説明

保護部材付きロール

【課題】ごみの排出量を削減することができるとともに、ロールを運搬及び保管する際に該ロールの端面を簡単に保護することができる保護部材を備えた、保護部材付きロールを提供する。
【解決手段】中空管11の外周面側にシート状体12が巻回されてなるロール10と、該ロールの端面を保護する保護部材20と、を備え、該保護部材は、ロールの端面に接する平板部21と、該平板部からロール側に立設して中空管の中空部11aに差し込まれる支持部22とを有し、支持部は、第一折り目26、26を介して平板部に連続しているとともに、第一折り目でロール側に折り曲げられた支持片23、23によって構成されている、保護部材付きロール1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムなどの帯状の部材が中空軸に巻回されたロールと該ロールの端面を保護するための保護部材とを備えた保護部材付きロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙やフィルムなどの薄い帯状の部材は、中空軸に巻回したロールとして運搬及び保管されることが多い。このようなロールを運搬及び保管する際、従来は図6に示すような、ロールの端面(中心軸に垂直な方向の面)を保護する部材を用いていた。図6(a)は、従来の保護部材付きロールの中心軸に平行な方向の断面を概略的に示す図である。図6(b)は従来の保護部材付きロールを図6(a)に示した矢印bの方向から見た概略図である。図6に示すように、従来はロール50を運搬及び保管する際、ロール50の端面の保護などを目的として、該端面を紙製や金属製のパット51、51で覆い、さらにパット51、51をワッシャ52、52でロール50に固定する方法が採られていた。このような従来の方法でロールを運搬及び保管した場合、該ロールを使用する際にはパット51、51とワッシャ52、52は不要になるため、それらはごみとして廃棄されていた。
【0003】
しかしながら、昨今の環境問題への関心の高まりなどから、ごみの排出量削減が望まれている。かかる問題を解決し得る技術として、例えば、特許文献1には、開口平面正方形状で角筒状の本体と、幅が被収容物の内径とほぼ等しい係止片を有する本体の両端部にそれぞれ対向して設けられた外フラップと、幅が被収容物の内径とほぼ等しく、係止片が嵌入される嵌合溝を形成するスリットを有する嵌合片を備えた本体の両端部にそれぞれ対向して設けられた内フラップとにより構成され、梱包時に各係止片及び嵌合片を組み立てることにより、被収容物の保持部が形成される梱包箱に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−109052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている技術では、梱包箱の構造が複雑であり、梱包箱の作製工程が煩雑であった。また、ロールを梱包箱で梱包せずに、フィルムで包んで運搬及び保管する場合もあり、このような場合は、梱包箱を必須とする上記特許文献1のような技術を用いることはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は、ごみの排出量を削減することができるとともに、ロールを運搬及び保管する際に該ロールの端面を簡単に保護することができる保護部材を備えた、保護部材付きロールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図面の形態に限定されるものではない。
【0008】
本発明は、中空管(11)の外周面側にシート状体(12)が巻回されてなるロール(10)と、該ロールの端面を保護する保護部材(20)と、を備え、該保護部材は、ロールの端面に接する平板部(21)と、該平板部からロール側に立設して中空管の中空部(11a)に差し込まれる支持部(22)とを有し、支持部は、第一折り目(26、26)を介して平板部に連続しているとともに、第一折り目でロール側に折り曲げられた支持片(23、23)によって構成されている、保護部材付きロール(1)である。
【0009】
本発明において「ロールの端面」とは、ロールの中心軸に垂直な方向の面を意味する。すなわち、中空管に巻回されたシート状体の幅方向の端によって構成される面を意味する。また、「ロールの端面に接する」とは、ロールの端面に直接接する場合のほか、ロールをフィルムなどで包む場合は、該フィルムを介してロールの端面に接する場合も含む概念である。
【0010】
