説明

信号制御装置および信号制御方法

【課題】異なるトリガー点における電圧のオフセットの発生を抑止でき、回路のバラツキの影響を防止でき、精度の向上を図れる信号制御装置および信号制御方法を提供する。
【解決手段】入力信号のトリガー点が異なる複数の電圧と可変のバイアス信号とを順次間欠的に比較する比較部12と、比較部12の比較結果に応じてバイアス信号、並びに、入力信号を制御するための入力信号制御信号を生成する機能を有する制御部16と、を有し、制御部16は、バイアス電圧がトリガー点の異なる複数の電圧より小さいときはバイアス電圧の値を大きくするように制御し、バイアス電圧がトリガー点の異なる複数の電圧より大きいときはバイアス電圧の値を小さくするように制御し、バイアス電圧がトリガー点の異なる複数の電圧の間にあるときは、前のトリガー点の電圧が後のトリガー点の電圧に近づくように入力信号制御信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルなどを用いて伝送した信号の伝送損失を補償するデータ受信装置等に適用可能な信号制御装置に係り、特に、周波数に依存する劣化減衰を等化する信号制御装置および信号制御方法に関するものである。
さらに詳しくは、本発明は、高速のデジタルデータを差動伝送路経由で長距離伝送する際における周波数に依存する劣化減衰を等化するデータ受信装置等に適用可能な信号制御装置に係り、特に、差動伝送路に含まれるリファレンス・クロックを用いて高域ゲイン補償をかけて等化処理を行う信号制御装置および信号制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速デジタルデータを差動伝送路で長距離伝送する際、データ波形は、伝送路で生じる減衰や遅延により歪む。
周波数依存の減衰(伝送損失:誘電損失、表皮効果による抵抗損失など)に対する波形等化手段としては、伝送損失と同量の利得特性を持ったハイパスフィルタ(HPF)を通して再生させることが一般的に行われる。
任意の伝送損失に追随し、その同量のゲインで等化するためには、任意の伝送損失の度合いを正確に判別する手段が必要である。
【0003】
図1(A)および(B)は、利得を制御する方法の一例を説明するための図である。
図1(A)は、特許文献1に記載されたデータ受信装置に適用される信号制御装置の構成を示し、図1(B)は、動作を説明するための図である。
【0004】
この信号制御装置1は、減衰後のデータ信号の1と0の間の遷移裾においてある特定のタイミングでサンプリングした電圧同士を比較することにより、伝送損失の度合いを定量化する方法を用いている。
【0005】
信号制御装置1は、サンプルホールド(S/H)回路2,3、コンパレータ(COMP)4、コントローラ(CTRL)5、および遅延器(DLY)6を有する。
【0006】
この信号制御装置1では、一定の周期で繰り返すアナログ信号WAVEをそれに同期したクロック信号CLOCKをトリガーにサンプリングしてトリガー近傍での入力信号WAVEの時間差分の極性を検出する。
信号制御装置1は、図1(B)に示されるトリガー点Aの電圧Eとトリガー点Bの電圧Lをそれぞれ別のサンプルホールド回路2,3で取り込み、その電圧EとLをコンパレータ4で比較する。
そして、信号制御装置1は、その結果を基にコントローラ5で電圧Eを電圧Lに近づけるようライズ信号RISE、フォール信号FALLを出力し、利得制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−86379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、コンパレータ4のオフセット、比較結果取り込み時の電圧EとLのホールド時間の差、サンプルホールド回路2,3のバラツキにより、精度の低下を生じていた。
【0009】
本発明は、異なるトリガー点における電圧のオフセットの発生を抑止でき、回路のバラツキの影響を防止でき、精度の向上を図ることが可能な信号制御装置および信号制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点の信号制御装置は、入力信号のトリガー点が異なる複数の電圧と可変のバイアス信号とを順次間欠的に比較する比較部と、上記比較部の比較結果に応じて上記バイアス信号、並びに、上記入力信号を制御するための入力信号制御信号を生成する機能を有する制御部と、を有し、上記制御部は、上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧より小さいときは上記バイアス電圧の値を大きくするように制御し、上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧より大きいときは上記バイアス電圧の値を小さくするように制御し、上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧の間にあるときは、前のトリガー点の電圧が後のトリガー点の電圧に近づくように上記入力信号制御信号を生成する。
【0011】
本発明の第2の観点の信号制御方法は、入力信号のトリガー点が異なる複数の電圧と可変のバイアス信号とを順次間欠的に比較する比較ステップと、上記比較ステップの比較結果に応じて上記バイアス信号、並びに、上記入力信号を制御するための入力信号制御信号を生成する制御ステップと、を有し、上記制御ステップにおいて、上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧より小さいときは上記バイアス電圧の値を大きくするように制御し、上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧より大きいときは上記バイアス電圧の値を小さくするように制御し、上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧の間にあるときは、前のトリガー点の電圧が後のトリガー点の電圧に近づくように上記入力信号制御信号を生成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、異なるトリガー点における電圧のオフセットの発生を抑止でき、回路のバラツキの影響を防止でき、精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】利得を制御する方法の一例を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る信号制御装置の比較および制御処理を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【図5】本第2の実施形態に係る信号制御装置の比較および制御処理を説明するための図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【図9】本第5の実施形態に係る電圧電流生成回路のより具体的な回路例の一つを示す図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【図12】QFB回路の構成例を示す回路図である。
