説明

信号処理装置および方法、並びに、非接触ICカードデバイス

【課題】表示機能付き非接触ICカードの開発を容易にし、コストの増大を抑制することができるようにする。
【解決手段】電子スイッチ212は、非接触ICカード用チップ101の信号入出力端子であるCP端子の接続先を切り替え、読み出し信号生成部211は、電子スイッチ212により、CP端子がループアンテナ102と接続されていないとき、すなわち、非接触ICカード用チップ101が外部のリーダライタと通信不可能な状態にあるとき、CP端子に対して、非接触ICカード用チップ101が駆動可能な電圧の電源電圧を生成可能な所定の波形の信号を生成して供給する。本発明は、例えば、表示機能付き非接触ICカードに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置および方法、並びに、非接触ICカードデバイスに関し、特に、開発を容易にし、コストの増大を抑制することができるようにした信号処理装置および方法、並びに、非接触ICカードデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集積回路(ICチップ)とアンテナを内蔵し、リーダライタ等の他のデバイスと近距離無線通信を行う非接触ICカードが存在する。この非接触ICカードは、小型で携帯性が良好であり、またICチップを用いているので信頼性も高く、例えばIDカード、クレジットカード、ポイントカード等のように、認証や決済を目的として利用される場合が多い。
【0003】
図1は、従来の非接触ICカードの構成例を示すブロック図である。
【0004】
図1に示されるように、非接触ICカード100は、半導体集積回路よりなる非接触ICカード用チップ101、ループアンテナ102、およびコンデンサ103により構成される。
【0005】
非接触ICカード用チップ101には、信号入出力端子であるCP端子と、クロック抽出端子であるCM端子が設けられており、両端子間にループアンテナ102およびコンデンサ103が並列に接続される。非接触ICカード用チップ101内部において、CP端子には、コンデンサ111、抵抗112のそれぞれの一方の端子が接続されると共に、他方の端子は、それぞれ接地されている。また、このCP端子には、抵抗113を介して、信号を整流するためのレギュレータ114が接続されており、CP端子に入力された信号はレギュレータ114により定電圧化された後、電源としてCPU等により構成されるICカード制御部121に供給される。
【0006】
CP端子にはまたCP端子より入力された変調信号を復調する復調部115の入力端子と、抵抗117が接続される。復調部115の出力端子はICカード制御部121に接続され、復調部115により復調された信号がICカード制御部121に供給されることとなる。また、抵抗117の他方の端子には、FET(Field Effect Transistor)116のドレインが接続されると共に、ソースは接地されている。FET116のゲートには、ICカード制御部121からリーダライタ等の外部装置に対して送信すべき信号が供給されるようになっており、供給信号に応じてドレイン電圧(すなわち、CP電圧)が変動することにより、送信信号が生成される。
【0007】
また、CM端子にはクロック抽出部119の入力端子が接続されており、このクロック抽出部119によって生成されたクロック信号が、動作クロックとしてICカード制御部121に供給される。
【0008】
ICカード制御部121は、非接触ICカード100が、非接触ICカードとしての機能を実現するための制御処理や演算処理を行う。ICカード制御部121は、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)131を内蔵している。
【0009】
次に、この非接触ICカードの動作例を説明する。
【0010】
まず、例えば、ループアンテナ102に、外部のリーダライタのアンテナ等が近接され、その外部のデバイスより信号が送信されると、ループアンテナ102において磁界が変化し、起電力が発生する。つまり、外部のデバイスより送信された信号が、ループアンテナ102において受信され、CP端子、CM端子に供給される。この受信信号は、CM端子-GND(接地)間に設けられたダイオード118と、(2)CP端子側に接続されたコンデンサ111により整流された後、レギュレータ114により定電圧化されて動作電源としてICカード制御部121に供給される。同時に整流後の電圧は、復調部115に入力されて復調され、ICカード制御部121に供給される。これにより、ICカード制御部121は、外部のデバイスより送信された情報を取得する。ICカード制御部121は、取得した情報を用いてEEPROM131に記憶されている情報を更新する。
【0011】
また、ICカード制御部121は、EEPROM131に記憶されている情報を読み出し、送信データを生成し、その送信データに応じてFET116を駆動させ、CP端子の電位を変動させることにより、ループアンテナ102を介して外部のデバイスに送信データを信号として送信するようになっている。
【0012】
また、近年においては、非接触ICカードの利便性を向上させるため、非接触ICカードの表面に小型の表示デバイスを設け、ICチップが保持している情報(例えば、ID情報、残高情報、または履歴情報等)をその表示デバイスに表示させるようにし、カードの利便性を向上させることも考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】特開2003−208582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、現在普及している非接触ICカードには表示デバイスは設けられておらず、当該カードに搭載されているICチップにも表示機能は設けられていない。従って、非接触ICカードに表示機能を持たせるためには、従来の非接触ICカード用ICチップを、そのまま、流用する事は出来ず、保持している情報を表示デバイスに表示させる機能を付加した新規のICチップを開発する必要がある。しかしながら、通信性能を維持しつつ表示機能を新たに付加し、更に、ある程度の歩留まりを実現することは容易ではない。この結果、製品の開発コスト、製造コストが増大し、延いては、製品の普及率向上の足かせとなる可能性がある。
【0015】
