説明

保温収納具

【課題】温まった被保温物を収納した状態で、効率的に保温をすることが可能な保温収納具を提供すること。
【解決手段】本発明の保温収納具1は、被保温物を収納可能な収納部20を囲むように配置される断熱部材21と、断熱部材21に設けられ、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する発熱体4と、断熱部材21に着脱自在に取り付けられ、発熱体4で電気エネルギーから変換された熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部材5と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の被保温物を収納した状態で保温可能な保温収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、単身者や高齢者等に調理された食品類(飲食物ともいう)をバイク等で宅配する宅配便が増加している。宅配便は、料理をしない単身者や料理をすることができない高齢者等が、外出することなく自宅で食事をすることができるという利点がある。
【0003】
ところで、このような宅配便は、美味しく食事をしてもらうために、配達する飲食物をできるだけ出来たての状態で客先に届けることが重要である。例えば、温かい飲食物は温かい状態のままで客先に届けることが重要であり、配達する飲食物が冷めてしまうことは好ましくない。
【0004】
一方、宅配便は、通常、バイク等の車両の荷台に宅配箱を取り付けて、宅配箱に調理した飲食物を入れて配達する。しかしながら、従来の宅配箱は、加温機能を有していない。そのため、宅配業者は、発泡スチロール等の断熱部材で宅配箱を形成したり、調理した飲食物に保温用のフィルム等を被せたりして、飲食物から熱が放出するのを防止しながら宅配を行っていた。
【0005】
しかしながら、例えば、冬場等の周囲の温度が低い場合においては、短時間で飲食物の温度が下がってしまう。そのため、客先に届く頃には飲食物の温度が下がってしまうことが少なくない。これにより、温かい飲食物をそのまま提供することができない場合がある。
【0006】
これに対しては、断熱材と蓄熱材とを備えた宅配用給食機器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示の宅配用給食機器は、内装に断熱材を備える。また、収納される食器には、蓄熱材が内蔵されている。これにより、宅配用給食機器は、断熱材で熱の放出を抑えつつ、食器の熱で飲食物の温度をある程度維持したまま配達を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−152162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の宅配用給食機器は、蓄熱部材に蓄熱された熱エネルギーを伝熱する以上に飲食物を温めることができない。そのため、例えば、比較的遠くまで配達する場合等、配達が終わる前に蓄熱材に蓄熱された熱エネルギーをすべて放出してしまうと、収納した飲食物が冷めてしまう場合がある。また、食器に蓄熱材を内蔵する構成であるため、収納できる飲食物に制限が加わる。
【0009】
本発明は、温まった被保温物を収納した状態で効率的に保温可能な保温収納具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被保温物を収納可能な収納部を囲むように配置される断熱部材と、前記断熱部材に設けられ、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する発熱体と、前記断熱部材に着脱自在に取り付けられ、前記発熱体で前記電気エネルギーから変換された前記熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部材と、を備える保温収納具に関する。
【0011】
また、保温収納具は、前記蓄熱部材の前記収納部側に配置される熱伝導部材を更に備えることが好ましい。
【0012】
また、前記断熱部材は、前記蓄熱部材を着脱可能な着脱部を備え、前記着脱部は、前記断熱部材の厚さ方向における中心よりも前記収納部側に形成されることが好ましい。
【0013】
また、前記蓄熱部材は、前記発熱体の前記収納部側に配置されることが好ましい。
【0014】
また、前記断熱部材は、前記蓄熱部材を配置可能な凹部を有し、前記蓄熱部材は、前記凹部に配置されることが好ましい。
【0015】
