説明

信号処理装置

【課題】左右対称性を有するとともに位相のずれを防止する信号処理装置を実現する。
【解決手段】X方向一次元フィルタ144は入力された二次元画像信号の各ラインを水平方向に左から右へ処理する。ラインFILOメモリ143は入力された二次元画像信号の各ラインについて水平方向に画素の順序を反転する。これにより、X方向一次元フィルタ145は入力された二次元画像信号の各ラインを水平方向に右から左へ処理する。ラインFILOメモリ146はX方向一次元フィルタ144の出力の各ラインについて水平方向に画素の順序を反転する。一次元画像合成部147はラインFILOメモリ146およびX方向一次元フィルタ145の出力を合成する。Y方向一次元フィルタ148は一次元画像合成部147の出力を二次元画像信号における垂直方向に上から下へ処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置に関し、特に一次元信号または二次元信号のノイズを低減させるフィルタ、および、その処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタルスチルカメラなどの電子撮像装置が急速に普及している。このような電子撮像装置では、低照度条件において明るい画像を撮影する機能が強く望まれている。低照度条件における明るさを向上する方策としては、撮像素子自体の感度向上、低速シャッターと手ぶれ補正との組み合わせ、明るいレンズの使用、または、信号処理によるゲインアップなどが挙げられる。
【0003】
この中でゲインアップは、係数の設定のみで実現できるため過大なコストアップを伴うことなく実現できる場合が多く、また他の方策との組み合わせが両立することから、極めて有用な方策であると考えられる。一方、このゲインアップは信号振幅と同時にノイズ振幅も拡大するため、一様な強さでゲインアップを行うと結果画像のノイズが多くなるおそれが生じ得る。
【0004】
そこで、ゲインアップの結果として美しい画像を得るためには、画像中のエッジ部分はぼかさないようにノイズ低減効果を抑え、それ以外には強いノイズ低減効果を施すような適応的なノイズ低減フィルタが必要になる。このノイズ低減フィルタは、画像のノイズ部分を強力に平均化する一方で、画像に表れた模様において意味のある詳細部分を残すフィルタである。このようなフィルタは、画像のそれぞれの部分によって特性を適応的に変化させることにより実現される。
【0005】
二次元の画像信号を扱うノイズ低減フィルタは、一次元のフィルタを組み合わせることにより実現することができる。例えば、一次元のフィルタをカスケードに繋げて多次元フィルタを構成する画像処理方式が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5−199433号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ノイズ低減フィルタを実現するための基本構成としては、有限インパルス応答(FIR:Finite Impulse Response)フィルタおよび無限インパルス応答(IIR:Infinite Impulse Response)フィルタが知られている。何れの場合であっても、基本的には信号と係数との畳み込みによって実現されるが、そのノイズ低減効果は、係数群がカバーする信号領域の大きさによって限定される。すなわち、ノイズ低減効果を高めるためには、等価的なタップ数を増やす必要がある。この点、IIRフィルタは、フィルタの出力を入力側にフィードバックする経路を有するため、等価的なタップ数の大きいフィルタを安価なコストで実現することができるという利点がある。
【0007】
しかしながら、一般に、IIRフィルタにおいては、直線位相特性を実現することが困難であり、インパルス応答の左右対称性を保つことが難しい。左右非対称なフィルタをノイズ低減の目的でX座標軸方向の空間的な画像処理に用いると、ノイズ低減性能に方向性が生じるおそれがある。例えば、右が明るく左が暗い縦エッジと、右が暗く左が明るい縦エッジとでは、ノイズ低減性能が異なってしまう。
【0008】
さらに、IIRフィルタにおいては、フィルタ特性を変化させた場合に同時に遅延特性が変化するという問題がある。すなわち、等価的なタップ数が少ないフィルタと多いフィルタを適応的に切り替えて使用する場合、両者のフィルタの遅延は一般には一致しないため、フィルタ結果の画像は適応的な切り替えに伴う画のずれが生じることとなる。画のずれを回避するためには可変長の遅延メモリを設け、適応的な画像の切り替えに伴って遅延を変える必要が生じる。
【0009】
例えば、図20のように特性の異なる3つのIIRフィルタを想定する。ここでは、(a)よりも(b)の方がノイズ低減効果は高く、(b)よりも(c)の方がノイズ低減効果は高い。この図から明らかなように、従来のIIRフィルタにおいては、フィルタの特性を変化させると、フィルタのピーク値を示す中心点99がずれて、位相がずれていくことになる。
【0010】
そこで、本発明は、このようなIIRフィルタの問題点を解消し、左右対称性を有するとともに位相のずれを生じない信号処理装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の側面は、時系列に入力される有限長の一次元信号を処理する信号処理装置であって、上記一次元信号を先頭から所定位置に至るまで入力された順に一次元のインパルス応答特性による変換を行う第1のフィルタ手段と、上記第1のフィルタ手段の出力の順序を反対に並び替える第1の反転手段と、上記所定位置から末尾に至るまで入力された上記一次元信号の順序を反対に並び替える第2の反転手段と、上記第2の反転手段の出力について一次元のインパルス応答特性による変換を順次行う第2のフィルタ手段と、上記第1の反転手段の出力と上記第2のフィルタ手段の出力とを順次合成する合成手段とを具備することを特徴とする信号処理装置である。これにより、上記所定位置を中心として左右対称に一次元信号を変換させるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記第1または第2のフィルタ手段は、その入力された信号に対してそれぞれ異なる出力信号を出力する複数の一次元基底フィルタと、上記複数の一次元基底フィルタによる出力信号を線形結合することによって減衰特性の異なる複数のガウシアンフィルタを形成させる線形結合手段と、上記入力された信号に基づいて上記異なる複数のガウシアンフィルタの出力の何れかを選択する選択手段とを具備するようにしてもよい。これにより、複数のガウシアンフィルタの出力の中から入力された信号に適したものを選択させるという作用をもたらす。
【0013】
また、この場合において、上記複数の一次元基底フィルタの各々は、指数関数特性を備えた無限インパルス応答フィルタを用いることができる。また、上記線形結合手段は、上記線形結合の係数を切り替えることによってインパルス応答特性を可変にすることができる。
【0014】
また、本発明の第2の側面は、第1および第2の方向にそれぞれ有限長を有する二次元画像信号を処理する信号処理装置であって、上記二次元画像信号を上記第2の方向の所定位置に至るまで入力された順に二次元のインパルス応答特性による変換を行う第1のフィルタ手段と、上記第1のフィルタ手段の出力の順序を上記第2の方向について反対に並び替える第1の反転手段と、上記第2の方向の上記所定位置から入力された上記二次元画像信号の順序を上記第2の方向について反対に並び替える第2の反転手段と、上記第2の反転手段の出力について二次元のインパルス応答特性による変換を順次行う第2のフィルタ手段と、上記第1の反転手段の出力と上記第2のフィルタ手段の出力とを順次合成する合成手段とを具備することを特徴とする信号処理装置である。これにより、上記所定位置を中心として対称に二次元信号を変換させるという作用をもたらす。
【0015】
