説明

便座装置

【課題】安全に便座装置の殺菌ができる便座装置を提供する。
【解決手段】温水洗浄便座8の一部に照明手段として設けた、便蓋照明14、殺菌灯15、便座照明17、照明器20へ、スイッチ操作に応じ照明制御部21によって給電を行い、トイレ室13の照明を点灯しなくても、用便を暗い中で行うことを前提とした照明手段の照明により、安全に、また確実に便座や便器が使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室の便器に搭載して使用される便座装置の照明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の便座装置には、図6に示すようなものがあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
同図において、1は遠赤外線輻射器であり、便器2の上に搭載された便座装置3に設けた便蓋4の上面の中央部に埋め込まれるように装備されている。便蓋4を閉じた状態で、この便蓋4の上に使用者が腰かけ、肛門部位を遠赤外線輻射器1の上に位置させ、スイッチ5をオンにして遠赤外線輻射器1の中央部6から痔疾患部に遠赤外線を輻射して痔疾治療を行うように構成されている。そして、赤外線輻射器1としては遠赤外ヒータや遠赤外線ランプ等を用いることができ、腰かけることのできる部位ないしはその近傍に遠赤外線輻射器1を装備することにより、効果的に痔疾の治療を行うことができるようになる。
【特許文献1】特開平1−56064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記したような従来の便座装置において、遠赤外線輻射器1は赤外域の波長を照射するため、痔疾の治療上は有効であっても可視光ではないので、使用者の目には感知できるものでなかった。
【0005】
使用者が夜間など就寝中に用便に起きる場合、トイレ室の照明は完全に覚醒した状態を前提に明るさが設定されているため眩し過ぎ、また目を完全に覚まさせたくないという使用者の思いに対して覚醒を促すものであった。
【0006】
このため、使用者は生活の知恵としてトイレ室の照明を点灯しないまま用を足す場合が多く、便器につまづいてけがをしたり、便器の正確な位置が分からなく座り間違えたり、特に男子の場合小便を便器の外に洩らしてしまうことが多く、また、便座の殺菌についても安全面や使用面で課題が多かった。
【0007】
本発明は上記した従来の課題を解決するものであり、便座の殺菌を行って清潔を維持することが可能な便座装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明の第1の発明における便座装置は、便器に搭載された便座手段と、前記便座手段の一部に設けた殺菌灯を有する照明手段と、前記便器を載置したトイレ室への使用者の入室を検出する使用者入室検出手段を有し、前記使用者入室検出手段からの信号により前記トイレ室への使用者の入室を検出すると前記照明手段による殺菌灯の点灯を行わないものとした。
【0009】
これにより、使用者が便座装置を使用中に人体にとって有害な波長の殺菌灯が点灯されることを防止して、便座の殺菌を行って清潔を維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の便座装置によれば、便座の殺菌を行って清潔を維持することなどが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1の発明における便座装置は、便器に搭載された便座手段と、前記便座手段の一部に設けた殺菌灯を有する照明手段と、前記便器を載置したトイレ室への使用者の入室を検出する使用者入室検出手段を有し、前記使用者入室検出手段からの信号により前記トイレ室への使用者の入室を検出すると前記照明手段による殺菌灯の点灯を行わないものとした。これにより、使用者がトイレ室内に入室すると殺菌灯を点灯しないので、使用者が便座装置を使用中に人体にとって有害な波長の殺菌灯が点灯されることを防止して、便座の殺菌を行って清潔を維持することが可能となる。
【0012】
また、本発明の第2の発明における便座装置は、便器に搭載された便座手段と、前記便座手段の一部に設けた殺菌灯を有する照明手段と、便座手段に設けた便座あるいは便蓋の開閉検出手段を有し、前記開閉検出手段からの信号により便座あるいは便蓋の開閉状態に応じて照明手段を制御するものとした。これにより、便座あるいは便蓋の状態に応じて殺菌灯の制御を行うことができる。
【0013】