また、前記発熱体は、前記蓄熱部材の前記収納部側に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、温まった被保温物を収納した状態で効率的に保温可能な保温収納具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る保温ボックスを、一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図2】図1に示す保温ボックスを、蓋部を閉じた状態で示すA−A矢視断面図である。
【図3】第1実施形態に係る保温ボックスの側壁部に蓄熱部材を装着する状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す保温ボックスの蓋部と床部に蓄熱部材を装着する状態を示すA−A矢視断面図である。
【図5】第1実施形態に係る複数の蓄熱部材を同時に蓄熱可能な蓄熱ボックスを示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る保温ボックスを、一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図7】図6に示す保温ボックスを、蓋部を閉じた状態で示すB−B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る保温収納具としての保温ボックス1は、例えば、温かく調理(加工)された被保温物としての飲食物を宅配業者が客先に配達する際に、飲食物を温かい状態のままで配達するために使用するものである。
【0019】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る保温ボックス1について、図1から図4を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る保温ボックス1を、一部を切り欠いて示す斜視図である。図2は、図1に示す保温ボックス1を、蓋部3を閉じた状態で示すA−A矢視断面図である。図3は、第1実施形態に係る保温ボックス1の側壁部21に蓄熱部材5を装着する状態を示す斜視図である。図4は、図1に示す保温ボックス1の蓋部3及び底部22に蓄熱部材5を装着する状態を示すA−A矢視断面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る保温ボックス1は、上面に開口部28を有する矩形箱状のボックス本体2と、ボックス本体2の開口部28を開閉する蓋部3と、ボックス本体2に設けられる発熱体としての複数のヒータ4と、ボックス本体2に着脱可能な複数の蓄熱部材5と、熱伝導部材としての複数のアルミシート6a,6bと、複数のヒータ4に電力を供給する電源(図示せず)にヒータ4を接続するための電源プラグ7と、を備える。
【0021】
図1に示すように、ボックス本体2は、開口部28と連通し飲食物を収納可能な収納部20と、収納部20を囲むようにボックス本体2における四方に位置する側壁部21と、収納部20の下方に位置する底部22と、を備える。
【0022】
図2に示すように、収納部20は、側壁部21の内壁面21aと、底部22の上面22aとにより構成されており、底部22の上面22aに飲食物を載せた状態で飲食物を収納する。なお、本実施形態においては、側壁部21の内壁面21aは、アルミシート6aで覆われており、底部22の上面22aは、アルミシート6bで覆われている。飲食物は、側壁部21の内壁面21a及び底部22の上面22aを覆うアルミシート6a,6bに囲まれた状態で、底部22の上面22aの上にアルミシート6bを介して載せられる。
【0023】
側壁部21は、断熱部材により形成されている。断熱部材としては、例えば、グラスウール等を混ぜ合わせた石膏により形成された石膏ボートやセラミックファイバー等が例示できる。
【0024】
また、側壁部21は、図2及び図3に示すように、蓄熱部材5を着脱可能な着脱部23と、ヒータ4が配置されるヒータ配置部24と、を備える。
着脱部23は、蓄熱部材5と略同形の中空状に形成されており、蓄熱部材5を側壁部21の内部に挿着可能に形成されている。本実施形態においては、蓄熱部材5は、側壁部21の上面21bから着脱部23に挿着するように形成されている。
また、着脱部23は、側壁部21の内部において、側壁部21の厚さ方向における中心よりも収納部20側に形成されている。つまり、着脱部23は、側壁部21の内部における収納部20の近傍に形成されている。その結果、着脱部23が形成された側壁部21は、着脱部23を境に、内壁面21a側(着脱部23が形成された側壁部21の収納部20側)の厚さが外壁面側(着脱部23に対して内壁面21a側と反対側)の厚さよりも薄くなる。
【0025】
