説明

保温保冷容器

【課題】外側部材及び内側部材の間に設置する真空断熱材の位置決めや両部材への貼り付けを必要とせず、さらに真空断熱材のみを取り外し、補修や再利用を行うことができる保冷保温容器を提供する。
【解決手段】内側部材30が外側部材40に挿入されたとき、真空断熱材50が内側部材と外側部材とに圧接され、内側部材と外側部材との間に固定される保冷保温容器10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラーボックス、冷蔵庫、電気ポット又は炊飯器等の様々な保冷及び保温の用途に供される保冷保温容器に関し、特に、外側部材と内側部材との間に真空断熱材を備える保冷保温容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広く保冷保温を目的とした保冷保温容器は、ポリプロピレン等の合成樹脂で成形された、外壁となる外側部材及び内壁となる内側部材の間に発泡体等の断熱材を充填した箱本体と、箱本体に開閉可能に取り付けられ、保冷保温される物品を収納するために設けられた開口を密閉し、上記断熱材が充填された合成樹脂製の蓋体とから構成される。そして、箱本体内及び蓋体内部の断熱材により、保冷保温容器内に収納された物品の温度を一定時間保持する。
【0003】
近年、繊維系材料、連続気泡発泡プラスチック系材料等からなる芯材を、ガスバリア性を有する袋状の外包材の中に減圧密閉した構成の真空断熱材が開発され、従来の断熱材と比較して優れた断熱性を有することから、この真空断熱材を保冷保温容器の内部に設置することにより、断熱性を向上させた保冷保温容器が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−278364号公報
【特許文献2】特開2004−212042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の保冷保温容器は、断熱性を向上させることを目的として、箱本体の外壁となる外側部材及び内壁となる内側部材の間に真空断熱材を備えたものである。しかし、従来の断熱材と比較して優れた断熱性を有する真空断熱材を備えているものの、外側部材及び内側部材の間に硬質ウレタンフォームを発泡・充填した断熱材が形成されている。したがって、充填された断熱材が真空断熱材にこびりつき、一度充填固着した後は真空断熱材のみを取り外し、補修や再利用などを行うことができないという問題点が生じる。特に、真空断熱材は外包材の破損、特に鋭利な針状のもので刺された場合、外包材内部の真空状態が維持できず、真空度の低下により、断熱性が低下するため、真空断熱材のみを取り外し、補修や再利用を行うことが要求されている。
【0006】
また、特許文献2の保冷保温容器も、経時的な断熱性及び生産性を向上させることを目的として、箱本体の外側部材及び内側部材の間に備えられる真空断熱材の形状をシート状に成形したものである。しかし、真空断熱材の形状をシート状にすることにより、経時的な断熱性及び生産性を向上させることができるが、特許文献1と同様、外側部材及び内側部材の間に硬質ウレタンフォームを発泡・充填した断熱材が形成されている。
【0007】
さらに、特許文献1及び特許文献2においては、硬質ウレタンフォームを発泡・充填した断熱材が形成されていることから、外側部材及び内側部材の間に充填される断熱材が均一にかつ隙間なく充填することが困難であり、充填の際に真空断熱材が所定の位置に必ずしも設置できず、さらに、硬質ウレタンフォームを発泡・充填した保冷保温容器を製造する装置は規模が大きくなるため、製造コストに影響を与えるという問題点が生じる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、第1の目的は、外側部材及び内側部材の間に硬質ウレタンフォームなどを発泡・充填した断熱材などを形成することなく、真空断熱材のみを取り外し、補修や再利用を行うことができる保冷保温容器を提供することである。第2の目的は、製造容易でかつ低廉なコストで製造できる簡単な構成の保冷保温容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような目的を達成するため、本発明に係る保冷保温容器においては、内側部材が外側部材に挿入されたとき、真空断熱材が内側部材と外側部材とに圧接され、内側部材と外側部材との間に固定される。
【0010】
具体的には、本発明に係る保冷保温容器は、
物品収納用の開口が形成され、前記開口の周縁に鍔部を有した箱形の内側部材と、
前記内側部材が挿入される内側部材挿入口が形成され、前記内側部材挿入口の周縁に前記鍔部と接合可能な鍔部接合部を有する箱形の外側部材と、
前記内側部材が前記外側部材に挿入されたとき、前記内側部材と前記外側部材とに圧接され、前記内側部材と前記外側部材との間に固定される真空断熱材と、
を有する、ことを特徴とする。
【0011】
上述した発明によれば、内側部材と外側部材との間に固定される真空断熱材の固定位置が一意に決定するため、保冷保温容器の作成が容易となる。したがって、内側部材と、外側部材と、内側部材が外側部材に挿入されたときに内側部材と外側部材との間に固定される真空断熱材とを有する保冷保温容器という非常に簡単な構成で、断熱性に優れた保冷保温容器が可能となる。
