説明

保管情報のバックアップシステム

【課題】バックアップデータが大規模災害等不測の事故で消失するのを防ぐと共に迅速にデータを復旧することを目的とする。
【解決手段】複数保管先拠点間を接続する専用通信回線を使用し保管データを送信するとともに、一定周期で相互に保管先稼動情報を通信し稼動状態を管理するものである。更に、専用通信回線が不通の場合、公衆通信回線を使用して同内容の通信を行う。また、保管先拠点の情報記憶装置は可搬性のあるネットワーク接続型装置とし、装置内には保管データおよび復元用管理情報を格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模災害等の事故で保管情報が消失する不測事態に対処した保管情報のバックアップシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般通信回線を利用した保管情報のバックアップシステムは、例えば、特許文献1に示されている。
【0003】
このバックアップシステムによれば、データの保管先が第1情報記憶装置、第2情報記憶装置と複数拠点となるため第1保管先の第1情報記憶装置が稼動不能または被災にあっても、第2情報記憶装置にアクセスすることでデータの保管および復旧が可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−149412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のバックアップシステムは、専用通信回線を使用して第1情報記憶装置の状態およびバックアップデータを第2情報記憶装置に送信するものである。これは、あくまでも第1情報記憶装置が主体の単方向通信であり、第2情報記憶装置が正常に稼動できるか否かを判断できず、確実に保管できるとは言えないという問題があった。
【0006】
また、データの保管状態情報および複数拠点の稼動状態情報は保管先側だけの情報であり、保管元側では確認出来ないという問題があった。
【0007】
さらに、遠隔地にデータを保管する他の先行例では、通信ネットワークを利用するので、通信ネットワークに不測の事故があった場合、通信ネットワーク復旧まで保管データを戻せないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑み、大規模災害等の不測事態に備えて大切なデータのバックアップがより確実に行なわれると共に迅速にデータの復旧ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ユーザである保管元拠点と、ユーザのバックアップデータを預かる複数の保管先拠点とが一般通信回線を介してつながる保管情報のバックアップシステムにおいて、
前記保管先拠点の稼動状態、保管データ更新履歴、保管データ更新要請、ないし保管対象データに関する情報の交換が専用通信回線を介して各保管先拠点間で相互に行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大規模災害等の不測事態に備えたデータのバックアップがより確実に行なわれると共に迅速にデータの復旧ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に沿って説明する。
【0012】
図1に示す保管情報のバックアップシステムは、ユーザである保管元拠点とユーザのバックアップデータを預かる保管先拠点がインタネットワークを含む一般の通信回線を介してオンラインになっている。保管元拠点a1には、保管対象となるユーザAデータ2が保管元/復元先サーバ3により管理されている。保管元拠点a1には、データ管理サーバ4が備えられ、このデータ管理サーバ4を介して保管先拠点側と情報の伝達が行われる。
【0013】
保管元拠点内は、イントラネットワークの通信回線でつながっている。また保管先拠点内もイントラネットワークの通信回線でつながっている。
【0014】
データ管理サーバ4は、オンラインでバックアップデータの送信または復元データの受信を実行するとともに保管先拠点の稼動情報を各拠点から収集、表示する機能を有する。バックアップデータの送信は、自動スケジュールまたは手動で実行可能なようになっている。復元データの受信は手動で行うようになっているが、自動にすることも可能である。
【0015】
自動スケジュールでのバックアップデータの送信について説明する。
【0016】
データ管理サーバ4は、指定された時刻に保管先拠点a6または保管先拠点b7のいずれかの認証サーバ8と公衆回線5である一般の通信回線を介して接続される。
【0017】
認証サーバ8は、保管対象ユーザか否かを認証を行い、正規ユーザであると認証された場合には、保管先拠点内の保管データ管理サーバ9との接続が許可される。データ管理サーバ4が保管データ管理サーバ9と一般公衆回線5を介して接続されると、保管データ管理サーバ9は送られてくる保管対象データを受信し、データの格納先となるユーザAデータ保管部10やユーザAデータ保管部50へデータを保管する。
【0018】
このデータの保管が行われているときは、他方の保管先拠点では保管状態情報内の対象ユーザ部がデータ更新待機状態となる。
【0019】
そして、データの保管が実行されていた保管先拠点内でのデータ保管が終了すると、保管データ管理サーバ9はデータの保管状態情報を更新中から更新終了にする。それとともに、データ更新履歴を作成し、他方の保管先拠点の稼動状態情報に基づき専用回線11を介して他方の保管先拠点の保管データ管理サーバにデータの更新履歴を送信し、データ更新要請を行う。
【0020】
