説明

便座装置

【課題】例えば、ガラス、人工大理石、石、陶器、あるいは磁器などといった高脆性材料を便蓋に用いることができる便座装置を提供することを目的とする。
【解決手段】便器に設置されるケーシングと、前記ケーシングに回動可能に装着されるヒンジ部を有する便座および便蓋と、を備え、前記便蓋は、前記ヒンジ部が設けられた基材と、前記基材を構成する材料よりも高い脆性を有する材料により形成され、前記基材の上方を覆うように前記基材に装着された天板と、を有し、前記天板の少なくとも一部と前記基材との間には、間隙が存在することを特徴とする便座装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便座装置に関し、具体的には洋式腰掛便器に装着される便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、便蓋や便座を有する便座装置に対して、より高い意匠性が求められる場合がある。例えば、便蓋の少なくとも一部に、ガラス、人工大理石、石、金属、陶器、あるいは磁器などといった従来とは異なる材質を利用して、使用者の好みやトイレ環境に合わせたデザインを得ようとする試みがある。
【0003】
そこで、ヒンジ部を有する外側部材とセンター部材とを異なる色調から構成し、両者の部材を平面方向に着脱自在に接合した便座装置がある(特許文献1)。特許文献1に記載された便座装置によれば、ツートンカラーが可能となり、美観が向上するとともに高級感が得られる。
【0004】
また、傷ついた便蓋部を交換可能にする観点から、ヒンジ部を有するフレームに対して、便蓋部を着脱可能に保持させたトイレ装置がある(特許文献2)。特許文献2に記載されたトイレ装置によれば、便蓋部を交換することにより、便蓋部とフレームとの色調を合わせたり、あるいは異ならせるなどして、便座装置の意匠性を高めることも可能である。
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に記載された装置では、センター部材あるいは便蓋部は、樹脂材料を主体として形成されているため、それらの表現力には限界がある。ここで、例えば、ガラス、人工大理石、石、陶器、あるいは磁器などといった高脆性材料は、樹脂や金属とは異なった質感を持っている。そのため、このような高脆性材料を便蓋に用いることができれば、高い意匠性を持った便蓋を提供することができる。
【特許文献1】特開2002−282165号公報
【特許文献2】特開2002−272645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、例えば、ガラス、人工大理石、石、陶器、あるいは磁器などといった高脆性材料を便蓋に用いることができる便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、便器に設置されるケーシングと、前記ケーシングに回動可能に装着されるヒンジ部を有する便座および便蓋と、を備え、前記便蓋は、前記ヒンジ部が設けられた基材と、前記基材を構成する材料よりも高い脆性を有する材料により形成され、前記基材の上方を覆うように前記基材に装着された天板と、を有し、前記天板の少なくとも一部と前記基材との間には、間隙が存在することを特徴とする便座装置である。
この便座装置によれば、便蓋を開閉する際に天板に負荷が加わった場合や、天板に対して外部から衝撃が加わった場合に、天板が撓んで変形したとしても、天板と基材との間には間隙が存在するため、天板が基材に衝突するおそれは少ない。そのため、便蓋が有する天板に高脆性材料を用いることができる。その結果、意匠性の高い便蓋を提供することができる。
なお、ここで、「上方」とは閉じた状態における便蓋の上方を指すものである。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記基材は、前記天板を支持する支持部を有し、前記天板は、前記支持部において前記基材に取り付けられたことを特徴とする便座装置である。
この便座装置によれば、高脆性材料から形成された天板をより安定的に基材に保持することができる。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記基材の側方を覆うように前記基材に装着された側板をさらに備えたことを特徴とする便座装置である。
この便座装置によれば、天板の素材に対して、意匠的に調和する側板を選択することができる。そのため、種々のデザインの便蓋を提供することができる。
なお、ここで、「側方」とは閉じた状態における便蓋の側方を指すものである。
【0010】
第4の発明は、第3の発明において、前記天板と前記側板との間には、間隙が存在することを特徴とする便座装置である。
この便座装置によれば、便蓋を開閉する際に天板に負荷が加わった場合や、天板に対して外部から衝撃が加わった場合に、天板が撓んで変形したとしても、天板と基材との間には間隙が存在するため、天板が基材に衝突するおそれは少ない。そのため、天板が破損したり脱落するおそれは少なく、便蓋が有する天板に高脆性材料を用いることができる。その結果、意匠性の高い便蓋を提供することができる。