また、この第2の側面において、上記第1または第2のフィルタ手段は、その入力された信号に対して第1の半直線に対応付けられた一次元のインパルス応答特性による変換を行う第1段階のフィルタ手段と、上記第1段階のフィルタ手段の出力に対して上記第1の半直線とは異なる方向の第2の半直線に対応付けられた一次元のインパルス応答特性による変換を行う第2段階のフィルタ手段とを具備するようにしてもよい。これにより、2段階の一次元の変換を組み合わせて、二次元信号を変換させるという作用をもたらす。
【0016】
また、この場合において、上記第1の半直線を上記二次元画像信号における水平方向の半直線として、上記第2の半直線を上記二次元画像信号における垂直方向の半直線とすることができる。また、上記第1の半直線を上記二次元画像信号における垂直方向の半直線として、上記第2の半直線を上記二次元画像信号における水平方向の半直線とすることができる。また、上記第1の半直線を上記二次元画像信号における水平方向および垂直方向の半直線として、上記第2の半直線は上記二次元画像信号における斜め方向の半直線とすることができる。また、上記第1の半直線を上記二次元画像信号における斜め方向の半直線として、上記第2の半直線は上記二次元画像信号における水平方向および垂直方向の半直線とすることができる。
【0017】
また、この第2の側面において、上記第1段階のフィルタ手段が、上記入力された信号に対する一次元のインパルス応答特性によるフィルタ結果を非正規化画素値として出力するとともに、所定の定数値の連続信号に対する一次元のインパルス応答特性の定常値を重みとして出力し、上記合成手段が、上記非正規化画素値と上記重みの比に上記所定の定数値を乗じたものを合成結果として出力するようにしてもよい。これにより、フィルタの強さによらない正規化された値を出力させるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、左右対称性を有するとともに位相のずれを防止する信号処理装置を実現することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態における信号処理装置の一例としての適応フィルタ(Adaptive Filter)100の一構成例を示す図である。この適応フィルタ100には、入力画像メモリ101から時系列に有限長の二次元画像信号が入力される。適応フィルタ100は、入力画像メモリ101から供給された二次元の画像信号についてノイズを低減する処理を施して、その結果を出力画像メモリ109に出力する。
【0021】
なお、ここでは、画像信号における画素データとして、赤(R:Red)、緑(G:Green)および青(B:Blue)の3チャンネルからなる例を示すが、これに限定されるものではない。例えば、輝度1チャンネルおよび色差2チャンネルの3チャンネル画像であってもよく、また、1チャンネルの白黒画像であってもよい。
【0022】
この適応フィルタ100は、2つの二次元フィルタ140および150と、2つのフレームFILOメモリ130および160と、二次元画像合成部170とを備えている。入力画像メモリ101の出力側には二次元フィルタ140およびフレームFILOメモリ130が接続されており、さらに二次元フィルタ140の出力側にはフレームFILOメモリ160が接続され、フレームFILOメモリ130の出力側には二次元フィルタ150が接続されている。フレームFILOメモリ160および二次元フィルタ150の出力側には二次元画像合成部170が接続されている。この二次元画像合成部170の出力側には出力画像メモリ109が接続されている。
【0023】
二次元フィルタ140は、図2の二次元画像信号における上部領域14についてノイズ低減処理として、二次元のインパルス応答特性による変換処理を行うものである。一方、二次元フィルタ150は、図2の二次元画像信号における下部領域15についてノイズ低減処理として、二次元のインパルス応答特性による変換処理を行うものである。
【0024】
フレームFILOメモリ130は、入力画像メモリ101から供給された二次元画像信号を1フレームとして、ライン毎に垂直方向にFILO(First-In Last-Out)処理を行うものである。すなわち、フレームFILOメモリ130の出力側に接続する二次元フィルタ150には、二次元画像信号が最終ラインから順次供給されていくことになる。
【0025】
フレームFILOメモリ160は、二次元フィルタ140によって処理の施された二次元画像信号を1フレームとして、ライン毎に垂直方向にFILO処理を行うものである。すなわち、フレームFILOメモリ160の出力側に接続する二次元画像合成部170には、二次元画像信号が最終ラインから順次供給されていくことになる。
【0026】
このようにして、二次元画像合成部170には、二次元フィルタ150から下部領域15に対応する二次元画像信号が最終ラインから順次供給され、フレームFILOメモリ160から上部領域14に対応する二次元画像信号が最終ラインから順次供給される。二次元画像合成部170は両者から供給された二次元画像信号を合成して、その結果を出力画像メモリ109に出力する。
【0027】
ここで、二次元フィルタ140および150は入力される二次元画像信号のラインの順序が反対であることを除いて処理内容は同じであるため、実装の際には二次元フィルタを1つだけ用意して、時分割で二次元フィルタ140または150として切り替えて用いるようにしてもよい。
【0028】
また、フレームFILOメモリ130および160はそれぞれが二次元画像信号の垂直方向の信号順序反転を行うものであり、一般的な半導体メモリから構成され得る。これらフレームFILOメモリ130および160は、メモリへの書込み時と読出し時に垂直方向の座標(Y座標)の増減方向を反対にすることによって、書き込んだときとは垂直方向に上下反転した二次元画像信号を読み出すことができる。
【0029】
出力画像メモリ109への書き込み時のアドレス計算においては、垂直方向の座標(Y座標)の増減方向を入力画像メモリ101の読出し時と反対にすることにより、上下反転していない画像を出力画像メモリ109に書き込むことができる。
【0030】
なお、二次元フィルタ140(150)および二次元画像合成部170の内部構成例については後述する。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態における信号処理の対象となる二次元画像信号の領域の一部を示す図である。ここでは、正方形の各領域が二次元画像信号の各画素に対応している。各画素には便宜上、水平方向(X座標)および垂直方向(Y座標)からなる二次元座標(X,Y)が付与されている。
【0032】
座標(0,0)に該当する中心画素11が、画像処理出力を求める対象であり、中心画素11の周囲の画素に基づいて中心画素11の出力画素が求められる。その際、中心画素11を含む上部領域14に関する処理が二次元フィルタ140に割り当てられ、中心画素11を含む下部領域15に関する処理が二次元フィルタ150に割り当てられる。
【0033】
二次元画像信号によるフレームの水平方向の1行分のデータはラインと呼ばれる。フレームFILOメモリ130および160は、二次元画像信号をフレーム内の先頭ラインから順次入力され、フレーム全体を一旦保持した後、入力した順序とは垂直方向を反転させて末尾ラインから順次出力する。すなわち、フレームFILOメモリ130は、座標(−4,4)から座標(4,4)までの9画素分の画像信号を1ラインとして保持し、続いて座標(−4,3)から座標(4,3)までの9画素分の画像信号を他の1ラインとして保持する。フレームFILOメモリ130は、同様の要領で順次各ラインを保持し、座標(−4,−4)から座標(4,−4)までの9画素分の画像信号を1ラインとして保持した後に、今度は最後に保持した座標(−4,−4)から座標(4,−4)までの9画素分のラインから順次出力していく。なお、フレームFILOメモリ130および160において、1ライン内の画像信号の順序は反転されない。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態における二次元フィルタの第1の構成例を示す図である。ここでは、適応フィルタ100における二次元フィルタ140の構成例を示しているが、二次元フィルタ150も同様の構成を有する。
【0035】