【図13】本発明の実施形態に係る信号制御装置を液晶表示装置(LCD)のソースドライバ(SD)に応用した構成例を示す図である。
【図14】図13の装置の動作を説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態に係る信号制御装置を極大・極小値検出回路に応用した構成例を示す図である。
【図16】図15の回路の動作波形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(信号制御装置の第1の構成例)
2.第2の実施形態(信号制御装置の第2の構成例)
3.第3の実施形態(信号制御装置の第3の構成例)
4.第4の実施形態(信号制御装置の第4の構成例)
5.第5の実施形態(信号制御装置の第5の構成例)
6.第6の実施形態(信号制御装置の第5の構成例)
7.第7の実施形態(信号制御装置の第5の構成例)
8.第8の実施形態(信号制御装置の第1の応用例)
9.第9の実施形態(信号制御装置の第2の応用例)
【0015】
<1.第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【0016】
本信号制御装置10は、図2に示すように、アンプ11、比較ラッチ回路(LTC)12、遅延回路(DLY)13、分周回路(TFF)14、選択回路(SEL)15、コントローラ(CTRL)16、およびデジタルアナログ変換器(DAC)17を有する。
なお、比較ラッチ回路12は比較部に相当し、コントローラ16は制御部に相当する。
【0017】
アンプ11は、一方の入力信号を一定の周期で繰り返すアナログ信号波形WAVEとし、他方の入力信号をコントローラ16で生成され、DAC17を介して供給するバイアス信号BIAS_Mである。
アンプ11は、アナログ信号波形WAVEとバイアス信号BIAS_Mの差電圧レベルを増幅して比較ラッチ回路12に入力させる。
【0018】
比較ラッチ回路12は、アナログ信号波形WAVEとバイアス信号BIAS_Mの差電圧レベルを比較する。
比較ラッチ回路12は、クロック信号CLOCKに同期して、入力アナログ信号(波形)WAVEのトリガー点T1での電圧値V1、トリガー点T2での電圧値V2を保持して比較動作を行う。
比較ラッチ回路12は、比較結果をコントローラ16に出力する。
比較ラッチ回路12は、セレクタ15を介して供給されるトリガー点T1におけるクロック信号CLOCKに同期して電圧V1を保持する。
比較ラッチ回路12は、遅延回路13で遅延されて、セレクタ15を介して供給されるトリガー点T2の電圧値V2を保持する。
【0019】
コントローラ16は、可変のバイアス信号BIAS_Mを生成し、DAC17を介してアナログ信号としてアンプ11に供給する。
コントローラ16は、このようにバイアス信号BIAS Mを生成して、電圧V1とバイアス信号BIAS Mの比較および電圧V2とBIAS Mの比較を一つの比較ラッチ回路12で順次間欠的に行わせる。
コントローラ16は、比較結果を比較ラッチ回路12の保持データに基づいてバイアス信号BIAS_Mの生成等を次のように制御する。
【0020】
コントローラ16は、バイアス信号BIAS_Mのレベルがトリガー点T1での電圧値V1およびトリガー点T2での電圧値V2より小さい(低い)ときはバイアス信号BIAS_Mのレベルを増やす(大きくする)方向に制御する。
コントローラ16は、バイアス信号BIAS_Mのレベルがトリガー点T1での電圧値V1およびトリガー点T2での電圧値V2より大きい(高い)ときはバイアス信号BIAS_Mのレベルを減らす(小さくする)方向に制御する。
コントローラ16は、バイアス信号BIAS_Mのレベルがトリガー点T1での電圧値V1およびトリガー点T2での電圧値V2の間にあるときは、電圧V1と電圧V2の大小関係から電圧V1が電圧V2に近づくように制御する。
この場合、コントローラ16は、入力アナログ信号WAVEのレベルを制御するための入力信号制御信号としてのライズ信号RISEおよびフォール信号FALLを後段の処理系に出力する。
【0021】
ここで、図2の信号制御装置10の動作を、図3(A)および(B)に関連付けて説明する。
図3(A)および(B)は、本第1の実施形態に係る信号制御装置の比較および制御処理を説明するための図である。
【0022】
信号制御装置10には、一定の周期で繰り返すアナログ信号波形がWAVEに入力され、それに同期したクロック信号CLOCKが入力される。
クロック信号CLOCKに同期してトリガー点T1と、トリガー点T1に対し遅延回路13で位相を遅らせたトリガー点T2でLTC12に入力される2つの信号電圧V1、V2がとりこまれる。V1が第1の電圧であり、V2が第2の電圧である。
本構成例では、位相をずらす遅延回路13と、分周回路14と、選択回路15によりLTC12への入力をトリガー点T1とトリガー点T2のタイミングで順次行っている。
【0023】
信号制御装置10では、可変のバイアス電圧BIAS_Mを設けて、アナログ信号波形WAVEのトリガー点T1での電圧値V1、トリガー点T2での電圧値V2とBIAS_Mの比較がひとつの比較ラッチ回路12で順次間欠的に行われる。
そして、コントローラ16において、バイアス信号BIAS_Mと電圧V1および電圧V2の大小関係に応じて、以下の制御が行われる。
【0024】
(a)バイアス信号BIAS_Mが電圧V1と電圧V2より小さいときは、バイアス信号BIAS_Mのレベルを増やすように(大きくなるように)制御される。
(b)バイアス信号BIAS_Mが電圧V1電圧とV2より大きいときは、バイアス信号BIAS_Mのレベルを減らすように(小さくなるように)制御される。
(c)バイアス信号BIAS_Mが電圧V1と電圧V2の間にあるときは、電圧V1と電圧V2の大小関係から電圧V1が電圧V2に近づくようにアナログ入力信号を制御するためのライズ信号RISEおよびフォール信号FALLが生成され、出力される。
【0025】
(a)と(b)の制御は、バイアス電圧BIAS_Mが電圧V1と電圧V2の間の値となるようにバイアス電圧BIAS_Mの制御が行われる。
(c)の制御は、入力アナログ波形の時間差ΔT=T2−T1離れた2点間の電圧が等しくなすように制御が行われる。
この場合、順次間欠的な比較が行われ、(a)〜(c)のいずれかの処理を繰り返すことで、電圧V1,電圧V2,バイアス電圧BIAS_Mの3つの電圧は等しい値に近づく。
【0026】
上記制御により、入力波形の高周波成分が不足しているときはV1<V2の関係に相当し、伝送路損失等に起因する高周波成分の補償がV1=V2となるまで行われる。
逆に、たとえば信号源のプリエンファシス等により高周波成分が過多となっている信号の場合、V1>V2の関係であり、V1=V2となるまで高周波成分の抑圧を行う。
【0027】
図1の回路で問題となっていたコンパレータのオフセットの問題、すなわち、電圧V1とV2のオフセットの問題は、バイアス信号BIAS_MとV1,BIAS_MとV2間にオフセットを生ずるが、V1−V2間のオフセット問題は解消される。
また、図1の回路で問題となっていた、比較結果取り込み時の電圧V1とV2のホールド時間の差に起因する問題、S/H回路のばらつきによる精度劣化は解消される。