そこで、上記図1に示した既存の非接触ICカードのICチップ(非接触ICカード用チップ)を用いて、表示機能付き非接触ICカードを実現する方法が考えられる。つまり、非接触ICカード内に既存の非接触ICカード用チップに加え、表示デバイスとその表示を制御する表示制御処理用のICチップ(表示制御処理用チップ)を設け、表示制御処理用チップが、非接触ICカード用チップの内部データを有線で読み出し、その結果に応じて表示すべきデータを表示デバイスに表示させるのである。
【0016】
しかしながら、図1に示されるように、従来の非接触ICカード用チップ101は、ループアンテナ102(およびコンデンサ103)が接続されるのみであり、有線での読み出しを行うような回路構成となっていない。
【0017】
より具体的には、非接触ICカード用チップ101には、例えば、電力を供給するための端子がなく、単に情報読み出し命令をCP端子に入力しても、非接触ICカード用チップ101は駆動しない。
【0018】
このように、従来の非接触ICカード用のチップからの情報の読み出しが困難である恐れがあった。
【0019】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、開発を容易にし、コストの増大を抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の側面は、アンテナを介して他のデバイスと信号を送受信する電子回路であって、信号入出力端子を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する電子回路と、前記信号入出力端子に対して、前記電子回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号を供給する信号供給手段と、前記信号入出力端子の接続先を前記アンテナと、前記信号供給手段の間で切り替える切り替え手段とを備える信号処理装置である。
【0021】
本発明の第1の側面は、また、アンテナを介して他のデバイスと信号を送受信する電子回路であって、信号入出力端子を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する電子回路の前記信号入出力端子の接続先を、切り替え部を制御して、前記アンテナと信号供給部の間で切り替え、前記切り替えにより前記信号入出力端子に接続される前記信号供給部を制御し、前記信号入出力端子に対して、前記電子回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号を供給するステップを含む信号処理方法である。
【0022】
本発明の第2の側面は、アンテナと、前記アンテナを介して、他のデバイスと信号を送受信する半導体集積回路であって、信号入出力端子を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する半導体集積回路と、前記信号入出力端子に対して、前記半導体集積回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号を供給する信号供給手段と、前記信号入出力端子の接続先を前記アンテナと前記信号供給手段の間で切り替える切り替え手段と、前記切り替え手段により前記信号入出力端子に接続された前記信号供給手段から供給される信号に含まれる命令に基づいて前記信号入出力端子より出力される、前記半導体集積回路に内蔵される記憶部より読み出される情報を含む応答信号を取得する信号取得手段と、前記信号取得手段により取得される前記応答信号に含まれる情報を表示する表示手段とをさらに備える非接触ICカードデバイスである。
【0023】
本発明の第1の側面においては、アンテナを介して他のデバイスと信号を送受信する電子回路であって、信号入出力端子を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する電子回路が備えられ、信号入出力端子に対して、電子回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号が信号供給部より供給され、信号入出力端子の接続先がアンテナと、信号供給部の間で切り替えられる。
【0024】
本発明の第2の側面においては、半導体集積回路において、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理が実行され、その半導体集積回路の信号入出力端子に対して、半導体集積回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号が信号供給部より供給され、信号入出力端子の接続先が、アンテナと信号供給部の間で切り替えられ、その切り替えにより信号入出力端子に接続された信号供給部から供給される信号に含まれる命令に基づいて信号入出力端子より出力される、半導体集積回路に内蔵される記憶部より読み出される情報を含む応答信号が取得され、その取得される応答信号に含まれる情報が表示される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電源供給用の端子を有さない電子回路より容易に情報を取得することができる。特に、表示機能付き非接触ICカードの開発コストの増大を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書または図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書または図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書または図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0027】
本発明の第1の側面は、アンテナ(例えば、図2のループアンテナ102)を介して他のデバイスと信号を送受信する電子回路(例えば、図2の非接触ICカード用チップ)であって、信号入出力端子(例えば、図2のCP端子)を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する電子回路と、前記信号入出力端子に対して、前記電子回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号を供給する信号供給手段(例えば、図2の読み出し信号生成部211)と、前記信号入出力端子の接続先を前記アンテナと、前記信号供給手段の間で切り替える切り替え手段(例えば、図2の電子スイッチ212)とを備える信号処理装置(例えば、図2の有線情報読み出し部210)である。
