説明

保冷米びつ装置

【課題】高周囲温度でも冷却性能が劣らず、白米の品質を維持し、狭小スペースに設置された場合でも、放熱器にフレッシュエアーを吸込む吸気口を設け、さらにフィルターを配備することで定期的なメンテナンスを実施することで冷却性能が劣化することがない保冷米びつ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】冷凍サイクル装置35を、圧縮機31、放熱器32、放熱用送風機36の上部に冷却器33、冷却用送風機37を配置した積層構造としたことにより、冷凍サイクル装置35のコンパクト化を可能にし、さらに、ベース43の吸気口43aを設けたことにより、設置環境の悪い場所に設置されても放熱器32にフレッシュエアーを吸気できるようにした。したがって、熱源を冷凍サイクル装置35とし、安定した冷却性能を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精米した白米を所定の範囲の温度で貯蔵(保存)を要する保冷米びつ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の保冷米びつ装置として、図6に示す如く冷却熱源にペルチェ方式を利用した保冷米びつ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この装置は、貯蔵室100の外周を断熱パネル101で囲い、貯蔵室100と断熱パネル101との間に冷気の循環空間102を形成して、冷却装置103で生成した冷気を循環させ、貯蔵室100を間接的に冷却するものである。冷却装置103は、ペルチェ素子104と循環ファン105からなり、ペルチェ素子104の冷却面を循環空間102に配置し、循環ファン105でその冷却面の冷気を循環させて貯蔵室100内を冷却している。
【0004】
冷却装置103の制御は、循環空間103内の温度を検出する温度センサに基づいて行われ、空間温度に応じてペルチェ素子104への供給電源を切り換えている。また、ペルチェ素子104の放熱面を空冷する放熱ファン106を備え、放熱面に外気を作用させて放熱を促進させることにより、冷却面の冷却性能を保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−315634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のようなペルチェ方式を用いた保冷米びつ装置の構成では、一般に冷却能力が小さいため、周囲温度が高くなると十分な冷却能力が得られなくなり、白米の品質を劣化させてしまうという欠点があった。さらに詳述すると、ペルチェ方式で高い冷却性能を確保する場合、ペルチェ素子本体や、駆動回路が高価となり、安価に構成することが困難となる。
【0007】
さらに、ペルチェ方式は、連続して庫内冷却側の循環ファン105とペルチェ素子104の放熱ファン106が運転しているため、その音源が耳障りとなっていた。
【0008】
また、圧縮機を具備したヒートポンプによる冷却方式を採用することも想定できるが、米びつ本体の大型化や、設置環境、組立て工数のアップ、冷凍サイクル部品のサービス性を考慮した構成とする課題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ヒートポンプ装置を熱源としながらも、熱源をペルチェ方式とする構成と同等の収納容積を維持する米びつ本体とし、さらに、運転の静寂性を向上すると共に設置環境にかかわらず冷却性能の安定化をはかり、また、組立て、設置および保守・点検の作業性に優れた保冷米びつ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の保冷米びつ装置は、本体の機械室において、冷凍
サイクル装置を構成する冷却器と冷却用送風装置を圧縮機の上部に配置し、また、前記圧縮機、冷却器、冷却用送風装置の積層構造を収容する収容空間部を形成し、さらに吸気口を機械室下面に配置してフレッシュエアーを吸込むようにしたものである。
【0011】