この二次元フィルタ140は、2つのX方向一次元フィルタ144および145と、2つのラインFILOメモリ143および146と、一次元画像合成部147と、Y方向一次元フィルタ148とを備えている。入力側にはX方向一次元フィルタ144およびラインFILOメモリ143が接続されており、さらにX方向一次元フィルタ144の出力側にはラインFILOメモリ146が接続され、ラインFILOメモリ143の出力側にはX方向一次元フィルタ145が接続されている。ラインFILOメモリ146およびX方向一次元フィルタ145の出力側には一次元画像合成部147が接続されている。また、一次元画像合成部147の出力側にはY方向一次元フィルタ148が接続されている。
【0036】
X方向一次元フィルタ144は、入力された二次元画像信号の各ラインを水平方向に左から右へ、一次元のインパルス応答特性による変換処理を行うものである。一方、X方向一次元フィルタ145は、入力された二次元画像信号の各ラインを水平方向に右から左へ、一次元のインパルス応答特性による変換処理を行うものである。
【0037】
ラインFILOメモリ143は、入力された二次元画像信号の各ラインについて水平方向にFILO処理を行って画素の順序を反転させるものである。すなわち、ラインFILOメモリ143の出力側に接続するX方向一次元フィルタ145には、二次元画像信号の各ラインがそのラインにおける最終画素(右端)から順次供給されていくことになる。
【0038】
ラインFILOメモリ146は、X方向一次元フィルタ144によって処理の施された二次元画像信号の各ラインについて水平方向にFILO処理を行うものである。すなわち、ラインFILOメモリ146の出力側に接続する一次元画像合成部147には、二次元画像信号の各ラインがそのラインにおける最終画素(右端)から順次供給されていくことになる。
【0039】
このようにして、一次元画像合成部147には、X方向一次元フィルタ145から二次元画像信号の各ラインの画素が最終画素(右端)から順次供給され、ラインFILOメモリ146から二次元画像信号の各ラインの画素が最終画素(右端)から順次供給される。一次元画像合成部147は両者から供給された二次元画像信号をライン毎に合成して、その結果をY方向一次元フィルタ148に出力する。
【0040】
ここで、X方向一次元フィルタ144および145は入力される二次元画像信号の各ラインにおける画素の順序が反対であることを除いて処理内容は同じであるため、実装の際にはX方向一次元フィルタを1つだけ用意して、時分割でX方向一次元フィルタ144および145として切り替えて用いるようにしてもよい。
【0041】
Y方向一次元フィルタ148は、ライン毎に合成された信号を垂直方向に一次元のインパルス応答特性による変換処理を行うものである。すなわち、X方向一次元フィルタ144および145が第1段階のフィルタとして機能し、Y方向一次元フィルタ148が第2段階のフィルタとして機能することになる。
【0042】
なお、X方向一次元フィルタ144(145)、一次元画像合成部147およびY方向一次元フィルタ148の内部構成例については後述する。
【0043】
図4は、本発明の実施の形態における二次元フィルタの第1の構成例による二次元画像信号の処理方向を示す図である。信号処理の対象となる二次元画像信号は、図2により説明したとおり、上部領域14および下部領域15に分けて処理される。
【0044】
上部領域14では、X方向一次元フィルタ144および145により生成された中間結果について、Y方向一次元フィルタ148により半直線148aに沿った処理を行うことにより、中心画素11における出力が得られる。
【0045】
ここで、座標(0,0)における中間結果は、X方向一次元フィルタ144により半直線144aに沿った処理を行うことにより得られた結果と、X方向一次元フィルタ145により半直線145aに沿った処理を行うことにより得られた結果とを合成した結果である。座標(0,0)はX方向一次元フィルタ144および145の何れの処理対象にも含まれて加算されるため、X方向一次元フィルタ144および145による処理の際の重みを1/2にしておく必要がある。
【0046】
同様に、座標(0,1)における中間結果は、X方向一次元フィルタ144により半直線144bに沿った処理を行うことにより得られた結果と、X方向一次元フィルタ145により半直線145bに沿った処理を行うことにより得られた結果とを合成した結果である。座標(0,1)はX方向一次元フィルタ144および145の何れの処理対象にも含まれて加算されるため、X方向一次元フィルタ144および145の処理の際に予め重みを1/2にしておく必要がある点も同様である。その他の半直線148aにおける中間結果も、座標(0,1)の場合と同様に求めることができる。
【0047】
また、下部領域15についても、垂直方向が反転する点を除いて同様であり、2つのX方向一次元フィルタにより生成された半直線154a乃至eおよび半直線155a乃至e上の中間結果について、Y方向一次元フィルタにより半直線158aに沿った処理を行うことにより、中心画素11における出力が得られる。
【0048】
但し、半直線144aおよび145aに対応する中間結果と、半直線154aおよび155aに対応する中間結果は、座標(0,0)における結果を計算する際に2回加算されることになるため、何れもY方向一次元フィルタ148による処理の際の重みを1/2にしておく必要がある。
【0049】
図5は、本発明の実施の形態におけるフィルタによる信号処理の概要を示す図である。従来のIIRフィルタでは、左右対称性を持たせることが難しく、また、図20により説明したように、フィルタ特性を変化させるとフィルタのピーク値を示す中心点99がずれて、位相がずれるという問題があった。これに対して、本発明の実施の形態におけるフィルタでは、中心点91を中心として半分(この例では左半分)のみを利用することによって、この問題を解消している。
【0050】
すなわち、X方向一次元フィルタ144によって1ラインの前半部分を処理し、その後、1ラインの後半部分を反転させてX方向一次元フィルタ145によって処理する。これにより、左右対称性を担保するとともに、位相のずれを防止するという効果を得ることができる。
【0051】
なお、ここでは、一次元フィルタにおける作用について説明したが、二次元フィルタ全体としても同様の作用を有する。すなわち、二次元フィルタ140によって上部領域14を処理し、その後、下部領域15を反転させて二次元フィルタ150によって処理することより、同様の効果を得ることができる。
【0052】
図6は、本発明の実施の形態におけるX方向一次元フィルタ144の構成例を示す図である。このX方向一次元フィルタ144は、5つのX方向基底フィルタ610乃至650と、マトリクス乗算器660と、フィルタ選択部670とを備えている。
【0053】
X方向一次元フィルタ144への入力信号は、X方向基底フィルタ610乃至650、マトリクス乗算器660およびフィルタ選択部670に供給される。X方向基底フィルタ610乃至650の出力はマトリクス乗算器660に供給される。マトリクス乗算器660の出力はフィルタ選択部670に供給される。
【0054】
X方向基底フィルタ610乃至650は、それぞれ異なる指数関数に準ずる特性を有するフィルタであり、入力信号に対して指数関数に準ずる特性を有する一次元のインパルス応答を生成するものである。X方向基底フィルタ610乃至650は、フィルタ係数kが互いに異なる。この例では、X方向基底フィルタ610の場合はk=1/2、X方向基底フィルタ620の場合はk=5/8、X方向基底フィルタ630の場合はk=3/4、X方向基底フィルタ640の場合はk=13/16、X方向基底フィルタ650の場合はk=7/8にそれぞれ設定されている。
【0055】
マトリクス乗算器660は、X方向基底フィルタ610乃至650の出力に対して所定の係数によるマトリクス乗算を行い、これらを線形結合することによって複数のガウス関数特性を有するガウシアンフィルタの出力を生成するものである。
【0056】
