説明

保冷剤及び保冷庫ならびにその販売方法

【課題】 身体の当接すべき部位の形状に成形した保冷剤を、自宅から離れた場所でも手軽に使用できるように、例えばコンビニエンスストアで購入できるようにする。
【解決手段】 保冷剤1を型1a、1bに挟み固定して凍結した状態で、店舗の冷凍陳列庫にいれたり、保冷箱に入れてイベントの会場内などで持ち運んだりして販売する。保冷剤1には、食品などに付属する保冷剤や、飲料が充填された袋状のパックを凍結したものを用いることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷剤に関し、特に適当な装具に収納して身体に装着することにより、身体の冷却や防暑に使用可能な保冷剤と、その販売方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
夏季における炎天下での活動では、空調機などが効果的に使用できないため、屋内での作業に比較すると、体調を最適に維持するのが困難で、活動時間などに多大の制約を来すことが常である。
【0003】
この対策の一環として、特許文献1には、温度調節具を収納可能な首掛けタオルが開示されている。この首掛けタオルの所定の位置に保冷剤を収納することにより、身体を効率的に冷却することが可能である。
【0004】
また、本発明者は、特許文献2において、内部に保冷剤または保温材を収納してなる複数の装具を、装着する身体の部位の形状に合わせて組み合わせることが可能な、保冷用または保温用の装具を開示している。さらに本発明者は、特許文献3において、市販の食品に付属している保冷剤や、袋状のパックに充填された飲料を、身体の当接すべき部位に適合した形状に成形した状態で凍結し、前記の装具を用いて身体の所要箇所に当接し得ることを開示している。
【0005】
これらに開示されている保冷剤は、食品に付属している保冷剤を流用することが可能あったり、飲料パックを流用する場合にあっては、内容物である飲料が溶けた後は、飲用が可能であったりするという利点がある。しかしながら、自宅から離れた場所での屋外作業や、スポーツ観戦においては、現地に赴く間に溶けてしまい、保冷剤としての用をなさなくなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−220502号公報
【特許文献1】特開2009−138285号公報
【特許文献2】特開2009−203254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、前記の保冷剤を、自宅から離れた場所でも手軽に使用できるように、例えばコンビニエンスストアで購入できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記課題解決のため、前記保冷剤の販売形態や販売方法を検討した結果なされたものである。
【0009】
即ち、本発明は、型を用いて当接すべき部位に適合した形状に成形し、凍結した状態で販売することを特徴とする保冷剤である。
【0010】
また、本発明は、可撓性を有する袋状のパックに充填された飲料を、当接すべき部位の形状に適合した形状に型を用いて成形し、凍結した状態で販売することを特徴とする保冷剤である。
【0011】
また、本発明は、前記の保冷剤を、前記型に挟んだ状態または前記型を用いて成形し凍結した状態の少なくともいずれかの状態で保管することが可能であることを特徴とする保冷庫である。
【0012】
また、本発明は、前記の保冷剤を、個別に収納可能な区画を有することを特徴とする、前記の保冷庫。
【0013】
また、本発明は、当接すべき部位に適合した形状を有する型に挟むことにより所要の形状を付与し、凍結した状態で販売することを特徴とする、前記の保冷剤の販売方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、予め所要の形状に成形して凍結した状態で保冷剤を販売できるので、外出先で手軽に購入し、特許文献2に開示されている装具に入れて用いることができる。しかも、飲料のパックを凍結したものでは、保冷剤として使用した後は、内容物を飲むことができるので、複数の機能を具備することになる。
【0015】
また、実際の販売方法としては、コンビニエンスストアのような店舗においては、冷凍食品などと一緒に保冷庫に陳列して販売することができる。この場合、保冷庫に、前記保冷剤を型に挟んだ状態、または凍結して型から分離した状態で、個別に収納可能な区画を設けておけば、保冷剤の出し入れや、保冷剤の管理の作業性を向上することができる。また、スポーツ観戦などの観客に販売する場合は、清涼飲料などと一緒に保冷箱に収納した状態で、仮設の店舗で販売したり、客席に持ち込んで販売したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る保冷剤を型を用いて成形する一例を示す斜視図。
