便器洗浄装置
【課題】リモコンの洗浄スイッチが操作されたときに、便器の状態に対応して的確な洗浄態様(大洗浄又は小洗浄)を行うよう構成された便器洗浄装置を提供する。
【解決手段】便座3への着座を検知する着座センサ7と、洋風便器1に近づいた人体を検知する人体検知センサ8と便器洗浄弁11と、信号光受信器10が設けられている。リモコン20の大洗浄スイッチ21、小洗浄スイッチ22のいずれかが操作され、洗浄信号が受信器10を介して制御装置に入力されると、便座3が開となっているか閉となっているか判断し、開となっているときには男子小使用後の洗浄であるとみなして小洗浄し、閉であるときにはその他の大使用等の場合の洗浄であるとみなして大洗浄を行う。
【解決手段】便座3への着座を検知する着座センサ7と、洋風便器1に近づいた人体を検知する人体検知センサ8と便器洗浄弁11と、信号光受信器10が設けられている。リモコン20の大洗浄スイッチ21、小洗浄スイッチ22のいずれかが操作され、洗浄信号が受信器10を介して制御装置に入力されると、便座3が開となっているか閉となっているか判断し、開となっているときには男子小使用後の洗浄であるとみなして小洗浄し、閉であるときにはその他の大使用等の場合の洗浄であるとみなして大洗浄を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器に洗浄水を供給して便鉢等を洗浄するための便器洗浄装置に係り、特に洗浄スイッチを操作したときの便座の状態(開状態又は閉状態)に応じて大洗浄又は小洗浄を行うように構成した便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器、特に洋風便器に洗浄水を供給して便鉢等の洗浄を行う場合、男子小用使用後には大洗浄(大便使用後の洗浄)に比べて少量の洗浄水を給水する小洗浄を行う。
【0003】
便器洗浄を手動ハンドル操作にて行う場合には、大便使用と小便使用とに的確に応じた大洗浄、小洗浄が行われるが、リモコンのスイッチ操作によって洗浄を行う場合、小洗浄で足りるのに大洗浄を行ってしまって水が無駄になったり、大洗浄すべきであるのに小洗浄を行ってしまうことがある。
【0004】
特開平11−166258、特開2002−106022には、便座に着座していた人体が便座から立ち上り(離座し)、その後立ち去った場合には、自動的に大洗浄を行うこと、便器前方に立った人体が着座することなく立ち去ったときには、自動的に小洗浄を行うことが記載されている。また、上記特開平11−166258の0059段落には、リモコンに大洗浄スイッチ及び小洗浄スイッチを設けておき、これらのスイッチが操作されたときにはその操作に応じた大洗浄又は小洗浄を優先的に行わせることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−166258
【特許文献2】特開2002−106022
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、リモコンの洗浄スイッチが操作されたときに、便器の状態に対応して的確な洗浄態様(大洗浄又は小洗浄)を行うよう構成された便器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であるときには小洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり且つ便器使用過程で着座がなされているときには大洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり且つ便器使用過程での洗浄が2回目以降であるときには小洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに、便座が閉であると共に離座状態であり、且つ便器使用過程で便座が開から閉とされていると共に便器使用過程で着座がなされていない場合には、小洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに、便座が閉であり且つ便器使用に際し、着座と、その後の便座開と、さらにその後の便座閉とがなされていると共に、この便座閉の後に着座がなされていない場合には、大洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の便器洗浄装置は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リモコンに洗浄スイッチとして、大洗浄信号を与えるための大洗浄スイッチと、小洗浄信号を与えるための小洗浄スイッチとが設けられており、前記給水弁制御手段は、小洗浄を実行すべき条件下にあるときに大洗浄信号が与えられても小洗浄を実行し、大洗浄を実行すべき条件下にあるときに小洗浄信号が与えられても大洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0013】
請求項7の便器洗浄装置は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リモコンに洗浄スイッチとして、大洗浄信号を与えるための大洗浄スイッチと、小洗浄信号を与えるための小洗浄スイッチとが設けられており、前記給水弁制御手段は、リモコンからの大洗浄信号と小洗浄信号とに従った洗浄を行うスイッチ信号優先モードが選択可能となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の便器洗浄装置にあっては、第8図(a)のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であれば小洗浄を実行するので、大使用(大便等による使用)がなされていないにもかかわらず大洗浄を行うことが回避され、節水効果が得られる。この場合、第8図(b)のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が閉であれば大洗浄を実行するのが好ましい。
【0015】