フィルタ選択部670は、X方向一次元フィルタ144への入力信号に基づいて、マトリクス乗算器660によって生成された複数のガウシアンフィルタの出力の何れかを選択するものである。入力信号がエッジ部分であることを示していれば弱いガウシアンフィルタを選択し、それ以外であれば強いガウシアンフィルタを選択することにより、画像信号の内容に応じたノイズ低減効果を得ることができる。
【0057】
なお、ここでは、X方向一次元フィルタ144を例に挙げてその構成例を説明したが、X方向一次元フィルタ145の構成も同様である。
【0058】
図7は、本発明の実施の形態におけるX方向基底フィルタ610の構成例を示す図である。このX方向基底フィルタ610は、画素信号のチャンネル毎に、加算器611と、画素遅延部613と、定数乗算器614とを備える。X方向基底フィルタ610への入力は加算器611に供給される。加算器611の出力は画素遅延部613に供給される。画素遅延部613の出力は外部に出力されるとともに、定数乗算器614に供給される。定数乗算器614の出力は加算器611にフィードバックされる。
【0059】
加算器611は、X方向基底フィルタ610に入力された画素信号と定数乗算器614の出力とを加算するものである。画素遅延部613は、加算器611から供給された値を1画素分遅延させるものである。定数乗算器614は、画素遅延部613の出力に対してフィルタ係数kを乗じて加算器611にフィードバックするものである。このX方向基底フィルタ610では、フィルタ係数kは「1/2」である。
【0060】
このX方向基底フィルタ610による座標(x,y)における出力Fch, k, x, yは、次式(数1)により表される。
【数1】

【0061】
ここで、チャンネルchは、赤緑青の各色の画素値(Pixel)をそれぞれ表すRP、GPおよびBPに加えて、各色の重み(Weight)をそれぞれ表すRW、GWおよびBWを含む6チャンネルの何れかを意味する。RP、GPおよびBPについては、指数関数で表されるインパルス応答と隣接画素群を畳み込んだものになる。一方、RW、GWおよびBWについては定数とみなして、画素値の最大値InMAXに「k/(1−k)」を乗じた定数値を常に出力する。
【0062】
なお、ここでは、X方向基底フィルタ610を例に挙げてその構成例を説明したが、他のX方向基底フィルタ620乃至650の構成もフィルタ係数kの値を除いて同様である。
【0063】
このようにして得られたX方向基底フィルタ610乃至650の出力は、マトリクス乗算器660による乗算によって、強さの異なる複数のガウス関数特性を有するガウシアンフィルタの出力の要素となる。マトリクス乗算器660における乗算係数の一例は次式(数2)により表される。
【数2】

【0064】
ここでは、5つの異なる指数関数に準ずる特性を有する基底フィルタの出力に基づいて、9個の強さの異なるガウシアンフィルタの出力Gch, 1〜9が生成される例が示されている。さらにGch, 0として、対応するチャンネルの入力信号が出力される(Gch, 0=Inch, 0)。ここで、末尾の数字が大きいほど、ガウシアンフィルタの幅が広く、すなわち強いフィルタであることを意味する。
【0065】
このようにして得られた10個の強さの異なるガウシアンフィルタの出力Gch, 0〜9の中から、フィルタ選択部670はチャンネル毎に何れかの出力を選択する。フィルタ選択部670は、ガウシアンフィルタの選択基準として、次式(数3)により各チャンネルを異なる次元と考えた場合の正規化された四次元距離Dn, mを計算する。なお、各色の係数(0.5または1)は色の信頼度によるものである。
【数3】

【0066】
ここで、σR、σGおよびσBは、画素値の標準偏差である。本発明の実施の形態において、これらの値は画像の撮影に使用した撮像素子に起因するノイズの標準偏差を画素値の関数として表す理論式を求め、入力画素の画素値を理論式に適用する計算によって求めている。なお、これら標準偏差は、フィルタ中心の画素値の近傍の画素値の統計量から実測することもできる。
【0067】
また、上式(数3)において重みを考慮した画素値GR, t、GG, t、GB, tは次式(数4)により表される。
【数4】

【0068】
このようにして求められた四次元距離Dn, mに基づいて、フィルタ選択部670は、ガウシアンフィルタの出力Gch, 0〜9の中から一つを次式(数5)により選択する。すなわち、入力信号との距離が所定値よりも大きいか否かを、フィルタの強さの弱い方から順番に調べて、条件に合致するガウシアンフィルタが見つかった時点でそのガウシアンフィルタを選択する。
【数5】

【0069】
上式(数5)において、四次元距離Dn, mの比較対象となる「0.6」乃至「2.2」の定数は、フィルタの強さを決定する要因であり、ノイズリダクション性能と画質の調整の目的で適宜変更することが可能である。上式ではDn, mの添え字が大きくなるにつれて単調増加しているが、これは一例であり、例えば同じ値に設定してもよい。
【0070】
図8は、本発明の実施の形態における一次元画像合成部147の構成例を示す図である。この一次元画像合成部147は、チャンネル毎に加算器701および定数乗算器702を備えている。
【0071】
加算器701の各々は、ラインFILOメモリ146およびX方向一次元フィルタ145の出力をチャンネル毎に加算するものである。
【0072】
定数乗算器702は、各々の加算器701の出力に対して定数値jを乗算するものである。この乗算は画像処理の途中におけるオーバーフローを防止するためのものであり、例えばj=1/32とすることができる。
【0073】
これにより、後段のY方向一次元フィルタ148には、RP、RW、GP、GW、BPおよびBWの6チャンネル分の画素信号が供給される。
【0074】
図9は、本発明の実施の形態におけるY方向一次元フィルタ148の構成例を示す図である。このY方向一次元フィルタ148は、5つのY方向基底フィルタ710乃至750と、マトリクス乗算器760と、フィルタ選択部770とを備えており、基底フィルタの処理方向がY方向である点を除いて図6のX方向一次元フィルタ144と同様の構成を有している。
【0075】
なお、X方向一次元フィルタ144と同様に、Y方向基底フィルタ710乃至750は、フィルタ係数kが互いに異なる。この例では、Y方向基底フィルタ710の場合はk=1/2、Y方向基底フィルタ720の場合はk=5/8、Y方向基底フィルタ730の場合はk=3/4、Y方向基底フィルタ740の場合はk=13/16、Y方向基底フィルタ750の場合はk=7/8にそれぞれ設定されている。
【0076】
図10は、本発明の実施の形態におけるY方向基底フィルタ710の構成例を示す図である。このY方向基底フィルタ710は、画素信号のチャンネル毎に、加算器711と、ライン遅延部712と、定数乗算器714とを備える。Y方向基底フィルタ710への入力は加算器711に供給される。加算器711の出力はライン遅延部712に供給される。ライン遅延部712の出力は外部に出力されるとともに、定数乗算器714に供給される。定数乗算器714の出力は加算器711にフィードバックされる。
【0077】
このY方向基底フィルタ710は、図7により説明したX方向基底フィルタ610と比べて、加算器の出力の遅延がライン方向(Y方向)である点で異なる。また、前段のX方向一次元フィルタ144および145によって重みが付与されていることから、ライン毎に個別に計算する必要があるため、重み(InRW、InGW、InBW)についてもフィルタ処理が行われる。すなわち、このY方向基底フィルタ710による座標(x,y)における出力Fch, k, x, yは、次式(数6)により表される。
【数6】

【0078】
なお、他のY方向基底フィルタ720乃至750の構成もフィルタ係数kの値を除いて同様である。
【0079】
このようにして得られたY方向基底フィルタ720乃至750の出力は、マトリクス乗算器760による乗算によって、強さの異なる複数のガウス関数特性を有するガウシアンフィルタの出力の要素となる。マトリクス乗算器760における乗算係数は上述のマトリクス乗算器660の場合と同様のものを利用することができる。
【0080】