【0011】
第5の発明は、第3または第4の発明において、前記側板は、前記天板の周囲面を覆うように前記基材に装着されたことを特徴とする便座装置である。
この便座装置によれば、天板の周囲面が粗い場合であっても、安全性をより確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、例えば、ガラス、人工大理石、石、陶器、あるいは磁器などといった高脆性材料を便蓋に用いることができる便座装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を表した斜視模式図である。
【0014】
本実施形態にかかる便座装置は、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」と称す)100に設置されたケーシング200と、ケーシング200に対して回動自在に軸支された便座300および便蓋400と、を備えている。便座300および便蓋400は、ヒンジ部を有し、それぞれのヒンジ部がケーシング200に装着されることにより、ケーシング200に対して回動自在に開閉できる。ケーシング200の内部には、例えば、便座300に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。
【0015】
また、ケーシング200の内部には、例えば、便器100のボウル内の空気を吸い込み、フィルタや触媒などを介して臭気成分を低減させる脱臭機能部や、便座300に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる温風乾燥機能部や、トイレ室内に温風を吹き出してトイレ室を暖房する室内暖房機能部などが内蔵されていてもよい。なお、局部洗浄機能部や脱臭機能部や温風乾燥機能部や室内暖房機能部などは、必ずしも設けなくてもよい。
【0016】
図2は、本実施形態の便蓋の一例を斜め前方から眺めた分解模式図である。
図2に表した便蓋400は、後部にヒンジ部411が設けられた基材410と、基材410の上方を覆うように基材410に装着される天板420と、を有している。便蓋400は、ヒンジ部411がケーシング200に装着されることにより、ケーシング200に対して回動自在に開閉できる。
【0017】
基材410は、例えば、樹脂などから形成されている。また、天板420は、基材410よりも高い脆性を有する材料(高脆性材料)から形成されている。なお、本願明細書において、「高い脆性を有する」とは、靭性が相対的に小さいこと、すなわち「シャルピー衝撃試験」から求められる衝撃値や「アイゾット衝撃試験」から求められる衝撃値が、基材410を構成する材料と比較して相対的に小さい材料をいう。例えば、基材410の材料としてポリプロピレンを用いた場合、天板420の材料としては、例えば、ガラス、人工大理石、石、陶器、磁器、ガラス繊維などで補強した樹脂、PMMA(Polymethylmethacrylate:アクリル樹脂)、あるいはBMC(Bulk Molding Compound)などを用いることができる。なお、本願明細書では、基材410よりも高い脆性を有する材料を、便宜上、「高脆性材料」ということもある。
【0018】
このように、例示したような高脆性材料により天板420を形成することにより、本実施形態の便蓋400に、樹脂や金属とは異なった質感を与えることができ、その表現力をより広げることができる。
【0019】
図3は、本実施形態の便蓋の他の一例を斜め前方から眺めた分解模式図である。
図3に表した便蓋400は、図2に表した便蓋に対して、基材410の側方を覆うように基材410に装着される側板430をさらに有している。側板430は、金属あるいは樹脂などから形成されている。
【0020】
これによれば、例えば、ガラス、人工大理石、石、陶器、あるいは磁器などの材質から選択した天板420に対して、意匠的に調和する側板430を選択することができる。したがって、便蓋400は外観部分の調和をとりつつ高い意匠性を有することができる。また、基材410の側方を覆い隠すことができるため、便蓋400はより高い意匠性を有することができる。
【0021】
図4は、本実施形態の便蓋のさらに他の一例を斜め前方から眺めた分解模式図である。 図4に表した便蓋400は、図3に表した便蓋に対して、側板430に側方を覆われるようにして基材410の下側に設けられた断熱材440と、同じく側板430に側方を覆われるようにして断熱材440の下側に設けられた化粧板450と、をさらに有している。
【0022】
断熱材440は、便座300を暖房したり保温したりして、便座300に着座した使用者の臀部を暖めることができる暖房便座からの熱が放熱することを抑制できる。また、基材410や断熱材440などを覆い隠している。そのため、基材410や断熱材440は、使用者によって見られることはない。これによれば、便蓋400は、暖房便座の放熱を抑制しつつ、より高い意匠性を持つことができる。
【0023】