請求項2の便器洗浄装置にあっては、第9図のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であっても、便器使用過程で着座がなされているときには大洗浄を実行するので、着座時に大使用がなされているにもかかわらず小洗浄してしまうことが防止される。
【0016】
請求項3の便器洗浄装置にあっては、第10図のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり、且つ便器使用過程での洗浄が2回目以降であれば小洗浄を実行するので、2回目以降の洗浄であるにもかかわらず大洗浄を行うことが回避され、節水効果が得られる。
【0017】
請求項4の便器洗浄装置にあっては、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が閉であっても、使用者が着座したことがなく、且つ便器使用過程で便座が開から閉とされている場合には小洗浄を実行するので、大使用がなされていないにもかかわらず大洗浄を行うことが回避され、節水効果が得られる。
【0018】
請求項5の便器洗浄装置にあっては、第12図のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が閉であるだけでなくさらに便器使用過程で着座→便座開→便座閉のプロセスがある場合には、この便座閉の後に着座がなくても大洗浄を実行するので、洗浄信号を受けたときに単に便座閉であるだけで大洗浄を行ってしまう場合に比べて、節水効果が高いものとなる。また、便座閉の後に着座がなくても、以前に着座がなされているので、大洗浄により洗浄不足が回避される。
【0019】
請求項6の便器洗浄装置にあっては、小洗浄すべき場合であるのにリモコンで大洗浄スイッチを操作しても小洗浄を実行するので、無用に大洗浄を行うことが回避され、節水効果が得られる。また、大洗浄すべきときにリモコンで小洗浄スイッチを操作しても大洗浄を行うので、洗浄不足が回避される。
【0020】
請求項7の便器洗浄装置によれば、上記の便座の開閉等の状況に応じた自動的な大小洗浄切り替えモードを行うだけでなく、リモコンの洗浄スイッチ操作に優先的に従ったモードも実行可能であるので、使用者の都合、希望に合わせたモード設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係る便器洗浄装置を備えたトイレ設備の概要図である。
【図2】実施の形態に係る便器洗浄装置の制御ブロック図である。
【図3】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【図9】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【図10】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【図11】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【図12】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る便器洗浄装置を備えたトイレルーム内の側面図、第2図は制御ブロック図である。
【0023】
洋風便器1の後部上面に便座ボックス2が設置されている。この便座ボックス2に便座3及び便蓋4が起倒方向回動可能に取り付けられている。便座ボックス2内には、この便座3の起倒駆動用の便座駆動装置5と便蓋4の起倒駆動用の便蓋駆動装置6とが設けられている。これらの駆動装置5,6はモータ及びギヤよりなる。便座ボックス2には便座3への着座を検知する着座センサ7と、洋風便器1に近づいた人体を検知する人体検知センサ8とが設けられている。便座ボックス2内には、この駆動装置5,6の駆動を制御するための制御ユニット(図示略)が設けられている。便座ボックス2内又は洋風便器1の後部には、便器洗浄弁11と、この便器洗浄弁11の制御装置12(第2図)が設けられている。便座ボックス2には、後述のリモコン20からの赤外線信号光を受信するための信号光受信器10が設けられている。
【0024】
第2図の通り、センサ7,8及び信号光受信器10からの信号は制御装置12に入力される。また、便座駆動装置5及び便蓋駆動装置6にそれぞれ設けられたリミットスイッチ(図示略)からは、便座3及び便蓋4の倒伏状態(閉)及び起立状態(開)を示す信号が制御装置12に入力される。制御装置12には、着座メモリ13、人体メモリ14、便座メモリ15、洗浄メモリ16が設けられている。
【0025】
図示は省略するが、便座ボックス2には、便座3に着座した人体の臀部に向って温水を噴出する温水洗浄ノズル及び該臀部に向って温風を吹き出す温風乾燥ファン等が設けられている。
【0026】
この洋風便器1の側方のトイレルーム壁面にリモコン20が設置されている。このリモコン20には、洋風便器1の便鉢に多量の水を流す大洗浄用スイッチ21と、便鉢に少量の水を流す小洗浄用スイッチ22とが設けられている。また、このリモコン20には、便蓋開閉スイッチ、便座開閉スイッチや、肛門洗浄用操作スイッチ(シャワースイッチ)、ビデ洗浄用操作スイッチ、温風を吹き出させるドライスイッチ、肛門洗浄(シャワー洗浄)、ビデ洗浄、温風乾燥等の作動をストップさせるストップスイッチなどが設置されている。
【0027】
リモコン20内には、前記各スイッチの操作信号を赤外線として便座ボックス2に向けて発信する発信回路が設置されている。
【0028】
なお、大洗浄時の水量は5〜10L程度が好適であり、小洗浄時の水量はそれよりも少ない4〜8L程度が好適である。
【0029】
次に、第3図〜第7図及び第8図〜第12図を参照して便器洗浄制御例について説明する。
【0030】
<第3図及び第8図(a),(b)のフロー>
第3図及び第8図(a),(b)は請求項1の実施の形態に係るフローである。
【0031】