マトリクス乗算器760によって得られた10個の強さの異なるガウシアンフィルタの出力Gch, 0〜9の中から、フィルタ選択部770はチャンネル毎に何れかの出力を選択する。フィルタ選択部770は、ガウシアンフィルタの選択基準として、既述の式(数3)によって四次元距離Dn, mを計算する。但し、この場合の画素値GR, t、GG, t、GB, tは次式(数7)により表される。
【数7】

【0081】
すなわち、フィルタ選択部670では四次元距離の正規化のために固定値(InMAX)が使用されるが(数4)、このフィルタ選択部770では実際の重みが使用される点で異なる。なお、ガウシアンフィルタの選択式(数5)はフィルタ選択部670の場合と同様である。
【0082】
図11は、本発明の実施の形態における二次元画像合成部170の構成例を示す図である。この二次元画像合成部170は、チャンネル毎に加算器171を備えるとともに、色毎に定数乗算器172および除算器173を備えている。
【0083】
加算器171の各々は、フレームFILOメモリ160および二次元フィルタ150の出力をチャンネル毎に加算するものである。
【0084】
定数乗算器172は、各色の画素値を担当する加算器171の出力に対して定数値InMAXを乗算するものである。また、除算器173は、各色の重みを担当する加算器171の出力によって定数乗算器172の出力を除算するものである。ガウシアンフィルタの強さが強くなると図5からも明らかなように面積が広くなる。この面積をフィルタの強さによらず一定にするために、除算器173による除算が行われて正規化される。
【0085】
これにより、後段の出力画像メモリ109には、各色について重みに応じて正規化された画素信号が供給される。
【0086】
なお、本発明の実施の形態では、フィルタ係数の異なる5つの基底フィルタの出力に基づいて、マトリクス乗算器660(または760)において9個の強さの異なるガウシアンフィルタの出力Gch, 1〜9を生成する例について説明したが(数2)、これに限定されるものではない。例えば、5つの基底フィルタの出力に基づいて9個の強さの異なるガウシアンフィルタの出力Gch, 1〜9を生成する場合には、次式(数8)により計算することができる。但し、Gch, 0=Inch, 0、ch∈{RP,GP,BP,RW,GW,BW}である。
【数8】

【0087】
また、例えば、3つの基底フィルタの出力に基づいて9個の強さの異なるガウシアンフィルタの出力Gch, 1〜9を生成する場合には、次式(数9)により計算することができる。但し、Gch, 0=Inch, 0、ch∈{RP,GP,BP,RW,GW,BW}である。
【数9】

【0088】
このように基底フィルタの数を減らした場合には、近似精度が劣化するおそれはあるが、計算コストを低減することができる。なお、マトリクス乗算器660とマトリクス乗算器760とで異なる乗算係数を用いてもよい。
【0089】
また、上式(数9)よりも強い基底フィルタを組み合わせると次式(数10)のように計算することもできる。
【数10】

【0090】
ここでは、強いフィルタにおいては目標とするフィルタに対する誤差が非常に大きくなるため、Gch, 7までしか係数を定義していない。この場合、フィルタ選択においてGch, 7より強いフィルタはすべてGch, 7とみなして扱うことにより、既述のフィルタ選択基準(数5)を用いることができる。
【0091】
また、本発明の実施の形態では、マトリクス乗算器660(または760)において、入力信号との四次元距離Dn, mが所定値よりも大きいか否かを用いてフィルタ選択基準としたが(数5)、これに限定されるものではない。例えば、次式(数11)のように、1段階強いフィルタの結果と入力信号との間の重み付き四次元距離の差が定数値を下回ることを追加条件とするようにしてもよい。これにより、強さのより弱いフィルタが選択されるようになる。
【数11】

【0092】
なお、上式において、比較対象となる定数値は「0.0」から「0.8」まで単調増加する値を使用しているが、これは一例であり、任意の値に設定することができる。
【0093】
また、他のフィルタ選択基準として、例えば、次式(数12)のように、あるフィルタの結果とそれより1段階強いフィルタ結果との間の重み付き四次元距離の差が定数値を下回ることを追加条件とするようにしてもよい。これにより、やはり、強さのより弱いフィルタが選択されるようになる。
【数12】

【0094】
なお、上式において、比較対象となる定数値は「0.0」から「0.8」まで単調増加する値を使用しているが、これは一例であり、任意の値に設定することができる。
【0095】
図12は、本発明の実施の形態における二次元フィルタの第2の構成例を示す図である。ここでは、適応フィルタ100における二次元フィルタ140の構成例として二次元フィルタ240を示しているが、二次元フィルタ150の構成例として適用してもよい。
【0096】
この二次元フィルタ240は、Y方向一次元フィルタ242と、2つのX方向一次元フィルタ244および245と、2つのラインFILOメモリ243および246と、一次元画像合成部247とを備えている。入力側にはY方向一次元フィルタ242が接続されており、このY方向一次元フィルタ242の出力側にはX方向一次元フィルタ244およびラインFILOメモリ243が接続されている。さらにX方向一次元フィルタ244の出力側にはラインFILOメモリ246が接続され、ラインFILOメモリ243の出力側にはX方向一次元フィルタ245が接続されている。ラインFILOメモリ246およびX方向一次元フィルタ245の出力側には一次元画像合成部247が接続されている。
【0097】
この二次元フィルタ240は、二次元画像信号に対する画像処理の順序が異なる点を除き、図3により説明した二次元フィルタ140と同様の構成を有している。すなわち、二次元フィルタ140では第1段階のフィルタによりX方向の処理を行い、第2段階のフィルタによりY方向の処理を行うが、この二次元フィルタ240では第1段階のフィルタによりY方向の処理を行い、第2段階のフィルタによりX方向の処理を行う。
【0098】
Y方向一次元フィルタ242の構成は、Y方向一次元フィルタ148の構成(図9)と同様である。但し、Y方向一次元フィルタ242は第1段階のフィルタとして機能するため、入力信号として重みは供給されない。したがって、X方向一次元フィルタ144の場合(数1)と同様に、RW、GWおよびBWについては定数とみなして、画素値の最大値InMAXに「k/(1−k)」を乗じた定数値を常に出力する。
【0099】
X方向一次元フィルタ244(245)の構成は、X方向一次元フィルタ144(145)の構成(図6)と同様である。但し、X方向一次元フィルタ244(245)は第2段階のフィルタとして機能するため、Y方向一次元フィルタ242から各色の重みが供給される。したがって、Y方向一次元フィルタ148の場合(数6)と同様に、重みについてもフィルタ処理が行われる。
【0100】
図13は、本発明の実施の形態における二次元フィルタの第2の構成例による二次元画像信号の処理方向を示す図である。信号処理の対象となる二次元画像信号は、図2により説明したとおり、上部領域14および下部領域15に分けて処理される。
【0101】
上部領域14では、以下の2方向の中間結果の合成結果によって中心画素11における出力が得られる。その中間結果の一方は、Y方向一次元フィルタ242により半直線242a、242c、242e、242g、242iに沿った処理を行った結果に対して、X方向一次元フィルタ244により半直線244aに沿った処理を行うことにより得られる。また、もう一方の中間結果は、Y方向一次元フィルタ242により半直線242b、242d、242f、242h、242jに沿った処理を行った結果に対して、X方向一次元フィルタ245により半直線245aに沿った処理を行うことにより得られる。いずれの場合も、座標(0,0)を含む水平線上の画素は上部領域14と下部領域15とで2回計算されるため、予め重みを1/2にしておく必要がある。
【0102】
下部領域15においても、同様に、Y方向一次元フィルタによる結果をX方向一次元フィルタにより処理することにより中心画素11における出力が得られる。
【0103】