ヒータ配置部24は、側壁部21の内部において、ヒータ4と略同形の中空状に形成されている。また、ヒータ配置部24は、側壁部21の内部に設けられた着脱部23と隣接して形成されている。具体的には、ヒータ配置部24は、着脱部23に挿着した蓄熱部材5とヒータ配置部24に配置されたヒータ4とが接触するように形成されている。第1実施形態においては、ヒータ配置部24は、着脱部23に対して収納部20側(内壁面21a側)と反対側(外壁面側)に形成される。
【0026】
ボックス本体2の前面側に位置する側壁部21の上部側には、被係止部25が設けられている。
また、ボックス本体2の前面側に位置する側壁部21の下部側には、電源プラグ7を接続可能なプラグ接続部26が設けられている。
【0027】
図2に示すように、底部22は、断熱部材により形成されている。断熱部材としては、例えば、グラスウール等を混ぜ合わせた石膏により形成された石膏ボードやセラミックファイバー等が例示できる。
【0028】
また、底部22は、図2及び図4に示すように、蓄熱部材5及びヒータ4を配置可能な第1凹部27を備える。
第1凹部27は、底部22の上面22a側に設けられており、蓄熱部材5とヒータ4とを積層した状態で、底部22の上面22aから突出しないように配置可能に形成されている。第1実施形態においては、第1凹部27には、ヒータ4を上方から配置した後、ヒータ4の上方から蓄熱部材5が配置される。
【0029】
蓋部3は、ボックス本体2の開口部28を開閉する蓋部本体30と、熱の放出を抑制する断熱ボード31と、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するヒータ32と、熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部材33と、を備える。
蓋部本体30は、断熱部材により形成されている。断熱部材としては、例えば、グラスウール等を混ぜ合わせた石膏により形成された石膏ボードやセラミックファイバー等が例示できる。
【0030】
また、蓋部本体30は、図2及び図4に示すように、断熱ボード31、ヒータ32及び蓄熱部材33を配置可能な第2凹部34を備える。第2凹部34は、断熱ボード31、ヒータ32及び蓄熱部材33を積層した状態で蓋部本体30の上面30aから突出しないように配置可能に形成されている。第1実施形態においては、第2凹部34に蓄熱部材33を配置した後、ヒータ32を蓄熱部材33の上に配置し、更にヒータ32の上に断熱ボード31が配置される。
【0031】
断熱ボード31は、その厚さが第2凹部34が形成されている部分における蓋部本体30の厚さよりも厚くなるように形成されている。
ヒータ32は、ボックス本体2の前面に設けられたプラグ接続部26に電気的に接続されており、プラグ接続部26に接続された電源プラグ7から得られる電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。
蓄熱部材33は、ヒータ32と当接することにより、ヒータ32から放出される熱エネルギーを蓄熱すると共に、ヒータ32から得られた熱エネルギーで収納部20を保温する。
【0032】
また、蓋部3の前面には、係止部35が設けられている。係止部35は、ボックス本体2の前面側に位置する側壁部21の上部側に形成された被係止部25に係止可能に構成されている。
また、蓋部3は、背面側に取り付けられた不図示のヒンジ部材により、ボックス本体2の開口部28を開閉自在にボックス本体2に取り付けられている。
【0033】
複数のヒータ4は、それぞれが直列に接続されると共に、プラグ接続部26に電気的に接続されている。
また、複数のヒータ4は、側壁部21の内部に形成されたヒータ配置部24に配置されている。複数のヒータ4は、ヒータ配置部24において、プラグ接続部26に接続された電源プラグ7から得られる電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。
なお、本実施形態においては、ヒータ4はシート状に形成された面状発熱体により構成されている。
【0034】
複数の蓄熱部材5は、着脱部23に着脱可能な矩形板状に形成されている。蓄熱部材5は、着脱部23に挿着することにより、ヒータ配置部24に配置されたヒータ4と当接し、ヒータ4から放出される熱エネルギーを蓄熱する。そして、ヒータ4からの得られた熱エネルギーで収納部20を保温する。
【0035】
蓄熱部材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はナイロンなどの耐熱性及び電気絶縁性を有する合成樹脂シートにより形成された袋体の中に、アルミ箔等の熱伝導体が収納されたものが用いられる。
【0036】
アルミシート6aは、側壁部21の内壁面21aを覆うように配置される。また、アルミシート6bは、底部22の上面22aを覆うように配置される。アルミシート6a,6bは、着脱部23に挿着された蓄熱部材5から放出された熱エネルギーを吸熱し、収納部20を均一に保温する。
