説明

便座カバー及び便座

【課題】着座したときに「べとつき感」がなく、サラリとした座り心地が得られる便座カバー及び便座を提供する。
【解決手段】便座3に対して着脱可能な便座カバー4において、その最表面に表面層41を設け、表面層41の裏面側に吸排気層42を積層し、表面層41及び吸排気層42と便座3との間に接着層43を設ける。表面層41は、水蒸気は通過させるが液体の水は通過させないような微細孔が形成され、液体の水の接触角度が大きい材料により形成し、透湿性、防水性及び撥水性を付与する。また、吸排気層42は、その一部が層厚方向に延びた化学繊維により形成し、通気性及び柔軟性を付与する。これにより、使用者が着座したときに吸排気層42から湿った空気が排出され、離座したときに新鮮な外気が吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座面の座り心地を改善した便座カバー及び便座に関する。
【背景技術】
【0002】
便座の座り心地を改善するために、便座に装着して使用される便座カバーが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。また、便座本体の座面を特別な材質とした便座も開発されている(例えば、特許文献2参照。)。このように、発泡シートの表面に高密度ポリエチレンフィルムを貼着させた便座カバーや、発泡シートの表面をビニールレザー等で被覆した便座が提案されている。
【特許文献1】特開平8−299227号公報
【特許文献2】特開2001−245823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示すような問題点がある。すなわち、特許文献1及び2に記載の従来の便座カバー及び便座は、発泡シートを内蔵しているため座り心地は改善されているものの、使用者が便座に座っている間に、座面に触れている肌の部分から分泌した汗が肌と便座カバーとの間に溜まってしまい、使用者に「べとつき感」を感じさせてしまう。
【0004】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、着座したときに「べとつき感」がなく、サラリとした座り心地が得られる便座カバー及び便座を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
便座の座面に装着する便座カバーであって、
透湿性及び防水性を有する表面層と、
前記表面層の裏面側に積層され通気性及び柔軟性を有する吸排気層と、
を備えたことを特徴とする便座カバーが提供される。
【0006】
上記構成によれば、使用者が分泌した汗は、透湿性のある表面層を介して吸排気層内に拡散する。そして、使用者の着座により、吸排気層が圧縮されて吸排気層内の空気が外部に排気され、使用者の離座により、吸排気層が膨張して吸排気層内に外気が吸気される。これにより、吸排気層内の空気が外気と交換され、湿気を逃がすことができる。
【0007】
本発明の他の一態様によれば、
便座本体と、
前記便座本体の座面上に取り付けられた上記の便座カバーと、
を備えたことを特徴とする便座が提供される。
【0008】
本発明の更に他の一態様によれば、
上板部と、
前記上板部が接合された底板部と、
を備え、
前記上板部は、
透湿性及び防水性を有する表面層と、
前記表面層の裏面側に積層され通気性及び柔軟性を有する吸排気層と、
土台層と、
を有し、前記表面層、前記吸排気層及び前記土台層が直接的又は間接的に積層されたものであることを特徴とする便座が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、着座したときに「べとつき感」がなく、サラリとした座り心地が得られる便座カバー及び便座を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る便座及び便座カバーが設けられたトイレ装置を例示する斜視図であり、
図2は、図1に示す便座及び便座カバーのA−A’線による断面図である。
図1に示すように、本実施形態においては、トイレ装置1において、水洗便器2が設けられており、水洗便器2の上部に、便座3が取り付けられている。そして、便座3の座面には、便座カバー4が装着されている。
【0011】
図2に示すように、便座カバー4の最表面には、表面層41が設けられている。表面層41は、便座3の内側面3Aから上面3Bを経て外側面3Cを覆う領域に配置されている。また、表面層41の裏面側における便座3の上面3Bの上に相当する領域には、吸排気層42が積層されている。なお、吸排気層42は、便座3の上面3Bから内側面3A及び外側面3Cの少なくともいずれかに向けて延在するように設けてもよい。
