説明

信号入力回路、及び集積回路

【課題】センサ信号の変動を抑えつつ、センサ信号が入力される信号入力端子のオープンや、センサ信号を伝達させる伝達経路上の断線を検出する。
【解決手段】センサ信号入力回路100のIC110では、検査スイッチ118,マルチプレクサ114により、5V或いは0Vに設定された検査コンデンサ150と、検査対象となるいずれかの信号入力端子111との間が導通され、このときの信号ライン119cの電圧値に基づき該信号入力端子のオープン等が検出される。また、IC110の信号入力端子111a〜111bには、それぞれ、入力側コンデンサ140a−2〜140b−2が設けられているため、検査コンデンサ150を導通させた際の信号入力端子の電圧値の変動を抑えることができ、これによりセンサ信号の電圧の変動が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から入力された入力信号に応じて処理を行う信号入力回路等に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの内部の温度を測定する温度センサや、スロットル開度を検知するスロットルセンサ等、車両には多くのセンサが搭載されており、車載装置では、このようなセンサからの入力信号の電圧レベルをAD変換により検知する等して各種測定が行われる。このような車載装置では、従来から、AD変換により検知された入力信号の電圧レベルに基づき、センサの故障検出が行われていた。なお、車載用途では、外来ノイズの影響を受け易い環境にあることから、センサのダイナミックレンジを広く取り、外来ノイズの影響を最小限にする必要がある。一方、AD変換を行うICにおける入力信号の入力端子のオープンが生じた際には、IC内部に生成される寄生容量によりAD変換回路への入力電圧レベルが不定となってしまい、AD変換の結果から入力端子のオープンを検出することはできなかった。ここで、入力端子オープン等を検出する方法として、複数のセンサ、複数の入力回路、複数のADコンバータで多重化した上で、複数のAD変換結果の関係性から判定する方法があるが、当然ながらコストアップしてしまう。
【0003】
そこで、特許文献1には、センサ等から入力信号が入力される入力端子と、信号ラインにより入力端子に接続されたADコンバータと、信号ラインと他のラインとの間に設けられたコンデンサと、コンデンサと入力端子との間の接続状態を制御するために信号ライン上に設けられたSWとを有する断線検出装置について記載されている。この断線検出装置は、AD変換を行わない期間に、SWによりコンデンサと入力端子との間が遮断されると共に、コンデンサが負電源に接続され、コンデンサの両端は、入力信号の電圧の変動範囲外となる負の電圧に設定される。そして、AD変換を行う際には、SWによりコンデンサと入力端子とADコンバータとが互いに接続され、AD変換では、正常時には入力端子の電圧値が検知されると共に、入力端子のオープン発生時にはコンデンサにより生成される負の電圧が検知される。ゆえに特許文献1に記載の発明では、ADコンバータを入力信号の変動範囲よりも広範囲の電圧を検知可能な構成とする必要があり、ADコンバータの構成が複雑化、大型化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−55966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明によれば、入力端子のオープン等を検出することができる。しかしながら、入力端子のオープン等の検出のため、該入力端子に接続されるコンデンサに電荷がチャージされるため、入力信号の電圧値が変化し、入力信号の電圧の測定値に誤差が生じるおそれがある。
【0006】
本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、入力信号の変動を抑えつつ、入力信号が入力される信号入力端子のオープンや、入力信号を伝達させる伝達経路上の断線を検出することができる信号入力回路等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑みてなされた請求項1に記載の発明は、予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される信号入力装置が搭載された信号入力回路に関するものである。この信号入力回路は、信号入力端子と基準電位との間に設けられた入力側コンデンサと、一端が信号入力端子に、他端が基準電位に接続される検査コンデンサと、信号入力装置内部に設けられ、検査コンデンサと信号入力端子との間の検査経路を導通,遮断する接続部と、信号入力装置内部に設けられ、検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、を備える。また、この信号入力回路は、信号入力装置内部に設けられ、接続部により検査経路を遮断させた後、充放電部により検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、接続部により検査経路を導通させる導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行し、該端子異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出する判定処理部を備える。
【0008】
なお、端子異常とは、例えば、信号入力端子のオープンや、検査経路等といった入力信号を伝達させる伝達経路上の断線を意味する。
請求項1に記載の端子異常検出処理では、充放電手順にて検査コンデンサが端子検査電圧値に設定され、その後、導通手順により、検査コンデンサと信号入力端子との間が導通される。このとき、端子異常が生じている場合には、検査コンデンサは測定装置の外部に導通されず、検査コンデンサの充放電が行われないため、検査経路の電圧値は、検査コンデンサにより生成される端子検査電圧値、或いはその付近の値となる。