【0037】
電源プラグ7は、プラグ接続部26に着脱自在に形成されている。本実施形態においては、電源プラグ7の先端には、マグネットプラグが設けられており、磁力によりプラグ接続部26に着脱可能に形成されている。
【0038】
次に、複数の蓄熱部材5に同時に蓄熱を可能な蓄熱ボックス10について説明する。
図5は、第1実施形態に係る複数の蓄熱部材5に同時に蓄熱を可能な蓄熱ボックス10を示す斜視図である。
図5に示すように、蓄熱ボックス10は、断熱部材により形成された略直方体状の本体部11と、所定の電源に接続する電源プラグ12とを備える。
本体部11は、複数の蓄熱部材5を挿着可能な複数の挿着部13と、複数の挿着部13の上下方向それぞれに配置される複数の電気ヒータ(図示せず)と、複数のスイッチ部14と、複数のランプ部15と、を備える。
【0039】
複数の挿着部13は、本体部11の正面11a側に設けられており、蓄熱部材5を水平方向に挿着可能に形成されている。
複数の電気ヒータは、挿着部13の上下方向それぞれに配置されており、挿着部13に装着された蓄熱部材5と当接するように配置されている。また、複数の電気ヒータそれぞれは、直列に接続されている。更に、複数の電気ヒータは電源プラグ12に接続されており、所定の電源から供給される電流により得られる電気エネルギーを、熱エネルギーに変換する。
【0040】
複数のスイッチ部14は、押圧することにより、所定時間、電気ヒータに電流が流れるように構成されている。つまり、複数のスイッチ部14を押圧することにより、電気ヒータに電流が流れ、電気ヒータで電気エネルギーが熱エネルギーに変換される。そして、電気ヒータが発熱することにより、蓄熱部材5への伝熱が開始される。
【0041】
ランプ部15は、スイッチ部14を押圧する(蓄熱を開始する)と点灯し、所定時間が経過して蓄熱部材5への蓄熱が完了すると消灯するように構成されている。
【0042】
蓄熱ボックス10を使用することにより、予め、複数の蓄熱部材5に蓄熱をすることができる。
【0043】
次に、本発明の第1実施形態に係る保温ボックス1の作用について説明する。
まず、宅配者は、使用する複数の蓄熱部材5及び蓄熱部材33を蓄熱ボックス10に挿着し、予め、蓄熱部材5及び蓄熱部材33に蓄熱をさせておく。具体的には、宅配者は、蓄熱ボックス10に設けられる複数の挿着部13に複数の蓄熱部材5及び蓄熱部材33をそれぞれ挿着する。そして、蓄熱部材5及び蓄熱部材33を挿着した挿着部13のスイッチ部14を押圧し、蓄熱を開始する。このとき、宅配者は、蓄熱部材5及び蓄熱部材33を挿着した挿着部13のランプ部15が点灯することにより蓄熱部材5及び蓄熱部材33が蓄熱されていることを確認する。
【0044】
ランプ部15が消灯し、蓄熱部材5及び蓄熱部材33への蓄熱が完了すると、次に、宅配者は、蓄熱部材5を着脱部23に挿着すると共に第1凹部27に配置し、蓄熱部材33を第2凹部34に配置する。宅配者が蓄熱部材5を着脱部23に挿着等した後、宅配者は、次に、保温ボックス1の電源プラグ7を宅配車両の電源(例えば、バッテリー)に接続する。
【0045】
ここで、宅配者が電源プラグ7を宅配車両の電源に接続すると、ヒータ4及びヒータ32に電流が流れる。ヒータ4及びヒータ32に電流が流れると、ヒータ4及びヒータ32は、電流から得られる電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。ヒータ4及びヒータ32が熱エネルギーにより発熱すると、ヒータ4に当接する蓄熱部材5及びヒータ32に当接する蓄熱部材33に熱エネルギーが伝熱する。
【0046】
蓄熱部材5及び蓄熱部材33に熱エネルギーが伝熱されると、蓄熱部材5及び蓄熱部材33に熱エネルギーが更に蓄熱され、蓄熱部材5及び蓄熱部材33の温度が上昇する。これにより、この熱エネルギーがアルミシート6に伝熱する。アルミシート6に熱エネルギーが伝熱すると、アルミシート6は、収納部20の全体を保温する。
【0047】
なお、着脱部23は、側壁部21の厚さ方向における中心よりも収納部20側に形成される。そのため、着脱部23が形成された側壁部21は、内壁側の厚さが外壁側の厚さよりも薄くなっている。これにより、例えば、ヒータ4等が発熱すると、収納部20は保温されるが、ヒータの熱量が外部に放出されることは抑制される。
【0048】
収納部20が保温される前、途中又は後に、宅配者は、保温ボックス1の蓋部3を開いて収納部20に飲食物を収納する。
飲食物を収納部20に収納すると、宅配者は、蓋部3を閉じて、蓋部3に設けられる係止部35をボックス本体2の被係止部25に係止させる。
【0049】