リモコン20の大洗浄スイッチ21、小洗浄スイッチ22のいずれかが操作され、洗浄信号が受信回路10を介して制御装置12に入力されると、ステップ31からステップ32に進み、その時点で便座3が開となっているか閉となっているか判断し、開となっているときには男子小使用後の洗浄であるとみなして小洗浄し(ステップ34)、閉であるときにはその他の大使用等の場合の洗浄であるとみなして大洗浄を行う(ステップ33)。
【0032】
これにより、的確に大洗浄又は小洗浄が行われ節水効果が得られる。なお、この実施の形態では、便座開時に大洗浄スイッチ21を操作しても小洗浄がなされるので、確実に節水効果が得られる。また、便座閉時に小洗浄スイッチ22を操作しても大洗浄がなされるので、確実に洗浄不足が防止される。
【0033】
<第4図及び第9図のフロー>
第4図及び第9図は請求項2の実施の形態に係るフローである。
【0034】
トイレルームに入室してきた人体がセンサなど検知されると、着座メモリ13に0(着座したことがない)を設定する(ステップ40,41)。
【0035】
リモコン20のスイッチ21,22が操作されるまでは、ステップ42,43,46を循環する。ステップ43では、便座3への着座の有無に応じて着座メモリ13に0(着座したことがない)又は1(着座したことがある)を設定する。
【0036】
リモコン20の洗浄スイッチ21又は22の操作に伴って大洗浄信号又は小洗浄信号が入力されると、ステップ44に進み、便座3の開又は閉を判断し、閉であればステップ45に進んで大洗浄を実行し、ステップ46へ進む。一方、ステップ44において便座3が開である場合ステップ47に進み、そのときに着座メモリ=1(着座したことあり。)であればステップ45に進み大洗浄する。そうでないとき(着座したことがない場合)には、ステップ48に進み、小洗浄を行った後、ステップ46に進む。
【0037】
人体が立ち去る(人体検知センサ8が人体を検知しなくなる)までは上記の動作を繰り返す。人体が立ち去った場合は、ステップ49に進み、着座メモリ13をクリアして終了する。
【0038】
このフローでは、第9図の通り、洗浄スイッチ21又は22が操作されたときに、便座3が開であっても、今回の便器使用過程で(即ち、この使用者がトイレルームに入ってきてから)着座したことがあるときには、大洗浄を行う。
【0039】
従って、トイレルームに入ってきた人が大使用等のために便座3に着座し、その後離座し、便器の飛散滓の拭き取り等のために便座3を開とし、この状態で洗浄スイッチ21又は22を操作した場合には大洗浄が行われる。このように、洗浄スイッチ操作時に便座3が開であっても、便器使用過程で着座があったために大洗浄すべきであるときには、必ず大洗浄が行われるので、洗浄不足が防止される。
【0040】
なお、この実施の形態でも、便器使用過程で着座がなかった場合には、洗浄信号入力時に便座開であれば小洗浄が行われるので、無用な大洗浄の防止による節水効果が得られる。
【0041】
<第5図及び第10図のフロー>
第5図及び第10図は請求項3の実施の形態に係るフローである。
【0042】
トイレルームに入室してきた人体が人体検知センサ8で検知されると、洗浄メモリ16に0(洗浄回数ゼロ)を設定する(ステップ51,52)。
【0043】
リモコン20のスイッチ21,22が操作されるまでは、ステップ53,58を循環する。
【0044】
リモコン20の洗浄スイッチ21又は22の操作に伴って大洗浄信号又は小洗浄信号が入力されると、ステップ54に進み、便座3の開又は閉を判断し、閉であればステップ55に移り、大洗浄を実行し、次いで洗浄メモリ16に1(今回の便器使用過程で便器洗浄したことを示す値)を設定し(ステップ55a)、ステップ58へ進む。一方、ステップ54において便座3が開である場合ステップ56に進み、そのときに洗浄メモリ=0(便器洗浄未実施)であればステップ55に進み大洗浄する。そうでないとき(すでに大洗浄したことがある場合)には、ステップ57に進み、小洗浄を行った後、ステップ58に進む。
【0045】
人体が立ち去る(人体検知センサ8が人体を検知しなくなる)までは上記の動作を繰り返す。人体が立ち去った場合は、ステップ59に進み、洗浄メモリ16をクリアして終了する。
【0046】
このフローでは、第10図の通り、洗浄スイッチ21又は22が操作されたときに、便座3が開であっても、今回の便器使用過程で(即ち、この使用者がトイレルームに入ってきてから)便器洗浄したことがないときには、大洗浄を行い、便器洗浄したことがあるときには小洗浄を行う。
【0047】
このように、2回目以降の洗浄を小洗浄とすることにより、無用な大洗浄の防止による節水効果が得られる。なお、この実施の形態では便座開時の第1回目の洗浄を大洗浄としているが、小洗浄としてもよい。
【0048】
<第6図及び第11図のフロー>
第6図及び第11図は請求項4の実施の形態に係るフローである。
【0049】
トイレルームに入室してきた人体が人体検知センサ8で検知されると、着座メモリ13に0(着座したことがない)を設定すると共に便座メモリ15に初期値として「2」を設定する(ステップ60,61)。
【0050】
リモコン20のスイッチ21,22が操作されるまでは、ステップ62,63,68を循環する。ステップ63では、便座メモリ15に便座の状態に応じて次のようにデータを設定する。即ち、前回の判断から今回の判断の間に便座が開から閉になったときには、1を設定し、開のままならば2を設定し、閉のままであるならば3を設定する。また、このステップ63では、便座3への着座の有無に応じて着座メモリ13に0(着座したことがない)又は1(着座したことがある)を設定する。
【0051】
リモコン20の洗浄スイッチ21又は22の操作に伴って大洗浄信号又は小洗浄信号が入力されると、ステップ64に進み、便座メモリ15の設定値を判断し、「3」であればステップ65に進んで大洗浄を実行し、ステップ68に進む。「2」の場合にはステップ67に進み、小洗浄した後、ステップ68に進む。
【0052】
ステップ64において便座メモリが「1」の場合はステップ66に進む。そして、このときに着座メモリ=1(着座したことあり。)であればステップ65に進み大洗浄する。そうでないとき(着座したことがない場合)には、ステップ67に進み、小洗浄を行った後、ステップ68に進む。
