説明

保存袋

【課題】簡単な操作で封をすることができ、何度繰り返しても当初と同じように封をすることができる保存袋を提供する。
【解決手段】内面にシーラント層を積層した包装材を製袋して作成され、少なくとも左右両側辺にサイドシール部14を有し、上辺が開口している保存袋であって、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に上辺より内側の部位に左右のサイドシール部14に跨がる中間シール部13が突き出る状態で設けられており、その中間シール部13の根元部分を基点として折り返すことにより封ができるように構成する。上辺の開口部から内容物を入れた後、中間シール部13の根元部分を基点として折り返すと、その折り返した部分は中間シール部13があることにより戻りが抑制され、閉じた状態が維持されることから、袋を折り返すという簡単な操作で封をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体や粉体や流動体などを入れる袋の技術分野に属し、詳しくは、これらを入れて保存するために使用される保存袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば残った食べ物や材料を保存するような場合、ガラスやプラスチックの容器に入れた状態とし、これを冷蔵庫や冷凍庫に入れるなどして保存するのが一般的であるが、形状に柔軟性を持たせるため、あるいは使い捨てを考慮し、ジッパー付きの保存袋や粘着テープ付の保存袋に入れて保存することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3166159号
【特許文献2】特開2006−82872号公報
【特許文献3】実開昭62−78641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような保存袋は、軟包装材からなるので、ガラスやプラスチックの容器に比べるとコストが低く、使い捨ても可能であるという利点がある。しかしながら、例えばジッパー付きの保存袋は、ジッパーを付けることによるコストアップの問題があり、内容物が例えば粉体の場合だと、ジッパーの嵌合部での粉噛みの影響により嵌合強度が低下するという問題がある。また、粘着テープ付きの保存袋は、何度も封止操作を繰り返すことにより粘着テープの接着強度が低下するという問題がある。
【0005】
また、ジッパー付きの保存袋だと、封をするときにジッパーを嵌め合わせる操作が必要であり、ラベル付きの保存袋の場合は、開口部を適当な回数折り曲げてから粘着テープを貼り付けるという操作が必要であり、いずれも封をするための操作がそれほど簡単ではないという問題点もある。
【0006】
本発明は、上記のような従来の保存袋が有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な操作で封をすることができ、何度繰り返しても当初と同じように封をすることができる保存袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明に係る保存袋は、内面にシーラント層を積層した包装材を製袋して作成され、少なくとも左右両側辺にサイドシール部を有し、上辺が開口している保存袋であって、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に上辺より内側の部位に左右のサイドシール部に跨がる中間シール部が突き出る状態で設けられており、その中間シール部の根元部分を基点として折り返すことにより封ができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の保存袋は、上辺の開口部から内容物を入れた後、上辺より内側にある中間シール部の根元部分を基点として折り返すと、その折り返した部分は中間シール部があることにより戻りが抑制され、閉じた状態が維持されることから、袋を折り返すという簡単な操作で封をすることができる。しかも、ジッパー付きの保存袋やラベル付きの保存袋では、ジッパーの嵌合力や封止ラベルの粘着力が低下するので、再封操作を繰り返すと再封性が徐々に低下するが、本発明の保存袋の場合、袋を折り返すことにより封をするため、何度繰り返しても再封性が低下しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る第1実施形態の保存袋の一例を示す斜視説明図である。
【図2】図1のA−A線での断面説明図である。
【図3】図1の保存袋を閉じた状態で示す斜視説明図である。
【図4】図1の保存袋を閉じた状態で図2に対応して示す説明図である。
【図5】第1実施形態の保存袋の変形例を図2に対応して示す説明図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態の保存袋の一例を示す斜視説明図である。
【図7】図6のA−A線での断面説明図である。
【図8】図6の保存袋を閉じた状態で示す斜視説明図である。