これにより、収納部20は、外部から密封された状態で、収納部20の内部において蓄熱部材5やヒータ4等により保温される。
【0050】
以上のような構成を有する第1実施形態に係る保温ボックス1によれば、例えば、以下のような効果を奏する。
第1実施形態に係る保温ボックス1は、断熱部材により形成された側壁部21に設けられる着脱部23に着脱自在の蓄熱部材5を備える。そのため、必要に応じて蓄熱部材5を取り出し、予め蓄熱させることができる。これにより、例えば、配達時間にあわせて蓄熱部材5を挿着することができる。その結果、蓄熱部材5の無駄な放熱を防ぐことが可能となり、効率よく保温を行うことができる。
【0051】
また、第1実施形態に係る保温ボックス1は、保温ボックス1に設けられるヒータ4で蓄熱部材5を蓄熱しながら宅配する。そのため、例えば、遠方への配達においても蓄熱部材5から多くの熱が放出され、宅配する飲食物等が冷めてしまうことを抑制することができる。
【0052】
また、保温したまま配達するため、被宅配者は、配達された飲食物の再加熱等を行い、温め直す必要がない。これにより、例えば、再加熱等により生じるエネルギーの消費を抑制することができる。
【0053】
また、第1実施形態においては、着脱部23は、側壁部21の厚さ方向における中心よりも収納部20側に形成される。そのため、着脱部23が形成された側壁部21は、内壁側(着脱部23が形成された側壁部21の収納部20側)の厚さが外壁側(着脱部23を中心に内壁側と反対側)の厚さよりも薄くなる。その結果、ヒータ4の温度を上げて収納部20を高温にすることができる。
【0054】
また、第1実施形態に係る保温ボックス1は、収納部20をアルミシート6a,6bで覆っている。そのため、例えば、蓄熱部材5から伝熱する熱エネルギーの放出を均一にすることができる。これにより、収納部20を均一に保温することができる。その結果、収納部20に収納される被保温物を効率的に保温することができる。
【0055】
また、本実施形態に係るボックス本体の底部には、ヒータ4及び蓄熱部材5を収容可能な第1凹部27が形成されている。これにより、簡易な構成でヒータ4及び蓄熱部材5を収納することができる。
【0056】
また、第1実施形態に係る蓄熱部材5は、複数の蓄熱部材5を同時に蓄熱可能な蓄熱ボックス10を用いて蓄熱可能に構成されている。そのため、保温ボックス1は、例えば、電力の単価の低い夜間時間帯に蓄熱部材5の蓄熱を行うことにより、全体としてランニングコストの低減を図ることが可能になる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る保温ボックス1Aについて、図6及び図7を参照しながら説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る保温ボックス1Aを、一部を切り欠いて示す斜視図である。図7は、図6に示す保温ボックス1Aを、蓋部3を閉じた状態で示すB−B矢視断面図である。
【0058】
図6及び図7に示すように、第2実施形態に係る保温ボックス1Aは、蓄熱部材5に対して側壁部21の内壁面21a側にヒータ4が配置されることにおいて、第1実施形態に係る保温ボックス1と相違する。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0059】
なお、第2実施形態において、第1実施形態に係る保温ボックス1と同様の構成のものについては、同じ符号を付して説明を省略する。また、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0060】
図6及び図7に示すように、第2実施形態に係る保温ボックス1Aは、上面に開口部28を有する矩形箱状のボックス本体2Aと、ボックス本体2Aの開口部28を開閉する蓋部3と、ボックス本体2Aに設けられる発熱体としての複数のヒータ4と、ボックス本体2Aに着脱可能な複数の蓄熱部材5と、熱伝導部材としての複数のアルミシート6a,6bと、複数のヒータ4に電力を供給する電源に接続するための電源プラグ7と、を備える。
【0061】
図6に示すように、ボックス本体2Aは、開口部28と連通し飲食物を収納可能な収納部20と、収納部20を囲むようにボックス本体2Aにおける四方に位置する側壁部21Aと、収納部20の下方に位置する底部22と、を備える。
【0062】
側壁部21Aは、図7に示すように、蓄熱部材5を着脱可能な着脱部23と、ヒータ4を配置可能なヒータ配置部24Aと、を備える。