【0028】
前記信号供給手段は、前記信号入出力端子に供給する前記信号のうち、前記電子回路が駆動可能な電圧の直流成分を供給する直流成分供給手段(例えば、図2の非接触IC駆動用電源222)と、前記信号入出力端子に供給する前記信号のうち、所定の波形の交流成分を供給する交流成分供給手段(例えば、図3の送信信号供給部252)と、前記直流成分供給手段により供給される前記直流成分と、前記交流成分供給手段により供給される前記交流成分とを合成する合成手段(例えば、図2のデータ送信用FET223)とを備え、前記合成手段により合成された信号を、前記信号入出力端子に供給するようにすることができる。
【0029】
前記電子回路は、前記信号入出力端子を介して入力された信号に含まれる情報を記憶する記憶部(例えば、図2のEEPROM131)を有し、前記信号供給手段により供給される前記所定の波形の信号は、前記電子回路に対して、前記記憶部に記憶されている情報を読み出し、読み出した前記情報を含む信号を、前記信号入出力端子を介して出力させる命令の情報を含むようにすることができる。
【0030】
前記信号供給手段により供給される前記所定の波形の信号に含まれる命令に基づいて前記信号入出力端子より出力された、前記記憶部より読み出された情報を含む応答信号を取得する信号取得手段(例えば、図3の信号取得部253)をさらに備えることができる。
【0031】
前記応答信号は前記電子回路において変調された変調信号であり、前記変調信号を復調する復調手段(例えば、図2の復調部213)をさらに備え、前記信号取得手段は、前記復調手段により復調された信号を取得することができる。
【0032】
前記信号取得手段により取得された前記応答信号に含まれる情報を記憶する記憶手段(例えば、図2のEEPROM231)をさらに備えることができる。
【0033】
情報を表示する表示手段(例えば、図2の表示デバイス241)と、前記記憶手段により記憶されている前記情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段(例えば、図3の出力制御部255)とをさらに備えることができる。
【0034】
前記信号供給手段は、前記切り替え手段により、前記信号入出力端子が前記アンテナと接続されていないときに、前記所定の波形の信号を供給することができる(図4のステップS5)。
【0035】
本発明の第1の側面は、また、アンテナ(例えば、図2のループアンテナ102)を介して他のデバイスと信号を送受信する電子回路(例えば、図2の非接触ICカード用チップ101)であって、信号入出力端子(例えば、図2のCP端子)を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する電子回路の前記信号入出力端子の接続先を、切り替え部を制御して、前記アンテナと信号供給部の間で切り替え(例えば、図4のステップS2およびステップS5)、前記切り替えにより前記信号入出力端子に接続される前記信号供給部を制御し、前記信号入出力端子に対して、前記電子回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号を供給する(例えば、図4のステップS9)ステップを含む信号処理方法である。
【0036】
本発明の第2の側面は、アンテナ(例えば、図2のループアンテナ102)と、前記アンテナを介して、他のデバイスと信号を送受信する半導体集積回路(例えば、図2の非接触ICカード用チップ101)であって、信号入出力端子(例えば、図2のCP端子)を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する半導体集積回路と、前記信号入出力端子に対して、前記半導体集積回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号を供給する信号供給手段(例えば、図2の読み出し信号生成部211)と、前記信号入出力端子の接続先を前記アンテナと前記信号供給手段の間で切り替える切り替え手段(例えば、図2の電子スイッチ212)と、前記切り替え手段により前記信号入出力端子に接続された前記信号供給手段から供給される信号に含まれる命令に基づいて前記信号入出力端子より出力される、前記半導体集積回路に内蔵される記憶部(例えば、図2のEEPROM131)より読み出される情報を含む応答信号を取得する信号取得手段(例えば、図3の信号取得部253)と、前記信号取得手段により取得される前記応答信号に含まれる情報を表示する表示手段(例えば、図2の表示デバイス241)とを備える非接触ICカードデバイス(例えば、図2の非接触ICカード200)である。
【0037】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0038】
図2は、本発明を適用した非接触ICカードの構成例を示す図である。
【0039】
図2において、非接触ICカード200は、集積回路(ICチップ)とアンテナを内蔵し、リーダライタ等の他のデバイスと近距離無線通信を行うカード型のデバイスであり、ICチップに保持される情報等を表示する表示機能も有する表示機能付き非接触ICカードである。この非接触ICカード200は、小型で携帯性が良好であり、またICチップを用いているので信頼性も高く、例えばIDカード、クレジットカード、ポイントカード等のように、認証や決済を目的として利用される。
【0040】
図2に示されるように、非接触ICカード200は、従来の表示機能を有さない非接触ICカード100に用いられる非接触ICカード用チップ101、ループアンテナ102、およびコンデンサ103の他に、非接触ICカード用チップ101より情報を有線で読み出す有線情報読み出し部210と、情報を表示する表示デバイス241を有する。
【0041】
