説明

信号中継装置および信号中継方法

【課題】呼び出し信号のトラヒックを削減し、制御動作にかかる信号量を従来よりも低く抑えた無線通信システムを実現する信号中継装置を得ること。
【解決手段】本発明にかかる信号中継装置である接続装置2は、位置登録が実行された場合、位置登録にかかる制御信号に基づいて、位置登録を実行した携帯移動機7と携帯移動機7が通信する際に利用する中継無線回路の対応表を更新し、また、呼び出し信号を受信した場合には、呼び出し信号の転送先の中継無線回線を対応表に基づいて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯無線通信システムのアクセス回線において、基地局とコア網との間で送受信される制御信号を中継する信号中継装置および信号中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯無線通信システム(以下、無線通信システムと記載する)では、移動機は、接続先の無線基地局(以下、基地局と記載する)を変更すると、変更後の基地局に対応する位置登録エリアがそれまでの接続先の基地局に対応する位置登録エリアから変化したかどうかを確認し、変化した場合には位置登録を実施する。また、コア網(コアネットワーク)が移動機を呼び出す場合には、その移動機が位置登録を実施済みの位置登録エリアに存在するすべての基地局に呼び出し信号を送信する。ここで、位置登録エリアを基地局毎に設定すれば、呼び出し信号は一つの基地局にのみ送信されるようになり、呼び出し信号を削減することができる。しかしながら、この場合には位置登録エリアが基地局単位となるため、移動機からの位置登録信号が増大してしまう。
【0003】
無線通信システムでは、無線資源の有効利用を実現することが課題の一つであり、システム内で送受信される制御信号量を必要最小限に抑えることが重要である。そのため、位置登録エリアは位置登録動作にかかる制御信号と呼び出し動作にかかる制御信号のトラヒックの和(総トラヒック量)が最小となるように設計され、その結果、呼び出し信号は複数の基地局(同一位置登録エリア内のすべての基地局)に送信されることとなる。
【0004】
なお、呼び出し信号は、通信中の移動機に対して送信されることがあるが、通信中の移動機であれば、コア網との間に信号コネクションが既に存在しているため、この信号コネクションに呼び出し信号を送信すれば特定の基地局のみに呼び出し信号が転送されることとなる。すなわち、このような制御を行うことにより通信中の移動機に対する呼び出し信号を削減することが可能である。
【0005】
また、制御信号を削減可能な技術の例が下記特許文献1や2に記載されている。具体的には、下記特許文献1には、無線ネットワーク制御装置が、接続されたすべての基地局にページングメッセージ(上述した呼び出し信号に相当する)を送信するのではなく、移動通信端末との間の信号コネクションが確立されている基地局にのみページングメッセージを送信する制御方法が記載されている。また、下記特許文献2には、呼び出しメッセージ(上述した呼び出し信号に相当)に上位プロトコルのメッセージを相乗りさせることにより制御信号の送受信回数を削減する制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−527965号公報
【特許文献2】特開2002−58053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、信号コネクションが存在しない移動機(通信中ではない移動機)に対する呼び出し信号は、上述したいずれの制御方法においても、位置登録エリア内の全基地局に送信されてしまう、という問題があった。すなわち、従来の制御方法では、システム内で送信する呼び出し信号の削減が不十分である、という問題があった。
【0008】
従来の無線通信システムでは、基地局とコア網との間のアクセス回線全体にわたって有線での通信を行うように構成された形態が一般的であったが、近年は、無線中継網を利用し、アクセス回線で無線通信を行うシステム形態も検討されてきている。このような無線中継網を利用した接続形態では、上述したような、移動機とコア網との間に信号コネクションが存在する場合に呼び出し信号のトラヒックを削減可能な手法ではなく、信号コネクションが存在しない場合においても呼び出し信号のトラヒックを削減可能な手法の適用が望ましい。