保冷剤及び保冷剤パック
【課題】 長時間保冷できる特性を持ち、パックに穴が開いても穴から漏れ出ない保冷剤を得る。
【解決手段】 少なくとも水と塩と高吸水性ポリマーの成分から保冷剤を形成し、水と塩との配合割合は、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の割合で配合し、高吸水性ポリマーとの配合割合は、水と塩との合計100重量部に対して、2.3〜4.6重量部の割合で配合して保冷剤をゲル状化する。塩は塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムの少なくとも1種からなり、高吸水性ポリマーは架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムからなる。+3°C以下での4時間以上の保冷時間が得られる。また、保冷剤がゲル状化しているのでパックに穴が開いても穴から漏れ出ない。
【解決手段】 少なくとも水と塩と高吸水性ポリマーの成分から保冷剤を形成し、水と塩との配合割合は、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の割合で配合し、高吸水性ポリマーとの配合割合は、水と塩との合計100重量部に対して、2.3〜4.6重量部の割合で配合して保冷剤をゲル状化する。塩は塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムの少なくとも1種からなり、高吸水性ポリマーは架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムからなる。+3°C以下での4時間以上の保冷時間が得られる。また、保冷剤がゲル状化しているのでパックに穴が開いても穴から漏れ出ない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保冷剤に関し、特に、0°C前後以下の温度で長時間に渡って保冷が持続できる保冷剤と、その保冷剤を用いた保冷剤パックに関する。
【背景技術】
【0002】
保冷剤としては、従来から水、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、ドライアイスなど種々のものが知られている。また、保冷剤の従来技術の一つとして下記の特許文献1に開示された技術も見ることができる。
【0003】
図13、図14は特許文献1に記載された保冷剤の配合量との関係と性能などを示すグラフで、図13は−26〜−22°Cの保冷時間と塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量との関係を示した図であり、図14は保冷剤の温度変化と経過時間との関係を示したグラフである。尚、特許文献1においては蓄冷剤と表しているが、ここでは保冷剤と呼んで説明する。
【0004】
特許文献1によれば、図13において、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合割合がAゾーンのものが−26〜−22°Cの温度範囲における保冷時間が35分以上となって好ましい配合割合であるとしている。そして、図14において、−22°C以下での保冷時間が50〜55分位持つことが示されている。また、図13において、Bゾーンの配合割合では保冷時間が35分以下となって、従来のものとの差が小さくなって好ましくないとされている。また、Cゾーンの配合割合では溶解度の限界を超えてしまって沈殿が生じ、好ましくないとされている。
【0005】
一般に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、水を配合して氷化した保冷剤は、袋などに詰められてパック化して使用されることが多い。以降、袋詰めされた保冷剤を保冷剤パックと呼んで説明することにする。保冷剤パックの状態にあると食品の保冷包装などが容易となり、包装や運搬、保存などに大きな利便性が得られる。
【0006】
【特許文献1】 特開2002−129151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、本出願人は保冷剤に関し様々な試験を行った結果次のことが判明した。その結果の一部を図15〜図17を用いて説明する。ここで、図15は塩化ナトリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフで、図16は塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフ、図17は塩化ナトリウムと塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフである。尚、配合割合は、それぞれのグラフの右上の欄に表でもって表示した配合割合で行っている。また、試料サンプルは、表で示した配合割合の保冷剤をそれぞれ製作し、プラスチック容器に容量200cc入れて、冷凍庫で−22°C、48時間の冷凍を行って氷にした試料サンプルを用いている。また、試料サンプルはその中心部に温度計が挿入できる穴を設けている。温度と時間の測定は、氷にした試料サンプルを室温25°Cの環境下で、0.5時間(30分)毎に試料サンプルの中心部の穴のほぼ中央部に差し込んだ温度計の温度を読み取って測定している。尚ここで、温度を保冷温度、時間を保冷時間と表して評価を行う。
【0008】
最初に、図15から次の様なことが読み取れる。塩化ナトリウムと水との保冷剤の保冷温度は、初期時においては低い。しかしながら、配合量が10重量%を越えるとほぼ直線的に保冷温度が上昇し、2時間後には保冷温度0°C以上に達する。一方、配合量が5重量%、3重量%のものは2時間後以降の温度上昇カーブはなだらかになり、保冷温度0°Cに達するまでに約3.0〜4.0時間位かかることが分かる。また、配合量が3重量%の方が5重量%より保冷時間が長いことが分かる。また、塩化ナトリウムの配合割合が多くなるに従って初期時の保冷温度は低いものが得られる。
【0009】
次に、図16から次の様なことが読み取れる。塩化カリウムと水とからなる保冷剤の保冷温度は、初期時においては塩化ナトリウムの保冷剤の場合より少し高い。しかしながら、時間経過による保冷温度の上昇は塩化ナトリウムの保冷剤の場合よりなだらかで、上昇勾配としては緩やかな勾配を示す。このため、保冷温度が0°Cに至るのに約2時間強の時間を要していて、保冷時間としては塩化ナトリウムの保冷剤より長持ちする。また、配合割合が多いほど保冷時間が短く、配合割合が少ない方が保冷時間が長持ちする。また。塩化カリウムの場合も配合割合が3重量%の方が5重量%より保冷時間が長い。また、塩化カリウムの配合割合が多くなるに従って初期時の保冷温度は低いものが得られる。
【0010】
次に、図17での塩化ナトリウムと塩化カリウムとを配合した保冷剤の場合は、塩化ナトリウムと塩化カリウムとを混ぜ合わせることによって保冷時間は少し長くなることが分かる。また、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合割合で塩化ナトリウムの少ない方が保冷時間としては長くなると云える。しかしながら、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合の合計は17%と多いことから保冷温度0°Cに至る時間はmax3時間で大変短い。
【0011】
また、塩化ナトリウムや塩化カリウムの配合量が多いと、氷にしたときには氷の結晶粒子が非常に粗くなってザラザラとした凹凸のある表面になる。そして、氷は溶解し易くなって早い時間で結晶粒子の分離が起こり、ザクザクとしたシャーベット状態になる。この様な状態になると短時間の間に保冷温度は著しく上昇して行く。様々な試験の結果から、塩化ナトリウムや塩化カリウムの配合量が10重量%以上になるとこの様な現象が顕著に現れて、保冷時間も長く持続しないことが判明した。一方、塩化ナトリウムや塩化カリウムの配合量が少なくなってくると、氷の結晶粒子も細かく密になってきて、表面状態が滑らかになってくる。と同時に、結晶粒子の溶解も遅くなってきて保冷時間が長く持続することが判明した。
【0012】
以上の結果を基に特許文献1に記載の好適とされたAゾーンに該当する保冷剤を評価すると、Aゾーンの保冷剤は塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量が15重量%以上になっており、しかも、どちらかと云うと塩化ナトリウムの配合量が多い。このことから、−22°C以下なる極低温保冷を作り出すことには好適であるが、その保冷時間は非常に短い。図14から判るように、50〜60分経過後には保冷温度の急激な上昇が見られ、上記した試験結果と類似する結果が現れていて、保冷時間が短いことが分かる。従って、Aゾーンの保冷剤は長時間(例えば、4時間とか5時間の長時間)の保冷には向かないと云える。
【0013】
また、水に塩化ナトリウムや塩化カリウムを配合して氷化した保冷剤を非透水性袋に密封して保冷剤パックにしたものにおいて、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量が15重量%以上の保冷剤は上記で述べたように常温中では早く溶けだしてパック内で液状化する。もし、パックが破れて小さな穴などが開いた場合にはパックから液状の保冷剤が流れ出てきて保冷食品に付着し保冷食品の品質を損ねてしまう。また、塩が多く入った水なので、水より大きなダメージを食品に与えてしまうと云う危険がある。
【0014】
また、−30°C近くの極低温なる保冷温度を作れ出すには工業用、或いは職業用の冷凍庫が必要で、一般家庭用の電気冷蔵庫で作り出すことができない。