かかる構成により、熱源とするヒートポンプ装置をコンパクトに構成することができ、また、ヒートポンプ作用によって安定した冷却性能を得ることができ、収容した白米等の貯蔵物の品質を安定した状態で維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の保冷米びつ装置は、ヒートポンプ装置を熱源とするため、保冷米びつ装置が、環境温度に変化が生じる場所に設置された場合であっても、安定して貯蔵物を冷却することができる。また、前記ヒートポンプ装置は、圧縮機と、冷却器および冷却用送風装置を積層構造としているため、設置に要する面積が小さいコンパクトな構成とすることができ、比較的小型の保冷米びつ装置への組込みも容易となり、組立て性、設置性、メンテナンス性に優れた構成とすることができる。また、狭小スペースに設置された場合でも、放熱器にフレッシュエアーを吸込む吸気口を設け、さらにフィルターを配備することで定期的なメンテナンスを実施することで冷却性能が劣化することがない。
【0013】
さらに、冷却室と循環風路を直結した構成により、冷却された冷気を効率よく循環させ、貯蔵物を効果的に間接冷却することができる。
【0014】
また、冷却器の水受け皿と、冷却室用の断熱蓋と、冷風の循環風路を一つの構造体とすることができ、部品点数およびコスト、組立て工数の削減を可能とし、さらに、水受け皿の容積空間内に冷却器の一部を収納することにより、圧縮機、冷却器および冷却用送風装置で形成される積層構造体の高さ寸法をより小さくすることができ、限られた機械室の空間内への設置作業を一層容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における保冷米びつ装置の前扉を開放した状態の斜視図
【図2】同実施の形態1における保冷米びつ装置の冷凍サイクル装置の組み込み状態を示す米びつを外した状態の背面からの分解斜視図
【図3】同実施の形態1における保冷米びつ装置の内部構造を示す側面断面図
【図4】同実施の形態1における保冷米びつ装置の内部構造を示す背面板を外した状態で一部を切欠いた背面図
【図5】同実施の形態1における保冷米びつ装置の循環風路の形成状態を示す本体の背面側からの斜視図
【図6】従来のペルチェ方式による米びつ装置の内部構造を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
請求項1に記載の発明は、筺体状の本体と、該本体の内部を貯蔵物を収容する貯蔵部が配置された収納室と、前記収納室の下方に位置する機械室に区画する断熱区画壁と、前記収納室に、前記貯蔵部の外周面に面した循環風路を形成する断熱壁体と、前記機械室にベースと、圧縮機と、放熱器および冷却器を具備した冷凍サイクル装置と、前記冷却器により熱交換された冷気を前記循環風路内へ供給する冷却用送風装置と、前記冷却器と前記冷却用送風装置を前記圧縮機の上部に配置し、前記断熱区画壁における前記貯蔵部の底面と対向する箇所に両端が前記循環風路に連通した冷却室と、前記冷却室内に前記冷却器と前記冷却用送風装置を配置し、前記冷却室の底面部に前記冷却器と前記冷却用送風装置を前記冷却室内へ配置するための開口部と、前記開口部を閉塞する断熱蓋と、前記断熱蓋の厚さ方向に窪みを構成した前記冷却器の結露水を受ける水受け皿部と、前記水受け皿部内に
前記冷却器の下端を収納し、放熱器の吸込み空気側のベース底面にフレッシュエアーを供給するための吸気口とを構成したものである。
【0017】
かかることにより、貯蔵物の冷却貯蔵のための熱源をヒートポンプ装置とするため、保冷米びつ装置が、環境温度に変化が生じる場所に設置された場合であっても、安定して貯蔵物を冷却することができる。また、前記ヒートポンプ装置は、圧縮機と、冷却器および冷却用送風装置を積層構造としているため、設置に要する面積が小さいコンパクトな構成とすることができ、比較的小型の保冷米びつ装置への組込みも容易となり、組立て性、設置性、メンテナンス性に優れた構成とすることができる。
【0018】
また、狭小スペースに設置された場合でも、ベース底面の吸気口により放熱器にフレッシュエアーを吸込むことができ、冷却性能が劣化することがない。
【0019】
さらに、前記冷却室と循環風路が直結した構成となり、冷却器により冷却された冷気を効率よく循環させることができる。
【0020】
また、冷風の循環風路を形成する冷却器の水受け皿と、冷却室用の断熱蓋を一つの構造体で構成することができ、部品点数およびコスト、組立て工数の削減が可能となるものである。
【0021】