【0009】
一方、端子異常が生じていない場合には、検査コンデンサの充放電が行われ、検査経路の電圧値は、一時的に検査コンデンサにより生成される端子検査電圧値付近の値となるが、その後、入力信号の電圧値となる。したがって、導通手順の後の検査経路の電圧値に基づき、端子異常を検出することができる。ここで、請求項1に記載の信号入力回路では、信号入力端子に入力側コンデンサが設けられているため、検査経路と基準電位との間に設けられたコンデンサの容量を大きくすることができ、これにより、導通手順を行った際の、検査経路を流れる入力信号の電圧値の変動を抑えることができる。また、入力側コンデンサにより信号入力端子に設けられたCRフィルタを構成することができるが、請求項1に記載の信号入力回路によれば、該CRフィルタの時定数に合わせて検査コンデンサの容量を変更することができ、端子異常の検出精度や検出時間を柔軟に変更することができる。
【0010】
したがって、請求項1に記載の信号入力回路によれば、入力信号の電圧の変動を抑えつつ、入力信号が入力される信号入力端子のオープンや、入力信号を伝達させる伝達経路上の断線を検出することができる。
【0011】
また、信号入力装置は、複数の入力信号が入力される多チャンネルの装置として構成されていても良い。
すなわち、請求項2に記載されているように、信号入力装置には、異なる入力信号が入力される複数の信号入力端子が設けられており、接続部は、それぞれの信号入力端子についての検査経路を導通,遮断しても良い。そして、判定処理部は、いずれか一つの信号入力端子を検査対象として端子異常検出処理を実行し、端子異常検出処理の充放電手順において、接続部により全ての信号入力端子についての検査経路を遮断させた後に、検査コンデンサを端子検査電圧値に設定し、導通手順において、接続部により検査対象の信号入力端子についての検査経路を導通させても良い。
【0012】
こうすることにより、信号入力装置に設けられた各信号入力端子についての端子異常を検出することができる。
なお、請求項3に記載されているように、検査コンデンサの容量は、信号入力装置内部に生じる寄生容量よりも十分大きくても良い。
【0013】
こうすることにより、端子検査電圧値が設定された検査コンデンサと検査経路とを導通させるに際して、寄生容量の影響による検査経路の電圧値の変化を抑えることができる。このため、端子異常が生じた場合に、端子異常検出処理の導通手順により高い精度で検査経路を端子検査電圧値にすることができ、端子異常の検出精度を高めることができる。
【0014】
また、請求項4に記載されているように、入力側コンデンサの容量は、検査コンデンサの容量よりも大きくても良い。
こうすることにより、信号入力端子の電圧値の変化を抑えることができ、端子異常検出処理の影響による入力信号の電圧値の変動を抑えることができる。
【0015】
また、請求項5に記載されているように、検査コンデンサは、信号入力装置の外部に設けられていても良い。
こうすることにより、入力側コンデンサや信号入力装置内部の寄生容量等に応じて、検査コンデンサの容量を容易に変更することができる。
【0016】
ところで、仮に入力信号の電圧値が端子検査電圧値付近である場合には、端子異常が発生していなくても、導通手順を経た後の検査経路の電圧値は端子検査電圧値付近となり、端子異常が誤検出されるおそれがある。
【0017】
そこで、請求項6に記載の信号入力回路では、充放電部は、検査コンデンサの両端に設定する電圧値を変更可能に構成されている。
こうすることにより、検査電圧値を入力信号の電圧値とは異なる値に設定することができ、入力信号の電圧値がどのような値であっても異常検出処理により異常を検出することができる。
【0018】
さらに、請求項7に記載の信号入力回路では、判定処理部は、端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした端子異常検出処理を実行すると共に、端子検査電圧値を、第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした端子異常検出処理を実行し、それぞれの端子異常検出処理を実行した後の検査経路の電圧値に基づき、端子異常を検出する。
【0019】
こうすることにより、第1端子検査電圧値での端子異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値が第1端子検査電圧値付近であり、尚且つ、第2端子検査電圧値での端子異常検出処理の実行後の検査経路の電圧値が第2端子検査電圧値付近である場合に、端子異常が発生したとみなす等といったことが可能となる。したがって、入力信号の電圧値が第1端子検査電圧値付近、或いは第2端子検査電圧値付近であったとしても、端子異常の誤検出を防ぐことができる。
【0020】
なお、請求項5等に記載の信号入力回路に搭載された信号入力装置を集積回路として構成し、流通させても良い(請求項8)し、検査コンデンサが内蔵された請求項1等に記載の信号入力装置を集積回路として構成し、流通させても良い(請求項9)。このような集積回路を用いた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態のセンサ信号入力回路の構成を示すブロック図である。
【図2】通常処理と異常検出処理についてのタイミングチャートである。
【図3】正常時における異常検出処理の際の電荷の流れ等を示す説明図である。
【図4】信号入力端子のオープン発生時における異常検出処理の際の電荷の流れ等を示す説明図である。
【図5】信号入力端子のオープン等の判定方法を示す表である。
【図6】第1実施形態の異常検出処理のフローチャートである。
【図7】第2実施形態のセンサ信号入力回路の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態の異常検出処理のフローチャートである。