本発明の実施の形態において、側板430、断熱材440、および化粧板450は、必ずしも設けなくともよいが、以下においては、側板430、断熱材440、および化粧板450が設けられた場合を例に挙げて説明する。
【0024】
図5は、本実施形態の便蓋を斜め後方から眺めた斜視模式図である。
また、図6は、本実施形態にかかる便蓋の内部構造を表す断面模式図である。
また、図7は、便蓋の前端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
なお、以下の図6〜図18は、図5に表したA−A断面図に相当する。
【0025】
天板420は、図2に関して前述したように、例えば、ガラス、人工大理石、石、陶器、磁器、ガラス繊維などで補強した樹脂、PMMA(Polymethylmethacrylate:アクリル樹脂)、あるいはBMC(Bulk Molding Compound)などの高脆性材料から形成されている。そのため、便蓋400を開閉する際に天板400に負荷が加わった場合や、天板420に対して外部から衝撃が加わった場合に、天板420が撓んで変形することで基材410や側板430などに衝突すると、その天板420は破損するおそれがある。
【0026】
そこで、本実施形態の便蓋400は、基材410と天板420の少なくとも一部との間に間隙Bを有する。この間隙Bは、負荷や衝撃が加わったときの天板420の撓みを許容することができる。つまり、間隙Bは、天板420に対して外部から負荷や衝撃が加わったときの天板420の変形量よりも大きい。そのため、天板420に対して外部から負荷や衝撃が加わり、天板420が撓んで変形したとしても、その天板420は基材410に衝突して破損するおそれは少ない。
【0027】
また、本実施形態の便蓋400は、側板430と天板420との間に間隙Cを有する。この間隙Cは、間隙Bと同様に、負荷や衝撃が加わったときの天板420の撓みを許容することができる。つまり、間隙Cは、天板420に対して外部から負荷や衝撃が加わったときの天板420の変形量よりも大きい。そのため、天板420に対して外部から負荷や衝撃が加わり、天板420が撓んで変形したとしても、その天板420は側板430に衝突して破損するおそれは少ない。
【0028】
図8は、基材と天板との取付位置を拡大して眺めた断面模式図である。
図8に表したように、天板420の中央部には突起部421が設けられている。突起部421には、図8に表したように、ナット422が挿入されている。なお、ナット422は、天板420の形成時に予め挿入されていてもよいし、天板420の形成後に挿入されてもよい。
【0029】
また、天板420の突起部421は、基材410の中央部に設けられた支持部413(図4参照)に支持されている。本実施形態の基材410では、支持部413は凹形状を有している。これによれば、天板420を基材410に固定するための平面が確保される。つまり、天板420をより安定的に基材410に保持することができる。
【0030】
そして、例えば、ねじやボルトなどの固定部材472を基材410に設けられた固定部材孔414に下側から挿入して、ナット422に締結することによって、天板420を基材410の支持部413において取り付けることができる。これによれば、開閉を繰り返す便蓋400において天板420を強固に取り付けることができる。そのため、便蓋400の開閉時に天板420が脱落するおそれはない。
【0031】
ナット422に締結された状態の固定部材472の下側には、断熱材440が取り付けられ、その断熱材440の下側には化粧板450がさらに取り付けられている。そのため、固定部材472は、化粧板450によって覆い隠されており、使用者によって見られることはない。これによれば、本実施形態にかかる便蓋400は、より高い意匠性を持つことができる。
【0032】
なお、本実施形態では、天板420に突起部421が設けられ、基材410に凹形状を有する支持部413が設けられた場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。支持部413は、凸形状を有していてもよいし、平面を有していてもよい。一方、天板420は、凹形状を有していてもよいし、平面を有していてもよい。これによっても、天板420をより安定的に基材410の支持部413において保持することができる。
【0033】
但し、固定部材472を固定部材孔414に下側から挿入して、ナット422に締結することを考慮すると、図6および図8に表したように、天板420には凸形状が設けられ、締結するための一定距離が確保されることが好ましい。
【0034】
図9は、側板の変形例を例示した模式図であり、便蓋の前端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
本変形例の便蓋400では、側板430aは天板420の周囲面423を覆うようにして設けられている。つまり、側板430aの上端部433は、天板420の周囲面423よりも外側に配置されている。その他の構造については、図5〜図8に関して前述した便蓋400と同様である。
【0035】
