説明

保護カバー装置、及びベース体

【課題】建物の出隅部、及び入隅部に配置される配管材を覆うための出隅部保護カバー、及び入隅部保護カバーを構成するベース体を共用可能とする。
【解決手段】出隅部Aを覆う形態で配置される出隅部保護カバー体Kと、入隅部Bに嵌め込まれる形態で配置される入隅部保護カバー体Kと、前記出隅部A又は入隅部Bを構成する二壁面W、W、(W、W)のうち一方の壁面W(W)のみに沿うように直状に形成されたベース部と、前記した二種類の各保護カバー体K、Kのいずれに対しても組付け可能なように当該ベース部に一体に形成されて、前記各保護カバー体K、Kの一対の側壁部における一方の壁面に対応した部分に設けられた組付凸部16,26に対して組付け可能な被組付凹部4とを備えたベース体Vとから成り、前記ベース体Vは、前記したいずれの保護カバー体K、Kに対しても一組となって使用可能な構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の出隅部、及び入隅部に配置される配管材を覆うための出隅部保護カバー、及び入隅部保護カバー、更には、壁面に直線配管される2本の直状保護カバーを接続する直線接続保護カバーを構成するベース体を共用可能にした保護カバー装置、及びベース体に関するものである。
【0002】
以下に使用される「保護カバー」とは、壁面に固定される単一の「ベース体」と、当該ベース体に組み付けられる単一の「カバー体」とで構成される配管材のカバー機能を有する組付体を指し、「保護カバー装置」とは、種類の異なる複数の「カバー体」と、当該複数の「カバー体」のいずれも壁面に固定可能とする一種類の「ベース体」との組み合せに係る概念を指す。更に、前記した「保護カバー」或いは「保護カバー装置」を構成する単体部材には、「カバー体」、「ベース体」のように「部材名称」の末尾に「体」を付して、その旨を明確化する。
【背景技術】
【0003】
建物の出隅部及び入隅部に配管される配管材を覆うには、出隅部保護カバー、及び入隅部保護カバーがそれぞれ使用される。出隅部、及び入隅部の各保護カバーは、いずれも出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面に跨がった形態で固定されるベース体と、当該ベース体に組み付けられるカバー体とで構成され、当然のことながら、出隅部、及び入隅部に使用される各ベース体の形状は、互いに全く異なっていると共に、各カバー体の形状も、同様に全く異なっている(特許文献1の図9及び図10)。
【0004】
よって、特定の呼径の配管材を建物の出隅部及び入隅部に配管するには、当該呼径に対応した出隅部及び入隅部の各保護カバーが必要となり、結果として、計4種類の構成部品を成形(多くは、射出成形)する必要があり、計4種類の部品に対応した成形金型の製作、及び部品管理が必要となって、成形金型の製作、及び部品管理の双方においてコスト高となっていた。
【0005】
また、施工面においては、出隅部及び入隅部に対して各ベース体を固定するには、当該出隅部及び入隅部を構成する直交する二つの壁面に対してベース体の互いに直交する部分をビス類を介して固定していた。即ち、一つのベース体を出隅部又は入隅部に固定するのに、当該出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面に対してそれぞれ固定しており、固定作業が手間がかかるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−16799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、建物の出隅部、及び入隅部に配置される配管材を覆うための出隅部保護カバー、及び入隅部保護カバー、更には、壁面に直線配管される2本の直状保護カバーを接続する直線接続保護カバーを構成するベース体を共用可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、建物壁の出隅部に沿って凸状に屈曲する天壁部と、当該天壁部の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が前記出隅部を構成する二壁面に沿って略当接する一対の側壁部と、前記二壁面に配置される直状保護カバーを接続するために、配管方向に沿った両端にそれぞれ設けられた接続口とを備え、前記出隅部を覆う形態で配置される出隅部保護カバー体と、前記建物壁の入隅部に沿って凹状に屈曲する天壁部と、当該天壁部の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が前記入隅部を構成する二壁面に沿って略当接する一対の側壁部と、前記二壁面に配置される直状保護カバーを接続するために、配管方向に沿った両端にそれぞれ設けられた接続口とを備え、前記入隅部に嵌め込まれる形態で配置される入隅部保護カバー体と、前記出隅部又は入隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように直状に形成されたベース部と、前記した二種類の各保護カバー体のいずれに対しても組付け可能なように当該ベース部に一体に形成されて、前記各保護カバー体の一対の側壁部における一方の壁面に対応した部分に設けられた組付部に対して組付け可能な被組付部とを備えたベース体とから成り、前記ベース体は、前記した出隅部及び入隅部のいずれの保護カバー体に対しても一組となって使用されて、各保護カバー体に対して共用されることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、ベース部と被組付部とを備えたベース体は、出隅部又は入隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように直状に形成されて、二種類の出隅部及び入隅部の各保護カバー体のいずれに対しても組付け可能となっている。この結果、出隅部又は入隅部を構成する一方の壁面に対してベース体を固定する際に、当該ベース体の被組付部の位置を、出隅部又は入隅部に配置される出隅部保護カバー体又は入隅部保護カバー体の一対の側壁部の内側面に設けられた組付部の位置に対応させることにより、同一のベース体を出隅部保護カバー体及び入隅部保護カバー体のいずれに対しても一組として使用して、当該ベース体を共用させられる。
【0010】
