説明

便計量装置

【課題】便器の使用者が排出した大便を、直接触ることなく、衛生的に計量することができる便計量装置を提供する。
【解決手段】便器2に設けられ使用者の大便を計量する便計量手段3と、便計量手段3で計量した大便の重量を表示する表示手段4とを備える。便器2に便計量手段3を設け、この便計量手段3により大便の重さを計量し、大便の重さを表示手段4に表示することができる。また、便計量手段3は、平板状をなし、外面に汚れの付着を防止するコーティングを施したから、場所を取らず、また、汚れの付着を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大便の排出量を計量することができる便計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレにおいて、使用者の健康状態に係る各種のデータを採取する装置が提案されており、例えば、採尿部が便器に取り付けられた尿糖測定装置と、手洗器前方の床に埋設された体重計と、メインパネルに一体化された体脂肪計と、尿糖測定装置の操作部の近傍に配設去れた血圧計と、鏡と手洗器の間に配設されたメインパネルを備え、これらの装置がトイレ内に配設されており、前記尿糖測定装置で測定された尿糖値と体重計で測定された体重値と体脂肪計で測定された体脂肪値と血圧計で測定された血圧値の信号を前記メインパネルに送信し表示する健康管理システムが提案されている。
【特許文献1】特開2006−17560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記健康管理システムでは、メインパネルは手洗器の近傍に配設されているので、便器に取り付けられた尿糖測定装置の採尿部に尿を投入した被検者が便座から離れ、手洗器まで移動し手洗器で手を洗っている頃に、被検者の近傍に在るメインパネルに尿糖値が表示されることになる。被検者は尿糖測定後、有為な時間を過ごしつつ尿糖値の表示を待つので、時間の無駄遣いをしなくて済む、このようにトイレにおいて尿を採取する装置は提案されている。
【0004】
ところで、尿の場合は、一人でも、計量カップなどを用いることにより、その排出量を比較的簡便に計量することができるが、大便の場合は、計量が困難である。そこで、使用者の大便を簡便に測定し、計量データを得ることができれば、健康管理の上で重要なデータとなり、便利である。
【0005】
そこで、本発明は、便器の使用者が排出した大便を、直接触ることなく、衛生的に計量することができる便計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、便器と、この便器に設けられ使用者の大便を計量する便計量手段とを備えるものである。
【0007】
また、請求項2の発明は、前記便計量手段で計量した大便の重量を表示する表示手段を備えるものである。
【0008】
また、請求項3の発明は、便器に設けられ使用者の大便を計量する便計量手段と、前記便計量手段で計量した大便の重量を表示する表示手段とを備えるものである。
【0009】
また、請求項4の発明は、前記便計量手段は、平板状をなし、外面に汚れの付着を防止するコーティングを施したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の構成によれば、使用者が便器を使用して大便を排出すると、この大便の重さを、便器に設けた便計量装置が計量する。したがって、使用者は、排出した大便に直接触ることなく、衛生的に、排出重量を知ることができる。
【0011】
また、請求項2の構成によれば、大便の重さを表示手段に表示することができる。
【0012】
また、請求項3の構成によれば、便器に便計量手段を設け、この便計量手段により大便の重さを計量し、大便の重さを表示手段に表示することができる。
【0013】
また、請求項4の構成によれば、前記便計量手段が平板状をなすため、場所を取らず、また、コーティングにより汚れの付着を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な便計量装置を採用することにより、従来にない便計量装置が得られ、その便計量装置を記述する。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1〜図3は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、便計量装置1は、便器2に設ける便計量手段3と、この便計量手段3で計量した大便の重量を表示する表示手段4と、それら便計量手段3及び表示手段4を制御する制御手段5とを備え、前記便計量手段3と制御手段5とはケーブル6により電気的に接続され、この例では、制御手段5を収納した制御ボックス7に、前記表示手段4が組み込まれている。
【0016】
前記便器2は、水洗式の和式便器本体11を備え、この便器本体11は前側上部に金隠し12を有し、前記便器本体11の後部に給水口13を設けると共に、前部に排水口14を設け、前記給水口13には図示しない給水装置が接続され、この給水装置の操作部たるレバー(図示せず)などの操作により、前記給水口13から便器本体11内に水を送り込み、便器本体11の中央部15に溜まった排泄物を、前記排水口14から外部に排出するように構成されている。尚、便器本体11は、陶器などからなる部分であって、また、便器本体11は、床面8に設けられ、図2に示すように、使用者が足を曲げてしゃがんで使用する。
【0017】
前記便計量手段2は、薄板状で平板状のケース本体21を備え、このケース本体21内には、該ケース本体21の上面22に載置された計量物の重量を検出する荷重検出手段23が設けられている。この荷重検出手段は、静電容量式・電気抵抗線式等のロバーバル機構の重量センサーなどを備える。