【0012】
そして、内側部材と外側部材との間に真空断熱材を固定する際、硬質ウレタンフォーム等を注入・発泡させた空間への充填を行っていないことから、真空断熱材のみを取り外して交換できるため、補修や再利用も行うことができる。
【0013】
さらに、硬質ウレタンフォームなどの注入・発泡により保冷保温容器を製造した場合、製造工程が多くなるためかなりの作業量を要し、さらに製造装置の規模も大きくなるため製造コストもかかるが、本発明によれば、非常に簡単な構成で断熱性に優れた保冷保温容器が、低廉な製造コストで、容易に製造することができる。
【0014】
本発明に係る保冷保温容器として、内側部材の物品収納用の開口を閉蓋する蓋部をさらに有する、ことが好ましい。
【0015】
上述した発明によれば、内側部材の物品収納用の開口を閉蓋する蓋部を有することから、真空断熱材の断熱性により、保冷保温容器内に収納した物品の温度を長時間保持することができる。また、蓋部により保冷保温容器自体の強度も高めることができる。
【0016】
本発明に係る保冷保温容器として、真空断熱材は、芯材と、芯材が収容された外包材であって、内部を減圧状態に維持できる袋状の外包材と、を含み、外包材は、芯材を内部に収納した外包材の周縁部全体を熱融着により減圧状態に維持可能にシールするシール部を有し、真空断熱材は、内側部材と外側部材とに圧接され、内側部材と外側部材との間に固定されるとき、シール部が外側部材の内面に沿って折り曲げられるとともに、シール部が折り曲げられた真空断熱材の形状は、外側部材の内面に対向する内側部材の外面の形状と一致する、ことが好ましい。
【0017】
上述した発明によれば、真空断熱材が内側部材と外側部材との間に固定されるとき、シール部が外側部材の面に沿って折り曲げられるとともに、シール部が折り曲げられた真空断熱材の形状が外側部材の内面に対向する内側部材の外面の形状と一致する。したがって、折り曲げられた真空断熱材のシール部により生じる弾力性によって、真空断熱材は内側部材と外側部材とに圧接されるとともに、硬質ウレタンフォームの注入・発泡などを行うことなく、内側部材と外側部材との間に所定の位置に確実に固定することができる。この結果、保冷保温容器を容易に製造することができる。
【0018】
また、シール部が外側部材の面に沿って折り曲げられることから、真空断熱材を外側部材の所定の位置に配置した後、内側部材を外側部材に挿入した場合、真空断熱材が内側部材の挿入を妨げることなく内側部材をスムーズに挿入できるとともに、真空断熱材を内側部材と外側部材との間に固定することができる。そして、真空断熱材が内側部材の抜き出しを妨げることもないため、内側部材をスムーズに抜き出し、内側部材及び真空断熱材の取り外しも容易にすることができる。
【0019】
ここで、「芯材」としては、繊維集合体、連続気泡発泡体等が使用される。「繊維集合体」は無機繊維、有機繊維又はそれらの混合物からなる。「無機繊維」としては、例えば、ガラス繊維(グラスウール)、アルミナ繊維、スラグウール繊維、シリカ繊維、ロックウール等が挙げられる。「有機繊維」としては、例えば、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、ポリノジヅク繊維、レーヨン繊維等の合成繊維、麻、絹、綿、羊毛等の天然繊維等が挙げられる。無機繊維および有機繊維は1種からなる単独繊維又は複数種の混合繊維として用いられる。さらに、「連続気泡発泡体」としては、硬質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム等が挙げられる。
【0020】
また、「外包材」としては、ガスバリア性を有するとともに、外包材内部を減圧状態に維持でき、かつヒートシール可能なものであれば、どのようなものでも用いることができる。外包材は、シート状又はフィルム状の素材を袋状、例えば、開口部を残して三方をヒートシールした袋状に加工して使用される。また、フィルム状の素材等からなる外包材は、例えば、最外層から最内層へ、ナイロン、アルミ蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)、アルミ箔、高密度ポリエチレンの順に積層された4層構造からなるガスバリアフィルムや、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アルミ箔、高密度ポリエチレン樹脂からなるガスバリアフィルムや、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アルミニウム蒸着層を有するエチレンービニルアルコール共重合体樹脂、高密度ポリエチレン樹脂からなるガスバリアフィルム等が挙げられる。なお、上記外包材の最内層が裏面を構成し、すなわち最内層が袋の内部を構成するように使用される。
【0021】
本発明に係る保冷保温容器として、内側部材の鍔部と外側部材の鍔部接合部との何れか一方には、他方と係合する係合用突起溝を備え、他方には、係合突起部溝と係合する係合突起を備える、ことが好ましい。
【0022】
