説明

保護ウインドウ及び保護ウインドウを含む表示装置

【課題】軽く、かつ、高硬度及び高剛度を有する表示装置の保護ウインドウ及び保護ウインドウを含む表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る保護ウインドウは、重合体を含む第1透明基材と、前記第1透明基材の一面上に形成され、シルセスキオキサンを含む保護層と、を有する。これにより、軽く、かつ、高硬度及び高剛度を有する、表示装置の保護ウインドウと、この保護ウインドウを含む表示装置と、を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護ウインドウ及び保護ウインドウを含む表示装置に関するものであり、より詳細には、複数の層を有する保護ウインドウと、この保護ウインドウを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
保護ウインドウは、外部の損傷から目的物を保護するために使用される。保護ウインドウが表示装置に使用される場合、保護ウインドウは、画像が表示される前面外郭に配置され、画像表示素子を含む表示装置の素子を保護する機能を果たす。また、保護ウインドウを表示装置に配置した場合であっても、表示装置の画像表示素子によって表示される画像がユーザによって認識されなければならないため、保護ウインドウは、通常透明素材を用いて形成される。
【0003】
一方、スマートフォン、PMP(portable media player)などのような携帯用表示装置の使用の増加につれて、携帯用表示装置に加えられる衝撃に耐えられるように、保護ウインドウが高剛度特性を有することが要求される。また、携帯用表示装置が他の物体との接触により発生するスクラッチを防止できるように、保護ウインドウが高硬度特性を有することが要求され、保護ウインドウ自体の良い耐久性もまた要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガラスは、保護ウインドウの材質として広く使用される物質である。ガラス材質の保護ウインドウは、高い透明度と高硬度を有するが、外部の衝撃によって破損する危険性が大きく、比重が高いため重く、値段が高いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、軽く、かつ、高硬度及び高剛度を有する表示装置の保護ウインドウを提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的とするところは、変形の少ない表示装置の保護ウインドウを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、重合体を含む第1透明基材と、前記第1透明基材の一面上に形成され、シルセスキオキサンを含む保護層と、を有する保護ウインドウが提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、重合体を含む第1透明基材と、前記第1透明基材の一面上に形成され、シルセスキオキサンを含む保護層と、前記第1透明基材の他面上に形成され、シルセスキオキサンを含む背面層と、を有する保護ウインドウが提供される。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、表示ユニットと、前記表示ユニット上に配置される保護ウインドウと、を備え、前記保護ウインドウは、重合体を含む第1透明基材と、前記第1透明基材の一面上に形成され、シルセスキオキサンを含む保護層と、を有する表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、高硬度及び高い剛性度を有する保護ウインドウを提供することができる。
【0011】
また、本発明によれば、保護ウインドウの反り特性を減らすことができ、表示装置の機具特性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る第1透明基材の平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る第1透明基材の平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る第1透明基材の平面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る第1透明基材の平面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの分解斜視図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る保護ウインドウの分解斜視図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。
【図16】本発明の実施形態に係る保護ウインドウを含む表示装置の平面図である。
【図17】図16に示す表示装置をXVII−XVII’に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
なお、本実施形態において着目する課題は、以上で言及した技術的課題に制限されるわけではなく、言及されていない更に別の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【0015】
また、本実施形態に係る効果は、以上で例示した内容によって制限されるわけではなく、より多様な効果が、以下で示す記載内に含まれている。
【0016】
なお、素子(elements)又は層が、他の素子又は層「上(on)」にあると記載されたものは、他の素子の直上又は中間に他の層又は他の素子が存在する場合を全て含む。
【0017】
また、第1、第2等といった表記が、多様な素子や構成要素を説明するために使用される。しかしながら、これら構成要素は、これらの用語によって制限されないことはもちろんである。これらの用語は、単に一つの構成要素と区別するために使用されるものである。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で、第2構成要素であり得ることはもちろんである。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの分解斜視図である。図2及び図3は、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。
【0019】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウ100は、第1保護層10及び透明基材20を有する。
【0020】
第1透明基材20は、重合体を含む。重合体は、ポリカーボネート(polycarbonate:PC)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmetharcylate:PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate:PET)のうち少なくとも一つであってもよい。いくつかの実施形態では、重合体は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミドに限定されず、鉛筆硬度が約4H以上で、機械的安全性に起因して高耐久性を有する他の重合体であってもよい。