出隅部保護カバー体及び入隅部保護カバー体に対してベース体を共用させられる結果、出隅部保護カバー及び入隅部保護カバーを構成する部材の数が「3」となって、部材数(部品数)を減少させられる。この結果、成形金型の製作、部材の管理が容易になると共に、配管材の配管時には、出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面の一方に対してのみベース体を固定すればよく、配管作業も容易となる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ベース体には、ベース部に一体に形成された被組付部から長手方向に延出されて、出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面の交差部に位置合せすることで、出隅部及び入隅部の各保護カバー体の組付部に対応する位置に被組付部を配置可能とする位置合せ片が一体に設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、ベース体の位置合せ片を、出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面の交差部に当てがうことにより、出隅部及び入隅部の各保護カバー体の組付部に対応する位置に、ベース体の被組付部を配置できて、前記二つの壁面の一方に対するベース体の固定位置を正しく定められる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記位置合せ片は、被組付部に対して長手方向の両側にそれぞれ異なる長さだけ延出された出隅部用及び入隅部用の各位置合せ片で構成されることを特徴としている。
【0014】
請求項3の発明によれば、建物の出隅部及び入隅部にベース体をそれぞれ固定する際に、各交差部を基準にして、当該ベース体の両端の位置を逆した状態で配置することにより、配管方向に沿った当該ベース体の両端の配置をそのままにして、出隅部及び入隅部の各交差部に対する位置合せ面を変更させるのみで、出隅部及び入隅部のいずれにおいても、当該ベース体の被組付部の位置を、出隅部及び入隅部の各保護カバー体の一対の側壁部の内側面に設けられた組付部の位置に対応させられる。この結果、出隅部及び入隅部を構成する二つの壁面の一方に対してベース体を固定する際の位置決め作業が容易となる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記ベース体のベース部の長さは、入隅部保護カバー体における組付部が設けられた側の壁面に配置される長さと等しくなっていて、前記出隅部保護カバー体に設けられる組付部と建物壁の出隅部の交差部との距離は、前記入隅部保護カバー体に設けられる組付部と当該入隅部保護カバー体の当該組付部が形成された側の接続口との距離と等しくなっていることを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明によれば、入隅部を構成する二つの壁面の一方にベース体を固定した状態において、当該ベース体の全体が、入隅部保護カバー体における組付部が形成された側の部分に収容されて、当該ベース体の突出部がなくなるため、直状保護カバーとの接続作業がし易くなる。なお、出隅部においては、当該ベース体の一部は、出隅部保護カバー体を屈曲部で二分した場合において、組付部が設けられた側の部分の接続口から所定長だけ突出する。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記出隅部及び/又は入隅部の各保護カバー体は、当該出隅部及び/又は入隅部を構成する二つの壁面に配置される各部分の長さが異なっていて、長さの長い側のみに組付部が形成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項5の発明によれば、出隅部及び/又は入隅部の各保護カバー体は、出隅部及び/又は入隅部を構成する二つの壁面に配置される各部分のうち、長さの長い側において、壁面に固定されたベース体に組付けられて、当該壁面に固定される。このため、出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面の一方に出隅部保護カバー体又は入隅部保護カバー体をベース体を介して固定する構造において、固定状態が安定化する。
【0019】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、前記出隅部及び/又は入隅部の各保護カバー体の接続口に接続される直状保護カバーを備え、前記ベース体のベース部に被組付部の両側に設けられた各位置合せ片のうち前記出隅部及び/又は入隅部の反交差部側の位置合せ片は、前記直状保護カバーを構成するベース体の幅方向の位置合せが可能なように、当該ベース体に嵌合される構成であることを特徴としている。
【0020】
請求項6の発明によれば、出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面の一方にベース体が固定された状態において、当該ベース体のベース部に被組付部の両側に配置して設けられた各位置合せ片のうち、反交差部側の位置合せ片は、直状保護カバーを構成するベース体を壁面に固定する際に、当該ベース体に嵌合されて、幅方向の位置合せが行われる。このように、ベース体における被組付部の両側に設けられた各位置合せ片は、自身に設けられた被組付部の壁面に対する配管方向に沿った配置位置を定めるのみならず、出隅部保護カバー体又は入隅部保護カバー体に接続される直状保護カバーを構成するベース体の幅方向の位置合せも行える。即ち、ベース体に設けられた一つの位置合せ片が二つの機能を備えることになる。
【0021】
請求項7の発明は、建物壁の出隅部に沿って凸状に屈曲する天壁部と、当該天壁部の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が前記出隅部を構成する二壁面に沿って略当接する一対の側壁部と、前記二壁面に配置される直状保護カバーを接続するために、配管方向に沿った両端にそれぞれ設けられた接続口とを備え、前記出隅部を覆う形態で配置される出隅部保護カバー体と、前記出隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように直状に形成されたベース部と、前記出隅部保護カバー体に対しても組付け可能なように当該ベース部に一体に形成されて、前記出隅部保護カバー体の一対の側壁部における一方の壁面に対応した部分に設けられた組付部に対して組付け可能な被組付部とを備えた出隅部ベース体と、前記建物壁の入隅部に沿って凹状に屈曲する天壁部と、当該天壁部の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が前記入隅部を構成する二壁面に沿って略当接する一対の側壁部と、前記二壁面に配置される直状保護カバーを接続するために、配管方向に沿った両端にそれぞれ設けられた接続口とを備え、前記入隅部に嵌め込まれる形態で配置される入隅部保護カバー体と、前記入隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように直状に形成されたベース部と、前記入隅部保護カバー体に対しても組付け可能なように当該ベース部に一体に形成されて、前記入隅部保護カバー体の一対の側壁部における一方の壁面に対応した部分に設けられた組付部に対して組付け可能な被組付部とを備えた入隅部ベース体とから成り、前記出隅部及び入隅部の各ベース体は、前記した二種類の各保護カバー体のいずれに対しても組付け可能であることを特徴としている。