また、本発明の第3の発明における便座装置は、開閉検出手段として便蓋の開閉を検出する便蓋開閉検出手段を有し、照明手段は便蓋開閉検出手段からの信号により便蓋の開成時は照明手段の消灯を行い閉成時は点灯を行う物とした。これにより、殺菌灯は便蓋が閉じられた状態で、安全に点灯することが可能となる。
【0014】
また、本発明の第4の発明における便座装置は、本発明の題2,第3の発明において、便器を載置したトイレ室への使用者の入室を検出する使用者入室検出手段を有し、前記使用者入室検出手段からの信号により前記トイレ室への使用者の入室を検出すると前記照明手段による殺菌灯の点灯を行わないものとした。これにより、トイレ室内に使用者がいない場合で、便蓋あるいは便座の開閉状態に応じて殺菌灯の点灯制御を行うので、殺菌灯を安全に点灯できる。
【0015】
また、本発明の第5の発明における便座装置は、照明手段は、便蓋あるいは便座の上面あるいは側面あるいは双方の面のいずれかに設けたものである。
【0016】
また、本発明の題6の発明における便座装置は、殺菌灯は便座の上面を殺菌するものである。
【0017】
また、本発明の題7の発明における便座装置は、前記照明手段は、便蓋の下面に設け、通常可視領域の光と殺菌の波長領域の光とを切替えるものである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態における便座装置の一部切欠き側面構成図、図2は同装置の構成系統図である。
【0019】
これらの図1、2において、便器7の上部には便座手段である温水洗浄便座8が搭載されている。この温水洗浄便座8は、本体9、便蓋10、便座11、本体9の温水洗浄機能部を制御する電装部12などから構成されている。この温水洗浄便座8の便蓋10の表面の一部にはトイレ室13に向かって光を照射する便蓋照明14が、また便蓋10の下面の一部には便座11の上面を殺菌するための紫外光を照射する殺菌灯15が照明手段として設けられている。この殺菌灯15は、紫外光を主体としているが、可視光領域も有したタイプのものである。また、便座11の一部には中央楕円状開口16の周囲に、照明手段である便座照明17が設けられている。また、本体9の内部の一部に便器7の便器ボール1
8に光を照射し、また便器ボール18の特定箇所である水面19に光を照射し、さらに便器ボール18内に排泄された排泄物を観察する光を照射する照明器20が照明手段として設けられている。
【0020】
これらの照明手段は、本体9の温水洗浄機能部の電装部12の制御と独立して照明制御部21で制御される。すなわち、温水洗浄便座8の制御用の表示ランプを点灯・消灯させるなどの制御は、照明手段である便蓋照明14、殺菌灯15、便座照明17、照明器20の制御と独立して行われる。
【0021】
本体9には、トイレ室13への使用者の入室を検出する使用者入室検出手段である焦電センサで構成された入室検出センサ22、温水洗浄便座8の周辺の明るさを検出するフォトダイオードで構成された周辺照度センサ23を有している。また、便座11の脚部には、便座11への使用者の着座を検出する着座検出手段でもある着座センサ24を有している。この着座センサ24は、便座11に使用者が着座すると重量によりスイッチがオンし、立ち上がるとオフする機構式のものを使用している。また、本体9内に、回動軸25、26の周囲に回動する便蓋10と便座11の開閉状態を検出する開閉検出手段である便蓋開閉センサ27と便座開閉センサ28を有している。なお、便蓋開閉センサ27は便蓋開閉検出手段でもある。
【0022】
本体9へは、電源29から温水洗浄便座機能部の電装部12、照明制御部21、また各照明手段へ給電が、水道30から温水洗浄便座8の機能部へ給水が行われる。本体9の袖部31には、リモコン32の発信部33からの信号を受ける受信部34や、本体用のお尻洗浄スイッチ35、ビデ洗浄スイッチ36、暖房スイッチ37、またこれらの表示ランプ38、38’、38”が設けられている。なお、39はトイレ室13内を照明する一般照明である。
【0023】
図3のリモコンの表面構成図にリモコン32の詳細を示す。リモコン32の表面に洗浄の開始を指示するリモコン用のお尻洗浄スイッチ40、ビデ洗浄スイッチ41、洗浄の停止を指示する停止スイッチ42、便座11の暖房の開始、停止を指示する便座暖房スイッチ43、洗浄水勢を調節する強スイッチ44、弱スイッチ45などが並んでいる。
【0024】