【0018】
前記ケース本体21は防水性を備え、その外面には、フッ素樹脂などによるコーティング層24を設け、このコーティング層24により汚れの付着を防止している。また、前記ケース本体21の下面には、ゴム等からなる滑り止め部材16が設けられ、この滑り止め部材16が便器本体11の中央部15に接する。この中央部15は略水平である。
【0019】
前記制御手段5は、前記制御ボックス7内に前記荷重検出手段23で検出される荷重信号に基づいて計量値等の結果を求めて出力する計測処理部31を有し、この計測処理部31には、増幅回路・A/D変換回路・記憶装置・CPU等が実装された公知の電子基板ユニットが用いられる。また、前記表示手段4は、前記計測処理部31で出力された計量値等の結果を表示するものであって、LCD又はLED等が用いられ、前記制御ボックス7の表面に配置されている。
【0020】
また、前記制御ボックス7の表面には、便計量装置1のオン・オフを行うメインスイッチ32と、便計計量手段3により得られた計量値をゼロにするゼロ点設定スイッチ33と、このゼロ点設定スイッチ33により計量値をゼロに設定した後、前記上面22に加わった荷重の計量値を計量表示する計量スイッチ34が設けられ、これらの制御を前記制御手段5が行う。尚、前記便計量装置1は家庭用電源又は電池などを電源として駆動する。
【0021】
次に、前記便計量装置1の使用方法につき、説明する。便器本体11の中央部15に前記便計量手段3を配置する。この場合、滑り止め部材16が便器本体11の中央部15に接するため、便計量手段3の移動を防止できる。また、便器2は水洗式であるため、計量前にケース本体21の上面22に水滴などが載る場合があるが、ゼロ点設定スイッチ33を押すことにより、この状態の計量値をゼロとして制御手段5が記憶し、表示手段4にゼロを表示する。
【0022】
この後、使用者が上面22に大便が落ちるように排便を行い、排便後、計量スイッチ34を押すと、大便の重量が表示手段4に表示される。これにより、使用者は自分の排泄した大便の量を知ることができる。
【0023】
このように薄型の便計量手段3とケーブル6で連結された制御ボックス7とを備え、既設の便器2の排出物受け部である中央部15に、便計量手段3を着脱自在に設置し、表示手段4を備えた前記制御ボックス7を、使用者の操作と見やすい箇所に設置する。そして、計量前で排便前に、表示手段4の表示をゼロに設定し、その後、排出を行い、大便の計量を行う。
【0024】
このように本実施例では、請求項に対応して、便器2と、この便器2に設けられ使用者の大便を計量する便計量手段3とを備えるから、使用者が便器2を使用して大便を排出すると、この大便の重さを、便器2に設けた便計量手段3が計量する。したがって、使用者は排出した大便に直接触ることなく、衛生的に、排出重量を知ることができる。
【0025】
また、このように本実施例では、請求項に対応して、便計量手段3で計量した大便の重量を表示する表示手段4を備えるから、大便の重さを表示手段4に表示することができる。
【0026】
また、このように本実施例では、請求項に対応して、便器2に設けられ使用者の大便を計量する便計量手段3と、便計量手段3で計量した大便の重量を表示する表示手段4とを備えるから、便器2に便計量手段3を設け、この便計量手段3により大便の重さを計量し、大便の重さを表示手段4に表示することができる。
【0027】
また、このように本実施例では、請求項に対応して、便計量手段3は、平板状をなし、外面に汚れの付着を防止するコーティングを施すことにより、便計量手段3が平板状をなすため、場所を取らず、また、コーティングにより汚れの付着を防止できる。
【0028】
また、実施例上の効果として、弁計量手段3は便座本体11に着脱自在に設けられるから、既設のトイレでも新設のトイレであっても、簡単に設置することができる。
【実施例2】
【0029】
図4は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、便計量手段3のケース本体21が、前記中央部15の幅方向の湾曲に合わせて湾曲形成されており、凹状の中央部15にケース本体21が嵌ることにより、ケース本体21の幅方向位置が規制されて幅方向にずれることがなく、また、上面22が幅方向において凹状をなすから、大便を確実に受け取ることができる。
【実施例3】
【0030】
図5は、本発明の実施例2を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、便器本体11Aは、前部に給水口13Aを設けると共に、後部に排水口14Aを設け、前記給水口13Aにはパイプ41により図示しない給水装置が接続され、この給水装置の操作部たるレバー(図示せず)などの操作により、前記給水口13Aから便器本体11A内に水を送り込み、便器本体11Aの中央部15Aに溜まった排泄物を、前記排水口14Aから外部に排出するように構成されている。
【0031】
前記中央部15Aは、便器本体11Aの前側に、ヒンジ部42により片持ち梁状に連結されており、前記中央部15Aの面と便器本体11Aとの間に、便計量手段3Aが設けられている。
【0032】
この便計量手段3Aには、中央部15Aの荷重が常時加わっているが、この荷重を予め補正して測定値をゼロとしており、さらに、前記ゼロ点設定スイッチ33を押すことにより、中央部15Aに水などが付着していても、排便前の計量値をゼロとして前記制御手段5が記憶し、表示手段4にゼロを表示し、排便後、前記計量スイッチ34を押すと、中央部15A上の大便の重量が、表示手段4に表示される。
