説明

信号変換装置およびプログラム

【課題】全ての画像のコントラストを強めるために丸め込み処理後の他の画像の残存を許容する場合に、残存量を制御しつつ、その範囲内で最大のコントラストをとる変換係数を自動的に決定すること。
【解決手段】拡張テーブル生成部11は、複数の入力信号が取り得る組み合わせ範囲を制約するテーブルX′′を拡張した拡張テーブルX′を生成する。最大・最小輝度検出部13は、一様信号が拡張テーブルX′の範囲に接する接点を抽出する。最大・最小輝度検出部12は、入力信号について前記接点に対応する特異点を検出する。変換係数決定部14は、前記特異点を前記接点にマッピングしてDR変換部15の変換係数を決定する。入力信号g1,g2,sは、DR変換部15でDR変換され、さらに丸め込み処理部16で丸め込み処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号変換装置およびプログラムに関し、特に、取り得る組み合わせの範囲が制約された複数の信号を、それらのダイナミックレンジが変換された信号の組み合わせに変換する信号変換装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
信号における差分を知覚しやすくするために、そのダイナミックレンジを変換することが行われる。例えば、自然画像の場合、そのダイナミックレンジを広くする処理を加えれば、コントラストの強い画像に変更できる。取り得る組み合わせの範囲が制約された複数の信号に対するダイナミックレンジの変換は、例えば、割符画像の生成の際などで行われる。
【0003】
割符画像とは、その複数枚を画素ごとに演算あるいは光学的に重畳することで秘密画像を復号できるものを意味する。つまり、割符画像とは、一枚または所定枚数に満たない枚数の割符画像からは秘密画像が復号されないが、所定枚数の割符画像を互いの画素位置を合わせて重畳すると、秘密画像が復号されるものである。
【0004】
図5は、割符画像の重畳による秘密画像の復号を概念的に示す説明図である。同図に示すように、例えば、割符画像W1,W2,・・・,Wnが黒画素を0、白画素を1として擬似濃淡表現されている場合、これらの割符画像W1,W2,・・・,Wnの複数枚を画素ごとに演算(AND,OR,NORあるいはXORなど)あるいは光学的に重畳して重畳画像(復号画像)Tを生成する。秘密画像Sは、重畳画像Tとして復号される。
【0005】
従来の割符画像生成手法は、画素配置決定部だけを用いる手法、輝度変更部と画素配置決定部を用いる手法に大別でき、本発明での手法は後者に属する。
【0006】
非特許文献1、2には、輝度変更部と画素配置決定部を用いて割符画像を生成する手法が記載されている。この手法は、割符用原画像と秘密画像が共にグレースケール画像である場合を主な対象とし、割符画像および重畳画像としてグレースケール画像を擬似濃淡表現することを意図している。この手法によれば、重畳画像上で割符画像を見えにくくすることができ、割符画像を自然画像とすることができる。また、秘密画像を自然画像とし、それを良好に復号できるが、そのためには、輝度変更処理を行って、割符用原画像および秘密画像のダイナミックレンジを画像全体に渡ってある程度保つ必要がある。
【0007】
図6は、輝度変更部と画素配置決定部を用いて割符画像を生成する従来構成を示すブロック図である。同図には割符用原画像G1,G2,・・・,Gn、割符画像W1,W2,・・・,Wnを図示しているが、以下では、割符用原画像をG1,G2、秘密画像をSとし、それらの画像を元に割符画像W1,W2を生成する場合を例にあげて説明する。また、画像を大文字で示し、各画像の輝度(画素値)を小文字で示すこととする。
【0008】
まず、割符用原画像G1,G2および秘密画像Sを輝度変換部51に入力する。輝度変換部51は、ダイナミックレンジ(DR)変換部511と丸め込み処理部512を有し、入力された割符用原画像G1,G2および秘密画像Sに対してそれぞれDR変換および丸め込み処理を適用し、割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′を出力する。輝度変換部51はDR変換部のみを有し、丸め込み処理部を有しない場合もある。
【0009】
画素配置決定部52は、割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′を入力とし、割符画像W1,W2を生成する。ここでは、割符画像W1,W2がグレースケール(多値)の割符生成用原画像G1′′,G2′′に近い擬似濃淡表現の画像となるように、また、割符画像W1,W2の組み合わせによる重畳画像Tにローパスフィルタ(人の視覚特性)を適用した場合に、グレースケール(多値)の割符生成用秘密画像S′′に近い擬似濃淡表現の画像が復号される(人が重畳画像Tを見た場合に割符生成用秘密画像S′′に近い画像が視認される)ように、画素配置を決定して、割符画像W1,W2を生成する。割符画像W1,W2は、一般的には白黒の2値画像であり、割符画像W1,W2が組み合わされた重畳画像Tも一般的には白黒の2値画像である。
【0010】
上記したように、割符画像W1,W2やそれらを重畳して得られる重畳画像T(秘密画像が視覚復号される画像)は、割符生成処理によって2値化されたものとなるが、割符画像の生成処理は、入力として与えられる輝度g1′′,g2′′,s′′を持つ割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′と白黒2値の各割符画像の局所的な擬似濃淡表現がほぼ同等となるように行われので、与えられた輝度g1′′,g2′′,s′′を持つ画素の組み合わせが2値画像で表現不可能な組み合わせとなる場合がある。この場合、割符画像W1やW2を生成できないか、生成できても他の画像が残存(混入)する度合い(以下、残存度と称す)が大きくなり、画質を良好にできない原因となる。
【0011】