図1を参照して説明したように、非接触ICカード用チップ101は、ループアンテナ102を介してリーダライタ等の他のデバイスと信号を送受信する電子回路である。非接触ICカード用チップ101は、ループアンテナ102(およびコンデンサ103)と、信号入出力端子であるCP端子を介して接続される。つまり、ループアンテナ102において受信した、他のデバイスより送信された信号は、CP端子を介して非接触ICカード用チップ101に入力される。図1を参照して説明したように、非接触ICカード用チップ101は、電源供給端子を有しておらず、CP端子を介して入力される、他のデバイスより送信された信号に基づいて電源電圧を生成し、その電源電圧により駆動する。
【0042】
表示デバイス241は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic ElectroLuminescence Display)、または電子ペーパ等の、文字や画像を表示可能な小型の表示デバイスにより構成される。この表示デバイス241は、どのようなものであってもよいが、カード型デバイスに搭載可能な程度に、小さく、薄く、かつ、軽量であることが望ましい。また、表示能力は、ある程度の情報量を表示可能な程度に高精細であることが望ましい。ただし、開発コスト、製造コスト、および消費電力等は低いほど望ましい。
【0043】
有線情報読み出し部210は、非接触ICカード用チップ101内部のEEPROM131に記憶されている情報を読み出すための読み出し命令を含む信号(以下、「読み出し信号」)を生成し、非接触ICカード用チップ101に供給すると共に、チップ101から返信された信号に対応した画像を表示デバイス241に表示させるための要素であり、読み出し信号生成部211、電子スイッチ212、復調部213、クロック発生部214、および電子スイッチ215を有する。
【0044】
電子スイッチ212は、非接触ICカード用チップ101の信号入出力端子であるCP端子の接続先を切り替えるためのスイッチ回路である。図2の例において、電子スイッチ212は、3端子スイッチであり、非接触ICカード用チップ101のCP端子を、ループアンテナ102または読み出し信号生成部211のいずれか一方に接続する。この電子スイッチ212の動作は、読み出し信号生成部211の表示制御部221に制御される。つまり、CP端子の接続先は、表示制御部221の制御に基づいて切り替えられる。なお、CP端子を少なくともループアンテナ102と読み出し信号生成部211に接続させることができるのであれば、電子スイッチ212は、どのようなスイッチを用いても良い。ただし、構成がより単純なもの程、回路規模も小さく、また、制御も容易になるので、コストを低減させることができる。例えば、非接触ICカード200(非接触ICカード用チップ101)の通信性能が、実用上影響が有る程低下しないのであれば、電子スイッチ212を省略し、CP端子をループアンテナ102と読み出し信号生成部211の両方に接続させるようにしてもよい。
【0045】
復調部213は、変調信号を、その変調方法に対応する所定の方法で復調する復調手段として構成される処理部である。復調部213は、非接触ICカード用チップ101(のCP端子)から出力され、電子スイッチ212を介して供給された変調信号を復調し、得られた復調済みの信号(復調信号)を読み出し信号生成部211の表示制御部221に供給する。復調部213は、非接触ICカード用チップ101より送受信される信号を復調するためのものであるので、基本的に非接触ICカード用チップ101内部の復調部115と同様の構成を有していればよい。例えば、既存の復調部115を適用することにより、復調部213の開発コストを低減させることができる。もちろん、復調部213が復調部115と異なる復調機能を有するものとすることもできる。
【0046】
クロック発生部214は、同期信号であるクロック信号を発生し、出力する回路である。クロック発生部214は、電子スイッチ215を介してループアンテナ102に接続され、非接触ICカード用チップ101のCM端子に入力される。電子スイッチ215は、両端子を接続したり切断したりする2端子スイッチであり、クロック発生部214より出力されるクロック信号のCM端子への入力を制御する。図示は省略するが、この電子スイッチ215の動作は、表示制御部221により制御される。具体的には、電子スイッチ212によりCP端子が読み出し信号生成部211に接続されている間、電子スイッチ215の両端子は接続され、クロック発生部214において発生したクロック信号がCM端子に入力される。電子スイッチ212によりCP端子がループアンテナ102に接続されている間、つまり、非接触ICカード用チップ101が外部のリーダライタと通信可能な状態にある間は、電子スイッチ215の両端子は切断され、クロック発生部214において発生したクロック信号がCM端子に入力されないようになされる。
【0047】
読み出し信号生成部211は、電子スイッチ212により、CP端子がループアンテナ102と接続されていないとき、すなわち、非接触ICカード用チップ101が外部のリーダライタと通信不可能な状態にあるとき、CP端子に対して、非接触ICカード用チップ101が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の読み出し信号を生成して供給する。この信号生成に際して、読み出し信号生成部211は、ループアンテナ102において受信される、外部のリーダライタ等から送信される信号と同様の信号、つまり、非接触ICカード用チップ101が駆動可能な電圧の電源電圧を生成可能な信号を生成する。これにより、非接触ICカード用チップ101は、ループアンテナ102を介して信号を受信した時と同様に、読み出し信号生成部211より供給された信号を取得し、駆動することができる。つまり、有線情報読み出し部210は、リーダライタが非接触ICカード用チップ101より情報を読み出すときと同様に、非接触ICカード用チップ101を駆動させ、非接触ICカード用チップ101より情報を読み出すことができるのである。この結果、既存の非接触ICカード用チップ101に対して特別な工夫を加えることなく、該チップ101からの情報の読み出しが可能となる。
【0048】
読み出し信号生成部211は、図2に示されるように、表示制御部221、非接触IC駆動用電源222、データ送信用FET223、並びに、抵抗224および抵抗225を有する。
【0049】