上述した発明によれば、内側部材が外側部材に挿入された保冷保温容器は係合用突起溝と係合用突起とからなる係合機構を有することにより、内側部材と外側部材とにおける水平方向及び垂直方向において位置合わせをすることなく、所望の位置に各部材を配置することができる。また、係合用突起溝と係合用突起との間に生じる摩擦により、内側部材を外側部材から外れにくくすることができる。
【0023】
なお、本発明に係る保冷保温容器として、内側部材と外側部材との材料は、硬質ウレタンフォーム又はポリスチレンフォームからなるものである、ことが望ましい。
【0024】
上述した発明によれば、内側部材と外側部材との材料が硬質ウレタンフォーム又はポリスチレンフォームからなるものであることから、各部材自体の断熱性により、保冷保温容器内に収納した物品の温度をさらに長時間保持することができる。また、内側部材及び外側部材が同じ材料とすることにより、材料の管理が容易となるとともに、材料費を安価に抑えることが可能となる。さらに、これらの材料は成形容易であり、かつ本発明に係る保冷保温容器を安価に量産できる。
【発明の効果】
【0025】
上述した発明によれば、内側部材と外側部材との間に固定される真空断熱材の固定位置が一意に決定するため、保冷保温容器の作成が容易となる。したがって、内側部材と、外側部材と、内側部材が外側部材に挿入されたときに内側部材と外側部材との間に固定される真空断熱材とを有する保冷保温容器という非常に簡単な構成で、断熱性に優れた保冷保温容器が可能となる。
【0026】
そして、内側部材と外側部材との間に真空断熱材を固定する際、硬質ウレタンフォーム等を注入・発泡させた空間への充填を行っていないことから、真空断熱材のみを取り外して交換できるため、補修や再利用も行うことができる。
【0027】
さらに、硬質ウレタンフォームなどの注入・発泡により保冷保温容器を製造した場合、製造工程が多くなるためかなりの作業量を要し、さらに製造装置の規模も大きくなるため製造コストもかかるが、本発明によれば、非常に簡単な構成で断熱性に優れた保冷保温容器が、低廉な製造コストで、容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1〜図9を用いて、本発明の実施形態に係る保冷保温容器について、図面を参照しつつ説明する。本発明の実施形態に係る保冷保温容器は、箱形の内側部材と、箱形の外側部材と、内側部材が外側部材に挿入されたとき、内側部材と外側部材とに圧接され、内側部材と外側部材との間に固定される真空断熱材と、を有する保冷保温容器である。
【0029】
図1(A)は本発明の実施形態に係る保冷保温容器10を示す分解斜視図である。図1(B)は内側部材30を真空断熱材50とともに外側部材40に挿入した状態を示す図である。図2は図1の保冷保温容器10の各部材を説明するための図である。図3は図1の真空断熱材50を示す分解斜視図である。図4は真空断熱材50における芯材52及び外包材54の状態を示す図3のA−A’線断面図である。図5は図4のP部の拡大断面図である。図6は内側部材30と外側部材40とに圧接され、内側部材30と外側部材40との間に固定された真空断熱材50とを説明するための図である。図7は真空断熱材50の展開図である。図8は内側部材30と外側部材40との接合部分について説明するための図である。図9は内側部材30の鍔部34における係合突起38と外側部材40の鍔部接合部44における係合突起部溝46とからなる係合機構を説明するための図である。
【0030】
<<保冷保温容器10の概要>>
図1(A)及び図(B)に示すように、本実施形態に係る保冷保温容器10は、蓋部20と、箱形の内側部材30と、箱形の外側部材40と、真空断熱材50とを備え、真空断熱材50は内側部材30が外側部材40に挿入されたとき、内側部材30と外側部材40とに圧接され、内側部材30と外側部材40との間に固定される構成となっている。また、内側部材30は、物品収納用に開口32が形成されており、開口32の周縁に鍔部34を備えた箱形の形状を有する。
【0031】
さらに、蓋部20の嵌入凸部22、内側部材30の開口32、内側部材30の外面を構成する底面、そして、外側部材40の内側部材挿入口42の形状は、保冷保温容器10に収納する物品の収納容量を最大にするため、何れも矩形であり、この順にしたがって面積が大きくなるように各部材が作製されている。
【0032】
ここで、蓋部20、箱形の内側部材30及び外側部材40は、ポリスチレンフォームを用いて箱形に成形されている。したがって、各部材自体の断熱性により、保冷保温容器10内に収納した物品の温度をさらに長時間保持することができる。また、蓋部、内側部材及び外側部材が同じ材料とすることにより、材料の管理が容易となるとともに、材料費を安価に抑えることが可能となる。さらに、成形容易であることから、保冷保温容器10を安価に量産できる。なお、蓋部20、内側部材30及び外側部材40の材料は、ポリスチレンフォームに限られず、断熱性を有するもの、例えば硬質ウレタンフォームなどを好適に使用することができる。
【0033】
<蓋部20>