例えば、画像の輝度を0〜255とした場合、割符生成用原画像G1′′,G2′′の輝度g1′′,g2′′が双方とも一様に128(白の1/2(灰色))である場合、図7に示すように、両者の画素配置の組み合わせで、一様に0(黒)や128(灰色)の輝度は表現可能である(図7(a),(b))が、192(白濃度3/4の薄灰)の輝度は表現できない(図7(c))。
【0012】
このように、あるグレースケール(多値)の輝度g1′′,g2′′を複数の白黒画素で擬似濃淡表現したとき、g1′′,g2′′の画素のハミング距離を変化させることで、s′′の擬似濃淡表現を変化させることができるが、白黒画素の組み合わせで擬似濃淡表現可能なS′′は、制約されることになる。この制約は式(1)で表される。
【0013】
Max(0,g1′′+g2′′-255)≦S′′≦Min(g1′′,g2′′) (1)
【0014】
割符画像W1,W2が割符用原画像G1,G2をほぼ擬似濃淡表現し、重畳画像Tが秘密画像Sをほぼ擬似濃淡表現することが望ましいが、式(1)から、重畳画像Tが表現しうる擬似濃度tTの範囲は、割符画像W1,W2の輝度g1′′,g2′′によって制限されることになる。
【0015】
図8は、式(1)式を満たす範囲を示し、4面体defgで囲まれた領域(4面体の内側)が式(1)式を満たす範囲である。これについては、非特許文献3で詳細に記載されている。同図において、点k′,m′,n′は、図7の(a),(b),(c)の場合にそれぞれ対応する。
【0016】
したがって、重畳画像Tがある程度のダイナミックレンジを持って良好に秘密画像Sを擬似濃淡表現するためには、通常、割符用原画像G1,G2のダイナミックレンジを狭くする必要がある。同様に、秘密画像Sのダイナミックレンジも狭くする必要がある。
【0017】
図9は、非特許文献2の輝度変更部の具体的構成を示す機能ブロック図である。この輝度変換部は、DR変換後の輝度が式(1)を満たすように割符用画像G1,G2および秘密画像SのDRを変換する。そのために、まず、多面体抽出部82において、割符用原画像G1,G2および秘密画像Sの輝度g1,g2,sが取り得る組み合わせの範囲(式(1)を満たす領域)を囲む多面体を抽出し、割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′の輝度g1′′,g2′′,s′′が取り得る組み合わせの範囲を制約するテーブルX′′を生成する。
【0018】
次に、DR変換部83のg1用,g2用,s用DR変換係数(a1,b1),(a2,b2),(a3,b3)を適当に設定し、割符用原画像G1,G2および秘密画像Sの輝度g1,g2,sをそれぞれ、g1′′=a1*g1+b1、g2′′=a2*g2+b2、s′′=a3*s+b3によりDR変換し、DR変換後の輝度g1′′,g2′′,s′′がテーブルX′′で制約された範囲内の組み合わせになっているかをチェック部84でチェックする。ここで、輝度g1′′,g2′′,s′′がテーブルX′′で制約された範囲内の組み合わせになっていなければ、DR変換部83のg1用,g2用,s用DR変換係数(a1,b1),(a2,b2),(a3,b3)を変えて処理を繰り返す。
【0019】
以上のDR変換とチェックとを探索的に行う。DR変換係数決定部85は、割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′についてのDR変換後の輝度g1′′,g2′′,s′′の組合わせがテーブルX′′で制約された範囲内の組み合わとなったときの係数(a1,b1),(a2,b2),(a3,b3)をそれぞれg1用,g2用,s用DR変換係数として決定する。
【0020】
その後、DR変換部81は、割符用原画像G1,G2および秘密画像Sの輝度g1,g2,sをそれぞれg1用,g2用,s用DR変換係数(a1,b1),(a2,b2),(a3,b3)の変換式でDR変換して割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′の輝度g1′′,g2′′,s′′を生成する。これにより生成された割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′の輝度g1′′,g2′′,s′′をそのまま画素配置決定部に入力する。
【0021】
図10は、非特許文献1の輝度変換部の具体的構成を示す機能ブロック図である。この輝度変換部では、DR変換と丸め込み処理を行う。これでは、DR変換後の輝度は式(1)を満たさなくともよいが、さらに式(1)との輝度誤差成分を複数枚の画像に分散する丸め込み処理を行う。つまり、割符画像や重畳画像上に他の画像の一部が少々見えることは許容し、画像のコントラストを狭くしすぎず、見えやすさを高めるため、DR変換部91で、割符用原画像G1,G2および秘密画像Sの輝度g1,g2,sをそれぞれ、g1′=a1*g1+b1、g2′=a2*g2+b2、s′=a3*s+b3によりDR変換する。その後、丸め込み処理部92で、輝度誤差成分を分散する丸め込み処理を行って、割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′の輝度g1′′,g2′′,s′′を生成する。
【0022】
g1用,g2用,s用DR変換係数(a1,b1),(a2,b2),(a3,b3)は、DR変換係数決定部93において手動で設定される。丸め込み処理部92での丸め込み処理は、割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′の輝度g1′′,g2′′,s′′が取り得る組み合わせの範囲を制約するテーブルX′′を参照して行われる。これにより生成された割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′の輝度g1′′,g2′′,s′′を画素配置決定部に入力する。
【非特許文献1】M.Nakajima and Y.Yamaguchi,“Extended visual cryptography for natural images,”Journal of WSCG vol.2, pp.303-310,2002.
