説明

信号処理装置、信号処理方法および信号処理プログラム

【課題】装置内で信号の滞留を極力防止して、信号の出力を円滑に行うことを可能にする信号処理装置、信号処理方法および信号処理プログラムを得る。
【解決手段】第2のノード202は、タスクの処理に関して、外部ノードから信号を入力する第1および第3の入力タスク部2121、2123の優先度が最も低くなっており、外部ノードに信号を出力する第1および第3の出力タスク部2141、2143の方向に各部の優先度が高くなっている。このため、第1および第3の入力タスク部2121、2123で負荷を無視するような受信が行われず、第2のノード202内部での信号の滞留を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された信号を処理して外部に出力する信号処理装置、信号処理方法および信号処理プログラムに係わり、たとえば受信部でパケット信号を受信して、カプセル化等の信号処理を行った後、相手先の装置にパケット信号として出力する通信装置で好適に使用することができる信号処理装置、信号処理方法および信号処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば中継機能を備えた通信装置では、所定の通信装置から信号を受信して、装置内部で各段階の処理を行う。そして、処理後の信号を次の通信装置に送信している。
【0003】
図4は、本発明に関連する関連技術の一例としての通信システムの一例を第2のノードを中心に表わしたものである。この図に示した例では、第1のノード101と、第3のノード103の間に第2のノード102が配置されている。第2のノード102に着目してみる。第2のノード102は、第1のノード101から送られてくるパケット信号1111を受信する第1の入力タスク部1121と、第3のノード103から送られてくるパケット信号1113を受信する第3の入力タスク部1123と、第1のノード101に送出されるパケット信号1131を送信する第1の出力タスク部1141と、第3のノード103に送出されるパケット信号1133を送信する第3の出力タスク部1143と、これら第1および第3の入力タスク部1121、1123、第1および第3の出力タスク部1141、1143の制御を行う制御タスク部115を備えている。
【0004】
このようなに構成の第2のノード102は、第1および第3の入力タスク部1121、1123ならびに第1および第3の出力タスク部1141、1143は、信号処理の優先度として同一の実行プライオリティが与えられている。また、第1および第3の入力タスク部1121、1123ならびに第1および第3の出力タスク部1141、1143は、信号処理の遅延を避けるために、制御タスク部115に比べて信号処理について相対的に高い優先度が設定されている。すなわち、図4に示すように制御タスク部115は低優先度領域121に属しているのに対して、第1および第3の入力タスク部1121、1123ならびに第1および第3の出力タスク部1141、1143は、高優先度領域122に属している。
【0005】
図4に示した第2のノード102の動作を次に説明する。第1のノード101から送られてきたパケット信号1111は第1の入力タスク部1121で受信される。また、第3のノード103から送られてきたパケット信号1113は第3の入力タスク部1123で受信される。第1の入力タスク部1121は、このパケット信号1111を制御タスク部115に送って適切な信号処理を受ける。同様に、第3の入力タスク部1123は、受信したパケット信号1113を制御タスク部115に送って適切な信号処理を受ける。制御タスク部115は、信号処理後の信号を第1の出力タスク部1141あるいは第3の出力タスク部1143に送信する。
【0006】
このうち、第1の出力タスク部1141に送られたパケット信号は、パケット信号1131として第1のノード101に送信される。第3の出力タスク部1143に送られたパケット信号は、パケット信号1133として第3のノード103に送信される。
【0007】
パケット信号によっては、カプセル化を行ったり、この反対にデカプセル化される処理を行う場合がある。本明細書では、これらをまとめて「カプセル化処理」と称することにする。このようなカプセル化処理は、制御タスク部115が第1あるいは第3の入力タスク部1121、1123に処理途中のパケット信号を送り返すことで実現する。
【0008】