【図2】保冷剤を型に嵌合した状態で凍結した後の形状を示す斜視図。
【図3】本発明に係る保冷庫の一例を示す斜視図。
【図4】本発明に係る保冷庫を自動販売機に応用した一例を示す斜視図。
【図5】コンビニエンスストアに設置されている冷凍食品の陳列庫を、本発明に係る保冷庫に応用した一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について、具体的な図を参照しながら説明する。図1は本発明に係る保冷剤を、型を用いて成形する一例を示す斜視図である。ここに示したのは、金属箔と高分子材料のフィルムのラミネートシートを袋状に形成して、ジュースなどを充填したパックの内容物を凍結して、保冷剤として用いる例である。また、図2は保冷剤1を、型に嵌合した状態で凍結した後の形状を示す斜視図である。
【0018】
図1において、1a、1bは型、2は保冷剤である。本図に示したように、型1a、1bは、当該保冷剤を当接する身体の所要部位とほぼ同一の形状となっている。保冷剤2に型1a、1bを密接させた状態で、クランプなどを用いて固定し、冷凍庫を用いて凍結して用いる。
【0019】
図3は、本発明に係る保冷庫の一例を示す斜視図である。図3において、3は型に挟んだ状態の保冷剤、4は保冷庫、5は個別収納区画である。このような保冷庫をコンビニエンスストアに設置しておけば、利用者は、自宅から離れている際も、手軽に本発明の保冷剤を購入できる。販売にあたっては、型1a、1bと保冷剤2を固定した状態で、店舗内の保冷庫に収納しておいてもよいし、型1a、1bと保冷剤2を分離した状態で保冷庫に収納しておいてもよい。
【0020】
図4は、本発明に係る保冷庫を自動販売機に応用した一例を示す斜視図である。図4において、3は型に挟んだ状態の保冷剤、6は自動販売機、7は保冷剤の取出口である。このような自動販売機を店頭や街頭に設置しておくことにより、利用者の利便性を向上できる。
【0021】
図5は、コンビニエンスストアに設置されている冷凍食品の陳列庫を、本発明に係る保冷庫に応用した一例を示す斜視図である。図5において、3は型に挟んだ状態の保冷剤、8は冷凍食品の陳列庫、9は個別収納区画である。図5に示した形式で、コンビニエンスストアの冷凍食品の陳列庫の一部を、本発明の保冷剤の販売に適用することにより、前記と同様に利用者の利便性を向上できる。
【0022】
以上に説明したように、本発明によれば、身体の冷却効果の大きい保冷剤を提供することができ、夏季の屋外活動の利便性向上に寄与するところは大きいと言える。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
1a,1b 型
3 型に挟んだ状態の保冷剤
2 保冷剤
4 保冷庫
5,9 個別収納区画
6 自動販売機
7 保冷剤取出口
8 冷凍食品の陳列庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型を用いて当接すべき部位に適合した形状に成形し、凍結した状態で販売することを特徴とする保冷剤。
【請求項2】
可撓性を有する袋状のパックに充填された飲料を、当接すべき部位の形状に適合した形状に型を用いて成形し、凍結した状態で販売することを特徴とする保冷剤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の少なくともいずれかの保冷剤を、前記型に挟んだ状態または前記型を用いて成形し凍結した状態の少なくともいずれかの状態で保管することが可能であることを特徴とする保冷庫。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の少なくともいずれかの保冷剤を、個別に収納可能な区画を有することを特徴とする、請求項3に記載の保冷庫。
【請求項5】
当接すべき部位に適合した形状を有する型に挟むことにより所要の形状を付与し、凍結した状態で販売することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の保冷剤の販売方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−121997(P2011−121997A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278197(P2009−278197)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(505165619)
【Fターム(参考)】