【図9】図6の保存袋を閉じた状態で図7に対応して示す説明図である。
【図10】第2実施形態の保存袋の変形例を図7に対応して示す説明図である。
【図11】第2実施形態の保存袋の変形例を示す斜視説明図である。
【図12】図11のA−A線での断面説明図である。
【図13】第2実施形態の保存袋の変形例を図7に対応して示す説明図である。
【図14】本発明に係る第3実施形態の保存袋の一例を示す斜視説明図である。
【図15】本発明に係る第4実施形態の保存袋の一例を図2に対応して示す断面説明図である。
【図16】本発明に係る第4実施形態の保存袋の一例を図4に対応して示す断面説明図である。
【図17】本発明に係る第4実施形態の保存袋の別の例を図2に対応して示す断面説明図である。
【図18】本発明に係る第4実施形態の保存袋の別の例を図4に対応して示す断面説明図である。
【図19】本発明に係る第5実施形態の保存袋の一例を図6に対応して示す断面説明図である。
【図20】図19の保存袋を閉じた状態で示す斜視説明図である。
【図21】中間シール部のシールパターンの変形例を示す斜視説明図である。
【図22】本発明に係る他の実施形態の保存袋の一例を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1及び図2に示す保存袋10は平パウチの形態をしており、図示のように、底部で二つ折りした上下サイズが長い方の包装材11と、上下サイズが短い方の包装材12が根元までシールした中間シール部13で左右に横断するように直線状に貼り合わせられ、さらに左右両側辺のサイドシール部14で直線状に貼り合わせられた構造になっており、中間シール部13は左右両側辺のサイドシール部14と直交するように形成されている。
【0012】
この保存袋10の製袋機による製造手順は例えば次のようである。製袋機にて一枚の包装材を搬送しながら、まず、左右の端部を向かい合わせるように搬送し、底部の折りと中間シール部13の形成を同時に行う。次に、左右のシールを行ってサイドシール部14を形成した後、続く工程で上辺を切り落として開口部を形成する。最後に、ギロチン刃にてサイドシール部14のところで1袋ずつ分離するようにカットする。これにより図1及び図2に示す保存袋10が製造される。なお、この例では底シールを形成していないが、必要に応じて底シールを形成するようにしてもよい。
【0013】
図1に示す保存袋10は、複数枚纏められた状態で販売され、購入された保存袋10は、例えば残った食べ物や材料を保存するときの入れ物として使用される。具体的には、上辺の開口から内容物を投入した後、開口端より内側にある中間シール部13の根元部分を基点として袋を上下に折り返す。すると、図3及び図4に示すように、その折り返した部分に中間シール部13があることにより戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制され、密閉状態で閉じた状態が維持される。このように平パウチの形態とした場合は、内容物を投入した後に折返し部分を下側にして置くことにより、保存袋10と内容物の自重で戻りが抑制されるため、封止効果を高めることができる。
【0014】
図1及び図2に示す保存袋10の変形例を図5に示す。図5は図2に対応したものであり、この図5に示す保存袋10は、平パウチに中間シール部13Aを後付けしたものである。すなわち、上下に長い包装材11Aをシーラント層を内側として二つ折り状態で対向させた後、左右両側辺のサイドシール部で直線状に貼り合わせた後、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に上辺より内側の部位に左右のサイドシール部に跨がる中間シール部13Aを突き出る状態で貼り付けている。この中間シール部13Aは矩形状の包装材からなり、T字型に折り曲げて対向している部分をホットメルトで貼り合わせた後、保存袋10にホットメルトにて取り付ける。ホットメルトに限らず接着剤やヒートシールで取り付けてもよい。また、この例では、左右のサイドシール部に跨がるように中間シール部13Aを後付けしているが、サイドシール部より内側に取り付けるようにしてもよい。
【0015】
〔第2実施形態〕
図6及び図7に示す保存袋20はスタンディングパウチの形態をしており、図示のように、底部でW折りした上下サイズが長い方の包装材21と、上下サイズが短い方の包装材22が根元までシールした中間シール部23で左右を横断するように直線状に貼り合わせられ、さらに左右両側辺のサイドシール部24で直線状に貼り合わせられた構造になっており、中間シール部23は左右両側辺のサイドシール部24と直交するように形成されている。
【0016】
この保存袋20の製袋機による製造手順は例えば次のようである。製袋機にて一枚の包装材を搬送しながら、まず、スタンディングパウチの底部両端を表裏で貼り合わせるのに必要な底孔を形成するためのパンチ孔加工を行う。次に、左右の端部を向かい合わせるように搬送し、底部の折りと中間シール部23の形成を同時に行う。次に、放物線状の底シールと直線状のサイドシールを行って底シール部26とサイドシール部24を形成した後、続く工程で上辺を切り落として開口部を形成する。最後に、ギロチン刃にてサイドシール部24のところで1袋ずつ分離するようにカットする。これにより図6及び図7に示す保存袋20が製造される。