【0015】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、0°C前後以下の保冷温度で保冷時間が長時間に渡って持続することのできる保冷剤を見出すと共に、パックが破れて小さな穴が開いても保冷剤が流れ出てこない保冷剤を見出すことを目的とするものである。また、コストが安く、一般家庭用の冷蔵庫で作れる保冷剤を見出す。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための手段として、本発明の請求項1に記載の保冷剤の特徴は、少なくとも水と塩と高吸水性ポリマーの成分からなり、ゲル状の形態をなすことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項2に記載の保冷剤の特徴は、前記水と塩との配合割合は、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の配合割合であることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項3に記載の保冷剤の特徴は、前記水と塩と高吸水性ポリマーとの配合割合は、水を95〜99重量部、塩を1〜5重量部の配合割合で配合した水と塩との合計100重量部に対して、高吸水性ポリマーは2.3〜4.6重量部の配合割合であるあることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項4に記載の保冷剤の特徴は、前記塩は塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムの1種又は混合したものからなることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項5に記載の保冷剤の特徴は、前記高吸水性ポリマーは架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の請求項6に記載の保冷剤パックの特徴は、前記請求項1乃至5のいずれかに記載の保冷剤を熱融着可能な樹脂シート又はフイルムからなる非透水性袋内に密封したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、次のような効果が得られる。本発明の保冷剤は少なくとも水と塩と高吸水性ポリマーの成分からなって、ゲル状の形態をなす。塩としては塩化ナトリウム(Nacl)や塩化カリウム(Kcl)、硫酸ナトリウム(Na2SO2・10H2O)を使用する。塩化ナトリウム(Nacl)や塩化カリウム(Kcl)は保冷温度を下げる寒剤として高い効果が得られ、また、硫酸ナトリウム(Na2SO2・10H2O)は保冷時間を伸ばすのに高い効果が得られる。これらの塩は市場性を有しており、安いコストで入手することができる。高吸水性ポリマーは水を吸収して膨潤し、保冷剤をジェル状化或いはゲル状化する特性を有する。これにより、保冷剤パックに穴などが開いても保冷剤が外に流れ出さないようにするのであるが、本発明においては、高吸水性ポリマーを配合して保冷剤をゲル状化する。ジェル状であると流動性を有し、穴の大きさによっては外に流れ出てくるが、ゲル状であると流動性がなくなり、穴の大きさが大きくなっても穴から外に流れ出てくることがない。尚、本発明においては、ゲル状とは流動性がなく、弾力性を有する状態をゲル状と定義し、ジェル状とはゲル状より水分が多く、柔軟性や流動性のある状態をジェル状と定義する。
【0023】
また、本発明においては、水と塩との配合割合は、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の配合割合にする。塩の配合割合が1重量部より少ないと寒剤としての保冷温度低下の効果が小さく、また、塩が5重量部より多いと保冷時間が長続きしない。即ち、氷化した保冷剤の溶解していく時間が早くなり、保冷時間が短くなる。
【0024】
また、本発明においては、水と塩と高吸水性ポリマーとの配合割合は、水を95〜99重量部、塩を1〜5重量部の配合割合で配合した水と塩との合計重量部100重量部に対して、高吸水性ポリマーは2.3〜4.6重量部の配合割合にする。高吸水性ポリマーが2.3〜4.6重量部であるとゲル状の形態が得られ、保冷剤パックが破れて穴が開いても穴から外に保冷剤が出てくることがない。また、保冷時間も長続きする。
【0025】
高吸水性ポリマーとしては架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムを好適なものとして選択する。これは、水の取り込み量が数十倍から数百倍のものがあり、架橋構造での水の吸収性が非常に高く、少ない重量で多くの水を吸収する。使用量が少なくて済み、コスト面で安くできる。
【0026】
以上述べた特徴を有する保冷剤を熱融着可能な樹脂シートまたはフイルムからなる非透水性袋内に密封してパック化することにより、取扱いが容易になり、広範囲の食品に利用できるようになる。また、一般家庭用の冷蔵庫でも簡単に形成でき、リサイクル使用もできるので長期間に渡って使用できてコスト面の効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を用いながら説明する。最初に、本発明の第1実施形態に係る保冷剤について図1〜図11を用いて説明する。尚、図1は水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図2は硫酸ナトリウムと水からなる組成の氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図3は塩化ナトリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図4は塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図5は硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図6は硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。また、図7は保冷剤がゲル状化するまでの高吸水性ポリマーの配合量を示した表である。また、図8は水と塩化ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフ、図9は水と塩化カリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフ、図10は水と硫酸ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフ、図11は水と塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフを示している。
【0028】
最初に、それぞれの図におけるグラフについて簡単に説明する。横軸に時間(h)を取り、0.5時間毎に刻んである。以降、この横軸の時間を保冷時間と呼んで説明することにする。縦軸は温度を示している。そして、0.5時間毎に温度がどの様に変化したかを折れ線グラフで示している。以降、縦軸の温度を保冷温度と呼んで説明することにする。測定試料サンプルは200cc容量の保冷剤をプラスチック容器(ビーカ)に入れて−22°Cの冷凍庫で48時間冷凍し、氷にしたものを用いている。そして、冷凍庫の中で氷になった試料サンプルを取り出して25°Cの室温の中で温度測定を行っている。温度測定は冷凍庫の中から取りだして間もなくのものを最初に測定し、後は0.5時間毎に測定している。測定は温度計の温度を読み取って行うが、温度計は試料サンプルの中心部に設けられた穴に挿入して、丁度穴の中央部の所の温度を計測している。
【0029】
本発明の第1実施形態に係る保冷剤は、水と塩と高吸水性ポリマーの成分からなって、ゲル状の形態をなす。ゲル状とは流動性がなく、弾力性を有する状態をゲル状と定義している。水は水道水でも良いが、好ましくは蒸留水や煮沸水を用いるのが良い。蒸留水や煮沸水は不純物が少ない水であるので、氷結するとその結晶粒子が細かく密な氷が得られ、この様な氷は表面が滑らかであり溶解が遅い。そして、保冷時間を長く持続させる特性を有する。塩は硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩が用いられる。硫酸ナトリウムは保冷温度の上昇を遅らせ、保冷時間を長く持続させる特性を有し、塩化ナトリウムや塩化カリウムは保冷温度を下げる特性を有する。何れも安いコストで流通しているので入手し易い。高吸水性ポリマーは保冷剤をゲル状化するために用いている。ゲルは弾力性はあるが流動性がない。従って、完全にゲル状化していればパックが破れて穴が開いてもその穴から保冷剤が漏れ出るようなことが起きない。高吸水性ポリマーとしては架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムを用いている。
【0030】
水を氷にしたものは、図1に示すように、保冷温度は高いが保冷時間は比較的長く、溶け始める温度0°〜1°に至るまでには2〜3時間かかる。そして、その後は温度は少しづつ上昇する。水の氷は結晶粒子も細かく、結晶密度も密なので溶解するまでに長い時間がかかり、また、溶解した後の水は蒸発するのに気化熱を吸収するので保冷温度は直ぐに上昇しない。従って、極低温保冷を要しないものであるならば水の氷は好適な保冷剤として活用できる。
【0031】
食品によって好適な保冷温度はそれぞれ異なる。例えば、野菜類などは−2、1〜+4、5°C位、ケーキ類では−3、2〜+7、8°C位、アイスクリームの場合は−13°C以下、などの具合である。保冷食品の中で0°C前後の保冷温度が好適とされる食品は比較的多く、この好適な保冷温度を出来るだけ長時間持続できる保冷剤が一番好ましい。本発明の保冷剤は上記した水の特性を利用して保冷温度+3°C以下の温度で少なくとも4時間は持続できる保冷剤を目標としている。
【0032】
そこで、本発明の保冷剤は水と塩との配合割合が、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の配合割合が好適な範囲と設定する。
【0033】
図2から、水に硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)を1.0重量部(保冷剤1)、3重量部(保冷剤2)、5重量部(保冷剤3)を配合した保冷剤は、初期の1時間の間に急激に保冷温度は上昇するが、1時間後以降は温度上昇が非常に低く、+1°C以下の範囲で4時間以上持続する。図1の水の氷と対比すると、水の氷よりも保冷温度を2°〜3°下げると共に温度上昇をくい止め、保冷温度の持続時間を長くする働きをなしている。また、3重量部配合の保冷剤2と5重量部配合の保冷剤3は殆ど重なり合ったカーブを取っている。このことから、配合割合を増やしても殆ど効果は変わらない。