【0021】
保護ウインドウが良好なレベルの表面硬度(鉛筆硬度)を有するためには、第1透明基材が含む重合体は、ポリエチレンテレフタレート又はポリメチルメタクリレートであることが好ましい。第1透明基材が含む重合体の材質と保護ウインドウの表面硬度との間の関係については、以下で記載する実験例1で説明する。
【0022】
第1透明基材20は、1又は複数の層で形成されてもよく、複数の層で形成される場合には、複数の層それぞれは、重合体を含む。複数の層それぞれに含まれる重合体は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートのうち少なくとも一つであってもよい。
【0023】
第1透明基材20は、直方体形状で形成されてもよい。ただし、これは説明の便宜のため採用したものであり、第1透明基材20を含む保護ウインドウ100の形状は、表示装置を保護する機能を果たすため、保護ウインドウが付着される表示装置の形状に応じて多様に変更することができる。
【0024】
保護層10は、シルセスキオキサン(Silsequioxane)を含む。シルセスキオキサンはシロキサン(Siloxane)の一種である。シロキサンは下記表1に示すようにM、D、T、Qの単位構造を含む。このうち、シルセスキオキサンは、以下に示したT単位構造を含む重合体であり、一般式(RSiO3/2と表示することができる。シルセスキオキサンは、トリアルコキシシロキサン(RSi(OR))又はトリクロロシラン(RSiCl)の加水分解重合法によって生成が可能である。いくつかの実施形態では、シルセスキオキサンは、加水分解重合法ではない当業者に知らされている方法によって生成されてもよい。
【0025】
【表1】

【0026】
保護層10の形状は、第1透明基材20の形状と実質的に同一であってもよい。さらに、保護層10の一面と、第1透明基材20の一面のサイズは、互いに同一であってもよい。
【0027】
保護層10は、第1透明基材20の一面上に形成される。保護層10は、第1透明基材20に接着されていてもよい。保護層10と第1透明基材20とは、熱圧搾、紫外線硬化型接着剤を利用した合着、又は、感圧接着剤を使用した合着のうちいずれかの方法により合着してもよく、その他当該技術分野で公知の方法により合着してもよい。
【0028】
保護ウインドウ100が良好なレベルの表面硬度(鉛筆硬度)を有するためには、保護層10の厚さは、所定の値以上であることが好ましい。保護層10の厚さは、例えば、約100μm以上であることが好ましい。
【0029】
保護ウインドウ100が良好なレベルの表面硬度を有するためには、保護層10の厚さは所定の値以上でなければならないが、保護層10の厚さが厚くなれば、鉛筆硬度、すなわち、表面硬度はより良くなることもある。しかしながら、保護層10の厚さが厚くなると、保護ウインドウ100の全体厚さが厚くなるため、保護ウインドウ100の重さが増加し得る。また、保護層10が過度に厚くなると、破れに関する特性が悪くなるため、保護層10の厚さは、所定の値以下であることが好ましい。このため、保護層10の厚さは、例えば約100μm〜150μmであることが好ましい。
【0030】
第1透明基材20が備える保護層10の厚さと、保護ウインドウの表面硬度との間の関係については、以下に示す実験例1で説明する。
【0031】
表2は、重合体、シルセスキオキサン、ガラス等で組み合わせた多様な形態の保護ウインドウに対する鉛筆硬度及び光透過率を測定した実験結果を示したものである。
【0032】
【表2】

【0033】
前記表2を参照すると、ポリカーボネートを含む第1透明基材20とシルセスキオキサンを含む保護層10とを積層した保護ウインドウ100は、ポリカーボネート上にポリメチルメタクリレートを積層した保護ウインドウよりも鉛筆硬度が高いことがわかる。したがって、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウは、重合体のみを使用する保護ウインドウに比べ、高硬度を有し、かつ破れやすくなく、簡単に形状が変形しないという利点があることがわかる。
【0034】
また、ポリカーボネートを含む第1透明基材20とシルセスキオキサンを含む保護層10を積層した保護ウインドウ100は、ガラス材質の保護ウインドウと同一レベルの鉛筆硬度及び光透過率を有している。しかしながら、保護ウインドウとしてガラスを使用する場合には、外部の衝撃によって破損する危険が高く、比重が高いため重く、値段が高い。したがって、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウを使用する場合には、ガラス材質の保護ウインドウと同一レベルの鉛筆硬度及び光透過率を獲得し、ガラス材質の保護ウインドウに比べ、相対的に軽く、かつ耐久性が良く、低費用の保護ウインドウを使用することができる。
【0035】
図3を参照すると、本発明の他の実施形態に係る保護ウインドウ100は、保護層10、第1透明基材20、第2透明基材30、及び、接着部材50を含む。
【0036】
第2透明基材30は、1又は複数の層で形成されてもよく、複数の層で形成される場合、複数の層それぞれは、重合体を含む。複数の層それぞれに含まれた重合体は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートのうち少なくとも一つであってもよい。
【0037】
第2透明基材30は、第1透明基材20の他面上に形成される。第1透明基材20の他面は、第1透明基材20のいくつかの面のうち保護層10が形成された第1透明基材20の一面と異なる面を意味し、第1透明基材20の他面は、一面の向かい合う側面であり得る。第2透明基材30は、第1透明基材20に接着されてもよい。第2透明基材30と第1透明基材20とは、熱圧搾、紫外線硬化型接着剤を利用した合着又は感圧接着剤を使用した合着のうちいずれかの方法によって合着されてもよく、その他、当該技術分野で公知の方法によって合着されてもよい。
【0038】
第2透明基材30は、重合体を含む。重合体は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートのうち少なくとも一つであってもよい。いくつかの実施形態では、重合体は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミドに限定されず、鉛筆硬度が約4H以上で、機械的安全性に起因して高い耐久性を有する他の重合体であってもよい。
【0039】
保護ウインドウ100の表面硬度は、第2透明基材30の材質によって異なる。例えば、保護ウインドウ100が良好なレベルの表面硬度(鉛筆硬度)を有するためには、第2透明基材30は、ポリメチルメタクリレートを含むことが好ましい。第2透明基材30の材質と保護ウインドウ100の表面硬度との間の関係については、以下の実験例1で説明する。
【0040】