【0022】
請求項7の発明によれば、出隅部及び入隅部の各ベース体は、出隅部及び入隅部の二種類の各保護カバー体のいずれに対しても組付け可能となっていて、ベース体が出隅部用であるか、或いは入隅部用であるかを特定する必要がなくなるため、当該ベース体の管理が容易となる利点がある。例えば、保管時において、出隅部保護カバーを構成する出隅部保護カバー体と出隅部ベース体とが一体に組み付けられた状態において、両者が分離されて出隅部ベース体が紛失された場合において、出隅部保護カバー体に対しては出隅部用又は入隅部用のいずれかのベース体でも組付け可能となって、ベース体に係る管理が容易となる。
【0023】
請求項8の発明は、建物の出隅部を覆う形態で配置される出隅部保護カバー体、同じく入隅部に嵌め込まれる形態で配置される入隅部保護カバー体及び一般の壁面に配置される二本の直状保護カバーを接続する直線接続保護カバー体のいずれに対しても一組となって使用されて、前記出隅部、入隅部又は壁面に対して前記各保護カバーを固定するのに使用されるベース体であって、前記出隅部又は入隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように、或いは前記した一般の壁面に沿うように直状に形成されたベース部と、前記した三種類の保護カバー体のいずれに対しても組付け可能なように当該ベース体に一体に形成されて、前記各保護カバー体の一対の側壁部の内側面に設けられた各組付部のいずれに対しても組付け可能な被組付部とを備えていることを特徴としている。
【0024】
請求項8の発明によれば、出隅部保護カバー体、入隅部保護カバー体、及び直線接続保護カバー体の異なる三種類の保護カバー体に対してベース体が共用可能となって、出隅部保護カバー、入隅部保護カバー、及び直線接続保護カバーを、出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面のうちの一方の壁面、或いは直状保護カバーが配置される一般的な壁面に対して固定可能となる。
【0025】
請求項9の発明は、建物の出隅部を覆う形態で配置される出隅部保護カバー体、同じく入隅部に嵌め込まれる形態で配置される入隅部保護カバー体、及び一般の壁面に配置される2本又は3本の直状保護カバーを接続する直線接続保護カバー体の計三種類の保護カバー体と、前記三種類の保護カバー体を前記出隅部又は入隅部を構成する壁面、或いは一般の壁面に固定するのに用いられる請求項8に記載の複数本のベース体とから成り、前記出隅部又は入隅部の場合には、当該各隅部を構成する二つの壁面にそれぞれ前記2本のベース体がそれぞれ固定され、一般の壁面の場合には、2本のベース体が直列に並べられたり、或いは3本のベース体がT字状に配置されて固定され、前記複数本のベース体を介して前記した三種類の保護カバー体が出隅部又は入隅部を構成する壁面、或いは一般の壁面に固定されることを特徴としている。
【0026】
請求項9の発明によれば、出隅部保護カバー体、及び入隅部保護カバー体は、2本のベース体を介して出隅部又は入隅部を形成する二つの壁面に対してそれぞれ固定されると共に、直線接続保護カバー体は、直列に接続された2本のベース体、或いはT字状に配置された3本のベース体を介して一般の壁面に固定されるために、各保護カバー体の固定構造がしっかりする。特に、屈曲部で二分した二つの部分の長さが同一である一般形状を有する出隅部保護カバー体又は入隅部保護カバー体の使用が可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ベース部と被組付部とを備えたベース体は、出隅部又は入隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように直状に形成されて、二種類の出隅部及び入隅部の各保護カバー体のいずれに対しても組付け可能となっているため、出隅部又は入隅部を構成する一方の壁面に対してベース体を固定する際に、当該ベース体の被組付部の位置を、出隅部又は入隅部に配置される出隅部保護カバー体又は入隅部保護カバー体の一対の側壁部の内側面に設けられた組付部の位置に対応させることにより、同一のベース体を出隅部保護カバー体及び入隅部保護カバー体のいずれに対しても一組として使用して、当該ベース体を共用させられる。この結果、出隅部保護カバー体及び入隅部保護カバー体に対してベース体を共用させられる結果、出隅部保護カバー及び入隅部保護カバーを構成する部材の数が「3」となって、部材数(部品数)を減少させられて、成形金型の製作、部材の管理が容易になると共に、配管材の配管時には、出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面の一方に対してのみベース体を固定すればよく、配管作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】建物壁の隣接する出隅部A及び入隅部Bを構成する各壁面W1 ,W3 に出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 の各ベース体V1 を固定した状態の斜視図である。
【図2】各壁面W1 ,W3 に固定された各ベース体V1 に直状保護カバーC3 のベース体V3 を接続して、配管材Pを配管した状態の斜視図である。
【図3】直状保護カバーC3 のベース体V3 にカバー体K3 を覆蓋すると共に、配管材Pの壁面W2 に配置された部分を直状カバー体K0 で覆った状態の斜視図である。
【図4】配管材Pの出隅配管部及び入隅配管部が出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 の各カバー体K1 ,K2 で覆われた状態の斜視図である。
【図5】(a)は、各保護カバーC1 ,C2 の組付部分の横断面図であり、(b)は、各保護カバーC1 ,C2 のベース体V1 と直状保護カバーC3 のベース体V3 との嵌合状態の横断面図である。
【図6】出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 と直状カバー体K0 との組付け状態の平面断面図である。