【0017】
図6に示す保存袋20は、複数枚纏められた状態で販売され、購入された後は、例えば残った食べ物や材料を保存するときの入れ物として使用される。具体的には、上辺の開口から内容物を投入した後、開口端より内側にある中間シール部23の根元部分を基点として袋を上下に折り返す。すると、図8及び図9に示すように、その折り返した部分が中間シール部23があることにより戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制され、密閉状態で閉じた状態が維持される。このようにスタンディングパウチの形態とした場合は、開口部が床面から離れることになり衛生的である。
【0018】
図6及び図7に示す保存袋20は、2枚の包装材21,22からなる構造としたが、図10に示すような4枚の包装材からなる構造としてもよい。すなわち、表裏の一方側が上下サイズの長い包装材21Aからなるとともに、表裏の他方側が上下サイズの短い2つの包装材21B,22からなっており、他方側の2つの包装材21B,22が根元までシールした中間シール部23で直線状に貼り合わされた状態で一方側の包装材21Aと相対している。そして、相対する表裏の包装材(包装材21Aと包装材21B,22)の間に、断面が逆V字形をした包装材21Cを介在させて、底シール部26で放射線状に貼り合わせ、かつ左右両側辺のサイドシール部24で直線状に貼り合わせた構造としてもよい。
【0019】
図6及び図7に示す保存袋20の変形例を図11及び図12に示す。この保存袋20は、スタンディングパウチの形態をしている点では同じであるが、底部でW折りした長い方の包装材21と、下端が折り返された短い方の包装材22が左右両側辺のサイドシール部24と直交する中間シール部23で貼り合わせられており、底部がシールされるのではなくW折りされた点が異なる。この保存袋20は内容物を充填すると底部が膨らむので、図6に示す保存袋20よりも内容量が多くなる。この底部がW折りされたスタンディングパウチを製造するに際しては、底シールを行う工程に代えて、プレートを挿入して底折込部を形成すればよい。
【0020】
図6及び図7に示す保存袋20の変形例を図13に示す。図13は図7に対応したものであり、この保存袋20は、スタンディングパウチに中間シール部23Aを後付けしたものである。すなわち、表面側と裏面側の包装材をシーラント層を内側として対向させ、その間に逆V字形をした包装材を介在させて、底シール部26で放物線状に貼り合わせ、かつ左右両側辺のサイドシール部で直線状に貼り合わせた後、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に上辺より内側の部位に左右のサイドシール部に跨がる中間シール部23Aを突き出る状態で貼り付けている。この中間シール部23Aは矩形状の包装材からなり、T字型に折り曲げて対向している部分をホットメルトで貼り合わせた後、保存袋20にホットメルトにて取り付ける。ホットメルトに限らず接着剤やヒートシールで取り付けてもよい。また、この例では、サイドシール部に跨がるように中間シール部23Aを後付けしているが、サイドシール部より内側に取り付けるようにしてもよい。
【0021】
〔第3実施形態〕
図14に示す保存袋30は、底部及び両側部にひだを有するガセット袋の形態をしている。具体的には、表裏の一方側が上下サイズの長い包装材31からなり、表裏の他方側が上下サイズの短い2つの包装材32A,32Bからなっており、他方側の包装材32A,32Bが根元までシールした中間シール部33で直線状に貼り合わされた状態で一方側の包装材31と相対し、その相対する表裏の包装材(包装材31と包装材32A,32B)の間に、断面が逆V字状をした3つの包装材、すなわち底部に包装材34と両側部にそれぞれ包装材35を介在させて、底部の包装材34を底辺に添った底シール部36で直線状に貼り合わせるとともに、両側部の包装材35をそれぞれ左右両側辺のサイドシール部37で直線状に貼り合わせ、さらに、底部の包装材34の左右端縁と側部の包装材35の下端縁を貼り合わせて、側部の包装材35の下部を底部の包装材34の折りに合わせて折り込んだ構造をしており、中間シール部33は左右両側辺のサイドシール部37と直交するように形成されている。
【0022】
このタイプの保存袋30のように、底部と両側部にひだ(ガセット)のある形態とした場合は、開口を長方形あるいは正方形として大きく広げることができるので、内容物を投入しやすい、あるいは内容物を取り出しやすいという利点がある。また、立てて置けるので、開口部が床面から離れることになり衛生的である。