すなわち、図2の回路では、バイアス信号BIAS_Mとの比較を行うことで、ホールド回路が不要となったため、問題とならない。
【0028】
<2.第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
図5(A)および(B)は、本第2の実施形態に係る信号制御装置の比較および制御処理を説明するための図である。
【0029】
本第2の実施形態に係る信号制御装置10Aが第1の実施形態に係る信号制御装置10と異なる点は、入力アナログ信号が差動信号WAVE+とWAVE-となっている点にある。
差動信号WAVE+とWAVE-は結合容量C11,C12を介してアンプ11の入力に供給される。
アンプ11の一方の入力端子は抵抗素子R11を介して基準電位VSSに接続され、他方の入力端子は抵抗素子R12を介してバイアス信号BIASが供給される。
【0030】
本信号制御装置10Aにおいて、図5(A)に示す差動信号WAVE+とWAVE-が入力されると、比較ラッチ回路12で図5(B)に示すように、クロック信号CLOCKの1周期目で第1の正側電圧V1+と第1の負側電圧V1-の電圧レベルの比較を行う。
信号制御装置10Aにおいては、比較ラッチ回路12でクロック信号CLOCKの2周期目で第2の正側電圧V2+と第2の負側電圧V2-の電圧レベルの比較を行う。
そして、比較結果をデジタル値に変換した信号が比較ラッチ回路(LTC)12から出力される。
ここで、第1の正側電圧V1+と第1の負側電圧V1-の比較結果をER、第2の正側電圧V2+と第2の負側電圧V2-の比較結果をLRとする。
ただし、V1+>V1-をハイ(High)、V2+>V2-をハイ(High)とし、その逆をロー(Low)とする。すなわち、V1+≦V1-をロー(Low)、V2+≦V2-をロー(Low)とする。
ラッチ(LTC)12の出力結果はコントローラ16Aで次のようにデジタル処理される。
【0031】
電圧V1+と電圧V1-の比較結果ERがHighで、電圧V2+と電圧V2-の比較結果LRがHighのとき、バイアス信号BIAS+を下げ、バイアス信号BIAS-を上げるよう動作し、ゲイン(GAIN)は変化しない。
電圧V1+と電圧V1-の比較結果ERがLowで、電圧V2+と電圧V2-の比較結果LRがLowのとき、バイアス信号BIAS+を上げ、バイアス信号BIAS-を下げるよう動作し、ゲイン(GAIN)は変化しない。
電圧V1+と電圧V1-の比較結果ERがHighで、電圧V2+と電圧V2-の比較結果LRがLowのとき、ゲイン(GAIN)を上げるよう動作し(フォール信号FALLをアクティブで出力し)、バイアス信号BIAS+とバイアス信号BIAS-は変化しない。
電圧V1+と電圧V1-の比較結果ERがLowで、電圧V2+と電圧V2-の比較結果LRがHighのとき、ゲイン(GAIN)を下げるよう動作し(ライズ信号RISEをアクティブで出力し)、バイアス信号BIAS+とバイアス信号BIAS-は変化しない。
【0032】
<3.第3の実施形態>
図6は、本発明の第3の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【0033】
本第3の実施形態に係る信号制御装置10Bは次のように構成されている。
信号制御装置10Bは、第2の実施形態に係る信号制御装置10Aを含むオートゲインコントロール(AGC : Automatic Gain Control)回路20と、AGC回路20の信号に応じて入力差動信号のゲインをコントロールするイコライザ(Equalizer)回路30を有する。
【0034】
この信号制御装置10Bは、信号伝送路TL1、TL2のISIから受けた入力信号をイコライザ(EQ)回路30で等化再生する機能を有する。
信号制御装置10は、イコライザ回路30の信号再生差動波形WAVE+, WAVE-を信号制御装置10Aで処理し、結果をリニアアンプ31およびHPF32を含む高域利得可変型イコライザ回路30のHPFの電流源に負帰還を掛けている。
【0035】
AGC回路20は、イコライザ回路30の出力信号からクロック信号CLOCKを形成し、信号制御装置10Aに供給するスライサ21を有する。
AGC回路20は、信号制御装置10Aのライズ信号RISEおよびフォール信号FALLに応じた信号をイコライザ回路30に出力するチャージポンプ(CP)22と、その出力ラインと基準電位VSSとの間に接続されたキャパシタC21を有する。
チャージポンプ22は、ダウン端子DOWNにライズ信号RISEが供給され、アップ端子UPにフォール信号FALLが供給される。
【0036】
図6のイコライザ回路30は、nチャネルMOS(NMOS)トランジスタNT31〜NT38、抵抗素子R31〜R35、キャパシタC31、およびバイアス電圧源V31を有する。
また、イコライザ回路30は、ノードND31〜ND38、信号ラインL31,L32を有する。
【0037】
抵抗素子R31の一端が電源電位VDDに接続され、他端が差動の信号伝送路TL1に接続され、その接続点によりノードND31が形成され、ノードND31が入力ノードとしてNMOSトランジスタNT31、NT35のゲートに接続されている。
抵抗素子R32の一端が電源電位VDDに接続され、他端が差動の信号伝送路TL2に接続され、その接続点によりノードND32が形成され、ノードND32が入力ノードとしてNMOSトランジスタNT33、NT37のゲートに接続されている。
抵抗素子R33の一端が電源電位VDDに接続され、他端が信号線L31およびNMOSトランジスタNT31のドレインに接続され、その選択点によりノードND33が形成されている。
抵抗素子R34の一端が電源電位VDDに接続され、他端が信号線L32およびNMOSトランジスタNT33のドレインに接続され、その選択点によりノードND34が形成されている。
【0038】
NMOSトランジスタNT31のソースがNMOSトランジスタNT32のドレインに接続され、その接続点によりノードND35が形成されている。
NMOSトランジスタNT33のソースがNMOSトランジスタNT34のドレインに接続され、その接続点によりノードND36が形成されている。
ノードND35とノードND36間にゲインを決めるための抵抗素子R35が接続されている。
NMOSトランジスタNT32およびNT34のソースは基準電位VSSに接続され、それらのゲートがバイアス電圧源V31に共通に接続されている。
NMOSトランジスタNT35のドレインがノードND33に接続された信号線L32に接続され、ソースがNMOSトランジスタNT37のドレインに接続され、その接続点によりノードND37が形成されている。
NMOSトランジスタNT37のドレインがノードND34に接続された信号線L31に接続され、ソースがNMOSトランジスタNT38のドレインに接続され、その接続点によりノードND38が形成されている。
ノードND37とノードND38間にキャパシタC31が接続されている。
NMOSトランジスタNT36およびNT38のソースは基準電位VSSに接続され、それらのゲートがAGC回路20のチャージポンプ22の出力信号S22の供給ラインに共通に接続されている。
【0039】