図14は、本発明の実施の形態における二次元フィルタの第3の構成例を示す図である。ここでは、適応フィルタ100における二次元フィルタ140の構成例として二次元フィルタ340を示しているが、二次元フィルタ150の構成例として適用してもよい。
【0104】
この二次元フィルタ340は、Y方向一次元フィルタ342と、2つのX方向一次元フィルタ341および346と、2つのラインFILOメモリ343および355と、ラインFIFOメモリ345と、3つの一次元画像合成部344、348および358と、2つの斜め方向一次元フィルタ347および349とを備えている。
【0105】
入力側にはX方向一次元フィルタ341、Y方向一次元フィルタ342およびラインFILOメモリ343が接続されている。Y方向一次元フィルタ342の出力側にはラインFIFOメモリ345が接続され、ラインFILOメモリ343の出力側にはX方向一次元フィルタ346が接続されている。ラインFIFOメモリ345およびX方向一次元フィルタ346の出力側には一次元画像合成部348が接続されており、両者の出力が合成される。この一次元画像合成部348の出力側には斜め方向一次元フィルタ349が接続され、さらに斜め方向一次元フィルタ349の出力側には一次元画像合成部358が接続されている。
【0106】
また、X方向一次元フィルタ341およびY方向一次元フィルタ342の出力側には一次元画像合成部344が接続されており、両者の出力が合成される。この一次元画像合成部344の出力側には斜め方向一次元フィルタ347が接続され、さらに斜め方向一次元フィルタ347の出力側にはラインFILOメモリ355が接続されている。そして、このラインFILOメモリ355の出力側には一次元画像合成部358が接続されている。
【0107】
この二次元フィルタ340では、第1段階のフィルタとして、Y方向一次元フィルタ342とX方向一次元フィルタ341および346によってX方向およびY方向の処理を行い、第2段階のフィルタとして斜め方向一次元フィルタ347および349により斜め方向の処理を行う。FILOメモリ343および355は、既述のとおり、入力された二次元画像信号を1フレームとして、ライン毎に垂直方向にFILO処理を行うものである。一方、ラインFIFOメモリ345は、入力された二次元画像信号を1フレームとして、ライン毎に垂直方向にFIFO(First-In First-Out)処理を行うものであり、ラインの順序の入れ替えは行わない。すなわち、ラインFIFOメモリ345は、タイミングを合わせるために用いられているものである。
【0108】
Y方向一次元フィルタ342の構成は、二次元フィルタの第2の構成例におけるY方向一次元フィルタ242の構成と同様である。また、X方向一次元フィルタ341(346)の構成は、二次元フィルタの第1の構成例におけるX方向一次元フィルタ144(145)の構成と同様である。なお、斜め方向一次元フィルタ347(349)の内部構成例については後述する。
【0109】
図15は、本発明の実施の形態における二次元フィルタの第3の構成例による二次元画像信号の処理方向を示す図である。信号処理の対象となる二次元画像信号は、図2により説明したとおり、上部領域14および下部領域15に分けて処理される。
【0110】
上部領域14では、斜め方向一次元フィルタ347により半直線347aに沿った処理を行うことにより得られた結果と、斜め方向一次元フィルタ349により半直線349aに沿った処理を行うことにより得られた結果とを一次元画像合成部358によって合成することにより、中心画素11における出力が得られる。
【0111】
斜め方向一次元フィルタ347に入力される中間結果は、X方向一次元フィルタ341により半直線341a、341b、341c、341d、341eに沿った処理を行うことにより得られた結果と、Y方向一次元フィルタ342により半直線342a、342c、342e、342g、342iに沿った処理を行うことにより得られた結果とを一次元画像合成部344によって合成することにより得られる。
【0112】
同様に、斜め方向一次元フィルタ349に入力される中間結果は、X方向一次元フィルタ346により半直線346a、346b、346c、346d、346eに沿った処理を行うことにより得られた結果と、Y方向一次元フィルタ342により半直線342b、342d、342f、342h、342jに沿った処理を行うことにより得られた結果とを一次元画像合成部348によって合成することにより得られる。
【0113】
下部領域15においても、同様に、X方向一次元フィルタおよびY方向一次元フィルタによる結果を斜め方向一次元フィルタにより処理することにより中心画素11における出力が得られる。
【0114】
なお、X方向一次元フィルタおよびY方向一次元フィルタにおいて、中心画素11を通る水平垂直線上の画素はすべて2回フィルタ計算に考慮されるため、予め1/2の重みをかけておく必要がある。
【0115】
図16は、本発明の実施の形態における斜め方向一次元フィルタ347の構成例を示す図である。この斜め方向一次元フィルタ347は、5つの斜め方向基底フィルタ810乃至850と、マトリクス乗算器860と、フィルタ選択部870とを備えており、基底フィルタの処理方向が斜め方向である点を除いて図6のX方向一次元フィルタ144と同様の構成を有している。
【0116】
なお、X方向一次元フィルタ144と同様に、斜め方向基底フィルタ810乃至850は、フィルタ係数kが互いに異なる。この例では、斜め方向基底フィルタ810の場合はk=1/2、斜め方向基底フィルタ820の場合はk=5/8、斜め方向基底フィルタ830の場合はk=3/4、斜め方向基底フィルタ840の場合はk=13/16、斜め方向基底フィルタ850の場合はk=7/8にそれぞれ設定されている。
【0117】
なお、ここでは、斜め方向一次元フィルタ347を例に挙げてその構成例を説明したが、斜め方向一次元フィルタ349の構成も同様である。
【0118】
図17は、本発明の実施の形態における斜め方向基底フィルタ810の構成例を示す図である。この斜め方向基底フィルタ810は、画素信号のチャンネル毎に、加算器811と、ライン遅延部812と、画素遅延部813と、定数乗算器814とを備える。斜め方向基底フィルタ810への入力は加算器811に供給される。加算器811の出力はライン遅延部812に供給される。ライン遅延部812の出力は外部に出力されるとともに、画素遅延部813に供給され、定数乗算器814によってフィルタ係数kが乗算されて加算器811にフィードバックされる。
【0119】
この斜め方向基底フィルタ810は、X方向基底フィルタ610(図7)やY方向基底フィルタ710(図10)と比べて、加算器の出力の遅延がライン方向(Y方向)および画素方向(X方向)の組合せである点で異なる。また、前段のY方向一次元フィルタ342およびX方向一次元フィルタ341および346によって重みが付与されていることから、ライン毎に個別に計算する必要があるため、重みについてもフィルタ処理が行われる点はY方向基底フィルタ610と同様である。
【0120】
ここでは、ライン方向および画素方向に1つずつ遅延させることにより45°の角度を生じさせる例について説明したが、これに限定されるものではない。ライン遅延部812および画素遅延部813における遅延量を調整することにより、任意の角度の基底フィルタを生成することができる。例えば、画素方向に1つ、ライン方向に2つ遅延させることにより、桂馬飛びの基底フィルタを構成することができる。
【0121】
なお、他の斜め方向基底フィルタ820乃至850の構成もフィルタ係数kの値を除いて同様である。
【0122】
図18は、本発明の実施の形態における二次元フィルタの第4の構成例を示す図である。ここでは、適応フィルタ100における二次元フィルタ140の構成例として二次元フィルタ440を示しているが、二次元フィルタ150の構成例として適用してもよい。
【0123】
この二次元フィルタ440は、2つの斜め方向一次元フィルタ442および443と、3つのラインFILOメモリ441、444および449と、2つのX方向一次元フィルタ445および447と、Y方向一次元フィルタ448と、2つの一次元画像合成部446および456とを備えている。