【図7】出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成するベース体V1 とカバー体K1 ,K2 の組付状態の斜視図である。
【図8】(a),(b)は、出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成するベース体V1 を異なる方向から見た斜視図である。
【図9】出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成する各カバー体K1 、K2 の各組付凸部16,26とベース体V1 の被組付凹部4との位置関係を説明するための図である。
【図10】罫書き線を罫書かなくても出隅部保護カバーC1 を配管経路に設置可能とする配管例を示す模式図である。
【図11】直交配置される一対のベース体V1 を有する出隅部保護カバーC1'の斜視図である。
【図12】2本の直状保護カバーC3 が直線接続保護カバーC4 を介して接続される状態を示す斜視図である。
【図13】直列に並べられた2本のベース体V1 を有する直線接続保護カバーC5 を介して2本の直状保護カバーC3 が接続される状態を示す斜視図である。
【図14】T字状に配置された3本のベース体V1 を有するT字接続保護カバーC6 を介して3本の直状保護カバーC3 が接続される状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。最初に、図1〜図9を参照して、本発明の実施に使用される出隅部保護カバーC1 、入隅部保護カバーC2 及び直状保護カバーC3 について説明し、その後に、各保護カバーC1 〜C3 を使用して、建物壁の出隅部A及び入隅部Bを通って各壁面W1 〜W3 に配管材Pを配管する方法(施工順序)について説明する。なお、出隅部Aを構成する各壁面W1 ,W2 及び入隅部Bを構成する各壁面W2 ,W3 は、互いに直交している。
【0030】
出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 は、図3〜図9に示されるように、配管材Pにおける建物壁の出隅部A及び入隅部Bに配管される部分を覆う部材であって、共通のベース体V1 とカバー体K1 ,K2 とで構成される。共通のベース体V1 は、図8及び図9に示されるように、配管方向に沿って配置される長方形板状をしたベース部1の長手方向に沿って中央からずれた位置に幅広部2が形成され、当該幅広部2の両端部に上方に向けて一対の起立部3が一体に起立して設けられている。ベース部1の長さ(L01)は、入隅部保護カバーC2 における二つの壁面W2 ,W3 に配置される部分のうち壁面W3 に配置される長さの長い側の部分の長さ(L21)と同一である。直状保護カバーC3 のベース体V3 には、前記した共通のベース部1が挿入されて、当該ベース部1に対する幅方向の位置を定めるための位置決め凹部34〔図5(b)参照〕が形成されており、当該ベース体V1 のベース部1の幅(U1 )は、前記ベース体V3 の位置決め凹部34の幅(U3 )よりも僅かに小さくなっている。ベース体V1 の一対の起立部3の外側面における下端部には、後述の出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成する各カバー体K1 ,K2 の内側面に設けられた一対一組の組付凸部16,26が嵌合される被組付凹部4が形成されている。また、ベース部1の幅方向の中央部には、全長に亘って位置決め凹条5が設けられ、前記幅広部2における当該位置決め凹条5の部分には、建物壁における出隅部A及び入隅部Bを形成する二つの壁面W1 ,W2 (W2 ,W3 )のうちの一方の壁面W1 (W3 )に対して前記ベース体V1 を固定するビス91の挿通孔6が形成されている。
【0031】
また、ベース体V1 のベース部1には、長手方向に沿った中央部から一方の端部にずれた位置に一対の被組付凹部4が配置されていて、前記ベース部1における当該一対の被組付凹部4を基準にして両側に延出している部分は、それぞれ当該ベース体V1 を前記壁面W1 (W3 )に固定する際の配管方向に沿った位置決め機能を果す出隅部用及び入隅部用の各位置合せ片7,8として機能している。
【0032】
次に、図6〜図9を参照して、出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成する各カバー体K1 ,K2 について説明する。出隅部保護カバーC1 のカバー体K1 は、建物壁の出隅部Aに沿って凸状に屈曲する天壁部11と、当該天壁部11の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が出隅部Aを構成する二つの各壁面W1 ,W2 に沿って略当接する一対の側壁部12と、前記各壁面W1 ,W2 に沿って配置される直状保護カバーC3 及び直状カバー体K0 を接続するための互いに直交する各接続口13,14とを備えている。カバー体K1 の各側壁部12の各壁面W1 ,W2 に当接する内側の部分は、当該各壁面W1 ,W2 の交差部A0 に配置可能なように直角に切り欠かれた形状となっており、出隅部Aの交差部A0 に宛てがわれる部分を交差部対応部15という。カバー体K1 における各壁面W1 ,W2 に配置される各部分の長さL11,L12は異なっていて、壁面W1 に配置される側が、壁面W2 に配置される側よりも遥かに長くなるように形成されている。そして、一対の側壁部12における長さの長い側の内側面のみに、ベース体V1 の一対の被組付凹部4に嵌合される一対の組付凸部16が対向して形成されている。一対の組付凸部16と前記交差部対応部15との間の距離(L13)は、前記ベース体V1 の一対の被組付凹部4と出隅部用位置合せ片7の端面7aとの間の距離(L02)に等しい(図9参照)。
【0033】
一方、入隅部保護カバーC2 のカバー体K2 は、建物壁の入隅部Bに沿って凹状に屈曲する天壁部21と、当該天壁部21の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が出隅部Aを構成する二つの各壁面W2 ,W3 に沿って略当接する一対の側壁部22と、前記各壁面W2 ,W3 に沿って配置される直状カバー体K0 及び直状保護カバーC3 を接続するための互いに直交する各接続口23,24とを備えている。カバー体K2 における各壁面W2 ,W3 に配置される各部分の長さL21,L22は異なっていて、壁面W3 に配置される側が、壁面W2 に配置される側よりも長くなるように形成されている。そして、一対の側壁部22における長さの長い側の内側面のみに、ベース体V1 の一対の被組付凹部4に嵌合される一対の組付凸部26が対向して形成されている。カバー体K2 の一対の組付凸部26と壁面W3 に配置される側の接続口23との間の距離(L23)は、前記ベース体V1 の一対の被組付凹部4と出隅部用位置合せ片7の端面7aとの間の距離(L02)に等しい。