イコライザ回路30において、抵抗素子R33,R34,R35、NMOSトランジスタNT31〜NT34によりリニアアンプ31が形成されている。
イコライザ回路30において、抵抗素子R33,R34、NMOSトランジスタNT35〜NT38、およびキャパシタC31によりHPF(ハイパスフィルタ)が形成されている。
【0040】
この信号制御装置10Bにおいては、高周波成分にのみゲインを持ち、AGC回路20の出力信号S22がHPF32に帰還されて伝送路の高周波のピーキングを制御するように構成されている。
【0041】
信号制御装置10Bにおいては、一連の動作でイコライザ回路30のゲインをコントロールし、電圧V1+と電圧V1-の差ΔV1および電圧V2+と電圧V2-の差ΔV2が0Vになるよう帰還がかかる。
制御ループが収束し定常状態に達したとき、差ΔV1と差ΔV2は共に0Vになり、差動信号WAVE+とWAVE-が完全な対称波形であればV1とV2は同電位になるため、イコライザ回路30のゲインは最適値になる。
【0042】
前述した本第1の実施形態の信号制御装置の動作原理によれば、図5(A)および(B)に示した、差動信号WAVE+とWAVE-が、図4の装置に入力された際に、LTC12内でサンプリングポイント電圧V2+とV2-の比較動作を行う。
その差分電圧(ΔV2)に応じて、図4の装置のBIAS電圧を決め、差動信号の片方たとえば、WAVE-のDC電圧レベルを上下に制御する。
この制御動作は、差ΔV2が小さくなる方向に負帰還動作のため、制御ループが収束し定常状態にあるときには、ΔV2が本実施形態の比較精度以内にあって、信号振幅と比べて、十分に小さければ、電圧V2+と電圧V2-はほぼ同じ電圧を示す。
【0043】
電圧V2+とV2-は、差動信号WAVE+とWAVE-に対してのレイト(LATE)サンプリングポイントの電圧なので、差動信号WAVE+とWAVE-のエッジより後れた時点での電圧情報を採取することになる。
一つの高速信号のパルスに絞って考えたときに、エッジより後れれば後れるほど、高周波劣化が少なく、低周波情報が多く含まれるため、電圧V2+とV2-がサンプリングポイントの設定によってDC近くの電圧成分として、引き出すことが可能である。
【0044】
前述の負帰還ループの結果、バイアス信号BIASによる差動信号の片方のDCレベル制御によって、V2+とV2-の電圧が等しくなる。
したがって、BIAS電圧は、差動信号のロー(Low)レベルの電圧とハイ(High)レベルの電圧の差分を表すことを意味し、つまり信号の振幅情報である。
【0045】
<4.第4の実施形態>
図7は、本発明の第4の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【0046】
本第4の実施形態に係る信号制御装置10Cは次のように構成されている。
すなわち、信号制御装置10Cは、アンプ11の一方の入力端子は抵抗素子R11を介して基準電位VSSではなく電圧源V11に接続され、バイアス信号BIASを差動電圧として表現したものである。
バイアス信号BIAS+とBIAS-は、それぞれWAVE+とWAVE-へのDCレベル制御電圧であり、バイアス信号BIAS+とBIAS-の差分電圧は、差動信号WAVEの振幅に等しい。
【0047】
<5.第5の実施形態>
図8は、本発明の第5の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【0048】
本第5の実施形態に係る信号制御装置10Dが第3の実施形態に係る信号制御装置10Bと異なる点は、イコライザ回路30Aのリニアアンプ31Aの振幅調整機能を付加したことにある。
【0049】
この信号制御装置10Dは、第3の実施形態と同様に、信号伝送路TL1、TL2のISIから受けた入力信号をイコライザ(EQ)回路30で等化再生する機能を有する。
信号制御装置10は、イコライザ回路30の信号再生差動波形WAVE+, WAVE-を信号制御装置10Aで処理し、結果をリニアアンプ31およびHPF32を含む高域利得可変型イコライザ回路30のHPFの電流源に負帰還を掛けている。
そして、本信号制御装置10Dは、たとえば第4の実施形態と同様なバイアス信号BIAS+とBIAS-に応じた制御信号Gを生成して、イコライザ回路30Dのリニアアンプ31Dの電流源に供給する制御信号生成回路としての電圧電流生成回路40を有する。
【0050】
電圧電流生成回路40は、電流源I41〜I44、抵抗素子R41〜R43、オペアンプ41、NMOSトランジスタNT41、およびノードND41を有する。
電流源I41とI42は電源電位VDDと基準電位VSSとの間に直列に接続され、電流源I41とI42の接続点によりノードND41が形成されている。
電流源I43は電源電位VDDと抵抗素子R43の一端との間に接続され、その接続点によりノードND42が形成されている。
抵抗素子R43の他端と基準電位VSSに接続された電流源I44が接続され、その接続点によりノードND43が形成されている。
抵抗素子R41の一端がバイアス信号BIAS+の供給ラインに接続され、他端がノードND42に接続されている。
抵抗素子R42の一端がバイアス信号BIAS-の供給ラインに接続され、他端がノードND41に接続されている。
オペアンプ41の非反転入力端子(+)がノードND41に接続され、反転入力端子(−)がノードND43に接続され、出力端子がNMOSトランジスタNT41のドレインおよびゲートに接続され、その接続点によりノードND44が形成されている。
NMOSトランジスタNT41のソースは基準電位VSSに接続されている。
【0051】
このような構成を有する電圧電流生成回路40、ノードND44がイコライザ回路30Dのリニアアンプ31Dの電流源を形成するNMOSトランジスタNT32,NT34のゲートに接続されている。
すなわち、電圧電流生成回路40の出力段のNMOSトランジスタNT41とイコライザ回路30DのNMOSトランジスタNT32,NT34によりカレントミラー回路が形成される。
【0052】
図9は、本第5の実施形態に係る電圧電流生成回路のより具体的な回路例の一つを示す図である。
【0053】
図9の電圧電流生成回路40Aは、理解を容易にするために図8と同一構成部分は同一符号をもって表している。
電圧電流生成回路40Aは、オペアンプ41の出力側にアンプ42、および出力バッファ43を有する。
【0054】
オペアンプ41は、差動対を生成するNMOSトランジスタNT42,NT43、電流源I45、負荷を形成するpチャネル(PMOS)トランジスタPT41,PT42を含んで構成されている。
NMOSトランジスタNT42のゲートがノードND43に接続され、NMOSトランジスタNT43のゲートがノードND41に接続されている。
NMOSトランジスタNT42のドレインと負荷としてのPMOSトランジスタPT41のドレインおよびゲートに接続され、その接続点によりノードND45が形成されている。
NMOSトランジスタNT43のドレインと負荷としてのPMOSトランジスタPT42のドレインおよびゲートに接続され、その接続点によりノードND46が形成されている。
【0055】
アンプ42は、PMOSトランジスタPT43,PT44、およびNMOSトランジスタNT44,NT45を有する。