保護ウインドウ100の反り特性は、第1透明基材20の材質及び第2透明基材の材質30によって異なる。例えば、保護ウインドウ100が優れた反り特性を有するためには、第1透明基材20がポリエチレンテレフタレートを含む場合、第2透明基材30はポリメチルメタクリレートを含むことが好ましい。第1透明基材20の材質及び第2透明基材30の材質と保護ウインドウ100の反り特性との間の関係については実験例1で後述する。
【0041】
保護ウインドウ100の表面硬度又は機具剛度(剛性の度合い)は、第1透明基材20の材質及び厚さと、第2透明基材30の材質及び厚さとによって異なる。例えば、保護ウインドウ100が良好なレベルの表面硬度(鉛筆硬度)又は機具剛度を有するためには、第1透明基材20がポリエチレンテレフタレートを含むことが好ましく、厚さが約50μmであることが好ましい。また、第2透明基材30は、ポリメチルメタクリレートを含んでもよく、厚さは約0.5mm以上であってもよい。第2透明基材30の厚さが厚くなると、保護ウインドウ100の表面硬度及び機具剛度は向上するが、保護ウインドウ100の厚さが厚くなり、保護ウインドウ100の重さが重くなり、生産原価が上昇するため、鉛筆硬度が良好なレベルであれば第2透明基材30を更に厚くする必要はない。例えば、保護ウインドウ100が良好なレベルの表面硬度(鉛筆硬度)又は機具剛度を有するためには、第1透明基材20がポリエチレンテレフタレートを含み、厚さが約50μmであり、第2透明基材30はポリメチルメタクリレートを含んでもよく、厚さは約0.5mmであってもよい。第2透明基材30の厚さ及び材質と保護ウインドウ100の表面硬度又は機具剛度との間の関係については、以下の実験例2で説明する。
【0042】
保護ウインドウ100の表面硬度又は機具剛度は、第1透明基材20の材質及び厚さと第2透明基材30の材質及び厚さとによって異なる。例えば、保護ウインドウ100が良好なレベルの表面硬度(鉛筆硬度)又は機具剛度を有するためには、第1透明基材20がポリメチルメタクリレートを含んでもよく、厚さが約50μmであることが好ましい。また、第2透明基材30はポリメチルメタクリレートを含んでもよく、厚さは約0.8mm以上であってもよい。第2透明基材30の厚さが厚くなると、保護ウインドウ100の表面硬度及び機具剛度は向上するが、保護ウインドウ100の厚さが厚くなり、保護ウインドウ100の重さが重くなり、生産原価が上昇するため、鉛筆硬度が良好なレベルであれば第2透明基材30を更に厚くする必要はない。例えば、保護ウインドウ100が良好なレベルの表面硬度(鉛筆硬度)又は機具剛度を有するためには、第1透明基材20がポリメチルメタクリレートを含み、厚さが約50μmであり、第2透明基材30はポリメチルメタクリレートを含んでもよく、厚さは約0.8mmであってもよい。第2透明基材30の厚さ及び材質と保護ウインドウ100の表面硬度又は機具剛度との間の関係については、以下の実験例2で説明する。
【0043】
第2透明基材30は、最下層31を含んでもよい。最下層31は、第2透明基材30が含む複数の層のうち、第2透明基材30を基準に第1透明基材が位置した方向と向かい合う方向に最後に位置する層を意味する。
【0044】
最下層31は、ポリカーボネートを含んでもよい。ポリカーボネートは、硬度が優れた重合体である。従って、ポリカーボネートを含む最下層31を有する第2透明基材30を備える保護ウインドウ100は、保護ウインドウ100が付着される物体との接触による衝撃及び摩耗に対して強い抵抗性を有する。
【0045】
接着部材50は、保護ウインドウ100を使用して保護しようとする対象に対して、当該保護ウインドウ100を配置させるために使用されるものであって、保護ウインドウ100を配置させようとする位置に保護ウインドウ100を接着させる役割を果たす。
【0046】
接着部材50は、透明で接着性がある物質で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、接着部材は感圧接着剤であってもよい。
【0047】
接着部材50は、保護ウインドウ100の最下部に位置してもよい。最下部とは、第1透明基材20を基準に保護層10が位置した方向と向かい合う方向において、最後に位置する層を意味する。
【0048】
図4は、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。図6〜図9は、本発明の一実施形態に係る第1透明基材の平面図である。
【0049】
図4及び図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウ100は、保護層10及び第1透明基材20を含んでもよく、図示していないが、第2透明基材及び接着部材を更に含んでもよい。
【0050】
図4及び図5を参照すると、保護層10は、第1透明基材20の一面において一部の領域上にのみ位置し得る。ここで、保護層10は、直方体形状で図示しているが、保護層10の形状はこれに限定されず、多様な形状で第1透明基材20の一面の一部に位置することができる。
【0051】
以下、図6〜図9を参照して、第1透明基材20の一面上に保護層10を位置させる多様な形状について説明する。
【0052】
図6〜図9を参照すると、第1透明基材20は、第1透明基材の第1領域(70、71、72、73)及び第1透明基材の第2領域(80、81、82、83)を有していてもよい。
【0053】
第1透明基材の第1領域(70、71、72、73)は、第1透明基材20の一面のうち一面の上部に保護層10が位置する領域を意味し、第1透明基材の第2領域(80、81、82、83)は、第1透明基材20の一面のうち一面の上部に保護層10が位置しない領域を意味する。
【0054】
いくつかの実施形態において、保護ウインドウ100が表示装置の保護に使用される場合、第1透明基材の第1領域(70、71、72、73)は、表示装置で画像が表示される表示領域に対応し、第1透明基材の第2領域(80、81、82、83)は、表示装置で画像が表示されない非表示領域に対応し得る。
【0055】
また、いくつかの実施形態では、保護ウインドウがタッチスクリーン装置のようにユーザのタッチ入力を受けて動作する装置の保護に使用される場合、第1透明基材の第1領域(70、71、72、73)は、ユーザのタッチ入力を受ける入力部に対応し、第1透明基材の第2領域(80、81、82、83)は、非入力部に対応し得る。
【0056】
図6〜図9において、第1透明基材20の第1領域(70、71、72、73)は、長方形形態で図示しているが、これは概念を説明するための一例に過ぎず、これ以外に多様な形態であってもよい。
【0057】
図6を参照すると、第1透明基材の第1領域70は、第1透明基材20の一面の中央部に対応する領域を意味し、第1透明基材の第2領域80は、第1透明基材20の一面で第1透明基材の第1領域70の外郭を囲む領域を意味している。第1透明基材の第1領域70上には、保護層10が配置されてもよい。
【0058】