【0023】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について第1実施形態の保存袋10をベースにして説明する。図15は図2に対応し、図16は図4に対応しており、この図15に示す保存袋10は、包装材11の中間シール部13と対応する位置に、外側から内側に向かって凹む内向き状態の押し罫aを設けたものである。この押し罫aは金型、ローラ等の型を使用し、包装材11に対してエンボス加工を施すことで形成できる。
【0024】
このように、押し罫aを設けたことにより、保存袋10に上辺の開口から内容物を投入した後、封をするべく図16のように中間シール部13の根元部分を基点として保存袋10を上下に折り返すと、折り返した部分に中間シール部13があることで戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制されるのに加え、押し罫aの作用により折り返した状態を保持しやすくなる。
【0025】
図17は図2に対応し、図18は図4に対応しており、この図17に示す保存袋10は、包装材11の中間シール部13と対応する位置に、外側から内側に向かって凹む内向き状態の押し罫aを設け、さらに、中間シール部13側のある包装材12にも押し罫bを設けたものである。この押し罫bは、内側から外側に向かって凹む外向き状態で、中間シール部13の付け根に沿うようにして設けられている。このように、包装材12にも押し罫bを設けると、折り返した状態をより一層保持しやすくなる。また、中間シール部13の付け根に沿う押し罫bのみを設けた場合であっても、押し罫を全く設けない場合に比べると、折返し状態を保持しやすくなる。
【0026】
このような折返し状態を保持させるための押し罫a,bは、保存袋を形成する包装材として、紙やアルミ箔などのデッドホールド性の高い材質を使用していない場合に特に有効である。
【0027】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について第2実施形態の保存袋20をベースにして説明する。図19は図6に対応しており、この図19に示す保存袋20は、中間シール部23を真っ直ぐな帯状ではなく、図示のような変形パターンとしたものである。すなわち、根元までシールされた中央部から両側辺に向かって徐々に幅が狭くなるような緩やかな湾曲形状で中間シール部23を形成し、左右両側のサイドシール部24とは小さな幅で重なるようにしている。これにより、中間シール部23と左右両側のサイドシール部24とが交わるところに、内部と繋がった三角状の未シール部分23nが形成された状態になる。
【0028】
このように、中間シール部23を図示のような変形パターンにすることにより、内容物を投入した保存袋20を封止するべく、中間シール部23の根元部分を基点として袋を上下に折り返すと、折り返した部分に中間シール部23があることで戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制されるが、さらに、図20に矢印で示す如く、中間シール部23とサイドシール部24の交点付近を摘んで、折り返した部分と逆の方に(図20の手前側から奥側に向かって)押すと、包装材が突っ張って中間シール部23のない側に僅かに反り、中間シール部23と左右両側のサイドシール部24とが交わる角部にてロックが掛かったような状態となり、折り返した部分の反発(浮き上がり)を抑えることができる。
【0029】
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための形態について詳細に説明してきたが、本発明による保存袋は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0030】
例えば、中間シール部の根元部分を基点として単に折り返すだけの第1〜第4実施形態の保存袋では、左右のサイドシール部に跨がる中間シール部について、重なる包装材を根元までシールすることで形成しているが、図21に例示するようなシールパターンで形成してもよい。
【0031】
図21は第1実施形態の保存袋10をベースに中間シール部13についてそのシールパターンの変形例を示したものであり、(a)は左右のサイドシール部14に跨がって根元部分だけを細くシールしたパターン、(b)は左右のサイドシール部14に跨がってシールしてはいるが、中央付近のみを根元までシールし、その両側は根元部分を空けてシールしたパターン、(c)は左右のサイドシール部14に跨がってシールしてはいるが、中央付近の根元部分のみを空け、その両側を根元までシールしたパターンである。このように中間シール部の少なくとも根元部分がシールされていれば、袋を折り返したときに中間シール部があることにより戻りが抑制される。ただし、根元部分をシールする領域が多いほど、折り返した部分が元に戻ろうとする反発を抑制できるため、封止効果を高めることができる。
【0032】