【0124】
入力側には斜め方向一次元フィルタ442およびラインFILOメモリ441が接続されている。斜め方向一次元フィルタ442の出力側にはラインFILOメモリ444およびX方向一次元フィルタ447が接続されている。X方向一次元フィルタ447の出力側にはラインFILOメモリ449が接続されている。
【0125】
また、ラインFILOメモリ441の出力側には斜め方向一次元フィルタ443が接続されている。この斜め方向一次元フィルタ443の出力側にはX方向一次元フィルタ445および一次元画像合成部446が接続されている。一次元画像合成部446の出力側にはY方向一次元フィルタ448が接続されている。
【0126】
一次元画像合成部456は、X方向一次元フィルタ445、Y方向一次元フィルタ448およびラインFILOメモリ449の出力側に接続され、これらの出力を合成する。
【0127】
この二次元フィルタ440では、第1段階のフィルタとして、斜め方向一次元フィルタ442および443により斜め方向の処理を行い、第2段階のフィルタとしてX方向一次元フィルタ445および447とY方向一次元フィルタ448によってX方向およびY方向の処理を行う。
【0128】
Y方向一次元フィルタ448の構成は、二次元フィルタの第2の構成例におけるY方向一次元フィルタ242の構成と同様である。また、X方向一次元フィルタ445(447)の構成は、二次元フィルタの第1の構成例におけるX方向一次元フィルタ144(145)の構成と同様である。また、斜め方向一次元フィルタ442(443)の構成は、二次元フィルタの第3の構成例における斜め方向一次元フィルタ347(349)と同様である。
【0129】
また、一次元画像合成部456の構成は、二次元フィルタの第1の構成例における一次元画像合成部147(図8)を3入力に拡張したものであり、各入力における各色の画素値および重みをチャンネル毎に加算して定数を乗算するものである。
【0130】
図19は、本発明の実施の形態における二次元フィルタの第4の構成例による二次元画像信号の処理方向を示す図である。信号処理の対象となる二次元画像信号は、図2により説明したとおり、上部領域14および下部領域15に分けて処理される。
【0131】
上部領域14では、X方向一次元フィルタ447により半直線447aに沿った処理を行うことにより得られた結果と、Y方向一次元フィルタ448により半直線448aに沿った処理を行うことにより得られた結果と、X方向一次元フィルタ445により半直線445aに沿った処理を行うことにより得られた結果とを一次元画像合成部456によって合成することにより、中心画素11における出力が得られる。
【0132】
X方向一次元フィルタ447に入力される中間結果は、斜め方向一次元フィルタ442により半直線442a、442c、442e、442g、442iに沿った処理を行うことにより得られた結果として得られる。
【0133】
Y方向一次元フィルタ448に入力される中間結果は、斜め方向一次元フィルタ442により半直線442b、442d、442f、442h、442jに沿った処理を行うことにより得られた結果と、斜め方向一次元フィルタ443により半直線443b、443d、443f、443h、443jに沿った処理を行うことにより得られた結果とを一次元画像合成部446によって合成することにより得られる。
【0134】
X方向一次元フィルタ445に入力される中間結果は、斜め方向一次元フィルタ443により半直線443a、443c、443e、443g、443iに沿った処理を行うことにより得られた結果として得られる。
【0135】
下部領域15においても、同様に、斜め方向一次元フィルタによる結果をX方向一次元フィルタおよびY方向一次元フィルタにより処理することにより中心画素11における出力が得られる。
【0136】
なお、X方向一次元フィルタおよびY方向一次元フィルタにおいて、中心画素11を通る斜め45°線上の画素と、水平線上の画素とは全て2回フィルタ計算に考慮されるため、これらの画素には予め1/2の重みをかけておく必要がある。
【0137】
このように、本発明の実施の形態によれば、二次元フィルタ(140および150)や一次元フィルタ(144等)において、中心点を中心として半分のみを利用することにより、左右対称性を担保するとともに、位相のずれを防止するという効果を得ることができる。
【0138】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、以下に示すように特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0139】
すなわち、請求項1において、第1のフィルタ手段は例えばX方向一次元フィルタ144に対応する。また、第1の反転手段は例えばラインFILOメモリ146に対応する。また、第2の反転手段は例えばラインFILOメモリ143に対応する。また、第2のフィルタ手段は例えばX方向一次元フィルタ145に対応する。また、合成手段は例えば一次元画像合成部147に対応する。
【0140】
また、請求項2において、一次元基底フィルタは例えばX方向基底フィルタ610乃至650に対応する。また、線形結合手段は例えばマトリクス乗算器660に対応する。また、選択手段は例えばフィルタ選択部670に対応する。
【0141】
また、請求項5において、第1のフィルタ手段は例えば二次元フィルタ140に対応する。また、第1の反転手段は例えばフレームFILOメモリ160に対応する。また、第2の反転手段は例えばフレームFILOメモリ130に対応する。また、第2のフィルタ手段は例えば二次元フィルタ150に対応する。また、合成手段は例えば二次元画像合成部170に対応する。
【0142】
また、請求項6において、第1段階のフィルタ手段は例えばX方向一次元フィルタ144および145、Y方向一次元フィルタ242、X方向一次元フィルタ341および346、Y方向一次元フィルタ342、または、斜め方向一次元フィルタ442および443に対応する。また、第2段階のフィルタ手段は例えばY方向一次元フィルタ148、X方向一次元フィルタ244および245、斜め方向一次元フィルタ347および349、X方向一次元フィルタ445および447、または、Y方向一次元フィルタ448に対応する。
【0143】
なお、本発明の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施の形態における信号処理装置の一例としての適応フィルタ100の一構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における信号処理の対象となる二次元画像信号の領域の一部を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における二次元フィルタの第1の構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における二次元フィルタの第1の構成例による二次元画像信号の処理方向を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるフィルタによる信号処理の概要を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるX方向一次元フィルタ144の構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるX方向基底フィルタ610の構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における一次元画像合成部147の構成例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるY方向一次元フィルタ148の構成例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるY方向基底フィルタ710の構成例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における