【0034】
上記したように、出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成する各カバー体K1 ,K2 は、出隅部A又は入隅部Bを構成する二つの壁面W1 ,W2 (W2 ,W3 )に配置される各部分の長さが異なっていて、一対の側壁部12(22)における長さの長い側の内側面のみに一対の組付凸部16(26)が対向して形成されていて、一対の側壁部12(22)における長さの長い側、換言すると壁面に対する必要保持力が大きな側において各カバー体K1 ,K2 がベース体V1 に組み付けられる構成となっている。このため、一対の側壁部12(22)における長さが短くて、必要保持力の小さな側は、壁面W2 に対して固定されていなくても、各カバー体K1 ,K2 を安定して壁面W1 (W3 )に対して保持固定できる(図9参照)。
【0035】
出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成する各カバー体K1 ,K2 の天壁部11,21における壁面W2 に配置される部分の内面には、当該各カバー体K1 ,K2 の間である壁面W2 に配置される直状カバー体K0 が配管方向に沿って移動するのを規制する規制突起17,27がそれぞれ設けられている。
【0036】
また、直状保護カバーC3 は、配管材Pの直線配管部を覆う公知のカバーであって、図2及び図5(b)に示されるように、内部に配管材Pを収容保持して、壁面W1 ,W3 に固定されるベース体V3 と、当該ベース体V3 に覆蓋されるカバー体K3 とから成る。ベース体V3 は、板状のベース部31の幅方向の両端部に弾性変形可能な一対の保持壁部32が起立して形成され、当該一対の保持壁部32の基端部の外側に嵌合凹部33が形成され、前記ベース部31の裏面側に前記位置決め凹部34が設けられている。一方、カバー体K3 は、天壁部35の幅方向の両端部に一対の側壁部36が対向して形成され、当該一対の側壁部36の下端部の内側に、前記ベース体V3 の嵌合凹部33に嵌合される嵌合凸部37が形成されている。そして、ベース体V3 の一対の保持壁部32の間に配管材Pを挿入保持された状態で、当該ベース体V3 に対してカバー体K3 を覆蓋させると、ベース体V3 の一対の嵌合凹部33に対してカバー体K3 の一対の嵌合凸部37が嵌合されて、ベース体V3 とカバー体K3 とが組み付けられる。
【0037】
また、図2、図3及び図6に示されるように、配管材Pにおける建物壁における隣接する出隅部A及び入隅部Bとの間の壁面W2 に配管される部分は、直状カバー体K0 のみによって覆われる。直状カバー体K0 は、前記直状保護カバーC3 を構成するカバー体K3 の一対の側壁部36の内側面に設けられた一対の嵌合凸部37を欠落させた構成であって、天壁部41の幅方向の両端部に一対の側壁部42が一体に接続された構成である。なお、入隅部及び出隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成するベース体V1 及び各保護カバー体K1 ,K2 は、樹脂の射出成形により形成され、中間直状保護カバー体K0 並びに直状保護カバーC3 を構成するベース体V3 とカバー体K3 は、樹脂の押出成形により形成される。
【0038】
次に、図1〜図4を参照して、各保護カバーC1 〜C3 及び直状カバー体K0 を使用して、建物壁の出隅部A及び入隅部Bを通って各壁面W1 〜W3 に配管材Pを配管する方法(施工順序)について説明する。図1に示されるように、建物壁に設けられた出隅部Aと入隅部Bとは、比較的近接していて、当該出隅部A及び入隅部Bの部分に配管材Pを配管する例を挙げる。まず、図1に示されるように、各壁面W1 〜W3 の配管位置には罫書き線Jが罫書かれていて、出隅部A及び入隅部Bを構成する二つの壁面のうち互いに平行な壁面W1 ,W3 に対してそれぞれベース体V1 を前記罫書き線Jに沿って固定する。出隅部Aを構成する壁面W1 にベース体V1 を固定するには、出隅部用位置合せ片7の端面7aを出隅部Aの交差部A0 に位置合せして、当該ベース体V1 を配管方向に配置して、ビス91を介して当該ベース体V1 を壁面W1 に固定する。一方、入隅部Bを構成する壁面W3 にベース体V1 を固定するには、入隅部用位置合せ片8の端面8aを入隅部Bの交差部B0 に位置合せして、即ち、当該端面8aを壁面W2 に当接させた状態で、壁面W3 に対してベース体V1 をビス91を介して固定する。
【0039】
次に、図2及び図5(b)に示されるように、出隅部Aにおいては、壁面W1 に固定されたベース体V1 の入隅部用位置合せ片8が、直状保護カバーC3 のベース体V3 に設けられた位置決め凹部34に挿入された状態で、当該ベース体V3 をビス(図示せず)を用いて壁面W3 に固定する。全く同様にして、入隅部Bにおいては、壁面W3 に固定されたベース体V1 の出隅部用位置合せ片7が、直状保護カバーC3 のベース体V3 に設けられた位置決め凹部34に挿入された状態で、当該ベース体V3 をビス(図示せず)を用いて壁面W1 に固定する。図示の施工例では、各壁面W1 ,W3 において、直状保護カバーC3 のベース体V3 の端面は、いずれもベース体V1 に起立して形成された一対の起立部3の端面に当接している。出隅部A及び入隅部Bに配管される配管材Pは互いに逆方向に屈曲して配管する必要があるため、所定長に切断された3本の配管材Pがエルボ92を介して接続されており、各エルボ92を出隅部A及び入隅部Bに配置した状態で、接続済の2本の各配管材Pをそれぞれ壁面W1 ,W3 に固定された直状保護カバーC3 の各ベース体V3 に収容保持させる。
【0040】
引き続いて、図3に示されるように、直状保護カバーC3 のベース体V3 に対してカバー体K3 を覆蓋させた後に、壁面W2 に配管された配管材Pを覆う直状カバー体K0 を一方の手で保持した状態で、他方の手で持った出隅部保護カバーC1 のカバー体K1 を、壁面W1 に固定されたベース体V1 に対して押し込むと、当該ベース体V1 の一対の被組付凹部4に対してカバー体K1 の一対の組付凸部16が嵌合して、壁面W1 に固定されたベース体V1 に対してカバー体K1 が一体に組み付けられる。全く同様にして、壁面W3 に固定された別のベース体V1 に対して入隅部保護カバーC2 のカバー体K2 を押し込んで、当該別のベース体V1 に対してカバー体K2 を一体に組み付ける。