【非特許文献2】C.W.Wu and G.R.Thompson,“Digital watermarking and steganography via overlays of halftone images”, Proc.SPIE, Vol.5561, pp.152-163,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
非特許文献2に記載された割符画像生成手法では、基本的に式(1)を満たすように凸包(convex hull)などの手法を用いて、各々の画像の輝度の組み合わせが取り得る組み合わせの範囲、つまり、式(1)を満たす領域を囲む多面体を求め、画素の組み合わせの変換結果が多面体内の画素の組み合わせとなるように、DR変換係数(DR(a1, a2, a3)と最小値(b1, b2, b3))を探索的に求め、このDR変換係数を用いてDR変換を行う。
【0024】
この割符画像生成手法では、DR変換後に式(1)の範囲を外れる輝度の組み合わせを許容しないので、DRが狭くなりやすく、割符画像や重畳画像上のオブジェクトが視認しにくくなるという課題がある。また、凸包やDR変換係数の探索に時間がかかるという課題もある。
【0025】
非特許文献1に記載された割符画像生成手法では、各画像のコントラストを高めるため、式(1)を満たさない画素組も許容し、まず、広いDRの画像に変更する。
【0026】
これによれば、DRの制限を緩和させることができ、画像中のオブジェクトを視認しやすくすることができる。その後、DR変換だけでは式(1)を満たさない画素組に対し丸め込み処理(誤差分散処理)を施す。例えば、DR変換後の画像G1′,G2′,S′の輝度g1′,g2′,s′の組み合わせが、図8の4面体defgに含まれない点n′である場合、n′から最も近い位置にある四面体defg上の点n′′(g1′′,g2′′,s′′)=n′(g1′,g2′,s′)+e(eg1, eg2, es)となるように丸め込み処理することで、n′のn′′に対する誤差eを各々の画像G1′,G2′,S′にeg1, eg2, esだけ分散させて割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′の輝度g1′′,g2′′,s′′を生成する。
【0027】
このとき、DRを広くするほどコントラストは高くなるが、他の画像が残存(混入)する度合いが大きくなる(分散された輝度誤差成分eg1, eg2, esが割符画像や重畳画像に表れる)という課題がある。
【0028】
非特許文献1に記載された割符画像生成手法では、他の画像が残存する度合い(残存度)とコントラストを両立する条件を、式(1)を満たす輝度の画素組の割合Constraint fulfillment rate(CFR)で評価しており、CFRの値が0.6以下の場合は他の画像の残存度とコントラストが両立しないという知見が得られている。
【0029】
しかしながら、CFRが一定値の場合でも、実際には画像の組み合わせによって残存度に大きな差が生じるため、CFRは、他の画像の残存度とコントラストが両立するかどうかを判定するために、余り有効な評価尺度とはいえない。例えば、画像中に小さなオブジェクトがあり、そのオブジェクトの位置の画素組の輝度が式(1)の範囲外となる場合、CFRは同一値でもオブジェクトのコントラストが高いほど他の画像に残存しやすくなる。また、非特許文献1では、実際に入力される画像の輝度の組み合わせに応じてDR変換係数を自動で決定できる、探索的手法に代わる手法は提案されていない。
【0030】
本発明の目的は、全ての画像のコントラストを強めるために丸め込み処理後の他の画像の残存を許容する場合に、残存量を制御しつつ、その範囲内で最大のコントラスト(ダイナミックレンジ)をとる変換係数を、実際に入力される画像の輝度の組み合わせに応じて、自動的に決定できる信号変換装置およびプログラムを提供することである。さらに、探索的な処理を用いることなく高速かつ一意に変換係数を決定できる信号変換装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記課題を解決するため、本発明は、取り得る組み合わせの範囲が制約された複数の信号を、それらのダイナミックレンジが変換された組み合わせの信号に変換して出力する信号変換装置において、複数の信号が取り得る組み合わせの範囲を制約するテーブルを予め設定された値に従って前記複数の信号が取り得ない組み合わせの範囲まで拡張して拡張テーブルを生成する拡張テーブル生成手段と、入力された複数の信号を、それらの組み合わせが前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内となるように変換する信号変換手段を備えた点に第1の特徴がある。
【0032】
また、本発明は、前記拡張テーブル生成手段が、前記予め設定された値を逆丸め込み処理して前記テーブルに加算することにより前記拡張テーブルを生成する点に第2の特徴がある。
【0033】
また、本発明は、前記信号変換手段が、入力された複数の信号を、それらの組み合わせが前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内となるように変換するために、変換式の決定に探索的処理を実行する点に第3の特徴がある。
【0034】