【図9】信号入力端子のオープン等の判定方法を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0023】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態のセンサ信号入力回路について説明する。
[構成の説明]
図1は、第1実施形態のセンサ信号入力回路100の構成を示すブロック図である。このセンサ信号入力回路100には、温度センサや車両のアクセルの操作状態を検知するスロットルセンサ等のように、測定対象の状態やユーザの操作に応じて0V〜5Vの範囲で電圧値が変化するセンサ信号を生成する複数の第1〜第Nセンサ200a〜200bが接続されており、これらのセンサから入力されたセンサ信号の電圧値をAD変換により検知し、検知した電圧値に基づき処理を行うよう構成されている。
【0024】
具体的には、センサ信号入力回路100は、第1〜第Nセンサ200a〜200bにそれぞれ接続された第1〜第N外部入力端子120a〜120bを有すると共に、第1〜第N外部入力端子120a〜120bにそれぞれ接続された第1〜第N信号入力端子111a〜111bを備え、これらの端子を介して第1〜第Nセンサ200a〜200bから入力されたセンサ信号のAD変換を行うIC110を有している。なお、IC110は、マイコンやAD変換用IC等として構成されていても良い。
【0025】
また、センサ信号入力回路100は、第1〜第N外部入力端子120a〜120bに接続された第1〜第N抵抗130a〜130bと、第1〜第N外部入力端子120a〜120bと第1〜第N信号入力端子111a〜111bとの間にそれぞれ設けられた第1〜第Nフィルタ回路140a〜140bを有する。また、センサ信号入力回路100は、一端がIC110の端子に、他端が基準電位に接続され、第1〜第N信号入力端子111a〜111c等の検査(詳細については後述する)に用いられる検査コンデンサ150を有する。なお、第1フィルタ回路140aは、第1外部入力端子120aと第1信号入力端子111aとを結ぶライン上に設けられた入力側抵抗140a−1と、第1信号入力端子111aと基準電位との間に設けられた入力側コンデンサ140a−2を有しており、他のフィルタ回路もこれと同様に構成されている。
【0026】
また、IC110は、第1〜第N信号入力端子111a〜111bと信号ライン119cとの接続状態をそれぞれ制御する第1〜第Nスイッチ114a〜114bから構成されるマルチプレクサ114(MPXとも記載)と、AD変換により0〜5Vの範囲で信号ライン119cの電圧値を検知するADコンバータ116と、サージ電流から回路を保護するため、第1〜第N信号入力端子111a〜111bとマルチプレクサ114との間にそれぞれ設けられた第1〜第Nサージ保護回路113a〜113bとを有している。なお、ADコンバータ116には、信号ライン119cに接続されるサンプリングコンデンサ(図示なし)が設けられており、信号ライン119cを伝達する信号によりチャージされたサンプリングコンデンサの電圧値をAD変換により検知することで、信号ライン119cの電圧値が検知される。また、第1サージ保護回路113aは、第1信号入力端子111aとマルチプレクサ114とを結ぶ第1入力ライン119aにアノードが接続され、5V電源にカソードが接続されたダイオードと、第1入力ライン119aにカソードが接続され、基準電位にアノードが接続されたダイオードとから構成されており、他のサージ保護回路もこれと同様に構成されている。
【0027】
また、IC110は、信号ライン119cと上述の検査コンデンサ150とを結ぶ検査ライン119d上に設けられ、該検査ライン119dを導通,遮断する検査スイッチ118と、検査コンデンサ150に電圧を印加する検査用電源117と、マルチプレクサ114,ADコンバータ116,検査用電源117,検査スイッチ118を制御する制御回路115とを有している。
【0028】
また、IC110の内部では、第1〜第N信号入力端子111a〜111bと基準電位との間や、信号ライン119cと基準電位との間に、5pF程度の容量の寄生容量112a〜112cが生成される。
【0029】
なお、各信号入力端子に設けられた入力側コンデンサの容量は検査コンデンサ150の容量よりも大きく、一例として、入力側コンデンサの容量が0.1μF、検査コンデンサ150の容量が0.01μFであっても良い。
【0030】
また、第1〜第N外部入力端子120a〜120bをch1〜chNとも記載する。
[動作の説明]
(1)概要について
次に、センサ信号入力回路100のIC110により行われる、第1〜第N信号入力端子111a〜111bのオープン、或いは、信号入力端子から検査スイッチ118までの経路上の断線である端子異常を検出する端子異常検出処理の概要について、図2〜4を用いて説明する。なお、図2には、一例として、第1センサ200aに接続される第1信号入力端子111aに対応する端子異常検出処理における、マルチプレクサ114や検査スイッチ118等の動作タイミングを示すタイミングチャートが記載されている。また、図3には、一例として、正常時における第1信号入力端子111aに対応する端子異常検出処理での電荷の流れを示す説明図が記載されており、図4には、第1信号入力端子111aのオープン発生時における当該端子に対応する端子異常検出処理での電荷の流れを示す説明図が記載されている。
【0031】
図2に記載されているように、IC110の制御回路115は、第1信号入力端子111aから入力されるセンサ信号についてのAD変換を行う通常処理においては、マルチプレクサ114の第1スイッチ114aのみをONとして第1信号入力端子111aと信号ライン119cとを接続し、第1信号入力端子111aとADコンバータ116とを導通させる。
【0032】