このような第1の関連技術では、第2のノード102の各部をモジュール構造とした場合に、第1の出力タスク部1141と第1の入力タスク部1121を第1のノード101とのプロトコル処理に関係する第1の通信機能部として1つの概念で取り扱っている。また、第3の出力タスク部1143と第3の入力タスク部1123についても、第3のノード103とのプロトコル処理に関係する第3の通信機能部として、第1の通信機能部と共通した概念で取り扱っている。制御タスク部115は、制御タスク自体がプロトコル処理とは機能的に大きく異なるので、第1および第3の通信機能部と異なる概念で取り扱い、かつ送受信の信号処理の遅延を避けるために、送受信の処理よりも実行プライオリティを低く設定している。
【0009】
このような第1の関連技術によれば、送信と受信のプライオリティが等しく設定されている。このため、一時的にパケットの受信が多くなると、制御タスク部115の処理が優先度との関係で遅延することになった。この結果、第2のノード102の内部で未処理のタスクが増加することになって、結果的に送信処理までも遅延することになった。
【0010】
特に制御タスク部115がカプセル化のようなデータの通信処理に付帯する処理を必要とした場合、優先度の低い機能部で処理が一層滞留することになり、第2のノード102自体が機能障害に陥るおそれがあった。
【0011】
そこで、パケットを受信したら、受信したパケットごとに優先度を定めることが本発明の第2の関連技術として提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−251233号公報(特許第3347926号)(第0014段落、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、この第2の関連技術によれば、パケットを受信するたびにパケットごとに優先度を設定するので、処理が煩雑になるという問題がある。また、第2の関連技術では受信処理は必ず行うことになるので、パケット信号の受信が集中すると、結局は装置全体としての処理の均衡を図ることができず、装置内部での信号処理の滞留を招いてしまうという問題があった。
【0013】
以上、通信装置あるいはノードにおけるデータ処理の問題を説明したが、一般に、データを入力して内部処理を行い、その結果を出力する信号処理装置には同様の問題があった。
【0014】
そこで本発明の目的は、装置内で信号の滞留を極力防止して、信号の出力を円滑に行うことを可能にする信号処理装置、信号処理方法および信号処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明では、(イ)信号が入力される入力段階から、その信号が一連の内部処理を経て外部に出力される出力段階までを信号の出力方向に沿って複数の段階に区分したときのそれぞれの段階に対して、出力に近い段階ほど処理の優先度を高く設定した優先度情報を格納した優先度情報格納手段と、(ロ)この優先度情報格納手段に格納された優先度に沿って、出力段階から入力段階の方向に処理すべきデータが存在するかを段階別にチェックする該当データ存否確認手段と、(ハ)この該当データ存否確認手段によって確認された最も高い優先度の段階のデータとしての特定データの処理を他の段階のデータの処理を排除した形で実行する特定段階データ処理手段と、(ニ)この特定段階データ処理手段によって特定データの処理が行われた後、前記した該当データ存否確認手段に処理を移行させる処理移行手段とを信号処理装置が具備する。
【0016】
また、本発明では、(イ)信号が装置に入力される入力段階から、その信号が一連の内部処理を経て装置外に出力される出力段階までを信号の出力方向に沿って複数の段階に区分したときの、出力段階から入力段階の方向に処理すべきデータが存在するかを段階別にチェックする該当データ存否確認ステップと、(ロ)この該当データ存否確認ステップによって確認された出力段階に近い段階のデータとしての特定データの処理を他の段階のデータの処理を排除した形で実行する特定段階データ処理ステップと、(ハ)この特定段階データ処理ステップによって特定データの処理が行われた後、前記した該当データ存否確認手段に処理を移行させる処理移行ステップとを信号処理方法が具備する。
【0017】
更に本発明では、入力された信号を処理して出力するコンピュータに、信号処理プログラムとして、(イ)前記した信号が装置に入力される入力段階から、その信号が一連の内部処理を経て装置外に出力される出力段階までを信号の出力方向に沿って複数の段階に区分したときの、出力段階から入力段階の方向に処理すべきデータが存在するかを段階別にチェックする該当データ存否確認処理と、(ロ)この該当データ存否確認処理によって確認された出力段階に近い段階のデータとしての特定データの処理を他の段階のデータの処理を排除した形で実行する特定段階データ処理と、(ハ)この特定段階データ処理によって特定データの処理が行われた後、前記した該当データ存否確認処理に処理を移行させる処理移行処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、タスクの実行プライオリティを信号の出力側に向けて傾斜的に高めているので、単純な制御で、信号の滞留を防止することができる。