そのため、本変形例の便蓋400は、天板420と側板430aとの間に水平方向の間隙Dを有する。これによれば、上下方向に対して外部から非常に強い負荷や衝撃が天板420に加わったとしても、天板420と側板430aとの衝突をより確実に回避することができる。また、天板420の周囲面423は、側板430aによって覆われているため、使用者によって触られるおそれはほとんどない。そのため、天板420の周囲面423が粗い場合であっても、安全性をより確保することができる。
【0036】
図10は、本実施形態の変形例にかかる便蓋の内部構造を表す断面模式図である。
図11は、本変形例の便蓋の前端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【0037】
本変形例にかかる便蓋400aでは、基材410と天板420との間に、外部からの負荷や衝撃および天板420の撓みを吸収可能な緩衝材471が設けられている。緩衝材471は、基材410に設けられた緩衝材孔412に挿入され固定されている。なお、緩衝材471の固定方法については、例えば緩衝材471に「雄ねじ」が設けられ、一方で緩衝材孔412に「雌ねじ」が設けられ、その「雄ねじ」と「雌ねじ」とが螺合されることにより、緩衝材471は基材410に固定されていてもよい。その他の構造については、図5〜図8に関して前述した便蓋400と同様である。
【0038】
緩衝材471は、外部からの負荷や衝撃や天板420の撓みを吸収することができるため、天板420に外部から負荷や衝撃が加わったとしても、天板420が側板430に衝突したり、破損するおそれはより少ない。また、本変形例にかかる便蓋400aは、図5〜図8に関して前述した便蓋400と同様に、間隙Bおよび間隙Cを有し、間隙Bおよび間隙Cは負荷や衝撃が加わったときの天板420の撓みを許容することができる。
【0039】
したがって、緩衝材471と間隙Bおよび間隙Cとの相乗効果により、天板420に外部から非常に強い負荷や衝撃が加わったとしても、天板420が側板430に衝突したり、破損するおそれはより少ない。
【0040】
本実施形態によれば、基材410と天板420の少なくとも一部との間には、間隙Bが存在する。また、側板430と天板420との間には、間隙Cあるいは間隙Dが存在する。そして、間隙B、C、Dは、負荷や衝撃が加わったときの天板420の撓みを許容することができる。そのため、天板420に対して外部から負荷や衝撃が加わり、天板420が撓んで変形したとしても、その天板420は基材410および側板430に衝突して破損するおそれは少ない。これによれば、例えば、ガラス、人工大理石、石、陶器、磁器、ガラス繊維などで補強した樹脂、PMMA、あるいはBMCなどの高脆性材料を、便蓋400が有する天板420に用いることができる。その結果、便蓋400は、高い意匠性を有することができる。
【0041】
次に、各部材の構造や取り付け方法などの具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図12は、本実施形態の基材を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
また、図13は、本実施形態の基材を斜め下方から眺めた斜視模式図である。
【0042】
基材410の中央部には、図12に表したように、支持部413が設けられている。本実施形態の便蓋400では、支持部413は凹形状を有し、天板420は凸形状の突起部421を有している。そして、天板420を基材410に取り付ける際には、天板420の突起部421は基材410の支持部413に挿入される。
【0043】
また、基材410をその上面に対して略垂直に見た場合の支持部413の形状と、天板420をその下面に対して略垂直に見た場合の突起部421の形状と、は略相似形であり、支持部413の形状は突起部421の形状よりもやや大きい。そのため、突起部421が支持部413に挿入された際には、基材410に対する天板420の位置が簡略的に決定される。
【0044】
また、基材410は中央部に設けられた支持部413においてのみ、天板420を支持し固定しているため、天板420を基材410に固定するための平面が確保される。つまり、天板420は所定の大きさを有し、その厚さはその大きさに比べて非常に小さい。そのため、天板420が形成された後には、反りなどが発生するおそれがある。そのような場合に、中央部ではなく周辺部において天板420を支持すると、天板420を基材410に固定するための平面が確保され難いおそれがある。
【0045】
これに対して、本実施形態の基材410および天板420では、中央部においてのみ天板420を支持し固定しているため、天板420を基材410に固定するための平面が確保されやすい。なお、天板420の形成条件や寸法の管理などを十分に行えば、中央部ではなく周辺部において天板420を支持しても、天板420を基材410に固定するための平面を確保することは可能である。
【0046】