さらに、水受け皿の容積空間内に前記冷却器の一部を収納することにより、圧縮機、冷却器および冷却用送風装置で形成される積層構造体の高さ寸法をより小さくすることができ、限られた機械室の空間内への設置作業を一層容易とすることができる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ベース底面の吸気口にフィルターを装着し保冷米びつ装置の前面部より着脱を容易にするためのレールを設けたものである。
【0023】
かかる構成とすることにより、前記放熱器の吸気を阻害するものがない底面からは常にフレッシュエアーを取り込むことが出来るが、埃などを吸い込んでも本フィルターで放熱器の能力低下を抑制出来る他、フィルターの定期的な清掃を行え易いように保冷米びつ装置の前部より、本フィルターの着脱が出来るため定期的な清掃も容易にすることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記排気ダクトから吐き出される排気方向を変更可能としたものである。
【0025】
かかることにより、保冷米びつ装置の設置条件により、効率的な排気を選択することができ、放熱性能の効率を向上させることができる。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における保冷米びつ装置の前扉を開放した状態の斜視図である。図2は、同実施の形態1における保冷米びつ装置の冷凍サイクル装置の組み込み状態を示す米びつを外した状態の背面からの分解斜視図である。図3は、同実施の形態1における保冷米びつ装置の内部構造を示す側面平面図である。また、図4は、同実施の形態1における保冷米びつ装置の内部構造を示す背面板を外した状態で一部を切欠いた背面図である。図5は、同実施の形態1における保冷米びつ装置の循環風路の形成状態を示す本体の背面側からの斜視図である。
【0027】
図1乃至図5において、筐体形状に形成された米びつ本体1は、上面に、蓋2によって
閉塞された白米(貯蔵物)を投入する投入口3を具備し、前面に、白米の残量の目視のための残量確認窓4、および白米の取り出しのための計量操作レバー12aをそれぞれ具備したパネル部5と、パネル部5を閉塞する開閉可能な前扉6を具備し、背面には、背面板15が着脱可能に取付けられ、また、底部には、米びつ本体1の移動を容易にするキャスター7を具備している。
【0028】
また、米びつ本体1の内部は、発泡性の断熱材等からなる断熱区画壁8により、共に背面が開放された収納室9と機械室30に区画され、収納室9には、投入口3に開口した矩形の米びつ(本発明の貯蔵部に相当)10と、米びつ10内の白米を所定量に計量し、米受け容器11に排出する計量操作部12等が設けられている。
【0029】
さらに、米びつ10は、米びつ本体1の内面と所定間隔あけて配置され、また、米びつ10の周囲は、その間隔を利用して収納室9と機械室30に区画する断熱区画壁8と連続する左右の断熱壁体13と前後の断熱壁体14によって囲われている。これらの断熱壁体13、14についても、断熱区画壁8と同様に、発泡性の断熱材等によって形成されている。
【0030】
左右の断熱壁体13は、図5に示す如く米びつ10を左右より挟んで設けられ、前後の断熱壁体14は、パネル部5の内面と、米びつ本体1を形成する背面板15の内面にそれぞれ設けられている。そして、背面板15を米びつ本体1の背面に取付けることにより、米びつ10は断熱壁体13、14によって囲われた構成となり、また、機械室30の開放面も閉塞される。ここで、パネル部5側の断熱壁体14と米びつ10の間には、米びつ10の前面が面する空間部16が形成されている。
【0031】
また、左右の断熱壁体13の背面側には、図5に示す如く米びつ10の背面が面する吹出し風路17が上下方向に形成され、さらに、左右の断熱壁体13の上部に、吹出し風路17と連通する流入口18を設けている。したがって、吹出し風路17は、背面板15が装着されると、断熱状態の風路となる。
【0032】
さらに、左右の断熱壁13の内面には、一方が流入口18と連通し、他方がパネル部5側の空間部16に開口した空洞部19が設けられ、この空洞部19の形成によって米びつ10の左右面が空洞部19内に面している。
【0033】
また、米びつ10の上部には、通気孔20が全周に亘って設けられている。したがって、米びつ10の内部は、左右に位置する通気孔20を介して空洞部19と連通し、前後に位置する通気孔20を介してパネル部5側の空間部16と吹出し風路17にそれぞれ連通している。
【0034】
さらに、米びつ10の底面は、白米の排出が円滑となるよう漏斗状に形成されている。したがって、底面は、少なくとも傾斜した三面を有している。