表示制御部221は、EEPROM131に記憶されている情報を表示デバイス241に表示させる処理に関する制御部である。つまり、表示制御部221は、EEPROM131に記憶されている情報を読み出す読み出し命令を含む信号である送信信号を生成し、出力したり、復調部213より出力される復調信号、すなわち、EEPROM131より読み出された情報を取得したり、その取得した情報、若しくは、その情報より生成された新たな情報を表示デバイス241に表示させたりする。また、表示制御部221は、記憶部としてのEEPROM231を内蔵しており、復調部213より取得した、EEPROM131より読み出された情報をこのEEPROM231に保持することができる。なお、実用上問題が生じない程度の応答速度を有するものであれば、このEEPROM131の代わりにどのような記憶媒体を用いるようにしてもよい。ただし、この記憶媒体の回路規模はより小さなものであるのが望ましい。また、コストがより小さいものほど望ましい。
【0050】
非接触IC駆動用電源222は、直流電圧VDDを生成する直流電圧源(例えば、太陽電池等)であり、非接触ICカード用チップ101が駆動可能な電圧の直流成分を供給する直流成分供給手段として機能する。
【0051】
データ送信用FET223は、ソースが接地されると共に、ゲートが表示制御部221に接続された構成となっている。図2に示すように、非接触IC駆動用電源222により生成される直流電圧VDDは、抵抗224を介して電子スイッチ212の端子に供給されることとなるが、この端子における電圧は、データ送信用FET223のゲート電圧値に応じて変動する。従って、表示制御部221から少なくとも2値の送信信号(交流成分)をゲートに供給することにより、電子スイッチ212の端子に印加される電圧値を変位させ、変調信号を生成する事が可能となる。この結果、データ送信用FET223は、非接触IC駆動用電源222において生成された直流成分に、表示制御部221において生成された送信信号、すなわち、交流成分を合成する合成手段として機能する。
【0052】
また、この際、電子スイッチ212の端子電圧は、直流電圧VDDを基準電圧として変動することとなるため、非接触ICカード用チップ101が常に所定値以上(すなわち、駆動可能な電圧値以上)の電圧値を確保できる。なお、非接触IC駆動用電源222の出力は、非接触ICカード用チップ101において整流の結果、非接触ICカード用チップ101が駆動可能なレベルの電源電圧を取得可能なもの(直流成分を含むもの)であれば、必ずしも定電圧でなくてもよいが、ここでは説明の便宜上、定電圧であるものとして説明する。なお、データ送信用FET223は、非接触IC駆動用電源222の出力を変調可能であればよく、FET以外のものを適用することもできる。
【0053】
以上のように、非接触IC駆動用電源222において生成される直流成分に、表示制御部221において生成された交流成分を、データ送信用FET223を用いて合成することにより、読み出し信号生成部211は、容易に、非接触ICカード用チップ101が駆動可能な電圧の電源電圧を生成可能な読み出し信号を生成することができる。
【0054】
図2に示されるように、有線情報読み出し部210は、非接触ICカード用チップ101と同様の構成を有する。例えば、非接触ICカード用チップ101が復調部115を有するのに対して、有線情報読み出し部210は復調部213を有する。また、非接触ICカード用チップ101がレギュレータ114を有するのに対して、有線情報読み出し部210は非接触IC駆動用電源222を有する。さらに、非接触ICカード用チップ101が抵抗113を有するのに対して、有線情報読み出し部210は抵抗224を有する。また、非接触ICカード用チップ101が抵抗117を有するのに対して、有線情報読み出し部210は抵抗225を有する。さらに、非接触ICカード用チップ101がFET116を有するのに対して、有線情報読み出し部210はデータ送信用FET223を有する。また、非接触ICカード用チップ101がダイオード118およびクロック抽出部119を有するのに対して、有線情報読み出し部210はクロック発生部214を有する。
【0055】
従って、有線情報読み出し部210は、非接触ICカード用チップ101と同様の手法で読み出し信号を生成することができ、また、非接触ICカード用チップ101より供給される信号を処理することができる。つまり、有線情報読み出し部210は、非接触ICカード用チップ101が駆動可能な信号を容易に生成し、非接触ICカード用チップ101より容易に情報を読み出すことができる。
【0056】
なお、図示は省略するが、非接触ICカード200には、有線情報読み出し部210および表示デバイス241を駆動するための電源供給手段が必要になる。この電源供給手段は、例えば電池等のように、非接触ICカード200内部において電源電圧を起電するものであってもよいし、非接触ICカード200の外部より供給される電源電圧を取得し、各部に適切に提供するものであってもよい。
【0057】
図3は、図2の表示制御部221が有する機能を示す機能ブロック図である。図3に示されるように、表示制御部221は、電子スイッチ制御部251、送信信号供給部252、信号取得部253、情報記憶部254、および出力制御部255を有する。
【0058】
電子スイッチ制御部251は、図2の読み出し信号生成部211、電子スイッチ212および電子スイッチ215を制御する制御部であり、所定のタイミングで、若しくは、所定のイベントをトリガとして、読み出し信号生成部211、電子スイッチ212および電子スイッチ215のそれぞれに対して制御信号を供給する。この結果、電子スイッチ212及び215において接続状態の切り替えが行われると共に、読み出し信号生成部211において読み出し信号が生成され、CP端子に供給される。
【0059】
なお、電子スイッチ212の切り替えタイミングの決定方法については任意であり、例えば、外部デバイスの存在を検出するためのセンサ(例えば、磁界センサ等)を設け、このセンサにおける検出結果に基づいて切り替えタイミングを決定するようにしても良い。
【0060】
送信信号供給部252は、有線情報読み出し部210がCP端子に供給する信号のうち、所定の波形の交流成分(すなわち、送信信号)を供給する交流成分供給手段として機能する。例えば、送信信号供給部252は、EEPROM131に記憶されている情報の読み出し命令を含む送信信号を生成し、データ送信用FET223に供給する。これにより、読み出し信号生成部211は、読み出し信号を生成することができる。
【0061】
