説明

保護キャップ及び保護キャップ付き単管バリケード

【課題】自動車等の衝突時に単管が突き刺さることや、衝突時の衝撃で単管が単管バリケードから外れることを防止する。
【解決手段】
保護キャップ2は、端部に装着される装着部12と、その装着部12に連設されて端部6への装着状態で端部6の軸方向前方部分を覆い、且つ端部6より大径の弾性部材からなる衝撃吸収部10と、衝撃吸収部10内に設けられ、端部6への装着状態で端部6に前方から嵌合するキャップ状の保護部材16と、衝撃吸収部10内で保護部材16の軸方向前方でその直交方向に設けられ、保護部材16より大径となる板材11と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単管バリケードを構成する単管の端部に被せる保護キャップ及び保護キャップ付き単管バリケードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から単管を使用した単管バリケードでは、単管の両端部が外部に露出した状態であるため、誤ってバリケードに自動車等が衝突した場合、単管が自動車等に突き刺さるおそれや、衝突時の衝撃で単管が外れるおそれがあった。
そのため、単管を軽量化し、露出を防止するとともに、単管端部が破損することを防止する方法として、特許文献1に開示のように、単管端部に補強部材を取り付ける方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−19411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法では、両端部が補強部材で補強され、この補強部材の外径と単管の外径とがほぼ等しく、接触部分の面積が変わらないことから単管の軽量化や先端部の破損を防止することは可能であるものの、自動車等が衝突した場合、単管が突き刺さることや、衝突時の衝撃で単管がバリケードから外れることを防止することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、単管を使用した単管バリケードにおいて、自動車等の衝突時に単管が突き刺さることや、衝突時の衝撃で単管が単管バリケードから外れることを防止する単管保護キャップ及び保護キャップ付き単管バリケードを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、単管バリケードを構成する単管の端部に装着される保護キャップであって、
前記端部に装着される装着部と、
その装着部に連設されて前記端部への装着状態で前記端部の軸方向前方部分を覆い、且つ当該端部より大径の弾性部材からなる衝撃吸収部と、
前記衝撃吸収部内に設けられ、前記端部への装着状態で当該端部に前方から嵌合するキャップ状の保護部材と、
前記衝撃吸収部内で前記保護部材の軸方向前方でその直交方向に設けられ、前記保護部材より大径となる板材と、
を設けたことにある。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加え、前記保護部材の前面は、軸方向前方へ膨出する断面円弧状に形成したことにある。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明に加え、前記衝撃吸収部を、前記装着部との連設位置から前記端部の軸方向前方へ膨出するドーム状に形成したことにある。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明に加え、前記板材の板厚を3mm以上としたことにある。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明に加え、前記衝撃吸収部における前記保護部材の前方に空間を設けて、前記空間内に、前記保護部材の軸線上で前記板材側から前記保護部材側へ向けて突出する弾性部材を設けたことにある。
【0011】
請求項6に記載の発明は、支持脚間に、単管を掛け渡して形成した保護キャップ付き単管バリケードであって、
前記支持脚から外部へと伸びた単管の端部に、請求項1乃至5の何れかに記載の保護キャップを装着したことにある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1又は6に記載の発明によれば、端部が露出することを防止し、自動車等の衝突において単管が突き刺さることや、衝撃で単管が単管バリケードから外れることを防止する。
【0013】
請求項2又は4、5に記載の発明によれば、単管が衝撃吸部から突出することを防止する。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、様々な方向からの衝突に対して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】保護キャップの説明図で、(a)が側面図、(b)が断面図をそれぞれ示す。
【図2】単管バリケードの説明図で、(a)が保護キャップの装着前、(b)が保護キャップの装着後をそれぞれ示す。
【図3】保護キャップへの衝突の説明図で、(a)は単管の軸方向と同一方向から保護キャップに衝突した直後、(b)は衝撃が内部への伝達時、(c)は衝撃を単管の軸方向以外の方向へ逃がした時、(d)は単管の軸方向以外の方向から保護キャップに衝突した直後を示す。
【図4】保護キャップの変更例の説明図で、(a)が断面図、(b)は衝撃を単管の軸方向以外の方向へ逃がした時をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