また、本発明は、前記信号変換手段が、前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内の複数の基準信号における前記拡張テーブルに対する接点から各基準信号での接点を検出する第1検出手段と、入力された複数の信号について前記第1検出手段で検出された接点に対応付ける特異点を検出する第2検出手段と、前記第2検出手段により検出された特異点を前記第1検出手段により検出された接点にマッピングさせる変換係数を決定する変換係数決定手段とを備え、前記変換係数決定手段により決定された変換係数を用いて、入力された複数の信号を、それらの組み合わせが前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内となるように変換する点に第4の特徴がある。
【0035】
また、本発明は、前記第1検出手段が、前記複数の基準信号の組み合わせが前記拡張テーブルで制約された範囲に接する接点を抽出し、該接点における前記複数の基準信号をベクトル・スカラ変換し、ベクトル・スカラ変換された前記複数の基準信号各々の最大値および最小値を接点として検出する点に第5の特徴がある。
【0036】
また、本発明は、前記第2検出手段が、前記第1検出手段により検出された接点に対応付ける前記複数の信号についての特異点を抽出し、該特異点における前記複数の信号をベクトル・スカラ変換し、ベクトル・スカラ変換された前記複数の信号各々の最大値および最小値を特異点として検出する点に第6の特徴がある。
【0037】
また、本発明は、前記複数の信号が、画像である点に第7の特徴がある。
【0038】
また、本発明は、前記複数の信号が、複数の割符用画像および割符用画像に埋め込まれる秘密画像であり、前記秘密画像は、前記複数の割符用画像の重畳で復号されるものである点に第8の特徴がある。
【0039】
また、本発明は、さらに、前記信号変換手段により変換された複数の信号を、それらの組み合わせが前記テーブルの制約に従う複数の信号の組み合わせとなるように丸め込み処理する丸め込み処理手段を備えた点に第9の特徴がある。
【0040】
さらに、本発明は、前記丸め込み処理手段が、丸め込み処理に際し、誤差成分に対してローパスフィルタを適用する点に第10の特徴がある。
【0041】
本発明は、信号変換装置としてだけでなく、コンピュータを上記信号変換装置の各手段として機能させるプログラムとしても実現できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、複数の割符信号が取り得る組み合わせの範囲を制約するテーブルを、予め設定された残存の許容値に従って複数の信号が取り得ない組み合わせの範囲まで拡張して拡張範囲を求め、入力された複数の信号を、それらの組み合わせが拡張範囲内でコントラストが最大となるように変換するので、複数の信号おいてのコントラスト(差分)を強めることができるとともに、それらが組み合わされて丸め込み処理された場合でも他の信号の残存度が制限された複数の信号に変換できる。
【0043】
また、複数の想定した基準信号における拡張範囲に対する接点を求め、実際の入力された複数の信号から変換後に接点となる可能性の高い特異点をそれぞれ抽出し、それを基に両者をマッピングさせる変換係数を決定するという手法を採用することにより、信号変換の係数を自動かつ高速に一意に決定できる。この手法によれば、軽い処理負担で信号変換の係数を決定できるので、信号変換をサーバアプリケーションに適するものとすることができる。
【0044】
また、複数の信号が画像である場合には、複数の画像から、コントラストが強くてオブジェクトが視認しやすく、かつ丸め込み処理された場合でも他の画像の残存度が制限された複数の画像を生成できる。
【0045】
本発明によれば、様々な入力画像から残存度が制限されたコントラストの強い割符画像を作成でき、残存度が制限されたコントラストの強い割符画像は、それから復号される秘密画像の意外性を高くすることができるので、くじやグリーティングカードといったエンターテイメントや広告などに適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照して本発明を説明する。以下では、図6に示すように、DR変換部で画像G1,G2,SをDR変換し、これにより生成された画像G1′,G2′,S′をさらに丸め込み処理部に入力し、割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′を生成する場合を例にあげて説明する。本発明の信号変換装置は、この場合のDR変換部として利用できる。前処理として原画像G1,G2,Sにヒストグラムの平坦化やS字型トーンカーブ補正などを加え、中間階調を引きのばしてコントラストを強調しておいてもよい。
【0047】
本発明では、他の画像の残存度が割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′に分散される誤差(分散誤差)eg1, eg2, esに比例すると考え、分散誤差eg1, eg2, esの各絶対値の最大値eg1max, eg2max, esmaxを画質の評価尺度とする。
【0048】
DR変換後の画像G1′,G2′,S′の画素組(g1′,g2′,s′)が、結果的に予め定めた値以下の誤差を分散するようにDR変換係数を求めることにより、入力の割符用原画像G1,G2および割符秘密画像Sによらず、変換後の割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′における他の画像の残存度が一定以下になることが期待できる。
【0049】
割符用原画像G1,G2および割符用秘密画像Sの輝度g1,g2,sから画像G1′,G2′,S′の輝度g1′,g2′,s′への変換式g1′=a1*g1+b1、g2′=a2*g2+b2、s′=a3*s+b3の各変換係数(a1,b1),(a2,b2),(a3,b3)は、画像G1′,G2′,S′が丸め込み処理されて割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′が生成された場合に、分散誤差が最大値eg1max, eg2max, esmax以下になるように求める。