また、過負荷時には新たな信号の入力を抑止することができる。更に、本発明は優先度の設定という単純な論理を用いているので、過負荷制御を実現するための余分な処理が不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明を一実施の形態を基にして説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態における信号処理装置を使用した通信システムを表わしたものである。この通信システムでは、第1のノード201と、第3のノード203の間に、本発明の第2のノード202が配置されている。第2のノード202は、第1のノード201から送られてくるパケット信号2111を第1のプロトコルを用いて受信する第1の入力タスク部2121と、第3のノード203から送られてくるパケット信号2113を第3のプロトコルを用いて受信する第3の入力タスク部2123と、第1のノード201に送出されるパケット信号2131を第1のプロトコルを用いて送信する第1の出力タスク部2141と、第3のノード203に送出されるパケット信号2133を第3のプロトコルを用いて送信する第3の出力タスク部2143と、第1のプロトコルを用いてカプセル化の処理を行う第1の再入力タスク部2151と、第3のプロトコルを用いてカプセル化の処理を行う第3の再入力タスク部2151と、これら第1および第3の入力タスク部2121、2123、第1および第3の出力タスク部2141、2143、ならびに第1および第3の再入力タスク部2151、2153の制御を行う制御タスク部216を備えている。また、第2のノード202は、CPU(Central Processing Unit)221と、その制御プログラムとしてのOS(Operating System)を格納したり、データ処理用のメモリ領域を備えたメモリ222を有している。
【0021】
ここで第1および第3の入力タスク部2121、2123は、外部のノード(この例では第1のノード201と第3のノード203)からパケット信号を1つずつ受信する外部インタフェースであり、第1および第3の出力タスク部2141、2143は、外部のノード(この例では第1のノード201と第3のノード203)にパケット信号を1つずつ送信する外部インタフェースである。第1および第3の再入力タスク部2151、2153は、IP(Internet Protocol)トンネルのように、信号がカプセル化された構造を持つ場合の処理に使用される。すなわち、パケット信号の外側に相当する箇所のプロトコル処理後に、内側に相当する箇所の信号を取り出したり、逆に受信した信号の処理後にカプセル化処理として、外側に相当する箇所にプロトコルのヘッダを付加した上で送信を行うことがある。第1および第3の再入力タスク部2151、2153は、このようなカプセル化処理を行うために使用される。
【0022】
制御タスク部216は、受信したパケット信号についてカプセル化処理が必要だと判断した場合、その信号を第1あるいは第3の再入力タスク部2151、2153のうちの該当するものに送信する。第1あるいは第3の再入力タスク部2151、2153は、制御タスク部216から受信したパケット信号についてカプセル化処理を行う。そして、これらの信号が外部のノードから受信されて処理されたかのようにカプセル化処理された信号を再度、制御タスク部216に送信する。
【0023】
2系統の入力タスク部2121、2123、出力タスク部2141、2143および再入力タスク部2151、2153は例示であり、本実施の形態の第2のノード202は、任意数の通信プロトコルに対応することができる。図1に例示した第1および第3の出力タスク部2141、2143は、優先度が1番高い階層としての実行プライオリティを持っている。制御タスク部216は優先度が2番目に高い階層としての実行プライオリティを持っている。第1および第3の再入力タスク部2151、2153は優先度が3番目に高い階層としての実行プライオリティを持っている。第1および第3の入力タスク部2121、2123は、優先度の一番低い階層としての実行プライオリティを持っている。このような実行プライオリティの設定は、メモリ222内に格納されたOSに記述されている。
【0024】
図2は、第2のノードのOSが各タスク部の処理を行う様子を表わしたものである。第2のノード202は、図1に示したCPU221がメモリ222内に格納されたOSを実行することで、図1に示した第1および第3の入力タスク部2121、2123、第1および第3の出力タスク部2141、2143、第1および第3の再入力タスク部2151、2153および制御タスク部216の制御を行うようになっている。