一方、第1信号入力端子111aに対応する端子異常検出処理では、制御回路115は、マルチプレクサ114の第1スイッチ114aをOFFする(すなわち、第1信号入力端子111aと信号ライン119cとの接続状態を遮断状態する)と共に、検査スイッチ118をOFFとし(すなわち、検査コンデンサ150と信号ライン119cとの接続状態を遮断状態とし)、検査用電源117により検査コンデンサ150に5Vの電圧を印加して電荷をチャージする(図3の矢印10b,図4の矢印40bを参照)。このとき、フィルタ回路140aの入力側コンデンサ140a−2には、センサ信号により電荷がチャージされる(図3の矢印10a,図4の矢印40aを参照)。
【0033】
その後、図2に記載されているように、マルチプレクサ114の第1スイッチ114aをONする(すなわち、第1信号入力端子111aと信号ライン119cとの接続状態を導通状態する)と共に、検査スイッチ118をONとし(すなわち、検査コンデンサ150と信号ライン119cとの接続状態を導通状態とし)、ADコンバータ116により信号ライン119cの電圧値を検知する。
【0034】
このとき、第1信号入力端子111aの端子異常が生じていない場合には、センサ信号の電圧値が5Vより小さければ、検査コンデンサ150にチャージされた電荷が入力側コンデンサ140a−2に移動し、検査コンデンサ150の電荷が放電される。このため、第1スイッチ114aと検査スイッチ118をONした後、所定時間が経過すると、ADコンバータ116により、第1センサ200aからのセンサ信号の電圧が検知される(図3の矢印30を参照)。
【0035】
一方、図4に記載されているように、第1信号入力端子111aの端子異常が生じている場合には、検査コンデンサ150にチャージされた電荷が放電されず、ADコンバータ116により5V付近の電圧値が検知される(図4の矢印50を参照)。
【0036】
続いて、制御回路115は、マルチプレクサ114の第1スイッチ114aと検査スイッチ118をOFFとして、検査用電源117により検査コンデンサ150に0Vの電圧を印加し、検査コンデンサ150の電荷を放出させる(図3の矢印10b,図4の矢印40bを参照)。このとき、フィルタ回路140aの入力側コンデンサ140a−2には、センサ信号により電荷がチャージされる(図3の矢印10a,図4の矢印40aを参照)。
【0037】
その後、図2に記載されているように、検査スイッチ118とマルチプレクサ114の第1スイッチ114aをONとし、ADコンバータ116により信号ライン119cの電圧値を検知する。
【0038】
このとき、第1信号入力端子111aの端子異常が生じていない場合には、センサ信号の電圧値が0Vより大きければ、入力側コンデンサ140a−2にチャージされた電荷が検査コンデンサ150に移動し、検査コンデンサ150がチャージされる。このため、一定時間が経過すると、ADコンバータ116により、第1センサ200aからの入力信号の電圧が検知される(図3の矢印30を参照)。
【0039】
一方、図4に記載されているように、第1信号入力端子111aの端子異常が生じている場合には、入力側コンデンサ140a−2にチャージされた電荷が検査コンデンサ150に移動せず、ADコンバータ116により0V付近の電圧値が検知される(図4の矢印50を参照)。
【0040】
このように、第1実施形態の端子異常検出処理では、検査コンデンサ150に対し5Vでの電圧印加と0Vでの電圧印加が2回にわたり行われ、ADコンバータ116により各電圧印加の後に信号ライン119cの電圧値が検知される。そして、図5に記載されているように、1回目の電圧印加の後に5V付近の電圧値が検知され、尚且つ、2回目の電圧印加の後に0V付近の電圧値が検知された場合には、第1信号入力端子111aの端子異常が生じていると判定される。一方、1回目の電圧印加の後に5V付近の電圧値が検知されなかった場合や、2回目の電圧印加の後に0V付近の電圧値が検知されなかった場合には、正常と判定される。このため、仮に第1センサ200aからのセンサ信号の電圧値が5V付近或いは0V付近であったとしても、端子異常が誤検出されてしまうことを防ぐことができるのである。
【0041】
(2)端子異常検出処理の詳細について
次に、第1〜第N信号入力端子111a〜111bの端子異常の検出を行う端子異常検出処理の詳細について、図6に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの信号入力端子を検査対象として実行され、センサ信号入力回路100の動作中に、検査対象とする信号入力端子を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0042】
S305では、IC110の制御回路115は、マルチプレクサ114により全ての信号入力端子と信号ライン119cとの間の接続状態を遮断状態とすると共に、検査スイッチ118をOFFとした状態で、所定期間にわたり検査用電源117により検査コンデンサ150に5Vの電圧を印加し、検査コンデンサ150の電圧を5Vに設定する。そして、S310に処理を移行する。
【0043】
S310では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとすると共に、マルチプレクサ114により検査対象の信号入力端子と信号ライン119cとの間の接続状態を導通状態とし、S315に処理を移行する。
【0044】
S315では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を実行させて信号ライン119cの電圧値を検知し、S320に処理を移行する。
S320では、制御回路115は、AD変換により検知された電圧値が5V、或いは5V付近の値であるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S320:Yes)、S325に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S320:No)、S360に処理を移行する。
【0045】
S325では、制御回路115は、マルチプレクサ114により全ての信号入力端子と信号ライン119cとの間の接続状態を遮断状態とすると共に、検査スイッチ118をOFFとした状態で、所定期間にわたり検査用電源117により検査コンデンサ150に0Vの電圧を印加し、検査コンデンサ150の電圧を0Vに設定する。そして、S330に処理を移行する。