図1及び図2(A)を用いて、蓋部20を説明する。図2(A)は蓋部20の底面図である。図1及び図2(A)に示すように、蓋部20は後述する内側部材30の開口を閉蓋するものであって、内側部材30側に嵌入凸部22を有する。嵌入凸部22は、内側部材30の開口に嵌入すると、開口を形成する内側部材30の内側面に圧接されて内側部材30に固定される。さらに、蓋部20は内側部材30の鍔部34全域と密着する鍔部密着部24を有する。
【0034】
したがって、内側部材30内に収納された物品は鍔部密着部24が内側部材30の鍔部34と密着することにより、蓋部20、内側部材30及び外側部材40それぞれの断熱性ならびに真空断熱材50の断熱性とにより、保冷保温容器10内に収納された物品の温度を長時間保持することができる。また、蓋部20は、嵌入凸部22と鍔部密着部24とを使用して、内側部材30の開口に嵌入して、蓋部20を内側部材30に固定することから、蓋部20のズレが防止されるとともに、保冷保温容器10自体の強度も高めることができる。
【0035】
なお、嵌入凸部22の形状を、箱形の内側部材30に収納される物品の収納容量を最大容量とするため、内側部材30の開口が最大開口面積となる矩形としたが、これに限定されず、内側部材の内側面に圧接されて内側部材30に固定される形状であれば、例えば円形などでも好適に適用することができる。
【0036】
<内側部材30>
図1(A)、図1(B)、図2(B)及び図2(C)を用いて、内側部材30を説明する。図2(B)は内側部材30の平面図であり、図2(C)は内側部材30の底面図である。図1、図2(B)及び図2(C)に示すように、内側部材30は、物品収納用に形成された開口32と、開口32の周縁に鍔部34とを備えるように一体成形された箱形の部材であるとともに、後述する外側部材40に対しては、外側部材40の内側部材挿入口42を介して内側部材30の容体を挿入するものである(図1(B))。
【0037】
そして、内側部材30の内面は1つの底面と底面と垂直な4つの側面とからなり、底面は開口32の開口面と平行かつ矩形形状に作製されている。そして、鍔部34以外の内側部材30の外面は、内側部材30の内面を構成する底面と平行な1つの底面と、底面と垂直な4つの側面とからなる。すなわち、内側部材30は箱形というシンプルな形状を有している。
【0038】
また、内側部材30は開口32の周縁に鍔部34を有するが、鍔部34は蓋部20の鍔部密着部24と密着することで断熱性を高めるだけでなく、図1及び図2(C)に示すように、内側部材を挿入するための内側部材挿入口42の周縁に形成された外側部材40の鍔部接合部44と接合することにより、箱形の保冷保温容器10を形成する。
【0039】
<外側部材40>
図1(A)、図1(B)、図2(D)を用いて、外側部材40を説明する。図2(D)は外側部材40の平面図である。図1(A)、図1(B)及び図2(D)に示すように、外側部材40は、内側部材30を挿入可能な内側部材挿入口42と、内側部材挿入口の周縁に鍔部34と接合可能な鍔部接合部44とを備えるように一体成形された箱形の部材である。そして、外側部材40の内面は1つの底面と、底面と垂直な4つの側面とからなり、底面は内側部材挿入口42の開口面と平行かつ矩形形状に作製されている。すなわち、外側部材40も箱形というシンプルな形状を有している。
【0040】
ここで、保冷保温容器10は、内側部材30と外側部材40と間に真空断熱材50を備えることから、内側部材30の外面を構成する底面と底面と垂直な4つの側面と、外側部材40の内面を構成する底面及び底面と垂直な4つの側面との間に、真空断熱材50が外側部材40及び内側部材30に圧接され固定できるような空間が設けられるように、内側部材30及び外側部材40が作製されている。
【0041】
<真空断熱材50>
図3、図4及び図5を用いて、真空断熱材50について説明する。図3は図1の真空断熱材40を示す分解斜視図である。図4は真空断熱材40における芯材42及び外包材44の状態を示す図3のA−A’線断面図である。図5は図4のP部の拡大断面図である。
【0042】
図3に示すように、真空断熱材50は、芯材52と外包材54とを備え、芯材52を袋状の外包材54内部に収納した構成となっている。また、真空断熱材50は、芯材52を収納した状態で外包材54を真空引きし、外包材54のその開放端56Aのシール部56aを熱融着することにより、その全体が略四角形状のシート状に形成されたものである。真空断熱材50は、所定寸法のシート状のままで、あるいは、保冷又は保温対象となる断熱対象物の形状や設置スペース等に応じた所定の形状に折曲ないし湾曲させて使用されることができる。
【0043】
本実施形態に係る保冷保温容器10の内側部材30及び外側部材40は箱形であることから、真空断熱材50をシート状に作製した。したがって、真空断熱材50が圧接される内側部材30の外面及び外側部材40の内面に対して、真空断熱材50の平面を隙間なく密着させて吸着させることができるため、効率的な断熱性能を確保することができる。さらに、真空断熱材50は、薄いシート状で優れた断熱性能を有することから、内側部材30と外側部材40との間に真空断熱材50を設置する空間を非常に狭くすることが可能となり、保冷保温容器10に収納する物品の収納容量をさらに大きくすることができる。なお、真空断熱材50を保護するために、プラスチック、繊維又は紙等で形成された袋材に真空断熱材50を入れた状態で内側部材30と外側部材40との間に固定させても何ら差し支えない。