【0041】
これにより、図4及び図6に示されるように、各カバー体K1 ,K2 は、直状保護カバーC3 のカバー体K3 及び直状カバー体K0 の各端部に対して所定長だけ覆い被さった状態で、別々のベース体V1 に対して一体に組み付けられる。また、直状カバー体K0 の両端面は、それぞれ各カバー体K1 ,K2 の天壁部11,21の内面に設けられた各規制突起17,27に当接して、当該直状カバー体K0 は、配管方向に沿って移動不能となって、配置位置が固定される。
【0042】
また、出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成する各カバー体K1 ,K2 は、出隅部A及び入隅部Bを構成する二つの壁面W1 ,W2 (W2 ,W3 )に沿って配置されるが、各カバー体K1 ,K2 は、それぞれ壁面W1 ,W3 に沿って配置される長さの長い側においてのみ各ベース体V1 に一体に組み付けられることにより、各壁面W1 ,W3 に固定されていて、各カバー体K1 ,K2 における壁面W2 に沿って配置される長さの短い側は、当該壁面W2 に対しては固定されていないが、各カバー体K1 ,K2 における長さの短い側は、長さの長い側に比較して必要保持力が小さい。従って、各カバー体K1 ,K2 は、いずれも一方の側のみで各壁面W1 ,W3 に固定されていても、必要な保持力を有することになる。
【0043】
また、上記した配管方法(施工順序)では、最初に、互いに平行な壁面W1 ,W3 の出隅部A及び入隅部Bの部分に罫書き線Jに沿ってベース体V1 をそれぞれ固定することにより、配管作業を行ったが、以下に示す配管方法によれば、配管経路の一部にのみ罫書き線を罫書けば足り、必ずしも配管経路の全域に亘って罫書き線を罫書く必要がなくなる。
【0044】
具体的には、図10に示されるように、出隅部Aに出隅部保護カバーC1 を設置する場合において、入隅部Bを構成する壁面W3 に固定された直状保護カバーC3 のベース体V3 と位置合せして、入隅部保護カバーC2 のベース体V1 を前記壁面W3 に固定した後に、当該ベース体V1 に入隅部保護カバー体K2 を一体に組み付けて、設定長に切断された直状カバー体K0 を壁面W2 に沿って配置して、その一端部を前記入隅部保護カバー体K2 に内挿して、規制突起27に当接させ、この状態で、出隅部保護カバーC1 を構成するベース体V1 とで出隅部保護カバー体K1 とを一体に組み付けた状態で、当該出隅部保護カバー体K1 を、設置済の前記直状カバー体K0 に対して接続させる。これにより、直状カバー体K0 の他端面は、出隅部保護カバー体K1 の内面に設けられた規制突起17に当接して、直状カバー体K0 に対して出隅部保護カバーC1 が正規の位置に配置される。ベース体V1 のベース部1には、幅広部2に形成されたビス挿通孔6の他に、当該ベース体V1 に対して出隅部保護カバー体K1 を組み付けた状態で、当該カバー体K1 から突出する部分に別のビス挿通孔6(図8参照)が形成されていて、当該別のビス挿通孔6に挿通されたビス91を介して壁面W1 に対して前記ベース体V1 を固定する。
【0045】
これにより、配管経路に設置された直状カバー体K0 を基準にして、建物壁の出隅部Aに出隅部保護カバーC1 が設置固定されるので、壁面W1 には、出隅部保護カバーC1 のベース体V1 の設置位置を定めるための罫書き線Jを罫書く必要がなくなる。また、当然のことながら、上記のようにして、配管経路に設置された直状カバー体K0 を基準にして出隅部保護カバーC1 を設置することにより、当該出隅部保護カバーC1 を構成するベース体V1 は、ベース部1の出隅部用位置合せ片7の端面7aが出隅部Aの交差部A0 に配置される正規の位置に配置される。なお、上記のようにして、出隅部保護カバーC1 を壁面W1 に固定した後には、配管材Pの配管のために、出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 のカバー体K1 ,K2 及び直状カバー体K0 は、取り外される。
【0046】
また、上記実施例では、同一のベース体V1 が出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 を構成する各カバー体K1 ,K2 のいずれにも組付け可能であることにより、出隅部及び入隅部の各保護カバーC1 ,C2 に対してベース体V1 が共用可なことを説明した。しかし、本発明(請求項1,7の各発明)における「ベース体が共用可能である」とは、上記実施例に限られず、外観形状等が多少異なっていて、原則的には、出隅部ベース体と入隅部ベース体とが認識(区別)されているが、被組付部の構造が同一であるために、出隅部ベース体(入隅部ベース体)が入隅部保護カバー体(出隅部保護カバー体)に対して組付け可能である構成であっても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0047】
また、図11に示される出隅部保護カバーC1'は、直交配置される一対のベース体V1 を有している点において、前記出隅部保護カバーC1 と異なる。一対のベース体V1 は、出隅部用位置合せ片7の端部が、出隅部Aの交差部A0 において直交して交差するように、当該出隅部Aを構成する各壁面W1 ,W2 に固定されている。カバー体K2'は、出隅部Aを構成する各壁面W1 ,W2 に配置される部分の長さが等しいL字形の形状を有していて、側壁部12’における各壁面W1 ,W2 に配置される部分には、それぞれ組付凸部16が設けられている。このため、出隅部Aを構成する二つの壁面W1 ,W2 に固定された各ベース体V1 に対してカバー体K2'を押し付けると、計4箇所においてベース体V1 の被組付凹部4とカバー体K2'の組付凸部16とが嵌合して、一対のベース体V1 に対してカバー体K2'が一体に組み付けられる。よって、一対のベース体V1 に対するカバー体K2'の組付強度が高まる。
【0048】
全く同様にして、入隅部保護カバーにおいても、入隅部Bを構成する二つの壁面W2 ,W3 に対してそれぞれベース体V1 を固定して、各ベース体V1 の被組付凹部4に対してカバー体における各壁面W2 ,W3 にそれぞれ設けられた組付部を嵌合させて、組付強度を高めることができる。なお、後述のように、特定の壁面に配置される2本の直状保護カバーを直線接続保護カバー体で接続する場合においても、2本のベース体V1 を直列に並べることにより、直線接続保護カバー体の組付強度を高めることも可能である。
【0049】