【0050】
以下では、説明を簡単にするために、分散誤差の最大値eg1max=eg2max=esmax=emaxとし、変換後のDRの比をDR(g1′):DR(g2′):DR(s′)=1:1:r(直方体)とする。
【0051】
図1は、本発明に係る信号変換装置の一例を示す機能ブロック図であり、図2は、図1での処理を示すフローチャートである。また、図3は、それでの処理の説明に供する図である。
【0052】
以下、入力画像G1,G2,Sから画像G1′,G2′,S′を求めるための一次関数の変換係数の求め方を、図2および図3を参照しつつ図1に基づいて説明する。本発明では、以下の手段により他の画像の残存を一定に許容し、その範囲で最大のダイナミックレンジ(コントラスト)をとり、かつ高速に変換係数を求める。
【0053】
まず、図2に示すように、他の画像の残存を許容する最大値emax(emax=eg1max=eg2max=esmax)を設定する(S11)。拡張テーブル生成部11は、割符生成用原画像G1′′,G2′′および割符生成用秘密画像S′′の輝度g1′′,g2′′,s′′が取り得る組み合わせの範囲を制約するテーブルX′′と、先ほど設定した許容する残存の最大値emax(emax=eg1max=eg2max=esmax)から、DR変換後の画像G1′,G2′,S′の画素組で許容される輝度(g1′,g2′,s′)の組み合わせの範囲を制約する拡張範囲(拡張テーブル)X′を生成する(S12)。
【0054】
この拡張テーブルX′が制約する輝度g1′,g2′,s′の組み合わせの範囲は、例えば、図3に示す4面体defg内であり、4面体defgは、4面体defgの平面efg,def,dfg,degをそれぞれ法線ベクトル方向に(0,0,emax)、(emax,0,emax)、(0,emax,emax)、(emax,emax,emax)だけ広げたものである。つまり、拡張テーブルX′は、輝度g1′,g2′,s′の組み合わせが取り得ない範囲まで拡張されている。この拡張テーブルX′は、emaxを逆丸め込み処理してテーブルX′′に加算することにより生成できる。逆丸め込み処理とは、誤差分散処理(図6の丸め込み処理部512での処理)と逆の処理であり、誤差分散前から誤差分散後の画素組へのベクトルの逆の符号のベクトルを用いて実現できる。
【0055】
次に、入力画像の画素組(g1,g2,s)をこの拡張範囲X′に存在するように変換し、残存の最大値をemaxに制限した上で、DR変換後の画像G1′,G2′,S′が拡張テーブルX′内で最大のDR、つまりオブジェクトを視認視認しやすくするために最大のコントラストを取る手法を説明する。このためには、DR変換後の画像G1′,G2′,S′の画素組(g1′,g2′,s′)が拡張テーブルX′で制約された範囲に内接することが必要である。DR変換後の画像G1′,G2′,S′の画素組(g1′,g2′,s′)が拡張テーブルX′で制約された範囲に内接するための変換式は、何度も変換係数を適当に定め、変換後の画素組が拡張範囲に接しているかチェックし、接していない場合は再度変換係数を適当に定め直すことで探索的に求めることもできるが、以下では、自動かつ高速に一意に、また、軽い処理負担で変換式の係数を決定する手法について説明する。そのために、実際の入力画像だけでなく、入力信号の組み合わせの分布が一様であると予め想定した画像も用いる。そして、予め想定した画像から拡張範囲との接点を求め、実際の入力画像から接点となりそうな特異点のみを求め、その特異点と接点をマッピングすることで変換係数を一意に求める。
【0056】
想定した画像Y1,Y2,Y3の輝度y1,y2,y3のヒストグラムが一様または両端に偏る場合、その画素組(y1,y2,y3)の存在範囲Yは、各画像Y1,Y2,Y3の輝度y1,y2,y3を3軸方向とした3次元上で立方体の形状に分布し、中間階調に偏る場合には、立方体が膨張した形状に分布することが確認されている。そこで、画像Y1,Y2,Y3の画素組(y1,y2,y3)の存在範囲Yが直方体の形状を取るとし、そのDR変換後の画像Y1′,Y2′,Y3′の画素組(y1′,y2′,y3′)の存在範囲Y′が直方体の形状であり、このY′が拡張テーブルX′で制約された範囲に内接するとする。
【0057】
DR変換後の画像Y1′,Y2′,Y3′の画素組(y1′,y2′,y3′)の存在範囲Y′が直方体の形状となって拡張テーブルX′に接する場合、Y′は、図3に示す直方体a′-h′となる。このとき、4つの頂点a′,b′,c′,h′と2つの辺a′b′,b′c′が拡張テーブルX′に接し、それらの接点においてeg1, eg2, esともに最大の分散誤差emaxを取る。画像G1,G2,Sにおいて、DR変換後に拡張テーブルX′に接する画素組も、頂点a,b,c,hと辺ab,bcに最も近い6点からそれぞれ選択される可能性が高い。これが実際の入力画像の特異点候補となる。
【0058】
特異点抽出部121、ベクトル・スカラ変換部122およびmax・min判定部123からなる最大・最小輝度検出部12は、DR変換前の画像G1,G2,Sの画素組(g1,g2,s)から丸め込み処理後の分散誤差が最大となる可能性が高い候補点(特異点)を求め、該候補点の中から各画像G1,G2,Sについての最小・最大輝度を求める(S15,S16)。
【0059】
最大・最小輝度検出部12では、まず、特異点抽出部121により、上述したように、頂点a,b,c,hと辺ab,bcに近い点を候補点として抽出する。拡張テーブルX′を参照して、丸め込み処理後の分散誤差が最大となる可能性が高い特異点を候補点として抽出してもよい。
【0060】