【0044】
また、本実施形態に係る保冷保温容器10においては、外側部材40の内面と外側部材40の内面に対向する内側部材30の外面とは平行で、かつ、真空断熱材50の形状は外側部材50の内面に対向する内側部材30の外面の形状と一致するように作製した。したがって、内側部材30と外側部材40との間に固定される真空断熱材50の固定位置が一意に決定されることから、位置決めが不要となるため、保冷保温容器10の作成が容易となる。この結果、内側部材30と、外側部材40と、内側部材30が外側部材40に挿入されたときに内側部材30と外側部材40との間に固定される真空断熱材50とを有する保冷保温容器10という非常に簡単な構成で、断熱性に優れた保冷保温容器を製造することが可能となる。
【0045】
(芯材52)
芯材52は、繊維集合体、連続気泡発泡体等の材料を使用することができる。繊維集合体としては、無機繊維集合体、有機繊維集合体又はそれらの混合物が挙げられるが、本実施形態においては、硬質の繊維集合体との接触による外包材54内側の損傷を防止し、断熱性に優れ、量産性が高く、さらに、低コストであるガラス繊維(グラスウール)を使用した。
【0046】
さらに、真空断熱材50の断熱性能を向上させるため、ガラス繊維の繊維集合体を圧縮してシート状にした。シート状に形成したことから、シート状に形成されていない綿状の繊維集合体と比較して断熱性能が向上するだけでなく、真空断熱材50の製造工程において芯材52を簡易かつ容易に外包材54に収納することができ、作業性の効率化も図ることができる。さらに、断熱性能を高めるためは、複数のシート状の断熱材料を積層して芯材52を形成することも可能である。
【0047】
芯材52としてガラス繊維を用いた場合、その繊維長を約1〜100mmとすることができる。但し、繊維長が長すぎると、熱伝導性能が低下するとともに、曲面加工性も低下してしまう。一方、繊維長が短すぎると、曲面形状に合わせる際の折れや皺の発生が増加してしまうので、繊維長を約3〜30mmとすることが好ましい。
【0048】
また、芯材52となる無機繊維集合体の密度は、約100〜300kg/mとすることができる。但し、密度が小さすぎると、芯材52としての強度が低下するとともに、断熱性が低下してしまう。一方、密度が大きすぎると、芯材52が硬くなりすぎて形状追従性が低下し、折れ皺の発生が増加してしまう。また、芯材52が重くなると断熱性が低下してしまう傾向もある。したがって、芯材52の密度は、約120〜250kg/mとすることが好ましい。
【0049】
なお、芯材52を有機繊維集合体とする場合、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、ポリノジック繊維、レーヨン繊維等の合成繊維、麻、絹、綿、羊毛等の天然繊維等を用いることができる。上述した無機繊維の場合と同様に、これら材料を単独で用いた単独繊維又は任意に組み合わせた混合繊維としてもよい。好ましくは、吸湿性が少なく断熱性に優れ、量産性が高く、しかも低コストであるポリエステル繊維が好ましく、特に、PET繊維が好適である。
【0050】
その際、芯材52となる有機繊維の太さは、1〜6デニール程度が好ましい。有機繊維の太さが1デニール未満では、芯材30としてシート状に加工することが困難となり、一方、太さが6デニールを超えると断熱性が低下してしまうからである。より好ましくは約1〜3デニールである。また、芯材52となる有機繊維の繊維長は、約10〜150mmが好ましい。繊維長が10mm未満では、シート状に加工することが困難となり、一方、繊維長が150mmを超えると、断熱性が低下してしまうからである。より好ましくは、有機繊維の繊維長を約20〜80mmである。
【0051】
なお、芯材52を連続気泡発泡体とする場合、連通硬質ウレタンフォーム、連通ポリスチレンフォーム、連通フェノールフォーム等を用いることができる。断熱性の観点から好ましくは連通硬質ポリウレタンフォームである。なお、連続気泡発泡体製芯材を用いた場合、上述した繊維集合体製芯材と比較し、非常に軽量な真空断熱材を得ることができる。
【0052】
(外包材54)
本実施形態の外包材54は、2枚の四角形状のシート又はフィルムを重ね合わせ、互いの3辺(図3中のシール部56b,56c,56d)を熱融着によりシールした袋状としている。外包材54のシールしてない残り1辺(図3中の点線で示すシール部56a)は、芯材52を外包材54内部に収納するための開放端56Aとなっており、芯材52を収納して真空引きした後にシールする。
【0053】
さらに、外包材54を構成する各シート又はフィルムは、図4のP部及び図5に示すように、最外層541、第1ガスバリア層542、第2ガスバリア層543、最内層544の4層構造となっている。外包材54としては、ガスバリア性を有するとともに、外包材内部を減圧状態に維持できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。
【0054】