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、呼び出し信号のトラヒックを削減し、制御動作にかかる信号量を従来よりも低く抑えた無線通信システムを実現する信号中継装置および信号中継方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の基地局とコア網とを接続するアクセス回線が無線中継網を含み、当該無線中継網は前記コア網と前記複数の基地局の中のいずれか一つとの間で送受信される信号を伝送するための中継無線回線を複数含んだ携帯無線通信システムにおいて、前記コア網と前記無線中継網との間で制御信号を中継する信号中継装置であって、位置登録が実行された場合、当該位置登録にかかる制御信号に基づいて、位置登録を実行した移動機と当該移動機が通信する際に利用する中継無線回路の対応表を更新し、また、呼び出し信号を受信した場合には、当該呼び出し信号の転送先の中継無線回線を前記対応表に基づいて決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、呼び出し信号が示す移動機を収容している携帯基地局に対してのみ呼び出し信号を送信するようになるので、無線通信システム内の不要な呼び出し信号を削減でき、制御動作にかかる信号量を従来よりも低く抑えることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明にかかる信号中継装置を利用した携帯無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、本発明にかかる信号中継装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる信号中継装置および信号中継方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる信号中継装置を利用した携帯無線通信システム(以下、無線通信システムと記載する)の構成例を示す図である。この無線通信システムは、携帯コア網1、接続装置2、中継無線コア網3、複数の中継無線親局4、複数の中継無線子局5、複数の携帯基地局6および複数の携帯移動機(以下、移動機と記載する)7を含む。中継無線親局4と中継無線子局5は中継無線回線を介して通信する。携帯基地局6と移動機7は携帯無線回線を介して通信する。
【0015】
上記構成の無線通信システムにおいて、移動機7の位置管理は携帯コア網1が行う。中継無線網は、携帯無線網のアクセス回線として使用され、携帯基地局6と携帯コア網1との間に位置する。すなわち、中継無線網は、中継無線子局5、中継無線親局4、中継無線コア網3および接続装置2を含み、携帯コア網1と中継無線コア網3は、本発明にかかる信号中継装置に相当する接続装置2で接続されている。携帯コア網1から移動機7に向けた信号は接続装置2を介して中継無線コア網3に送られ、さらに、中継無線親局4に有線回線で伝送され、中継無線親局4から中継無線子局5に中継無線回線で伝送される。中継無線子局5と携帯基地局6は有線で接続されており、中継無線回線経由で受信した携帯コア網1からの信号は中継無線子局5から携帯基地局6に送られ、携帯無線回線経由で移動機7に送信される。逆に、移動機7から携帯コア網1への信号は、携帯無線回線経由で携帯基地局6に送信され、携帯基地局6から中継無線子局5に送られる。さらに、中継無線子局5から中継無線親局4へは中継無線回線を介して伝送され、中継無線コア網3および接続装置2を経由して携帯コア網1に送られる。
【0016】
ここで、移動機7と携帯コア網1との間の制御信号と携帯基地局5と携帯コア網1との間の制御信号のみを接続装置2経由で送受信し、移動機7と携帯コア網1との間のユーザデータについては、接続装置2を経由せずに中継無線コア網3と携帯コア網1が直接送受信する形態をとっても構わない。また、図1では、移動機7と携帯基地局5を1対1に接続した場合の例を示しているが、携帯基地局5が複数の移動機7を収容した構成としてもよい。同様に中継無線子局5が携帯基地局5を複数収容した構成としてもよい。更に、中継無線親局4も複数の中継無線子局5を収容する構成としてもよい。ただし、移動機7と携帯コア網1との間の制御信号伝送用のコネクションは接続装置2と移動機7との間で論理的もしくは物理的に独立したコネクションでなければならない。また、携帯基地局5と携帯コア網1との間の制御信号伝送用のコネクションも同様に論理的もしくは物理的に独立したコネクションでなければならない。
【0017】
図2は、接続装置2の構成例(機能ブロック構成例)を示す図である。図示したように、接続装置2は、メッセージ送受信部20、メッセージ抽出部21、メッセージ転送部22、中継回線選択部23、メッセージ解析部24、中継回線番号抽出部25、メッセージ生成部26、対応表更新部27および対応表読み出し部28を備え、また、対応表29を保持している。なお、中継回線番号抽出部25および対応表更新部27が更新手段を構成し、中継回線選択部23、メッセージ生成部26および対応表読み出し部28が中継無線回線決定手段を構成する。