PMOSトランジスタPT43のゲートがオペアンプ41のノードND45に接続され、PMOSトランジスタPT44のゲートがオペアンプ41のノードND46に接続されている。
PMOSトランジスタPT43のソースが電源電位VDDに接続され、ドレインがNMOSトランジスタNT44のドレインに接続され、その接続点によりノードND47が形成されている。
ノードND47とオペアンプ41のNMOSトランジスタNT43のゲートおよびノードND41との間に抵抗素子R45およびキャパシタC41が直列に接続されている。
PMOSトランジスタPT44のソースが電源電位VDDに接続され、ドレインがNMOSトランジスタNT45のドレインに接続され、その接続点によりノードND48が形成されている。
ノードND48がNMOSトランジスタNT44,NT45のゲートに接続されている。
NMOSトランジスタNT44,NT45のソースが基準電位VSSに接続されている。
【0056】
出力バッファ43は、PMOSトランジスタPT45、NMOSトランジスタNT41,NT46、抵抗素子R45、およびキャパシタC42を有する。
PMOSトランジスタPT45のゲートがアンプ42のノードND47に接続されている。
PMOSトランジスタPT45のソースが電源電位VDDに接続され、ドレインがNMOSトランジスタNT41のドレインに接続され、その接続点によりノードND44が形成されている。
ノードND44はNMOSトランジスタNT41,NT46のゲートに接続されている。
NMOSトランジスタNT46のドレインは抵抗素子R45の一端およびキャパシタC42の一端に接続され、その接続点によりノードND49が形成されている。
抵抗素子R45の他端およびキャパシタC42の他端は電源電位VDDに接続されている。
【0057】
このような構成を有する電圧電流生成回路40Aにおいては、抵抗値R1の抵抗素子R43の両端に電流I1を流すことによってVst=R1*I1の電圧を生成する。
この電圧Vstをイコライザ回路30Dの出力DC振幅目標値として設定すれば、バイアス信号BIAS+とBIAS-の差分がVstになるよう、制御機構が働き、その結果を差電流(I0)として表す。
【0058】
図8の差電流(I0)は上述したように、カレントミラーなどによって、高域利得可変型イコライザ回路30Dのリニアアンプ31Dのバイアス電流としての適用が可能である。
バイアス電流(I0)の変化で、リニアアンプ31Dのトランスコダクタンスgmが可変となり、アナログ信号WAVE+, WAVE-の振幅が変化する。
【0059】
たとえば、ある時点において、アナログWAVE+とWAVE-の振幅がA0とする。図7の信号制御装置10Cの動作結果によれば、バイアス信号BIAS+とBIAS-の差分がA0出力となる。
A0の値が電圧Vstより大きければ、制御電流I0が小さくなり、その結果、信号WAVE+, WAVE-の振幅がA1となる。本実施形態の信号制御装置10Cの動作結果によって、バイアス信号BIAS+とBIAS-の差分がA1出力となる。
もし、A1<Vstである場合、制御電流I0が小さい方向に下がり続ける。
A1>Vstである場合、制御電流I0が大きい方向に上がり続ける。
【0060】
回路が平衡状態となる時定数に相当する時間が経過すれば、信号WAVE+とWAVE-が振幅設定値Vstに収束し、ある電圧範囲内に安定する。
このように、本実施形態では、不定の入力振幅を一定の出力振幅に安定させるようなAGC回路として機能する。
【0061】
<6.第6の実施形態>
図10は、本発明の第6の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【0062】
本第6の実施形態に係る信号制御装置10Eが第5の実施形態に係る信号制御装置10Dと異なる点は、次のとおりである。
信号制御装置10Eは、バイアス電流I0を可変させて出力振幅を変えるのではなく、イコライザ回路30E内のリニアアンプ31Eの差動回路内差動対トランジスタNT31,NT33のソース間抵抗R35をNMOS(M0)抵抗に置き換えたものである。
なお、図10では、AGC回路の部分は省略してある。
【0063】
たとえば、図9の回路の制御電圧Yによって、MOSトランジスタM0のチャネル抵抗値が可変できる。
対GND電圧Yが低ければ、MOSトランジスタMOのチャネル抵抗値が大きくなり、リニアアンプ31Eの利得が下がって、信号WAVE+とWAVE-の振幅が小さくなる。
逆に、対GND電圧Yが高ければ、MOSトランジスタM0のチャンネル抵抗が小さくなり、リニアアンプ31Eの利得が上がって、信号WAVE+とWAVE-の振幅が大きくなる。
【0064】
図8と同様に、回路が平衡状態となる時定数に相当する時間が経過すれば、信号WAVE+とWAVE-が振幅設定値Vstに収束し、ある電圧範囲内に安定するのである。
【0065】
<7.第7の実施形態>
図11は、本発明の第7の実施形態に係る信号制御装置の構成例を示す図である。
【0066】
本第7の実施形態に係る信号制御装置10Fが第4の実施形態に係る信号制御装置10Cと異なる点は、差動信号WAVE+とWAVE-の入力端子に並列に量子化帰還コンパレータ(QFB ; Quantized feedback comparator)回路50が接続されている点にある。
【0067】
DCオフセットが混入した高速差動信号を伝送する際には、差動信号のクロスポイントが振幅センタからずれる問題が起きる。
その結果、信号ジッタが増大し、最悪な場合にはビット・エラーを生じる。
これに対して、データ信号に含まれるDCオフセットを除去して直流再生する方法として、量子化帰還による補償が一般的である。
DCオフセットの混在した入力差動信号の振幅情報を抽出して、その振幅に量子化帰還出力振幅を追従させて、入力信号からDCオフセット成分を除去する方法等が適用可能である。
【0068】
図12は、QFB回路50の構成例を示す回路図である。
なお、この場合も図8と同様の構成の電圧電流生成回路40Fが用いられている。
この電圧電流生成回路40Fは制御信号GをQFB回路50に供給するが、その構成は図8と同様であることから、その詳細な説明は省略する。
【0069】
QFB回路50は、入力部51、リニアアンプ52、電圧電流変換部53、ソースフォロワー回路54、差動アンプ55、出力バッファ部56、フィルタ部57、バイアス電圧源V51,V52を有する。
【0070】
入力部51は、抵抗素子R51〜R53、キャパシタC51、C52、NMOSトランジスタNT51,NT52、ノードND51,ND52を有する。
NMOSトランジスタNT51のドレインが電源電位VDDに接続され、ソースがNMOSトランジスタNT52のドレイン、抵抗素子R52の一端、抵抗素子R53の一端に接続されている。
抵抗素子R51の一端が電源電位VDDに接続され、他端がNMOSトランジスタNT51のゲートに接続されている。
NMOSトランジスタNT52のソースが基準電位VSSに接続され、ゲートがバイアス電源V51に接続されている。
キャパシタC51の一端が差動信号WAVE+の供給ラインに接続され、他端が抵抗素子R52の他端に接続され、その接続点によりノードND51が形成されている。