最外層541は、外部からの衝撃等を緩衝して外包材54に耐久性をもたせるためのものである。最外層541の材料は、例えば、ナイロン、PET樹脂等によって形成することができる。
【0055】
第1ガスバリア層542は、各シール部541〜544により密閉した外包材54内部に大気中のガスが侵入するのを防止するためのものである。第1ガスバリア層542の材料は、例えば、アルミ蒸着PET又はアルミ蒸着層を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等によって形成することができる。また、第1ガスバリア層542は、後述する第2ガスバリア層543の保護も兼ねている。なお、この第1ガスバリア層542を設けることなく、外包材54を最外層541、ガスバリア層543、シール層544の3層構造としてもよい。
【0056】
第2ガスバリア層543は、第1ガスバリア層542と同様に、各シール部541〜544により密閉した外包材54内部に大気中のガスが侵入するのを防止するためのものであり、本実施形態の保冷保温容器10内の真空断熱材50では、アルミ箔により形成されている。
【0057】
最内層544は、熱融着によりシール部56a〜56dを形成し、真空引きした外包材54の減圧状態を経年的に維持するためのものであり、本実施形態の保冷保温容器10内の真空断熱材50では、高密度ポリエチレン樹脂によって形成されている。また、最内層54dは、その肉厚が薄いほど良好な熱融着性と気密性とを得ることができるが、容易に破損しない強度をも必要とすることを考慮して材料を選択しなければならない。
【0058】
このような外包材54の積層構造として、例えば、最外層541から最内層544へ順に、ナイロン、アルミ蒸着PET樹脂、アルミ箔、高密度ポリエチレン樹脂の4層構造が考えられる。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アルミ箔、高密度ポリエチレン樹脂からなる3層構造や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アルミニウム蒸着層を有するエチレンービニルアルコール共重合体樹脂、高密度ポリエチレン樹脂からなる3層構造も可能である。
【0059】
(ガス吸着材)
経時的観点から真空断熱材50の断熱性を維持するため、芯材52を外包材54内部に収納し、真空引きした後に、この外包材54内部で発生するガス、例えば、芯材52から発生するアウストガスや、外包材54内部に残存する水分や、外包材54の外部から侵入したガスや水分を吸着するガス吸着材(図示しない)を、芯材52とともに外包材54内部に収納することが好ましい。この結果、真空度を低下させることなく真空状態を維持できるため、ガス吸着材を収納しない場合と比較して、経時的観点からも断熱性をより向上させることができる。
【0060】
ガス吸着材の成分は、物理的にガスや水分等を吸収(吸着)するものとして、例えば、活性炭、シリカゲル、酸化アルミニウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト等を用いることができる。また、化学的にガスや水分等を吸着するものとして、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等の他、鉄、亜鉛等の金属粉末、バリウム−リチウム系合金、ジルコニウム系合金等を用いることができる。
【0061】
(真空断熱材50の設置状態)
図6及び図7を用いて、真空断熱材50の設置状態を説明する。図6は内側部材と外側部材とに圧接され、内側部材と外側部材との間に固定された真空断熱材とを説明するための図である。図7は真空断熱材50の展開図であって、図7(A)は内側部材と外側部材との間に固定される真空断熱材を5つに分割されたシートで構成した場合を、図7(B)は内側部材と外側部材との間に固定される真空断熱材を分割せずにシール部でつながった5つのシートで構成した場合を、図7(C)は内側部材と外側部材との間に固定される5つの真空断熱材のうち、底面部分のシートのみを分割し、側面部分のシートは分割せずにシール部でつながった4つのシートで構成した場合を、図7(D)は図7(C)の側面部分の4つのシートを2つに分割した場合を示す。
【0062】
図6に示すとおり、真空断熱材50は、内側部材30と外側部材40とに圧接され、内側部材30と外側部材40との間に固定されるとき、シール部56が外側部材40の内面に沿って折り曲げられる。さらに、シール部56が折り曲げられた真空断熱材50の形状は、内側部材の5つの外面それぞれの形状と一致するように設計され作製されている。
【0063】
したがって、折り曲げられた真空断熱材50のシール部56により生じる弾力性によって、真空断熱材50は内側部材30と外側部材40とに圧接されるとともに、硬質ウレタンの注入・発泡などを行うことなく、内側部材30と外側部材40との間に所定の位置に確実に固定することができる。この結果、保冷保温容器10を容易に製造することができる。
【0064】