また、基材410の下面には、図13に表したように、例えば「リブ」などと呼ばれる補強部415が設けられている。そのため、基材410は、ある程度の荷重に対しても耐えることができる。これによれば、天板420に荷重が加わり、その荷重が基材410に加わったとしても、基材410が破損するおそれは少ない。また、基材410には、便蓋クッション475が取り付けられる。この便蓋クッション475については、後に詳述する。
【0047】
図14は、本実施形態に側板を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
図14に表したように、側板430には突起部431が設けられ、その突起部431には固定部材孔432が設けられている。そして、図7、図9、および図11に表したように、突起部431を基材410に当接し、固定部材孔432の下側から図示しないねじやボルトなどの固定部材を挿入して、基材410に締結することによって、側板430は基材410に固定される。
【0048】
また、側板430の側方には、周縁部434が設けられている。この周縁部434は、基材410および断熱材440の側方を覆い隠すことができる。そのため、基材410および断熱材440は、使用者によって見られることはない。さらに、基材410に締結された状態の図示しない固定部材の下側には、化粧板450が取り付けられている。そのため、固定部材は、化粧板450によって覆い隠されており、使用者によって見られることはない。これらによれば、本実施形態にかかる便蓋400は、より高い意匠性を持つことができる。
【0049】
図15は、断熱材の取り付け方法を説明するための斜視模式図である。
なお、以下の図15〜図18については、緩衝材471が設けられた場合を例に挙げて説明する。
【0050】
断熱材440は、基材410の下側に両面テープなどの接着剤により接合されている。この断熱材440は、便座300を暖房したり保温したりして、便座300に着座した使用者の臀部を暖めることができる暖房便座からの熱が放熱することを抑制できる。断熱材440が設けられていない場合には、便座300からの熱が基材410および天板420に伝わり、外部に放熱されやすくなる。天板420が金属などのような熱伝導率が大きい材質から形成されている場合には、この現象が顕著になる。
【0051】
これに対して、本実施形態にかかる便蓋400には、基材410の下側に断熱材440が設けられているため、暖房便座からの熱が外部に放熱することを抑制できる。なお、断熱材440には、図15に表したように、側板430の突起部431との干渉を回避する切り欠き部441が適宜設けられている。また、側板430の突起部431および便蓋クッション475を取り付ける便蓋クッション孔416との干渉を回避する切り欠き部442が、断熱材440の前端部に設けられている。なお、断熱材440を基材410に取り付ける方法は、接着剤に限定されず、例えばねじやボルトなどの固定部材によるものであってもよい。
【0052】
図16は、化粧板の取り付け方法を説明するための斜視模式図である。
また、図17は、化粧板の後端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
また、図18は、化粧板の前端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【0053】
化粧板450は、断熱材440の下側に設けられ、断熱材440や側板430を固定する図示しない固定部材などを覆い隠している。そのため、断熱材440や固定部材などは、使用者によって見られることはない。これによれば、本実施形態にかかる便蓋400は、より高い意匠性を持つことができる。
【0054】
化粧板450は、後端部において爪部451によって基材410に引っかけられ、前端部において便蓋クッション475によって押さえられている。より具体的には、図17に表したように、化粧板450の後端部には、爪部451が設けられている。一方、基材410の後端部には、化粧板450の爪部451と係合可能な爪部417が設けられている。そして、化粧板450の爪部451と、基材410の爪部417と、が図17に表したように係合されることにより、化粧板450は基材410に取り付けられている。
【0055】
また、図18に表したように、化粧板450の前端部は便蓋クッション475の両端部によって断熱材440の方向に押さえられている。便蓋クッション475には突起部475a(図4参照)が設けられており、この突起部475aは基材410の前端部に設けられた便蓋クッション孔416に挿入されている。これにより、便蓋クッション475は、その両端部において化粧板450を断熱材440の方向に押さえることができる。つまり、便蓋クッション475は、化粧板450を固定する機能と、便蓋400がケーシング200に対して閉止されたときの負荷や衝撃を緩和する緩衝材としての機能と、を有している。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、基材410と天板420の少なくとも一部との間には、間隙Bが存在する。また、側板430と天板420との間には、間隙Cあるいは間隙Dが存在する。そして、間隙B、C、Dは、負荷や衝撃が加わったときの天板420の撓みを許容することができる。