まず初めに、本発明の保護キャップ2は、図1(a)に示すように、単管5の端部6(図2,3)に装着される装着部12と、その装着部12に連設されて端部6への装着状態で端部6の軸方向前方部分を覆い、且つ端部6より大径の弾性部材からなる衝撃吸収部10とで構成し、全体がゴム等の衝撃を吸収する材質で形成されている。
因みに、保護キャップ2の材質としては、エチレンプロピレンゴム(EPDM)やクロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジレンゴム(SBR)で形成することが好ましい。
【0018】
次に、衝撃吸収部10は、装着部12との連設位置から端部6の軸方向前方へ膨出するドーム状に形成されており、図1(b)の断面図に示すように、衝撃吸収部10内には、端部6への装着状態でこの端部6に前方から嵌合し、先端を断面円弧状に形成したキャップ状の保護部材16が配されている。更にその保護部材16の前方には、この保護部材16より大径となる板材11が、保護部材16の軸方向前方でその直交方向に設けられている。
因みに、この板材11は、板厚が3mm以上の板材で、材質としては、FRP樹脂やカーボンFRP等も使用可能であるが、適度な強度があり、加工も好適な鉄板を用いることが好ましい。保護部材16の材質も、同様である。
【0019】
また、装着部12には、単管5の外径と略等しい内径の内径孔14が形成され、この内径孔14の深部には、板材11の手前で保護部材16が当接し、所定の深さ以上に配されることを防止する鍔部15が形成されている。他にも、単管5を挿入した後、装着部12から単管5の抜けを防止するため、装着部12の外周には、バンド7を巻き付けて固定する溝13が外周に凹設されている。
【0020】
次に、保護キャップ付き単管バリケード1について説明する。
まず始めに、図2(a)に示すように、支持脚4,4間に、上方の単管5aと下方の単管5b(単管5aと同じ構造の単管であるが、上下の区別をするためにa,bとする)とを上下に夫々掛け渡して固定し、単管バリケード3を形成する。
そして、支持脚4の外部へと伸びる単管5aの両端において、保護部材16に端部6a,6aが装着される位置まで保護キャップ2a,2aを夫々に圧入させた後、バンド7を溝13に巻き付けて固定する。更に、単管5bについても単管5aと同様に、支持脚4から外部へと伸びる単管5bの両端において、保護部材16に端部6b,6bが装着される位置まで保護キャップ2b,2bを夫々に挿入した後、バンド7a,7bを溝13に巻き付けて固定し、図2(b)に示す保護キャップ付き単管バリケード1が形成される。
【0021】
次に、自動車20が、保護キャップ付き単管バリケード1へ衝突した場合について説明する。
まず始めに、自動車20が単管5aの軸方向と同一方向から保護キャップ付き単管バリケード1に衝突する場合について説明する。
この場合、図3(a)に示すように、自動車20が最初に保護キャップ2の先端にある衝撃吸収部10に接触するが、衝撃吸収部10がドーム状であることから、衝突時の力が分散された後、衝撃吸収部10の表面から内部へと衝撃が伝達される。
【0022】
次に、図3(b)に示すように、内部へと伝達された衝撃が、更に板材11へと伝達された後、衝撃吸収部10が後方へと押圧されることによって端部6aに伝達される。この時、端部6aによる鍔部15や板材11の剪断が問題となるが、図3(c)に示すように、端部6aに装着された保護部材16が、板材11に当接した後、先端が断面円弧状に形成されていることから当接位置が単管5aの軸方向以外の方向へと移動し、衝撃を逃がすため、端部6aが衝撃吸収部10を突き破ることはない。
そして、端部6aから単管5aへと衝撃が伝達され、保護キャップ付き単管バリケード1が後方へと押し出されることとなる。
また、単管5bに自動車20が衝突した場合も、自動車20との衝突位置が上下で異なるのみで、同様に作用する。
【0023】
次に、自動車20が、単管5aの軸方向以外の方向から保護キャップ付き単管バリケード1に衝突する場合について説明する。
この場合も、図3(d)に示すように、自動車20は衝撃吸収部10表面に接触し、衝撃吸収部10がドーム状であることから衝突時の力が分散され、外形が撓む点までは、単管4aの軸方向から衝突した場合と同様である。しかし、端部6aに装着された保護部材16が、板材11に当接することはないため、端部6aが衝撃吸収部10を突き破り、自動車20に突き刺さることがなく、衝撃吸収部10の接触箇所を支点として保護キャップ付き単管バリケード1本体が他の方向へと押し出されることになる。
また、単管5bに自動車20が衝突した場合も、自動車20との衝突位置が上下で異なるのみで、同様に作用する。
【0024】
以上のように、本発明の保護キャップ2は、端部に装着される装着部12と、その装着部12に連設されて端部6への装着状態で端部6の軸方向前方部分を覆い、且つ端部6より大径の弾性部材からなる衝撃吸収部10と、衝撃吸収部10内に設けられ、端部6への装着状態で端部6に前方から嵌合するキャップ状の保護部材16と、衝撃吸収部10内で保護部材16の軸方向前方でその直交方向に設けられ、保護部材16より大径となる板材11と、を設けたことにより、端部6が露出することを防止し、自動車20等の衝突において単管5が突き刺さる事や、衝撃で単管5が単管バリケード3から外れることを防止する。
【0025】
そして、保護部材16の前面は、軸方向前方へ膨出する断面円弧状に形成したことにより、単管5が衝撃吸収部10から突出することを防止する。
【0026】
また、衝撃吸収部10を、装着部12との連設位置から端部6の軸方向前方へ膨出するドーム状に形成したことにより、様々な方向からの衝突に対して好適である。
【0027】
他にも、板材の板厚を3mm以上としたことにより、単管5が衝撃吸収部10から突出することを防止する。
【0028】