本発明の保護部材付きロール(1)において、支持片(23、23)が、平板部(21)の略中央において、平板部の略中心を中心として対称に一対設けられており、第一折り目(26)において、一対の支持片が互いに近付く方向に折り曲げられており、一対の支持片は、それぞれ中央片(24)と該中央片の両側に備えられる端片(25、25)を有しており、該端片は、平板部から分離しているとともに、第一折り目に対して略垂直な方向の第二折り目(27、27)を介して中央片と連続しており、一対の支持片のうち一方の支持片の端片と他方の支持片の端片とが互いに離れるように、第二折り目で折り曲げられていることが好ましい。かかる形態とすることによって、中空管の内周面と支持部との間で働く摩擦力を容易に高めることができ、保護部材をロールに固定し易くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ごみの排出量を削減することができるとともに、ロールを運搬及び保管する際に該ロールの端面を簡単に保護することができる保護部材を備えた、保護部材付きロールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の保護部材付きロールの一例について概略的に示す図である。
【図2】図1に示した保護部材付きロールを図1に示した矢印IIの方向から見た概略図である。
【図3】図1に示したIII−IIIにおける断面を概略的に示す図である。
【図4】支持部の形成過程を概略的に示す斜視図である。
【図5】支持部のその他の例を概略的に示す図である。
【図6】従来の保護部材付きロールの一例について概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を挙げて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の保護部材付きロール1の一例について概略的に示す図である。図1において、紙面上下方向がロール1の中心軸方向である。図2は、図1に示した保護部材付きロールを図1に示した矢印IIの方向から見た概略図である。図3は、図1に示したIII−IIIにおける断面を概略的に示す図である。図2及び図3において、紙面奥/手前方向がロール1の中心軸方向である。
【0015】
図1に示すように、保護部材付きロール1は、ロール10とロール10の端面を保護する保護部材20、20とを備えている。
【0016】
ロール10は、図2及び図3に示すように、中空部11aを有する中空管11と、該中空管11の外周面側に巻回されたシート状体12とを備えている。中空管11は中空の紙管あるいはプラスチック管である。また、シート状体12は所定の幅を持った長尺のフィルム、又はシート状の部材であり、例えば、食品包装用材料(例えば食品包装用紙、包装用フィルム、シート、布等)や衛生材料(例えば医療用フィルム、織布、不織布、サニタリー用フィルム等)などである。
【0017】
保護部材20は、ロール10の端面に接する平板部21(図1、図2参照。)と、平板部21からロール10側に立設して中空管11の中空部11aに差し込まれる支持部22(図2、図3参照。)とを有している。かかる形態とすることによって、平板部21でロール10の端面を保護するとともに、中空部11aの内周面と支持部22との間で働く摩擦力によって保護部材20をロール10に固定することができる。
【0018】
支持部22は、平板部21の略中央において、平板部21の中心線に対して略対称に設けられた一対の支持片23、23をロール10側に折り曲げることで構成されている。以下、図4を参照しつつ支持部22の構成についてより詳細に説明する。図4は、支持部22の形成過程を概略的に示す斜視図である。図4において破線は折り線を意味する。
【0019】
図4(a)に示すように、支持部22を形成する前は、一対の支持片23、23は平板部21と同一面内に構成されている。すなわち、保護部材20は1枚の板状体から切り出すことによって容易に作製することができる。また、保護部材20は作製時に必要とされる加工が少ない。保護部材20として用いることができる素材は特に限定されず、段ボールや合成樹脂などを例示することができる。ただし、製造費低減などの観点からは段ボールが好ましい。
【0020】
図4(a)に示すように、支持片23、23は、第一折り目26、26を介して平板部21に連続している。支持片23の構成をより詳細に説明すると、1つの支持片23が、中央片24と中央片24の両側に備えられる端片25、25を有している。また、中央片24、及び端片25、25は、第二折り目27、27を介して一方向に連続して備えられる。さらに、中央片24が第一折り目26を介して平板部21に連続しており、第一折り目26でロール10側に折り曲げることができる。このとき、一対の支持片23、23は互いに近付く方向に折り曲げられる。端片25、25は、平板部21から分離しているとともに、第一折り目26に対して略垂直な方向の第二折り目27、27で折り曲げることができる。
【0021】
支持部22の形成を形成する際には、図4(b)に示すように、まず、支持片23、23(中央片24、24)を第一折り目26でロール10側となる側に折り曲げる。その後、図4(c)に示すように、一方の支持片23の端片25、25と他方の支持片23の端片25、25とが離れる方向に、端片25、25、25、25を第二折り目27、27、27、27で折り曲げる。このようにして、支持部22を形成することができる。