【0018】
接続装置2において、メッセージ送受信部20は、携帯コア網1から移動機7または携帯基地局6に対する制御信号、および移動機7または携帯基地局6から携帯コア網2に対する制御信号を送受信する。メッセージ抽出部21は、メッセージ送受信部20が受信した制御信号の中から特定の制御メッセージを抽出する。メッセージ転送部22は、メッセージ送受信部20に対して、携帯コア網1へ送信するメッセージ、または中継無線コア網3経由で移動機7または携帯基地局6へ送信するメッセージを出力する。中継回線選択部23は、メッセージ送受信部20が中継無線コア網3へメッセージを送信する際に使用する中継無線回線を決定する。メッセージ解析部24は、メッセージ抽出部21で抽出された制御メッセージを解析する。中継回線番号抽出部25は、メッセージ解析部24から受け取った情報に含まれる中継無線回線番号の情報を抽出する。メッセージ生成部26は、メッセージ解析部24での解析結果、および対応表読み出し部28から出力された読み出し結果に基づいて、メッセージ送受信部20が送信する制御メッセージを生成する。対応表更新部27は、中継回線番号抽出部25で抽出された中継無線回線番号情報に基づいて、対応表29を更新する。対応表読み出し部28は、メッセージ生成部26からの指示に応じて対応表29を読み出す。対応表29は、中継無線回線番号と移動機7との対応関係を示したテーブルである。
【0019】
接続装置2の詳細動作について説明する。なお、接続装置2経由でユーザデータを伝送するように構成されている場合、接続装置2は、ユーザデータを受信すると、一般的な転送動作(単純な中継動作)を実行する。そのため、ここでは接続装置2が実行する特徴的な動作である制御信号(制御メッセージ)の送受信動作について説明する。
【0020】
メッセージ送受信部20は、携帯コア網1または中継無線コア網3から制御メッセージを受信すると、制御メッセージを識別するための番号(以下、メッセージ識別番号と記載する)を付与した上でメッセージ抽出部21に引き渡すとともに、付与したメッセージ識別番号と、当該受信した制御メッセージが伝送される中継無線回線の番号との対を中継回線番号抽出部25に引き渡す。メッセージ送受信部20から制御メッセージを受け取ったメッセージ抽出部21は、それが、移動機7から携帯コア網1に送信された位置登録メッセージ(位置登録を要求する信号),携帯コア網1から移動機7に送信された位置登録応答メッセージ(位置登録メッセージに対する応答信号),携帯コア網1から受信した呼び出しメッセージ(移動機7を呼び出す信号)であれば、メッセージ解析部24に引き渡す。また、これら以外の信号については、メッセージ抽出部21からメッセージ転送部22に引き渡され、メッセージ転送部22でその送信先が特定された後、メッセージ送受信部20経由で携帯コア網1または中継無線コア網3に送信される。
【0021】
メッセージ解析部24は、メッセージ抽出部21から受け取った制御メッセージを解析し、それが位置登録メッセージの場合には、メッセージ内に格納されている移動機7の識別子(以下、移動機識別子と記載する)を抽出するとともに、当該位置登録メッセージに付与されているメッセージ識別番号(メッセージ送受信部20で付与されたメッセージ識別番号)を記憶する。また、上記抽出した移動機識別子とメッセージ識別番号を対にして中継回線番号抽出部25に引き渡す。中継回線番号抽出部25は、メッセージ解析部24から移動機識別子とメッセージ識別番号の対を受け取ると、これとメッセージ送受信部20から予め受け取っていた情報(メッセージ識別子と中継無線回線番号の対)とに基づいて、上記メッセージ解析部24から受け取った移動機識別子に対応する中継無線回線番号を割り出し、メッセージ識別番号、移動機識別子および中継無線回線番号の組を対応表更新部27に引渡す。対応表更新部27では、中継回線番号抽出部25から受け取った情報(メッセージ識別番号、移動機識別子および中継無線回線番号の組)を記憶しておく。
【0022】