【0034】
また、図3から、水に塩化ナトリウム(Nacl)を1重量部(保冷剤4)、3重量部(保冷剤5)、5重量部(保冷剤6)配合した保冷剤は、初期の保冷温度は低くなるが温度上昇が比較的早く、保冷剤6においては4時間後には+3°に至る。これは配合量が多いことによる。また、塩化ナトリウム3重量部配合した保冷剤5は一番保冷温度が低く、1重量部配合の保冷剤4は4時間後の保冷温度として保冷剤5より高く、保冷剤6より低く現れる。試験の結果から塩化ナトリウムの配合割合が1重量部より少ないと温度の低下効果が低く、1重量部以上で5重量部以下に抑えれば+3°C以下の保冷温度が4時間持続することが判明した。
【0035】
また、図4から、水に塩化カリウム(Kcl)を1重量部(保冷剤7)、3重量部(保冷剤8)、5重量部(保冷剤9)配合した保冷剤は、初期の保冷温度は図3に示した塩化ナトワウムより高くなるが、+1°C以下の保冷時間は4時間以上得られる。塩化カリウムの場合も3重量部のものが一番保冷温度が低く、3重量部より増加するに従って、或いは、3重量部より減少するに従って保冷温度が高くなっていく。
【0036】
以上のことから、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムの塩をそれぞれ単独で用いた場合には、水を95〜99重量部、塩を1〜5重量部の配合割合で混ぜ合わせればどの塩を用いても目標とする+3°C以下での4時間の保冷を得ることができた。
【0037】
次に、塩を2種以上混ぜ合わせた場合に保冷時間と保冷温度がどうなるかについて図5、図6で説明する。図5は硫酸ナトリウム2重量部、塩化ナトリウム1重量部、水97重量部で配合した保冷剤10、硫酸ナトリウム1重量部、塩化ナトリウム2重量部、水97重量部で配合した保冷剤11の保冷時間と保冷温度を示している。保冷剤10は最初の1時間は急激な温度上昇が現れ、それ以降はなだらかで温度勾配の小さい温度上昇を示す。一方、保冷剤11は時間経過と共に徐々に温度勾配は小さくなる。これは、保冷剤10は硫酸ナトリウムの保冷特性が強く現れており、保冷剤11は塩化ナトリウムの保冷特性が強く現れていると云える。このように、硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムの配合割合で硫酸ナトリウムの割合が多いと硫酸ナトリウムの保冷特性が強く現れ、塩化ナトリウムの割合が多いと塩化ナトリウムの保冷特性が強く現れることが分かる。何れにしても、保冷剤10、11共に保冷温度0°C以下での4時間の保冷時間が得られている。また、また、図6は硫酸ナトリウム1重量部、塩化ナトリウム1重量部、塩化カリウム1重量部、水97重量部で配合した保冷剤12の保冷時間と保冷温度を示している。この保冷剤12も保冷温度0°C以下での4時間の保冷時間が得られている。
【0038】
以上の結果などを含めて様々な試験の結果、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムの塩をそれぞれ単独で用いた場合でも、或いは、2種以上混ぜ合わせた場合でも1〜5重量部の配合割合はどの塩にも適応できて、目標とする+3°C以下での4時間の保冷が得られることが分かった。
【0039】
次に、上記で述べた塩に高吸水性ポリマーを配合した場合についてのゲル化状況について図7〜図11を用いて説明する。本発明においては、高吸水性ポリマーとしては架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムを好適に選択する。この架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムは顆粒状のもので、水の取り込み量が数十倍から数百倍のものがあり、架橋構造での水の吸収性が非常に高く、少ない重量で多くの水を吸収する特性がある。市販されているものとしては三洋化成工業株式会社製の商品名:サンフレッシュ ST−500Dなどがある。
【0040】
図7は保冷剤がゲル状化するまでの高吸水性ポリマーの配合量を示している。ここで、ゲル状化の判定基準は次のように行っている。水に塩を溶解し、これに高吸水性ポリマーを徐々に加えていくと流動性のあるジェル状化が起き、更に加えていくと流動性のない状態のゲル状化が起きる。本試験においては、ゲル状化の度合いは平面上に試料を約20cm2の底面積で約5cm位の高さにして自重で形が崩れたり、流動しない時点のレベルをもってゲル状化と判定している。そして、上記の判定された時点の高吸水性ポリマーの配合量をもってゲル状化までの配合量と設定している。尚、高吸水性ポリマーは三洋化成工業製の商品名:サンフレッシュ ST−500Dなる架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムを用いたもので行っている。
【0041】
図7において、A分類のものは水と塩化ナトリウムを配合した保冷剤、B分類のものは水と塩化カリウムを配合した保冷剤、C分類のものは水と硫酸ナトリウムを配合した保冷剤、D分類のものは水に塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムの3種を配合した保冷剤を示している。
【0042】
A分類の塩化ナトリウムを配合した保冷剤は、塩化ナトリウムの配合量が1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部と増えるに従ってゲル状化になるに高吸水性ポリマーの配合量は2.6重量部、3.2重量部、3.7重量部、4.2重量部、4.6重量部と増える。これは、B分類の塩化カリウムの場合や硫酸ナトリウムの場合も同じで、塩化カリウムの場合は配合量が1重量部から5重量部に増えるに従って高吸水性ポリマーは2.3重量部から4.3重量部に増え、また、硫酸ナトリウムの場合は配合量が1重量部から5重量部に増えるに従って高吸水性ポリマーは2.5重量部から4.5重量部に増える。これは、顆粒状の高吸水性ポリマーが水を吸水してジェル化した状態のものに塩化カリウムや塩化ナトリウムを加えるとナトリウムやカリウムの陽イオンがポリアクリル酸ナトリウムの官能基−COONaに作用し膨張した顆粒状ポリマーを収縮させ、取り込んだ水を吐き出させる。ナトリウムやカリウムの陽イオンが多くなればなるほど、顆粒状ポリマーを収縮させ水を多く吐き出させる。このため、この吐き出た水を吸収して再びジェル化し、更に、ゲル化するのに高吸水性ポリマーの量が必要として増えるものと推量される。
【0043】
ここで、図7から高吸水性ポリマーの配合量で特徴のあることが分かる。例えば、A分類の塩化ナトリウムの場合について説明すると、水が99重量部、塩化ナトリウム1重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが2.6重量部の配合量であるが、水が98重量部、塩化ナトリウム2重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが3.2重量部の配合量、水が97重量部、塩化ナトリウム3重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが3.7重量部の配合量、水が96重量部、塩化ナトリウム4重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが4.2重量部の配合量、塩化ナトリウム5重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが4.6重量部の配合量である。塩化ナトリウムが1重量部増える毎に高吸水性ポリマーは0.6〜0.4重量部とほぼ一定の割合で増えている。これは、B分類の塩化カリウムの場合もC分類の硫酸ナトリウム場合も同じであった。
【0044】
以上のことから、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの塩を1〜5重量部を水に配合して合計重量部を100重量部とした保冷剤をゲル状化するには2.3〜4.6重量部の高吸水性ポリマーを配合すれば良いことが分かる。これは、これらの塩を複数混ぜ合わせた形成した保冷剤の場合でも同じである。
【0045】
また、保冷剤をゲル状化するのに架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムなる高吸水性ポリマーを用い、塩の配合割合を1〜5重量部と少なくしたことで配合量を2.3〜4.6重量部と少ない重量部に制限することができた。ゲル状化する他の材料としてはアルギン酸ナトリウムやカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)などがあるが、これらの材料の使用量は塩の量に関係なく水の量に比例する。例えば、ゲル状化するのに水100重量部に対してアルギン酸ナトリウムでは約6重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウムでは約5.5重量部必要とすることが試験の結果から判明している。塩の量が多い時には有効であるが、本発明における塩の量が1〜5重量部と少ない範囲においては高吸水性ポリマーの方が使用量が少なくて済み、経済的である。
【0046】
