにねじ込み、また下方側のネジ孔12jに対しても後方側から取付ネジ14を締め付けて、4本の取付ネジ14,14,14,14でセンサー本体6に強固に取付部材12を取付固定させておくことができ、さらに、取付部材12の左右のネジ孔12d,12dには、それぞれ予め固定ネジ13,13を取り付けて、センサー本体6に取付部材12を取付固定した状態で現場に搬送されるものである。
なお、図9において、センサー本体6の前面には感知部6aの側方に赤外線の発光部6cが形成されている。
【0021】
なお、図10には、取付部材12を被取付部材11に取り付けた状態の、センサー本体6を省略した斜視図を示す。
図10に示すように、現場において、前板2側に固定されている被取付部材11に対して、取付部材12の折曲片12cを折曲片11bの内側に差し込んで、左右の開口11d,11dに裏側から固定ネジ13のネジ部13aを差し込み、この状態で、固定ネジ13のネジ部13aを縦溝11cに沿って下方側へ落とし込み、固定ネジ13のネジ部13aを縦溝11cの下端に当接させて位置決めすることができ、この状態では、センサー本体6の感知部6aが、前板2のセンサー窓5及び被取付部材11のセンサー用開口5aに良好に位置きめされることとなり、この状態で固定ネジ13の手締め部13bを手で締め付けて、取付部材12の折曲片12cを被取付部材11の折曲片11bに当接させて固定することができるものである。
【0022】
従って、現場での取付作業は、被取付部材11の開口11dを通し縦溝11c内に取付部材12の固定ネジ13を落とし込むだけで、所定位置に正確にセンサー本体6を取り付けることができるものである。
また、メンテナンス時等には、固定ネジ13の手締め部13bを手で回して緩めて、その状態で被取付部材11に対し取付部材12を上方へスライドさせて持ち上げて開口11dから後方側へ抜き取ることで、簡単にセンサー本体6を取り外すことができるものであり、着脱が極めて容易であり、取り付け作業及び取り外し作業を極めて良好に行なうことができるものである。
【0023】
なお、固定ネジ13は、取付部材12から取り外すことなく締め付けたり緩めたりして使用することができ、固定ネジ13を取り外す必要がないため、固定ネジ13の紛失の心配もなくなるものである。
【0024】
なお、本例では、小便器3を設置した便器ユニット1におけるセンサー取付構造を例示しているが、図11に示すような大便器ユニットにおいても同様なセンサー取付構造を採用することができるものである。
即ち、図11では、キャビネット20の前面に立設される前板2の前面に大便器23が設けられ、前板2の上部には手洗器21が設けられており、その下方側の前板2にセンサー窓5が設けられて、このセンサー窓5の裏側に同様な構造により着脱可能にセンサー本体6が設置されるものである。
なお、この場合は、センサー本体6は、大便器23上に着座した人体を検知する検知センサーとして作用するものである。
【0025】
なお、自動洗浄水供給用のフラッシュバルブの駆動を行なわせるためのセンサーに限らず、人体検知用あるいはその他の検知用等のあらゆるセンサーに対しても同様な取付構造を採用して、センサーを極めて容易に着脱できるように構成することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】小便器ユニットの正面構成図である。
【図2】小便器ユニットの平面構成図である。
【図3】小便器ユニットのセンサーの取付状態を示す縦断面構成図である。
【図4】カウンターの取付構造を示す要部拡大縦断面構成図である。
【図5】前板側に固定された被取付部材と、センサー本体側に固定された取付部材の分解構成図である。
【図6】前板の裏側にセンサー本体を取り付けた状態の概略縦断面構成図である。
【図7】被取付部材の斜視構成図である。
【図8】取付部材の斜視構成図である。
【図9】取付部材をセンサー本体に取付固定した状態の斜視構成図である。
【図10】被取付部材に取付部材を取り付けた状態の斜視構成図である。
【図11】大便器ユニットの斜視構成図である。
【符号の説明】
【0027】
1 便器ユニット
2 前板
2a 化粧板
2b 石膏ボード
3 小便器
3a スプレッダー
4 カウンター
4a 庇部
5 センサー窓
5a センサー用開口
6 センサー本体
6a 感知部
6b ネジ通し片
7 取付板
8 引っ掛け金具
8a フック片
9 L字金具
9a 水平突片
11 被取付部材
11a 固定片
11b 折曲片
11c 縦溝
11d 開口
12 取付部材
12a 当接片
12c 折曲片
12d,12g,12j ネジ孔
12e 上支持片
12f 垂下片
12h 下支持片
12i 立上片
14 取付ネジ
19 透光板
20 キャビネット
23 大便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に給排水管を備えた配管収納部と、該配管収納部の前面に備えられた便器とからなる便器ユニットにおいて、前記配管収納部の前板裏面にセンサーを取り付ける構造であって、
前記前板の所定位置に開口されたセンサー窓の裏面に固設された被取付部材と、該被取付部材に対し着脱可能に固定できるセンサー本体に固設された取付部材で構成され、
前記被取付部材の厚み寸法は前記前板の厚さ以下に設定されていることを特徴とする便器ユニットのセンサー取付構造。
【請求項2】
前記被取付部材は、左右両側に被取付部を有し、
該被取付部は、下方へ延びる溝を有し、
前記取付部材は、貫通孔に通した固定部材を有し、
該固定部材が前記溝に落とし込まれることで、前記センサー本体が前記前板のセンサー窓に対して位置決め固定されることを特徴とする請求項1に記載の便器ユニットのセンサー取付構造。
【請求項3】
前記固定部材は固定ネジであり、前記貫通孔はネジ孔であることを特徴とする請求項2に記載の便器ユニットのセンサー取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−270588(P2007−270588A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100964(P2006−100964)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】