【0053】
人体が立ち去る(人体検知センサ8が人体を検知しなくなる)までは上記の動作を繰り返す。人体が立ち去った場合は、ステップ69に進み、便座メモリ15及び着座メモリ13をクリアして終了する。
【0054】
このフローでは、第11図の通り、洗浄スイッチ21又は22が操作されたときに、便座3が閉であっても、今回の便器使用過程で(即ち、この使用者がトイレルームに入ってきてから)着座したことがないときには、小洗浄を行う。
【0055】
従って、トイレルームに入ってきた人が小使用等のために便座3を開とし、その後、便座3を閉とし、この状態で洗浄スイッチ21又は22を操作した場合には小洗浄が行われる。このように、洗浄スイッチ操作時に便座3が閉であっても、便器使用過程で着座がなく、小洗浄すべきであるときには、必ず小洗浄が行われるので、無用な大洗浄の防止による節水効果が得られる。
【0056】
<第7図及び第12図のフロー>
第7図及び第12図は請求項5のフローを示している。
【0057】
このフローは、第12図に示すように、第11図のフローにおける最初の便座開の状態(第12図のB)よりも前の状態として「便座を閉とし、着座して(大使用などを行って)おり、しかもその後、便器洗浄することなく便座を開とした」状況Aを想定したものである。なお、この第12図の状況A〜Cは、例えば「大便を行った使用者が、便座から起立し、便座を立て、ペーパー等で飛散物を拭き取り、このペーパーを便器に捨て、次いで便座を倒し、洗浄スイッチを操作した」状況を想定したものである。
【0058】
この第12図では、B〜Cの間で着座がないが、B以前のA状態時に着座(大使用)があり、且つ便器がまだ洗浄されていないので、大洗浄する必要がある。
【0059】
そのためのプログラムを示す第7図が第6図と異なるのは、ステップ61においてさらに「洗浄メモリ=0」を設定する点、大洗浄(ステップ65)後に「洗浄メモリ=1」を設定するステップ65aを設けたこと、ステップ64において便座メモリ=2のときにステップ64から一旦ステップ64aに移り、「着座メモリ=1且つ洗浄メモリ=0」であるかを判断するステップ64aを設けた点、ステップ69で洗浄メモリもクリアするようにした点であり、その他は第6図と同じである。
【0060】
この第7図では、ステップ64で便座メモリ=2すなわち便座が開のときには、ステップ64aに移り、着座メモリ=1且つ洗浄メモリ=0であるか判断する。第12図のAのように便器使用過程で着座がなされており、且つ洗浄がまだ行われていない場合、「着座メモリ=1,洗浄メモリ=0」である。そこで、ステップ64aからステップ65に移り、大洗浄を行う。
【0061】
第12図のB以前の状態で着座がなかったり、又は大洗浄が行われているときには、この条件を満たさないので、ステップ64aからステップ67に移り、小洗浄を行う。
【0062】
上記第3図〜第7図のフローは、いずれも洗浄スイッチ21又は22を操作したときの便座3の開又は閉状態等の条件に従って大洗浄又は小洗浄を自動的に適切に区別して実行するものであるが、本発明では、このような大小の洗浄の自動的な区別を行わず、大洗浄スイッチ21が操作されたときには必ず大洗浄を実行し、小洗浄スイッチ22が操作されたときには必ず小洗浄を実行するリモコンスイッチ優先モードを設定できるようにしてもよい。
【0063】
このようなリモコンスイッチ信号優先モードは、例えばリモコン20の複数のスイッチを長押しすると設定され、別の複数のスイッチを長押しすると解除されるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 洋風便器
2 便座ボックス
3 便座
4 便蓋
12 制御装置
20 リモコン
21 大用便器洗浄スイッチ
22 小用便器洗浄スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器に洗浄水を供給して便鉢等を洗浄するための便器洗浄装置に係り、特に洗浄スイッチを操作したときの便座の状態(開状態又は閉状態)に応じて大洗浄又は小洗浄を行うように構成した便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器、特に洋風便器に洗浄水を供給して便鉢等の洗浄を行う場合、男子小用使用後には大洗浄(大便使用後の洗浄)に比べて少量の洗浄水を給水する小洗浄を行う。
【0003】
便器洗浄を手動ハンドル操作にて行う場合には、大便使用と小便使用とに的確に応じた大洗浄、小洗浄が行われるが、リモコンのスイッチ操作によって洗浄を行う場合、小洗浄で足りるのに大洗浄を行ってしまって水が無駄になったり、大洗浄すべきであるのに小洗浄を行ってしまうことがある。
【0004】
特開平11−166258、特開2002−106022には、便座に着座していた人体が便座から立ち上り(離座し)、その後立ち去った場合には、自動的に大洗浄を行うこと、便器前方に立った人体が着座することなく立ち去ったときには、自動的に小洗浄を行うことが記載されている。また、上記特開平11−166258の0059段落には、リモコンに大洗浄スイッチ及び小洗浄スイッチを設けておき、これらのスイッチが操作されたときにはその操作に応じた大洗浄又は小洗浄を優先的に行わせることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−166258
【特許文献2】特開2002−106022