次に、図12〜図14を参照して、上記したベース体V1 を単体として、或いは複数を組み合せて使用することにより、平面部において複数本の直状保護カバーC3 を接続する種々の例について説明する。
【0050】
図12に示される例は、ベース体V1 と直線接続保護カバー体K4 とで直線接続保護カバーC4 を示している。直線接続保護カバー体K4 は、外側に覆い被せた状態で2本の直状保護カバーC3 を接続するカバー体であって、前記ベース体V1 に一体に組み付けられる。即ち、直線接続保護カバー体K4 は、直状保護カバーC3 を構成するカバー体K3 に対して僅かに相似大形に形成されて、天壁部51の両側に一体に接続して形成された一対の側壁部52の下端部の内側面に、前記ベース体V1 の被組付凹部4に嵌合される組付凸部53が形成されている。このため、壁面W10の配管位置にベース体V1 をビス91を介して固定しておいて、当該ベース体V1 の出隅部用及び入隅部用の各位置合せ片7,8を用いて、2本の直状保護カバーC3 を構成する各ベース体V3 の前記ベース体V1 に対する幅方向の位置合せを行って、当該2本の各ベース体V3 を壁面W10に固定して、当該2本のベース体V3 に配管材Pを収容保持させた後に、各ベース体V3 にそれぞれカバー体K3 を覆蓋させると、2本の直状保護カバーC3 の間には、ベース体V1 に設けられた一対の起立部3の長さと等しい隙間54が形成される。最後に、壁面W10に固定されたベース体V1 に対してカバー体K4 を覆蓋させて押し付けると、当該カバー体K4 に設けられた一対の組付凸部53が、ベース体V1 の一対の被組付凹部4に嵌合される。これにより、ベース体V1 に対してカバー体K4 が一体に組み付けられて、2本の直状保護カバーC3 の各端部、及び両者の間に形成された前記隙間54がカバー体K4 により覆われて、2本の直状保護カバーC3 が直線接続保護カバーC4 により接続される。
【0051】
また、図13に示される例は、直列に並べられた2本のベース体V1 を有する直線接続保護カバーC5 を介して2本の直状保護カバーC3 が接続される状態を示している。直線接続保護カバーC5 と、前記直線接続保護カバーC4 の相違は、ベース体V1 の本数が前者が2本であるのに対して後者が1本であると共に、前者のカバー体K5 の長さが後者のカバー体K4 の長さよりも長くなっている点である。即ち、2本のベース体V1 は、出隅部用位置合せ片7の端面7aを当接させた状態で直列に並べられて壁面W10に固定されるため、各ベース体V1 の起立部3の端面に当接した状態で壁面W10に固定される2本の直状保護カバーC3 の各端部の間に形成される隙間64は、前記隙間54よりも長くなる。このため、カバー体K5 の長さは、前記隙間64に対応した長さになっていて、一対の側壁部62の下端部の内側面には、2本のベース体V1 に形成された二対の被組付凹部4に対応して、二対の組付凸部63が形成されている。このため、2本の直状保護カバーC3 の各ベース体V3 が、直列に並べられた2本のベース体V1 により幅方向の位置合せがそれぞれ行われた状態となって、当該各ベース体V3 に対してそれぞれカバー体K3 が覆蓋されて、2本の直状保護カバーC3 の各端部の間の所定長の隙間64の部分に、直線接続保護カバーC5 を構成するカバー体K5 を押し込んで、当該カバーK5 の両端部により各直状保護カバーC3 の両端部が覆蓋されて、2本の直状保護カバーC3 が接続される。なお、図13において、61は、カバー体K5 の天壁部を示す。
【0052】
更に、図14に示される例は、T字状に配置された3本のベース体V1 を有するT字接続保護カバーC6 を介して3本の直状保護カバーC3 が接続される状態を示している。3本のベース体V1 は、出隅部用位置合せ片7の端面7aが当接するようにT字状に配置されて、壁面W10に固定され、T字接続保護カバーC6 を構成するカバー体K6 は、同様にT字状をなしていて、T字状の天壁部71に対して長手方向の側壁部72aと長手方向に直交する側壁部72bとが接続して一体に設けられ、各側壁部72a,72bの内側面には、それぞれ組付凸部73が形成されている。このため、T字状に配置された3本のベース体V1 により幅方向の位置合せが行われて、T字状に配置された3本の直状保護カバーC3 の各端部の間には隙間74が形成され、当該隙間74は、3本の直状保護カバーC3 の各端部を覆うようにして、各組付凸部73が、3本のベース体V1 の各被組付凹部4に嵌合されるカバー体K6 により覆われる。
【0053】
上記において種々の配管例を挙げて説明したように、出隅部保護カバー体K1 、入隅部保護カバー体K2 、及び直線接続保護カバー体K4 ,K5 ,K6 の異なる三種類の保護カバー体に対して同一のベース体V1 が共用可能となって、出隅部保護カバーC1 、入隅部保護カバーC2 、及び直線接続保護カバーC4 ,C5 ,C6 を、出隅部A又は入隅部Bを構成する二つの壁面W1 ,W2 (W2 ,W3 )のうちの一方の壁面W1 (W3 )、或いは直状保護カバーC3 が配置される一般的な壁面W10に対して固定可能となる。
【符号の説明】
【0054】
A:出隅部
0 :出隅部の交差部
B:入隅部
0 :入隅部の交差部
1 :出隅部保護カバー
2 :入隅部保護カバー
3 :直状保護カバー
4 〜C6 :直線接続保護カバー
1 :出隅部保護カバー体
2 :入隅部保護カバー体
3 :直状保護カバーのカバー体
4 〜K6 :直線接続保護カバー体
P:配管材
1 :ベース体
3 :直状保護カバーのベース体
1 〜W3,W10:壁面
4:ベース体の被組付凹部(被組付部)
7:出隅部用位置合せ片
8:入隅部用位置合せ片
11,21,51,61,71:カバー体の天壁部
12,22,52,62,72:カバー体の側壁部
13:出隅部保護カバー体の接続口
23:入隅部保護カバー体の接続口
16,26,53,63,73:カバー体の組付凸部(組付部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物壁の出隅部に沿って凸状に屈曲する天壁部と、当該天壁部の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が前記出隅部を構成する二壁面に沿って略当接する一対の側壁部と、前記二壁面に配置される直状保護カバーを接続するために、配管方向に沿った両端にそれぞれ設けられた接続口とを備え、前記出隅部を覆う形態で配置される出隅部保護カバー体と、
前記建物壁の入隅部に沿って凹状に屈曲する天壁部と、当該天壁部の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が前記入隅部を構成する二壁面に沿って略当接する一対の側壁部と、前記二壁面に配置される直状保護カバーを接続するために、配管方向に沿った両端にそれぞれ設けられた接続口とを備え、前記入隅部に嵌め込まれる形態で配置される入隅部保護カバー体と、