【0025】
まず、CPU221は第2のノード202内でタスクが存在する優先度の最も高いタスク部の階層を判別する(ステップS301)。このようなタスク部の階層が存在していれば(ステップS302:Y)、その階層のタスク部の処理を実行する(ステップS303)。該当する階層の処理がすべて終了するまで、他の階層の処理は行わない(ステップS304:N、ステップS303)。たとえば、第1の出力タスク部2141と第3の出力タスク部2143が共にパケット信号の送信に関するタスクを有していた場合、これらのタスクが完全に処理されるまで、制御タスク部216およびこれよりも低い階層のタスクの処理は行われない。
【0026】
ここで、第1の出力タスク部2141と第3の出力タスク部2143の間で、どちらのタスクの処理を優先するかについて特に定めはない。したがって、これら同一階層のタスクについては、時分割処理を行ってもよい。ステップS302で第2のノード202内に何らのタスクも存在しないと判別された場合には(N)、再度、ステップS301に戻って(リターン)、タスクが存在するようになるまで処理を待機することになる。
【0027】
ステップS304で該当する階層のタスクの処理がすべて終了したと判別されたときには(Y)、再びステップS301に処理が戻る(リターン)。そして、タスク部2121、2123、2141、2143、2151、2153、216の中でその時点でタスクが存在する最も高い階層が判別され、そのような階層が存在する場合には(ステップS302:Y)、その階層のタスク部の処理が実行されることになる(ステップS303)。以下、同様である。
【0028】
たとえば第2のノード202がある時点で立ち上げられたとし、その時点で各タスク部2121、2123、2141、2143、2151、2153、216に処理すべきタスクが存在しなかったとする。それ以後のある時点に、図1に示す第1のノード201からパケット信号2111が1パケット受信されたとする。このとき、第1の入力タスク部2121は最も低い優先度となっているが、この時点では他のタスク部2123、2141、2143、2151、2153、216にタスクが存在しない。したがって、第1の入力タスク部2121がこのパケット信号の受信のための処理を実行する(ステップS303)。
【0029】
第1の入力タスク部2121による処理が完了すると(ステップS304:Y)、処理後の信号は制御タスク部216に送られる。そして、ステップS301に処理が戻り、最も高い優先度の階層が判別される。この場合には、第1の入力タスク部2121に次のパケット信号が受信される状態でも、制御タスク部216が最も優先度が高くなる。そこで、この例の場合には、次に制御タスク部216でのタスク処理が実行される(ステップS303)。そして、この結果、カプセル化の処理が必要と判別されれば処理後の信号は前記したように第1の再入力タスク部2151に送られ、このような処理が不要な場合には第1の出力タスク部2141に送られる。
【0030】
次の段階ではステップS301に戻って第2のノード202内での優先度の最も高いタスク部が選択される。このとき、第2のノード202との間の通信処理と並行して、第3のノード203との通信も行われていたとする。このような場合には、各タスク部2121、2123、2141、2143、2151、2153、216がそれぞれ処理すべきタスクを複雑に有していることになる。3つ以上のノードと通信を行っている場合は、なおさらである。
【0031】
本実施の形態では、受信側から送信側に向けて、各タスク部2121、2123、2141、2143、2151、2153、216の優先度が順に高まるように設定されている。したがって、制御タスク部216から単純に第1あるいは第3の出力タスク部2141、2143に送出された信号と、第1あるいは第3の再入力タスク部2151、2153にカプセル化の処理を行うために回された信号とがあった場合、第1あるいは第3の出力タスク部2141、2143に送出された信号の方が優先度が高いので、これらがまず処理されることになる。
【0032】