次に、高吸水性ポリマーを配合した場合に保冷時間と保冷温度はどのようになるかについて図8〜図11を用いて説明する。図8〜図11に示す高吸水性ポリマーを加えてゲル状化した保冷剤は、プラスチック容器(ビーカ)に入れて−22°Cの冷凍庫で48時間冷凍し、氷にしたものを用いている。図8は水97重量部に塩化ナトリウム3重量部を配合した100重量部の保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかったもの(保冷剤5)、と高吸水性ポリマーを3.7重量部配合したもの(保冷剤13)を示している。保冷剤5と保冷剤13のカーブは部分的に0.5°Cの範囲で保冷温度が異なっている所が現れているが、保冷剤5と保冷剤13は殆ど同じ保冷特性をなしていると云える。また、図9は水97重量部に塩化カリウム3重量部を配合した100重量部の保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかったもの(保冷剤8)、と高吸水性ポリマーを3.4重量部配合したもの(保冷剤14)を示している。保冷剤8と保冷剤14のカーブは部分的に0.5°Cの範囲で保冷温度が異なっている所が現れているが、保冷剤8と保冷剤14は殆ど同じの保冷特性をなしている。同様に、図10に示す硫酸ナトリウムの保冷剤についても、保冷剤2(高吸水性ポリマーを配合していないもの)と保冷剤15(高吸水性ポリマーを配合したもの)の保冷特性は殆ど変わらない。また、図11に示す塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムを混ぜ合わせた保冷剤についても、高吸水性ポリマーを入れたもの(保冷剤16)と入れなかったもの(保冷剤12)の保冷特性は殆ど変わらないと云える。
【0047】
以上のことから、高吸水性ポリマーを加えて保冷剤をゲル状化しても保冷特性は殆ど変わらない。
【0048】
高吸水性ポリマーを保冷剤に加えることで保冷剤がジェル状化し、更に加えることでゲル状化する。このゲル状化した保冷剤は流動性がなくなることから保冷剤パックが破れて穴が開いても穴から保冷剤が外に出てくることがなくなる。流動性を有するジェル状化した保冷剤は小さな穴から漏れ出すことはあるが、ゲル状化した保冷剤は漏れ出さない。
【0049】
また、本発明の保冷剤は、水の成分を非常に多くし、塩化ナトリウムや塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの塩の成分を1〜5重量部と非常に少なくした。このため、+3°C以下の保冷温度で4時間以上の保冷時間を得ることができた。
【0050】
以上述べたように、第1実施形態では水と塩化ナトリウムや塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの塩と高吸水性ポリマーを配合してゲル状化した保冷剤について説明した。このゲル状化した保冷剤にカビなどの発生を防止するために微量の防腐剤を配合することも可能である。特に、水道水などを使用した場合は防腐剤を配合することでカビなどの発生を防止し、長期間に渡ってのリサイクル使用が可能になる。防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピルなどのものが選択でき、これらを1種又は混合したものを0.05〜0.3重量%の範囲で配合すると良い。0.3重量%より多く入れても防腐効果は余り変わらず、逆に保冷温度や保冷時間などに影響を及ぼすようになる。また、0.05重量%より少ないと防腐効果は薄くなる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る保冷剤について図12を用いて説明する。尚、図12は本発明の第2実施形態に係る保冷剤パックの要部断面図を示している。第2実施形態の保冷剤パックは第1実施形態で説明したゲル状化した保冷剤をパック化したものである。
【0052】
第2実施形態に係る保冷剤パック20は、図12に示すように、非透水性袋24の中に保冷剤21を密封し、不織布26で被覆した構造を成している。保冷剤21は、前述の第1実施形態で説明した保冷剤、即ち、水を95〜99重量部、塩化ナトリウムや塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの塩の少なくとも1種を1〜5重量部を配合して合計100重量部にし、この100重量部に高吸水性ポリマーを2.3〜4.6重量部配合して得たゲル状化した保冷剤である。このゲル状化した保冷剤は流動性はないがコンニャクやプリンの如く弾力性を有している。従って、この保冷剤パック20は弾力性を有して流動性のない保冷剤21をパック化したものであるので、手で持ち上げた程度では容易にパック形状が崩れず、反って曲がる程度のパック変形が起きる程度である。この保冷剤パック20は冷凍庫の中に数十時間入れて水分を氷化して使用する。例えば、一般家庭用の電気冷蔵庫の冷凍庫に入れ、−22°C位の温度で約24〜48時間位冷凍することで氷化した保冷剤パックが得られる。
【0053】
非透水性袋24の表面(上面と下面)に不織布26を設けており、この不織布26で保冷によって周りの空気が冷やされてできた水滴を吸収するようになっている。即ち、結露防止剤としての役目を果たし、結露による保冷食品の品質低下を防ぐ働きをしている。また、非透水性袋24は下層膜22と上層膜23の2枚の膜を重ねた2層の膜から成っている。
【0054】
ここで、非透水性袋24の下層膜22及び上層膜23は透水性のない熱融着可能な樹脂シートやフイルムが用いられ、この様なものとしてはポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートなどのシートやフイルムが挙げられる。下層膜22、上層膜23は同じ材料を用いても良く、また、異なった材料を用いても構わない。尚、異なった材料を用いる場合は上層膜23に強度的に強い材料を選択するのが好ましい。この下層膜22及び上層膜23の厚みは40〜90μmの範囲のものが好ましく、熱融着によって下層膜22と上層膜23とを貼合わせたものが非透水性袋24として用いられる。熱融着可能な樹脂シートを使用するとヒートシール方法で2層構造や袋の形成も容易に形成でき、製造コストも安くできる。また、2枚重ねることで強度的にも強くなり耐衝撃性効果も得る。尚、非透水性袋24は必ずしも2枚構成に限るものではなく、保冷剤21をゲル状化していること、また、不織布26を設けていることなどにより1枚構成でも通用する。保冷剤21がゲル状化しているので非透水性袋24が破れて小さな穴が開いても外に漏れ出すことがなく、保冷食品を濡らす危険性は殆ど発生しない。
【0055】
以上の構成を成す保冷剤パック20は、高い部材を使用していないのでコスト的にも安くでき、また、一般の家庭用冷凍庫で簡単に氷化することができる。また、保冷剤21は市販されている材料を用いて形成しているので一般の家庭で作ることも可能である。また、その作り方も難しくない。また、リサイクル使用もできるので、長期間に渡って使用することができる。
【0056】
このような保冷剤パック20は保冷食品に広く使用することができる、例えば、野菜類や果物類の保冷、魚類や肉類の保冷、料理した刺身などの保冷、ケーキ類の保冷、アイスクリームの保冷、等々である。用途に応じてパックの大きさや厚みなどを設定すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】 水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図2】 硫酸ナトリウムと水からなる組成の氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図3】 塩化ナトリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図4】 塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図5】 硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図6】 硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図7】 保冷剤がゲル状化するまでの高吸水性ポリマーの配合量を示した表である。
【図8】 水と塩化ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフである。
【図9】 水と塩化カリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフである。
【図10】 水と硫酸ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフである。
【図11】 水と塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフである。
【図12】 本発明の第2実施形態に係る保冷剤パックの要部断面図を示している。
【図13】 特許文献1に記載されたところの−26〜−22°Cの保冷時間と塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量との関係を示した図である。
【図14】 特許文献1に示されたところの保冷剤の温度変化と経過時間との関係を示したグラフである。
【図15】 塩化ナトリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフである。
【図16】 塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフである。
【図17】 塩化ナトリウムと塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフである。
【符号の説明】
【0058】
20 保冷剤パック
21 保冷剤
22 下層膜
23 上層膜
24 非通水性袋
26 不織布
【技術分野】
【0001】
本発明は保冷剤に関し、特に、0°C前後以下の温度で長時間に渡って保冷が持続できる保冷剤と、その保冷剤を用いた保冷剤パックに関する。
【背景技術】
【0002】
保冷剤としては、従来から水、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、ドライアイスなど種々のものが知られている。また、保冷剤の従来技術の一つとして下記の特許文献1に開示された技術も見ることができる。
【0003】
図13、図14は特許文献1に記載された保冷剤の配合量との関係と性能などを示すグラフで、図13は−26〜−22°Cの保冷時間と塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量との関係を示した図であり、図14は保冷剤の温度変化と経過時間との関係を示したグラフである。尚、特許文献1においては蓄冷剤と表しているが、ここでは保冷剤と呼んで説明する。
【0004】