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、リモコンの洗浄スイッチが操作されたときに、便器の状態に対応して的確な洗浄態様(大洗浄又は小洗浄)を行うよう構成された便器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であるときには小洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり且つ便器使用過程で着座がなされているときには大洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり且つ便器使用過程での洗浄が2回目以降であるときには小洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに、便座が閉であると共に離座状態であり、且つ便器使用過程で便座が開から閉とされていると共に便器使用過程で着座がなされていない場合には、小洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の便器洗浄装置は、便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに、便座が閉であり且つ便器使用に際し、着座と、その後の便座開と、さらにその後の便座閉とがなされていると共に、この便座閉の後に着座がなされていない場合には、大洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の便器洗浄装置は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リモコンに洗浄スイッチとして、大洗浄信号を与えるための大洗浄スイッチと、小洗浄信号を与えるための小洗浄スイッチとが設けられており、前記給水弁制御手段は、小洗浄を実行すべき条件下にあるときに大洗浄信号が与えられても小洗浄を実行し、大洗浄を実行すべき条件下にあるときに小洗浄信号が与えられても大洗浄を実行することを特徴とするものである。
【0013】
請求項7の便器洗浄装置は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リモコンに洗浄スイッチとして、大洗浄信号を与えるための大洗浄スイッチと、小洗浄信号を与えるための小洗浄スイッチとが設けられており、前記給水弁制御手段は、リモコンからの大洗浄信号と小洗浄信号とに従った洗浄を行うスイッチ信号優先モードが選択可能となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の便器洗浄装置にあっては、第8図(a)のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であれば小洗浄を実行するので、大使用(大便等による使用)がなされていないにもかかわらず大洗浄を行うことが回避され、節水効果が得られる。この場合、第8図(b)のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が閉であれば大洗浄を実行するのが好ましい。
【0015】
請求項2の便器洗浄装置にあっては、第9図のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であっても、便器使用過程で着座がなされているときには大洗浄を実行するので、着座時に大使用がなされているにもかかわらず小洗浄してしまうことが防止される。
【0016】
請求項3の便器洗浄装置にあっては、第10図のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり、且つ便器使用過程での洗浄が2回目以降であれば小洗浄を実行するので、2回目以降の洗浄であるにもかかわらず大洗浄を行うことが回避され、節水効果が得られる。
【0017】
請求項4の便器洗浄装置にあっては、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が閉であっても、使用者が着座したことがなく、且つ便器使用過程で便座が開から閉とされている場合には小洗浄を実行するので、大使用がなされていないにもかかわらず大洗浄を行うことが回避され、節水効果が得られる。
【0018】
請求項5の便器洗浄装置にあっては、第12図のように、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が閉であるだけでなくさらに便器使用過程で着座→便座開→便座閉のプロセスがある場合には、この便座閉の後に着座がなくても大洗浄を実行するので、洗浄信号を受けたときに単に便座閉であるだけで大洗浄を行ってしまう場合に比べて、節水効果が高いものとなる。また、便座閉の後に着座がなくても、以前に着座がなされているので、大洗浄により洗浄不足が回避される。
【0019】
請求項6の便器洗浄装置にあっては、小洗浄すべき場合であるのにリモコンで大洗浄スイッチを操作しても小洗浄を実行するので、無用に大洗浄を行うことが回避され、節水効果が得られる。また、大洗浄すべきときにリモコンで小洗浄スイッチを操作しても大洗浄を行うので、洗浄不足が回避される。
【0020】
請求項7の便器洗浄装置によれば、上記の便座の開閉等の状況に応じた自動的な大小洗浄切り替えモードを行うだけでなく、リモコンの洗浄スイッチ操作に優先的に従ったモードも実行可能であるので、使用者の都合、希望に合わせたモード設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係る便器洗浄装置を備えたトイレ設備の概要図である。
【図2】実施の形態に係る便器洗浄装置の制御ブロック図である。
【図3】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【図9】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【図10】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【図11】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【図12】便器の使用状況と大小洗浄との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る便器洗浄装置を備えたトイレルーム内の側面図、第2図は制御ブロック図である。
【0023】