キャパシタC52の一端が差動信号WAVE-の供給ラインに接続され、他端が抵抗素子R53の他端に接続され、その接続点によりノードND52が形成されている。
抵抗素子R52とキャパシタC51、抵抗素子R53とキャパシタC52によりHPFが形成される。
【0071】
リニアアンプ52は、抵抗素子R54〜R56、NMOSトランジスタNT53〜NT56を有する。
抵抗素子R54の一端が電源電位VDDに接続され、他端がNMOSトランジスタNT53のドレインに接続され、その接続点によりノードND53が形成されている。
NMOSトランジスタNT53のソースがNMOSトランジスタNT54のドレインに接続され、その接続点によりノードND54が形成されている。NMOSトランジスタNT54のソースは基準電位VSSに接続されている。
抵抗素子R55の一端が電源電位VDDに接続され、他端がNMOSトランジスタNT55のドレインに接続され、その接続点によりノードND55が形成されている。
NMOSトランジスタNT55のソースがNMOSトランジスタNT56のドレインに接続され、その接続点によりノードND56が形成されている。NMOSトランジスタNT56のソースは基準電位VSSに接続されている。
ノードND54とノードND56間に抵抗素子R56が接続されている。
NMOSトランジスタNT53のゲートが入力部51のノードND51に接続され、NMOSトランジスタNT55のゲートが入力部51のノードND52に接続されている。
NMOSトランジスタNT54とNT56のゲートがバイアス電圧源V51に接続されている。
【0072】
電圧電流変換部53は、NMOSトランジスタNT57〜NT60、および抵抗素子R57を有する。
NMOSトランジスタNT57のドレインがリニアアンプ52のノードND53に接続され、ソースがNMOSトランジスタNT58のドレインに接続され、その接続点によりノードND57が形成されている。NMOSトランジスタNT58のソースは基準電位VSSに接続されている。
NMOSトランジスタNT59のドレインがリニアアンプ52のノードND55に接続され、ソースがNMOSトランジスタNT60のドレインに接続され、その接続点によりノードND58が形成されている。NMOSトランジスタNT60のソースは基準電位VSSに接続されている。
NMOSトランジスタNT57,NT59のゲートはフィルタ部57の出力に接続されている。
NMOSトランジスタNT58とNT60のゲートがバイアス電圧源V51に接続されている。
【0073】
ソースフォロワー回路54は、NMOSトランジスタNT61〜NT64を有する。
NMOSトランジスタNT61のドレインが電源電位VDDに接続され、ソースがNMOSトランジスタNT62のドレインに接続され、その接続点によりノードND59が形成されている。NMOSトランジスタNT62のソースが基準電位に接続されている。
NMOSトランジスタNT61のゲートがノードND53に接続されている。
NMOSトランジスタNT63のドレインが電源電位VDDに接続され、ソースがNMOSトランジスタNT64のドレインに接続され、その接続点によりノードND60が形成されている。NMOSトランジスタNT64のソースが基準電位に接続されている。
NMOSトランジスタNT63のゲートがノードND55に接続されている。
NMOSトランジスタNT62とNT64のゲートがバイアス電圧源V51に接続されている。
【0074】
差動アンプ55は、NMOSトランジスタNT65〜NT67、および抵抗素子R58,R59を有する。
抵抗素子R58の一端が電源電位VDDに接続され、他端がNMOSトランジスタNT65のドレインに接続され、その接続点によりノードND61が形成されている。
抵抗素子R59の一端が電源電位VDDに接続され、他端がNMOSトランジスタNT66のドレインに接続され、その接続点によりノードND62が形成されている。
NMOSトランジスタNT65とNT66のソースは電流源としてのNMOSトランジスタNT67のドレインに接続され、ソースが基準電位VSSに接続されている。
NMOSトランジスタNT65のゲートがソースフォロワー回路54のノードND59に接続され、NMOSトランジスタNT66のゲートがソースフォロワー回路54のノードND60に接続されている。
そして、電流源としてのNMOSトランジスタNT67のゲートが電圧電流生成回路40Fの制御信号Gの供給ラインに接続されている。
【0075】
出力バッファ部56は、NMOSトランジスタNT68〜NT64を有する。
NMOSトランジスタNT68のドレインが電源電位VDDに接続され、ソースがNMOSトランジスタNT69のドレインに接続され、その接続点によりノードND63が形成されている。NMOSトランジスタNT69のソースが基準電位に接続されている。
NMOSトランジスタNT68のゲートがノードND61に接続されている。
NMOSトランジスタNT70のドレインが電源電位VDDに接続され、ソースがNMOSトランジスタNT71のドレインに接続され、その接続点によりノードND64が形成されている。NMOSトランジスタNT71のソースが基準電位に接続されている。
NMOSトランジスタNT70のゲートがノードND62に接続されている。
NMOSトランジスタNT69とNT71のゲートがバイアス電圧源V52に接続されている。
ノードND63から信号Y+が出力され、また、ノードND63はフィルタ部57を通してNMOSトランジスタNT59のゲートに接続されている。
ノードND64から信号Y-が出力され、また、ノードND64はフィルタ部57を通してNMOSトランジスタNT57のゲートに接続されている。
【0076】
フィルタ部57は、抵抗素子R60,R61、およびキャパシタC53を有する。
抵抗素子R60の一端がノードND63に接続され、他端がNMOSトランジスタNT59のゲートに接続されている。
抵抗素子R61の一端がノードND64に接続され、他端がNMOSトランジスタNT57のゲートに接続されている。
そして、抵抗素子R60の他端と抵抗素子R61の他端間にキャパシタC53が接続されている。
このように、フィルタ部57は、ローパスフィルタ(LPF)を有している。
【0077】
本実施形態においては、入力差動信号の正負信号WAVE+とWAVE-間にDCオフセットが混在した際に、入力差動信号の振幅情報を図7のようにバイアス信号BIAS+とBIAS−の差分として抽出する。
そして、電圧電流変換、電流の出力振幅変換によって、入力振幅に量子化帰還出力振幅を追従させて、入力信号からDCオフセット成分を除去したY+とY−信号を出力する。
【0078】
<8.第8の実施形態>
図13は、本発明の実施形態に係る信号制御装置を液晶表示装置(LCD)のソースドライバ(SD)に応用した構成例を示す図である。
図14は、図13の装置の動作を説明するための図である。
【0079】
[LCD-SDへの応用]
この表示装置100は、グラフィクスエンジン(GE)110、オーバードライブ(OD)120、タイミングコントローラ(TCON)130、ソースドライバ(SD)140、LCD150、および信号制御装置160を有する。