【0035】
収納室9と機械室30に区画する断熱区画壁8において、米びつ10における底面の背面側に近い面には、一方が吹出し風路17と連通し、他方に収納室9内に開口する吸い込み口21を形成した冷却室22が形成されている。この冷却室22は、米びつ10の前記底面の傾斜と略平行の空間となるようにその底面が傾斜されている。そして、冷却室22の底面の一部には、開口部23が設けられ、その開口部23は、着脱可能に取付けられた成型可能な断熱材等からなる断熱蓋24によって閉塞されている。
【0036】
断熱蓋24の内面には、その厚さ方向に窪んだ水受け皿部25が設けられている。そして、水受け皿部25における最も低位となる箇所には、後述するドレンホース38が接続
されるドレン口26(図示せず)を設けている。また、断熱蓋24の一側には、後述する配管34b、34cおよび冷却用送風機27のリード線(図示せず)を引き回すための凹部27が設けられている。
【0037】
さらに、断熱蓋24の内面には、水受け皿部25に隣接して取付け壁(本発明の取付け部に相当)28が一体に設けられている。この取付け壁28は、後述する冷却用送風機37を取付けるためのもので、略中央部の空間を介して一対設けられ、相互に対向する面には、取付け用の溝28aがそれぞれ設けられている。
【0038】
機械室30内には、圧縮機31、放熱器32、減圧装置(図示せず)、および冷却器33を具備した冷凍サイクル装置35、およびこの冷凍サイクル装置35の運転を制御する制御装置42がベース43上に配置され、圧縮機31、放熱器32、減圧装置、および冷却器33は、配管34a、34b、34cにより、圧縮機31からの冷媒がこれらを循環するように接続されている。
【0039】
そして、放熱器32は、ベース43に設けられた吸気口43a上面に配置され、放熱作用を促進させる放熱用送風機36が取付けられ、冷却器33には、冷却作用を促進させる冷却用送風機37が隣接して配置されている。
【0040】
ここで、冷却器33と冷却用送風機37は、圧縮機31の上方に位置し、断熱区画壁8に形成された冷却室22内に配置されている。そして、冷却器33は、その下部が断熱蓋24に形成した水受け皿部25の容積空間内に位置するように配置され、冷却用送風機37は、取付け壁28に形成された取付け用の溝(図示せず)に、その外郭37の左右を挿入することにより配置固定されている。
【0041】
そして、冷却器33に接続された配管34b、34cおよび冷却用送風機37のリード線を断熱蓋24の凹部27へ嵌め込むことにより、断熱蓋24による冷却室22における開口部23の閉塞を可能とし、機械室30との断熱が行なわれる。
【0042】
また、放熱器32は、機械室30に配備されたベース43に取付けられ、その放熱器32の上面に放熱用送風機36が配置されている。ここで、吸気口43aの下面にはフィルター45が配置され、放熱器32へフレッシュエアーを供給可能となるようにしているなっている。また本体1の底面にはフィルター45用のレール44が配備されており、フィルタ45は矢印Z(図1、図3)で示す如く、本体1正面側から容易に着脱できるように設けてある。
【0043】
すなわち、フィルターに埃などが付着しても容易に清掃ができる構造としているので、定期的なメンテナンスにより安定した冷凍能力を発揮することができる。
【0044】
さらに、機械室30内には、断熱蓋24の水受け皿部25に接続されたドレンホース38と、ドレンホース38からのドレン水を受ける蒸発皿39と、下部がこの蒸発皿39内のドレン水に浸漬した吸水シート40が設けられている。この蒸発皿39と吸水シート40は、図4に示す如く、放熱器32と熱交換した温風が通過する位置に配置されており、前記温風によってドレン水の蒸発が促進されるように構成されている。また、必要に応じて周知の如く、冷凍サイクル装置35の高圧側の配管34aと蒸発皿39を熱交換させるようにしてもよい。
【0045】
また、背面板15には、機械室30に開口した排気口15aと、一端が排気口15aに連通した排気ダクト41が設けられ、この排気口15aと排気ダクト41は、閉塞された機械室30内の温風の排出経路を構成している。
【0046】
次に、保冷米びつ装置における貯蔵物(白米)の冷却貯蔵を行う動作について説明する。
【0047】