また、シール部56が外側部材40の内面に沿って折り曲げられることから、真空断熱材50を外側部材40の所定の位置に配置した後、内側部材30を外側部材40に挿入した場合、真空断熱材50の平坦面が内側部材30に接触するため、内側部材30の挿入を妨げることなく内側部材30をスムーズに挿入できるとともに、真空断熱材50を内側部材30と外側部材40との間に固定することができる。そして、真空断熱材50が内側部材30の抜き出しを妨げることもないため、内側部材30をスムーズに抜き出し、内側部材30及び真空断熱材50の取り外しも容易にすることができる。
【0065】
さらに、内側部材30と外側部材40との間に真空断熱材50を固定する際、硬質ウレタンフォーム等を注入・発泡させて所定の空間への充填を行っていないことから、真空断熱材のみを取り外して交換できるとともに、真空断熱材50の外包材54を硬質ウレタンフォームなどの注入・発泡等により損傷することもないため、補修や再利用も行うことができる。
【0066】
また、硬質ウレタンフォームなどの注入・発泡により保冷保温容器を製造した場合、製造工程が多くなるためかなりの作業量を要し、さらに製造装置の規模も大きくなるため製造コストもかかるが、本実施形態によれば、非常に簡単な構成で断熱性に優れた保冷保温容器が、低廉な製造コストで、容易に製造することができる。なお、真空断熱材同士の接触摺動による外包材の破損を防ぐため、また内側部材と外側部材との間の位置をより確実に固定するため、真空断熱材の周縁部分に弾性シール材を貼着するのも好ましい。具体的には、発泡ポリエチレンシート、発泡ポリウレタンシート、エチレン−ビニルアセテート共重合体発泡シート、シリコンゴム、ブチルゴム等からなる、厚み及び幅が3〜20mm程度の弾性シール材を真空断熱材の周縁に貼り付けるのが好ましい。さらに、真空断熱材を容易に取り外しできるという効果を損なわない範囲において、内側部材30の挿入をスムーズにする等のため、真空断熱材50を内側部材30又は外側部材40に部分的にテープで貼り付けることは何ら差し支えない。
【0067】
真空断熱材50は、図7(A)に示すように、5つの真空断熱材それぞれを分割したシートで構成することができるだけでなく、図7(B)に示すように、5つの真空断熱材50を分割せずにシール部56でつながった5つのシートで構成したり、図7(C)に示すように、5つの真空断熱材50のうち、底面部分のシートのみを分割し、側面部分のシートは分割せずにシール部56でつながった4つのシートで構成したり、さらには、図7(D)に示すように、図7(C)の側面部分の4つのシートを2つに分割することができる。この結果、真空断熱材50間における断熱損失を低減するだけでなく、内側部材30を外側部材40に挿入する作業を容易にすることもできる。
【0068】
<内側部材30と外側部材40との接合部分>
図8を用いて、内側部材30と外側部材40との接合部分に関する上記実施形態の変更例について説明する。図8(A)は内側部材30の鍔部端面36を介して内側部材30と外側部材40とが接触することを説明するための図である。図8(B)及び図8(C)は、内側部材30と外側部材40との接合部分についての図8(A)以外の実施態様を示す図である。
【0069】
図8(A)に示すように、内側部材30の鍔部34は、外側部材40の鍔部接合部44と接触する鍔部端面36を備える。また、鍔部端面36は、真空断熱材50が固定される内側部材30の外面と外側部材40の内面との間で形成される空間につながる。さらに、鍔部端面36と、蓋部20の鍔部密着部24と密着する内側部材30の鍔部34の面との間に形成される角の角度が90度より大きいなるように設計され作製されている。
【0070】
したがって、図8(A)の内側部材30と外側部材40との接合によれば、内側部材30が外側部材40に一度挿入されると、内側部材30を外側部材40から外れにくくすることができる。
【0071】
なお、内側部材30と外側部材40との接合部分に関する他の実施態様として、図8(B)に示すように、鍔部を内側部材30に設けるのではなく、外側部材40に設けることも可能である。さらに、図8(C)に示すように、内側部材30の側面及び外側部材40の側面に平行、かつ、階段状の複数の鍔部端面36を内側部材30に有することによっても、内側部材30を外側部材40から外れにくくすることができる。
【0072】
さらに、内側部材30の鍔部34に係合突起38を、外側部材40の鍔部接合部44に係合突起38と係合可能な係合用突起溝46とを備えることによっても、内側部材30を外側部材40から外れにくくすることができる。図9は内側部材30の鍔部34における係合突起38と外側部材40の鍔部接合部44における係合突起部溝46とからなる係合機構を説明するための図である。なお、外側部材40の鍔部接合部44に係合突起を、内側部材30の鍔部34に係合突起と係合可能な係合用突起溝とを備えることによっても、内側部材30を外側部材40から外れにくくすることができる。
【0073】
上述した係合用突起溝と係合用突起とからなる係合機構を有することにより、内側部材30と外側部材40とにおける水平方向及び垂直方向において位置合わせをすることなく、所望の位置に内側部材30及び外側部材40を配置することができる。なお、突起及び突起溝の形状は、互いに嵌め合い、外れにくくなるものであれば十分であり、嵌め合う部分を球形にすることも可能である。