特許文献1によれば、図13において、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合割合がAゾーンのものが−26〜−22°Cの温度範囲における保冷時間が35分以上となって好ましい配合割合であるとしている。そして、図14において、−22°C以下での保冷時間が50〜55分位持つことが示されている。また、図13において、Bゾーンの配合割合では保冷時間が35分以下となって、従来のものとの差が小さくなって好ましくないとされている。また、Cゾーンの配合割合では溶解度の限界を超えてしまって沈殿が生じ、好ましくないとされている。
【0005】
一般に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、水を配合して氷化した保冷剤は、袋などに詰められてパック化して使用されることが多い。以降、袋詰めされた保冷剤を保冷剤パックと呼んで説明することにする。保冷剤パックの状態にあると食品の保冷包装などが容易となり、包装や運搬、保存などに大きな利便性が得られる。
【0006】
【特許文献1】 特開2002−129151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、本出願人は保冷剤に関し様々な試験を行った結果次のことが判明した。その結果の一部を図15〜図17を用いて説明する。ここで、図15は塩化ナトリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフで、図16は塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフ、図17は塩化ナトリウムと塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフである。尚、配合割合は、それぞれのグラフの右上の欄に表でもって表示した配合割合で行っている。また、試料サンプルは、表で示した配合割合の保冷剤をそれぞれ製作し、プラスチック容器に容量200cc入れて、冷凍庫で−22°C、48時間の冷凍を行って氷にした試料サンプルを用いている。また、試料サンプルはその中心部に温度計が挿入できる穴を設けている。温度と時間の測定は、氷にした試料サンプルを室温25°Cの環境下で、0.5時間(30分)毎に試料サンプルの中心部の穴のほぼ中央部に差し込んだ温度計の温度を読み取って測定している。尚ここで、温度を保冷温度、時間を保冷時間と表して評価を行う。
【0008】
最初に、図15から次の様なことが読み取れる。塩化ナトリウムと水との保冷剤の保冷温度は、初期時においては低い。しかしながら、配合量が10重量%を越えるとほぼ直線的に保冷温度が上昇し、2時間後には保冷温度0°C以上に達する。一方、配合量が5重量%、3重量%のものは2時間後以降の温度上昇カーブはなだらかになり、保冷温度0°Cに達するまでに約3.0〜4.0時間位かかることが分かる。また、配合量が3重量%の方が5重量%より保冷時間が長いことが分かる。また、塩化ナトリウムの配合割合が多くなるに従って初期時の保冷温度は低いものが得られる。
【0009】
次に、図16から次の様なことが読み取れる。塩化カリウムと水とからなる保冷剤の保冷温度は、初期時においては塩化ナトリウムの保冷剤の場合より少し高い。しかしながら、時間経過による保冷温度の上昇は塩化ナトリウムの保冷剤の場合よりなだらかで、上昇勾配としては緩やかな勾配を示す。このため、保冷温度が0°Cに至るのに約2時間強の時間を要していて、保冷時間としては塩化ナトリウムの保冷剤より長持ちする。また、配合割合が多いほど保冷時間が短く、配合割合が少ない方が保冷時間が長持ちする。また。塩化カリウムの場合も配合割合が3重量%の方が5重量%より保冷時間が長い。また、塩化カリウムの配合割合が多くなるに従って初期時の保冷温度は低いものが得られる。
【0010】
次に、図17での塩化ナトリウムと塩化カリウムとを配合した保冷剤の場合は、塩化ナトリウムと塩化カリウムとを混ぜ合わせることによって保冷時間は少し長くなることが分かる。また、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合割合で塩化ナトリウムの少ない方が保冷時間としては長くなると云える。しかしながら、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合の合計は17%と多いことから保冷温度0°Cに至る時間はmax3時間で大変短い。
【0011】
また、塩化ナトリウムや塩化カリウムの配合量が多いと、氷にしたときには氷の結晶粒子が非常に粗くなってザラザラとした凹凸のある表面になる。そして、氷は溶解し易くなって早い時間で結晶粒子の分離が起こり、ザクザクとしたシャーベット状態になる。この様な状態になると短時間の間に保冷温度は著しく上昇して行く。様々な試験の結果から、塩化ナトリウムや塩化カリウムの配合量が10重量%以上になるとこの様な現象が顕著に現れて、保冷時間も長く持続しないことが判明した。一方、塩化ナトリウムや塩化カリウムの配合量が少なくなってくると、氷の結晶粒子も細かく密になってきて、表面状態が滑らかになってくる。と同時に、結晶粒子の溶解も遅くなってきて保冷時間が長く持続することが判明した。
【0012】
以上の結果を基に特許文献1に記載の好適とされたAゾーンに該当する保冷剤を評価すると、Aゾーンの保冷剤は塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量が15重量%以上になっており、しかも、どちらかと云うと塩化ナトリウムの配合量が多い。このことから、−22°C以下なる極低温保冷を作り出すことには好適であるが、その保冷時間は非常に短い。図14から判るように、50〜60分経過後には保冷温度の急激な上昇が見られ、上記した試験結果と類似する結果が現れていて、保冷時間が短いことが分かる。従って、Aゾーンの保冷剤は長時間(例えば、4時間とか5時間の長時間)の保冷には向かないと云える。
【0013】
また、水に塩化ナトリウムや塩化カリウムを配合して氷化した保冷剤を非透水性袋に密封して保冷剤パックにしたものにおいて、塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量が15重量%以上の保冷剤は上記で述べたように常温中では早く溶けだしてパック内で液状化する。もし、パックが破れて小さな穴などが開いた場合にはパックから液状の保冷剤が流れ出てきて保冷食品に付着し保冷食品の品質を損ねてしまう。また、塩が多く入った水なので、水より大きなダメージを食品に与えてしまうと云う危険がある。
【0014】
また、−30°C近くの極低温なる保冷温度を作れ出すには工業用、或いは職業用の冷凍庫が必要で、一般家庭用の電気冷蔵庫で作り出すことができない。
【0015】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、0°C前後以下の保冷温度で保冷時間が長時間に渡って持続することのできる保冷剤を見出すと共に、パックが破れて小さな穴が開いても保冷剤が流れ出てこない保冷剤を見出すことを目的とするものである。また、コストが安く、一般家庭用の冷蔵庫で作れる保冷剤を見出す。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための手段として、本発明の請求項1に記載の保冷剤の特徴は、少なくとも水と塩と高吸水性ポリマーの成分からなり、ゲル状の形態をなすことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項2に記載の保冷剤の特徴は、前記水と塩との配合割合は、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の配合割合であることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項3に記載の保冷剤の特徴は、前記水と塩と高吸水性ポリマーとの配合割合は、水を95〜99重量部、塩を1〜5重量部の配合割合で配合した水と塩との合計100重量部に対して、高吸水性ポリマーは2.3〜4.6重量部の配合割合であるあることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項4に記載の保冷剤の特徴は、前記塩は塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムの1種又は混合したものからなることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項5に記載の保冷剤の特徴は、前記高吸水性ポリマーは架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の請求項6に記載の保冷剤パックの特徴は、前記請求項1乃至5のいずれかに記載の保冷剤を熱融着可能な樹脂シート又はフイルムからなる非透水性袋内に密封したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、次のような効果が得られる。本発明の保冷剤は少なくとも水と塩と高吸水性ポリマーの成分からなって、ゲル状の形態をなす。塩としては塩化ナトリウム(Nacl)や塩化カリウム(Kcl)、硫酸ナトリウム(Na2SO2・10H2O)を使用する。塩化ナトリウム(Nacl)や塩化カリウム(Kcl)は保冷温度を下げる寒剤として高い効果が得られ、また、硫酸ナトリウム(Na2SO2・10H2O)は保冷時間を伸ばすのに高い効果が得られる。これらの塩は市場性を有しており、安いコストで入手することができる。高吸水性ポリマーは水を吸収して膨潤し、保冷剤をジェル状化或いはゲル状化する特性を有する。これにより、保冷剤パックに穴などが開いても保冷剤が外に流れ出さないようにするのであるが、本発明においては、高吸水性ポリマーを配合して保冷剤をゲル状化する。ジェル状であると流動性を有し、穴の大きさによっては外に流れ出てくるが、ゲル状であると流動性がなくなり、穴の大きさが大きくなっても穴から外に流れ出てくることがない。尚、本発明においては、ゲル状とは流動性がなく、弾力性を有する状態をゲル状と定義し、ジェル状とはゲル状より水分が多く、柔軟性や流動性のある状態をジェル状と定義する。