照明スイッチとして、各照明の開始、停止を指示する便座照明スイッチ46、便蓋照明スイッチ47、便器ボール照明スイッチ48、観察照明スイッチ49、小便ターゲットスイッチ50、殺菌灯スイッチ51が並んでいる。また、これらのスイッチに対応した照明手段の照度を調節するボリュームで構成された照度調節部52、53、54、55、56、57が並んでいる。また、観察照明スイッチ49に対応して波長域の調節を行う波長調節部58を有している。また、自動照明の開始、停止を指示する自動照明スイッチ59、自動観察の開始、停止を指示する自動観察スイッチ60、自動殺菌の開始、停止を指示する自動殺菌スイッチ61が並んでいる。
【0025】
図4に照明器20の詳細を示す。
【0026】
照明器20は、男子小用時のターゲットを便器ボール18の特定箇所である水面19上に表示するレーザー光を発射する小便ターゲット62、便器ボール18内を照明するボール照明63、排泄物観察用の昼光色や特定の可視領域の光を照射身する観察照明64が一体的に構成されている。小便ターゲット62はレーザー光を集光するためのレンズ65を有し、またこれらの光源は透過体66で保護されている。透過体66の表面へは汚れ防止のクリーニングを行うエアノズル67が臨んでおり、照明の使用前後において空気を自動的に吹き出し清掃を行っている。さらにこの照明器20は、モータ68により開閉されるシャッター69を有しており、いずれかの照明が使用されるときは自動的に開成され、ど
の照明も使い終わったら自動的に閉成されるように構成されている。
【0027】
図5にこれら実施の形態の制御ブロック図の主要部を示す。今までの説明に出てこない部分を重点に説明すると、各自動モードに関連して、自動照明モードに関連してターゲット制御部70、自動照明制御部71を有している。また、自動観察モードに関連して、タイマー72、自動観察制御部73を有している。また、自動殺菌モードに関連して、波長切替部74、自動殺菌制御部75を有している。
【0028】
次にこれらの実施の形態の動作について説明する。
【0029】
使用者が用便のためトイレ室13に入室するとする。予めリモコン32で自動照明スイッチ59が操作され、自動照明モードが選択されていると、使用者の入室を入室検出センサ22が検出し、周辺照度センサ23で検出される周辺の明るさが所定値以下である場合は、自動照明制御部71を介して便座照明17と便蓋照明14とボール照明63が点灯される。ボール照明63の点灯に当たっては、事前にエアノズル67から空気を自動的に吹き出し透過体66の清掃を行い、次いでモータ68によりシャッター69を開成しボール照明63を点灯する。周辺照度センサ23で検出される明るさのしきい値の設定は、これら便座照明17と便蓋照明14とボール照明63の点灯時の明るさにより影響を受けない値に設定されており、これらの照明が点灯しても照度を落としたり、また消灯したりするなどハンチングを起こさない範囲に設定されている。
【0030】
使用者が便蓋10と便座11を起こし開成がなされた場合は、便座開閉センサ28がこれを検出し男子の小用と判断する。そして、ターゲット制御部70により、小便ターゲット62を点灯し、水面19上に小便をするのに最適なポイントを表示する。これらの動作により、トイレ室13に入った使用者は、覚醒防止の目的でトイレ室13の一般照明39を点灯しないまま用を足す場合でも、便座照明17と便蓋照明14とボール照明63により、便器7につまづいてけがをしたり、便器7の正確な位置が分からなく座り間違えたりすることなく使用ができる。また、男子小用の場合、ボール照明63や小便ターゲット62により小便を便器7の外に洩らしてしまうことが防止できる。また、便座11に座る場合でも、便座照明17により、座る位置を的確に捉えられるため、排泄や洗浄に適した位置が確認でき確実に使用ができる。
【0031】
使用者が便座11を倒すと、男子の小用は終了あるいは行われないと判断して、便座開閉センサ28の働きで、小便ターゲット62は自動的に消灯する。
【0032】
使用者が便座11に着座すると、着座センサ24がこれを検出し、自動観察スイッチ60が操作されている時は、自動観察制御部73の働きで、観察照明64が点灯し、便器ボール18内の排泄物を昼光色のもとで観察ができる。また、用便終了後、便座11から使用者が立ち上がると着座センサ24でこれを検出し、タイマー72の働きで所定時間観察照明64が点灯を続ける。この作用により、使用者は着座した状態では排泄物を観察しにくい場合は、立ち上がってから所定時間内は観察することができる。
【0033】
また、自動殺菌スイッチが押された場合は、便蓋開閉センサ27の働きで便蓋10が開成されているときは、殺菌灯15で通常可視領域の光を照射し、便蓋10が閉成された時に波長切替部74の働きで、波長を切り替え殺菌灯15で便座11の殺菌を行っているものである。