また、メッセージ解析部24は、メッセージ抽出部21から受け取った制御メッセージが位置登録応答メッセージであれば、メッセージを解析し、それが正常応答信号(正常応答を示す情報が含まれている位置登録応答メッセージ)の場合には、この位置登録応答メッセージに対応する位置登録メッセージを処理した際に記憶しておいたメッセージ識別番号(位置登録メッセージの識別番号)、および正常応答を示す情報を中継回線番号抽出部25に引き渡す。中継回線番号抽出部25は、メッセージ識別番号と正常応答を示す情報(正常な位置登録メッセージを受信した旨を示す情報)をメッセージ解析部24から受け取った場合、そのメッセージ識別番号(位置登録メッセージの識別番号)を対応表更新部27に対して通知するとともに、対応表29の更新を指示する。対応表更新部27は、中継回線番号抽出部25からメッセージ識別番号の通知と対応表の更新指示を受けると、このメッセージ識別番号に対応する移動機識別子および中継無線回線番号(通知されたメッセージ識別番号と同じメッセージ識別番号と対応付けて記憶しておいた移動機識別子および中継無線回線番号)に基づいて対応表29を更新する。すなわち、移動機識別子および中継無線回線番号を対応表29に登録する。なお、登録するものと同じ移動機識別子が既に登録されている場合、登録済みの移動機識別子およびこれに対応付けられている中継無線回線番号に上書き登録する。
【0023】
一方、メッセージ抽出部21から受け取った制御メッセージが位置登録応答メッセージであり、かつ正常応答信号ではない場合、メッセージ解析部24は、この位置登録応答メッセージに対応する位置登録メッセージを処理した際に記憶しておいたメッセージ識別番号、および正常応答ではないことを示す情報を中継回線番号抽出部25に引き渡す。中継回線番号抽出部25は、メッセージ識別番号と正常応答ではないことを示す情報をメッセージ解析部24から受け取った場合、そのメッセージ識別番号を対応表更新部27に対して通知するとともに、対応表29の維持を指示する。対応表更新部27は、中継回線番号抽出部25からメッセージ識別番号の通知と対応表維持の指示を受けると、このメッセージ識別番号に対応する移動機識別子および中継無線回線番号を破棄する。
【0024】
また、メッセージ解析部24は、メッセージ抽出部21から受け取った制御メッセージが呼び出しメッセージであれば、それに含まれている移動機識別子を抽出してメッセージ生成部26に引き渡す。なお、1つの呼び出しメッセージに複数の移動機識別子が含まれている場合もある。この場合、含まれているすべての移動機識別子をメッセージ生成部26に引き渡す。メッセージ生成部26は、メッセージ解析部24から受け取った移動機識別子を検索キーとして中継無線回線番号を読み出すように、対応表読み出し部28に対して指示を出す。この指示を受けた対応表読み出し部28は、対応表29を確認し、上記移動機識別子に対応する中継無線回線番号を読み出してメッセージ生成部26に引き渡す。なお、呼び出しメッセージに複数の移動機識別子が含まれていた場合、各移動機識別子に対応する中継無線回線番号をそれぞれ読み出し、メッセージ生成部26に引き渡す。また、対応する中継無線回線番号が対応表29に登録されていない場合には、その旨をメッセージ生成部26に通知する。対応表読み出し部28から中継無線回線番号を受け取ったメッセージ生成部26は、同一中継無線回線番号の移動機識別子が複数あれば、それらの移動機識別子のすべてを含む呼び出しメッセージを生成する(2つ以上の場合もある)。また、異なる中継無線回線番号の場合には、その中継無線回線番号毎に呼び出しメッセージを生成する。ただし、対応表読み出し部28から該当中継無線回線番号がない旨の通知を受けた場合、メッセージ生成部26は、メッセージ解析部24から受け取った移動機識別子に対応する呼び出しメッセージを生成しない。
【0025】
メッセージ生成部26は、呼び出しメッセージを生成した場合、生成した呼び出しメッセージとこれに対応する中継無線回線番号を対にして中継回線選択部23に引渡す。中継回線選択部23は、受け取った呼び出し応答メッセージに対してメッセージ識別番号を付与し、メッセージ送受信部20に対して中継無線回線番号とメッセージ識別番号の対を通知するとともに、メッセージ転送部22に対してはメッセージ識別番号が付与された呼び出しメッセージを引き渡す。メッセージ送受信部20は、メッセージ転送部22からメッセージ識別番号が付与された呼び出しメッセージを受け取った場合に、予め中継回線選択部23から通知されていた中継無線回線番号(メッセージ識別番号と中継無線回線番号の対)の中から、上記受け取った呼び出しメッセージに付与されていたメッセージ識別番号に対応する中継無線回線番号の中継無線回線を選択し、この中継無線回線を使用して、上記受け取った呼び出しメッセージを送信する。
【0026】