前記出隅部又は入隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように直状に形成されたベース部と、前記した二種類の各保護カバー体のいずれに対しても組付け可能なように当該ベース部に一体に形成されて、前記各保護カバー体の一対の側壁部における一方の壁面に対応した部分に設けられた組付部に対して組付け可能な被組付部とを備えたベース体と、
から成り、
前記ベース体は、前記した出隅部及び入隅部のいずれの保護カバー体に対しても一組となって使用されて、各保護カバー体に対して共用されることを特徴とする保護カバー装置。
【請求項2】
前記ベース体には、ベース部に一体に形成された被組付部から長手方向に延出されて、出隅部又は入隅部を構成する二つの壁面の交差部に位置合せすることで、出隅部及び入隅部の各保護カバー体の組付部に対応する位置に被組付部を配置可能とする位置合せ片が一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー装置。
【請求項3】
前記位置合せ片は、被組付部に対して長手方向の両側にそれぞれ異なる長さだけ延出された出隅部用及び入隅部用の各位置合せ片で構成されることを特徴とする請求項2に記載の保護カバー装置。
【請求項4】
前記ベース体のベース部の長さは、入隅部保護カバー体における組付部が設けられた側の壁面に配置される長さと等しくなっていて、
前記出隅部保護カバー体に設けられる組付部と建物壁の出隅部の交差部との距離は、前記入隅部保護カバー体に設けられる組付部と当該入隅部保護カバー体の当該組付部が形成された側の接続口との距離と等しくなっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項5】
前記出隅部及び/又は入隅部の各保護カバー体は、当該出隅部及び/又は入隅部を構成する二つの壁面に配置される各部分の長さが異なっていて、長さの長い側のみに組付部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の保護カバー装置。
【請求項6】
前記出隅部及び/又は入隅部の各保護カバー体の接続口に接続される直状保護カバーを備え、
前記ベース体のベース部に被組付部の両側に設けられた各位置合せ片のうち前記出隅部及び/又は入隅部の反交差部側の位置合せ片は、前記直状保護カバーを構成するベース体の幅方向の位置合せが可能なように、当該ベース体に嵌合される構成であることを特徴とする請求項4又は5に記載の保護カバー装置。
【請求項7】
建物壁の出隅部に沿って凸状に屈曲する天壁部と、当該天壁部の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が前記出隅部を構成する二壁面に沿って略当接する一対の側壁部と、前記二壁面に配置される直状保護カバーを接続するために、配管方向に沿った両端にそれぞれ設けられた接続口とを備え、前記出隅部を覆う形態で配置される出隅部保護カバー体と、
前記出隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように直状に形成されたベース部と、前記出隅部保護カバー体に対しても組付け可能なように当該ベース部に一体に形成されて、前記出隅部保護カバー体の一対の側壁部における一方の壁面に対応した部分に設けられた組付部に対して組付け可能な被組付部とを備えた出隅部ベース体と、
前記建物壁の入隅部に沿って凹状に屈曲する天壁部と、当該天壁部の幅方向の両端部に一体に接続されて、先端面が前記入隅部を構成する二壁面に沿って略当接する一対の側壁部と、前記二壁面に配置される直状保護カバーを接続するために、配管方向に沿った両端にそれぞれ設けられた接続口とを備え、前記入隅部に嵌め込まれる形態で配置される入隅部保護カバー体と、
前記入隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように直状に形成されたベース部と、前記入隅部保護カバー体に対しても組付け可能なように当該ベース部に一体に形成されて、前記入隅部保護カバー体の一対の側壁部における一方の壁面に対応した部分に設けられた組付部に対して組付け可能な被組付部とを備えた入隅部ベース体と、
から成り、
前記出隅部及び入隅部の各ベース体は、前記した二種類の各保護カバー体のいずれに対しても組付け可能であることを特徴とする保護カバー装置。
【請求項8】
建物の出隅部を覆う形態で配置される出隅部保護カバー体、同じく入隅部に嵌め込まれる形態で配置される入隅部保護カバー体及び一般の壁面に配置される二本の直状保護カバーを接続する直線接続保護カバー体のいずれに対しても一組となって使用されて、前記出隅部、入隅部又は壁面に対して前記各保護カバーを固定するのに使用されるベース体であって、
前記出隅部又は入隅部を構成する二壁面のうち一方の壁面のみに沿うように、或いは前記した一般の壁面に沿うように直状に形成されたベース部と、前記した三種類の保護カバー体のいずれに対しても組付け可能なように当該ベース体に一体に形成されて、前記各保護カバー体の一対の側壁部の内側面に設けられた各組付部のいずれに対しても組付け可能な被組付部とを備えていることを特徴とするベース体。
【請求項9】
建物の出隅部を覆う形態で配置される出隅部保護カバー体、同じく入隅部に嵌め込まれる形態で配置される入隅部保護カバー体、及び一般の壁面に配置される2本又は3本の直状保護カバーを接続する直線接続保護カバー体の計三種類の保護カバー体と、
前記三種類の保護カバー体を前記出隅部又は入隅部を構成する壁面、或いは一般の壁面に固定するのに用いられる請求項8に記載の複数本のベース体と、
から成り、
前記出隅部又は入隅部の場合には、当該各隅部を構成する二つの壁面にそれぞれ前記2本のベース体がそれぞれ固定され、一般の壁面の場合には、2本のベース体が直列に並べられたり、或いは3本のベース体がT字状に配置されて固定され、
前記複数本のベース体を介して前記した三種類の保護カバー体が出隅部又は入隅部を構成する壁面、或いは一般の壁面に固定されることを特徴とする保護カバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−246965(P2012−246965A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117615(P2011−117615)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】