【0034】
これら自動照明スイッチ59、自動観察スイッチ60、自動殺菌スイッチ61は各々独立して設定ができる。これらの照明の制御的な優先関係は、1)便蓋10が閉じられているときは、便蓋照明14と殺菌灯15が点灯可能であり、便座照明17、照明器20の小便
ターゲット62、ボール照明63、観察照明64は点灯されない。2)便蓋10が開成され便座11が閉じられているときは、便蓋照明14、殺菌灯15、照明器20の小便ターゲット62は消灯され、便座照明17、照明器20のボール照明63、観察照明64は点灯可能となっている。ボール照明63と観察照明64の優先関係は、観察照明64の方が優先される。すなわち、ボール照明63と観察照明64が同時に点灯しうる条件となった場合は、ボール照明63を消灯し、観察照明64を点灯する。これは、排泄物の観察を行い易くするためである。3)また、便蓋10と便座11が双方とも開成された状態では、便蓋照明14、殺菌灯15、便座照明17が消灯され、照明器20の小便ターゲット62、ボール照明63、観察照明64は点灯可能となっている。
【0035】
なお、小便ターゲット62の単位面積当たりの照度は、ボール照明63、観察照明64の単位面積当たりの照度より明るく設定されており、ボール照明63や観察照明64と併用された場合でも、小便ターゲット62がはっきりとわかるようになっている。また、便蓋照明14、便座照明17、ボール照明63などはトイレ室13の一般照明39に比べて覚醒を促さない目的で明るさを小さく押さえている。これらの、便蓋10、便座11の開閉状態、便座11への着座の有無は、便蓋開閉センサ27、便座開閉センサ28、着座センサ24、入室検出センサ22によって行われ場合分けがされる。すなわち、入室検出センサ22が使用者のトイレ室13への入室を検出していない時は、殺菌灯15以外の点灯は行わない。入室検出センサ22が使用者の入室を検出し便蓋開閉センサ27が便蓋10の閉成を検出しているときは、上記条件の1)の便蓋10が閉じられているときの条件下で制御が行われる。また、入室検出センサ22が使用者の入室を検出し便蓋開閉センサ27が便蓋10の開成を検出し、便座開閉センサ26が便座11の閉成を検出しているときは、上記条件の2)の便蓋10が開成され便座11が閉成されているときの条件で制御が行われる。また、入室検出センサ22が使用者の入室を検出し便蓋開閉センサ27と便座開閉センサ28が便蓋10と便座11の開成を検出しているときは、上記条件の3)の便蓋10と便座11が双方とも開成された条件で制御が行われる。
【0036】
これら便座照明17、便蓋照明14、ボール照明63、観察照明64、小便ターゲット62、殺菌灯15は以上のように自動照明スイッチ59、自動観察スイッチ60、自動殺菌スイッチ61に連動し自動的に動作することもできるし、便座照明スイッチ46、便蓋照明スイッチ47、便器ボール照明スイッチ48、観察照明スイッチ49、小便ターゲットスイッチ50、殺菌灯スイッチ51の独立した操作により、個別で点灯、消灯もできる。観察照明スイッチ49に関しては、波長調節部58により昼光色と特定の可視光の波長域の調節を行い、一般的な昼光色下での観察と、特定の波長による特殊な観察が行える。
【0037】
また、上記の各スイッチの操作に応じた各照明の点灯時には各照度調節部52、53、54、55、56、57により各照明の照度が調節できる。
【0038】
使用者が用便を終わりトイレ室13から退出すると、自動的モードが選択されている場合は照明は自動的に消灯され、また自動殺菌モードが選択されている場合は、殺菌灯15が所定時間点灯される。また、個別にスイッチが設定されている場合は、使用者がリモコン32のスイッチ46〜51を再び押すことにより、消灯が行われる。なお、個別スイッチ46〜51については、独立して操作ができるが、殺菌灯15については、安全の意味から、便蓋10が閉じられた状態でのみ点灯が可能となっている。また、ボール照明63と観察照明64の優先関係は、前述と同様に観察照明64の方が優先される。また、照明器20の使用の終了に当たっては、エアノズル67から空気を自動的に吹き出し清掃を行い、モータ68によりシャッター69が閉成される。
【0039】
なお、温水洗浄便座8の便蓋照明14と便座照明17はいずれも便蓋10、便座11の上面に設けたが側面や双方、また任意に組み合わせて設けてもよい。
【0040】
また、便座手段は上記実施の形態で示した温水洗浄便座8以外にも、暖房便座、また便器一体型洗浄便座など、各種の手段が有り得る。
【0041】