信号取得部253は、有線情報読み出し部210がCP端子に供給する信号に含まれる読み出し命令に基づいてCP端子より出力された、EEPROM131より読み出された情報を含む応答信号を取得する信号取得手段として機能する。信号取得部253は、復調部213において復調された復調信号を取得し、当該取得した信号を情報記憶部254に供給する。これにより、有線情報読み出し部210は、読み出し信号を非接触ICカード用チップ101に供給するだけでなく、非接触ICカード用チップ101より出力される応答信号を取得することができる。
【0062】
情報記憶部254は、信号取得部253において取得された信号に含まれる情報を、記憶手段として構成されるEEPROM231に記憶させる処理部である。これにより、有線情報読み出し部210は、非接触ICカード用チップ101より出力される応答信号に含まれる情報を記憶することができ、情報表示のための、非接触ICカード用チップ101へのアクセスの回数を低減させることができ、非接触ICカード200の消費電力を低減させることができる。
【0063】
出力制御部255は、EEPROM231により記憶されている情報を表示デバイス241に表示させる表示制御手段として機能する。出力制御部255は、適宜、EEPROM231より情報を読み出し、その情報、および、その情報より生成された新たな情報のうち、少なくともいずれか一方を含む画像情報を表示デバイス241に表示させる。これにより、非接触ICカード200は、より適切な情報を表示デバイス241に表示させることができる。
【0064】
次に、EEPROM131に記憶されている情報の読み出しを行う情報読み出し処理の流れの例を図4のフローチャートを参照して説明する。必要に応じて図5乃至図10を参照して説明する。
【0065】
情報読み出し処理が開始されると、電子スイッチ制御部251は、ステップS1において、非接触ICカード用チップ101のEEPROM131に記憶されているデータを読み出すか否かを判定する。データを読み出さないと判定された場合、電子スイッチ制御部251は、処理をステップS2に進め、電子スイッチ212を制御してCP端子をループアンテナ102に接続する。また、電子スイッチ制御部251は、ステップS3において電子スイッチ215を制御して両端子間の接続を解除し、クロック発生部214において発生されるクロックの非接触ICカード用チップ101への供給を停止する。
【0066】
つまり、この場合、非接触ICカード用チップ101は、従来の非接触ICカード100の場合と同様に動作し、カード外部のリーダライタと通信を行う。つまり、カード外部のリーダライタによってループアンテナ102付近の磁界が変化させられると、ループアンテナ102に起電力が発生する。図5は、ループアンテナ102に誘起される起電力の波形を示すグラフである。つまり、ループアンテナ102において、図5の信号301に示されるような波形の信号が受信される。この信号は、CP端子を介して非接触ICカード用チップ101に入力される。
【0067】
非接触ICカード用チップ101は、この信号を、ダイオード118とコンデンサ111により整流する。図6はCP端子に発生する整流後の電圧の変化を示すグラフである。図6に示されるように、ループアンテナ102において受信された信号301は、信号302のように整流され、電源電圧が生成される。非接触ICカード用チップ101は、整流により生成された電源電圧(電力)を用いて駆動し、整流後の信号302をさらに復調部115において復調し、信号に含まれる情報(リーダライタより送信された情報)を抽出する。ICカード制御部121は、この情報を用いてEEPROM131に記憶されている情報を書き換えたり、EEPROM131に記憶されている情報を読み出して送信データを生成したりする。ICカード制御部121は、その送信データにより、FET116を駆動させて変調を行い、その変調信号をCP端子やループアンテナ102を介してカード外部のリーダライタ等に送信する。
【0068】
ステップS4において、表示制御部221は、情報読み出し処理を終了するか否かを判定し、終了すると判定された場合、情報読み出し処理を終了する。逆に、このステップS4において、情報読み出し処理を終了しないと判定された場合、表示制御部221は、処理をステップS1に戻し、それ以降の処理を実行させる。
【0069】
ステップS1において、データを読み出すと判定された場合、電子スイッチ制御部251は、処理をステップS5に進め、電子スイッチ212を制御してCP端子を読み出し信号生成部211に接続する。また、電子スイッチ制御部251は、ステップS6において、電子スイッチ215を制御して両端子間を接続し、クロック発生部214において発生されるクロックの非接触ICカード用チップ101への供給を開始する。
【0070】
ステップS7において、非接触IC駆動用電源222は、非接触ICカード用チップ101が駆動可能な駆動用電源の供給を開始する。ステップS8において、送信信号供給部252は、例えば、図7に示される信号303のような波形の、読み出し命令を含む送信信号を生成してデータ送信用FET223のゲートに供給する。
【0071】
送信信号を供給されたデータ送信用FET223は、ステップS9において、送信信号に、非接触IC駆動用電源222より供給される電源電圧をバイアスとして印加することにより、直流成分と交流成分を合成する。換言すれば、データ送信用FET223は、非接触IC駆動用電源222より供給される電源電圧を送信信号で変調して、例えば図8に示される信号304のような波形の読み出し信号を生成する。この読み出し信号は、CP端子を介して非接触ICカード用チップ101に入力される。
【0072】
この時のCP端子に発生する電圧について、図9を参照して説明する。図9は、有線情報読み出し部210が非接触ICカード用チップ101より情報を読み出すときのCP端子の電位に関する構成を概略的に示す等価回路である。
【0073】
図9に示されるように、有線情報読み出し部210の抵抗224の抵抗値をR1とし、抵抗225の抵抗値をR2とし、非接触ICカード用チップ101の抵抗117の抵抗値をR3とすると、非接触ICカード用チップ101内部のインピーダンスは、R3と略同等となる。なお、この抵抗値R3は、非接触ICカード用チップ101がループアンテナ102を介して信号を受信するときの、非接触ICカード用チップ101の回路負荷と略同等の値である。つまり、有線情報読み出し部210が読み出し信号を供給するときの非接触ICカード用チップ101の回路負荷は、リーダライタが信号を送信する時と略同等である。