【0046】
S330では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとすると共に、マルチプレクサ114により検査対象の信号入力端子と信号ライン119cとの間の接続状態を導通状態とし、S335に処理を移行する。
【0047】
S335では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を実行させて信号ライン119cの電圧値を検知し、S340に処理を移行する。
S340では、制御回路115は、AD変換により検知された電圧値が0V、或いは0V付近の値であるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S340:Yes)、S345に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S340:No)、S355に処理を移行する。
【0048】
S345では、制御回路115は、検査対象の信号入力端子の端子異常が生じていると判定し、S350に処理を移行する。
S350では、制御回路115は、検査スイッチ118をOFFとし、本処理を終了する。
【0049】
一方、S340にて否定判定が得られた場合に移行するS355では、制御回路115は、検査対象の信号入力端子の端子異常が生じていないものと判定し、S350に処理を移行する。なお、検査対象の信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が5V付近である場合には、S355に処理が移行される。
【0050】
また、S320にて否定判定が得られた場合に移行するS360では、制御回路115は、マルチプレクサ114により全ての信号入力端子と信号ライン119cとの間の接続状態を遮断状態とすると共に、検査スイッチ118をOFFとした状態で、所定期間にわたり検査用電源117により検査コンデンサ150に0Vの電圧を印加し、検査コンデンサ150の電圧を0Vに設定する。そして、S365に処理を移行する。
【0051】
S365では、制御回路115は、検査スイッチ118をONとすると共に、マルチプレクサ114により検査対象の信号入力端子と信号ライン119cとの間の接続状態を導通状態とし、S370に処理を移行する。
【0052】
S370では、制御回路115は、ADコンバータ116にAD変換を実行させて信号ライン119cの電圧値を検知し、S375に処理を移行する。
S375では、制御回路115は、ADコンバータ116のAD変換により検知された電圧値が0V、或いは0V付近の値であるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S375:Yes)、S380に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S375:No)、S385に処理を移行する。
【0053】
S380では、制御回路115は、検査対象の信号入力端子の端子異常が生じていないものと判定し、S350に処理を移行する。なお、信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が0V付近である場合には、S380に処理が移行される。
【0054】
また、S385においても、制御回路115は、検査対象の信号入力端子の端子異常が生じていないものと判定し、S350に処理を移行する。なお、信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が0〜5Vである場合には、S385に処理が移行される。
【0055】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のセンサ信号入力回路について説明する。
[構成の説明]
図7は、第2実施形態のセンサ信号入力回路400の構成を示すブロック図である。このセンサ信号入力回路400には、第1実施形態と同様の第1〜第Nセンサ200a〜200bが接続されており、これらのセンサから入力された0V〜5Vの範囲のセンサ信号の電圧が、予め定められた比較電圧(例えば2.5V)よりも大きいか否かに応じて処理を実行するよう構成されている。
【0056】
具体的には、センサ信号入力回路400は、第1実施形態と同様の第1〜第N外部入力端子420a〜420bと、第1〜第N外部入力端子420a〜420bにそれぞれ接続された第1〜第N信号入力端子411a〜411bを備えるIC410を有している。
【0057】
また、センサ信号入力回路400は、第1実施形態と同様の第1〜第N抵抗430a〜430bと、第1〜第Nフィルタ回路440a〜440bと、検査コンデンサ450とを有している。なお、第1フィルタ回路440aは、第1実施形態と同様の入力側抵抗440a−1と入力側コンデンサ440a−2を有しており、他のフィルタ回路もこれと同様に構成されている。
【0058】
また、IC410は、第1実施形態と同様に第1〜第Nスイッチ414a〜414bを備えるマルチプレクサ414と、第1〜第Nサージ保護回路413a〜413bとを有している。また、IC410には、ADコンバータに替わって、信号ライン419cを伝達するセンサ信号の電圧と比較電圧とを比較し、センサ信号の電圧が比較電圧よりも大きい場合にはHレベルを、センサ信号の電圧が比較電圧以下の場合にはLレベルを出力するコンパレータ416が設けられている。
【0059】
また、IC410は、信号ライン419cと検査コンデンサ450とを結ぶ検査ライン419d上に設けられ、該検査ライン419dを導通,遮断する検査スイッチ418と、検査コンデンサ450に電圧を印加する検査用電源417と、マルチプレクサ414,コンパレータ416,検査用電源417,検査スイッチ418を制御する制御回路415とを有している。