【0023】
また、本発明においては、水と塩との配合割合は、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の配合割合にする。塩の配合割合が1重量部より少ないと寒剤としての保冷温度低下の効果が小さく、また、塩が5重量部より多いと保冷時間が長続きしない。即ち、氷化した保冷剤の溶解していく時間が早くなり、保冷時間が短くなる。
【0024】
また、本発明においては、水と塩と高吸水性ポリマーとの配合割合は、水を95〜99重量部、塩を1〜5重量部の配合割合で配合した水と塩との合計重量部100重量部に対して、高吸水性ポリマーは2.3〜4.6重量部の配合割合にする。高吸水性ポリマーが2.3〜4.6重量部であるとゲル状の形態が得られ、保冷剤パックが破れて穴が開いても穴から外に保冷剤が出てくることがない。また、保冷時間も長続きする。
【0025】
高吸水性ポリマーとしては架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムを好適なものとして選択する。これは、水の取り込み量が数十倍から数百倍のものがあり、架橋構造での水の吸収性が非常に高く、少ない重量で多くの水を吸収する。使用量が少なくて済み、コスト面で安くできる。
【0026】
以上述べた特徴を有する保冷剤を熱融着可能な樹脂シートまたはフイルムからなる非透水性袋内に密封してパック化することにより、取扱いが容易になり、広範囲の食品に利用できるようになる。また、一般家庭用の冷蔵庫でも簡単に形成でき、リサイクル使用もできるので長期間に渡って使用できてコスト面の効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を用いながら説明する。最初に、本発明の第1実施形態に係る保冷剤について図1〜図11を用いて説明する。尚、図1は水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図2は硫酸ナトリウムと水からなる組成の氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図3は塩化ナトリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図4は塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図5は硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフ、図6は硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。また、図7は保冷剤がゲル状化するまでの高吸水性ポリマーの配合量を示した表である。また、図8は水と塩化ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフ、図9は水と塩化カリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフ、図10は水と硫酸ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフ、図11は水と塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフを示している。
【0028】
最初に、それぞれの図におけるグラフについて簡単に説明する。横軸に時間(h)を取り、0.5時間毎に刻んである。以降、この横軸の時間を保冷時間と呼んで説明することにする。縦軸は温度を示している。そして、0.5時間毎に温度がどの様に変化したかを折れ線グラフで示している。以降、縦軸の温度を保冷温度と呼んで説明することにする。測定試料サンプルは200cc容量の保冷剤をプラスチック容器(ビーカ)に入れて−22°Cの冷凍庫で48時間冷凍し、氷にしたものを用いている。そして、冷凍庫の中で氷になった試料サンプルを取り出して25°Cの室温の中で温度測定を行っている。温度測定は冷凍庫の中から取りだして間もなくのものを最初に測定し、後は0.5時間毎に測定している。測定は温度計の温度を読み取って行うが、温度計は試料サンプルの中心部に設けられた穴に挿入して、丁度穴の中央部の所の温度を計測している。
【0029】
本発明の第1実施形態に係る保冷剤は、水と塩と高吸水性ポリマーの成分からなって、ゲル状の形態をなす。ゲル状とは流動性がなく、弾力性を有する状態をゲル状と定義している。水は水道水でも良いが、好ましくは蒸留水や煮沸水を用いるのが良い。蒸留水や煮沸水は不純物が少ない水であるので、氷結するとその結晶粒子が細かく密な氷が得られ、この様な氷は表面が滑らかであり溶解が遅い。そして、保冷時間を長く持続させる特性を有する。塩は硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩が用いられる。硫酸ナトリウムは保冷温度の上昇を遅らせ、保冷時間を長く持続させる特性を有し、塩化ナトリウムや塩化カリウムは保冷温度を下げる特性を有する。何れも安いコストで流通しているので入手し易い。高吸水性ポリマーは保冷剤をゲル状化するために用いている。ゲルは弾力性はあるが流動性がない。従って、完全にゲル状化していればパックが破れて穴が開いてもその穴から保冷剤が漏れ出るようなことが起きない。高吸水性ポリマーとしては架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムを用いている。
【0030】
水を氷にしたものは、図1に示すように、保冷温度は高いが保冷時間は比較的長く、溶け始める温度0°〜1°に至るまでには2〜3時間かかる。そして、その後は温度は少しづつ上昇する。水の氷は結晶粒子も細かく、結晶密度も密なので溶解するまでに長い時間がかかり、また、溶解した後の水は蒸発するのに気化熱を吸収するので保冷温度は直ぐに上昇しない。従って、極低温保冷を要しないものであるならば水の氷は好適な保冷剤として活用できる。
【0031】
食品によって好適な保冷温度はそれぞれ異なる。例えば、野菜類などは−2、1〜+4、5°C位、ケーキ類では−3、2〜+7、8°C位、アイスクリームの場合は−13°C以下、などの具合である。保冷食品の中で0°C前後の保冷温度が好適とされる食品は比較的多く、この好適な保冷温度を出来るだけ長時間持続できる保冷剤が一番好ましい。本発明の保冷剤は上記した水の特性を利用して保冷温度+3°C以下の温度で少なくとも4時間は持続できる保冷剤を目標としている。
【0032】
そこで、本発明の保冷剤は水と塩との配合割合が、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の配合割合が好適な範囲と設定する。
【0033】
図2から、水に硫酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)を1.0重量部(保冷剤1)、3重量部(保冷剤2)、5重量部(保冷剤3)を配合した保冷剤は、初期の1時間の間に急激に保冷温度は上昇するが、1時間後以降は温度上昇が非常に低く、+1°C以下の範囲で4時間以上持続する。図1の水の氷と対比すると、水の氷よりも保冷温度を2°〜3°下げると共に温度上昇をくい止め、保冷温度の持続時間を長くする働きをなしている。また、3重量部配合の保冷剤2と5重量部配合の保冷剤3は殆ど重なり合ったカーブを取っている。このことから、配合割合を増やしても殆ど効果は変わらない。
【0034】
また、図3から、水に塩化ナトリウム(Nacl)を1重量部(保冷剤4)、3重量部(保冷剤5)、5重量部(保冷剤6)配合した保冷剤は、初期の保冷温度は低くなるが温度上昇が比較的早く、保冷剤6においては4時間後には+3°に至る。これは配合量が多いことによる。また、塩化ナトリウム3重量部配合した保冷剤5は一番保冷温度が低く、1重量部配合の保冷剤4は4時間後の保冷温度として保冷剤5より高く、保冷剤6より低く現れる。試験の結果から塩化ナトリウムの配合割合が1重量部より少ないと温度の低下効果が低く、1重量部以上で5重量部以下に抑えれば+3°C以下の保冷温度が4時間持続することが判明した。
【0035】
また、図4から、水に塩化カリウム(Kcl)を1重量部(保冷剤7)、3重量部(保冷剤8)、5重量部(保冷剤9)配合した保冷剤は、初期の保冷温度は図3に示した塩化ナトワウムより高くなるが、+1°C以下の保冷時間は4時間以上得られる。塩化カリウムの場合も3重量部のものが一番保冷温度が低く、3重量部より増加するに従って、或いは、3重量部より減少するに従って保冷温度が高くなっていく。
【0036】
以上のことから、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムの塩をそれぞれ単独で用いた場合には、水を95〜99重量部、塩を1〜5重量部の配合割合で混ぜ合わせればどの塩を用いても目標とする+3°C以下での4時間の保冷を得ることができた。
【0037】
次に、塩を2種以上混ぜ合わせた場合に保冷時間と保冷温度がどうなるかについて図5、図6で説明する。図5は硫酸ナトリウム2重量部、塩化ナトリウム1重量部、水97重量部で配合した保冷剤10、硫酸ナトリウム1重量部、塩化ナトリウム2重量部、水97重量部で配合した保冷剤11の保冷時間と保冷温度を示している。保冷剤10は最初の1時間は急激な温度上昇が現れ、それ以降はなだらかで温度勾配の小さい温度上昇を示す。一方、保冷剤11は時間経過と共に徐々に温度勾配は小さくなる。これは、保冷剤10は硫酸ナトリウムの保冷特性が強く現れており、保冷剤11は塩化ナトリウムの保冷特性が強く現れていると云える。このように、硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムの配合割合で硫酸ナトリウムの割合が多いと硫酸ナトリウムの保冷特性が強く現れ、塩化ナトリウムの割合が多いと塩化ナトリウムの保冷特性が強く現れることが分かる。何れにしても、保冷剤10、11共に保冷温度0°C以下での4時間の保冷時間が得られている。また、また、図6は硫酸ナトリウム1重量部、塩化ナトリウム1重量部、塩化カリウム1重量部、水97重量部で配合した保冷剤12の保冷時間と保冷温度を示している。この保冷剤12も保冷温度0°C以下での4時間の保冷時間が得られている。