また、電源としては商用電源、電池電源、便座手段に関連して発電した電源、また商用電源を便座手段内で変圧したり整流した2次電源などがあり得、また便座手段の電装部の制御に従属した部位以外から得られる電力はすべてこの電源の定義の内に含まれるものである。
【0042】
また、照明手段としては、上記実施の形態の便座照明17、便蓋照明14、ボール照明63、観察照明64、小便ターゲット62、殺菌灯15以外にも、温水洗浄便座8の本体9に設けた照明や、また局所的な照明でなく便座、便蓋全体を光らせる面状照明、本体9からリモコンを照明するリモコン照明など各種の方法がある。
【0043】
また、照明制御手段としては上記実施の形態では、自動照明制御部71、自動観察制御部73、自動殺菌制御部75、ターゲット制御部70、波長調節部58、波長切替部74などがあったが、これ以外にも温水洗浄便座8の本体照明、また局所的な照明でなく便座、便蓋全体を光らせる面状照明、本体9からリモコンを照明するリモコン照明などのそれぞれ独自の制御部がありえる。
【0044】
また、使用者入室検出手段としては、焦電センサをもって構成したが、これ以外にもトイレ室13のドアノブにつけた機械的なスイッチであったり、出入り口を通過する人を光センサで検出したり、床に取りつけた重量センサであったり、また取りつけ位置も、温水洗浄便座8の本体9以外のトイレ室13内の任意箇所に取りつけたりする各種の方法がありえる。
【0045】
また、周辺照度検出手段は上記実施の形態では温水洗浄便座8の本体9に備えているものであるが、本体9以外に設けたり、フォトダイオード以外のフォトトランジスタや光電管などであってもよい。
【0046】
また、着座検出手段は便座11の下部に設けた機構的なスイッチであったが、温水洗浄便座8の本体9に設けた光で使用者の着座を検出する方法であったり、超音波を利用する方法など各種の方法がある。
【0047】
また、開閉検出手段や便蓋開閉検出手段は、便座11や便蓋10の開閉を機械的に検出する方法を取ったが、光センサーで非接触で検出する方法や、電動で便蓋、便座を開閉する場合、この電動開閉に用いられる開閉制御信号や開閉検出信号を利用するなど各種の方法がある。
【0048】
上記本実施の形態1の便座装置によれば、次のような効果が得られる。
【0049】
(1)便座手段の電装部へ給電する電源から照明手段へも給電が行われるため、特に照明手段用の専用の電源を設けたり工事を行う事なく照明ができるとともに、トイレ室の一般照明を使用しなくても照明手段の照明により、安全に、また確実に便座や便器が使用でき、さらに、便座手段の電装部と独立して照明手段の制御が行われるため、便座手段の作動に従属することなく任意に照明が利用できる。
【0050】
(2)使用者入室検出手段からの信号によりトイレ室への使用者の入室を検出して照明手段への給電を制御し、特に制御手段を暗い中で捜さなくても自動的に照明手段の点灯や照度調節などの制御ができる。
【0051】
(3)周辺照度検出手段からの信号により周辺の照度に応じて照明手段の照度を制御でき、昼間と夜間で、またトイレ室の照明が点灯した状態と消灯した状態で照明手段の照度を調節し、暗い状態でのトイレの使用時に使用者が完全に覚醒を促さない照度で使用ができ、また照明手段自身の節電も図れる。
【0052】
(4)便器ボールに向かって光を照射することにより、排泄物を受ける便器ボールの位置を使用者に確実に把握させ、便器ボールに排泄された大便の形や色、また小便の色を確実に観察でき、使用者が自ら健康状態を検査できる。
【0053】
(5)照明手段で便器に設けられた便器ボールの特定箇所に光を照射することにより、暗い中でのトイレ使用時における男子の小用を便器外に洩らさないための的としての利用や、大便の形や色、小便の色を把握するときは、排泄物の特に観察したい箇所のスポット的な照明としての利用ができる。
【0054】
(6)便座への着座を検出して照明手段を制御し、着座して使用中に不要の照明を消灯して節電を図ったり、また逆に着座時、あるいは着座状態から立ち上がり時の所定時間内は照明手段を点灯して排泄物を観察できるようにするなど利便性の向上が図れる。
【0055】
(7)便座あるいは便蓋の開閉状態に応じて照明手段を制御し、例えば便座、便蓋が下ろしてある時は非使用と判断して照明を消灯したり、便座がはね上げられた時は男子の小用と判断して便器ボール内を照射するなど使い勝手の向上が図れる。
【0056】
(8)便蓋開閉検出手段からの信号により便蓋の開成時は殺菌灯の消灯を、閉成時は点灯を行って、使用者が便座装置を使用中に人体にとって有害な波長の殺菌灯が点灯されることを防止したり、便蓋が閉成されたときは自動的に殺菌を行って清潔を維持することなどが可能となる。