図22に示す保存袋は、図1に示した保存袋10において、中間シール部13の根元部分を基点として袋を上下に折り返したとき、互いに重なり合って係合可能な係止部となる切れ目17を左右両側辺のサイドシール部14に形成したものである。このような切れ目17を設けたことにより、上辺の開口から内容物を投入した後、開口端より内側にある中間シール部13の根元部分を基点として袋を上下に折り返し、その折返し部の左右両側の端縁部で重なり合った切れ目17同士を係合することで、封止状態を維持することができる。このような構成にすることによって、より封止効果を高めることができる。
【0033】
〔包装材〕
本発明の保存袋に用いる包装材としては、主にプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられ、簡単な構成では、基材フィルム層にシーラント層を積層した構成の積層フィルムが用いられるが、保存袋に充填される内容物や、充填後の取扱い条件、或いは、水蒸気その他のガスバリヤー性、遮光性、各種の機械的強度など必要とされる性能に応じて、基材フィルム層とシーラント層との間などに、例えば、中間層として、水蒸気その他のガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などを積層した構成の積層フィルムを使用する。
【0034】
上記基材フィルム層や水蒸気その他のガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などの中間層、シーラント層などは、それぞれ単独の層で形成してもよいが、複数の層を積層して形成してもよい。
【0035】
前記基材フィルム層には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルの二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのポリアミドの二軸延伸フィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)などを好適に使用することができる。
【0036】
前記ガスバリヤー層としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルムのほか、アルミニウム箔(AL)、或いは、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレート(VMPET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などを使用することができる。これらのうち、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着層を設けたフィルムは、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
【0037】
前記強度向上層としては、前記基材フィルムのいずれかを適宜追加積層してもよく、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層を兼ねて積層することもできる。
【0038】
また、中間層に易引き裂き性の一軸延伸ポリプロピレンフィルム、一軸延伸高密度ポリエチレン、易引き裂き性二軸延伸ポリエステルフィルム(「エンブレット」PC(MD方向に易引き裂き性)、ユニチカ(株)製)などを、その延伸方向が袋を開封する際の引き裂き方向と一致するように積層することにより、易開封性手段として、引き裂きを容易にし、かつ、その方向性を安定化させることができる。
【0039】
前記基材フィルム層とガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などの中間層との積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
【0040】
前記シーラント層には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のほか、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体・アイオノマー、ポリプロピレン(CPP)、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層を設けたポリプロピレン(VMCPP)またはその共重合体などを使用することができる。
【0041】
シーラント層の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を押し出しコートして積層する方法などを採ることができる。ただし、内容物がシーラント層に浸透しやすいものの場合は、ドライラミネーション法で積層することが好ましい。
【0042】
このようなプラスチックを主体とする積層フィルムの具体例として代表的には次の層構成からなる包装材を挙げることができる。下記1)〜10)はドライラミネーション法による積層フィルムであり、各層は接着剤で貼り合わされる。なお、( )内の値は各層の厚みを示す。
【0043】
1)PET(12μm)/CPP(30〜 150μm)
2)PET(12μm)/LLDPE(30〜 150μm)