一方、表面層41及び吸排気層42と便座3との間には、接着層43が設けられている。接着層43には接着剤が塗布されており、便座3に対して着脱可能に接着する。これにより、表面層41、吸排気層42及び接着層43が積層されてなる便座カバー4を、便座3に対して着脱可能としている。
【0012】
表面層41には、気体の水蒸気は通過させるが液体の水は通過させない程度の大きさの微細孔(図示せず)が形成されており、また、液体の水の接触角度が大きく、従って濡れにくい材料により形成されている。これにより、表面層41は、透湿性、防水性及び撥水性を有している。表面層41は、例えば、疎水基を有する化学繊維からなる織布であり、例えば、フロロカーボン・ポリマーからなる織布であり、例えば、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene resin:4フッ化エチレン樹脂)やポリウレタンを延伸加工して得られた繊維からなる織布であり、例えば、前者ではジャパンゴアテックス株式会社製「ゴアテックス」(商標)のメンブレン(膜)であり、後者では帝人株式会社製「ウェルドライ」(商標)である。また、表面層41には抗菌剤が適宜含有されており、抗菌性を有している。更に、表面層41には着色剤が含有されており、所望の色調に着色されている。これにより、便座カバー4の外観に、所望の色調が付与されている。表面層41の厚さは、例えば、0.1〜100ミクロンである。また、表面層41の表面上にさらに、撥水性や強度を保つための保護層を設けても良い。このような保護層には、具体的には、例えば撥水処理加工されたポリエステル加工生地を用いることができる。
【0013】
吸排気層42は、層厚方向に力が印加されると圧縮し、力が印加されなくなると元の形状に復元する層である。また、その内部及び外部との間で空気を流通させる層である。すなわち、吸排気層42は、柔軟性及び通気性を有している。例えば、吸排気層42は、化学繊維からなる織物であり、その化学繊維の少なくとも一部は層厚方向に延びている。すなわち、繊維が層厚方向に配向した材料を用いることができる。また、給排気層42において、その繊維密度を疎とすれば、給排気層42内の空気拡散性が優れたものとなる。更に、給排気層42の上下面は凹凸が少ないため、他の層との接着性が優れている。吸排気層42は、例えば、旭化成せんい株式会社製「フュージョン」(商標)により形成されている。このほか、東洋紡株式会社製「ブレスエアー」(商標)や帝人株式会社製「エアクイーン」(商標)により吸排気層42を形成してもよい。更に、吸排気層42は、例えば活性炭等の脱臭吸着剤を含有していてもよい。吸排気層42の厚さは、例えば、1〜20ミリメートルである。また、吸排気層42の全体積に占める繊維の体積の割合は例えば1〜30体積%である。更に、表面の凹凸の高さは例えば0.05〜0.5ミリメートルである。
【0014】
一方、便座3は、硬質の樹脂材料からなる底板31と、硬質の樹脂材料からなる上板32とが相互に接合されて組み立てられている。例えば、底板31及び上板32はポリプロピレン樹脂により形成されている。底板31の表面は、平坦に近い形状を有する。これに対して、上板32はその両側部、即ち、内側面3A及び外側面3Cが底板31に向けて湾曲した曲面を有する。そして、上板32の内側面3Aの端部と外側面3Cの端部が、底板31の内周側端部及び外周側端部にそれぞれ接合されている。この接合の方法は、接着剤でもよいが、例えばレーザ溶着法又は振動圧着法などを用いることもできる。これにより、便座3の内部は中空とされている。そして、上板32の外面が便座3の座面となり、便座カバー4はこの上板32の外面に装着されている。
【0015】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る便座カバーの着脱動作を例示する斜視図であり、
図4(a)〜(d)は、本実施形態に係る便座カバーの換気動作を例示する断面図である。
図3に示すように、便座カバー4は、便座3に対して自在に着脱させることができる。このとき、便座カバー4の接着層43(図2参照)が、便座カバー4を便座3に対して固定的に接着させ、使用時に便座カバー4が便座3に対してずれることを防止する。また、接着層43の便座3に対する接着力は適度に弱く調整されているため、使用者は便座3及び便座カバー4に損傷を与えることなく、また、便座3上に接着層43を残留させることなく、便座カバー4を便座3から取り外すことができる。
【0016】
次に、便座カバー4の換気動作について説明する。
図4(a)に示すように、吸排気層42は、例えば繊維が層厚方向に配向した構造を有する。このような構造にすると、層厚方向の圧縮変形に対する復元性が良好で、しかも通気性も良好にすることができる。
【0017】
使用者が着座していない状態では、吸排気層42は本来の形状を保っており、吸排気層42内には空気が保持されている。