更新要請を受けた他方の保管先拠点の保管データ管理サーバは、受信した更新履歴と稼動状態情報およびデータの保管状態情報から更新が必要な場合、更新要請元になっている拠点の保管データ管理サーバにデータ送信を要求しデータを更新する。更新要請情報と保管状態情報を使用し、更に通信方式を相互に交信する双方向通信とすることにより確実な通信が可能となる。この相互交信より、ユーザのバックアップデータを更新しながら保管先拠点a6と保管先拠点b7の双方で確実に保管維持できるで、保存管理の安全性が高まる。
【0021】
図2に保管先拠点間の通信ルートを示す。
【0022】
保管先拠点間は、通常時には専用回線11を介してデータの更新履歴、保管先稼動状態情報およびデータ保管通信を行う。専用回線11に異常が発生した場合、一定回数リトライ通信後、一般公衆回線5への通信回線切替を実施し、全ての通信を継続する。専用回線11および一般公衆回線5の双方を使用可能とすることにより、確実に2拠点にデータを保管することが可能となる。
【0023】
図3は、保管元拠点で確認可能な情報表示イメージを示す。
【0024】
保管元拠点内のデータ管理サーバでは、保管先稼動状態表示エリア12に保管先拠点の稼動状態および動作ステータス、またデータ保管状態表示エリア13に保管日付および保管サイズを表示する。これにより、データの保管が確実に行なわれたかを確認することが可能となる。
【0025】
図4は、保管元拠点でのデータ復旧操作画面構成図を示す。
【0026】
保管元拠点でデータ障害が発生し、データの復旧が必要な場合、データ管理サーバで保管先稼動/保管状態表示エリア14を確認する。保管先稼動/保管状態中、一つでもオンライン/待機状態であれば画面内オンライン手動復旧操作ボタン15を操作することでデータ復旧が可能となる。
【0027】
また、インタネットワークに不測の事故があった場合、保管先拠点の情報記憶装置をイントラネットワークから外し、別途搬送手段で搬送、保管元拠点のネットワークに接続後に保管データ接続ボタンを操作することでデータ管理サーバは情報記憶装置内復元用管理情報をもとに接続処理する。
【0028】
なお、情報記憶装置は、保管先拠点内で保管データ切り離し機能を有するサーバおよびデータ復元用情報を有するネットワーク接続型の情報記憶装置である。
【0029】
接続状態は保管元稼動/保管状態表示エリアに表示されオンラインになれば復元可能状態となり、保管元手動復旧操作ボタンを操作することでデータ復旧が可能となる。
【0030】
図5は、保管先拠点での保管データ切り離し操作画面構成図を示す。
【0031】
保管データをイントラネットワークから外す場合、保管先稼動状態表示エリア19で対象となるユーザを確認し、保管データ切り離しボタン20を操作することで切り離しが可能となる。
【0032】
以上に述べたように本発明の実施例によれば、いずれかの保管先拠点に大規模災害等不測の事故が発生してもデータを保障することができ、更にデータの保管状態情報および保管先拠点の稼動状態情報は保管元拠点でも確認できる。また、インタネットワークに不測の事故があった場合でも、インタネットワークの復旧を待たずにデータの復旧が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例で、保管元拠点と保管先拠点の構成を示す図。
【図2】本発明の実施例で、保管先拠点間の通信ルートを示す図。
【図3】本発明の実施例で、保管元拠点で確認可能な情報表示の画面を示す図。
【図4】本発明の実施例で、保管元拠点で確認可能なデータ復旧操作の画面を示す図。
【図5】本発明の実施例で、保管先拠点での保管データ切り離し操作の画面を示す図。
【符号の説明】
【0034】
1…保管元拠点a、2…ユーザAデータ(保管対象データ)、3…保管元/復元先サーバ、4…データ管理サーバ、5…公衆回線、6…保管先拠点a、7…保管先拠点b、8…認証サーバ、9…保管データ管理サーバ、10…ユーザAデータ保管部、11…専用通信回線、12…保管先稼動状態表示エリア、13…データ保管状態表示エリア、14…保管先稼動/保管状態表示エリア、15…オンライン手動復旧操作ボタン、16…保管元稼動/保管状態表示エリア、17…保管データ接続ボタン、18…保管元手動復旧操作ボタン、19…保管先稼動状態表示エリア、20…保管データ切り離しボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザである保管元拠点と、ユーザのバックアップデータを預かる複数の保管先拠点とが一般通信回線を介してつながる保管情報のバックアップシステムにおいて、
前記保管先拠点の稼動状態、保管データ更新履歴、保管データ更新要請、ないし保管対象データに関する情報の交換が専用通信回線を介して各保管先拠点間で相互に行われることを特徴とする保管情報のバックアップシステム。
【請求項2】
請求項1記載の保管情報のバックアップシステムにおいて、
前記専用通信回線が不通の場合には、前記情報の交換が一般通信回線を通じて行われるように切替えられることを特徴とする保管情報のバックアップシステム。
【請求項3】
請求項1記載の保管情報のバックアップシステムにおいて、
前記保管先拠点には、保管先拠点が保管する保管データを切り離すことができる切り離し機能を有するサーバおよびデータ復元用情報を有するネットワーク接続型情報記憶装置を備えることを特徴とする保管情報のバックアップシステム。
【請求項4】
請求項3記載の保管情報のバックアップシステムにおいて、
ネットワーク接続型情報記憶装置を前記保管先拠点から外して保管元拠点に直接接続することを特徴とする保管情報のバックアップシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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