本発明の一実施形態に係る保護ウインドウは、シルセスキオキサンを含む保護層を使用し、重合体のみを使用する保護ウインドウに比べ、高硬度を有し、かつ、破れにくく、簡単に形状が変形しないという利点がある。また、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウを使用する場合、ガラスを使用する保護ウインドウと同一レベルの鉛筆硬度及び透過率を獲得し、ガラス材質の保護ウインドウに比べて相対的に軽く、耐久性が良く、低費用で保護ウインドウを使用することができる。ただし、シルセスキオキサンを使用する場合には、ガラス材質の保護ウインドウを使用するか、又は重合体のみを使用する保護ウインドウに比べ、さらに高い製造原価が要求され得る。
【0059】
一方、前述したように、保護ウインドウが表示装置に使用される場合、表示装置の全ての領域に画像が表示されるものではなく、一部領域にのみ画像が表示され、残り領域では画像が表示されない場合もある。このような場合、表示装置上で画像が表示される領域に損傷がある場合には、ユーザの画像視認性が落ちるため、画像が表示されない領域より画像が表示される領域により高硬度が要求される。特に、ユーザの入力をタッチスクリーンのようにタッチ入力により受ける装置が増加しつつあり、画像が表示される領域にスクラッチ及び摩耗が発生しやすいため、画面保護に対する重要性が高まっている。
【0060】
従って、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウでは、相対的に低い硬度が要求される画像が表示されない領域、又は、ユーザのタッチ入力を受けない領域には、シルセスキオキサンを含む保護層を省略して保護層に対する材料費を節減することができる。
【0061】
図7及び図8を参照すると、第1透明基材20は、一面に複数の第1領域(71、72)を含んでもよく、一面で第1領域(71、72)を除いた領域に第2領域を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1領域の個数は2つであってもよい。保護層10は、第1透明基材の複数の第1領域(71、72)上に配置されてもよい。
【0062】
図7に示したように、二つに分けられた第1透明基材の第1領域71それぞれは、第1透明基材の第2領域81によって囲まれた形状であってもよく、図8に示したように、第1透明基材の第1領域72の一方は、第1透明基材20の境界を含み、第1透明基材の第1領域72の一方は、第1透明基材の第2領域82により囲まれた形状であってもよい。また、図示していないが、第1透明基材の第1領域は、いずれも第1透明基材の境界を含む形状であってもよい。
【0063】
多重タスキングに対する使用者の要求が増加するにつれ、一つの表示装置で複数の画面を採用することができ、これら画面では、互いに異なる画像を表示できるようになった。また、複数の画面のうちの一部は画像のみ表示するが、他の一部はタッチスクリーンとして用いられ、画像を表示すると共にユーザのタッチ入力を受ける機能まで果たすことができる。
【0064】
図7及び図8は、このような実施形態に関するものであって、相対的に低い硬度であってもよい、画像が表示されない領域又はユーザのタッチ入力を受けない領域に対しては、シルセスキオキサンを含む保護層を省略することで、保護層に対する材料費を節減することができる。
【0065】
図9を参照すると、第1透明基材の第2領域83によって第1透明基材の第1領域73が複数に区分されるように保護層が配置されてもよい。図9では、説明の便宜上、第1透明基材20の第1領域73が9個に区分されているが、多様な個数に区分されてもよい。
【0066】
本発明の一実施形態に係る保護ウインドウでは、相対的に低い硬度であってもよい、画像が表示されない領域又はユーザのタッチ入力を受けない領域に対しては、シルセスキオキサンを含む保護層を省略することで、保護層に対する材料費を節減することができる。
【0067】
図10及び図11は、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。図12は、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウの分解斜視図である。
【0068】
図10を参照すると、保護ウインドウ100は、保護層10、第1透明基材20及び第3透明基材60を含んでもよい。説明の便宜上、図10では図示していないが、図2及び図3に図示するように、保護ウインドウ100は、第2透明基材及び接着部材を更に含んでもよい。
【0069】
第1透明基材20は、その一面に、第1透明基材の第1領域75及び第1透明基材の第2領域85を含んでもよい。第1透明基材の第1領域及び第2領域は、図4〜図9で説明した第1領域及び第2領域と実質的に同一であるため、重複する説明を省略する。
【0070】
第3透明基材60は、重合体を含む。重合体は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートのうち少なくとも一つであってもよい。いくつかの実施形態では、重合体は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミドに限定されず、鉛筆硬度が約4H以上で、機械的安全性に起因して高い耐久性を有する他の重合体であってもよい。
【0071】
第3透明基材60は、第1透明基材20の一面において、第1透明基材20の第2領域85上に位置することができる。図10に図示していないが、図7〜図9で説明したように、第1透明基材20が一面に複数の第1領域を含む場合についても、同様である。
【0072】
第3透明基材60は、第1透明基材20に接着されてもよい。第3透明基材60と第1透明基材20とは、熱圧搾、紫外線硬化型接着剤を利用した合着又は感圧接着剤を使用した合着のうちいずれかの方法によって合着されてもよく、その他当該技術分野で公知の方法によって合着されてもよい。
【0073】
第3透明基材60の厚さ(d5)は、保護層10の厚さ(d4)と同一であってもよい。第3透明基材60の厚さ(d5)と保護層10の厚さ(d4)とを同一にすれば、外部と接触する保護ウインドウの上面が平坦になり、平坦でない場合に比べ、外部からの衝撃やスクラッチに対して損傷が少なく、ユーザの視認性も向上できる。
【0074】
図11及び図12を参照すると、保護ウインドウ100は、保護層10及び第1透明基材20を含んでもよい。また、説明の便宜上図11及び図12では図示していないが、図2及び図3に図示するように、保護ウインドウ100は、第2透明基材及び接着部材を更に含んでもよい。
【0075】
第1透明基材20は、一面に第1透明基材の第1領域76及び第1透明基材の第2領域86を含む。第1透明基材の第1領域及び第2領域は、図4〜図9で説明した第1領域及び第2領域と実質的に同一であるため、重複する説明を省略する。
【0076】
第1透明基材20は、第1透明基材の第2領域86において、第1透明基材の一面上に突出した突出部25を含んでもよい。図11及び図12に図示していないが、図7〜図9で説明したように、第1透明基材20が一面に複数の第1領域を含む場合についても同様である。
【0077】
第1透明基材の第1領域76を延長した仮想的な面において垂直に測定した突出部25の高さ(d7)は、保護層10の厚さ(d6)と同一であってもよい。第1透明基材20の第1領域76を延長した仮想的な面において垂直に測定した突出部25の高さ(d7)と保護層10の厚さ(d6)とを同一にすれば、外部と接触する保護ウインドウの上面が平坦になり、平坦でない場合に比べ、外部からの衝撃やスクラッチに対して損傷が少なく、ユーザの視認性も向上できる。