この状態で、図4(b)に示すように、使用者(図示せず)が便座3に着座すると、便座カバー4の吸排気層42が圧縮されてつぶれるように変形する。この状態においても、繊維が層厚方向に配向している構造のために、強度が高く、給排気層42の内部空間が閉塞するに至らず、確実に気道が確保される。そして、この気道を通じて、圧縮された部分の吸排気層42内の空気が横方向に移動し、表面層41内を通過して外部に押し出される。
【0018】
そして、図4(c)に示すように、使用者が着座している間は、吸排気層42は圧縮された状態を保持する。このとき、表面層41は透湿性を有し、また吸排気層42には横方向の気道が形成されているため、使用者の肌の表面層41と接している部分から分泌された汗は、蒸発して、表面層41を通過して吸排気層42内に拡散し、吸排気層42内を横方向に移動して、その一部は、表面層41における肌と接していない部分を介して外部に放出される。このため、肌と表面層41との間に汗が溜まりにくく、従って蒸れにくく、使用者に「べたつき感」を感じさせることが少ない。
【0019】
また、表面層41上に汗51が付着した場合においても、表面層41は撥水性を有しているため、汗51が濡れ広がることがない。そして、表面層41を介して、外部と吸排気層42との間で空気が移動しているため、表面層41に付着した汗51は速やかに揮発する。このため、汗51が表面層41の微細孔を塞ぐことが少なく、表面層41の透湿性を損なうことがない。更に、吸排気層42が変形することにより、使用者の体重を分散させるため、座り心地を良好にすることができる。
【0020】
次に、図4(d)に示すように、使用者が立ち上がって離座すると、吸排気層42に印加されていた荷重が消滅し、吸排気層42が膨張して本来の形状に復元する。吸排気層42の材料として、繊維が層厚方向に配向している構造を採用すると、この際の復元性が良好である。これに伴い、吸排気層42内が負圧となるため、表面層41を介して、外部から新鮮な空気が吸排気層42内に流入する。このように、使用者が着座するときに、吸排気層42内の湿った空気が外部に排出され、離座するときに、吸排気層42内に新鮮な外気が吸入されるため、使用者の着座/離座に伴って吸排気層42内の空気が希釈置換され、吸排気層42内を効率よく乾燥させることができる。
【0021】
その後、図4(a)に示す状態に戻る。図4(a)に示すような使用者が着座していない状態でも、吸排気層42内の空気は表面層41を介して徐々に換気される。これにより、吸排気層42内を常に乾いた状態にしておくことができる。また、表面層41は抗菌剤を含有しているため、菌が繁殖することを防止でき、表面層41を清潔な状態に保つことができる。更に、吸排気層42に活性炭等の脱臭吸着剤を含有させれば、吸排気層42内に異臭成分が侵入した場合でも、臭いが残らず、悪臭の発生を防止することができる。
【0022】
上述の如く、本実施形態によれば、使用者が着座している間は、汗が表面層41を介して吸排気層42内に拡散するため、使用者の肌を乾燥した状態に保つことができる。また、表面層41が撥水性を有することにより、例えば、水などが便座カバー4にかかったような場合でも濡れにくく、あるいは、濡れた雑巾などで拭き掃除することにより汚れを簡単に拭き取ることも可能となる。
【0023】
また、使用者の着座及び離座によって、便座カバー4の内外に大きな空気の流れが形成されるため、着座中に吸排気層42内に拡散した湿気を、便座カバー4の外部に排出することができる。更に、便座が使用されていないときも、吸排気層42内の空気は表面層41を介して外気との間で拡散する。これにより、便座カバー4を常に乾いた状態にしておくことができる。この結果、使用者に「べたつき感」を感じさせることなく、サラリとした感覚を与えることができる。
【0024】
また、吸排気層42が柔軟性を有しているため、良好な座り心地を実現することができる。更に、表面層41に抗菌剤を含有させているため、表面層41を清潔に保つことができ、吸排気層42に脱臭吸着剤を含有させれば、悪臭の発生を防止できる。更にまた、便器3の座面を便座カバー4が覆っているため、使用者の肌が便座3に直接触れることがなく、使用者が着座の際に「ヒヤリ感」を覚えることがない。従って、例えば冬季など気温が低い条件においても、便座3にヒータなどの暖房手段を設ける必要性が低くなる。また、便座カバー4を便器3に対して弱く接着させているため、便座カバー4が便器3に対してずれることを防止できると共に、便座カバー4を便器3に対して着脱可能とすることができる。これにより、長期間の使用により便座カバー4が汚れた場合又は劣化した場合などに、便座カバーを容易に交換することができる。
【0025】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係る便座及び便座カバーを例示する断面図である。