そのため、天板420に対して外部から負荷や衝撃が加わり、天板420が撓んで変形したとしても、その天板420は基材410および側板430に衝突して破損するおそれは少ない。これによれば、例えば、ガラス、人工大理石、石、陶器、磁器、ガラス繊維などで補強した樹脂、PMMA、あるいはBMCなどの高脆性材料を、便蓋400が有する天板420に用いることができる。その結果、便蓋400は、高い意匠性を有することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便座装置や便蓋400などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや断熱材440や化粧板450の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を表した斜視模式図である。
【図2】本実施形態の便蓋の一例を斜め前方から眺めた分解模式図である。
【図3】本実施形態の便蓋の他の一例を斜め前方から眺めた分解模式図である。
【図4】本実施形態の便蓋のさらに他の一例を斜め前方から眺めた分解模式図である。
【図5】本実施形態の便蓋を斜め後方から眺めた斜視模式図である。
【図6】本実施形態にかかる便蓋の内部構造を表す断面模式図である。
【図7】便蓋の前端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図8】基材と天板との取付位置を拡大して眺めた断面模式図である。
【図9】側板の変形例を例示した模式図であり、便蓋の前端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図10】本実施形態の変形例にかかる便蓋の内部構造を表す断面模式図である。
【図11】本変形例の便蓋の前端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図12】本実施形態の基材を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
【図13】本実施形態の基材を斜め下方から眺めた斜視模式図である。
【図14】本実施形態に側板を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
【図15】断熱材の取り付け方法を説明するための斜視模式図である。
【図16】化粧板の取り付け方法を説明するための斜視模式図である。
【図17】化粧板の後端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図18】化粧板の前端部を拡大して眺めた拡大模式図である。
【符号の説明】
【0059】
100 便器、 200 ケーシング、 300 便座、 400 便蓋、 400a 便蓋、 410 基材、 411 ヒンジ部、 412 緩衝材孔、 413 支持部、 414 固定部材孔、 415 補強部、 416 便蓋クッション孔、 417 爪部、 420 天板、 421 突起部、 422 ナット、 423 周囲面、 430 側板、 430a 側板、 431 突起部、 432 固定部材孔、 433 上端部、 434 周縁部、 440 断熱材、 441 切り欠き部、 442 切り欠き部、 450 化粧板、 451 爪部、 471 緩衝材、 472 固定部材、 475 便蓋クッション、 475a 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に設置されるケーシングと、
前記ケーシングに回動可能に装着されるヒンジ部を有する便座および便蓋と、
を備え、
前記便蓋は、
前記ヒンジ部が設けられた基材と、
前記基材を構成する材料よりも高い脆性を有する材料により形成され、前記基材の上方を覆うように前記基材に装着された天板と、
を有し、
前記天板の少なくとも一部と前記基材との間には、間隙が存在することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記基材は、前記天板を支持する支持部を有し、
前記天板は、前記支持部において前記基材に取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記基材の側方を覆うように前記基材に装着された側板をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記天板と前記側板との間には、間隙が存在することを特徴とする請求項3記載の便座装置。
【請求項5】
前記側板は、前記天板の周囲面を覆うように前記基材に装着されたことを特徴とする請求項3または4に記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−82073(P2010−82073A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252920(P2008−252920)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】