ここで、上記動作では、携帯コア網1から受信した呼び出しメッセージ内に複数の移動機識別子が存在する場合、メッセージ生成部26は、各移動機識別子を中継無線回線番号単位でまとめて呼び出しメッセージを生成するようにしたが、メッセージ解析部24は、メッセージ抽出部21から受け取ったメッセージを解析し、呼び出しメッセージを受け取ったと判断した場合には、呼び出しメッセージにメッセージ識別番号を付与してメッセージ転送部22へ引渡し、メッセージ生成部26では、上記と同様に中継無線回線番号の抽出は行うが、新たに呼び出しメッセージの生成は行わず、送信先となる中継無線回線番号毎にメッセージ転送部22に記憶している携帯コア網1から受信した呼び出しメッセージをそのまま送信する形態をとっても構わない。
【0027】
このように、本実施の形態の無線通信システムでは、携帯コア網と中継無線コア網との間で送受信される制御信号を中継する接続装置が、受信した制御信号のうち、位置登録に関する制御メッセージ(位置登録メッセージ,位置登録応答メッセージ)に基づいて、システム内の各移動機の位置(各移動機を収容している携帯基地局)に対応する中継無線回線の情報(中継無線回線番号)と移動機識別子との対応テーブルを作成(更新)し、また接続装置は、携帯コア網から呼び出しメッセージを受信した場合、それに含まれる移動機識別子に対応する中継無線回線を上記作成しておいた対応テーブルを利用して特定し、特定した中継無線回線に対して呼び出しメッセージを転送することとした。これにより、呼び出しメッセージが示す移動機を収容している携帯基地局に対してのみ当該呼び出しメッセージを送信するようになるので、無線通信システム内の不要な呼び出しメッセージを削減でき、中継無線回線の帯域を有効に利用することができる。
【0028】
実施の形態2.
つづいて、実施の形態2について説明する。なお、無線通信システムおよび接続装置の構成は実施の形態1と同様である(図1,図2参照)。
【0029】
実施の形態1では、移動機識別子と中継無線回線番号を1対1に対応させて対応表29に記憶させていたが、移動機識別子の一部、例えば、移動機識別子の最下位2バイトを中継無線回線番号と対応させて対応表29に記憶させるようにしてもよい。これにより、検索キーが短縮されるので対応表29の検索速度を上げることができる。
【0030】
すなわち、本実施の形態では、対応表更新部27が、検索キーとしての移動機識別子の一部と中継無線回線番号との組を対応表29に登録して更新する。なお、本実施の形態では移動機識別子の一部を用いる例で説明したが、移動機識別子を入力とした簡易な演算を施した結果を検索キーとしても構わない。
【0031】
以上のような構成を採用することにより、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、接続装置2における中継無線回線(呼び出しメッセージの送信先の中継無線回線)の検索処理を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明にかかる信号中継装置および信号中継方法は、携帯無線通信システムに有用であり、特に、アクセス回線として無線回線を適用した携帯無線通信システムにおいて無線回線とコア網との間で制御信号を中継する通信装置に適している。
【符号の説明】
【0033】
1 携帯コア網
2 接続装置
3 中継無線コア網
4 中継無線親局
5 中継無線子局
6 携帯基地局
7 携帯移動機
20 メッセージ送受信部
21 メッセージ抽出部
22 メッセージ転送部
23 中継回線選択部
24 メッセージ解析部
25 中継回線番号抽出部
26 メッセージ生成部
27 対応表更新部
28 対応表読み出し部
29 対応表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局とコア網とを接続するアクセス回線が無線中継網を含み、当該無線中継網は前記コア網と前記複数の基地局の中のいずれか一つとの間で送受信される信号を伝送するための中継無線回線を複数含んだ携帯無線通信システムにおいて、前記コア網と前記無線中継網との間で制御信号を中継する信号中継装置であって、
位置登録が実行された場合、当該位置登録にかかる制御信号に基づいて、位置登録を実行した移動機と当該移動機が通信する際に利用する中継無線回路の対応表を更新し、また、呼び出し信号を中継する場合には、呼び出し信号の送信先の中継無線回線を前記対応表に基づいて決定することを特徴とする信号中継装置。
【請求項2】
前記位置登録にかかる制御信号である位置登録メッセージおよび位置登録応答メッセージと、前記呼び出し信号である呼び出しメッセージとを受信信号から抽出するメッセージ抽出手段と、
前記メッセージ抽出手段で抽出された各メッセージを解析するメッセージ解析手段と、