信号制御装置160は、本実施形態に係る第1〜第7の信号制御装置を適用可能である。
【0080】
大型LCD150のソースドライバ(SD)140は、LCD150のソース線に寄生する大容量を高速に駆動する必要がある。
そのため、そのセトリングを改善するために、グラフィクスエンジン(GE)110から出力された信号がオーバードライブ(OD)120処理で加工されたデータがタイミングコントローラ(TCON)130を介してSD140に分配されている。
OD処理はLCDソース線のローパス特性を補正するもので、特性がマッチしていなければ図14(A)に示すようにセトリングが間にあわなかったり、図14(B)に示すようにオーバーシュートが生じたりして表示画像の品位が低下する。
【0081】
LCD150が画像を表示しないVブランク期間中に一定の変化パターンでソース電位駆動を繰り返す。そして、駆動電圧遷移から一定時間後のソース電位の時間差分を本実施形態に係る信号制御装置160で検出してそれがゼロになるようにOD処理のパラメータにフィードバックをかける。
たとえば、図14(A)のように時間差分が正であればセトリングが遅い状態なのでOD処理のエッジ強調パラメータを大きくしてSDに与えるデータの変化をより急峻にする。
図14(B)中のように差分が負であればオーバーシュートが生じているのでエッジ強調パラメータを小さくしてSDデータの変化をより緩慢にする。
このような差分の観測とパラメータの調整を繰り返す。
これにより、パラメータは、図14(C)のようなオーバーシュートの無い最速のセトリングでソース線を駆動する値に収束し、Vブランク終了後にそのパラメータでOD処理をして画像表示することで高品位の表示が実現する。
【0082】
本発明の実施形態によるOD処理パラメータ調整機構は工場出荷時にLCDパネルの固有特性にあわせてパラメータを書き換える調整工程を不要にする。
さらに、LCDの動作環境温度が変化してソース線の抵抗や容量が変動しても常に最適のOD処理を行うことが可能になる。
【0083】
<9.第9の実施形態>
図15は、本発明の実施形態に係る信号制御装置を極大・極小値検出回路に応用した構成例を示す図である。
図16は、図15の回路の動作波形例を示す図である。
【0084】
[極大・極小値検出回路への応用]
図16に示すような繰り返し波形を図15のようにコンパレータ60とデジタル遅延線(DDL)70を介して本実施形態に係る信号制御装置10G(10,10A〜F)に入力する。
そして、DDL70の遅延量を本信号制御装置発明の回路の出力によってアップダウンされるカウンター80で操作すると、繰り返し波形の極値を検出してBIAS出力から得ることができる。
【0085】
たとえばDDL70が速いサンプルと遅いサンプルをT3とT4で拾うような遅延量になっていると勾配は正なのでカウンターにはUPがかかってDDL70の遅延は増える。
これはDDL70の遅延が増えて勾配のないT5とT6がサンプルされるようになるまで繰り返される。
【0086】
逆にT7とT8でサンプルされるような状態ではカウンター80にはダウンがかかってDDLの遅延は減らされ、やはりT5とT6がサンプリングされる状態へ推移していく。
これらの過程でバイアス信号BAISの値はサンプル値の間になるように制御されるから、結果として収束状態でのBIAS出力はこの繰り返し波形の極大値に等しくなる。
【0087】
図15の信号制御装置検出回路とカウンターの接続を反転して破線のようにすればDDL70の遅延の変化は逆向きになりT1とT2をサンプリングする状態に収束する。このときBIASの値は繰り返し波形の極小値に等しくなる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
トリガー点T1の電圧V1とトリガー点T2の電圧V2を一致させる精度が向上する。
(1) バイアス信号BIASと電圧V1、V2の間にはオフセットは発生するが、電圧V1とV2の間にはオフセットは生じないため、電圧V1とV2の一致精度が高まる。
(2) 応用例のように波形の位相をずらした点の電圧比較を行う場合は、従来回路と違いS/H回路を使用しなくてもよいためホールド時間の違いによる精度の劣化がない。
(3) 応用例のように波形の位相をずらした点の電圧比較を行う場合は、従来回路と違いS/H回路を使用しなくてもよいため、そのばらつきによる精度の劣化がない。
【符号の説明】
【0089】
10,10A〜10G,160・・・信号制御装置、11・・・アンプ、12・・・比較ラッチ回路(LTC)、13・・・遅延回路(DLY)、14・・・分周回路(TFF)、15・・・選択回路(SEL)、16・・・コントローラ(CTRL)、17・・・デジタルアナログ変換器(DAC)、20・・・AGC回路、30,30D・・・イコライザ回路,40,40A,40F・・・電圧電流生成回路、50・・・QFB回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号のトリガー点が異なる複数の電圧と可変のバイアス信号とを順次間欠的に比較する比較部と、
上記比較部の比較結果に応じて上記バイアス信号、並びに、上記入力信号を制御するための入力信号制御信号を生成する機能を有する制御部と、を有し、
上記制御部は、
上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧より小さいときは上記バイアス電圧の値を大きくするように制御し、
上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧より大きいときは上記バイアス電圧の値を小さくするように制御し、
上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧の間にあるときは、前のトリガー点の電圧が後のトリガー点の電圧に近づくように上記入力信号制御信号を生成する
信号制御装置。
【請求項2】
上記入力信号は一定の周期で繰り返すアナログ信号波形であり、
上記比較部は、
上記アナログ信号に同期するクロック信号を第1のトリガー点として、当該第1のトリガー点での第1の電圧と上記バイアス信号の比較、並びに、上記第1のトリガー点から位相をずらした第2のトリガー点での第2の電圧と上記バイアス信号の比較を行い、
上記制御部は、
上記バイアス電圧が上記第1の電圧および第2の電圧より小さいときは上記バイアス電圧の値を大きくするように制御し、
上記バイアス電圧が上記第1の電圧および第2の電圧より大きいときは上記バイアス電圧の値を小さくするように制御し、
上記バイアス電圧が上記第1の電圧と上記第2の電圧との間にあるときは、上記第1の電圧が上記第2の電圧に近づくように上記入力信号制御信号を生成する
請求項1記載の信号制御装置。
【請求項3】
上記制御部は、
上記バイアス電圧が上記第1の電圧および第2の電圧より小さいとき、または大きいときは、上記バイアス電圧が上記第1の電圧と上記第2の電圧の間の値となるように制御し、
上記バイアス電圧が上記第1の電圧と上記第2の電圧との間にあるときは、上記第1の電圧が上記第2の電圧が等しくなるように上記入力信号制御信号を生成する
請求項1または2記載の信号制御装置。
【請求項4】
上記制御部は、