このように本実施の形態では受信側から送信側に向けて、各タスク部2121、2123、2141、2143、2151、2153、216の優先度が順に高まるように設定されているので、送信側の処理が受信側よりも早く処理される。このため、第2のノード202内でそれぞれ1パケットを単位とするタスクが滞留することがない。したがって、CPU221は効率的に各タスク部2121、2123、2141、2143、2151、2153、216の処理をパケット単位で実行することができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、新しい信号の受信処理の優先度が相対的に低い。このため、先に受信した信号が処理されている間は、第1および第3の入力タスク部2121、2123が新たな信号を受信することが抑制される。この結果、第2のノード202は、過負荷となる信号の流入を事前に阻止することができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、カプセル化処理のような、システム内の処理ルートを複数回巡回するような場合を考慮して、送信処理と受信処理の中間の実行プライオリティを与えることで、一旦システム内に取り込んだ信号が、新しい受信信号よりも高い優先度で処理されるようにして、処理の滞留の発生を防止している。
【0035】
<発明の変形可能性>
【0036】
以上、カプセル化の処理を行うノードの各部についての優先度に基づく処理について説明したが、本発明はこのようなノードに対して限定的に適用されるものではない。
【0037】
図3は、本発明の変形例として、ゲートウェイ装置に本発明を適用した例を示したものである。図3で図1と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
【0038】
図3に示したゲートウェイ装置で構成された第2のノード202Aは、IPプロトコル上のSIP(Session Initiation Protocol)機能とRANAP(Radio Access Network Application Part)プロトコル上の3GPP(3rd Generation Partnership Project)の呼処理機能の変換機能を実現するようになっている。このため、この変形例では、第1のノード201AがIPルータで構成されており、第3のノード203AがRNC(Radio Network Controller:無線基地局制御装置)で構成されている。
【0039】
この変形例でも、インターネットプロトコル(IP)による処理を行ってパケット信号2131Aを第1のノード201Aに出力する第1の出力タスク部2141Aと、RANAPによる処理を行ってパケット信号2133Aを第3のノード203Aに出力する第3の出力タスク部2143Aの双方が処理の優先度を最も高く設定されている。また、SIPと3GPPプロトコルの呼処理変換の制御を行う制御タスク部216Aが、2番目に高い優先度に設定されている。再入力タスク部215A自体は、3番目に高い優先度に設定されている。IPルータで構成された第1のノード201Aから送られてくるパケット信号2111Aを受信する第1の入力タスク部2121Aと、RNCで構成された第3のノード203Aから送られてくるパケット信号2113Aを受信する第3の入力タスク部2121Aは、4番目に高い優先度、すなわち最も低い優先度に設定されている。優先度の設定は、メモリ222A内に格納されたOSに記述されている。
【0040】
このように変形例のゲートウェイ装置で構成された第2のノード202Aでも、出力タスクが最も高い実行プライオリティを持ち、制御タスク、再入力タスクと実行プライオリティが低下して、入力タスクが最も低い実行プライオリティを持つようになっている。このため、図1に示した実施の形態と同様に、通信システムのノードにおいて自ノードの過負荷状態を制御してノード内に信号が滞留することを防ぎ、過負荷状態を原因とするシステムダウンを回避することができる。
【0041】
更に実施の形態およびその変形例では、本発明がノードあるいは通信装置に適用される場合を示したが、一般に装置内部で複数の処理を行って、その結果を出力する情報処理装置で、内部にデータの滞留を防止する場合に本発明を同様に適用可能であることは当然である。
【0042】
また、入力から出力に至る一連の処理を複数に区切る区切りの行われる箇所および区切りの総数は、ソフトウェアの機能部やハードウェアの回路部品によって任意に設定可能であり、実施の形態およびその変形例で示したものに限定されるものではない。
【0043】
更に実施の形態およびその変形例では、パケット信号の1つずつをそれぞれ1つのタスクとして処理する前提で説明したが、全く同一の長さのパケットあるいは同一データ量の信号を処理の対象とする必要はない。すなわち、可変長のパケットやデータ量の異なる信号に対して本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態における信号処理装置を使用した通信システムを示すブロック図である。
【図2】図1に示した実施の形態における優先制御の様子を表わした流れ図である。
【図3】本発明の変形例におけるゲートウェイ装置を使用した通信システムを示すブロック図である。