【0074】
従って、このときの非接触ICカード200は、図9に示される等価回路で表すことができる。従って、データ送信用FET223がオフ状態であるとき、CP端子の電圧であるCP電圧は、以下の式(1)のように表すことができる。
【0075】
【数1】

【0076】
また、データ送信用FET223がオン状態であるとき、CP電圧は、以下の式(2)のように表すことができる。
【0077】
【数2】

【0078】
つまり、送信信号によりデータ送信用FET223の状態が切り替えられることにより、CP電圧は、上述した式(1)と式(2)の2値を交互にとることになる。つまり、CP電圧の変位のタイミング(この切り替えの交流成分)として、読み出し命令が含まれることになる。
【0079】
非接触ICカード用チップ101は、この読み出し信号に基づいて駆動し、読み出し信号に含まれる読み出し命令に基づいて、EEPROM131に記憶されている情報を読み出して応答信号としてCP端子より出力する。このとき、非接触ICカード用チップ101は、FET116を用いて、直流成分を、EEPROM131より読み出した情報によって変調することにより、例えば、図10に示される信号305のような波形の応答信号を生成する。
【0080】
図4に戻り、復調部213は、ステップS10において、読み出し信号の応答信号を取得すると、その応答信号を復調し、EEPROM131より読み出した情報を示す復調信号を表示制御部221に供給する。信号取得部253は、ステップS11において、その復調信号を取得し、情報記憶部254に供給する。情報記憶部254は、ステップS12において、供給された復調信号に含まれる、EEPROM131より読み出した情報をEEPROM231に記憶させる。ステップS13において、出力制御部255は、EEPROM231に記憶されている情報に関する画像情報を表示デバイス241に表示させる。ステップS13の処理が終了されると、処理は、ステップS1に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
【0081】
以上のような流れで情報読み出し処理が実行される。つまり、非接触ICカード200においては、CP端子において、信号302、信号304、および信号305のように、波形が互いに類似する信号が入出力される。つまり、有線情報読み出し部210は、外部のリーダライタと同様に、非接触ICカード用チップ101が入出力する信号と波形が類似する信号を生成して供給することができる。これにより、有線情報読み出し部210は、非接触ICカード用チップ101のEEPROM131に記憶されている情報を読み出すことができる。
【0082】
以上のように、非接触ICカード200は、従来の非接触ICカード用チップ101を利用して表示機能付き非接触ICカードを実現することができる。つまり、従来の非接触ICカード用チップ101に表示機能を付与した新たな専用のICカード用チップを開発することなく、表示機能付き非接触ICカードを実現することができる。これにより、通信性能を低下させずに非接触ICカード200を開発することが容易になり、コストの増大を抑制することができる。
【0083】
なお、図2においては、電子スイッチ215のクロック発生部214に接続される端子と反対側の端子が、ループアンテナ102のCP端子側に接続されるように説明したが、この電子スイッチ215(つまりクロック発生部214)はCM端子(つまり、ループアンテナ102のCM端子側)に接続されるようにしてもよい。ただし、非接触ICカード用チップ101の内部において、CM端子に接続される回路のインピーダンスおよび容量は、CP端子に接続される回路のインピーダンスや容量に比べて小さく、他の影響を受けやすい。従って、図2に示されるように電子スイッチ215をループアンテナ102のCP端子側に接続する方が、クロック発生部214が非接触ICカード用チップ101に与える影響を低減させ、非接触ICカード用チップ101の通信性能の低減を抑制させることができる。
【0084】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、または、複数の装置よりなる情報処理システムの情報処理装置などに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0085】
この記録媒体は、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disc)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているEEPROM231などで構成される。
【0086】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0087】
なお、以上において、1つの装置として説明した構成を分割し、複数の装置として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置として説明した構成をまとめて1つの装置として構成されるようにしてもよい。また、各装置の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置の構成の一部を他の装置の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】従来の非接触ICカードの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した非接触ICカードの構成例を示す図である。
【図3】図2の表示制御部221が有する機能を示す機能ブロック図である。
【図4】情報読み出し処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図5】ループアンテナ102に誘起される起電力の波形の例を示すグラフである。
【図6】CP端子に発生する整流後の電圧の変化の例を示すグラフである。
【図7】送信信号の波形の例を示すグラフである。
【図8】読み出し信号の波形の例を示すグラフである。
【図9】CP端子の電位に関する構成を概略的に示す等価回路である。