図3乃至図4において、圧縮機31および放熱用送風機36、冷却用送風機37を運転することにより、冷凍サイクルが形成される。したがって、放熱器32では、矢印X(図4)で示す如く気流効果を得ながら放熱作用が行われ、冷却器33側では、矢印Y(図3、図4)で示す如く気流効果を得ながら冷却(吸熱)作用が行われる。
【0048】
ここで、機械室30においては、矢印Xで示す如く米びつ本体1の外部から吸込まれた外気が、放熱器32と熱交換した温風となり、蒸発皿39内のドレン水の蒸発を促し、排気口15aを介して排気ダクト41から米びつ本体1の外へ排出される。
【0049】
保冷米びつ装置の設置場所として、冷蔵庫、食器棚などの隙間の狭小スペースに設置されることもおおいに考えられるが、例えば、保冷米びつ装置の側面に冷蔵庫を密着して設置されても、機械室30に配備されたベース43の吸気口43aにより放熱器32の吸気を阻害せず、フレッシュエアーを吸気することができる。
【0050】
一方、排気ダクト41は、機械室30内の温風を排出する機能に加えて、米びつ本体1と設置される部屋の壁面46との間隔を維持するスペーサーの機能も有している。したがって、壁面42に米びつ本体1が密着して設置され、機械室30内の温風の排出が阻害され、不都合が生じることもない。さらに、排気ダクト41はマグネットが内臓され、米びつ本体1に着磁するため排気方向を左右上下方向に選択可能とすることで機械室30から吐き出された高温の排気が吸気口43a側へショートカットすることを防ぐことができる。
【0051】
また、冷凍サイクル装置35は、圧縮機31を含め、可動部が多いため、様々な運転音が発生するが、排気ダクト41を設けたことにより、吸気口43a、排気口15aから漏れ出る音を反射、吸収することができ、その結果、外部へ漏れ出る音を抑制することができる。
【0052】
一方、断熱区画壁8で区画された収納室9側では、冷却室22内の冷却器33により冷却された冷気が、冷却用送風機37によって吹出し風路17から左右の断熱壁体14の流入口18へ流入する。このとき、一部の冷気は、米びつ10の上部に設けられた通気孔20から米びつ10内に流入する。
【0053】
そして、左右の断熱壁体14の流入口18へ流入した冷気は、空洞部19を通過し、パネル部5側の空間部16から冷却室22の吸込み口21へと流れるが、空洞部19を通過する際に、一部の冷気は米びつ10の上部に設けた通気孔20から米びつ10内へ流入し、パネル部5側の空間部16に開口する通気孔20より空間部16へ流出し、冷却室22の吸込み口21へと流れる。
【0054】
上述の如く、冷却室22、吹出し風路17、空洞部19、空間部16と冷気を循環させることにより、米びつ10は、表面からの間接冷却を主体に冷却されることになり、米びつ10内の白米(貯蔵物)を合理的に冷却することができる。
【0055】
なお、米びつ10の過冷却を防止するために、周知の如く検出温度により冷凍サイクル装置35を断続運転させ、白米の保管温度を調節することもできる。
【0056】
また、上述の冷却動作に伴い、冷却室22内の冷却用送風機37は、その送風方向が米
びつ10の底面の傾斜と略平行となるように、断熱蓋24に傾斜して設けられているため、圧力損失を抑えた送風が行なえ、送風効率の低下、送風音の増加を抑制することができる。
【0057】
さらに、冷却器33に結露したドレン水は、断熱蓋24の水受け皿部25で受けられ、ドレン口26からドレンホース38を介して蒸発皿39へ導かれ、吸水シート40に滲み込み、放熱器32からの温風により蒸発し、放熱に伴う温風と共に排気ダクト41から外部へ排出される。したがって、ドレン水の処理も支障なく行なうことができる。
【0058】
また、冷凍サイクル装置35の機械室30内への組み込みは、予めベース43上に圧縮機31、放熱器32、減圧装置、冷却器33等を、配管34a、34b、34cによって接続した完成状態で組み込むことができるため、放熱器32、冷却器33等を個別に米びつ本体1内へ組み入れ、溶接するといった作業が不要となり、組立作業性を大幅に改善することができる。
【0059】
換言すると、冷凍サイクル装置35を組み込む機械室30の開放面を、米びつ本体1の背面に設けたことにより、米びつ10の底面、すなわち冷却室22の底面の傾斜において、高い位置まで伸びる空間(広い面積)側から冷凍サイクル装置35の挿入、装着が可能となり、しかも冷却室22の底面も、パネル部5側が低位となるように傾斜しているため、開放面側から冷却室22の底面に形成した開口部23の位置確認も容易となる。
【0060】