【0078】
図12を参照すると、第1透明基材20は、一面にリセス部(溝部)を含んでもよい。保護層10は、第1透明基材20の一面に形成されたリセス部に形成してもよい。いくつかの実施形態で、保護層10を第1透明基材20上に形成することは、第1透明基材20のリセス部に対して保護層10を充填する方法によるものであってもよい。
【0079】
図13は、本発明の他の実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。図14は、本発明の他の実施形態に係る保護ウインドウの分解斜視図である。図15は、本発明の他の実施形態に係る保護ウインドウの断面図である。
【0080】
図13を参照すると、本発明の他の実施形態に係る保護ウインドウ110は、保護層11、第1透明基材21及び背面層40を含んでもよい。
【0081】
保護層11及び第1透明基材21は、図1〜図12で説明した保護層及び第1透明基材と実質的に同一であるため、重複する説明は省略する。
【0082】
背面層40は、第1透明基材21の他面上に形成される。背面層40は、第1透明基材21に接着されてもよい。背面層40と第1透明基材21とは、熱圧搾、紫外線硬化型接着剤を利用した合着又は感圧接着剤を使用した合着のうちいずれかの方法によって合着されてもよく、その他当該技術分野で公知の方法によって合着されてもよい。
【0083】
背面層40は、シルセスキオキサンを含む。シルセスキオキサンが含まれた背面層40とシルセスキオキサンが含まれた保護層11とを、上下対称となるように保護ウインドウに配置してもよい。
【0084】
シルセスキオキサンとポリカーボネート等のような重合体とは、水分吸収率や耐熱特性等が互いに異なる。従って、シルセスキオキサンが含まれた保護層のみを第1透明基材に形成した場合には、高温又は高湿の条件で基板の反りが生じ得る。
【0085】
これにより、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウは、シルセスキオキサンが含まれた背面層40とシルセスキオキサンが含まれた保護層11とを、第1透明基材21を中心に対称に配置する構造を採用することで、シルセスキオキサンと重合体との間の熱膨張係数などの差による保護ウインドウの歪みを防止することができる。
【0086】
図14及び図15を参照すると、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウ110は、第1透明基材21と背面層40との間に最下層33を含む第2透明基材32を更に含んでもよく、背面層40の下側面上に、接着部材51を更に含んでもよい。
【0087】
第2透明基材32及び接着部材51は、図2及び図3で説明した第2透明基材及び接着部材と実質的に同一であるため、重複する説明を省略する。
【0088】
背面層40は、背面層40と第1透明基材21との間に第2透明基材32が配置される場合、第2透明基材32の下面上に形成されてもよい。背面層40は、第2透明基材32に接着されてもよい。背面層40と第2透明基材32とは、熱圧搾、紫外線硬化型接着剤を利用した合着又は感圧接着剤を使用した合着のうちいずれかの方法によって合着されてもよく、その他当該技術分野で公知の方法によって合着されてもよい。
【0089】
本発明の一実施形態に係る保護ウインドウは、シルセスキオキサンが含まれた背面層40とシルセスキオキサンが含まれた保護層11とを、第1透明基材21及び第2透明基材32を中心として対称に配置する構造を採用することで、シルセスキオキサンと重合体との間の熱膨張係数などの差による保護ウインドウの歪みを防止することができる。
【0090】
図14によれば、保護層11、第1透明基材21、第2透明基材32、背面層40及び接着部材51は、直方体形状で形成されてもよい。ただし、これは説明の便宜上採用したものであって、保護層11、第1透明基材21、第2透明基材32、背面層40及び接着部材51は保護ウインドウを装着する表示装置の形状に応じて、多様な形状を有することができる。
【0091】
図16は、本発明の実施形態に係る保護ウインドウを含む表示装置の平面図である。図17は、図16に示す表示装置をXVII−XVII’に沿って切断した断面図である。
【0092】
図17を参照すると、表示装置1000は、保護ウインドウ120、収納部材300及び表示ユニット400を含む。
【0093】
保護ウインドウ120は、保護層12、第1透明基材22、第2透明基材34、第3透明基材61、背面層42及び接着部材52を含んでもよい。
【0094】
第3透明基材61は、省略されてもよく、第3透明基材61が省略される場合、第1透明基材22は、図11及び図12と同様に、突出部を含んで形成されてもよい。
【0095】
保護層12、第1透明基材22、第2透明基材34、第3透明基材61、背面層42及び接着部材52は、図1〜図15における保護層、第1透明基材、第2透明基材、第3透明基材、背面層及び接着部材と実質的に同一であるため、重複する説明は省略する。
【0096】
保護ウインドウ120は、後述する表示ユニット400で表示される画像が視認される側面の表示装置1000の最も外郭に位置し、表示ユニット400及び図示していない表示装置の素子を保護する役割を果たす。
【0097】
収納部材300は、表示装置1000の外観を形成し、保護ウインドウ120、表示ユニット400及び図示していない表示装置の素子を収納及び支持する。
【0098】
表示ユニット400は、画像を表示し、画像は、保護ウインドウ120を介して表示装置1000の外部で視認される。表示ユニット400は、保護ウインドウ130の下部に位置する。表示ユニット400は、保護ウインドウと向かい合う一面に表示ユニットの第1領域410及び表示ユニットの第2領域420が設けられる。
【0099】
表示ユニットの第1領域410は、表示領域を含んでもよい。表示領域とは、所望する色相を実現できる複数の画素を含み、所望する画像を表示できる領域を意味し、又は、特定形状の画像のみを表示できる領域を意味する。いくつかの実施形態では、表示ユニットの第1領域410は、タッチスクリーンのように画像を表示すると共に、ユーザのタッチ入力を受けることもできる。
【0100】
表示ユニットの第2領域420は、非表示領域を含んでもよい。非表示領域とは、所望する形状又は特定の形状を表示しない領域を意味する。
【0101】
表示装置1000において、表示領域上部の保護ウインドウ120の領域が損傷した場合、画像の視認性が低下する場合がある。また、表示領域上部の保護ウインドウ120の領域はタッチスクリーンを介して情報を入力するため、外部の人為的な接触を受けることとなり、スクラッチや摩耗の可能性が大きいため、高硬度が要求される。図17を参照すると、本発明の一実施形態に係る保護ウインドウ120は、表示ユニットの第1領域410の上部に位置し、表示装置1000の上側から垂直方向に見たとき、表示ユニットの第1領域410全体とオーバーラップする保護層12を含む。本発明の一実施形態に係る保護ウインドウ120は、保護ウインドウ130で表示領域410の上部に該当する領域の硬度を選択的に強化することができるため、画像の視認性を保障する保護ウインドウの硬度を維持しながらも、保護層が保護ウインドウの一面に全面塗布された保護ウインドウに比べ、保護層の材料費を節減することができる。