【0038】
以上の結果などを含めて様々な試験の結果、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムの塩をそれぞれ単独で用いた場合でも、或いは、2種以上混ぜ合わせた場合でも1〜5重量部の配合割合はどの塩にも適応できて、目標とする+3°C以下での4時間の保冷が得られることが分かった。
【0039】
次に、上記で述べた塩に高吸水性ポリマーを配合した場合についてのゲル化状況について図7〜図11を用いて説明する。本発明においては、高吸水性ポリマーとしては架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムを好適に選択する。この架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムは顆粒状のもので、水の取り込み量が数十倍から数百倍のものがあり、架橋構造での水の吸収性が非常に高く、少ない重量で多くの水を吸収する特性がある。市販されているものとしては三洋化成工業株式会社製の商品名:サンフレッシュ ST−500Dなどがある。
【0040】
図7は保冷剤がゲル状化するまでの高吸水性ポリマーの配合量を示している。ここで、ゲル状化の判定基準は次のように行っている。水に塩を溶解し、これに高吸水性ポリマーを徐々に加えていくと流動性のあるジェル状化が起き、更に加えていくと流動性のない状態のゲル状化が起きる。本試験においては、ゲル状化の度合いは平面上に試料を約20cm2の底面積で約5cm位の高さにして自重で形が崩れたり、流動しない時点のレベルをもってゲル状化と判定している。そして、上記の判定された時点の高吸水性ポリマーの配合量をもってゲル状化までの配合量と設定している。尚、高吸水性ポリマーは三洋化成工業製の商品名:サンフレッシュ ST−500Dなる架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムを用いたもので行っている。
【0041】
図7において、A分類のものは水と塩化ナトリウムを配合した保冷剤、B分類のものは水と塩化カリウムを配合した保冷剤、C分類のものは水と硫酸ナトリウムを配合した保冷剤、D分類のものは水に塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムの3種を配合した保冷剤を示している。
【0042】
A分類の塩化ナトリウムを配合した保冷剤は、塩化ナトリウムの配合量が1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部と増えるに従ってゲル状化になるに高吸水性ポリマーの配合量は2.6重量部、3.2重量部、3.7重量部、4.2重量部、4.6重量部と増える。これは、B分類の塩化カリウムの場合や硫酸ナトリウムの場合も同じで、塩化カリウムの場合は配合量が1重量部から5重量部に増えるに従って高吸水性ポリマーは2.3重量部から4.3重量部に増え、また、硫酸ナトリウムの場合は配合量が1重量部から5重量部に増えるに従って高吸水性ポリマーは2.5重量部から4.5重量部に増える。これは、顆粒状の高吸水性ポリマーが水を吸水してジェル化した状態のものに塩化カリウムや塩化ナトリウムを加えるとナトリウムやカリウムの陽イオンがポリアクリル酸ナトリウムの官能基−COONaに作用し膨張した顆粒状ポリマーを収縮させ、取り込んだ水を吐き出させる。ナトリウムやカリウムの陽イオンが多くなればなるほど、顆粒状ポリマーを収縮させ水を多く吐き出させる。このため、この吐き出た水を吸収して再びジェル化し、更に、ゲル化するのに高吸水性ポリマーの量が必要として増えるものと推量される。
【0043】
ここで、図7から高吸水性ポリマーの配合量で特徴のあることが分かる。例えば、A分類の塩化ナトリウムの場合について説明すると、水が99重量部、塩化ナトリウム1重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが2.6重量部の配合量であるが、水が98重量部、塩化ナトリウム2重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが3.2重量部の配合量、水が97重量部、塩化ナトリウム3重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが3.7重量部の配合量、水が96重量部、塩化ナトリウム4重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが4.2重量部の配合量、塩化ナトリウム5重量部の保冷剤の場合は高吸水性ポリマーが4.6重量部の配合量である。塩化ナトリウムが1重量部増える毎に高吸水性ポリマーは0.6〜0.4重量部とほぼ一定の割合で増えている。これは、B分類の塩化カリウムの場合もC分類の硫酸ナトリウム場合も同じであった。
【0044】
以上のことから、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの塩を1〜5重量部を水に配合して合計重量部を100重量部とした保冷剤をゲル状化するには2.3〜4.6重量部の高吸水性ポリマーを配合すれば良いことが分かる。これは、これらの塩を複数混ぜ合わせた形成した保冷剤の場合でも同じである。
【0045】
また、保冷剤をゲル状化するのに架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムなる高吸水性ポリマーを用い、塩の配合割合を1〜5重量部と少なくしたことで配合量を2.3〜4.6重量部と少ない重量部に制限することができた。ゲル状化する他の材料としてはアルギン酸ナトリウムやカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)などがあるが、これらの材料の使用量は塩の量に関係なく水の量に比例する。例えば、ゲル状化するのに水100重量部に対してアルギン酸ナトリウムでは約6重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウムでは約5.5重量部必要とすることが試験の結果から判明している。塩の量が多い時には有効であるが、本発明における塩の量が1〜5重量部と少ない範囲においては高吸水性ポリマーの方が使用量が少なくて済み、経済的である。
【0046】
次に、高吸水性ポリマーを配合した場合に保冷時間と保冷温度はどのようになるかについて図8〜図11を用いて説明する。図8〜図11に示す高吸水性ポリマーを加えてゲル状化した保冷剤は、プラスチック容器(ビーカ)に入れて−22°Cの冷凍庫で48時間冷凍し、氷にしたものを用いている。図8は水97重量部に塩化ナトリウム3重量部を配合した100重量部の保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかったもの(保冷剤5)、と高吸水性ポリマーを3.7重量部配合したもの(保冷剤13)を示している。保冷剤5と保冷剤13のカーブは部分的に0.5°Cの範囲で保冷温度が異なっている所が現れているが、保冷剤5と保冷剤13は殆ど同じ保冷特性をなしていると云える。また、図9は水97重量部に塩化カリウム3重量部を配合した100重量部の保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかったもの(保冷剤8)、と高吸水性ポリマーを3.4重量部配合したもの(保冷剤14)を示している。保冷剤8と保冷剤14のカーブは部分的に0.5°Cの範囲で保冷温度が異なっている所が現れているが、保冷剤8と保冷剤14は殆ど同じの保冷特性をなしている。同様に、図10に示す硫酸ナトリウムの保冷剤についても、保冷剤2(高吸水性ポリマーを配合していないもの)と保冷剤15(高吸水性ポリマーを配合したもの)の保冷特性は殆ど変わらない。また、図11に示す塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムを混ぜ合わせた保冷剤についても、高吸水性ポリマーを入れたもの(保冷剤16)と入れなかったもの(保冷剤12)の保冷特性は殆ど変わらないと云える。
【0047】
以上のことから、高吸水性ポリマーを加えて保冷剤をゲル状化しても保冷特性は殆ど変わらない。
【0048】
高吸水性ポリマーを保冷剤に加えることで保冷剤がジェル状化し、更に加えることでゲル状化する。このゲル状化した保冷剤は流動性がなくなることから保冷剤パックが破れて穴が開いても穴から保冷剤が外に出てくることがなくなる。流動性を有するジェル状化した保冷剤は小さな穴から漏れ出すことはあるが、ゲル状化した保冷剤は漏れ出さない。
【0049】
また、本発明の保冷剤は、水の成分を非常に多くし、塩化ナトリウムや塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの塩の成分を1〜5重量部と非常に少なくした。このため、+3°C以下の保冷温度で4時間以上の保冷時間を得ることができた。
【0050】
以上述べたように、第1実施形態では水と塩化ナトリウムや塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの塩と高吸水性ポリマーを配合してゲル状化した保冷剤について説明した。このゲル状化した保冷剤にカビなどの発生を防止するために微量の防腐剤を配合することも可能である。特に、水道水などを使用した場合は防腐剤を配合することでカビなどの発生を防止し、長期間に渡ってのリサイクル使用が可能になる。防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピルなどのものが選択でき、これらを1種又は混合したものを0.05〜0.3重量%の範囲で配合すると良い。0.3重量%より多く入れても防腐効果は余り変わらず、逆に保冷温度や保冷時間などに影響を及ぼすようになる。また、0.05重量%より少ないと防腐効果は薄くなる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る保冷剤について図12を用いて説明する。尚、図12は本発明の第2実施形態に係る保冷剤パックの要部断面図を示している。第2実施形態の保冷剤パックは第1実施形態で説明したゲル状化した保冷剤をパック化したものである。