ヒータ配置部24Aは、側壁部21Aの内部において、ヒータ4と略同形の中空状に形成されている。また、ヒータ配置部24Aは、側壁部21Aの内部に設けられた着脱部23と隣接して形成されている。具体的には、ヒータ配置部24Aは、着脱部23に挿着した蓄熱部材5とヒータ配置部24Aに配置されたヒータ4とが接触するように形成されている。第2実施形態においては、ヒータ配置部24は、着脱部23に対して側壁部21における収納部20側(内壁面21a側)に形成されている。
【0063】
以上のような構成を有する第2実施形態に係る保温ボックス1Aによれば、例えば、以下のような効果を奏する。
第2実施形態に係る保温ボックス1Aは、蓄熱部材5に対して側壁部21における内壁面21a側にヒータ4が配置されている。そのため、被保温物の近傍において被保温物をヒータ4で保温することができる。その結果、被保温物に対して効率的に保温を行うことができる。また、収納部20をより高温にすることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された発明は、本発明から生じる最も適した効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0065】
例えば、本実施形態においては、保温収納具として保温ボックス1、1Aを用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。保温収納具は、例えば、寝袋や園芸用の温室等に使用してもよい。つまり、保温収納具は、種々の被保温物を収納して保温するものに使用することができる。
【0066】
また、本実施形態においては、発熱体として面状発熱体を用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。発熱体は、例えば、加熱コイル等の発熱体を用いて加熱するものであってもよい。また、ベルチェ素子を用いて発熱及び吸熱の制御を行うものであってもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、ヒータに送られる電気エネルギーは、バイク等の車両のバッテリーから供給する構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。ヒータに送られる電気エネルギーは、例えば、蓋部3等にソーラーパネルを設け、太陽光発電により得られた電気エネルギーをヒータに供給する構成としてもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、ヒータ4と蓄熱部材5とを当接させる構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、ヒータ4と蓄熱部材5との間にアルミ板のような伝熱部材を介在させてもよい。アルミ板を介在させることにより、ヒータ4からの熱を蓄熱部材5に均一に伝達させることができる。
【符号の説明】
【0069】
1、1A 保温ボックス(保温収納具)
2 ボックス本体
3 蓋部
4 ヒータ(発熱体)
5 蓄熱部材
6 アルミシート(熱伝導部材)
10 蓄熱ボックス
20 収納部
21 側壁部
22 底部
23 着脱部
24 ヒータ配置部
27 第1凹部
34 第2凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保温物を収納可能な収納部を囲むように配置される断熱部材と、
前記断熱部材に設けられ、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する発熱体と、
前記断熱部材に着脱自在に取り付けられ、前記発熱体で前記電気エネルギーから変換された前記熱エネルギーを蓄熱する蓄熱部材と、
を備える保温収納具。
【請求項2】
前記蓄熱部材の前記収納部側に配置される熱伝導部材を更に備える請求項1に記載の保温収納具。
【請求項3】
前記断熱部材は、前記蓄熱部材を着脱可能な着脱部を備え、
前記着脱部は、前記断熱部材の厚さ方向における中心よりも前記収納部側に形成される請求項1又は2に記載の保温収納具。
【請求項4】
前記蓄熱部材は、前記発熱体の前記収納部側に配置される請求項1から3のいずれかに記載の保温収納具。
【請求項5】
前記断熱部材は、前記蓄熱部材を配置可能な凹部を有し、
前記蓄熱部材は、前記凹部に配置される請求項4に記載の保温収納具。
【請求項6】
前記発熱体は、前記蓄熱部材の前記収納部側に配置される請求項1から3のいずれかに記載の保温収納具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−140321(P2011−140321A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1135(P2010−1135)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】