【実施例】
【0102】
本発明についてより詳細に説明するため、次の具体的な実験例を参照する。ここに記載されていない内容はこの技術分野における通常の知識を有する者であれば十分に技術的に類推できるものであるため、説明は省略する。
【0103】
<実験例1:保護ウインドウの表面硬度、機具剛度、環境信頼性の測定>
保護ウインドウでの保護層の厚さ、第1透明基材の材質、第2透明基材の材質を以下の表3のように変化させ、鉛筆硬度、Ball Drop特性、反り特性を測定した。
【0104】
まず、保護ウインドウの表面硬度を測定した。
表面硬度に対する測定は、鉛筆硬度値を利用して示した。本明細書では、ガラスレベルの鉛筆硬度レベルで鉛筆硬度値が8H以上であれば良好なものと判定し、それより小さい場合には不良と判定した。
【0105】
次に、保護ウインドウの機具剛度(剛性の度合い)を測定した。
機具剛度に対する測定は、Ball Drop特性を利用して示した。Ball Drop実験は、スチール(steel)材質であり、重さが133gのボールを保護ウインドウに落下させて、dentが生じない最高時点を測定したものである。本明細書では、Ball Drop実験値が20cm以上であれば良好なものと判定し、それより小さい場合には不良と判定した。
【0106】
続いて、保護ウインドウの環境信頼性を測定した。
環境信頼性は、反り特性を利用して示す。環境信頼性実験は、85℃、85RHの条件で120時間を放置した後、試片の反り程度を測定したものである。
【0107】
前述したように、本明細書では、表面硬度と関連し、ガラスレベルの鉛筆硬度値を有しないサンプルは不良と判定するため、Ball Drop実験及び環境信頼性実験は、鉛筆硬度が約8H程度の値に該当するサンプルに対してのみ行った。
【0108】
前記実験において、第1透明基材の厚さは50μmである。また、保護ウインドウに含まれる第2透明基材は、ポリカーボネート又はポリメチルメタクリレートを使用し、第2透明基材の厚さは、0.8mmである。
【0109】
【表3】

【0110】
実験結果を示す表3に基づき、保護層の厚さ及び第1透明基材の材質と鉛筆硬度との関係について検討すると、保護層の厚さが50μmまたは75μmである1〜24番目のサンプルは、良好なレベルの鉛筆硬度を示さなかった。保護層の厚さが100μmであり、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含む25〜28番目のサンプルは、良好なレベルの鉛筆硬度を示した。保護層の厚さが100μmであり、第1透明基材がポリカーボネートを含む29〜32番目のサンプルは、良好なレベルの鉛筆硬度を示さなかった。保護層の厚さが100μmであり、第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含む33〜36番目のサンプルは、33番目のサンプルで7Hの鉛筆硬度を示したことを除き、良好なレベルの鉛筆硬度を示した。
【0111】
従って、良好な鉛筆硬度特性を有する保護ウインドウを形成するための保護層の厚さは、約100μm以上が好ましいことが分かる。
【0112】
保護層の厚さが厚くなると、鉛筆硬度、すなわち、表面硬度は、より良くなる場合もある。しかし、保護層の厚さが厚くなると、保護ウインドウの全体厚さが厚くなるため、保護ウインドウの重さが増加し得る。また、ガラスレベルの鉛筆硬度を獲得するためには保護層の厚さが約100μmであれば充分であり、保護層が過度に厚くなると、破れに関する特性(すなわち、破れにくさ)が悪くなり得る。従って、保護層の厚さは、約100μm〜150μmであることが好ましい。
【0113】
また、良好な鉛筆硬度特性を有する保護ウインドウを形成するため、第1透明基材は、ポリエチレンテレフタレート又はポリメチルメタクリレートを含むことが好ましい。
【0114】
前述のように、本明細書では、ガラスレベルの鉛筆硬度レベルで、鉛筆硬度値が8H以上の場合、良好なものと判定し、鉛筆硬度値が8H以下である場合には不良と判定したため、鉛筆8H以上の鉛筆硬度レベルを示す保護層の厚さが100μmであり、第1透明基材がポリエチレンテレフタレート又はポリメチルメタクリレートを含む場合(25〜28番目のサンプル及び33〜36番目のサンプル)にのみ、Ball Drop実験及び反り実験を行った。
【0115】
実験結果を示す表3に基づいて、第1透明基材の材質及び第2透明基材の材質と機具剛度との関係について検討すると、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含む25〜28番目のサンプルは、いずれも20cm以上のBall Drop実験結果を示し、良好な機具剛度特性を有しており、平均は27.5cmである。第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含む33〜36番目のサンプルは、いずれも20cm以上の実験結果を示し、良好な機具剛度特性を有しており、平均は27cmである。第2透明基材がポリカーボネートを含む25、27、33、35番目のサンプルは、いずれも20cm以上の実験結果を示し、良好な機具剛度特性を有しており、平均は20cmである。第2透明基材がポリメチルメタクリレートを含む26、28、34、36番目のサンプルは、いずれも20cm以上の実験結果を示し、良好な機具剛度特性を有しており、平均は32.5cmである。
【0116】
第2透明基材がポリカーボネートを含む場合のBall Drop実験結果の平均が20cmであることに比べ、第2透明基材がポリメチルメタクリレートを含む場合のBall Drop実験結果の平均は32.5cmであるため、より高い機具剛度を有する保護ウインドウは、ポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材を有していることがわかる。
【0117】
実験結果を示す表3に基づき、第1透明基材の材質及び第2透明基材の材質と反り特性との関係について検討すると、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含む25〜28番目のサンプルは、平均1.075cmの反り実験結果を示した。第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含む33〜26番目のサンプルは、平均2.025cmの反り実験結果を示した。第2透明基材がポリカーボネートを含む25、27、33、35番目のサンプルは、平均1.35cmの反り実験結果を示した。第2透明基材がポリメチルメタクリレートを含む26、28、34、36番目のサンプルは、平均1.75cmの反り実験結果を示した。
【0118】