【0022】
保護部材20、20をロール10に取り付ける方法は特に限定されない。例えば、まず、ロール10の両端面が上下になるようにロール10を置き、上側の端面側から中空部11aに保護部材20の支持部22を挿入する。その後、ロール10の上下を逆さにして、他方の端面側からも中空部11aに保護部材20の支持部22を挿入することによって、保護部材20、20をロール10に取り付けることができる。なお、ロール10をフィルムで包んで運搬・保管する場合は、保護部材20、20を取り付ける前にロール10をフィルムで包むことが好ましい。係る形態とすることによって、ロール10を包むフィルムを保護部材20、20でロール10に固定することができる。また、ロール10を梱包箱に入れて運搬・保管する場合は、上記のようにして一方の保護部材20をロール10に取り付けた後に梱包箱を被せ、該梱包箱とともにロール10を逆さにして他方の保護部材20を取り付けることが好ましい。
【0023】
これまでの本発明の説明では、図3によく表れているように、断面形状が略三角形になる一対の支持片によって構成される支持部を例示したが、本発明はかかる形態に限定されない。支持部は、平板部に連続して設けられた支持片によって構成されており、中空管の中空部の内周面側に接する形態であれば良い。支持部のその他の例を図5に示す。図5(a)〜(c)は保護部材付きロールの断面を概略的に示しており、図3に対応する図である。図5において、図3と同様の構成のものには同符号を付している。
【0024】
図5(a)は、支持部122が、断面形状が略コの字形である支持片123、123によって構成される形態を例示している。また、図5(b)は、支持部222が、断面形状がより複雑に折れ曲がった形状である支持片223、223によって構成される形態を例示している。さらに、図5(c)は、支持部322が、中空部11aの内周面に沿う形状形態である支持片323、323によって構成される形態を例示している。なお、支持片の数は特に限定されない。
【0025】
これまでに説明したように、本発明に係る保護部材は、一つの部材から容易に作製することができる。また、本発明に係る保護部材は、該保護部材のみで従来のパット及びワッシャの機能を果たす。したがって、ロールを運搬及び保管する際に必要となる部品点数を削減することができ、ごみの排出量を削減することができる。
【0026】
以上、現時点において最も実践的で好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う保護部材付きロールもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、帯状の部材を中空軸に巻回して運搬及び保管する際に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 保護部材付きロール
10 ロール
11 中空管
11a 中空部
12 シート状体
20 保護部材
21 平板部
22 支持部
23 支持片
24 中央片
25 端片
26 第一折り目
27 第二折り目
50 ロール
51 パット
52 ワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空管の外周面側にシート状体が巻回されてなるロールと、前記ロールの端面を保護する保護部材と、を備え、
前記保護部材は、前記ロールの端面に接する平板部と、該平板部から前記ロール側に立設して前記中空管の中空部に差し込まれる支持部とを有し、
前記支持部は、第一折り目を介して前記平板部に連続しているとともに、前記第一折り目で前記ロール側に折り曲げられた支持片によって構成されている、保護部材付きロール。
【請求項2】
前記支持片が、前記平板部の略中央において、前記平板部の略中心を中心として対称に一対設けられており、
前記第一折り目において、一対の前記支持片が互いに近付く方向に折り曲げられており、
一対の前記支持片は、それぞれ中央片と該中央片の両側に備えられる端片を有しており、
前記端片は、前記平板部から分離しているとともに、前記第一折り目に対して略垂直な方向の第二折り目を介して前記中央片と連続しており、
一対の前記支持片のうち一方の前記支持片の前記端片と他方の前記支持片の前記端片とが互いに離れるように、前記第二折り目で折り曲げられている、請求項1に記載の保護部材付きロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−121603(P2011−121603A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279277(P2009−279277)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】