【0060】
また、IC410の内部では、第1〜第N信号入力端子411a〜411bと基準電位との間や、信号ライン419cと基準電位との間に、5pF程度の容量の寄生容量412a〜412cが生成される。
【0061】
なお、各信号入力端子に設けられた入力側コンデンサの容量は検査コンデンサ450の容量よりも大きく、一例として、入力側コンデンサの容量が0.1μF、検査コンデンサ450の容量が0.01μFであっても良い。
【0062】
また、第1〜第N外部入力端子420a〜420bをch1〜chNとも記載する。
[動作の説明]
次に、センサ信号入力回路400のIC410により行われる、第1〜第N信号入力端子411a〜411bについての端子異常を検出する端子異常検出処理について、図8を用いて説明する。なお、本処理は、いずれか一つの信号入力端子を検査対象として実行され、センサ信号入力回路400の動作中に、検査対象とする信号入力端子を切り替えながら定期的に実行される処理である。
【0063】
S505では、IC410の制御回路415は、マルチプレクサ414により全ての信号入力端子と信号ライン419cとの間の接続状態を遮断状態とすると共に、検査スイッチ418をOFFとした(すなわち、検査コンデンサ450と信号ライン419cとの接続状態を遮断状態とした)状態で、所定期間にわたり検査用電源417により検査コンデンサ450に5Vの電圧を印加し、検査コンデンサ450の電圧を5Vに設定する。そして、S510に処理を移行する。
【0064】
S510では、制御回路415は、検査スイッチ418をONとする(すなわち、検査コンデンサ450と信号ライン419cとの接続状態を導通状態とする)と共に、マルチプレクサ414により検査対象の信号入力端子と信号ライン419cとの間の接続状態を導通状態とし、コンパレータ416に信号ライン419cの電圧と比較電圧とを比較させる。そして、S515に処理を移行する。
【0065】
S515では、制御回路415は、コンパレータ416からの出力信号がHレベルであるかLレベルであるかを判定し、Hレベルである場合には(S515:Yes)、信号ライン419cの電圧が比較電圧よりも大きいと判定してS520に処理を移行する。一方、Lレベルである場合には(S515:No)、信号ライン419cの電圧が比較電圧以下であると判定してS550に処理を移行する。
【0066】
S520では、制御回路415は、マルチプレクサ414により全ての信号入力端子と信号ライン419cとの間の接続状態を遮断状態とすると共に、検査スイッチ418をOFFとした状態で、所定期間にわたり検査用電源417により検査コンデンサ450に0Vの電圧を印加し、検査コンデンサ450の電圧を0Vに設定する。そして、S525に処理を移行する。
【0067】
S525では、制御回路415は、検査スイッチ418をONすると共に、マルチプレクサ414により検査対象の信号入力端子と信号ライン419cとの間の接続状態を導通状態とし、コンパレータ416に信号ライン419cの電圧と比較電圧とを比較させる。そして、S530に処理を移行する。
【0068】
S530では、制御回路415は、コンパレータ416からの出力信号がLレベルであるかHレベルであるかを判定し、Lレベルである場合には(S530:Yes)、信号ライン419cの電圧が比較電圧以下であると判定してS535に処理を移行する。一方、Hレベルである場合には(S530:No)、信号ライン419cの電圧が比較電圧よりも大きいと判定してS545に処理を移行する。
【0069】
S535では、制御回路415は、検査対象の信号入力端子の端子異常が生じていると判定し、S540に処理を移行する。
S540では、制御回路415は、検査スイッチ418をOFFとし、本処理を終了する。
【0070】
一方、S530にて否定判定が得られた場合に移行するS545では、制御回路415は、検査対象の信号入力端子の端子異常が生じていないものと判定し、S540に処理を移行する。なお、信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が2.5V(比較電圧の電圧値)〜5Vの範囲である場合には、S545に処理が移行される。
【0071】
また、S515にて否定判定が得られた場合に移行するS550では、制御回路415は、マルチプレクサ414により全ての信号入力端子と信号ライン419cとの間の接続状態を遮断状態とすると共に、検査スイッチ418をOFFとした状態で、所定期間にわたり検査用電源417により検査コンデンサ450に0Vの電圧を印加し、検査コンデンサ450の電圧を0Vに設定する。そして、S555に処理を移行する。
【0072】
S555では、制御回路415は、検査スイッチ418をONすると共に、マルチプレクサ414により検査対象の信号入力端子と信号ライン419cとの間の接続状態を導通状態とし、コンパレータ416に信号ライン419cの電圧と比較電圧とを比較させる。そして、S560に処理を移行する。
【0073】
S560では、制御回路415は、コンパレータ416からの出力信号がLレベルであるかHレベルであるかを判定し、Lレベルである場合には(S560:Yes)、信号ライン419cの電圧が比較電圧以下であると判定してS565に処理を移行する。一方、Hレベルである場合には(S560:No)、信号ライン419cの電圧が比較電圧よりも大きいと判定してS570に処理を移行する。
【0074】
S565では、制御回路415は、検査対象の信号入力端子の端子異常が生じていないものと判定し、S540に処理を移行する。なお、信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が0V〜2.5V(比較電圧の電圧値)の範囲である場合には、S565に処理が移行される。
【0075】
また、S570においても、制御回路415は、検査対象の信号入力端子の端子異常が生じていないものと判定し、S540に処理を移行する。なお、信号入力端子に入力されるセンサ信号の電圧値が2.5V(比較電圧の電圧値)の付近で不定となっている場合等には、S570に処理が移行される。