ベクトル・スカラ変換部122は、特異点抽出部121で抽出された候補点はベクトルなので、それぞれの候補点のg1,g2,sのスカラを取り出す。max・min判定部123は、ベクトル・スカラ変換部122で取り出されたスカラの中から各画像G1,G2,Sの最大・最小輝度を判定し、それぞれの最大・最小輝度(g1max,g1min),(g2max,g2min),(smax,smin)を出力する。
【0061】
各画像G1,G2,Sにおける最大・最小輝度をそれぞれn[p]g1,n[p]g2,n[p]s(p=a,b,c,h,ab,bc)と表記すると、各画像G1,G2,Sの最小・最大輝度は、(g1min,g1max)=(n[ab]g1,max(n[c]g1,n(h)g1))、(g2min,g2max)=(n[bc]g2,max(n[a]g2,n[h]g2))、(smin,smax)=(n[h]s,max(n[a]s,n[b]s,n[c]s,n[ab]s,n[bc]s))となる。このように、実際の入力画像G1,G2,Sからマッピング元情報を得る。
【0062】
想定画像Y1,Y2,Y3からはマッピング先情報を以下の手法により得る。接点抽出処理部131、ベクトル・スカラ変換部132およびmax・min判定部133からなる最大・最小輝度検出部13は、最大・最小輝度検出部12で求められた最小・最大輝度に対応付ける、拡張テーブルX′で制約された範囲に内接する点の最小・最大輝度を求める(S13,S14)。
【0063】
最大・最小輝度検出部13では、まず、接点抽出部131により、画素のヒストグラムが一様で、取り得る範囲がY′(図3)である画像についての画素組(y1′,y2′,y3′)を入力とし、拡張テーブルX′に接する画素組(y1′,y2′,y3′)を接点として抽出する。この場合、4つの頂点a′,b′,c′,h′と2つの辺a′b′,b′c′に接する画素組(y1′,y2′,y3′)が接点として抽出される。
【0064】
ベクトル・スカラ変換部132は、接点抽出部131で抽出された接点はベクトルなので、それぞれの接点のスカラを取り出す。max・min判定部133は、ベクトル・スカラ変換部132で取り出されたスカラから最大・最小輝度を判定し、(y1′max,y1′min),(y2′max,y2′min),(y3′max,y3′min)を画像G1,G2,Sの最大・最小輝度(g1max,g1min),(g2max,g2min),(smax,smin)に対応するDR変換後の輝度として出力する。
【0065】
ここで、sminがy3′min=0、smaxがy3′maxに変換されるとした場合、(g1min,g1max)=(y3′max-2emax,128+3emax/2)、(g2min,g2max)=(y3′max-2emax,128+3emax/2)、(smin,smax)=(0,y3′max)となる。なお、端数は4捨五入している。
【0066】
図4は、接点抽出部131での処理を示す説明図であり、同図(a),(b)はそれぞれ、図3のs=0、s=y3′maxでの断面を示している。ここで、同図(a)において、外側実線の正方形は、直方体a-hの平面efghに相当し、網掛け部分は、4面体defgのs=0での断面(平面efg)に相当し、点線部分は、4面体defgのs=emaxでの断面に相当する。また、同図(b)において、網掛け部分は、4面体defgのs=y3′maxでの断面に相当し、点線部分は、4面体defgのs=y3′max-emaxでの断面に相当する。
【0067】
画像の輝度を0〜255とすると、図4から明らかなように、点h′は、(128+3emax/2,128+3emax/2,0)で表され、点b′は、(y3′max-2emax,y3′max-2emax,y3′max)で表される。なお、端数は4捨五入している。点h′のg1,g2軸方向の値128+3emax/2,128+3emax/2がそれぞれ、y1′max,y2′maxとなり、点b′のg1,g2軸方向の値y3′max-2emax,y3′max-2emaxがそれぞれ、y1′min,y2′minとなる。
【0068】
ここでは、変換後のDRの比をDR(y1′):DR(y2′):DR(y3′)=1:1:r(直方体)としている。rとemaxをy3′max={(128+5emax/3)r/(1+r)}に与えて、各画像G1,G2,SのDR変換後の最大・最小輝度(y1′max,y1′min),(y2′max,y2′min),(y3′max,y3′min)を求め、これをマッピング先情報とする。
【0069】
変換係数決定部14では、実際の入力画像のマッピング元情報と想定画像の接点へのマッピング先情報へ変換するための変換係数を求める。最大・最小輝度検出部12で検出された最大・最小輝度(g1max,g1min),(g2max,g2min),(smax,smin)を最大・最小輝度検出部13で検出された最大・最小輝度(y1′max,y1′min),(y2′max,y2′min),(y3′max,y3′min)にマッピングすることにより、g1用、g2用およびs用DR変換係数(a1,b1),(a2,b2),(a3,b3)を決定する(S17)。
【0070】
DR変換後の輝度は、変換前の輝度xを使って一般的に直線の式ax+bで与えられるので、g1′、g2′およびs′はそれぞれ、g1,g2,sとy1′,y2′,y3′の最小・最大輝度の点を通る直線式から一意に求めることができる。例えば、g1′を生成するための変換式は、(g1min,y1′min)=(n[ab]g1,y3′max-2emax)、(g1max,y1′max)=(max(n[c]g1,n[h]g1),128+3emax/2)の2点を通る直線式となる。
【0071】