本実施形態に係る便座3は、底板31と上板32との間に、ヒータ33が設けられている点で、前述の第1の実施形態と異なる。
ヒータ33を設けることにより、例えば寒冷地などにおいて冬季に便座3を使用する場合に、便座3を適度に暖めることが可能となる。従って、便座カバー4を設けたことによる「ヒヤリ感」の抑制効果と相まって、寒冷地などでも快適に着座することができる。 またさらに、本実施形態によれば、便座カバー4が保温効果を有するため、ヒータ33の消費電力を低減できる。つまり、便座カバー4を設けないな場合と比較して、便座カバー4を設けることにより、便座3の表面から外気に放出される熱量を低減することが可能となる。その結果として、ヒータ33の消費電力を大幅に低減することが可能となる。特に、「待機状態」すなわち便座3を使用していない状態における消費電力を低減できる効果は大きく、電気代を節約できる。
【0026】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る便座及び便座カバーを例示する断面図である。
本実施形態に係る便座カバー14は、前述の第1の実施形態に係る便座カバー4(図2参照)と比較して、表面層41及び吸排気層42と接着層43との間に、クッション層44が設けられている点が異なっている。クッション層44は、低反発性材料により形成されており、例えば、発泡性樹脂により形成されている。クッション層44の厚さは、例えば5〜20ミリメートルである。
【0027】
また、本実施形態における便座13は、前述の第1の実施形態における便座3(図2参照)と比較して、底板31aの両端部が上板32との接合部を越えて両外側に延出し、延出部13bを構成して、便座13が便座カバー14の厚み分だけオフセットされている点が異なっている。これにより、底板31aの延出部31bが便座カバー14の両端部を覆い、便座カバー14の端部が剥きだしになることを防いでいる。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0028】
本実施形態によれば、使用者が着座したときにクッション層44が変形することにより、より効果的に使用者の体重を分散させ、座り心地をより一層向上させることができる。また、クッション層44を設けることにより、便座カバー14全体の厚さが厚くなるが、便座3の底板31aの両端部に延出部31bを設けることにより、便座カバー14の両端部が露出することを防止できる。本実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0029】
なお、前述の図2、図5及び図6に示す具体例においては、接着層43を表面層41の裏面側の全領域に設ける例を示したが、本実施形態はこれに限定されず、接着層43を表面層41の裏面側における一部の領域のみに設けてもよい。このとき、接着層43は連続層として1ヶ所に設けてもよく、不連続層として複数の領域に分散させて設けてもよい。これにより、便座カバーの便器3に対する接着力を調整し、便座カバーのずれを防止しつつ、取り外しを容易にすることができる。
【0030】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る便座を例示する断面図である。なお、図7においては、図2に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符合を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る便座21においては、便座本体23及び便座カバー24が一体的に設けられている。便座本体23は、底板31、上板32及びヒーター33により構成されている。また、便座カバー24は、表面層41、吸排気層42及び接着層45により構成されている。接着層45は、前述の第1の実施形態における接着層43(図2参照)と比較して、便座本体23に対する接着力が強く、これにより、便座カバー24は便座本体23と一体化されている。すなわち、硬質樹脂からなる上板32、接着層45、吸排気層42及び表面層41がこの順に積層されて、便座カバー付きの便座21が構成されている。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0031】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る便座を例示する断面図である。なお、図8においては、図6に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符合を付し、その詳細な説明を省略する。
【0032】
本実施形態に係る便座21aにおいては、便座本体23a及び便座カバー24aが一体的に設けられている。便座本体23aは、底板31a、上板32及びヒーター33により構成されている。そして、底板31aの両側部には延出部31bが設けられている。