前記メッセージ解析手段で位置登録メッセージおよび位置登録応答メッセージが解析された場合に、各解析結果に基づいて前記対応表を更新する更新手段と、
前記メッセージ解析手段で呼び出しメッセージが解析された場合に、その解析結果および前記対応表に基づいて、呼び出しメッセージの送信先の中継無線回線を決定する中継無線回線決定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の信号中継装置。
【請求項3】
前記更新手段は、
前記メッセージ解析手段で位置登録メッセージが解析された場合、当該解析処理で得られた移動機識別子または当該移動機識別子の一部を取得して移動機識別用情報として保持しておき、その後、前記メッセージ解析手段で位置登録応答メッセージが解析され、当該位置登録応答メッセージが正常応答信号であると判定された場合に、前記保持しておいた移動機識別用情報に基づいて前記対応表を更新する
ことを特徴とする請求項2に記載の信号中継装置。
【請求項4】
前記更新手段は、
前記移動機識別用情報を取得して保持する際、前記位置登録メッセージが送信されてきた中継無線回線の識別情報である中継無線回線番号と対応付けて保持しておき、前記対応表の更新処理では、保持しておいた移動機識別用情報および中継無線回線番号を前記対応表に登録する
ことを特徴とする請求項3に記載の信号中継装置。
【請求項5】
前記更新手段は、
前記メッセージ解析手段で位置登録応答メッセージが解析され、当該位置登録応答メッセージが正常応答信号ではないと判定された場合、前記保持しておいた情報を破棄し、前記対応表の更新処理を実施しない
ことを特徴とする請求項3または4に記載の信号中継装置。
【請求項6】
前記中継無線回線決定手段は、さらに、
前記メッセージ解析手段での呼び出しメッセージの解析結果に基づいて、当該呼び出しメッセージと同一内容の新たな呼び出しメッセージを生成し、
前記新たな呼び出しメッセージを前記決定した中継無線回線に送信することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の信号中継装置。
【請求項7】
前記呼び出しメッセージの解析結果が複数の移動機識別子を含んでいる場合、
前記中継無線回線決定手段は、
前記複数の移動機識別子または当該各移動機識別子の一部に基づいて、呼び出しメッセージの送信先の中継無線回線を決定し、さらに、当該決定した中継無線回線の数と同数の新たな呼び出しメッセージであって、当該新たな呼び出しメッセージの各々は送信先の中継無線回線に対応付けられている移動機識別子を含んでいるメッセージを前記呼び出しメッセージの解析結果および対応表に基づいて生成し、
前記新たな呼び出しメッセージをそれぞれ、対応する中継無線回線に送信することを特徴とする請求項6に記載の信号中継装置。
【請求項8】
複数の基地局とコア網とを接続するアクセス回線が無線中継網を含み、当該無線中継網は前記コア網と前記複数の基地局の中のいずれか一つとの間で送受信される信号を伝送するための中継無線回線を複数含んだ携帯無線通信システムにおいて、前記コア網と前記無線中継網の間に配置された接続装置が実行する信号中継方法であって、
位置登録メッセージを受信した場合に、当該位置登録メッセージを解析し、当該位置登録メッセージに含まれている移動機識別子または当該移動機識別子の一部を移動機識別用情報として取得する移動機識別用情報取得ステップと、
位置登録応答メッセージを受信し、それが正常応答信号である場合に、前記移動機識別用情報取得ステップで取得した移動機識別用情報に基づいて、位置登録を実行した移動機と当該移動機が通信する際に利用する中継無線回路の対応表を更新する対応表更新ステップと、
呼び出し信号を受信した場合に、前記対応表に基づいて当該呼び出し信号の送信先とする中継無線回線を決定し、当該決定した中継無線回線に前記受信した呼び出し信号を転送する呼び出し信号転送ステップと、
を含むことを特徴とする信号中継方法。
【請求項9】
前記移動機識別用情報取得ステップでは、
前記取得した移動機識別用情報と前記位置登録メッセージが送信されてきた中継無線回線の識別情報である中継無線回線番号とを対応付けて記憶し、
前記対応表更新ステップでは、
前記移動機識別用情報取得ステップで記憶しておいた移動機識別用情報および中継無線回線番号を前記対応表に登録することで当該対応表を更新すること
を特徴とする請求項8に記載の信号中継方法。

【図1】
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【図2】
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