【0052】
第2実施形態に係る保冷剤パック20は、図12に示すように、非透水性袋24の中に保冷剤21を密封し、不織布26で被覆した構造を成している。保冷剤21は、前述の第1実施形態で説明した保冷剤、即ち、水を95〜99重量部、塩化ナトリウムや塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの塩の少なくとも1種を1〜5重量部を配合して合計100重量部にし、この100重量部に高吸水性ポリマーを2.3〜4.6重量部配合して得たゲル状化した保冷剤である。このゲル状化した保冷剤は流動性はないがコンニャクやプリンの如く弾力性を有している。従って、この保冷剤パック20は弾力性を有して流動性のない保冷剤21をパック化したものであるので、手で持ち上げた程度では容易にパック形状が崩れず、反って曲がる程度のパック変形が起きる程度である。この保冷剤パック20は冷凍庫の中に数十時間入れて水分を氷化して使用する。例えば、一般家庭用の電気冷蔵庫の冷凍庫に入れ、−22°C位の温度で約24〜48時間位冷凍することで氷化した保冷剤パックが得られる。
【0053】
非透水性袋24の表面(上面と下面)に不織布26を設けており、この不織布26で保冷によって周りの空気が冷やされてできた水滴を吸収するようになっている。即ち、結露防止剤としての役目を果たし、結露による保冷食品の品質低下を防ぐ働きをしている。また、非透水性袋24は下層膜22と上層膜23の2枚の膜を重ねた2層の膜から成っている。
【0054】
ここで、非透水性袋24の下層膜22及び上層膜23は透水性のない熱融着可能な樹脂シートやフイルムが用いられ、この様なものとしてはポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートなどのシートやフイルムが挙げられる。下層膜22、上層膜23は同じ材料を用いても良く、また、異なった材料を用いても構わない。尚、異なった材料を用いる場合は上層膜23に強度的に強い材料を選択するのが好ましい。この下層膜22及び上層膜23の厚みは40〜90μmの範囲のものが好ましく、熱融着によって下層膜22と上層膜23とを貼合わせたものが非透水性袋24として用いられる。熱融着可能な樹脂シートを使用するとヒートシール方法で2層構造や袋の形成も容易に形成でき、製造コストも安くできる。また、2枚重ねることで強度的にも強くなり耐衝撃性効果も得る。尚、非透水性袋24は必ずしも2枚構成に限るものではなく、保冷剤21をゲル状化していること、また、不織布26を設けていることなどにより1枚構成でも通用する。保冷剤21がゲル状化しているので非透水性袋24が破れて小さな穴が開いても外に漏れ出すことがなく、保冷食品を濡らす危険性は殆ど発生しない。
【0055】
以上の構成を成す保冷剤パック20は、高い部材を使用していないのでコスト的にも安くでき、また、一般の家庭用冷凍庫で簡単に氷化することができる。また、保冷剤21は市販されている材料を用いて形成しているので一般の家庭で作ることも可能である。また、その作り方も難しくない。また、リサイクル使用もできるので、長期間に渡って使用することができる。
【0056】
このような保冷剤パック20は保冷食品に広く使用することができる、例えば、野菜類や果物類の保冷、魚類や肉類の保冷、料理した刺身などの保冷、ケーキ類の保冷、アイスクリームの保冷、等々である。用途に応じてパックの大きさや厚みなどを設定すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】 水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図2】 硫酸ナトリウムと水からなる組成の氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図3】 塩化ナトリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図4】 塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図5】 硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図6】 硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと塩化カリウムと水からなる氷の保冷時間と保冷温度の関係を示したグラフである。
【図7】 保冷剤がゲル状化するまでの高吸水性ポリマーの配合量を示した表である。
【図8】 水と塩化ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフである。
【図9】 水と塩化カリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフである。
【図10】 水と硫酸ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフである。
【図11】 水と塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムからなる保冷剤に高吸水性ポリマーを配合しなかった場合と配合した場合の保冷時間と保冷温度を示すグラフである。
【図12】 本発明の第2実施形態に係る保冷剤パックの要部断面図を示している。
【図13】 特許文献1に記載されたところの−26〜−22°Cの保冷時間と塩化ナトリウムと塩化カリウムの配合量との関係を示した図である。
【図14】 特許文献1に示されたところの保冷剤の温度変化と経過時間との関係を示したグラフである。
【図15】 塩化ナトリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフである。
【図16】 塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフである。
【図17】 塩化ナトリウムと塩化カリウムと水とで構成した保冷剤の温度と時間の関係を示したグラフである。
【符号の説明】
【0058】
20 保冷剤パック
21 保冷剤
22 下層膜
23 上層膜
24 非通水性袋
26 不織布
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも水と塩と高吸水性ポリマーの成分からなり、ゲル状の形態をなすことを特徴とする保冷剤。
【請求項2】
前記水と塩との配合割合は、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の配合割合であることを特徴とする請求項1に記載の保冷剤。
【請求項3】
前記水と塩と高吸水性ポリマーとの配合割合は、水を95〜99重量部、塩を1〜5重量部の配合割合で配合した水と塩との合計100重量部に対して、高吸水性ポリマーは2.3〜4.6重量部の配合割合であるあることを特徴とする請求項1又は2に記載の保冷剤。
【請求項4】
前記塩は塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムの1種又は混合したものからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の保冷剤。
【請求項5】
前記高吸水性ポリマーは架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の保冷剤
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載の保冷剤を熱融着可能な樹脂シート又はフィルムからなる非透水性袋内に密封したことを特徴とする保冷剤パック。
【請求項1】
少なくとも水と塩と高吸水性ポリマーの成分からなり、ゲル状の形態をなすことを特徴とする保冷剤。
【請求項2】
前記水と塩との配合割合は、水と塩との合計重量部が100重量部であると、水が95〜99重量部、塩が1〜5重量部の配合割合であることを特徴とする請求項1に記載の保冷剤。
【請求項3】
前記水と塩と高吸水性ポリマーとの配合割合は、水を95〜99重量部、塩を1〜5重量部の配合割合で配合した水と塩との合計100重量部に対して、高吸水性ポリマーは2.3〜4.6重量部の配合割合であるあることを特徴とする請求項1又は2に記載の保冷剤。
【請求項4】
前記塩は塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムの1種又は混合したものからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の保冷剤。
【請求項5】
前記高吸水性ポリマーは架橋構造ポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の保冷剤
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載の保冷剤を熱融着可能な樹脂シート又はフィルムからなる非透水性袋内に密封したことを特徴とする保冷剤パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−156582(P2008−156582A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−357341(P2006−357341)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(504019973)有限会社サイトー製作所 (2)
【出願人】(507023614)有限会社ラックストン (1)
【出願人】(507024699)
【出願人】(506051784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(504019973)有限会社サイトー製作所 (2)
【出願人】(507023614)有限会社ラックストン (1)
【出願人】(507024699)
【出願人】(506051784)
【Fターム(参考)】
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