【0033】
一方、便座カバー24aは、表面層41、吸排気層42、クッション層44及び接着層45により構成されている。接着層45は、前述の第3の実施形態における接着層43(図6参照)と比較して、便座本体23aに対する接着力が強い接着剤により形成されている。これにより、便座カバー24aは便座本体23aに対して固定的に接着され、一体化されている。すなわち、硬質樹脂からなる上板32、接着層45、クッション層44、吸排気層42及び表面層41がこの順に積層されて、便座カバー付きの便座21aが構成されている。そして、便座本体23aの底板31aの延出部31bにより、便座本体23aの上板32が便座カバー24aの厚み分だけオフセットされて、便座カバー24aの両端部が覆われている。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0034】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る便座を例示する断面図である。なお、図9においては、図8に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符合を付し、その詳細な説明を省略する。
【0035】
本実施形態においては、底板31aからなる底板部に、上板部34が接合されて便座21bが構成されている。上板部34においては、硬質の合成樹脂からなる土台層35の上に、接着層45、クッション層44、給排気層42、表面層41がこの順に積層されている。すなわち、表面層41、給排気層42、クッション層44、接着層45、土台層35が一体的に成形された上板部34を、底板31aに接合して、便座21bが構成されている。
【0036】
土台層35の形状は、前述の第1の実施形態における上板32の形状と同じであり、底板31aとの間は中空になっている。また、接着層45は、前述の第3の実施形態における接着層43(図6参照)と比較して、土台層35に対する接着力が強い接着剤により形成されている。更に、底板31aと土台層35との間の空間にはヒーター33が内蔵されている。そして、底板31aの両側部に設けた延出部31bにより、表面層41からクッション層44に至る積層部分の両端部が覆われている。
【0037】
本実施形態のような構成としても、前述の第5の実施形態のように、便座本体23a(図8参照)に便座カバー24a(図8参照)を被せた便座21a(図8参照)と同様の動作及び効果を得ることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第5の実施形態と同様である。
【0038】
更にまた、図9においては、表面層41、吸排気層42、クッション層44、接着層45及び土台層35がこの順に直接的に積層された例を示したが、本発明はこれに限定されず、各層は、間に何らかの層を介して、間接的に積層されていてもよい。これは、他の実施形態についても同様である。但し、表面層41と吸排気層42との間に介在させる層は、透湿性及び通気性を損わない層であることが必要である。
【0039】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれら具体例には限定されない。例えば、前述した各具体例は技術的に可能な範囲において互いに組み合わせることができ、このようにして得られたものも本発明の範囲に包含される。より具体的には、例えば第3乃至第6の実施形態において、ヒータ33を設けないものも本発明の範囲に包含される。
【0040】
また、前述の第1乃至第3の実施形態においては、便座カバーに設けた接着層43により、便座カバーを便座本体に対して接着する例を示したが、本発明はこれに限定されず、便座カバーの端部を便座本体の底板の下面まで回り込ませるようにして保持されるような便座カバーとしてもよい。更に、第4及び第5の実施形態においては、便座カバーに設けた接着層45により、便座カバーを便座本体に対して接着する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ねじ等の機械的な手段により、便座カバーを便座本体に接合してもよい。更にまた、第6の実施形態において、クッション層44や接着層45をなくした形態としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る便座及び便座カバーが設けられたトイレ装置を例示する斜視図である。
【図2】図1に示す便座及び便座カバーのA−A’線による断面図である。
【図3】本実施形態に係る便座カバーの着脱動作を例示する斜視図である。