【図4】本発明に関連する関連技術の一例としての通信システムの一例を第2のノードを中心に表わしたブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
201、201A 第1のノード
202、202A 第2のノード
203、203A 第3のノード
2121、2121A 第1の入力タスク部
2123、2123A 第3の入力タスク部
2141、2141A 第1の出力タスク部
2143、2143A 第3の出力タスク部
2151 第1の再入力タスク部
2153 第3の再入力タスク部
215A 再入力タスク部
216、216A 制御タスク部
221 CPU
222、222A メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号が入力される入力段階から、その信号が一連の内部処理を経て外部に出力される出力段階までを信号の出力方向に沿って複数の段階に区分したときのそれぞれの段階に対して、出力に近い段階ほど処理の優先度を高く設定した優先度情報を格納した優先度情報格納手段と、
この優先度情報格納手段に格納された優先度に沿って、出力段階から入力段階の方向に処理すべきデータが存在するかを段階別にチェックする該当データ存否確認手段と、
この該当データ存否確認手段によって確認された最も高い優先度の段階のデータとしての特定データの処理を他の段階のデータの処理を排除した形で実行する特定段階データ処理手段と、
この特定段階データ処理手段によって特定データの処理が行われた後、前記該当データ存否確認手段に処理を移行させる処理移行手段
とを具備することを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記入力段階は他の装置から信号を受信する段階であり、前記出力段階は、受信後に処理された信号を送信する段階であることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記入力段階と出力段階の間に、カプセル化されたパケット信号をデカプセル化したり、この逆の処理を行う中間段階の処理が含まれていることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記該当データ存否確認手段は、入力段階から出力段階に至る複数ルートの信号についてデータの存在を確認するものであることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記優先度情報格納手段に格納された前記複数の段階は、信号処理のための各ソフトウェアモジュールに対応していることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
【請求項6】
信号が装置に入力される入力段階から、その信号が一連の内部処理を経て装置外に出力される出力段階までを信号の出力方向に沿って複数の段階に区分したときの、出力段階から入力段階の方向に処理すべきデータが存在するかを段階別にチェックする該当データ存否確認ステップと、
この該当データ存否確認ステップによって確認された出力段階に近い段階のデータとしての特定データの処理を他の段階のデータの処理を排除した形で実行する特定段階データ処理ステップと、
この特定段階データ処理ステップによって特定データの処理が行われた後、前記該当データ存否確認手段に処理を移行させる処理移行ステップ
とを具備することを特徴とする信号処理方法。
【請求項7】
前記該当データ存否確認ステップは、前記装置に入力される複数ルートの信号についてデータの存在を確認するものであることを特徴とする請求項6記載の信号処理方法。
【請求項8】
入力された信号を処理して出力するコンピュータに、
前記信号が装置に入力される入力段階から、その信号が一連の内部処理を経て装置外に出力される出力段階までを信号の出力方向に沿って複数の段階に区分したときの、出力段階から入力段階の方向に処理すべきデータが存在するかを段階別にチェックする該当データ存否確認処理と、
この該当データ存否確認処理によって確認された出力段階に近い段階のデータとしての特定データの処理を他の段階のデータの処理を排除した形で実行する特定段階データ処理と、
この特定段階データ処理によって特定データの処理が行われた後、前記該当データ存否確認処理に処理を移行させる処理移行処理
とを実行させることを特徴とする信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−74711(P2010−74711A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242202(P2008−242202)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】