第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含む場合、平均1.075cmの反り実験結果を示し、平均2.025cmの反り実験結果を示す第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含む場合よりも、反り特性が優れる。第2透明基材がポリカーボネートを含む場合、平均1.35cmの反り実験結果を示し、平均1.75cmの反り実験結果を示す第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含む場合よりも、反り特性が優れる。従って、反り特性が優れる保護ウインドウは、ポリエチレンテレフタレートを含む第1透明基材及びポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材を有していることがわかる。
【0119】
接着剤は、第1透明基材と第2透明基材との間に位置し、両側を接着する役割を果たし、実験例1では、感圧接着剤(Pressure Sensitive Adhesive)を使用した。実験結果を示す表3によれば、接着剤の厚さは、保護ウインドウの鉛筆硬度、機具剛度及び反り特性に影響を与えないことが分かる。
【0120】
<実験例2:保護ウインドウの表面硬度、機具剛度、環境信頼性の測定>
保護ウインドウで第1透明基材の材質及び第2透明基材の厚さを表4のように変化させ、鉛筆硬度、Ball Drop特性及び反り特性を測定した。
【0121】
鉛筆硬度、Ball Drop特性及び反り特性に関する説明は、実験例1に記載されている内容と実質的に同一であるため、重複する説明は省略する。
【0122】
実験例2において、保護層の厚さは100μmであり、第1透明基材の厚さは50μmであり、第2透明基材はポリメチルメタクリレートを含む。
【0123】
【表4】

【0124】
実験結果を示す表4に基づき、第1透明基材の材質及び第2透明基材の厚さによる鉛筆硬度について検討すると、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含む1〜3番目のサンプルの場合、第2透明基材の厚さに関係なく良好な鉛筆硬度を有することがわかった。第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含む4〜6番目のサンプルの場合、第2透明基材の厚さが0.5mmである4番目のサンプルと、第2透明基材の厚さが0.65mmである5番目のサンプルは、鉛筆硬度が各々4H及び5Hであり、良好なレベルに至らなかった。第2透明基材の厚さが0.8mmである6番目のサンプルは鉛筆硬度が8Hであり、良好なレベルの鉛筆硬度を有することがわかった。
【0125】
保護ウインドウが良好なレベルの鉛筆硬度を有するために、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含み、厚さが約50μmである場合、ポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材の厚さは約0.5mm以上であってもよい。ただし、第2透明基材が厚くなると、保護ウインドウの厚さが厚くなり、保護ウインドウの重さが重くなり、生産原価が上昇するため、鉛筆硬度が良好なレベルであれば、第2透明基材を更に厚くする必要はない。したがって、保護ウインドウが良好なレベルの鉛筆硬度を有するためには、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含み、厚さが約50μmである場合、ポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材の厚さは約0.5mmであることが好ましい。
【0126】
保護ウインドウが良好なレベルの鉛筆硬度を有するために、第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含み厚さが約50μmである場合、ポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材の厚さは約0.8mm以上であってもよい。ただし、第2透明基材が厚くなると、保護ウインドウの厚さが厚くなり、保護ウインドウの重さが重くなり、生産原価が上昇するため、鉛筆硬度が良好なレベルであれば、第2透明基材を更に厚くする必要はない。したがって、保護ウインドウが良好なレベルの鉛筆硬度を有するためには、第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含み厚さが約50μmである場合、ポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材の厚さは約0.8mmであることが好ましい。
【0127】
実験結果を示す表4に基づき、第1透明基材の材質及び第2透明基材の厚さによる機具剛度について検討すると、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含む1〜3番目のサンプルである場合、第2透明基材の厚さと関係がなく、良好なレベルのBall Drop実験結果を示し、第2透明基材の厚さが増加するほど、より良いBall Drop実験結果を示していることがわかる。第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含む4〜6番目のサンプルである場合、良好なレベルの鉛筆硬度特性を示す6番目のサンプルに対してのみBall Drop実験を行い、6番目のサンプルは30cmの良好なレベルのBall Drop実験結果を示した。
【0128】
保護ウインドウが良好なレベルの機具剛度を有するために、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含み厚さが約50μmである場合、ポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材の厚さは約0.5mm以上であってもよい。ただし、第2透明基材が厚くなると、保護ウインドウの厚さが厚くなり、保護ウインドウの重さが重くなり、生産原価が上昇するため、鉛筆硬度が良好なレベルであれば、第2透明基材を更に厚くする必要はない。したがって、保護ウインドウが良好なレベルの鉛筆硬度を有するためには、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含み厚さが約50μmである場合、ポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材の厚さは約0.5mmであることが好ましい。
【0129】
保護ウインドウが良好なレベルの機具剛度を有するために、第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含み厚さが約50μmである場合、ポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材の厚さは約0.8mm以上であってもよい。ただし、第2透明基材が厚くなると、保護ウインドウの厚さが厚くなり、保護ウインドウの重さが重くなり、生産原価が上昇するため、鉛筆硬度が良好なレベルであれば、第2透明基材を更に厚くする必要はない。したがって、保護ウインドウが良好なレベルの機具剛度を有するためには、第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含み厚さが約50μmである場合、ポリメチルメタクリレートを含む第2透明基材の厚さは約0.8mmであることが好ましい。