3)PET(12μm)/VMPET(12μm)/LLDPE(30〜 150μm)
4)PET(12μm)/VMPET(12μm)/CPP(30〜 150μm)
5)PET(12μm)/AL( 6〜 7μm)/LLDPE(30〜 150μm)
6)OPP(20μm)/CPP(30〜 150μm)
7)OPP(20μm)/LLDPE(30〜 150μm)
8)OPP(20μm)/VMCPP(30〜 150μm)
9)VMPET(12μm)/CPP(30〜 150μm)
10)PET(12μm)/AL( 6〜 7μm)/CPP(30〜 150μm)
【0044】
本発明の保存袋に用いる包装材としては、上記のようなプラスチックを主体とする積層フィルムのほか、層構成に紙を有する包装材を用いることもできる。このような紙を積層したものとしては次の層構成からなる包装材を挙げることができる。紙はプラスチックに比べて反発力が低いため、プラスチックのみで構成される場合に比べて再封効果を高めることができる。下記1)〜4)はドライラミネーション法による積層フィルムであり、各層は接着剤で貼り合わされる。下記5)〜11)は押出しラミネーション法による積層フィルムであり、PE(ポリエチレン)は接着層の役割を果たす。なお、( )内の値は各層の厚みを示す。
【0045】
1)紙(30〜60g/m2 )/CPP(30〜 150μm)
2)紙(30〜60g/m2 )/LLDPE(30〜 150μm)
3)紙(30〜60g/m2 )/AL( 6〜 7μm)/CPP(30〜 150μm)
4)紙(30〜60g/m2 )/AL( 6〜 7μm)/LLDPE(30〜 150μm)
5)紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)
6)紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)/CPP(30〜 150μm)
7)紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)/LLDPE(30〜 150μm)
8)PET(12μm)/PE(15〜30μm)/紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)
9)PET(12μm)/PE(15〜30μm)/紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 7μm)/PE(15〜30μm)/CPP(30〜 150μm)
10)PET(12μm)/PE(15〜30μm)/紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)/LLDPE(30〜 150μm)
11)PET(12μm)/PE(15〜30μm)/VMPET(12μm)/PE(15〜30μm)/LLDPE(30〜 150μm)
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の保存袋は、残った食べ物や材料を保存するときに利用するのはもちろん、それ以外のものを保存する場合にも利用できることは言うまでもない。また、袋の形態としては、上記した以外の3方シール袋、四方シール袋などにも広く適用することができる。また、本発明の保存袋は、固体や粉体や流動体などを入れて保存する用途のほか、例えば電子レンジ調理用として利用することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 保存袋
11,11,12 包装材
13,13A 中間シール部
14 サイドシール部
15 切れ目
20 保存袋
21,21A,21B,21C,22 包装材
23,23A 中間シール部
23n 未シール部分
24 サイドシール部
30 保存袋
31,32A,32B 包装材
33 中間シール部
34,35 包装材
36 底シール部
37 サイドシール部
a,b 押し罫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面にシーラント層を積層した包装材を製袋して作成され、少なくとも左右両側辺にサイドシール部を有し、上辺が開口している保存袋であって、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に上辺より内側の部位に左右のサイドシール部に跨がる中間シール部が突き出る状態で設けられており、その中間シール部の根元部分を基点として折り返すことにより封ができることを特徴とする保存袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−23223(P2013−23223A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156337(P2011−156337)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】