二次元画像合成部170の構成例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態における二次元フィルタの第2の構成例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態における二次元フィルタの第2の構成例による二次元画像信号の処理方向を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態における二次元フィルタの第3の構成例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態における二次元フィルタの第3の構成例による二次元画像信号の処理方向を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態における斜め方向一次元フィルタ347の構成例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態における斜め方向基底フィルタ810の構成例を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態における二次元フィルタの第4の構成例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態における二次元フィルタの第4の構成例による二次元画像信号の処理方向を示す図である。
【図20】従来のIIRフィルタによる信号処理の概要を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
100 適応フィルタ
101 入力画像メモリ
109 出力画像メモリ
130、160 フレームFILOメモリ
140、150 二次元フィルタ
143、146 ラインFILOメモリ
144、145 X方向一次元フィルタ
147 一次元画像合成部
148 Y方向一次元フィルタ
170 二次元画像合成部
171 加算器
172 定数乗算器
173 除算器
240 二次元フィルタ
242 Y方向一次元フィルタ
243、246 ラインFILOメモリ
244、245 X方向一次元フィルタ
247 一次元画像合成部
340 二次元フィルタ
341、346 X方向一次元フィルタ
342 Y方向一次元フィルタ
343、355 ラインFILOメモリ
344、348、358 一次元画像合成部
345 ラインFIFOメモリ
347、349 斜め方向一次元フィルタ
440 二次元フィルタ
441、444、449 ラインFILOメモリ
442、443 斜め方向一次元フィルタ
445、447 X方向一次元フィルタ
446、456 一次元画像合成部
448 Y方向一次元フィルタ
610〜650 X方向基底フィルタ
611、711、811 加算器
613、813 画素遅延部
614、714、814 定数乗算器
660、760、860 マトリクス乗算器
670、770、870 フィルタ選択部
701 加算器
702 定数乗算器
710〜750 Y方向基底フィルタ
712、812 ライン遅延部
810〜850 斜め方向基底フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列に入力される有限長の一次元信号を処理する信号処理装置であって、
前記一次元信号を先頭から所定位置に至るまで入力された順に一次元のインパルス応答特性による変換を行う第1のフィルタ手段と、
前記第1のフィルタ手段の出力の順序を反対に並び替える第1の反転手段と、
前記所定位置から末尾に至るまで入力された前記一次元信号の順序を反対に並び替える第2の反転手段と、
前記第2の反転手段の出力について一次元のインパルス応答特性による変換を順次行う第2のフィルタ手段と、
前記第1の反転手段の出力と前記第2のフィルタ手段の出力とを順次合成する合成手段と
を具備することを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記第1または第2のフィルタ手段は、
その入力された信号に対してそれぞれ異なる出力信号を出力する複数の一次元基底フィルタと、
前記複数の一次元基底フィルタによる出力信号を線形結合することによって減衰特性の異なる複数のガウシアンフィルタを形成させる線形結合手段と、
前記入力された信号に基づいて前記異なる複数のガウシアンフィルタの出力の何れかを選択する選択手段と
を具備することを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記複数の一次元基底フィルタの各々は、指数関数特性を備えた無限インパルス応答フィルタであることを特徴とする請求項2記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記線形結合手段は、前記線形結合の係数を切り替えることによってインパルス応答特性を可変にすることを特徴とする請求項2記載の信号処理装置。
【請求項5】
第1および第2の方向にそれぞれ有限長を有する二次元画像信号を処理する信号処理装置であって、
前記二次元画像信号を前記第2の方向の所定位置に至るまで入力された順に二次元のインパルス応答特性による変換を行う第1のフィルタ手段と、
前記第1のフィルタ手段の出力の順序を前記第2の方向について反対に並び替える第1の反転手段と、
前記第2の方向の前記所定位置から入力された前記二次元画像信号の順序を前記第2の方向について反対に並び替える第2の反転手段と、
前記第2の反転手段の出力について二次元のインパルス応答特性による変換を順次行う第2のフィルタ手段と、
前記第1の反転手段の出力と前記第2のフィルタ手段の出力とを順次合成する合成手段と
を具備することを特徴とする信号処理装置。
【請求項6】
前記第1または第2のフィルタ手段は、
その入力された信号に対して第1の半直線に対応付けられた一次元のインパルス応答特性による変換を行う第1段階のフィルタ手段と、
前記第1段階のフィルタ手段の出力に対して前記第1の半直線とは異なる方向の第2の半直線に対応付けられた一次元のインパルス応答特性による変換を行う第2段階のフィルタ手段と
を具備することを特徴とする請求項5記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記第1の半直線は前記二次元画像信号における水平方向の半直線であって、
前記第2の半直線は前記二次元画像信号における垂直方向の半直線である
ことを特徴とする請求項6記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記第1の半直線は前記二次元画像信号における垂直方向の半直線であって、
前記第2の半直線は前記二次元画像信号における水平方向の半直線である
ことを特徴とする請求項6記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記第1の半直線は前記二次元画像信号における水平方向および垂直方向の半直線であって、
前記第2の半直線は前記二次元画像信号における斜め方向の半直線である
ことを特徴とする請求項6記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記第1の半直線は前記二次元画像信号における斜め方向の半直線であって、
前記第2の半直線は前記二次元画像信号における水平方向および垂直方向の半直線である
ことを特徴とする請求項6記載の信号処理装置。
【請求項11】
前記第1段階のフィルタ手段は、前記入力された信号に対する一次元のインパルス応答特性によるフィルタ結果を非正規化画素値として出力するとともに、所定の定数値の連続信号に対する一次元のインパルス応答特性の定常値を重みとして出力し、
前記合成手段は、前記非正規化画素値と前記重みの比に前記所定の定数値を乗じたものを合成結果として出力する
ことを特徴とする請求項6記載の信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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