【図4】(a)〜(d)は、本実施形態に係る便座カバーの換気動作をその工程順に例示する断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る便座及び便座カバーを例示する断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る便座及び便座カバーを例示する断面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る便座を例示する断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る便座を例示する断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る便座を例示する断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 トイレ装置
2 水洗便器
3、13、21、21a、21b 便座
4、14、24、24a 便座カバー
23、23a 便座本体
31、31a 底板
31b 延出部
32 上板
33 ヒーター
34 上板部
35 土台層
41 表面層
42 吸排気層
43、45 接着層
44 クッション層
51 汗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座の座面に装着する便座カバーであって、
透湿性及び防水性を有する表面層と、
前記表面層の裏面側に積層され通気性及び柔軟性を有する吸排気層と、
を備えたことを特徴とする便座カバー。
【請求項2】
前記表面層は、撥水性を有することを特徴とする請求項1記載の便座カバー。
【請求項3】
前記表面層が抗菌剤を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の便座カバー。
【請求項4】
前記吸排気層は、その少なくとも一部が層厚方向に配向した繊維からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の便座カバー。
【請求項5】
前記吸排気層は、脱臭吸着剤を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の便座カバー。
【請求項6】
前記吸排気層の裏面側に配置され柔軟性を有するクッション層をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の便座カバー。
【請求項7】
前記クッション層は、発泡性樹脂からなることを特徴とする請求項6記載の便座カバー。
【請求項8】
前記便座に接する面に配置された接着層をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の便座カバー。
【請求項9】
便座本体と、
前記便座本体の座面上に取り付けられた請求項1〜8のいずれか1つに記載の便座カバーと、
を備えたことを特徴とする便座。
【請求項10】
前記便座本体は、
底板と、
前記底板に接合され、その外面が前記座面となる上板と、
を有し、
前記底板には、前記上板との接合部よりも外側に延出し、前記便座カバーの端部を覆う延出部が設けられていることを特徴とする請求項9記載の便座。
【請求項11】
上板部と、
前記上板部が接合された底板部と、
を備え、
前記上板部は、
透湿性及び防水性を有する表面層と、
前記表面層の裏面側に積層され通気性及び柔軟性を有する吸排気層と、
土台層と、
を有し、前記表面層、前記吸排気層及び前記土台層が直接的又は間接的に積層されたものであることを特徴とする便座。
【請求項12】
前記表面層は、撥水性を有することを特徴とする請求項11記載の便座。
【請求項13】
前記表面層が抗菌剤を含有していることを特徴とする請求項11または12に記載の便座。
【請求項14】
前記吸排気層は、その少なくとも一部が層厚方向に配向した繊維からなることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1つに記載の便座。
【請求項15】
前記吸排気層は、脱臭吸着剤を含有していることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1つに記載の便座。
【請求項16】
前記上板部は、前記吸排気層の裏面側に配置され柔軟性を有するクッション層をさらに有することを特徴とする請求項11〜15のいずれか1つに記載の便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−229388(P2007−229388A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58195(P2006−58195)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】