【0076】
このように、第2実施形態の端子異常検出処理においても、検査コンデンサ450に対し5Vでの電圧印加と0Vでの電圧印加が2回にわたり行われると共に、各電圧印加の後には、ADコンバータによるAD変換に替えて、コンパレータ416による信号ライン419cの電圧と比較電圧との比較が行われる。そして、図9に記載されているように、5Vの電圧印加の後のコンパレータ416からの出力信号がHレベルであると共に、0Vの電圧印加の後のコンパレータ416からの出力信号がLレベルである場合には、端子異常と判定される。
【0077】
一方、各電圧印加の後のコンパレータ416の出力信号が共にHレベルである場合や、共にLレベルである場合や、5Vの電圧印加の後の出力信号がLレベル、0Vの電圧印加の後の出力信号がHレベルである場合には、端子異常が生じていないと判定される。
【0078】
このため、仮にセンサ信号の電圧値が5V付近或いは0V付近であったとしても、端子異常が誤って検出されてしまうことを防ぐことができるのである。
[効果]
第1,第2実施形態のセンサ信号入力回路のICで実行される端子異常検出処理では、検査コンデンサの電圧を5Vに設定する処理と、0Vに設定する処理とが行われ、各処理の後に、検査コンデンサと検査対象の信号入力端子との間を導通させて信号ラインの電圧値が検知される。そして、5Vに設定した後の信号ラインの電圧値が5V付近であり、尚且つ、0Vに設定した後の信号ラインの電圧値が0V付近である場合には、端子異常が生じたものとみなされる。
【0079】
また、各信号入力端子には入力側コンデンサが設けられているため、5V或いは0Vに設定された検査コンデンサと信号入力端子との間を導通させた際の信号ラインの電圧値の変動を抑えることができる。このため、端子異常が生じていない場合に、信号ラインを流れるセンサ信号の電圧が端子異常検出処理の影響により変動することを抑えることができる。
【0080】
したがって、第1,第2実施形態のセンサ信号入力回路によれば、センサ信号の変動を抑えつつ端子異常を検出することができる。
[他の実施形態]
(1)第1,第2実施形態では、検査コンデンサがICの外部に設けられているが、検査コンデンサをICに内蔵させた場合であっても、同様の効果を得ることができる。また、検査コンデンサに印加する電圧は0V或いは5Vとなっているが、これに限定されることは無く、センサ信号の変動範囲内で変更することができる。また、入力側コンデンサの容量は0.1μF、検査コンデンサの容量は0.01μFとなっているが、これに限定されることは無く、異なる値が設定されている場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0081】
(2)また、第1,第2実施形態では、N個のセンサ信号が入力される多チャンネルの構成となっているが、これに限定されることは無く、一つの信号が入力されるよう構成されていても良い。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0082】
(3)また、第1,第2実施形態では、IC内部に検査スイッチが設けられているが、該検査スイッチを設けない構成としても良い。このような場合であっても、マルチプレクサにより各信号入力端子と検査コンデンサとの間の接続状態を制御することができ、同様にして検査コンデンサへの電荷のチャージや、検査コンデンサと入力側コンデンサとの間の電荷の移動を行わせることができる。
【0083】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0084】
センサ信号入力回路が信号入力回路に、ICが信号入力装置,集積回路に、検査スイッチ,マルチプレクサが接続部に、検査用電源が充放電部に相当する。
また、第1実施形態のセンサ信号入力回路100における制御回路115,ADコンバータ116と、第2実施形態のセンサ信号入力回路400における制御回路415,コンパレータ416が、それぞれ、判定処理部に相当する。
【0085】
また、センサ信号が入力信号に相当する。
また、第1実施形態の端子異常検出処理のS305,S325,S360が充放電手順に、S310,S330,S365が導通手順に相当する。
【0086】
また、第2実施形態の端子異常検出処理のS505,S520,S550が充放電手順に、S510,S525,S555が導通手順に相当する。
【符号の説明】
【0087】
100…センサ信号入力回路、110…IC、111…信号入力端子、112…寄生容量、113…サージ保護回路、114…マルチプレクサ、115…制御回路、116…ADコンバータ、117…検査用電源、118…検査スイッチ、119a…入力ライン、119b…入力ライン、119c…信号ライン、119d…検査ライン、120…外部入力端子、130…抵抗、140…フィルタ回路、150…検査コンデンサ、200…センサ、400…センサ信号入力回路、410…IC、411…信号入力端子、412…寄生容量、413…サージ保護回路、414…マルチプレクサ、415…制御回路、416…コンパレータ、417…検査用電源、418…検査スイッチ、419a…入力ライン、419b…入力ライン、419c…信号ライン、419d…検査ライン、420…外部入力端子、430…抵抗、440…フィルタ回路、450…検査コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力される信号入力装置が搭載された信号入力回路であって、
前記信号入力端子と基準電位との間に設けられた入力側コンデンサと、
一端が前記信号入力端子に、他端が基準電位に接続される検査コンデンサと、
前記信号入力装置内部に設けられ、前記検査コンデンサと前記信号入力端子との間の検査経路を導通,遮断する接続部と、