洋風便器1の後部上面に便座ボックス2が設置されている。この便座ボックス2に便座3及び便蓋4が起倒方向回動可能に取り付けられている。便座ボックス2内には、この便座3の起倒駆動用の便座駆動装置5と便蓋4の起倒駆動用の便蓋駆動装置6とが設けられている。これらの駆動装置5,6はモータ及びギヤよりなる。便座ボックス2には便座3への着座を検知する着座センサ7と、洋風便器1に近づいた人体を検知する人体検知センサ8とが設けられている。便座ボックス2内には、この駆動装置5,6の駆動を制御するための制御ユニット(図示略)が設けられている。便座ボックス2内又は洋風便器1の後部には、便器洗浄弁11と、この便器洗浄弁11の制御装置12(第2図)が設けられている。便座ボックス2には、後述のリモコン20からの赤外線信号光を受信するための信号光受信器10が設けられている。
【0024】
第2図の通り、センサ7,8及び信号光受信器10からの信号は制御装置12に入力される。また、便座駆動装置5及び便蓋駆動装置6にそれぞれ設けられたリミットスイッチ(図示略)からは、便座3及び便蓋4の倒伏状態(閉)及び起立状態(開)を示す信号が制御装置12に入力される。制御装置12には、着座メモリ13、人体メモリ14、便座メモリ15、洗浄メモリ16が設けられている。
【0025】
図示は省略するが、便座ボックス2には、便座3に着座した人体の臀部に向って温水を噴出する温水洗浄ノズル及び該臀部に向って温風を吹き出す温風乾燥ファン等が設けられている。
【0026】
この洋風便器1の側方のトイレルーム壁面にリモコン20が設置されている。このリモコン20には、洋風便器1の便鉢に多量の水を流す大洗浄用スイッチ21と、便鉢に少量の水を流す小洗浄用スイッチ22とが設けられている。また、このリモコン20には、便蓋開閉スイッチ、便座開閉スイッチや、肛門洗浄用操作スイッチ(シャワースイッチ)、ビデ洗浄用操作スイッチ、温風を吹き出させるドライスイッチ、肛門洗浄(シャワー洗浄)、ビデ洗浄、温風乾燥等の作動をストップさせるストップスイッチなどが設置されている。
【0027】
リモコン20内には、前記各スイッチの操作信号を赤外線として便座ボックス2に向けて発信する発信回路が設置されている。
【0028】
なお、大洗浄時の水量は5〜10L程度が好適であり、小洗浄時の水量はそれよりも少ない4〜8L程度が好適である。
【0029】
次に、第3図〜第7図及び第8図〜第12図を参照して便器洗浄制御例について説明する。
【0030】
<第3図及び第8図(a),(b)のフロー>
第3図及び第8図(a),(b)は請求項1の実施の形態に係るフローである。
【0031】
リモコン20の大洗浄スイッチ21、小洗浄スイッチ22のいずれかが操作され、洗浄信号が受信回路10を介して制御装置12に入力されると、ステップ31からステップ32に進み、その時点で便座3が開となっているか閉となっているか判断し、開となっているときには男子小使用後の洗浄であるとみなして小洗浄し(ステップ34)、閉であるときにはその他の大使用等の場合の洗浄であるとみなして大洗浄を行う(ステップ33)。
【0032】
これにより、的確に大洗浄又は小洗浄が行われ節水効果が得られる。なお、この実施の形態では、便座開時に大洗浄スイッチ21を操作しても小洗浄がなされるので、確実に節水効果が得られる。また、便座閉時に小洗浄スイッチ22を操作しても大洗浄がなされるので、確実に洗浄不足が防止される。
【0033】
<第4図及び第9図のフロー>
第4図及び第9図は請求項2の実施の形態に係るフローである。
【0034】
トイレルームに入室してきた人体がセンサなど検知されると、着座メモリ13に0(着座したことがない)を設定する(ステップ40,41)。
【0035】
リモコン20のスイッチ21,22が操作されるまでは、ステップ42,43,46を循環する。ステップ43では、便座3への着座の有無に応じて着座メモリ13に0(着座したことがない)又は1(着座したことがある)を設定する。
【0036】
リモコン20の洗浄スイッチ21又は22の操作に伴って大洗浄信号又は小洗浄信号が入力されると、ステップ44に進み、便座3の開又は閉を判断し、閉であればステップ45に進んで大洗浄を実行し、ステップ46へ進む。一方、ステップ44において便座3が開である場合ステップ47に進み、そのときに着座メモリ=1(着座したことあり。)であればステップ45に進み大洗浄する。そうでないとき(着座したことがない場合)には、ステップ48に進み、小洗浄を行った後、ステップ46に進む。
【0037】
人体が立ち去る(人体検知センサ8が人体を検知しなくなる)までは上記の動作を繰り返す。人体が立ち去った場合は、ステップ49に進み、着座メモリ13をクリアして終了する。
【0038】
このフローでは、第9図の通り、洗浄スイッチ21又は22が操作されたときに、便座3が開であっても、今回の便器使用過程で(即ち、この使用者がトイレルームに入ってきてから)着座したことがあるときには、大洗浄を行う。
【0039】
従って、トイレルームに入ってきた人が大使用等のために便座3に着座し、その後離座し、便器の飛散滓の拭き取り等のために便座3を開とし、この状態で洗浄スイッチ21又は22を操作した場合には大洗浄が行われる。このように、洗浄スイッチ操作時に便座3が開であっても、便器使用過程で着座があったために大洗浄すべきであるときには、必ず大洗浄が行われるので、洗浄不足が防止される。
【0040】
なお、この実施の形態でも、便器使用過程で着座がなかった場合には、洗浄信号入力時に便座開であれば小洗浄が行われるので、無用な大洗浄の防止による節水効果が得られる。
【0041】
<第5図及び第10図のフロー>
第5図及び第10図は請求項3の実施の形態に係るフローである。
【0042】
トイレルームに入室してきた人体が人体検知センサ8で検知されると、洗浄メモリ16に0(洗浄回数ゼロ)を設定する(ステップ51,52)。
【0043】
リモコン20のスイッチ21,22が操作されるまでは、ステップ53,58を循環する。
【0044】