また、冷却器33の冷却室22内への配置、および冷却用送風機37を取付けた断熱蓋24による開口部23の閉塞作業も、前記開放面側からの目視確認が可能となり、容易に行なうことができる。なお、放熱器32は、米びつ本体1の側面に沿って位置させ、ねじ止め等の適宜手段で固定し、圧縮機31についても周知の手段を用いて米びつ本体1の底面に固定すればよい。
【0061】
さらに、メンテナンス等の都合で、冷凍サイクル装置35を機械室30から取り出す場合は、手順を逆にし、行なえばよいものである。
【0062】
すなわち、断熱蓋24を取り外し、圧縮機31および放熱器32の固定も解除し、冷却器33が円弧を描いて移動するように圧縮機31を持って操作することにより、冷却室22から冷却器33を取り出すことができる。その結果、冷凍サイクル装置35を分解することなく機械室30から取り出すことができる。かかる圧縮機31の操作は、限られた容積の機械室30において、その天井(冷却室22の底面)を、パネル部5側が低く、背面側が高くなる傾斜面とすることにより行なえるもので、しかもその傾斜面も、米びつ10内の白米(貯蔵物)の排出を円滑にするために形成した底面の傾斜を利用して形成したものであり、冷凍サイクル装置35の合理的な装着、取り出しを可能にしつつ、貯蔵物の収容量を確保した構成を得ることができるものである。
【0063】
上述の如く、本実施の形態1の保冷米びつ装置は、ヒートポンプ装置35を熱源としながらも、熱源をペルチェ方式とする構成と同等の収納容積を維持する米びつ本体とし、さらに、運転の静寂性を向上すると共に冷却性能の安定化をはかり、また、組立て、および設置、保守・点検の作業性に優れた保冷米びつ装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、周囲温度が高い環境に設置された場合でも安定した冷却性能が得られ、白米等の品質を安定して維持することができ、しかもコンパクトに冷凍サイクル装置を構成することができ、限られた収容容積の機械室内への配置も可能となり、ペルチェ素子を熱源としていた程度の小型の保冷装置等に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 米びつ本体
8 断熱区画壁
9 収納室
10 米びつ(貯蔵部)
13 断熱壁体
14 断熱壁体
15 背面板
16 空間部(循環風路)
17 吹出し風路(循環風路)
19 空洞部(循環風路)
21 吸い込み口
22 冷却室
23 開口部
24 断熱蓋
25 水受け皿部
28 取付け壁(取付け部)
30 機械室
31 圧縮機
32 放熱器
33 冷却器
35 冷凍サイクル装置
36 放熱用送風機
37 冷却用送風機
43 ベース
43a 吸気口
44 レール
45 フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体状の本体と、該本体の内部を貯蔵物を収容する貯蔵部が配置された収納室と、前記収納室の下方に位置する機械室に区画する断熱区画壁と、前記収納室に、前記貯蔵部の外周面に面した循環風路を形成する断熱壁体と、前記機械室にベースと、圧縮機と、放熱器および冷却器を具備した冷凍サイクル装置と、前記冷却器により熱交換された冷気を前記循環風路内へ供給する冷却用送風装置と、前記冷却器と前記冷却用送風装置を前記圧縮機の上部に配置し、前記断熱区画壁における前記貯蔵部の底面と対向する箇所に両端が前記循環風路に連通した冷却室と、前記冷却室内に前記冷却器と前記冷却用送風装置を配置し、前記冷却室の底面部に前記冷却器と前記冷却用送風装置を前記冷却室内へ配置するための開口部と、前記開口部を閉塞する断熱蓋と、前記断熱蓋の厚さ方向に窪みを構成した前記冷却器の結露水を受ける水受け皿部と、前記水受け皿部内に前記冷却器の下端を収納し、放熱器の吸込み空気側のベース底面にフレッシュエアーを供給するための吸気口とを構成したことを特徴とする保冷米びつ装置。
【請求項2】
前記ベース底面の吸気口にフィルターを装着し、着脱を容易にするためのレールを設けた請求項1に記載の保冷米びつ装置。
【請求項3】
前記排気ダクトから吐き出される排気方向を変更可能とした請求項2に記載の保冷米びつ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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