また、衝撃吸収部10における保護部材16の前方に空間18を設けて、この空間18内に、保護部材16の軸線上で板材11側から保護部材16側へ向けて突出する弾性部材17を設けたことにより、単管5が衝撃吸収部10から突出することを防止する。
【0029】
そして、支持脚4から外部へと伸びる単管5の両端に、保護キャップ2,2を装着したことにより、端部6,6が露出することを防止し、自動車20等の衝突において単管5が突き刺さる事や、衝撃で単管5が単管バリケード3から外れることを防止する。
【0030】
なお、本発明の保護キャップ2の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、自動車20等の衝突において、単管5が衝撃吸収部10から突出し、自動車20等に突き刺さることや、衝突時の衝撃で単管5が単管バリケード3から外れることを防止するものであれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
例えば、保護部材16は、先端を断面円弧状に形成し、衝撃を単管5の軸方向以外の方向へと逃がすものであれば、内部の肉抜きによる軽量化等を行っても良く、適宜変更可能である。
【0031】
他にも、衝撃吸収部10が、ドーム状に形成され、衝突時の力を分散するものであれば、内部の肉抜きによる軽量化や表面に反射シール等を貼着しても良く、板材11を複数枚にする等、適宜変更可能である。
【0032】
また、衝撃吸収部10には、図4(a)に示すように衝撃吸収部10における保護部材16の前方に空間18を設けて、この空間18内に、保護部材16の軸線上で板材11側から保護部材16側へ向けて突出する弾性部材17を設けても良く、変更可能である。
この場合、弾性部材17は、保護部材16に当接した時に変形し、図4(b)に示すように衝撃を単管5の軸方向以外の方向へと逃がすため、端部6が衝撃吸収部10を突き破ることはない。例え、衝撃を単管5の軸方向以外の方向へ逃がせなかったとしても、保護部材16の先端が断面円弧状に形成されていることから、図3(c)に示すように、その後、保護部材16が板材11に当接し、当接位置が単管5の軸方向以外の方向へと移動して衝撃を逃がすため、端部6が衝撃吸収部10を突き破ることはない。
【0033】
次に、鍔部15は、保護部材16が内径孔14の所定の深さ以上に挿入されることを防止するが、保護部材16が板材11に当接することで内径孔14に所定の深さ以上に挿入されることを防止するものであっても良く、変更可能である。
【0034】
他にも、装着部12は、必ずしも単管5に装着した後、溝13にバンド7で固定する構造である必要はなく、単管5が保持部12から外れることを防止する構造であれば良く、変更可能である。
【符号の説明】
【0035】
1・・保護キャップ付き単管バリケード、2・・保護キャップ、3・・単管バリケード、4・・支持脚、5・・単管、6・・端部、7・・バンド、10・・衝撃吸収部、11・・板材、12・・装着部、13・・溝、14・・内径孔、15・・鍔部、16・・保護部材、17・・弾性部材、18・・空間、20・・自動車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単管バリケードを構成する単管の端部に装着される保護キャップであって、
前記端部に装着される装着部と、
その装着部に連設されて前記端部への装着状態で前記端部の軸方向前方部分を覆い、且つ当該端部より大径の弾性部材からなる衝撃吸収部と、
前記衝撃吸収部内に設けられ、前記端部への装着状態で当該端部に前方から嵌合するキャップ状の保護部材と、
前記衝撃吸収部内で前記保護部材の軸方向前方でその直交方向に設けられ、前記保護部材より大径となる板材と、
を設けたことを特徴とする保護キャップ。
【請求項2】
前記保護部材の前面は、軸方向前方へ膨出する断面円弧状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の保護キャップ。
【請求項3】
前記衝撃吸収部を、前記装着部との連設位置から前記端部の軸方向前方へ膨出するドーム状に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の保護キャップ。
【請求項4】
前記板材の板厚を3mm以上としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の保護キャップ。
【請求項5】
前記衝撃吸収部における前記保護部材の前方に空間を設けて、前記空間内に、前記保護部材の軸線上で前記板材側から前記保護部材側へ向けて突出する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の保護キャップ。
【請求項6】
支持脚間に、単管を掛け渡して形成した保護キャップ付き単管バリケードであって、
前記支持脚から外部へと伸びる単管の両端に、請求項1乃至5の何れかに記載の保護キャップを装着したことを特徴とする保護キャップ付き単管バリケード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−102554(P2012−102554A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252356(P2010−252356)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【特許番号】特許第4897919号(P4897919)
【特許公報発行日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(505424778)株式会社 INBプランニング (3)
【出願人】(398037413)株式会社仙台銘板 (3)
【Fターム(参考)】