リモコン20の洗浄スイッチ21又は22の操作に伴って大洗浄信号又は小洗浄信号が入力されると、ステップ54に進み、便座3の開又は閉を判断し、閉であればステップ55に移り、大洗浄を実行し、次いで洗浄メモリ16に1(今回の便器使用過程で便器洗浄したことを示す値)を設定し(ステップ55a)、ステップ58へ進む。一方、ステップ54において便座3が開である場合ステップ56に進み、そのときに洗浄メモリ=0(便器洗浄未実施)であればステップ55に進み大洗浄する。そうでないとき(すでに大洗浄したことがある場合)には、ステップ57に進み、小洗浄を行った後、ステップ58に進む。
【0045】
人体が立ち去る(人体検知センサ8が人体を検知しなくなる)までは上記の動作を繰り返す。人体が立ち去った場合は、ステップ59に進み、洗浄メモリ16をクリアして終了する。
【0046】
このフローでは、第10図の通り、洗浄スイッチ21又は22が操作されたときに、便座3が開であっても、今回の便器使用過程で(即ち、この使用者がトイレルームに入ってきてから)便器洗浄したことがないときには、大洗浄を行い、便器洗浄したことがあるときには小洗浄を行う。
【0047】
このように、2回目以降の洗浄を小洗浄とすることにより、無用な大洗浄の防止による節水効果が得られる。なお、この実施の形態では便座開時の第1回目の洗浄を大洗浄としているが、小洗浄としてもよい。
【0048】
<第6図及び第11図のフロー>
第6図及び第11図は請求項4の実施の形態に係るフローである。
【0049】
トイレルームに入室してきた人体が人体検知センサ8で検知されると、着座メモリ13に0(着座したことがない)を設定すると共に便座メモリ15に初期値として「2」を設定する(ステップ60,61)。
【0050】
リモコン20のスイッチ21,22が操作されるまでは、ステップ62,63,68を循環する。ステップ63では、便座メモリ15に便座の状態に応じて次のようにデータを設定する。即ち、前回の判断から今回の判断の間に便座が開から閉になったときには、1を設定し、開のままならば2を設定し、閉のままであるならば3を設定する。また、このステップ63では、便座3への着座の有無に応じて着座メモリ13に0(着座したことがない)又は1(着座したことがある)を設定する。
【0051】
リモコン20の洗浄スイッチ21又は22の操作に伴って大洗浄信号又は小洗浄信号が入力されると、ステップ64に進み、便座メモリ15の設定値を判断し、「3」であればステップ65に進んで大洗浄を実行し、ステップ68に進む。「2」の場合にはステップ67に進み、小洗浄した後、ステップ68に進む。
【0052】
ステップ64において便座メモリが「1」の場合はステップ66に進む。そして、このときに着座メモリ=1(着座したことあり。)であればステップ65に進み大洗浄する。そうでないとき(着座したことがない場合)には、ステップ67に進み、小洗浄を行った後、ステップ68に進む。
【0053】
人体が立ち去る(人体検知センサ8が人体を検知しなくなる)までは上記の動作を繰り返す。人体が立ち去った場合は、ステップ69に進み、便座メモリ15及び着座メモリ13をクリアして終了する。
【0054】
このフローでは、第11図の通り、洗浄スイッチ21又は22が操作されたときに、便座3が閉であっても、今回の便器使用過程で(即ち、この使用者がトイレルームに入ってきてから)着座したことがないときには、小洗浄を行う。
【0055】
従って、トイレルームに入ってきた人が小使用等のために便座3を開とし、その後、便座3を閉とし、この状態で洗浄スイッチ21又は22を操作した場合には小洗浄が行われる。このように、洗浄スイッチ操作時に便座3が閉であっても、便器使用過程で着座がなく、小洗浄すべきであるときには、必ず小洗浄が行われるので、無用な大洗浄の防止による節水効果が得られる。
【0056】
<第7図及び第12図のフロー>
第7図及び第12図は請求項5のフローを示している。
【0057】
このフローは、第12図に示すように、第11図のフローにおける最初の便座開の状態(第12図のB)よりも前の状態として「便座を閉とし、着座して(大使用などを行って)おり、しかもその後、便器洗浄することなく便座を開とした」状況Aを想定したものである。なお、この第12図の状況A〜Cは、例えば「大便を行った使用者が、便座から起立し、便座を立て、ペーパー等で飛散物を拭き取り、このペーパーを便器に捨て、次いで便座を倒し、洗浄スイッチを操作した」状況を想定したものである。
【0058】
この第12図では、B〜Cの間で着座がないが、B以前のA状態時に着座(大使用)があり、且つ便器がまだ洗浄されていないので、大洗浄する必要がある。
【0059】
そのためのプログラムを示す第7図が第6図と異なるのは、ステップ61においてさらに「洗浄メモリ=0」を設定する点、大洗浄(ステップ65)後に「洗浄メモリ=1」を設定するステップ65aを設けたこと、ステップ64において便座メモリ=2のときにステップ64から一旦ステップ64aに移り、「着座メモリ=1且つ洗浄メモリ=0」であるかを判断するステップ64aを設けた点、ステップ69で洗浄メモリもクリアするようにした点であり、その他は第6図と同じである。
【0060】
この第7図では、ステップ64で便座メモリ=2すなわち便座が開のときには、ステップ64aに移り、着座メモリ=1且つ洗浄メモリ=0であるか判断する。第12図のAのように便器使用過程で着座がなされており、且つ洗浄がまだ行われていない場合、「着座メモリ=1,洗浄メモリ=0」である。そこで、ステップ64aからステップ65に移り、大洗浄を行う。
【0061】
第12図のB以前の状態で着座がなかったり、又は大洗浄が行われているときには、この条件を満たさないので、ステップ64aからステップ67に移り、小洗浄を行う。
【0062】
上記第3図〜第7図のフローは、いずれも洗浄スイッチ21又は22を操作したときの便座3の開又は閉状態等の条件に従って大洗浄又は小洗浄を自動的に適切に区別して実行するものであるが、本発明では、このような大小の洗浄の自動的な区別を行わず、大洗浄スイッチ21が操作されたときには必ず大洗浄を実行し、小洗浄スイッチ22が操作されたときには必ず小洗浄を実行するリモコンスイッチ優先モードを設定できるようにしてもよい。