【0130】
実験結果を示す表4に基づき、第1透明基材の材質及び第2透明基材の厚さによる反り特性について検討すると、3番目のサンプルが1cmの反り特性結果を有することに比べ、6番目のサンプルは2cmの反り特性結果を有する。これに照らし、第1透明基材がポリエチレンテレフタレートを含む場合が、第1透明基材がポリメチルメタクリレートを含む場合に比べ、良い反り特性を有しているといえる。
【0131】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0132】
10,11,12 保護層
20,21,22 第1透明基材
30,32,34 第2透明基材
31,33 第2透明基材の最下層
40,42 背面層
50,51,52 接着部材
60,61 第3透明基材
70 第1透明基材の第1領域
80 第1透明基材の第2領域
100,110,120 保護ウインドウ
300 収納部材
400 表示ユニット
410 表示ユニットの第1領域
420 表示ユニットの第2領域
1000 表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体を含む第1透明基材と、
前記第1透明基材の一面上に形成され、シルセスキオキサンを含む保護層と、
を有することを特徴とする、保護ウインドウ。
【請求項2】
前記保護層の厚さは、100〜150μmである
ことを特徴とする、請求項1に記載の保護ウインドウ。
【請求項3】
前記重合体は、ポリメチルメタクリレート又はポリエチレンテレフタレートである
ことを特徴とする、請求項2に記載の保護ウインドウ。
【請求項4】
前記第1透明基材の他面上に形成された第2透明基材を更に含み、
前記第2透明基材は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート又はポリエチレンテレフタレートのうち少なくとも一つを含む
ことを特徴とする、請求項3に記載の保護ウインドウ。
【請求項5】
前記第2透明基材は、最下面にポリカーボネートを含む層を有する
ことを特徴とする、請求項4に記載の保護ウインドウ。
【請求項6】
前記重合体は、ポリエチレンテレフタレートであり、
前記第2透明基材は、ポリメチルメタクリレートを含み、
前記第1透明基材の厚さは、50μmであり、
前記第2透明基材の厚さは、0.5mm以上である
ことを特徴とする、請求項4に記載の保護ウインドウ。
【請求項7】
前記重合体は、ポリメチルメタクリレートであり、
前記第2透明基材は、ポリメチルメタクリレートを含み、
前記第1透明基材の厚さは、50μmであり、
前記第2透明基材の厚さは、0.8mm以上である
ことを特徴とする、請求項4に記載の保護ウインドウ。
【請求項8】
前記第2透明基材の下部に設けられる接着部材を更に有する
ことを特徴とする、請求項4に記載の保護ウインドウ。
【請求項9】
前記第1透明基材の一面は、第1領域及び第2領域を含み、
前記保護層は、前記第1領域上に配置される
ことを特徴とする、請求項1に記載の保護ウインドウ。
【請求項10】
前記第2領域上に配置され、重合体を含む第3透明基材を更に含み、
前記保護層の厚さと前記第3透明基材の厚さとは、互いに同一である
ことを特徴とする、請求項9に記載の保護ウインドウ。
【請求項11】
前記第1透明基材は、前記第2領域上に突出部が形成されており、
前記第1透明基材の一面での前記突出部の高さは、前記保護層の厚さと同一である
ことを特徴とする、請求項9に記載の保護ウインドウ。
【請求項12】
重合体を含む第1透明基材と、
前記第1透明基材の一面上に形成され、シルセスキオキサンを含む保護層と、
前記第1透明基材の他面上に形成され、シルセスキオキサンを含む背面層と、
を有することを特徴とする、保護ウインドウ。
【請求項13】
前記保護層の厚さは、100〜150μmである
ことを特徴とする、請求項12に記載の保護ウインドウ。
【請求項14】
前記背面層の厚さは、100〜150μmである
ことを特徴とする、請求項13に記載の保護ウインドウ。
【請求項15】
前記重合体は、ポリメチルメタクリレート又はポリエチレンテレフタレートである
ことを特徴とする、請求項13に記載の保護ウインドウ。
【請求項16】
前記第1透明基材と前記背面層との間に形成される第2透明基材を更に含み、
前記第2透明基材は、ポリカーボネートを含む
ことを特徴とする、請求項13に記載の保護ウインドウ。
【請求項17】
前記背面層の下部に設けられる接着部材を更に有する
ことを特徴とする、請求項12に記載の保護ウインドウ。
【請求項18】
表示ユニットと、
前記表示ユニット上に配置される保護ウインドウと、
を備え、
前記保護ウインドウは、
重合体を含む第1透明基材と、
前記第1透明基材の一面上に形成され、シルセスキオキサンを含む保護層と、
を有する
ことを特徴とする、表示装置。
【請求項19】
前記保護ウインドウと対向する前記表示ユニットの一面は、第1表示ユニット領域及び第2表示ユニット領域を含み、
前記保護層は、前記第1表示ユニット領域上に配置される
ことを特徴とする、請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記保護ウインドウは、
前記第2表示ユニット領域上部に位置し前記第1透明基材の一面上に配置される、重合体を含む第3透明基材を有する
ことを特徴とする、請求項19に記載の表示装置。
【請求項21】
前記第1表示ユニット領域は、表示領域であり、
前記第2表示ユニット領域は、非表示領域である
ことを特徴とする、請求項20に記載の表示装置。
【請求項22】
前記重合体は、ポリメチルメタクリレート又はポリエチレンテレフタレートである
ことを特徴とする、請求項18に記載の表示装置。
【請求項23】
前記保護ウインドウは、
前記第1透明基材の他面上に形成された第2透明基材を更に有し、
前記第2透明基材は、最下面にポリカーボネートを含む層を有する
ことを特徴とする、請求項22に記載の表示装置。
【請求項24】
前記保護ウインドウは、
前記第1透明基材の他面上に形成された第2透明基材を更に有し、
前記第2透明基材は、最下面にポリメチルメタクリレートを含む層を有する
ことを特徴とする、請求項22に記載の表示装置。
【請求項25】
前記保護ウインドウは、前記第1透明基材の他面上に形成され、シルセスキオキサンを含む背面層を有する
ことを特徴とする、請求項18に記載の表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−15811(P2013−15811A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262186(P2011−262186)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】