DR変換部15は、変換係数決定部14で決定された係数(a1,b1),(a2,b2),(a3,b3)の変換式を用いて各画像G1,G2,SをDR変換する(S18)。丸め込み処理部16は、丸め込み処理後の画素組(g1′′、g2′′,s′′)がテーブルX′′内のものとなるように、輝度g1′、g2′およびs′に誤差散処理を適用する(S19)。
【0072】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、割符画像の枚数を2枚としたが、本発明は、割符画像がn枚(n≧3)の場合にも適用できる。なお、割符画像がn枚(n≧3)の場合に表現できる擬似濃度S′′は、式(2)で表される。
【0073】
Max(0,g1′′+g2′′+・・・+gn′′-255)≦S′′≦Min(g1′′,g2′′,・・・,gn′′) (2)
【0074】
また、図1のDR変換部15でDR変換された画像G1′,G2′,S′に丸め込み処理を適用する際に、誤差成分のみに、5×5〜20×20要素で標準偏差が1以上のガウシアンフィルタ、要素の値がすべて同じであるフィルタ、レンズフィルタなどのぼかしフィルタ(ローパスフィルタ)をかけ、ローパスフィルタをかけた誤差成分を画像G1′,G2′,S′に加算するようにすれば、誤差成分のみのエッジの成分を緩和することができるので、誤差成分をさらに目立たなくすることができる。
【0075】
また、上記実施形態は、入力される信号が画像であり、割符画像の生成についてのものであるが、入力される信号が画像以外の信号、例えば音声信号であっても、その信号のレベルを上記実施形態における画像の輝度に対応するものとして扱うことにより、そのDRを広くして差分を知覚しやすくし、かつ他の信号の混入を抑制することができる。この場合でも、入力される信号の数は、3つに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る信号変換装置の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1での処理を示すフローチャートである。
【図3】図1での処理の説明に供する図である。
【図4】特異点抽出部での処理を示す説明図である。
【図5】割符画像の重畳による秘密画像の復号を概念的に示す説明図である。
【図6】輝度変更部と画素配置決定部を用いて割符画像を生成する従来構成を示すブロック図である。
【図7】白黒画素の組み合わせで表現しうる擬似濃度を示す説明図である。
【図8】白黒画素の組み合わせで表現しうる擬似濃度の範囲を示す説明図である。
【図9】従来の輝度変更部の具体的構成を示す機能ブロック図である。
【図10】従来の輝度変更部の他の具体的構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
11・・・拡張テーブル生成部、12,13・・・最大・最小輝度検出部、14,85,93・・・変換係数決定部、15,81,83,91,511・・・DR変換部、16,92,512・・・丸め込み処理部、51・・・輝度変更部、52・・・画素配置決定部、82・・・多面体抽出部、84・・・チェック部、121・・・特異点抽出部、122,132・・・ベクトル・スカラ変換部、123,133・・・max・min判定部、131・・・接点抽出部、G1〜Gn・・・割符用原画像、S・・・秘密画像、G1′′,G2′′・・・割符生成用原画像、S′′・・・割符生成用秘密画像、W1,W2・・・割符画像、T・・・重畳画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り得る組み合わせの範囲が制約された複数の信号を、それらのダイナミックレンジが変換された組み合わせの信号に変換して出力する信号変換装置において、
複数の信号が取り得る組み合わせの範囲を制約するテーブルを予め設定された値に従って前記複数の信号が取り得ない組み合わせの範囲まで拡張して拡張テーブルを生成する拡張テーブル生成手段と、
入力された複数の信号を、それらの組み合わせが前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内となるように変換する信号変換手段を備えたことを特徴とする信号変換装置。
【請求項2】
前記拡張テーブル生成手段は、前記予め設定された値を逆丸め込み処理して前記テーブルに加算することにより前記拡張テーブルを生成すること特徴とする請求項1に記載の信号変換装置。
【請求項3】
前記信号変換手段は、入力された複数の信号を、それらの組み合わせが前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内となるように変換するために、変換式の係数決定に探索的処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の信号変換装置。
【請求項4】
前記信号変換手段は、前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内の複数の基準信号における前記拡張テーブルに対する接点から各基準信号での接点を検出する第1検出手段と、入力された複数の信号について前記第1検出手段で検出された接点に対応付ける特異点を検出する第2検出手段と、前記第2検出手段により検出された特異点を前記第1検出手段により検出された接点にマッピングさせる変換係数を決定する変換係数決定手段とを備え、前記変換係数決定手段により決定された変換係数を用いて、入力された複数の信号を、それらの組み合わせが前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内となるように変換することを特徴とする請求項1または2に記載の信号変換装置。
【請求項5】