前記信号入力装置内部に設けられ、前記検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を前記変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、
前記信号入力装置内部に設けられ、前記接続部により前記検査経路を遮断させた後、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、前記接続部により前記検査経路を導通させる導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行し、該端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された前記入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出する判定処理部と、
を備えることを特徴とする信号入力回路。
【請求項2】
請求項1に記載の信号入力回路において、
前記信号入力装置には、異なる前記入力信号が入力される複数の前記信号入力端子が設けられており、
前記接続部は、それぞれの前記信号入力端子についての前記検査経路を導通,遮断し、
前記判定処理部は、
いずれか一つの前記信号入力端子を検査対象として前記端子異常検出処理を実行し、
前記端子異常検出処理の前記充放電手順において、前記接続部により全ての前記信号入力端子についての前記検査経路を遮断させた後に、前記検査コンデンサを前記端子検査電圧値に設定し、前記導通手順において、前記接続部により検査対象の前記信号入力端子についての前記検査経路を導通させること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の信号入力回路において、
前記検査コンデンサの容量は、前記信号入力装置内部に生じる寄生容量よりも十分大きいこと、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記入力側コンデンサの容量は、前記検査コンデンサの容量よりも大きいこと、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記検査コンデンサは、前記信号入力装置の外部に設けられていること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の信号入力回路において、
前記充放電部は、前記検査コンデンサの両端に設定する電圧値を変更可能に構成されていること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項7】
請求項6に記載の信号入力回路において、
前記判定処理部は、前記端子検査電圧値を第1端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行すると共に、前記端子検査電圧値を、前記第1端子検査電圧値とは異なる第2端子検査電圧値とした前記端子異常検出処理を実行し、それぞれの前記端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記端子異常を検出すること、
を特徴とする信号入力回路。
【請求項8】
予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力され、該信号入力端子と基準電位との間に入力側コンデンサが設けられる集積回路であって、
一端が基準電位に接続された状態で当該集積回路の外部に設けられた検査コンデンサと前記信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、
前記検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を前記変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、
前記接続部により前記検査経路を遮断させた後、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、前記接続部により前記検査経路を導通させる導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行し、該端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された前記入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出する判定処理部と、
を備えることを特徴とする集積回路。
【請求項9】
予め定められた変動範囲内で電圧値が変動する入力信号が信号入力端子を介して入力され、該信号入力端子と基準電位との間に入力側コンデンサが設けられる集積回路であって、
一端が前記信号入力端子に、他端が基準電位に接続される検査コンデンサと、
前記検査コンデンサと前記信号入力端子とを結ぶ検査経路を導通,遮断する接続部と、
前記検査コンデンサを充放電することで、該検査コンデンサの両端を前記変動範囲内の電圧に設定する充放電部と、
前記接続部により前記検査経路を遮断させた後、前記充放電部により前記検査コンデンサの両端を予め定められた端子検査電圧値に設定する充放電手順と、前記接続部により前記検査経路を導通させる導通手順とを順次行う端子異常検出処理を実行し、該端子異常検出処理を実行した後の前記検査経路の電圧値に基づき、前記信号入力端子、或いは、該信号入力端子に入力された前記入力信号の伝達経路の異常である端子異常を検出する判定処理部と、
を備えることを特徴とする集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−145409(P2012−145409A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3172(P2011−3172)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】