上記バイアス電圧と上記第1の電圧および第2の電圧との比較結果に応じた制御を、上記バイアス電圧と上記第1の電圧および第2の電圧の値が近づくように繰り返し行う
請求項1から3のいずれか一に記載の信号制御装置。
【請求項5】
上記入力信号制御信号に応じて、上記入力信号のゲインを制御して上記比較部に供給するイコライザ回路を有する
請求項1から4のいずれか一に記載の信号制御装置。
【請求項6】
上記入力信号および上記バイアス信号は正負の差動信号であり、
上記比較部は、
上記アナログ信号に同期するクロック信号を第1のトリガー点として、当該第1のトリガー点での第1の正側電圧と第1の負側電圧の比較、並びに、上記第1のトリガー点から位相をずらした第2のトリガー点での第2の正側電圧と第2の負側電圧の比較を行い、
上記制御部は、
上記第1の正側電圧が上記第1の負側電圧より小さく、上記第2の正側電圧が上記第2の負側電圧より小さいとき、正側バイアス信号の値を上げ、負側バイアス信号の値を下げるように制御し、
上記第1の正側電圧が上記第2の負側電圧より大きく、上記第2の正側電圧が上記第2の負側電圧より小さいとき、上記正側バイアス信号および負側バイアス信号は変化させずに、ゲインを下げるように上記入力信号制御信号を生成し、
上記第1の正側電圧が上記第2の負側電圧より小さく、上記第2の正側電圧が上記第2の負側電圧より大きいとき、上記正側バイアス信号および負側バイアス信号は変化させずに、ゲインを上げるように上記入力信号制御信号を生成する
請求項5記載の信号制御装置。
【請求項7】
上記イコライザ回路は、
上記差動入力信号を所定の利得をもって増幅するリニアアンプと、
上記リニアアンプの出力信号の高周波成分を制御するハイパスフィルタと、を含み、
上記リニアアンプは、
上記差動入力信号が受ける差動対トランジスタと、
上記差動対トランジスタの電流源と、
上記差動対トランジスタの電流源との接続端子間に接続された利得を決めるための抵抗素子と、を含み、
上記ハイパスフィルタは、
上記リニアアンプの差動出力を受ける差動対トランジスタと、
上記差動対トランジスタに接続された電流源トランジスタと、
上記差動対トランジスタの電流源との接続端子間に接続されたキャパシタと、を含み、
上記電流源トランジスタの制御端子に、上記入力信号制御信号に応じた制御信号が帰還される
請求項6記載の信号制御装置。
【請求項8】
上記差動バイアス信号に応じた制御信号を生成する信号生成回路を含み、
上記リニアアンプは、
上記電流源がトランジスタにより形成され、
当該電流源トランジスタの制御端子に上記信号生成回路で生成された制御信号が供給される
請求項7記載の信号制御装置。
【請求項9】
上記差動バイアス信号に応じた制御信号を生成する信号生成回路を含み、
上記リニアアンプは、
上記抵抗素子が、制御端子に供給される制御信号のレベルに応じて抵抗値が変化するトランジスタにより形成され、
当該抵抗素子としてのトランジスタの制御端子に上記信号生成回路で生成された制御信号が供給される
請求項7記載の信号制御装置。
【請求項10】
上記差動入力信号が入力される量子化帰還コンパレータ回路を含み、
上記量子化帰還コンパレータ回路は、
上記差動入力信号の振幅情報を上記正側バイアス信号と上記負側バイアス信号の差分として抽出し、電圧電流変換、電流の出力振幅変換によって、入力振幅に量子化帰還出力振幅を追従させて、差動入力信号からDCオフセット成分を除去した差動信号を出力する機能を有する
請求項6から9のいずれか一に記載の信号制御装置。
【請求項11】
上記差動バイアス信号に応じた制御信号を生成する信号生成回路を含み、
上記量子化帰還コンパレータ回路は、
差動入力信号からDCオフセット成分を除去した差動信号を受ける差動アンプを含み、
上記差動アンプは、
上記DCオフセット成分を除去した差動信号を受ける差動対トランジスタと、
上記差動対トランジスタに接続された電流源トランジスタと、を含み、
当該電流源トランジスタの制御端子に上記信号生成回路で生成された制御信号が供給される
請求項10記載の信号制御装置。
【請求項12】
入力信号のトリガー点が異なる複数の電圧と可変のバイアス信号とを順次間欠的に比較する比較ステップと、
上記比較ステップの比較結果に応じて上記バイアス信号、並びに、上記入力信号を制御するための入力信号制御信号を生成する制御ステップと、を有し、
上記制御ステップにおいて、
上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧より小さいときは上記バイアス電圧の値を大きくするように制御し、
上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧より大きいときは上記バイアス電圧の値を小さくするように制御し、
上記バイアス電圧が上記トリガー点の異なる複数の電圧の間にあるときは、前のトリガー点の電圧が後のトリガー点の電圧に近づくように上記入力信号制御信号を生成する
信号制御方法。
【請求項13】
上記入力信号は一定の周期で繰り返すアナログ信号波形であり、
上記比較ステップにおいては、
上記アナログ信号に同期するクロック信号を第1のトリガー点として、当該第1のトリガー点での第1の電圧と上記バイアス信号の比較、並びに、上記第1のトリガー点から位相をずらした第2のトリガー点での第2の電圧と上記バイアス信号の比較を行い、
上記制御ステップにおいては、
上記バイアス電圧が上記第1の電圧および第2の電圧より小さいときは上記バイアス電圧の値を大きくするように制御し、
上記バイアス電圧が上記第1の電圧および第2の電圧より大きいときは上記バイアス電圧の値を小さくするように制御し、
上記バイアス電圧が上記第1の電圧と上記第2の電圧との間にあるときは、上記第1の電圧が上記第2の電圧に近づくように上記入力信号制御信号を生成する
請求項12記載の信号制御方法。
【請求項14】
上記入力信号および上記バイアス信号は正負の差動信号であり、
上記比較ステップにおいては、
上記アナログ信号に同期するクロック信号を第1のトリガー点として、当該第1のトリガー点での第1の正側電圧と第1の負側電圧の比較、並びに、上記第1のトリガー点から位相をずらした第2のトリガー点での第2の正側電圧と第2の負側電圧の比較を行い、
上記制御ステップにおいては、
上記第1の正側電圧が上記第1の負側電圧より小さく、上記第2の正側電圧が上記第2の負側電圧より小さいとき、正側バイアス信号の値を上げ、負側バイアス信号の値を下げるように制御し、
上記第1の正側電圧が上記第2の負側電圧より大きく、上記第2の正側電圧が上記第2の負側電圧より小さいとき、上記正側バイアス信号および負側バイアス信号は変化させずに、ゲインを下げるように上記入力信号制御信号を生成し、
上記第1の正側電圧が上記第2の負側電圧より小さく、上記第2の正側電圧が上記第2の負側電圧より大きいとき、上記正側バイアス信号および負側バイアス信号は変化させずに、ゲインを上げるように上記入力信号制御信号を生成する
請求項12または13記載の信号制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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