前記第1検出手段は、前記複数の基準信号の組み合わせが前記拡張テーブルで制約された範囲に接する接点を抽出し、該接点における前記複数の基準信号をベクトル・スカラ変換し、ベクトル・スカラ変換された前記複数の基準信号各々の最大値および最小値を接点として検出することを特徴とする請求項4に記載の信号変換装置。
【請求項6】
前記第2検出手段は、前記第1検出手段により検出された接点に対応付ける前記複数の信号についての特異点を抽出し、該特異点における前記複数の信号をベクトル・スカラ変換し、ベクトル・スカラ変換された前記複数の信号各々の最大値および最小値を特異点として検出することを特徴とする請求項4または5に記載の信号変換装置。
【請求項7】
前記複数の信号は、画像であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の信号変換装置。
【請求項8】
前記複数の信号は、複数の割符用画像および割符用画像に埋め込まれる秘密画像であり、前記秘密画像は、前記複数の割符用画像の重畳で復号されるものであることを特徴とする請求項7に記載の信号変換装置。
【請求項9】
さらに、前記信号変換手段により変換された複数の信号を、それらの組み合わせが前記テーブルの制約に従う複数の信号の組み合わせとなるように丸め込み処理する丸め込み処理手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の信号変換装置。
【請求項10】
前記丸め込み処理手段は、丸め込み処理に際し、誤差成分に対してローパスフィルタを適用することを特徴とする請求項9に記載の信号変換装置。
【請求項11】
取り得る組み合わせの範囲が制約された複数の信号を、それらのダイナミックレンジが変換された組み合わせの信号に変換して出力するために、コンピュータを、
複数の信号が取り得る組み合わせの範囲を制約するテーブルを予め設定された値に従って前記複数の信号が取り得ない組み合わせの範囲まで拡張して拡張テーブルを生成する拡張テーブル生成手段、
入力された複数の信号を、それらの組み合わせが前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内となるように変換する信号変換手段として機能させるプログラム。
【請求項12】
前記拡張テーブル生成手段は、前記予め設定された値を逆丸め込み処理して前記テーブルに加算することにより前記拡張テーブルを生成する請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記信号変換手段は、入力された複数の信号を、それらの組み合わせが前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内となるように変換するために、変換式の係数決定に探索的処理を実行する請求項11または12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記信号変換手段は、前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内の複数の基準信号における前記拡張テーブルに対する接点から各基準信号での接点を検出する第1検出手段と、入力された複数の信号について前記第1検出手段で検出された接点に対応付ける特異点を検出する第2検出手段と、前記第2検出手段により検出された特異点を前記第1検出手段により検出された接点にマッピングさせる変換係数を決定する変換係数決定手段とを備え、前記変換係数決定手段により決定された変換係数を用いて、入力された複数の信号を、それらの組み合わせが前記拡張テーブルでの制約に従う組み合わせの範囲内となるように変換する請求項11または12に記載のプログラム。
【請求項15】
前記第1検出手段は、前記複数の基準信号の組み合わせが前記拡張テーブルで制約された範囲に接する接点を抽出し、該接点における前記複数の基準信号をベクトル・スカラ変換し、ベクトル・スカラ変換された前記複数の基準信号各々の最大値および最小値を接点として検出する請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記第2検出手段は、前記第1検出手段により検出された接点に対応付ける前記複数の信号についての特異点を抽出し、該特異点における前記複数の信号をベクトル・スカラ変換し、ベクトル・スカラ変換された前記複数の信号各々の最大値および最小値を特異点として検出する請求項14または15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記複数の信号は、画像信号である請求項11ないし16のいずれかに記載のプログラム。
【請求項18】
前記複数の信号は、複数の割符用画像および割符用画像に埋め込まれる秘密画像であり、前記秘密画像は、前記複数の割符用画像の重畳で復号されるものである請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
さらに、前記信号変換手段により変換された複数の信号を、それらの組み合わせが前記テーブルの制約に従う複数の信号の組み合わせとなるように丸め込み処理する丸め込み処理手段を備えた請求項11ないし18のいずれかに記載のプログラム。
【請求項20】
前記丸め込み処理手段は、丸め込み処理に際し、誤差成分に対してローパスフィルタを適用する請求項19に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−49765(P2009−49765A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214812(P2007−214812)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】