【0033】
このように本実施例においては、便器2に組み込んで設けられ使用者の大便を計量する便計量手段3Aと、便計量手段3Aで計量した大便の重量を表示する表示手段4とを備えるから、便器2に設けたこの便計量手段3により大便の重さを計量し、大便の重さを表示手段4に表示することができる。
【実施例4】
【0034】
図6は、本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、同図は、本発明を洋風便器に適用した例を示し、便器2は洋風便器の便器本体51を備え、この便器本体51は、ボール部52と、このボール部52の上部の周囲に設けた通水路53と、この通水路53の下部に複数設けた吐出口54と、前記便器本体51の下部に設けた排水口55とを有し、前記通水路53には、図示しない給水装置が接続され、この給水装置の操作部たるレバー(図示せず)などの操作により、前記吐出口54から便器本体51内に水を送り込み、便器本体51のボール部に溜まった排泄物を、前記排水口55から外部に排出するように構成されている。
【0035】
前記便器本体51には、便計量手段3Bが設けられ、この便計量手段3Bは、前記便器本体51の後部上側に、計測ケース61を設け、この計測ケース61に設けた枢軸部62に、計測アーム63の基端を回動自在に枢着し、この計測アーム63の先端に、排出物受け部たる受け板64を固着し、図6の実線に示すように、測定位置で前記受け板64は水平であって、且つ受け板64は便器本体51の水位Hより上方に位置し、前記受け板64上に排出された排出物の重量を、前記枢軸部62側に設けた荷重検出センサ65が検出する。また、前記便計計量手段3Bの計測ケース61には、手動又は電動で、前記受け板64を、測定位置と非測定位置とに切り替える切替え手段66が設けられ、この切替え手段66は枢軸部62を中心に前記計測アーム63を角度回動することにより、受け板64の位置を切替えるものであり、一点鎖線に示すように、非計測位置では、受け板64は水位Hより下方に位置する。尚、前記計量アーム及び受け板64の表面には、前記コーティング層24が設けられている。また、前記便計量手段3Bは便器本体51に着脱可能に設けることができ、既設の便器本体51に組み込んでもよいし、予め便器本体51に組み込んでおいてもよい。尚、水位Hは、ボール部52の下部の貯水部52Aの高さであり、前記吐出口54からボール部52に給水すると、水が貯水部52Aから溢れて下部の排水口55に落下する。
【0036】
そして、前記ゼロ点設定スイッチ33を押すことにより、受け板64の水などが付着していても、排便前の計量値をゼロとして前記制御手段5が記憶し、表示手段4にゼロを表示し、排便後、前記計量スイッチ34を押すと、荷重検出センサ65が大便の重量に対応した荷重信号を出力し、前記制御手段5により、大便の計量値が表示手段4に表示される。
【0037】
大便の計量後、切替え手段66により受け板64を水中に入れ、さらに、前記吐出口54から便器本体51内に水を送り込み、受け板64上の排出物を洗い流し、前記排水口55から外部に排出することができる。
【0038】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、コーティング層はフッ素樹脂に限らず、汚れの付着を防止するものであれば、各種のものを用いることができる。また、便計量手段は、便器内に排出された大便を計量できるものであれば、各種のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例1を示す斜視図である。
【図2】同上、断面図である。
【図3】同上、ブロック図である。
【図4】本発明の実施例2を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例3を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例4を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 便計量装置
2 便器
3,3A,3B 便計量手段
4 表示手段
3A 便計量手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と、この便器に設けられ使用者の大便を計量する便計量手段とを備えることを特徴とする便計量装置。
【請求項2】
前記便計量手段で計量した大便の重量を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1記載の便計量装置。
【請求項3】
便器に設けられ使用者の大便を計量する便計量手段と、前記便計量手段で計量した大便の重量を表示する表示手段とを備えることを特徴とする便計量装置。
【請求項4】
前記便計量手段は、平板状をなし、外面に汚れの付着を防止するコーティングを施したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の便計量装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−205818(P2007−205818A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23861(P2006−23861)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(501102368)グランドル・エージェンシー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】