【0074】
以上のとおり、本実施形態によれば、内側部材30と外側部材40との間に固定される真空断熱材50の固定位置が一意に決定するため、保冷保温容器10の作成が容易となる。したがって、内側部材30と、外側部材40と、内側部材30が外側部材40に挿入されたときに内側部材30と外側部材40との間に固定される真空断熱材50とを有する保冷保温容器という非常に簡単な構成で、断熱性に優れた保冷保温容器が可能となる。
【0075】
そして、内側部材30と外側部材40との間に真空断熱材50を固定する際、硬質ウレタンフォームなどを注入・発泡させた空間への充填を行っていないことから、真空断熱材50のみを取り外して交換できるため、補修や再利用も行うことができる。
【0076】
さらに、硬質ウレタンフォームなどの注入・発泡により保冷保温容器を製造した場合、製造工程が多くなるためかなりの作業量を要し、さらに製造装置の規模も大きくなるため製造コストもかかるが、本発明によれば、非常に簡単な構成で断熱性に優れた保冷保温容器が、低廉な製造コストで、容易に製造することができる。
【0077】
更に、本発明に係る保冷保温容器は、上述の実施形態には限られず、その他様々な実施形態が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態に係る保冷保温容器10を示す分解斜視図(A)と、内側部材30を真空断熱材50とともに外側部材40に挿入した状態を示す図(B)である。
【図2】図1の保冷保温容器10の各部材を説明するための図である。
【図3】図1の真空断熱材50を示す分解斜視図である。
【図4】真空断熱材50における芯材及び外包材の状態を示す図3のA−A’線断面図である。
【図5】図4のP部の拡大断面図である。
【図6】内側部材と外側部材とに圧接され、内側部材と外側部材との間に固定された真空断熱材50とを説明するための図である。
【図7】真空断熱材50の展開図である。
【図8】内側部材30と外側部材40との接合部分について説明するための図である。
【図9】内側部材30の鍔部における係合突起と外側部材40の鍔部接合部における係合突起部溝とからなる係合機構を説明するための図である
【符号の説明】
【0079】
10 保冷保温容器
20 蓋部
22 嵌入凸部
24 鍔部密着部
30 内側部材
32 開口
34 鍔部
36 鍔部端面
38 係合突起
40 外側部材
42 内側部材挿入口
44 鍔部接合部
46 係合突起溝
50 真空断熱材
52 芯材
54 外包材
56,56a,56b,56c,56d シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納用の開口が形成され、前記開口の周縁に鍔部を有した箱形の内側部材と、
前記内側部材が挿入される内側部材挿入口が形成され、前記内側部材挿入口の周縁に前記鍔部と接合可能な鍔部接合部を有する箱形の外側部材と、
前記内側部材が前記外側部材に挿入されたとき、前記内側部材と前記外側部材とに圧接され、前記内側部材と前記外側部材との間に固定される真空断熱材と、
を有する保冷保温容器。
【請求項2】
前記内側部材の物品収納用の開口を閉蓋する蓋部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1記載の保冷保温容器。
【請求項3】
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が収容された外包材であって、内部を減圧状態に維持できる袋状の外包材と、を含み、
前記外包材は、前記芯材を内部に収納した外包材の周縁部全体を熱融着により減圧状態に維持可能にシールするシール部を有し、
前記真空断熱材は、前記内側部材と前記外側部材とに圧接され、前記内側部材と前記外側部材との間に固定されるとき、前記シール部が前記外側部材の内面に沿って折り曲げられるとともに、
前記シール部が折り曲げられた真空断熱材の形状は、前記外側部材の内面に対向する前記内側部材の外面の形状と一致する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の保冷保温容器。
【請求項4】
前記内側部材の鍔部と前記外側部材の鍔部接合部との何れか一方には、他方と係合する係合用突起溝を備え、
前記他方には、係合突起部溝と係合する係合突起を備える、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の保冷保温容器。
【請求項5】
前記内側部材と前記外側部材との材料は、硬質ウレタンフォーム又はポリスチレンフォームからなるものである、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の保冷保温容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−189373(P2008−189373A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28317(P2007−28317)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】