【図10】応答信号の波形の例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0089】
101 非接触ICカード用チップ, 102 ループアンテナ, 115 復調部, 116 FET, 117 抵抗, 121 ICカード制御部, 131 EEPROM, 200 非接触ICカード, 210 有線情報読み出し部, 211 読み出し信号生成部, 212 電子スイッチ, 213 復調部, 214 クロック発生部, 215 電子スイッチ, 221 表示制御部, 222 非接触IC駆動用電源, 223 データ送信用FET, 224 抵抗, 225 抵抗, 231 EEPROM, 241 表示デバイス, 251 電子スイッチ制御部, 252 送信信号供給部, 253 信号取得部, 254 情報記憶部, 255 出力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して他のデバイスと信号を送受信する電子回路であって、信号入出力端子を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する電子回路と、
前記信号入出力端子に対して、前記電子回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号を供給する信号供給手段と、
前記信号入出力端子の接続先を前記アンテナと、前記信号供給手段の間で切り替える切り替え手段と
を備える信号処理装置。
【請求項2】
前記信号供給手段は、
前記信号入出力端子に供給する前記信号のうち、前記電子回路が駆動可能な電圧の直流成分を供給する直流成分供給手段と、
前記信号入出力端子に供給する前記信号のうち、所定の波形の交流成分を供給する交流成分供給手段と、
前記直流成分供給手段により供給される前記直流成分と、前記交流成分供給手段により供給される前記交流成分とを合成する合成手段と
を備え、
前記合成手段により合成された信号を、前記信号入出力端子に供給する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記電子回路は、前記信号入出力端子を介して入力された信号に含まれる情報を記憶する記憶部を有し、
前記信号供給手段により供給される前記所定の波形の信号は、前記電子回路に対して、前記記憶部に記憶されている情報を読み出し、読み出した前記情報を含む信号を、前記信号入出力端子を介して出力させる命令の情報を含む
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記信号供給手段により供給される前記所定の波形の信号に含まれる命令に基づいて前記信号入出力端子より出力された、前記記憶部より読み出された情報を含む応答信号を取得する信号取得手段をさらに備える
請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記応答信号は前記電子回路において変調された変調信号であり、
前記変調信号を復調する復調手段をさらに備え、
前記信号取得手段は、前記復調手段により復調された信号を取得する
請求項4に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記信号取得手段により取得された前記応答信号に含まれる情報を記憶する記憶手段をさらに備える
請求項4に記載の信号処理装置。
【請求項7】
情報を表示する表示手段と、
前記記憶手段により記憶されている前記情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と
をさらに備える請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記信号供給手段は、前記切り替え手段により、前記信号入出力端子が前記アンテナと接続されていないときに、前記所定の波形の信号を供給する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記信号供給手段は、前記信号入出力端子が前記アンテナによる信号供給が完了した後の所定の時間帯において、前記所定の波形の信号を供給する
請求項8に記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記切り替え手段は、前記アンテナを介して信号が供給されているか否かを判定する判定手段を有し、
前記信号供給手段は、前記切り替え手段から供給される信号に基づいて前記所定の波形の信号を供給する
請求項8に記載の信号処理装置。
【請求項11】
アンテナを介して他のデバイスと信号を送受信する電子回路であって、信号入出力端子を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する電子回路の前記信号入出力端子の接続先を、切り替え部を制御して、前記アンテナと信号供給部の間で切り替え、
前記切り替えにより前記信号入出力端子に接続される前記信号供給部を制御し、前記信号入出力端子に対して、前記電子回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号を供給する
ステップを含む信号処理方法。
【請求項12】
アンテナと、
前記アンテナを介して、他のデバイスと信号を送受信する半導体集積回路であって、信号入出力端子を備え、入力信号に基づいて生成された駆動電力により駆動されると共に、該入力信号に基づく処理を実行する半導体集積回路と、
前記信号入出力端子に対して、前記半導体集積回路が駆動可能な電圧の電源電圧を生成し得る所定の波形の信号を供給する信号供給手段と、
前記信号入出力端子の接続先を前記アンテナと前記信号供給手段の間で切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段により前記信号入出力端子に接続された前記信号供給手段から供給される信号に含まれる命令に基づいて前記信号入出力端子より出力される、前記半導体集積回路に内蔵される記憶部より読み出される情報を含む応答信号を取得する信号取得手段と、
前記信号取得手段により取得される前記応答信号に含まれる情報を表示する表示手段と
を備える非接触ICカードデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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