【0057】
(9)便蓋あるいは便座の上面あるいは側面あるいは双方の上面を光らせることにより、暗い中でトイレ室に入った場合、トイレ室の照明を点灯しなくても、便器や便座の位置が確実に分かるため、けがの予防と便蓋や便座の操作の容易化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態における便座装置の一部切欠き側面構成図
【図2】同便座装置の構成系統図
【図3】同便座装置用いたリモコンの表面構成図
【図4】同便座装置の照明器の詳細構成図
【図5】同便座装置の制御ブロック図
【図6】従来の便座装置の構成図
【符号の説明】
【0059】
7 便器
8 温水洗浄便座(便座手段)
10 便蓋
11 便座
12 電装部
13 トイレ室
14 便蓋照明(照明手段)
15 殺菌灯(照明手段)
17 便座照明(照明手段)
18 便器ボール
19 水面(特定箇所)
20 照明器(照明手段)
21 照明制御部(照明制御手段)
22 入室検出センサ(使用者入室検出手段)
23 周辺照度センサ(周辺照度検出手段)
24 着座センサ(着座検出手段)
27 便蓋開閉センサ(開閉検出手段、便蓋開閉検出手段)
28 便蓋開閉センサ(開閉検出手段)
29 電源
46 便座照明スイッチ(照明制御手段)
47 便蓋照明スイッチ(照明制御手段)
48 便器ボール照明スイッチ(照明制御手段)
49 観察照明スイッチ(照明制御手段)
50 小便ターゲットスイッチ(照明制御手段)
51 殺菌灯スイッチ(照明制御手段)
52 照度調節部(照明制御手段)
53 照度調節部(照明制御手段)
54 照度調節部(照明制御手段)
55 照度調節部(照明制御手段) 56 照度調節部(照明制御手段)
57 照度調節部(照明制御手段)
58 波長調節部(照明制御手段)
59 自動照明スイッチ(照明制御手段)
60 自動観察スイッチ(照明制御手段)
61 自動殺菌スイッチ(照明制御手段)
70 ターゲット制御部(照明制御手段)
71 自動照明制御部(照明制御手段)
73 自動観察制御部(照明制御手段)
74 波長切替部(照明制御手段)
75 自動殺菌制御部(照明制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に搭載された便座手段と、前記便座手段の一部に設けた殺菌灯を有する照明手段と、前記便器を載置したトイレ室への使用者の入室を検出する使用者入室検出手段を有し、前記使用者入室検出手段からの信号により前記トイレ室への使用者の入室を検出すると前記照明手段による殺菌灯の点灯を行わない便座装置。
【請求項2】
便器に搭載された便座手段と、前記便座手段の一部に設けた殺菌灯を有する照明手段と、便座手段に設けた便座あるいは便蓋の開閉検出手段を有し、前記開閉検出手段からの信号により便座あるいは便蓋の開閉状態に応じて照明手段を制御する便座装置。
【請求項3】
開閉検出手段として便蓋の開閉を検出する便蓋開閉検出手段を有し、照明手段は便蓋開閉検出手段からの信号により便蓋の開成時は照明手段の消灯を行い閉成時は点灯を行う請求項2記載の便座装置。
【請求項4】
便器を載置したトイレ室への使用者の入室を検出する使用者入室検出手段を有し、前記使用者入室検出手段からの信号により前記トイレ室への使用者の入室を検出すると前記照明手段による殺菌灯の点灯を行わない請求項2または3記載の便座装置。
【請求項5】
照明手段は、便蓋あるいは便座の上面あるいは側面あるいは双方の面のいずれかに設けた請求項1から4のいずれか1項記載の便座装置。
【請求項6】
殺菌灯は便座の上面を殺菌する請求項1から5のいずれか1項記載の便座装置。
【請求項7】
前記照明手段は、便蓋の下面に設け、通常可視領域の光と殺菌の波長領域の光とを切替える請求項1から6のいずれか1項記載の便座装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−34993(P2006−34993A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298656(P2005−298656)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【分割の表示】特願平7−299488の分割
【原出願日】平成7年11月17日(1995.11.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】