【0063】
このようなリモコンスイッチ信号優先モードは、例えばリモコン20の複数のスイッチを長押しすると設定され、別の複数のスイッチを長押しすると解除されるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 洋風便器
2 便座ボックス
3 便座
4 便蓋
12 制御装置
20 リモコン
21 大用便器洗浄スイッチ
22 小用便器洗浄スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であるときには小洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり且つ便器使用過程で着座がなされているときには大洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項3】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり且つ便器使用過程で洗浄が2回目以降であるときには小洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項4】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに、便座が閉であると共に離座状態であり、且つ便器使用過程で便座が開から閉とされていると共に便器使用過程で着座がなされていない場合には、小洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項5】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに、便座が閉であり且つ便器使用に際し、着座と、その後の便座開と、さらにその後の便座閉とがなされていると共に、この便座閉の後に着座がなされていない場合には、大洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リモコンに洗浄スイッチとして、大洗浄信号を与えるための大洗浄スイッチと、小洗浄信号を与えるための小洗浄スイッチとが設けられており、
前記給水弁制御手段は、小洗浄を実行すべき条件下にあるときに大洗浄信号が与えられても小洗浄を実行し、大洗浄を実行すべき条件下にあるときに小洗浄信号が与えられても大洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リモコンに洗浄スイッチとして、大洗浄信号を与えるための大洗浄スイッチと、小洗浄信号を与えるための小洗浄スイッチとが設けられており、
前記給水弁制御手段は、リモコンからの大洗浄信号と小洗浄信号とに従った洗浄を行うスイッチ信号優先モードが選択可能となっていることを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項1】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であるときには小洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり且つ便器使用過程で着座がなされているときには大洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項3】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに便座が開であり且つ便器使用過程で洗浄が2回目以降であるときには小洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項4】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに、便座が閉であると共に離座状態であり、且つ便器使用過程で便座が開から閉とされていると共に便器使用過程で着座がなされていない場合には、小洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項5】
便器と、該便器に洗浄水を供給する給水弁と、該給水弁を制御して大洗浄又は小洗浄を実行する給水弁制御手段と、該給水弁制御手段に対し洗浄信号を与えるための洗浄スイッチを有したリモコンとを備えた便器洗浄装置において、
該給水弁制御手段は、リモコンから洗浄信号が与えられたときに、便座が閉であり且つ便器使用に際し、着座と、その後の便座開と、さらにその後の便座閉とがなされていると共に、この便座閉の後に着座がなされていない場合には、大洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リモコンに洗浄スイッチとして、大洗浄信号を与えるための大洗浄スイッチと、小洗浄信号を与えるための小洗浄スイッチとが設けられており、
前記給水弁制御手段は、小洗浄を実行すべき条件下にあるときに大洗浄信号が与えられても小洗浄を実行し、大洗浄を実行すべき条件下にあるときに小洗浄信号が与えられても大洗浄を実行することを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記リモコンに洗浄スイッチとして、大洗浄信号を与えるための大洗浄スイッチと、小洗浄信号を与えるための小洗浄スイッチとが設けられており、
前記給水弁制御手段は、リモコンからの大洗浄信号と小洗浄信号とに従った洗浄を行うスイッチ信号優先モードが選択可能となっていることを特徴とする便器洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−163086(P2011−163086A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30268(P2010−30268)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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